【実施例】
【0059】
以下の非限定的な例によって本発明をさらに説明する。
【0060】
実施例1:化合物の発現および精製
表1に示す実施例1(化合物A)では、2つの第1のポリペプチド(化合物Aの「抗体HC−リンカー−scFv」)は配列番号3のアミノ酸配列を有し、2つの第2のポリペプチド(化合物Aの抗体のLC)は配列番号5のアミノ酸配列を有する。
【0061】
抗体部分のポリペプチド、scFv部分、および化合物Aの「抗体−リンカー−scFv」、ならびにそれをコードするヌクレオチド配列は、下記の「アミノ酸およびヌクレオチド配列」と題する項に記載している。
【0062】
化合物Aを含むが、これに限定されない本発明の化合物は、本質的に以下のとおり作製および精製される。適切な宿主細胞、例えばHEK293またはCHOは、所定の至適なHC−リンカー−scFv:LCベクター比(1:3または1:2など)またはHC−リンカー−scFvおよびLCの双方をコードする単一ベクター系を使用して、化合物を分泌させる発現系を用いて一過性または安定的いずれでもトランスフェクションされ得る。中に化合物が分泌されている清澄化した培地は、一般に使用されている数多くの技術のいずれを使用しても精製され得る。例えば、培地は、適合性のある緩衝液、例えばリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で平衡化されているFab断片用のMabSelectカラム(GE Healthcare)、またはKappaSelectカラム(GE Healthcare)に好都合に塗布され得る。カラムを洗浄して非特異的結合成分を除去してよい。結合した化合物は、例えばpH勾配によって(20mM Tris緩衝液pH7から10mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH3.0へ、またはリン酸緩衝食塩水pH7.4から100mMグリシン緩衝液pH3.0へというように)溶出させてよい。化合物画分を、例えばSDS−PAGEによって検出し、その後、プールしてよい。それ以降の精製は任意選択であり、意図する使用に依存する。一般的技術を使用して化合物を濃縮および/またはフィルター滅菌してよい。サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、マルチモード型クロマトグラフィー、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの一般的技術によって可溶性の凝集体および多量体を効果的に除去してよい。これらのクロマトグラフィーステップを行った後の化合物純度は95%超である。生成物を直ちに−70℃で凍結しても、または凍結乾燥させてもよい。
【0063】
【表1】
【0064】
アッセイ
結合動態、親和性、および選択性
本発明の化合物について、ヒトAng2およびヒトVEGFAに対する結合動態、親和性、および選択性を、Biacore(登録商標)2000、Biacore(登録商標)3000、もしくはBiacore(登録商標)T100(GE HealthCare)などの表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサーを使用するか、または代替として、Kinexa3000もしくはKinexa3200と連携した結合平衡除外アッセイ(Sapidyne Instruments)により、当技術分野で公知の方法にしたがって決定する。
【0065】
Biacore SPRを使用した親和性測定
本発明の化合物について、可溶性完全長のヒトAng2およびヒトVEGFAに対する動態および平衡解離定数(K
D)を、25℃にて、またはBiacore表面プラズモン共鳴アッセイ法を使用して決定する。ヒトAng2はR&D Systems(#623-AN-01M/CF)製であり、ヒトVEGFA165はR&D systems(#293-VE-001MG/CF)製、Peprotech(#00-20)製、または組換え発現法によって調製する。抗体捕捉用のタンパク質A表面を以下の方法を用いて準備する。可溶性タンパク質A(Calbiochem #539202)をCM4(GE Healthcare #BR-1005-34)またはCM5(GE Healthcare #BR-1000-99)上に固定化する準備を、EDC/NHSアミンカップリング方法(GE Healthcare #BR-1000-50)を使用して行う。手短に言えば、EDC/NHSの1:1混合物を10μL/分で7分間注入して、全4フローセルの表面を活性化させる。その後、可溶性タンパク質AをpH4.5の10mM酢酸緩衝液で50〜100μg/mLまで希釈し、フローセル(Fc)2、3または4上に流速10μL/分で7分間固定化する。エタノールアミンを10μL/分にて7分注入し、チップ表面に残っている未反応部位をブロッキングする。ランニング緩衝液は、100mM NaCl添加、HBS-EP+(GE Healthcare #BR-1006-69)である。化合物試料は、ランニング緩衝液に希釈して1μg/mLに調製する。2倍段階希釈を使用してランニング緩衝液に50nM〜1.56nMの範囲のヒトAng2またはヒトVEGFA165を調製する。各分析サイクルは5部に分かれ、すなわち、(1)別々のフローセル(Fc2、Fc3、およびFc4)上に化合物を捕捉させる、(2)個々の濃度のヒトAng2またはヒトVEGFA165の250μL(表面接触時間300秒)を全Fcに50μL/分で注入する(kinject使用)、(3)緩衝液流に20分間戻し、解離相を監視する、(4)pH1.5、10mMグリシンを10μL(接触時間30秒)注入してチップ表面の再生を行う、(5)HBS-EP+ランニング緩衝液15μL(接触時間45秒)を注入してチップ表面の平衡化を行う、という一連のステップで構成される。得られたデータを標準の二重参照を用いて処理し、Biacore 2000 Evaluationソフトウェア(バージョン4.1)を使用して1:1結合モデルに当てはめ、会合速度(k
on、M
−1s
−1単位)、解離速度(k
off、s
−1単位)を決定する。平衡解離定数(K
D)を、関係K
D=k
off/k
onから計算し、モル単位で表す。
【0066】
本質的に本アッセイに記載のように実施した実験では、化合物Aの抗VEGFA親抗体はヒトVEGFA165に対し13.2pMのK
Dを示す。化合物Aのうち、抗VEGFA親抗体と、Ang2 Mab由来のHCVRおよびLCVRで構成されるC末端重鎖scFvとを併せ持つMab−scFv融合体は、83.2pMのK
Dを示す(表2)。Biacore SPRを25℃で使用して評価した化合物AのヒトAng2に対する結合親和性(K
D)は136pMである(表3)。
【0067】
表2:25℃でのBiacore SPRによるhVEGFA165
【表2】
【0068】
解離速度が遅すぎて正確に定量化できないため、表2に表される値はレポート親和性の上限である。
【0069】
表3:25℃でのBiacore SPRによるhAng2
【表3】
【0070】
KinExA KEAを用いた親和性測定
KinExA 3200装置を使用してヒトVEGFA165に対する結合動態を測定する。手短に言えば、NHS活性化させたsepharoseビーズ(GE Healthcare #17-0906-01)にヒトVEGFA165を共有結合で結合させ、複合体化したビーズに対する遊離Mabの結合をKinExA 3200で検出する。K
Dを測定するため、固定濃度(典型的に1〜5pM)の化合物を含有する個々のチューブを、段階希釈で徐々に濃度を低くしながらヒトVEGFA165と混合し、Casein Blocking Buffer(ThermoFisher #37528)中で25℃または37℃にて(分析温度に応じて)、24時間以上プレインキュベートする。プレインキュベーションで定常的な平衡状態に達した後、各試料を、以下の5ステップからなる分析サイクル、すなわち、1)小カラムのVEGFA165結合ビーズをキャピラリの所定の高さまで充填し、2)個々のヒトVEGFA165/化合物混合物のそれぞれの定義された容量を定義された時間カラムに注入し、3)適切な蛍光標識抗体(すなわち、CY5標識した抗ヒトFcガンマ特異的抗体:Jackson Immunoresearch #309-175-008)の定義された容量をカラムに注入し、4)カラムを1×PBSで洗浄して過剰の検出抗体および非特異的に結合した物質を除去し、5)特異的に結合した物質の検出を、結合二次抗体に励起し、その後の発信を監視して測定する、というサイクルに供する。これらのステップの発生シグナルの相対強度は、各被験溶液中に存在する遊離/未結合化合物の程度に比例する。混成セットとして得られた蛍光強度を、各個別試料に存在するヒトVEGFA165濃度の関数としてプロットし、N曲線分析ソフトウェア(KinExA)を使用して標準的2状態結合モデル(two state binding model)に当てはめ、所与のMOIに対するK
Dを決定する。統計的信頼性は、95%信頼区間の算出によりレポートされる。
【0071】
本質的に記載の通り実施した実験では、化合物Aの37℃での結合は84pM(表4)、また化合物Aの25℃での結合は26.6pM(表5)であった。
【0072】
表4:37℃でのKinExA KEAによるhVEGFA165
【表4】
【0073】
表5:25℃でのKinExA KEAによるhVEGFA165
【表5】
【0074】
固相Elisa法による、ヒトAng2とヒトTie2との相互作用の阻害
本発明の化合物による、ヒトAng2とその受容体のヒトTie2との結合遮断を固相インビトロELISA法で測定する。細胞を用いるインビトロアッセイを使用して、本発明の化合物と、かかる化合物のscFvポリペプチド部分と同一のHCDR配列およびLCDR配列を有するAng2抗体との間の比較可能な遮断活性を確立した。
【0075】
このアッセイでは、高結合96ウェルELISAプレート(Costar #2592)を、4μg/ml(100μl中)の組換えヒトTie2−Fc(R&D Systems #313-TI)で室温にて一晩コーティングする。プレートを、TBST(0.05%Tween20含有Tris緩衝生理食塩水)で3回洗浄し、その後、ウェルあたり300μlのブロッキング緩衝液を用いて(0.5%BSA/D−PBS)(BSA:Jackson ImmunoResearch #001-000-162製;IgG不含、プロテアーゼ不含)室温にて1〜2時間振盪機にかけてブロッキングする。ブロッキングステップの間、別々のポリプロピレン製マルチウェルプレートに、75μlずつ2連の被験化合物(ブロッキング緩衝液で1:3に段階希釈)を、75μlずつ2連のビオチン化ヒトAng2(R&D Systems #BT623)(ブロッキング緩衝液で希釈)とともに加える。その後、化合物/ビオチン化Ang2混合物を37℃で1時間インキュベートする(最終ビオチン化Ang2濃度は100ng/mlであった)。Tie2−FcでコーティングしたELISAプレートからブロッキング溶液を除去し、その後、ウェルあたり50μlの化合物/ビオチン化Ang2混合物を加える(2連ウェル)。その後、プレートをプレートシーラーで覆って振盪機で室温にて2時間インキュベートする。その後、プレートを3回洗浄してから、ブロッキング緩衝液で1:200に希釈したストレプトアビジン−HRP(R&D Systems #DY998)をウェルあたり100μl加える。次いで、プレートをプレートシーラーで覆って振盪機で室温にて35分インキュベートする。その後、プレートをさらに3回洗浄する。
【0076】
ウェルあたり100μlのOne Component TMB基質(Surmodics/BioFX Labs #TMBW-1000-01)を加え、室温まで温め、プレートを反応させる。反応を室温で10分間進行させ、プレートをアルミホイルで覆う。ウェルあたり100μlの反応停止液(Surmodics/BioFX Labs #LSTP-1000-01)で反応を停止させる。プレートを振盪機で混合した後、ELISAマイクロプレートリーダー(Molecular Devices SpectraMax 190)でSOFTmax PRO 5.4.1ソフトウェア(Molecular Devices Corp.)を使用してプレートの450nMの値を読み取る。A450値は、Tie−2−Fcに結合したままのビオチン化Ang2の量を示す。A450値の減少は、Tie−2−Fcに対するビオチン化Ang2の結合がブロッキングされていることを示す。
【0077】
SigmaPlot 9.0の「Pharmacology」メニューの「Standard Curves Analysis」機能を使用して、Tie−2に対するAng2結合の阻害についてIC50値を計算する。4パラメータ・ロジスティックフィット(logistic fit)を使用して曲線を当てはめる(Hillslope方法)。
【0078】
本質的に本アッセイに記載の通り実施した実験では、化合物Aおよび化合物AのAng2親抗体はそれぞれ、幾何平均IC50値(n=1)が0.118nMおよび0.087nMとなる。化合物Aは、ヒトTie−2に対するヒトAng2の結合を用量依存的に遮断し、Ang2親抗体の場合に匹敵する。このデータは、化合物AのAng2 scFvポリペプチド部分は、本アッセイでは、親Ang2抗体に匹敵する効力があることを示している。
【0079】
Ang1介在性リン酸化ではなくAng2介在性Tie2リン酸化を無効化する.
細胞を用いるインビトロでの本発明化合物によるヒトAng2の阻害を、Ang1およびAng2が結合してヒトTie2リン酸化が用量依存的に誘導される細胞系アッセイで測定する。細胞を用いるインビトロアッセイを使用して、本発明の化合物が、用量依存的にAng1介在性ではなくAng2介在性のTie−2受容体のリン酸化を選択的に無効化する能力を評価する。Ang2抗体、Ang2/Ang1抗体、および対照ヒトIgG4 PAAアイソタイプ抗体をそれぞれ、陽性対照および陰性対照として含めた。
【0080】
完全長ヒトTie2受容体(C末端に3X FLAGタグを有する)の安定トランスフェクションによりCHO−Tie2細胞株を作製する。CHO−Tie2細胞を、Hams F−12(CellGro/Mediatech #10-080-CV)、10%熱非働化処理FBS(Life Technologies/Invitrogen #10082-147)、1×抗生物質−抗真菌剤(Life Technologies/Invitrogen #15240-062)、1.25mg/ml G418(Corning Cellgro #30-234-CI)、10μg/mlピューロマイシン(Calbiochem #540411)、および0.078%炭酸水素ナトリウム(Thermo Hyclone #SH30033.01)の完全培地に維持する。
【0081】
このアッセイでは、CHO−Tie2細胞を、ウェルあたり10,000細胞(増殖培地100μl中)で、ポリ−リシンでコーティングした96ウェルプレート(BD Biocoat #356640)の内側60のウェル内に再懸濁させる。200μlのD−PBSは、エッジウェル内に入れて蒸発を抑制する。細胞を37℃、95%RH、5%CO
2で一晩インキュベートする。翌日、細胞を1回洗浄し、0.1%BSAを含有する無血清増殖培地100μl(Sigma #A7979、低エンドトキシン)で培地を交換する。その後、細胞を、無血清培地中で37℃、95%RH、5%CO
2にて7〜24時間飢餓させる。飢餓期間中、化合物(最終濃度6倍)を、0.1%BSAを含有する無血清増殖培地でポリプロピレン製プレート内に1:2に段階希釈する。ヒトAng2(R&D Systems #623-AN、D−PBS/0.1%BSA中で再調製)およびヒトAng1(R&D Systems #923-AN、D−PBS/0.1%BSA中で再調製)も、0.1%BSAを含有する無血清増殖培地で最終濃度の6倍まで希釈する。その後、被験化合物およびAng2リガンドもしくはAng1リガンドをポリプロピレン製プレート内で1:1比(v/v)で混合し、37℃で60〜80分インキュベートする。その後、化合物/リガンド混合物を、ウェルあたり50μlで細胞に加え(1処理につき3連ウェルで行う)、37℃、95%RH、5%CO
2にて13分〜21時間インキュベートする。化合物の最終濃度範囲は0.125〜383nM、ならびにヒトAng2およびAng1の最終濃度はそれぞれ0.3μg/ml(約6nM)および0.5μg/ml(約8.9nM)である。インキュベーション時間経過後、細胞から培地を迅速かつ完全に除去し、添加したばかりのプロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤(1×プロテアーゼ阻害剤カクテル、Sigma #P8340;1×ホスファターゼ阻害剤カクテル2、Sigma #P5726;1×ホスファターゼ阻害剤カクテル3、Sigma #P0044;1mM最終活性化オルトバナジン酸ナトリウムEMD Chemicals #567540)を含有する冷1×Tris溶解バッファー(Meso Scale Discovery #R60TX;150mM NaCl、20mM Tris pH7.5、1mM EDTA、1mM EGTA、1%Triton X−100)60μl/ウェルに細胞を溶解させる。その後、プレートを氷上に10分間置いた後、4℃にて低速で25分振盪機にかけてよい。その後、プレートを密封し−80℃で凍結させる。
【0082】
リン酸−Tie2分析(R&D Systems製ヒトリン酸−Tie2 DuoSet ELISAキット(#DYC2720)を用いる)の前日、高結合ELISAプレート(Greiner BioOne, #655081)を、4μg/mlマウス抗ヒトTie2捕捉全抗体を含有する1×ELISAコーティングバッファー(Surmodics/BioFX Labs #COAT-1000-01)で4℃にて一晩コーティングする。
【0083】
リン酸−Tie2測定の当日、溶解物が含有されたプレートを氷上で融解させる。コーティングされたELISAプレートを洗浄用緩衝液(0.05%Tween20を含有する1×TBST)で洗浄し、ウェルあたり300μlのブロッキング緩衝液(1%BSA(Jackson ImmunoResearch #001-000-162;IgG不含、プロテアーゼ不含)、0.01%アジ化ナトリウム)を用いて室温で少なくとも1時間振盪機にかけて(プレートシーラーで覆う)ブロッキングする。ブロッキング中、ポリプロピレン製プレート内に、プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を含有している冷溶解バッファーで溶解物を1:5または1:10に希釈する。ELISAプレートを4回洗浄し、希釈溶解物またはリン酸−Tie2ELISA標準液100μl/ウェルを加え、シーラーで覆い、室温で2時間振盪機にかけてインキュベートする。プレートを4回洗浄し、HRP結合マウス抗チロシンリン酸化抗体(TBST/0.1%BSA中に、バイアルに記載の推奨通りに希釈)をウェルあたり100μl加える。その後、プレートをシーラーで覆って室温にて2時間、振盪機にかけてインキュベートしてよい。その後、プレートを6回洗浄し、ウェルから液体を確実に除去する。プレートを、その後、ウェルあたり100μlのOne Component TMB基質(Surmodics/BioFX Labs #TMBW-1000-01)を加えることによって作製する。プレートをアルミホイルで覆って室温で30分反応させる。ウェルあたり100μlの反応停止液(Surmodics/BioFX Labs #LSTP-1000-01)で反応を停止させる。その後、プレートを振盪機で混合する。ELISAマイクロプレートリーダー(Molecular Devices SpectraMax 190)でSOFTmax PRO 5.4.1ソフトウェア(Molecular Devices Corp.)を使用してプレートの450nMの値を読み取る。標準曲線(4パラメータ・ロジスティックフィット(logistic fit))から試料のリン酸−Tie2値を取得し、それに希釈倍率5または10を掛ける。
【0084】
Ang2誘導によるリン酸−Tie2阻害のIC50値を、対数変換したXの値を使用してGraphPad Prism4で計算する。非線形回帰(曲線フィッティング)分析(シグモイド型用量−反応、可変傾斜)を対数変換したデータに対して実施し、IC
50値を得る。
【0085】
本質的に本アッセイに記載の通り実施した実験では、化合物Aは、CHO−Tie2細胞においてヒトAng2誘導によるリン酸−Tie2を用量依存的に無効化し、IC50は0.87nM(n=1)であり、一方Ang2親抗体の方はIC50は1.01nMである。結果から、陽性対照のAng2/Ang1抗体と比較した場合、化合物Aは、CHO−Tie−2細胞においてAng2誘導によるリン酸−Tie2は無効化するが、ヒトAng1誘導によるリン酸−Tie2は無効化しないことが示される。さらに、このデータは、化合物AのAng2 scFvポリペプチド部分は親Ang2抗体に匹敵する効力を本アッセイで維持したことを示している。
【0086】
ヒトVEGFA誘導によるヒトVEGFR2リン酸化を無効化する
VEGFR2発現細胞株上でVEGFA165がVEGFR2に結合すると、VEGFR2のリン酸化が用量依存的に誘導される細胞系アッセイにおいて、細胞を用いたインビトロでのヒトVEGFA阻害を測定する。アッセイを使用して、本発明の化合物が、用量依存的にVEGFR2受容体のVEGFA介在性リン酸化を選択的に無効化する能力を評価する。VEGFA抗体と、無関係の抗体であるヒトIgG4 PAAアイソタイプとをそれぞれ、陽性対照および陰性対照として含めた。
【0087】
アッセイでは、VEGFR2を発現しているヒトECFC(内皮コロニー形成細胞、臍帯血内皮前駆細胞由来)(Endgenitor Technologies、ロット100506-14-P4、8〜10回継代)を、コラーゲンIコーティング96ウェルプレート(BD Biocoat #35-4407)の内側60のウェル内の増殖培地:EGM-2MV BulletKit(Lonza #CC-4147)にウェルあたり14,000細胞(100μl増殖培地中)で播種する。EGM-2MV Singlequotバッグに含まれている成分を500mlのEBM−2基本培地に加え、最終FBS濃度を10%(Life Technologies/Invitrogen #10082-147、熱非働化処理済み)に調整してよい。250μlの増殖培地は、エッジウェル内に入れて蒸発を抑制する。細胞を、ONで37℃、95%RH、5%CO
2にてインキュベートする。翌日、培地を除去し、0.1%BSA(Sigma #A7979、低エンドトキシン)を含有している無血清EBM−2基本培地100μlを用いて交換する。細胞を、6.5時間37℃、95%RH、5%CO
2にて飢餓させる。飢餓期間中、化合物(最終濃度6倍)をポリプロピレン製プレート内にEBM−2/0.1%BSAで1:4に段階希釈する。ヒトVEGFA165をEBM−2/0.1%BSAで最終濃度の6倍に希釈する。その後、化合物およびVEGFA165をポリプロピレン製プレートで1:1比(v/v)で混合し、37℃で1時間インキュベートする。次いで、化合物/VEGFA165混合物を、ウェルあたり50μlで細胞に加え(1処理につき3連ウェルで行う)、37℃、95%RH、5%CO
2にて5分間インキュベートする。(化合物の最終濃度範囲は0.018〜300nMであり、ヒトVEGFA165の最終濃度は0.16nMである)。培地を細胞から除去し、添加したばかりの1×プロテアーゼおよびホスファターゼ両阻害剤(リン酸−VEGFR2アッセイキットに同梱)を含有している冷1×Tris溶解バッファー(Meso Scale Discovery #R60TX;150mM NaCl、20mM Tris pH7.5、1mM EDTA、1mM EGTA、1%Triton X−100)60μl/ウェルに細胞を溶解させる。プレートを氷上に10分間置いてから4℃にて低速で20分振盪機にかける。その後、プレートを密封し−80℃で凍結させる。
【0088】
リン酸−VEGFR2測定の当日、溶解物が含有されたプレートを氷上で融解させる。リン酸−VEGFR2(Tyr1054)全細胞溶解物キット(Meso Scale Discovery #K151DJD)を使用してリン酸−VEGFR2レベルを測定する。リン酸−VEGFR2に対する抗体でプレコーティングされたMeso Scaleアッセイプレートを、ウェルあたり150μlのブロッキング緩衝液(3%ブロッカーA含有TBST)を用いて室温にて少なくとも1時間、振盪機(プレートシーラーで覆う)にかけてブロッキングする。プレートを1×Meso Scale洗浄用緩衝液で3回洗浄し、ウェルあたり50μlの溶解物を加える(シーラーで覆い、室温で1時間振盪機にかけてインキュベートする)。プレートを3回洗浄し、ウェルあたり25μlの1×MSD SULFO-TAG(商標)結合抗トータルVEGFR2(製造者推奨の抗体希釈剤で希釈)を加え、シーラーで覆い、室温で1時間振盪機にかけてインキュベートする。プレートを3回洗浄し、ウェルから液体を除去する。ウェルあたり150μlの1×Read Buffer Tをプレートに加え、Meso Scale Discovery SECTOR Imager MA6000で直ちに読み取る。
【0089】
VEGFA165誘導によるリン酸−VEGFR2阻害のIC50値を、対数変換したXの値を使用してGraphPad Prism4で計算する。非線形回帰(曲線フィッティング)分析(シグモイド型用量−反応、可変傾斜)を対数変換したデータに対して実施しIC50値を得る。実験を1回以上実施した場合は、実験間の幾何平均IC50値を計算する。
【0090】
本質的に本アッセイに記載の通り実施した実験では、化合物AはIC50値が0.252nM(n=2)であり、これはVEGFA親抗体のIC50値0.194nM(n=2)に匹敵する。結果は、化合物AのVEGFA抗体部分は効力を維持したことを示している。また、結果から、化合物Aは、IC50が0.290nMであるベバシズマブ(Myoderm Medical Supply(ペンシルバニア州ノリスタウン)から購入)に匹敵するVEGFA165無効化活性を有することがわかる。
【0091】
VEGFA誘導による細胞増殖を無効化する.
本発明の化合物による、細胞を用いたインビトロでのヒトVEGFA阻害を、VEGFA165が用量依存的に増殖を誘導する細胞系アッセイで測定した。本発明の化合物がヒトVEGFA165誘導による増殖を無効化する能力を、ヒトECFC(内皮コロニー形成細胞、臍帯血内皮前駆細胞由来)で測定した。VEGFA抗体と、無関係のヒトIgG4 PAA抗体とを、陽性対照および陰性対照として含めた。
【0092】
ヒトECFC(Endgenitor Technologies、ロット100506-14-P4)を、コラーゲンでコーティングしたフラスコに入れたEGM-2MV BulletKit(Lonza #CC-4147)に維持する。EGM-2MV Singlequotバッグに含まれている成分を、500mlのEBM−2基本培地に加え、最終FBS濃度を10%に調整する(Life Technologies/Invitrogen #10082-147、熱非働化処理済み)。
【0093】
アッセイでは、継代7〜12代目のECFCを予め加温した細胞播種培地内で2回洗浄し、コラーゲンIでコーティングした96ウェルプレート(BD Biocoat #35-4407)の内側60のウェルに、細胞播種培地150μl/ウェルあたり4,200細胞で播種する。250μlの測定用希釈液は、エッジウェル内に入れて蒸発を抑制する。細胞播種培地は、3.3%FBS(Life Technologies/Invitrogen #10082-147、熱非働化処理済み)を含有する、アール塩を用いたMedium 199(M199)(Life Technologies/Invitrogen #11150-059)、10mM HEPES(Thermo Scientific/HyClone #SH30237.01)および1×ペニシリン−ストレプトマイシン(Thermo Scientific/HyClone #SV30010)で構成される。測定用希釈液は、無血清M199/HEPES/ペニシリン−ストレプトマイシンで構成され、0.1%BSA(Sigma #A7979、低エンドトキシン)を含有する。細胞は、処理前に37℃、95%RH、5%CO
2にて60〜90分インキュベートする。化合物およびヒトVEGFA165を、測定用希釈液で最終濃度の8倍希釈をする。化合物を、測定用希釈液でポリプロピレン製プレート内に1:4で段階希釈する。その後、化合物およびVEGFA165を、ポリプロピレン製プレートで1:1比(v/v)で混合し、37℃で1〜3時間インキュベートする。次いで、化合物/VEGFA165混合物を、1処理につき3連で用意したウェルに50μl/ウェルで細胞に加え、37℃、95%RH、5%CO
2にて計3日間インキュベートする。化合物の最終濃度範囲は0.049〜800nMであり、ヒトVEGFA165の最終濃度は0.16〜0.5nMである。
【0094】
インキュベーション期間終了の2日前、細胞を、10μl(1μCi)のメチル−
3Hチミジン(Perkin Elmer #NET027005MC、6.7Ci/mmol;1mCi/mlストックをPBSで1:10に希釈)でパルスする。インキュベーション期間終了時、プレートを−80℃で凍結させた後、37℃で1〜2時間融解させる。その後、細胞を蒸留水で96ウェルガラス線維フィルタープレート(Perkin Elmer UniFilter, GF/C, #6005174)に回収する。フィルタープレートを風乾後、ウェルあたり20μlシンチラント(MicroScint 0、Perkin Elmer #6013611)を入れ、取り込ませた
3HチミジンをPerkin Elmer-Packard TopCountマイクロプレートシンチレーションカウンターで計数する。
【0095】
VEGFA165誘導による増殖の阻害のIC
50値を、対数変換したXの値を使用して、GraphPad Prism4で計算する。培地単独の値を曲線の最高点として含め、培地単独のX値(濃度)を最高X値より100倍高く設定する。また、VEGFA単独の値を曲線の最低点として含め、VEGFA単独の濃度を最低値よりも100倍低く設定する。非線形回帰(曲線フィッティング)分析(シグモイド型用量−反応、可変傾斜)を対数変換したデータに対して実施し、IC50値を得る。実験を1回以上実施した場合は、実験間の幾何平均IC50値を計算する。
【0096】
本質的に本アッセイに記載の通り実施した実験では、化合物Aは、ヒトVEGFA165誘導性のECFC増殖を、親VEGFA抗体およびベバシズマブ(n=2〜3回実験)双方と同様のレベルまで用量依存的に無効化し、IC50値はそれぞれ1.18nM、1.38nMおよび2.68nMである。
【0097】
酸素誘発性網膜症モデルにおける病理学的血管新生の抑制.
インビボにおけるVEGFA−Ang2二重特異性分子、例えば化合物Aによる病理学的血管新生の抑制を、マウス網膜の酸素誘発性網膜症モデルで測定する。アッセイを使用して、本発明の化合物が、マウス網膜の病理学的血管新生を抑制する能力を試験する。
【0098】
このアッセイでは、妊娠雌マウスの仔マウス出産日をP0(Postnatal day 0:生後0日)とする。出産後、7日目(P7)に仔マウスを75%酸素のチャンバーに入れる。P12に、仔マウスを室内空気(20%酸素)に戻し、比較可能な分子モル量を維持するために、ビヒクル対照(PBS)または10mg/kgのAng2もしくはVEGFA抗体または13.5mg/kgの被験化合物を注射する。P15に、仔マウスに同一用量で2回目の注射をする。P17に、マウスを屠殺して眼を回収し、ホルマリンに5時間固定してからPBSで洗浄する。
【0099】
その後、網膜を切除し、1:200に希釈した抗CD31(BD Pharmingen;クローンMEC 13.3;#553370)、および1:200に希釈した抗SMA−FTIC(Sigma; Clone1A4 #F3777)で染色する。抗CD31処理した網膜には、1:400に希釈した抗ラットAlexa-647抗体(Jackson Immuno Research; #712-606-153)を二次抗体として使用する。Nikon Tiを使用して網膜を取得し、病理学的血液内皮細胞構造を包囲している領域、すなわち、全網膜の糸球体微小血管増殖(GMP)の定量をFIJIソフトウェアを使用して実施する。共焦点Nikon A1を使用して高倍率画像を取得する。
【0100】
本質的に本アッセイに記載の通り実施した実験では、化合物A、および親Ang2抗体と親VEGFA抗体との併用処置では、全網膜のGMP領域は同程度に抑制され、平均(%)はそれぞれ、17.20%(標準誤差3.853)および14.10%(標準誤差3.822)であり、p=0.9778である。さらに、化合物Aは、親Ang2抗体処置または親VEGFA抗体処置を単独で行った場合よりも全網膜のGMP領域の高い抑制を示し、平均(%)はそれぞれ、83.03%(標準誤差4.542)、p<0.0001、および40.14%(標準誤差2.189)、p=0.029を示す。これらの結果は、化合物Aは、Ang2抗体とVEGFA抗体の併用処置と同等な機能および効力を維持しただけではなく、各薬剤単体の場合と比較して優れた処置効果も有することを示している。
【0101】
表6
【表6】
【0102】
VEGFA誘導性の索状形成の阻害
インビトロにおけるVEGFA誘導性の索状形成の阻害をインビトロ共培養系で測定する。アッセイを使用して、本発明の化合物によるVEGFA誘導性の索状形成の阻害を測定する。
【0103】
このアッセイでは、脂肪由来幹細胞(ADSC;Lonza #PT5006、ロット#OF4505-01)を、Corning製培養フラスコ(Corning #431082)でEGM−2MV培地(Lonza #CC3202)に入れて培養する。内皮コロニー形成細胞(ECFC;Lonza、ロット#EGT-ECFC100506r)を、コラーゲンIでコーティングしたフラスコ(BD Biosciences #356486)で、5%熱非働化処理FBS(Gibco #10082-147)を添加したEGM−2MV培地に入れて培養する。継代4〜6代目のADSCを培養フラスコから回収し、DPBS(Hyclone #SH30028.03)ですすいだ後、TrypLE Express(Gibco #12605-010)で処理する。ADSC細胞をBasal Medium(10μg/mlインスリン、1μMデキサメタゾン、30μg/mlアスコルビン酸、10μg/mlヒトトランスフェリンおよび50μg/mlトブラマイシンを添加したMCDC-131(Gibco #10372-019))に懸濁させる。生細胞数を測定し、細胞を黒クリアボトム96ウェルプレート(BD Falcon #353219)のBasal Medium100μl中にウェルあたり4×10
4細胞を播種する。細胞が接着するよう、5%CO
2で37℃にて一晩インキュベートする。翌日、継代7〜10代目のECFCを上記のようにBasal Mediumに回収し、生細胞数を4×10
4細胞/mlに調整する。ADSC細胞から培地を除去し、100μlのECFC細胞懸濁液を各ウェルに加える。細胞がADSC単層上に沈殿するよう、プレートを5%CO
2で37℃にて2〜3時間インキュベートする。本発明の化合物を、Basal Mediumに80μg/mlとなるよう希釈した後、Basal Mediumを用いて1:3に段階希釈し、9点測定用量反応系列を作成する。各希釈度の化合物50μlを共培養に加える。Basal Mediumに調製したrhVEGFA(R&D #293-VE/CF、DPBS中50μg/ml)の80ng/ml溶液の50μlを、共培養と化合物とを合わせたものに加える。化合物およびrhVEGFAの最終濃度はそれぞれ、20μg/mlおよび20ng/mlである。アッセイの陽性対照は化合物を存在させない20ng/mlのrhVEGFAである。アッセイの陰性対照はrhVEGFAを含まないBasal Mediumである。その後、索状が形成するよう、プレートを5%CO
2で37℃にて3日間インキュベートする。
【0104】
インキュベーション期間終了時、各ウェルから培地を吸引し、室温の80%エタノール100μlを慎重に加える。プレートを室温で20分間インキュベートする。エタノール溶液を吸引し、ウェルを150μlのDPBSで2回洗浄する。抗huCD31(R&D #AF806、アフィニティー精製ヒツジIgG、200ug/ml)およびMAB Anti-Actin、alpha-Smooth Muscle-Cy3(Sigma #C6198)それぞれを、2.5%FBS/DPBSで1:250に希釈する。抗体混合物100μlをウェルに加え、プレートを5%CO
2で37℃にて2時間インキュベートする。その後、プレートを吸引し、ウェルを150μlのDPBSで2回洗浄する。Alexa Fluor 488ロバ抗ヒツジIgG(H+L)(Life Technologies #A11015)を1:400に希釈し、Hoescht 33342(Life Technologies #H3570)を2.5%FBS/DPBSで1:1000に希釈して、プレートにウェルあたり100μlを加える。プレートを遮光し室温で30分間インキュベートする。その後、ウェルを150μlのDPBSで2回洗浄する。150μlのDPBSを各ウェルに加え、プレートを黒粘着シール(PerkinElmer #6050173)で密封する。
【0105】
ArrayScan VTI HCS Reader(Cellomics-Thermo Fisher)でTubeFormation Bio-applicationを使用してプレートを読み取る。GraphPad Prism 6で全Tube Area(管腔領域)データをnM単位の化合物濃度に対してプロットする。化合物濃度を対数データに変換し、阻害のIC
50値を非線形回帰(シグモイド型用量−反応、可変傾斜)によって計算する。各実験は、3連の平均値を表しており、3連実験は、幾何平均および95%信頼区間の計算値で表される。
【0106】
本質的に本アッセイに記載の通り実施した実験では、化合物Aは、ADSC/ECFC共培養系において、ベバシズマブおよび親VEGFA抗体と同程度にヒトVEGFA誘導性の索状形成を用量依存的に抑制し、平均IC
50はそれぞれ、1.680nM、1.578nMおよび1.570nMである(n=3)。これにより、細胞を用いた本アッセイにおいて、化合物AのVEGFA抗体部分が親VEGFA抗体に匹敵する効力を維持したことが示される。
【0107】
化合物Aはインビボでの腫瘍増殖を抑制する
本発明の化合物の有効性をインビボ異種移植モデルにより測定する。親VEGFA抗体、化合物A、およびその併用の抗腫瘍効果を、トリプルネガティブ患者由来の乳癌皮下移植モデル(EL1997)および卵巣異種移植皮下モデル(SKOV3x.1)で評価する。腫瘍担持マウスを、PBSで希釈した化合物を週2回腹腔内注射して処置する。処置期間中、週2回、腫瘍容量の三次元カリパス測定を行って腫瘍増殖を決定する。
【0108】
トリプルネガティブ乳癌患者由来異種移植片EL1997:トリプルネガティブ乳癌患者由来の異種移植片EL1997(TNBC PDX)を容量約350mm
3担持する免疫不全マウスを、マウス7匹/群で無作為化し、それらをビヒクル対照、親VEGFA抗体20mg/kg、親Ang2抗体20mg/kg、または用量26.7mg/kgの抗体Aで処置する。処置剤を週2回、4週間連続で投与する。
【0109】
本質的に記載の通り実施した実験では、親VEGFA抗体および親Ang2抗体による各処置群はそれぞれ、12%および56.7%の%T/C(腫瘍容量の変化)を示す。化合物Aは、親VEGFA抗体と比較した場合の%退縮は−15.4%、p=0.0151という結果になる。これらの結果から、化合物Aは、親VEGFA抗体または親Ang2抗体いずれか単剤による処置よりも有効性が高いことが示される。
【0110】
卵巣異種移植片SKOV3x.1:卵巣異種移植片SKOV3x.1を容量約250mm
3担持する免疫不全マウスを、マウス10匹/群で無作為化し、それらをビヒクル対照、親VEGFA抗体10mg/kg、親Ang2抗体10mg/kg、親VEGFA抗体と親Ang2抗体10mg/kgずつの配合剤、または13.3mg/kg(抗体10mg/kgと等モル)の化合物Aで処置する。処置剤は、週2回、4週間投与してよい。
【0111】
本質的に記載の通り実施した実験では、親VEGFA抗体および親Ang2抗体の各単剤処置療法では、%T/Cはそれぞれ、9.6%および38.5%となる。親VEGFA抗体と親Ang2抗体の配合剤または化合物Aでは、腫瘍退縮はそれぞれ−8.1%および−2.7%という結果になる。これらの結果から、異種移植モデルでは、化合物Aは、親VEGFA抗体または親Ang2抗体の単剤よりも有効性が高い可能性があることが示される。
アミノ酸およびヌクレオチド配列
配列番号1(抗体のHCVR−化合物A)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDPSDSSSWYFAFDIWGQGTTVTVSS
配列番号2(抗体のHC−化合物A)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDPSDSSSWYFAFDIWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
配列番号3(抗体のHC/リンカー/scFvポリペプチド−化合物A)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDPSDSSSWYFAFDIWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYSFTDYNMVWVRQAPGQCLEWMGYIDPYNGGTGYNQKFEGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARTRDRYDVWYFDVWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCKASQDVYIAVAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRDTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCHQYSSYPPTFGCGTKVEIK
配列番号4(抗体のLCVR−化合物A)
DIVMTQSPATLSVSPGQRATLSCRASQNIRNNLAWYQQKRGQAPRLLIYGASTRATGIPDRFSGSGSGADFTLTISKLEPEDFAVYYCQQYGSSPRTFGQGTKVDIK
配列番号5(抗体のLC−化合物A)
DIVMTQSPATLSVSPGQRATLSCRASQNIRNNLAWYQQKRGQAPRLLIYGASTRATGIPDRFSGSGSGADFTLTISKLEPEDFAVYYCQQYGSSPRTFGQGTKVDIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号6(scFvポリペプチド−化合物A)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYSFTDYNMVWVRQAPGQCLEWMGYIDPYNGGTGYNQKFEGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARTRDRYDVWYFDVWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCKASQDVYIAVAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRDTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCHQYSSYPPTFGCGTKVEIK
配列番号7(scFvポリペプチドのHCVR−化合物A)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYSFTDYNMVWVRQAPGQCLEWMGYIDPYNGGTGYNQKFEGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARTRDRYDVWYFDVWGQGTLVTVSS
配列番号8(scFvポリペプチドのLCVR−化合物A)
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCKASQDVYIAVAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRDTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCHQYSSYPPTFGCGTKVEIK
配列番号9(抗体重鎖/リンカー/scFvポリペプチド−化合物AのDNA)
GAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGCAGCTATGCCATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCAGCTATTAGTGGTAGTGGTGGTAGCACATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCAAGAGATCCCTCGGATAGCAGCAGCTGGTACTTTGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCTACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTGGCGGAGGCTCCGGGGGAGGGGGTAGCGGAGGAGGGGGATCCCAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGTTACTCATTCACTGACTACAACATGGTGTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAATGCCTTGAGTGGATGGGATATATTGATCCTTACAATGGTGGTACTGGCTACAACCAGAAGTTCGAGGGCAGAGTCACCATGACCACAGACACATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAACGAGGGATAGGTACGACGTCTGGTACTTCGATGTCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGGAGGCGGAGGTTCCGGGGGAGGGGGCAGCGGAGGAGGCGGATCGGGCGGAGGAGGAAGTGGAGGCGGAGGATCTGACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCTTCCGTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGTAAGGCCAGTCAGGATGTGTATATTGCTGTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATTGGGCATCCACCCGGGACACTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTACTATTGTCACCAATATAGCAGCTATCCTCCTACGTTCGGCTGCGGGACCAAGGTGGAGATCAAA
配列番号10(抗体軽鎖−化合物AのDNA)
GATATTGTGATGACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGCAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAAAATATTAGGAATAACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACGTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCGTCCACTCGGGCCACAGGTATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGGCGGACTTCACTCTCACCATCAGCAAACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAATATGGTAGCTCACCTCGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAAGTGGATATCAAAAGAACTGTGGCGGCGCCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCCGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号11(ヒトVEGFA165)
APMAEGGGQNHHEVVKFMDVYQRSYCHPIETLVDIFQEYPDEIEYIFKPSCVPLMRCGGCCNDEGLECVPTEESNITMQIMRIKPHQGQHIGEMSFLQHNKCECRPKKDRARQENPCGPCSERRKHLFVQDPQTCKCSCKNTDSRCKARQLELNERTCRCDKPRR
配列番号12(ヒトAng2)
YNNFRKSMDSIGKKQYQVQHGSCSYTFLLPEMDNCRSSSSPYVSNAVQRDAPLEYDDSVQRLQVLENIMENNTQWLMKLENYIQDNMKKEMVEIQQNAVQNQTAVMIEIGTNLLNQTAEQTRKLTDVEAQVLNQTTRLELQLLEHSLSTNKLEKQILDQTSEINKLQDKNSFLEKKVLAMEDKHIIQLQSIKEEKDQLQVLVSKQNSIIEELEKKIVTATVNNSVLQKQQHDLMETVNNLLTMMSTSNSAKDPTVAKEEQISFRDCAEVFKSGHTTNGIYTLTFPNSTEEIKAYCDMEAGGGGWTIIQRREDGSVDFQRTWKEYKVGFGNPSGEYWLGNEFVSQLTNQQRYVLKIHLKDWEGNEAYSLYEHFYLSSEELNYRIHLKGLTGTAGKISSISQPGNDFSTKDGDNDKCICKCSQMLTGGWWFDACGPSNLNGMYYPQRQNTNKFNGIKWYYWKGSGYSLKATTMMIRPADF
配列番号13
GGGGSGGGGS
配列番号14
GGGGSGGGGSGGGGS
配列番号15
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
配列番号16
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
配列番号17
GGGSGGGGSGGGGS
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
2つの単鎖可変領域(scFv)ポリペプチドに対し2つのリンカーにより融合している抗体を含む化合物であって、
a)前記抗体は、同一重鎖(HC)2本および同一軽鎖(LC)2本を含み、ここで、各重鎖は、アミノ酸配列が配列番号1に示される重鎖可変領域(HCVR)を含み、各軽鎖は、アミノ酸配列が配列番号4に示される軽鎖可変領域(LCVR)を含み、
b)前記2つのscFvポリペプチドは同一であり、それぞれが、LCVRに機能的に結合したHCVRを含み、ここで、各HCVRは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有し、各LCVRは、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有し、かつ
c)前記2つのリンカーは、グリシンに富む同一リンカーであり、それぞれが、前記抗体の1本のHCのカルボキシ末端と、前記scFvポリペプチドの一方のアミノ末端とを機能的に結合する、前記化合物。
[2]
前記2つのscFvポリペプチドは、それぞれが、1つのscFvポリペプチドのLCVRのアミノ末端に機能的に結合した1つのscFvポリペプチドのHCVRのカルボキシ末端を含む、[1]に記載の化合物。
[3]
前記抗体は、重鎖(HC)を2本および軽鎖(LC)を2本含み、各HCは配列番号2のうちの1つに示されるアミノ酸配列を有し、各LCは配列番号5のうちの1つに示されるアミノ酸配列を有する、[1]または[2]に記載の化合物。
[4]
各scFvポリペプチドは、配列番号6に示される同一アミノ酸配列を有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の化合物。
[5]
2つの第1のポリペプチドおよび2つの第2のポリペプチドを含む化合物であって、前記第1のポリペプチドの各々は配列番号3のアミノ酸配列を有し、前記第2のポリペプチドの各々は配列番号5のアミノ酸配列を有する、前記化合物。
[6]
前記第1のポリペプチドの各々は前記第2のポリペプチドの各々と鎖間ジスルフィド結合を形成し、前記第1のポリペプチドは、もう一方の第1のポリペプチドと2つの鎖間ジスルフィド結合を形成し、かつ前記第1のポリペプチドの各々は7つの鎖内ジスルフィド結合を形成する、[5]に記載の化合物。
[7]
配列番号3に示される第1のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、配列番号5に示される第2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列とを含むDNA分子を含む哺乳類の細胞であって、前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとを含む化合物を発現する能力がある、前記哺乳類細胞。
[8]
配列番号3に示される2つの第1のポリペプチドおよび配列番号5に示される2つの第2のポリペプチドを含む化合物を作製するプロセスであって、前記化合物が発現するような条件下で[7]に記載の哺乳類細胞を培養すること、および前記発現した化合物を回収することを含む、前記プロセス。
[9]
[8]に記載のプロセスによって得ることができる、化合物。
[10]
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物、および許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、医薬組成物。
[11]
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、癌を治療する方法。
[12]
前記癌は、乳癌、肺癌、卵巣癌、胃癌、大腸癌、または肝細胞癌である、[11]に記載の方法。
[13]
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、増殖性網膜症を治療する方法。
[14]
前記増殖性網膜症は、糖尿病網膜症、または未熟児網膜症である、[13]に記載の方法。
[15]
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、眼内血管新生性疾患を治療する方法。
[16]
前記眼内血管新生性疾患は、血管新生緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、角膜血管新生、角膜移植片血管新生、角膜移植片拒絶、網膜/脈絡膜血管新生、隅角の血管新生(ルベオーシス)、眼内血管新生性疾患、血管再狭窄、または動静脈奇形(AVM)である、[15]に記載の方法。
[17]
治療で使用するための、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物。
[18]
癌の治療で使用するための、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物。
[19]
前記癌は、乳癌、肺癌、卵巣癌、胃癌、大腸癌、または肝細胞癌である、[18]の使用のための化合物。
[20]
増殖性網膜症の治療で使用するための、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物。
[21]
前記増殖性網膜症は、糖尿病網膜症、または未熟児網膜症である、[20]の使用のための化合物。
[22]
眼内血管新生性疾患の治療で使用するための、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の化合物。
[23]
前記眼内血管新生性疾患は、血管新生緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、角膜血管新生、角膜移植片血管新生、角膜移植片拒絶、網膜/脈絡膜血管新生、隅角の血管新生(ルベオーシス)、眼内血管新生性疾患、血管再狭窄、または動静脈奇形(AVM)である、[22]の使用のための化合物。