【実施例】
【0021】
本発明の実施例のスピーカ装置1を、
図1を参照して説明する。
【0022】
図1に本発明のスピーカ用振動板の一例を備えたスピーカ装置のモデル断面図を示す。
【0023】
スピーカ装置1は、スピーカ用振動板8、センターキャップ9、エッジ6、フレーム11、ダンパ7、ボイスコイル5、ボイスコイル支持部2、ヨーク12、磁石3、および、プレート4を備え、プレート4とヨーク12との間には磁気ギャップ10が形成されている。
【0024】
これらのうち、ヨーク12、磁石3、プレート4、および、磁気ギャップ10は磁気回路を構成している。
【0025】
磁気ギャップ10には所定の長さの導線が巻回されて形成されるボイスコイル5が配置される。このボイスコイル5には外部から音声信号が入力される。ボイスコイル5は、筒状のボイスコイル支持部2により接続される。またボイスコイル支持部2はダンパ7を介してフレーム11に接続され、その軸方向(図中上下方向)に前後動できるようになっている。このボイスコイル支持部2の上端部はスピーカ用振動板(本発明のスピーカ用振動板の一例)8の内周部と接続されている。さらにスピーカ用振動板8の内周部の上方(音響放射側)には、センターキャップ9が設けられている。
【0026】
スピーカ用振動板8は、スピーカ用振動板8の外周とフレーム11とを接続するエッジ6を介してフレーム11に接続されている。このスピーカ用振動板8の曲げ剛性はエッジ6の曲げ剛性よりも高く、このために、適切な音響特性を得ることが可能となっている。
【0027】
このスピーカ用振動板8のモデル断面図を
図2に示す。この例では、繊維21aが互いに絡み合って形成された繊維交絡体21と、繊維交絡体21の表面に形成された樹脂膜25と、を備え、樹脂膜25が、樹脂26と、複数の球体23と、複数の多面体24と、を備えている。そして、この例では多面体24は、多面体24aと、多面体24aとは形状の異なる、樹脂膜25内に散らばった多面体24bと、樹脂膜25内に散らばった無機フィラー22と、を有する。なお、樹脂膜25には孔27が複数、形成されている。この孔27は、繊維交絡体21の表面又は内部にある孔とつながっている。
【0028】
図2では2つの球体23間の隙間に多面体24aおよび24bが部分的に入り込んでいる状態が示されている。また、多面体24aと多面体24bの間の隙間に球体23が部分的に入り込んでいる状態が示されている。なお、図示の例に限らず、多面体24a、24aの間の隙間に球体23が部分的に入り込んでいても構わない。
【0029】
球体23は、繊維交絡体21の表面又は内部にある孔を形成する2以上の繊維21a同士の間に入り込んでいてもよく、球体23が繊維21a同士の間に入り込んでいることで、繊維交絡体21の孔が球体23でふさがれ、高い防水性をスピーカ用振動板に付与できる。また、球体23として、中空のものを用いることで、スピーカ用振動板の軽量化を図れる。なお、繊維交絡体21の表面又は内部の孔は、球体23だけでなく、球体23及び樹脂26とでふさがれていても構わない。
【0030】
このような球体23は無機材料または有機材料により構成されているものとすることができる。ここで球体23を構成する無機材料としては、ガラス、各種セラミックス等が挙げられ、また、無機球体としては、ガラスビーズ(シラスバルーンを含む。)が知られている。一方、有機材料としては各種の一般的な樹脂が挙げられ、このうち、後述する樹脂膜25を構成する樹脂との接着性の良好なもの、例えば樹脂膜25を構成する樹脂がアクリル系樹脂(アクリルウレタン系樹脂を含む)の場合にはアクリル系樹脂製ビーズ等、を選択することが好ましい。
【0031】
球体23の大きさとしては平均直径が60μm以上80μm以下のものであると、上記のように繊維交絡体の表面の孔を塞ぐまたは孔内に埋没し、スピーカ用振動板の透気度を向上させ、防水性を向上させることができる。ここで球体23の平均直径は、複数の球体をスピーカ用振動板の正面から拡大観察して計測した値の平均値である。
【0032】
球体23は、球、楕円体など、閉じた曲面を表面として有するものをいい、球の形を変形させた表面を有するものも含まれる。
【0033】
一方、多面体24を樹脂膜は有する。
【0034】
多面体24はガラス等の無機材料又は樹脂等の有機材料で形成されている。多面体24は、粉体として、樹脂膜25内に複数散らばっている。なお、後述する無機フィラーを多面体24として用いても構わない。
【0035】
多面体24は、繊維交絡体21の表面又は内部にある孔を形成する2以上の繊維21a同士の間に入り込んでいてもよく、多面体24が繊維21a同士の間に入り込んでいることで、繊維交絡体21の孔が多面体24でふさがれ、高い防水性をスピーカ用振動板に付与できる。なお、繊維交絡体21の表面又は内部の孔は、多面体24だけでなく、多面体24と樹脂26とでふさがれていてもよく、多面体24と球体23と樹脂26とでふさがれていても構わない。
【0036】
また、多面体24が樹脂膜25内に散らばっているので、スピーカ用振動板8の表面に凹凸が形成されて、撥水性が発現される。
【0037】
多面体の大きさとしては、その平均直径(それぞれ粉体に外接する球の平均直径。球体の平均直径と同様に測定。)が60μm以上80μm以下のものであると、繊維交絡体の表面の孔を塞ぐまたは孔内に埋没し、スピーカ用振動板の透気度を向上させ、防水性を向上できる。ここで多面体の平均の最大長は、複数の多面体を正面から観察して計測した値の平均値である。
【0038】
上記多面体が、三角形、台形および五角形のうち少なくともいずれかの面を有することが、より高い防水性を付与することが可能となるので好ましい。すなわち、三角形、台形および五角形のうち少なくともいずれかの面を有する場合、多角体を構成する隣り合う2つの面の境界部、および、その付近が、上述した球体同士の間に容易に入り込むことができ、そのとき、球体同士の間からのスピーカ用振動板8内への水の染み込みをより防止することが可能となる。
【0039】
図3にこのような、三角形、台形および五角形のうち少なくともいずれかの面を有する多面体の粉体の例のモデル斜視図を示した。
【0040】
図3(a)には、
図2でその断面が示されている、三角柱形状の例24aを示した。また、
図3(b)には
図3(a)に示された例24aに、図中下方に延長する延長部32を設けた例を示した。
図3(a)に示された例24aは三角形の面30を、
図3(b)に示された例は五角形の面33を、それぞれ有している。なお、各辺の長さはこれら例には限定されず、より長くても、あるいは、より短くてもよい(以下同様。)。
【0041】
上記の三角柱形状の例24aではその2つ三角形の面30同士が平行であるのに対し、
図3(c)には、2つの三角形の面30同士が平行となっていない形状の一例を示した。また、
図3(d)には
図3(c)に示された例を図中下方に延長する延長部32を設けた例を示す。
図3(c)に示された例は三角形の面30と台形の面31とを、
図3(d)に示された例は台形の面31と五角形の面33とを有する。
【0042】
図3(e)には、2つの三角形の面30同士が平行となっていない、他の例を示した。また、
図3(f)には
図3(e)の例を図中下方に延長する延長部32を設けた例24b(
図2にその断面が示されている。)を示す。これらの例は共に、三角形の面30と台形の面31とを有する。
【0043】
図3(g)には、
図3(e)に示された例を、その底面に平行な面34で切断し、上の部分35を削除した形状の例を示した。また、
図3(h)には
図3(g)に示された例を図中下方に延長する延長部32を設けた例を示す。これらの例は共に、台形の面31を有する。
【0044】
上記で図を示したように、本発明で用いる多面体は、さまざまな角度で切断した断面の中に、
図2に示したように三角形か五角形の断面を有するものであることが好ましい。
【0045】
このように、スピーカ用振動板の樹脂膜が上記のような球体や多面体を有することで、これら球体や多面体の脱落によるスピーカ用振動板の防水性の低下を防止できる。
【0046】
本発明のスピーカ用振動板において、その樹脂膜25が多面体24とは異なる材料で形成された無機フィラーを有することで、ヤング率と内部損失とのバランスが優れたスピーカ用振動板とすることができる。このような無機フィラーとしては、マイカ、二酸化ケイ素で形成された粉体、酸化チタンで形成された粉体、アルミニウムで形成された粉体等、あるいは、ガラス繊維、炭素繊維、等の繊維が挙げられる。
。
【0047】
また、無機フィラーを樹脂膜25が備えることで、球体23、多面体24、無機フィラーが互いに接触してこすれ合うことで摩擦が生じ、この摩擦によりスピーカ用振動板8内を伝搬する不要な振動を減衰させ、スピーカ用振動板8の内部損失が向上する。一方、樹脂膜25が、無機フィラーを備えることで、樹脂膜25のヤング率が大きくなり、スピーカ用振動板8のヤング率が向上する。以上により、より良好なヤング率と内部損失とのバランスが取れたスピーカ用振動板8を提供することができる。また、球体23、多面体24、無機フィラーが繊維交絡体21の表面又は内部に形成された孔を部分的にふさぐことにより、樹脂膜25を形成する塗布液が繊維交絡体21の内部又は裏面にまで浸透することを低減できる。また、球体23、多面体24、無機フィラーが繊維交絡体21の表面又は内部に形成された孔を塞ぐことにより、スピーカ用振動板8に使用する樹脂の量を低減でき、スピーカ用振動板8を軽量化することができる。
【0048】
なお、アルミニウムで形成した粉体、および、マイカを樹脂膜25内に散ばせることにより、スピーカ用振動板をスピーカ装置に組み込んだときの美観を向上させることが可能となる。
【0049】
樹脂膜25を構成する樹脂としては、ウレタン系、アクリルウレタン系などが挙げられ、このうち、塗布液の粘度が比較的高いスプレー塗装が可能となるウレタン系の樹脂やアクリルウレタン系の樹脂を用いることが好ましい。
【0050】
ここで、繊維交絡体21を形成する繊維としては、サルファイトパルプやクラフトパルプなどの木材パルプ繊維、竹やワラ等の非木材パルプ繊維、レーヨン、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル等で構成される化学繊維や合成繊維、絹や羊毛などの動物繊維、マニラ麻や綿などの植物繊維、グラファイトなどで構成される有機繊維、シリコンカーバイト等で構成される無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維)、玄武岩等で構成される鉱物繊維などが挙げられる。ここでの天然繊維として、木材パルプ繊維、非木材パルプ繊維、植物繊維、動物繊維などが挙げられる。
【0051】
ここで繊維交絡体21を形成する繊維の繊維長さ(平均長さ)が2mm以上6mm以下であることが好ましい。繊維長が短すぎると繊維交絡体21の密度、面密度の何れかが小さくなり、空隙率が大きくなり、繊維交絡体21の表面の孔のサイズが大きくなる。孔のサイズが大きくなると、球体、多面体の粉体、無機フィラー、アルミニウム粉等が孔を塞ぐ、または、埋没しにくくなる。このため、繊維交絡体21の表面に形成される樹脂膜に比較的大きなサイズの孔が多数形成され、スピーカ用振動板8の透気度が低下し、防水性が低下してしまう。一方、繊維長が長い場合には、繊維交絡体21のヤング率が大きくなるので、スピーカ用振動板8のヤング率が大きくなってしまう。これにより、スピーカ用振動板8の内部損失が低下してしまう場合があり、スピーカ用振動板8のヤング率と内部損失のバランスを確保しにくくなる。
【0052】
スピーカ用振動板8に使用する繊維交絡体21は、抄造法で得られる繊維交絡体、ニードルパンチ法、ウォータージェット法、フラッシュ紡糸法などの方法で得られる繊維交絡体(例:不織布)が挙げられる。ホウ素を有するポリビニルアルコール系樹脂などの水又は熱水に対して不溶性を有するポリビニルアルコール系繊維(合成繊維)は、繊維(天然繊維など)を接着する繊維であっても構わない。
【0053】
本発明のスピーカ用振動板8は、例えば、スピーカ用振動板で用いられる繊維交絡体21の防水性を付与することが求められる面、例えば、音響放射側面に対して、樹脂膜25を構成する樹脂が溶解された溶剤、に、複数の球体23と、複数の多面体24と、さらに必要に応じて無機フィラー等と、を分散させた塗布液を塗布し、その後、必要に応じて熱風乾燥機等の乾燥手段を用いて溶剤を蒸発させる、あるいは、さらに樹脂に架橋等の化学変化を起こさせることで作製することができる。塗布方法としては、ロールによる塗布、スプレー塗布などが挙げられるが、スプレー塗布によると、樹脂膜25に複数の孔が形成されやすくなり、また、繊維交絡体21の内部への樹脂の染み込みを少なくすることが可能となるので好ましい。
【0054】
なお、樹脂膜25は、ロールによる塗布、スプレー塗布等の塗布によって形成された塗布膜であることが好ましい。塗布膜であると、表面に凹凸を有する繊維交絡体に沿った形状となり、その表面にも微細な凹凸が形成されるので、高い撥水性をスピーカ用振動板に付与することができる。また、この樹脂膜25の表面の凹凸により、離型性が付与されるので、スピーカ用振動板を複数重ねて保管した場合でも、1つのスピーカ用振動板を容易に取り出すことができる。
【0055】
また、樹脂膜25には複数の孔が形成されていることが好ましい。その孔の大きさは10μm〜50μm程度であることが好ましく、上記のように球体23や多面体24のサイズを60〜80μm程度としたときに、孔よりも球体23や多面体24のサイズは大きく、孔をふさぐのに十分な大きさを有する。樹脂膜25の孔は繊維交絡体21の孔とながっているため、樹脂膜25の孔のサイズを繊維交絡体21の表面又は内部にある孔のサイドとすれば、球体23や多面体24のサイズは樹脂膜25の孔よりも小さく、繊維交絡体21の孔をふさぐのに十分な大きさである。なお、無機フィラーを併用する場合にはこれらによりで孔がふさがれていてもよい。なお、樹脂膜25は繊維交絡体21の表面全体を覆うように形成しても構わない。また、樹脂膜25は繊維交絡体21の繊維に接着している。なお、樹脂膜25の樹脂が繊維交絡体21の表面にのみ存在するように形成することが好ましく、樹脂が繊維交絡体21の内部に染み込む場合には、その染み込み深さが繊維交絡体21の厚さより小さいことが好ましい。染み込み深さが例えば繊維交絡体の厚さに等しければ、繊維交絡体のヤング率が大きる一方で内部損失が低下し、適切な音響特性が得られない場合がある。
【0056】
スピーカ用振動板8の裏面は、繊維交絡体21を形成する複数の繊維のみで形成されている。樹脂膜25は繊維交絡体21の表面、又は繊維交絡体21の内部にあってもよいが、スピーカ用振動板8の裏面は繊維交絡体21が有する複数の繊維のみで形成されている。繊維交絡体の裏面が複数の繊維で形成されていることで内部損失を向上させることができる。このため、スピーカ用振動板8のヤング率や内部損失のバランスを確保し、スピーカ装置の良好な音響特性を得ることができる。
【0057】
また、スピーカ用振動板8の裏面を複数の繊維のみで形成することで、樹脂膜25を形成する塗布液が繊維交絡体の裏面にまで浸透したかを確認できる。この確認により、繊維交絡体内に浸透した樹脂の量の低減を図ることができる。
【0058】
繊維交絡体、および、樹脂膜の形成に際して、最終的に得られるスピーカ用振動板の透気抵抗度としては、JIS P 8117:2009−01(ガーレ試験機法)に準拠して測定する。スピーカ用振動板の透気度の値は、150秒から210秒の範囲にあることが好ましい。具体的に実測した透気度の値として、繊維交絡体の透気度の値は約174秒であり、繊維交絡体の表面に樹脂膜が形成されたスピーカ用振動板の透気度の値は約200秒であった。なお、透気度の測定は誤差が含まれており、例えば±6秒である。スピーカ用振動板の透気抵抗度がこの範囲にあると、比較的高い防水性を有するスピーカ用振動板を提供することができる。
【0059】
このようにして得られるスピーカ用振動板は、フィルムを繊維交絡体の表面に貼ることなく、高い防水性を備えることが可能となるが、従来のスピーカ用振動板と同様に、フレームと、振動板と、ボイスコイルと、磁気回路と、ともに、スピーカ装置を構成することができ、このようなスピーカ装置は、自動車等の移動体の、雨などの水に接する可能性がある部分、例えばドアなどに好適に用いることができる。
【0060】
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のスピーカ用振動板、スピーカ装置、および、移動体は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
【0061】
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のスピーカ用振動板、スピーカ装置、および、移動体を適宜改変することができる。このような改変によってもなお、本発明のスピーカ用振動板、スピーカ装置、および、移動体の構成を具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
【0062】
以下、本発明のスピーカ用振動板の具体例について説明する。
【0063】
スピーカ用振動板を構成する繊維交絡体21は厚さが約6mmで、透気抵抗度は174秒、平均繊維長(JIS P8226−2006に準拠して測定。)が3.5mmの、NUKP(針葉樹を原料とした未晒パルプ。)を叩解度が20°SR(JIS P8121−1:2012に準拠。)となるように叩解処理された繊維により、コーン形状に抄紙され、その後、200℃、0.3MPaで加熱、加圧して形成されたものである。このようにして得た繊維交絡体の音響放射面の断面を
図4(a)に示す。
【0064】
一方、樹脂膜の樹脂としてウレタン系樹脂を用いた。
【0065】
また、球体は中空ビーズであり、その大きさの分布は60〜80μm程度である。一方、複数の多面体は、その大きさの分布は60〜80μmである。
【0066】
上述の樹脂を溶剤に溶解させた塗布液に、その他の球体、多面体、無機フィラー、アルミニウム粉を分散させて、繊維交絡体の表面(音響放射側の面)に、最終的な樹脂膜の厚さが約1μmとなるようにスプレー塗布し、乾燥させた。
【0067】
このようにして得たスピーカ用振動板について、スピーカ用振動板の断面写真を
図4(a)にその樹脂膜の表面の拡大写真を
図4(b)に、そして、拡大率を大きくした写真を
図4(c)に、それぞれ示す。
【0068】
図4(a)には、繊維交絡体と、繊維交絡体の表面にある樹脂膜の存在を確認することができる。スピーカ用振動板の表面から439μmの深さに至る領域では、繊維交絡体内の空隙は少なく、繊維交絡体内空隙率が比較的小さいことが分かる。一方、439μmの深さからスピーカ用振動板の裏面に至る深さ202μmに至る領域では、繊維交絡体内の空隙は多くなり、繊維交絡体内の空隙率は比較的大きいことがわかる。なお、推測だが、樹脂膜は繊維交絡体の表面にのみあり、繊維交絡体の裏面まで到達していないと思われる。また繊維交絡体の内部には樹脂膜の樹脂は浸透していない、或いは少量の樹脂が繊維交絡体の内部に浸透していると思われる。
【0069】
一方、
図4(a)、(b)、(c)の写真では、樹脂膜が複数の孔を有することが理解される(
図4(c)の写真の左上部分に孔、及び、その孔を通して繊維交絡体を構成している繊維が観察される。)。