特許第6446541号(P6446541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446541
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】原料の装入装置及び装入方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/10 20060101AFI20181217BHJP
   F27D 3/10 20060101ALI20181217BHJP
   B65G 11/20 20060101ALI20181217BHJP
   B65G 47/18 20060101ALI20181217BHJP
   B65G 65/48 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   F27B21/10 C
   F27D3/10
   B65G11/20 Z
   B65G47/18
   B65G65/48 H
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-515888(P2017-515888)
(86)(22)【出願日】2015年8月26日
(65)【公表番号】特表2017-535739(P2017-535739A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】KR2015008946
(87)【国際公開番号】WO2016047929
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年3月22日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0128447
(32)【優先日】2014年9月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヘ グォン
(72)【発明者】
【氏名】ゾ,ビョン グク
(72)【発明者】
【氏名】チォイ,マン スゥ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ゾン イン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウン ホ
【審査官】 河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/183914(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0072679(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 21/10
B65G 11/20
B65G 47/18
B65G 65/48
F27D 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装入された原料を排出する原料供給部と、
前記原料供給部から離隔され、前記原料供給部から排出される原料を貯留する貯留器と、
前記原料供給部から前記貯留器に向かって斜め下向きになるように搬送経路を形成し、前記搬送経路に沿って高さの変化が周期的に形成された凸部を有して前記搬送経路の上において移動する原料を前記搬送経路に垂直な方向に振動させる振動面を有する装入シュートと、を備え、
前記装入シュートは、
下記の数式1により計算される原料の無次元加速度(a)が8以上の値を有するように、原料の移動距離に伴う前記凸部の高さを示す振動波形において振幅(A)を変化させる前記凸部の最高の高さ(H)、振動周波数(f)を変化させる前記搬送経路の傾斜角(θ)及び振動周波数(f)を変化させる前記凸部の波長(λ)のうちの少なくとも一つの大きさを制御して形成され、
前記原料を搬送経路上において小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層しながら搬送することを特徴とする原料の装入装置。
【数1】
(ここで、fは、振動周波数(1/s)を示し、Aは、振幅(m)を示し、gは、重力加速度(m/s)を示す。)
【請求項2】
前記無次元加速度(a)の値は、前記振幅(A)が前記凸部の最高の高さ(H)の増加に伴い増加し、前記振動周波数(f)が前記搬送経路の傾斜角(θ)の増加に伴い増加し、前記振動周波数(f)が前記凸部の波長(λ)の増加に伴い減少する関係から計算されることを特徴とする請求項1に記載の原料の装入装置。
【請求項3】
前記装入シュートは、一体型又は複数枚の分割型の傾斜板を有し、
前記凸部は、前記傾斜板の上部の表面に沿って突設される複数の突起により形成される面を有することを特徴とする請求項1に記載の原料の装入装置。
【請求項4】
前記装入シュートは、複数のローラーを有し、前記凸部は、前記ローラーが互いに並ぶように配置されて、各ローラーの表面に沿って形成される面を有することを特徴とする請求項1に記載の原料の装入装置。
【請求項5】
前記装入シュートの搬送経路は、直線又は曲線の軌跡で形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の原料の装入装置。
【請求項6】
前記装入シュートの搬送経路は、上部から下部に進むにつれて傾斜角(θ)が減少することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の原料の装入装置。
【請求項7】
前記搬送経路は、40乃至50°の傾斜角(θ)を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の原料の装入装置。
【請求項8】
前記ローラーは、150mm以下の直径(D)を有することを特徴とする請求項4に記載の原料の装入装置。
【請求項9】
原料を設ける過程と、
前記原料を、原料の搬送経路を形成する装入シュートに供給する過程と、
前記装入シュートの振動面に形成され、周期的に高さが変わる凸部の最高の高さ(H)、前記搬送経路の傾斜角(θ)、及び前記凸部の波長(λ)からなる変数のうちの少なくともいずれか一つを制御して、前記原料を搬送経路上において振動させて、小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層させながら搬送する過程と、
搬送された前記原料を貯留器に装入する過程と、
を含み、
前記原料を搬送する過程は、
下記の数1により計算される原料の無次元加速度(a)が8以上の値を有するように、原料の移動距離に伴う前記凸部の高さを示す振動波形において振幅(A)を変化させる前記凸部の最高の高さ(H)、振動周波数(f)を変化させる前記搬送経路の傾斜角(θ)及び振動周波数(f)を変化させる前記凸部の波長(λ)のうちの少なくとも一つの大きさを制御して行われることを特徴とする原料の装入方法。
【数1】
(ここで、fは、振動周波数(1/s)を示し、Aは、振幅(m)を示し、gは、重力加速度(m/s)を示す。)
【請求項10】
前記装入シュートに供給される原料は、上下方向又は前記搬送経路に垂直な方向に振動することを特徴とする請求項9に記載の原料の装入方法。
【請求項11】
前記搬送経路は、直線又は曲線の軌跡で形成されることを特徴とする請求項9に記載の原料の装入方法。
【請求項12】
前記貯留器に装入する過程において、前記原料は、大きな粒度を有するものから小さな粒度を有するものの順に積層されて装入されることを特徴とする請求項9に記載の原料の装入方法。
【請求項13】
前記原料は、副原料又は燃料としての微粉コークスを配合した焼結配合原料であり、
前記貯留器は、焼結台車であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の原料の装入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料の装入装置及び装入方法に係り、より詳しくは、焼結台車に原料を装入する原料の装入装置及び装入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、焼結工程においては、焼結原料を、装入装置を用いて焼結機の焼結台車に装入して焼結鉱を製造している。
図1は、通常の焼結原料の装入装置を示す図である。
図1に示すように、従来の焼結原料の装入装置は、微粉鉄鉱石、石灰石などの副原料及び燃料としての微粉コークスを配合してなる焼結原料1が貯留されている焼結原料ホッパー2と、前記焼結原料1をその回転により焼結原料ホッパー2のホッパーゲート4を経て下部に供給するドラムフィーダー3を有する原料供給部と、供給された焼結原料1を焼結台車8に既に敷かれている底鉱の上に装入する装入シュート5と、を備える。装入シュート5は、傾斜板により構成され、焼結台車8の上部には小さな粒子が、又下部には大きな粒子が装入されるように焼結原料1を分級する役割を果たす。
【0003】
焼結台車8に焼結原料1が装入されると、焼結機は、焼結原料1の表面を表面均し板6を用いて均し、点火炉7において点火し、吸引ブロワー(図示せず)による風箱から下部に吸引される空気により焼結原料1内に含まれているコークスを燃焼させ、焼結反応を行って焼結鉱を製造する。
【0004】
このような焼結工程においては、焼結台車における原料の装入状態を、下部には大きな粒子、上部には小さな粒子が位置するように垂直方向に偏積(バラツキ)させて、燃料としてのコークスが上部に多量に存在するのを人為的に助長することが必要である。このように垂直偏積が効果的に助長されると、焼結機上下方向の熱量の不釣合い現象が抑えられる一方、焼結機内の原料層に流入する空気の抵抗(通気抵抗)が低下して焼結鉱の生産性が向上する。
【0005】
しかしながら、焼結台車における原料の偏積度合が低下すると、焼結機内の原料層に流入する空気の抵抗(通気抵抗)が大きくなって通気性が悪くなる。即ち、装入過程において小粒の焼結原料が焼結台車の下部に積載されると、小粒の焼結原料間の通気空間が狭くなるために通気性が悪くなる。このために吸引ブロワーを用いた吸気を行い難くなり、差圧の発生や焼結状態の不良などによる未焼結鉱を多量に発生させてしまう。このような問題は、焼結鉱の品質及び生産性に重大な影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭49−19004号
【特許文献2】実開昭59−158991号
【特許文献3】大韓民国特許登録公報第411280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、原料が、焼結台車上において大きな粒度を有するものから小さな粒度を有するものの順に粒度別に積層されるようにして、原料の通気性を向上させることができる原料の装入装置及び装入方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、製造される焼結鉱の品質及び生産性を向上させることができる原料の装入装置及び装入方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、装入された原料を排出する原料供給部と、
前記原料供給部から離隔され、前記原料供給部から排出される原料を貯留する貯留器と、
前記原料供給部から前記貯留器に向かって斜め下向きになるように搬送経路を形成し、前記搬送経路に沿って高さの変化が周期的に形成された凸部を有して前記搬送経路の上において移動する原料を前記搬送経路に垂直な方向に振動させる振動面を有する装入シュートと、を備え、
前記装入シュートは、
下記の数式1により計算される原料の無次元加速度(a)が8以上の値を有するように、原料の移動距離に伴う前記凸部の高さを示す振動波形において振幅(A)を変化させる前記凸部の最高の高さ(H)、振動周波数(f)を変化させる前記搬送経路の傾斜角(θ)及び振動周波数(f)を変化させる前記凸部の波長(λ)のうちの少なくとも一つの大きさを制御して形成され、
前記原料を搬送経路上において小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層しながら搬送することを特徴とする。
【数1】
(ここで、fは、振動周波数(1/s)を示し、Aは、振幅(m)を示し、gは、重力加速度(m/s)を示す。)
【0010】
前記搬送経路は、原料供給部から貯留器に向かって斜め下向きに形成され、振動面は、搬送経路に沿って高さの変化が周期的に形成された凸部を有し、無次元加速度aの値は、凸部の最高の高さH、搬送経路の傾斜角θ、及び凸部の波長λからなる変数のうちの少なくともいずれか一つの大きさを制御して決定することが好ましい。
【0011】
前記装入シュートは、一体型又は複数枚の分割型の傾斜板を有し、前記凸部は、傾斜板の上部の表面に沿って突設される複数の突起により形成される面を有することが好ましい。
前記装入シュートは、複数のローラーを有し、前記凸部は、ローラーが互いに並ぶように配置されて、各ローラーの表面に沿って形成される面を有することが好ましい。
【0013】
前記装入シュートの搬送経路は、直線又は曲線の軌跡で形成されることを特徴とする。
前記装入シュートの搬送経路は、上部から下部に進むにつれて傾斜角(θ)が減少することを特徴とする。
【0014】
前記搬送経路は、40乃至50°の傾斜角(θ)を有することを特徴とする。
前記ローラーは、150mm以下の直径(D)を有することを特徴とする。
また、本発明の原料の装入方法は、原料を設ける過程と、
前記原料を、原料の搬送経路を形成する装入シュートに供給する過程と、
前記装入シュートの振動面に形成され、周期的に高さが変わる凸部の最高の高さ(H)、前記搬送経路の傾斜角(θ)、及び前記凸部の波長(λ)からなる変数のうちの少なくともいずれか一つを制御して、前記原料を搬送経路上において振動させて、小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層させながら搬送する過程と、
搬送された前記原料を貯留器に装入する過程と、
を含み、
前記原料を搬送する過程は、
下記の数1により計算される原料の無次元加速度(a)が8以上の値を有するように、原料の移動距離に伴う前記凸部の高さを示す振動波形において振幅(A)を変化させる前記凸部の最高の高さ(H)、振動周波数(f)を変化させる前記搬送経路の傾斜角(θ)及び振動周波数(f)を変化させる前記凸部の波長(λ)のうちの少なくとも一つの大きさを制御して行われることを特徴とする。
【数1】
(ここで、fは、振動周波数(1/s)を示し、Aは、振幅(m)を示し、gは、重力加速度(m/s)を示す。)
【0015】
前記装入シュートに供給される原料は、上下方向又は前記搬送経路に垂直な方向に振動することを特徴とする。
前記搬送経路は、直線又は曲線の軌跡で形成されることを特徴とする。
【0016】
前記貯留器に装入する過程において、原料は、大きな粒度を有するものから小さな粒度を有するものの順に積層されて装入されることが好ましい。
前記原料は、副原料又は燃料としての微粉コークスを配合した焼結配合原料であり、前記貯留器は、焼結台車であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態による原料の装入装置及び装入方法によれば、装入シュートに振動面を形成して搬送中に原料を振動させることにより、装入シュート上において原料が小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層して搬送することができる。
【0018】
これにより、焼結台車内に装入される原料を大きな粒度を有するものから小さな粒度を有するものの順に積層することができて、焼結配合原料層における垂直偏積度を向上させることができる。なお、原料の垂直偏積度を向上させることにより、焼結機の上下方向の熱量の不釣合い現象を抑えることができ、焼結機内の原料層に流入する空気の抵抗を低めて通気性を向上させることができ、その結果、焼結工程において製造される焼結鉱の品質及び生産性を向上させることができる。
【0019】
これらに加えて、本発明の実施形態による原料の装入装置及び装入方法によれば、製造設備を大幅に変更することなく、焼結台車に装入される配合原料の垂直方向の偏積度を格段に向上させることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】通常の焼結原料の装入装置を概略的に示す図である。
図2】本発明に適用されるブラジルナッツ効果を説明するための図である。
図3】本発明の実施形態による原料の装入装置を概略的に示す図である。
図4】本発明の実施形態による装入シュートを示す図である。
図5】本発明の実施形態による搬送経路が曲線の軌跡で形成される装入シュートを示す図である。
図6】本発明の他の実施形態による原料の装入装置を概略的に示す図である。
図7】本発明の他の実施形態による装入シュートを示す図である。
図8】本発明の他の実施形態による搬送経路が曲線の軌跡で形成される装入シュートを示す図である。
図9】本発明の他の実施形態による装入シュートに組み込まれるローラーの直径に対する無次元加速度値の変化を示すグラフである。
図10】本発明の実施形態による原料の装入方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る原料の装入装置及び装入方法は、原料が焼結台車上において、大きな粒度を有するものから小さな粒度を有するものの順に粒度別に積層されるようにして原料の通気性を向上させることのできる技術的な特徴を提示する。
【0022】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示する実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。図中、同じ参照符号は、同じ構成要素を示す。
【0023】
本発明は、様々な密度及び大きさを有する粒子を含む原料を、移動する貯留器に装入する原料の装入装置及び装入方法に関するものであり、原料を貯留器内において粒子の大きさ別に分離して装入するのに適用可能である。このように、貯留器内に装入された原料は、原料粒子間に空間を形成して通気性を向上させることができる。
【0024】
以下に、製銑工程における焼結鉱を製造する工程に用いられる、焼結配合原料を、移動させる焼結台車に装入する焼結原料の装入装置、及び装入方法を例にとって説明する。しかしながら、本発明は、焼結工程に限定されるものではなく、高炉、コークスなど粒子により構成される原料の垂直偏積装入を必要とするあらゆる工程に適用可能であるということはいうまでもない。
【0025】
図2は、本発明に適用されるブラジルナッツ効果を説明するための図である。
図2に示すように、ブラジルナッツ効果(BNE:Brazil Nut Effect)は、色々な種類のピーナッツを混ぜ合わせたピーナッツミックス缶を買って蓋を開けると、最も大きなブラジルナッツが常に一番上に乗っていることから名付けられたものであり、様々な大きさの粒子が混ぜ合わせられた粒物質を振って混ぜたとき、最後には最も大きな物体が表面の上に浮き上がる現象をいう。
【0026】
即ち、様々な大きさの粒子を有する混合物を垂直方向に振動させると、大きな粒度を有する粒子が表層方向に上昇し、大きな粒度を有する粒子の上昇に伴って発生する空き空間に小さな粒度を有する粒子が充填されて下部に移動して、垂直方向の偏積が発生してしまう。
【0027】
上述したようなブラジルナッツ効果(BNE)は、主として化学分野において大きさの異なる粒子を互いに分離するのに用いられる。本発明は、ブラジルナッツ効果(BNE)を用いて原料を搬送する際に、装入シュート上に於いて原料を振動させることにより、小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層させながら搬送する。
【0028】
以下、本発明の原料の装入装置及び装入方法に、ブラジルナッツ効果(BNE)を適用した場合について、各実施形態に基づいて詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態による原料の装入装置を概略的に示す図であり、図4は、本発明の実施形態による装入シュートを示す図である。
図3及び図4に示すように、本発明の実施形態による原料の装入装置は、装入された原料10を排出する原料供給部と、原料供給部から離隔され原料供給部から排出される原料10を貯留する貯留器と、原料供給部と貯留器との間において搬送経路を形成し、搬送経路上において移動する原料10の無次元加速度aが8以上の値を有するように形成された振動面を有する装入シュート50と、を備える。
【0029】
原料供給部は、原料ホッパー20及びドラムフィーダー30を備えていてもよい。原料ホッパー20は、微粉鉄鉱石、副原料、及び微粉コークスなどを配合した原料10を、ホッパーゲート40を経てドラムフィーダー30に供給し、ドラムフィーダー30は、回転しながら内部に供給された配合原料10を混合して装入シュート50に払い出す。
図3には、原料ホッパー20及びドラムフィーダー30を備える原料供給部が示されている。しかし、本発明の原料供給部は、上述したような構成に何等限定されるものではなく、原料10を払い出して装入シュート50に供給する様々な構成の原料供給部を網羅することはいうまでもない。
【0030】
装入シュート50は、原料供給部と貯留器との間において搬送経路を形成し、原料供給部から供給される原料10を搬送経路に沿って焼結台車80などの貯留器に搬送する。焼結台車80に原料10が装入されると、原料10は、表面を表面均し板60を用いて均され、点火炉70において点火される。吸引ブロワー(図示せず)による風箱から下部に吸引される空気により原料10内に含まれているコークスの燃焼により焼結反応が行われて、焼結鉱が製造される。
【0031】
装入シュート50は、搬送経路上において移動される原料10を振動させてブラジルナッツ効果(BNE)を生じさせる振動面を有する。搬送経路は、原料供給部から貯留器に向かって斜め下向きに形成されてもよく、振動面は、搬送経路に沿って高さの変化が周期的に形成された凸部52を備えていてもよい。
【0032】
また、装入シュート50は、一体型の傾斜板を有していてもよく、搬送経路に沿って配置される複数枚の分割型の傾斜板を備えていてもよい。この場合、凸部52は、図3及び図4に示すように、一体型又は複数枚の分割型の傾斜板の上部の表面に沿って突設された複数の突起により形成される面を有する。
【0033】
より具体的には、凸部52には、一体型又は分割型の傾斜板の上部の表面に沿って突設した複数の突起により振動面が形成される。このため、装入シュート50は、原料10の搬送中に、上部の表面に沿って突設した複数の突起により、搬送経路に垂直な方向に原料10を振動させ、このような振動により原料10を小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に装入シュート50上に積層させる。
【0034】
【数1】
(ここで、fは、振動周波数を示し、Aは、振幅を示し、gは、重力加速度を示す。)
【0035】
上記の数1は、ブラジルナッツ効果(BNE)を生じさせるための粒子の無次元加速度aの値を示す。数式1において、無次元加速度aの値が8以上になるように振動周波数f及び振幅Aを設定した場合に、混合物を構成する様々な大きさを有する粒子が、粒子の密度又は大きさの比に係わらずに大きな粒度を有する粒子が表層方向に上昇し小さな粒度を有する粒子が下部に下降するというブラジルナッツ効果(BNE)が生じる。
【0036】
これに対し、数1において、無次元加速度aの値が8よりも小さい場合には、逆偏積のブラジルナッツ効果(RBNE:Reverse Brazil Nut Effect)が生じる。逆偏積のブラジルナッツ効果(RBNE)とは、大きな粒度を有する粒子が下部に配置され、表層には小さな粒度を有する粒子が配置されることをいう。装入シュート50上においてこのような逆偏積のブラジルナッツ効果(RBNE)が生じた場合、原料10が排出される方向とは反対の方向に移動する焼結台車80には、大きな粒度を有する原料10から小さな粒度を有する原料10の順に積層して装入することが困難になり、その結果、通気性が低下してしまうという問題がある。
【0037】
このため、本発明の実施形態による装入シュート50の上部の表面52に形成される振動面の振動周波数f及び振幅Aは、上記の数式1において無次元加速度aの値が8以上になるように決定されなければならない。
振幅Aは、振動面に形成された凸部52の最高の高さHに比例する関係を有する。また、振動周波数fは、搬送経路の傾斜角θが大きくなるにつれて原料10の移動速度が大きくなるため搬送経路の傾斜角θに比例し、凸部52の波長λには反比例する関係を有する。ここで、装入シュート50の長さを増加させて原料10の移動速度を大きくしてもよいが、これは、設備を大幅に大きくすることを余儀なくされるが故に製作性及び制御性並びに経済性の側面からみて妥当ではない。
【0038】
このため、搬送経路上において移動する原料の無次元加速度aの値は、凸部52の最高の高さH、搬送経路の傾斜角θ及び凸部52の波長λの大きさを制御して決定してもよい。即ち、前記無次元加速度aは、上記の数式1、振幅Aと凸部52の最高の高さHの間の比例関係、振動周波数fと搬送経路の傾斜角θの間の比例関係及び振動周波数fと凸部52の波長λの反比例関係から計算可能である。
【0039】
このため、無次元加速度aが8以上の値を有するように、装入シュート50の振動面に形成される凸部52の最高の高さH、傾斜角θ、及び凸部の波長λからなる変数のうちの少なくともいずれか一つを制御して、原料10を搬送経路上において振動させながら移動させて、小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層しながら搬送することが可能になる。
【0040】
図3及び図4には、一体型の傾斜板の上部の表面に沿って搬送経路に垂直な方向に複数の突起を突設して原料10を振動させる例が示されているが、原料10の振動方向はこれに制限されない。例えば、重力の方向と同じ上下方向の振動を有するようにして原料10を振動させるなど、ブラジルナッツ効果(BNE)を生じさせるための様々な形状の装入シュート50が適用可能であることはいうまでもない。
【0041】
図5は、本発明の実施形態による搬送経路が曲線の軌跡で形成される装入シュートを示す図である。
図5に示すように、本発明の実施形態による装入シュートは、曲線の軌跡で形成されてもよく、装入シュートの搬送経路は、上部から下部に進むにつれて傾斜角θが小さくなるように形成されてもよい。
【0042】
上述したように、装入シュート50上において、原料10が小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層されると、原料10を焼結台車80に装入する過程において、焼結台車80は、原料10が離脱する方向の水平成分とは反対の方向に移動することになる。
【0043】
この結果、ウィリアムズの軌跡効果(Williams Trajectory Effect)により、大きな粒度を有する原料10の落下距離が増えて、まず、焼結台車80には大きな粒度を有する原料10が積もった後、その上部に小さな粒度を有する原料10が積もることになる。その結果、装入シュート50の下部から落下して離脱される原料10の移動方向は、水平成分を増やすことが焼結台車80への偏積の装入に効果的であるということが分かる。
【0044】
このため、装入シュート50の搬送経路を、上部から下部に進むにつれて傾斜角θが小さくなるように形成してもよい。即ち、装入シュート50の上部においては、振動周波数fの増加に伴い原料供給部から排出される原料10がブラジルナッツ効果(BNE)により装入シュート50上において小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層しながら搬送してもよい。また、装入シュート50の下部においては、離脱する原料10の移動方向の水平成分を増やしてウィリアムズの軌跡効果により焼結台車80内の焼結配合原料層における偏積度を高めることができる。なお、偏積度が高くなるにつれて粒子同士の間に広い空間が確保されるので通気性を向上させることができ、これにより、焼結鉱の生産性を大幅に向上させることができる。
【0045】
図6は、本発明の他の実施形態による原料の装入装置を概略的に示す図であり、図7は、本発明の他の実施形態による装入シュートを示す図である。図6及び図7に示すように、本発明の他の実施形態による原料の装入装置の装入シュート50は、複数のローラー54を有し、ローラー54は互いに並ぶように配置されて各ローラー54の表面に沿って凸部52を形成する。
【0046】
より具体的には、本発明の他の実施形態による原料の装入装置の装入シュート50は、互いに並ぶように配置された複数のローラー52の上部の表面により、搬送経路に沿って高さが周期的に変わる凸部52を形成する。即ち、複数のローラー54の上部の表面に沿って移動する原料10の搬送経路は、ローラー54の表面のうねりにより振動を伴う。このため、装入シュート50は、複数のローラー54の表面のうねりにより原料10を搬送経路に垂直な方向に振動させる。このような垂直方向の振動により原料10は、小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に装入シュート50上に積層されながら搬送される。
【0047】
装入シュート50は、搬送経路に沿って配置される複数のローラー54を有する場合であっても、前記数式1により表わされる無次元加速度aの値が8以上になるように振動面の振動周波数f及び振幅Aを決定することによって始めて、混合物を構成する様々な大きさを有する粒子の密度又は大きさ比を問わずにブラジルナッツ効果(BNE)を生じさせることができる。ここで、振幅Aは、振動面に形成された凸部52の最高の高さHに比例し、振動周波数fは、搬送経路の傾斜角θに比例し、凸部52の波長λに反比例する関係を有することは、上述した通りである。
【0048】
また、図8に示すように、本発明の他の実施形態による装入シュート50は、曲線の軌跡で形成されてもよく、装入シュート50の搬送経路は、上部から下部に進むにつれて傾斜角θが小さくなるように形成されてもよい。この場合、原料10は、装入シュート50の上部においては、ブラジルナッツ効果(BNE)により装入シュート50上において小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層されながら搬送されてもよく、装入シュート50の下部においては、上述したウィリアムズの軌跡効果により焼結台車80内の焼結配合原料層における偏積度を更に高めることが可能になる。
【0049】
しかしながら、上述したように、装入シュート50が搬送経路に沿って配置される複数のローラー54を有する場合、凸部52の最高の高さH及び波長λは、ローラーの直径D及び数により決定される。即ち、装入シュート50が搬送経路に沿って配置される複数のローラー54を有する場合、凸部52の最高の高さHはローラー54の半径に等しく、凸部52の波長λはローラー54の直径Dに等しい。
【0050】
図9は、基準となる重力加速度を9.81m/sとし、直線軌跡の搬送経路を有する装入シュート50の長さが1.5mであるという条件下で、搬送経路が40°、45°、及び50°の傾斜角を有する装入シュート50にそれぞれ組み込まれるローラー54の、直径Dに対する無次元加速度aの値の変化を示すグラフである。

【0051】
図9に示すように、搬送経路が40°の傾斜角を有する装入シュート50は、ローラー54の直径Dが約150mm以下になる範囲内においてブラジルナッツ効果(BNE)を生じさせる無次元加速度aの値が8以上になる。このとき、ローラー54は、原料10の搬送経路に沿って10以上が配置されて装入シュート50を構成する。これに対し、ローラー54の直径Dが約150mmを超える場合には、無次元加速度aの値は、8よりも小さくなって上述した逆偏積のブラジルナッツ効果(RBNE)が生じる。
【0052】
さらに、装入シュート50の傾斜角が40°から45°、50°に次第に大きくなるにつれて、装入シュート50上においてブラジルナッツ効果(BNE)又は逆偏積のブラジルナッツ効果(RBNE)が生じる基準である無次元加速度aの値が8となるローラー54の直径Dは、約150mmから次第に大きくなることを確認することができる。
【0053】
ここで、装入シュート50上におけるローラー54の表面のうねりに伴う運動量の減少を防ぎ、基準となる重力加速度により原料10をスムーズに搬送するとともに、装入シュート50の上部の表面に沿って有効な振動を発生させるために、装入シュート50の搬送経路は、40°〜50°の傾斜角を有していてもよい。また、この場合、装入シュート50に組み込まれるローラー54は、150mm以下の直径Dを有するものにしてもよい。これによって混合物を構成する様々な大きさを有する粒子を、密度又は大きさ比を問わずに装入シュート50上において小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に原料10を積層して搬送することが可能になる。
【0054】
図10は、本発明の実施形態による原料の装入方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態による原料の装入方法について詳細に説明する。原料の装入方法に関して、上述した原料の装入装置において説明した内容と重複する説明は省略する。
【0055】
図10に示すように、本発明の実施形態による原料の装入方法は、原料10を設ける過程(S100)と、原料10を装入シュート50に供給する過程(S200)と、装入シュート50の振動面に形成される凸部52の最高の高さH、傾斜角θ、及び凸部52の波長λからなる変数から選ばれる少なくともいずれか一つを制御して、原料10を搬送経路上において振動させて、小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層しながら搬送する過程(S300)と、搬送された原料10を貯留器に装入する過程(S400)と、を含む。
【0056】
原料10を設ける過程(S100)において、原料10は、例えば、製銑工程において用いられる焼結鉱を製造するのに用いられる焼結配合原料10であってもよい。しかしながら、本発明は、焼結工程に制限されるものではなく、高炉、コークスなど粒子からなる原料10の垂直偏積装入を必要とするあらゆる工程に適用可能であるということはいうまでもない。
【0057】
原料10を装入シュート50に供給する過程(S200)において、原料ホッパー20は、微粉鉄鉱石、副原料及び微粉コークスなどの配合原料10を、ホッパーゲート40を経てドラムフィーダー30に供給し、ドラムフィーダー30は、回転しながら内部に供給された配合原料10を混合して装入シュート50に払い出す。
【0058】
装入シュート50に供給された原料10を搬送経路に沿って振動させながら搬送する過程(S300)は、装入シュート50の振動面に形成される凸部52の最高の高さH、傾斜角θ及び凸部52の波長λからなる変数のうちの少なくともいずれか一つを制御して、原料10を、搬送経路上において振動させて小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層させながら搬送する。
【0059】
この場合、搬送経路上において移動される原料10の無次元加速度aは、上記の数式1、振幅Aと凸部52の最高の高さHとの間の比例関係、振動周波数fと搬送経路の傾斜角θの間の比例関係、及び振動周波数fと凸部52の波長λの間の反比例関係から計算される。このため、原料10は、上述したように、搬送経路上において移動される原料の無次元加速度aが8以上の値を有するように装入シュート50の振動面に形成される凸部52の最高の高さH、傾斜角θ及び凸部52の波長λからなる変数のうちの少なくともいずれか一つが制御され振動移動されて、小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に積層されながら搬送されることができる。
【0060】
上述したように、装入シュート50の振動面に形成される凸部52の最高の高さH、傾斜角θ又は凸部52の波長λからなる変数のうちの少なくともいずれか一つが制御され、装入シュート50上において小さな粒度を有するものから大きな粒度を有するものの順に偏積された原料10は、搬送された後、焼結台車80などの貯留器に装入(S400)される。
【0061】
このとき、焼結台車80は、装入シュート50から搬送された原料10が排出される方向の水平成分とは反対の方向に移動されてもよい。焼結台車80が原料10の排出方向とは反対の方向に移動されて原料10が装入されると、上述したように、ウィリアムズの軌跡効果により大きな粒度を有する原料10の落下距離が増えて、まず、焼結台車80には大きな粒度を有する原料10が積もった後、その上部に小さな粒度を有する原料10が積もることになる。
【0062】
この場合、ウィリアムズの軌跡効果により、大きな粒度を有する原料10の落下距離が増えて、 焼結台車80には、先ず大きな粒度を有する原料10が積もった後、その上部に小さな粒度を有する原料10が積もることになる。結局、装入シュート50の下部から落下して離脱する原料10の移動方向は、水平成分を増やすことが焼結台車80への偏積装入に効果的であることが分かる。このため、装入シュート50の搬送経路は、上部から下部に進むにつれて傾斜角θが小さくなるような曲線の軌跡で形成してもよい。
【0063】
上述した過程により、焼結台車80内の焼結配合原料層における偏積度を高めることが可能になり、偏積度が高くなるにつれて粒子同士の間に広い空間が確保されるので通気性を向上させることができ、これにより、焼結鉱の生産性を大幅に高めることができる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について特定の用語を用いて説明及び開示したが、このような用語は単に本発明を明確に説明するためのものに過ぎず、本発明の実施形態及び記述された用語は、次の請求範囲の技術的思想及び範囲から逸脱しない範囲内において種々の変更及び修正が加えられることは自明である。このようにして変形された実施形態は、本発明の思想及び範囲から個別的に理解されてはならず、本発明の請求範囲内に属するものと見なすべきである。
【符号の説明】
【0065】
10: 原料
20: 原料ホッパー
30: ドラムフィーダー
40: ホッパーゲート
50: 装入シュート
52: 凸部
54: ローラー
60: 表面均し板
70: 点火炉
80: 焼結台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10