特許第6446582号(P6446582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446582
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】セルスタック装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2484 20160101AFI20181217BHJP
   H01M 8/2485 20160101ALI20181217BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20181217BHJP
【FI】
   H01M8/2484
   H01M8/2485
   !H01M8/12 101
   !H01M8/12 102C
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-95368(P2018-95368)
(22)【出願日】2018年5月17日
(65)【公開番号】特開2018-206760(P2018-206760A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年5月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-107772(P2017-107772)
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 玄太
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕己
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−049148(JP,A)
【文献】 特許第6124984(JP,B1)
【文献】 特許第6114372(JP,B1)
【文献】 特許第6124983(JP,B1)
【文献】 特開2004−063355(JP,A)
【文献】 特開2007−179757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/2484
H01M 8/2485
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入孔が形成されたマニホールド本体、及び前記マニホールド本体内に配置される支持部材、を有するマニホールドと、
前記挿入孔に下端部が挿入され、前記支持部材上に載置される燃料電池セルと、
前記燃料電池セルの下端部と前記マニホールド本体とを接合する接合材と、
を備え、
前記支持部材は、前記燃料電池セルを下方から支持するように構成され、
前記マニホールド本体は、定格運転時において前記マニホールド本体と前記支持部材との熱膨張の差によって生じる熱応力によって変形する変形可能部を有し、
前記マニホールド本体は、
上方または下方が開口する箱状部材と、
前記開口を塞ぐ板状部材と、
を有し、
前記箱状部材は、
複数の平板部と、
前記平板部を連結する角部と、
を有し、
前記角部の厚さは、前記平板部の厚さよりも小さい、
セルスタック装置。
【請求項2】
前記マニホールド本体は、前記支持部材よりも板厚が薄い側壁を有し、
前記側壁は、前記変形可能部を構成する、
請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項3】
前記マニホールド本体は、底壁と、前記底壁から上方に延びる側壁と、前記側壁の上端部から外方に延びる第1フランジ部と、前記第1フランジ部に接合される上壁と、を有し、
前記側壁と前記第1フランジ部との境界部は、R形状となっており、前記変形可能部を構成する、
請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項4】
前記マニホールド本体は、上壁と、前記上壁から下方に延びる側壁と、前記側壁の下端部から外方に延びる第2フランジ部と、前記第2フランジ部に接合される底壁と、を有し、
前記側壁と前記第2フランジ部との境界部は、R形状となっており、前記変形可能部を構成する、
請求項に記載のセルスタック装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記燃料電池セルの下面を支持する、
請求項1から4のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項6】
前記支持部材及び前記マニホールド本体は、互いに同じ材料によって構成される、
請求項1から5のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項7】
前記支持部材及び前記マニホールド本体は、ステンレス鋼製である、
請求項1から6のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項8】
前記マニホールド本体は、台座に配置され、
前記マニホールド本体は、当該マニホールド本体の底壁に取り付けられ且つ前記台座に接する複数の突起部を有し、
前記突起部は、前記底壁を構成する材料と異なる材料で構成されている、
請求項1からのいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項9】
挿入孔が形成されたマニホールド本体、及び前記マニホールド本体内に配置される支持部材、を有するマニホールドと、
前記挿入孔に下端部が挿入され、前記支持部材上に載置される燃料電池セルと、
前記燃料電池セルの下端部と前記マニホールド本体とを接合する接合材と、
を備え、
前記支持部材は、前記燃料電池セルを下方から支持するように構成され、
前記マニホールド本体は、定格運転時において前記マニホールド本体と前記支持部材との熱膨張の差によって生じる熱応力によって変形する変形可能部を有し、
前記マニホールド本体は、上壁と、前記上壁から下方に延びる側壁と、前記側壁の下端部から外方に延びる第2フランジ部と、前記第2フランジ部に接合される底壁と、を有し、
前記側壁と前記第2フランジ部との境界部は、R形状となっており、前記変形可能部を構成する、
セルスタック装置。
【請求項10】
挿入孔が形成されたマニホールド本体、及び前記マニホールド本体内に配置される支持部材、を有するマニホールドと、
前記挿入孔に下端部が挿入され、前記支持部材上に載置される燃料電池セルと、
前記燃料電池セルの下端部と前記マニホールド本体とを接合する接合材と、
を備え、
前記支持部材は、前記燃料電池セルを下方から支持するように構成され、
前記マニホールド本体は、定格運転時において前記マニホールド本体と前記支持部材との熱膨張の差によって生じる熱応力によって変形する変形可能部を有し、
前記マニホールド本体は、台座に配置され、
前記マニホールド本体は、当該マニホールド本体の底壁に取り付けられ且つ前記台座に接する複数の突起部を有し、
前記突起部は、前記底壁を構成する材料と異なる材料で構成されている、
セルスタック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルスタック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルスタック装置は、マニホールドと、複数の燃料電池セルとを備えている(特許文献1)。各燃料電池セルは、マニホールドから上方に延びるように、マニホールドに支持されている。詳細には、マニホールドの上壁に形成された貫通孔内に燃料電池セルの下端部が挿入されており、燃料電池セルの下端部と上壁とが接合材によって接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−164094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような構成のセルスタック装置において、接合材にクラックが発生することは好ましくない。そこで、本発明の課題は、接合材におけるクラックを抑制できるセルスタック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある側面に係るセルスタック装置は、マニホールドと、燃料電池セルと、接合材と、を備えている。マニホールドは、マニホールド本体と、支持部材とを有している。マニホールド本体は、挿入孔が形成されている。支持部材は、マニホールド本体内に配置されている。燃料電池セルは、挿入孔に下端部が挿入されている。接合材は、燃料電池セルの下端部とマニホールド本体とを接合する。支持部材は、燃料電池セルを下方から支持するように構成されている。マニホールド本体は、定格運転時においてマニホールド本体と支持部材との熱膨張の差によって生じる熱応力によって変形する変形可能部を有する。
【0006】
このように、本発明に係るセルスタック装置は、マニホールド本体の内部に支持部材を配置し、この支持部材によって燃料電池セルを下方から支持する構成となっている。このセルスタック装置は定格運転時において高温となるため、温度分布によってマニホールド本体よりも支持部材の方が熱膨張することがある。この熱膨張の差によって支持部材とマニホールド本体との間にある接合材に熱応力が生じるため、接合材にクラックが発生するおそれがある。
【0007】
しかし、本発明に係るセルスタック装置では、マニホールド本体が変形可能部を有しているため、支持部材とマニホールド本体との熱膨張の差に起因する熱応力を、変形可能部によって吸収することができる。この結果、接合材に掛かる熱応力を低減することができ、ひいては接合材におけるクラックを抑制することができる。
【0008】
好ましくは、マニホールド本体は、支持部材よりも板厚が薄い側壁を有する。そして、側壁は、変形可能部を構成する。この構成によれば、支持部材よりもマニホールド本体の側壁の方が板厚が薄いため、この側壁が変形可能を構成する。
【0009】
好ましくは、マニホールド本体は、底壁と、底壁から上方に延びる側壁と、側壁の上端部から外方に延びる第1フランジ部と、第1フランジ部に接合される上壁と、を有している。そして、側壁と第1フランジ部との境界部は、R形状となっており、変形可能部を構成する。この構成によれば、支持部材とマニホールド本体との熱膨張の差に起因する熱応力が、側壁と第1フランジ部との境界部の変形によって吸収されるため、接合材に掛かる熱応力を低減することができる。
【0010】
好ましくは、マニホールド本体は、上壁と、上壁から下方に延びる側壁と、側壁の下端部から外方に延びる第2フランジ部と、第2フランジ部に接合される底壁と、を有している。そして、側壁と第2フランジ部との境界部は、R形状となっており、変形可能部を構成する。この構成によれば、支持部材とマニホールド本体との熱膨張の差に起因する熱応力が、側壁と第2フランジ部との境界部の変形によって吸収されるため、接合材に掛かる熱応力を低減することができる。
【0011】
好ましくは、支持部材は、燃料電池セルの下面を支持する。
【0012】
好ましくは、支持部材及びマニホールド本体は、互いに同じ材料によって構成される。
【0013】
好ましくは、支持部材及びマニホールド本体は、ステンレス鋼製である。
【0014】
好ましくは、マニホールド本体は、箱状部材と板状部材とを有する。箱状部材は、上方または下方が開口する。板状部材は、開口を塞ぐ。箱状部材は、複数の平板部と、平板部を連結する角部と、を有する。角部の厚さは、平板部の厚さよりも小さい。
【0015】
この構成によれば、箱状部材において平板部の厚さよりも角部の厚さが小さい。このため、マニホールドに接合材を用いて燃料電池セルが接合されたセルスタック装置の動作時に、高温になり温度分布が生じると、角部が優先的に変形する。すなわち、この角部が変形可能部として作用することができる。
【0016】
好ましくは、マニホールド本体は、台座に配置されている。そして、マニホールド本体は、底壁と、側壁と、上壁と、複数の突起部とを有している。側壁は、底壁から上方に延びる。上壁は、側壁の上端部を塞ぎ、かつ燃料電池セルが接合される。複数の突起部は、底壁に取り付けられ、かつ台座に接する。突起部は、底壁を構成する材料と異なる材料で構成されている。
【0017】
この構成によれば、接合材を用いてマニホールド本体の上壁に燃料電池セルが接合されたセルスタック装置の動作時において、燃料電池セルがマニホールド本体よりも高温になる場合に、底壁から台座に高温の熱を伝達する経路は、複数の突起部になる。複数の突起部と台座とが接触しているため、マニホールド本体と台座との接触面積を低減できる。このため、マニホールド本体から台座への熱損失を抑制できる。また、突起部及び底壁を構成する材料は異なるので、底壁に取り付ける突起部の自由度が高い。このため、仕様に応じて、マニホールド本体から台座への熱損失を効果的に抑制できる位置に突起部を設けることができる。したがって、マニホールド本体の温度低下を効果的に抑制できるため、燃料電池セルを接合する接合材に加えられる応力を抑制できる。よって、接合材におけるクラックを抑制できるので、セルスタック装置に用いたときに接合材から反応ガスが漏れ出すことを抑制することができる。
【0018】
好ましくは、底壁において台座と対向する面の表面粗さRzは、0.01z以上である。この場合、底壁と台座との接触面積をより低減できるので、マニホールド本体の温度低下をより抑制できる。このため、燃料電池セルを接合する接合材に加えられる応力をより抑制でき、接合材におけるクラックをより抑制できる。
【0019】
好ましくは、底壁の下面の面積に対して、突起部と台座とが接触する面積の比(接触する面積/下面の面積)は、15%以下、より好ましくは10%以下である。この場合、底壁と台座との接触面積が小さいので、マニホールド本体の温度低下をより抑制できる。このため、燃料電池セルを接合する接合材に加えられる応力をより抑制でき、接合材におけるクラックをより抑制できる。
【0020】
好ましくは、突起部は、無機材料で構成される。マニホールド本体を備えるセルスタック装置は高温で作動するとともに、突起部にはセルスタック装置全体の荷重がかかるが、無機材料では金属材料と比較して高温クリープ現象に対する耐性が高い。したがって、突起部の材料として、無機材料で構成されることが好ましい。
【0021】
好ましくは、突起部は、底壁を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する材料で構成されている。これにより、台座と接触する突起部は、底壁よりも熱伝導率が小さいので、マニホールド本体から台座への熱損失をより抑制できる。このため、マニホールド本体の温度の低下をより抑制できるので、燃料電池セルを接合する接合材におけるクラックをより抑制できる。
【0022】
好ましくは、突起部を構成する材料の熱伝導率は、好ましくは40W/m・K以下、より好ましくは20W/m・K以下である。この場合、マニホールド本体から台座への熱伝導によるマニホールド本体の温度低下をより抑制できる。このため、燃料電池セルをより安定的に支持できる。
【0023】
好ましくは、突起部は、鉱物またはセラミックスで構成される。鉱物またはセラミックスで構成される突起部は、底壁に容易に取り付けることができる。
【0024】
好ましくは、マニホールド本体は、底壁の下面に形成されたコーティング膜を有する。そして、突起部は、コーティング膜を介して底壁に取り付けられている。コーティング膜により、突起部を底壁に容易に取り付けることができる。なお、突起部とコーティング膜とは同じ材料で形成してもよく、コーティング膜の一部を突起状に形成してもよい。
【0025】
好ましくは、上壁は、クロムを含む材料で構成され、上壁の表面全体に形成されたコーティング膜をさらに有している。コーティング膜により、上壁を構成するクロムが揮発することを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、接合材におけるクラックを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】セルスタック装置の斜視図。
図2】燃料電池セルの斜視図。
図3】燃料電池セルの拡大断面図。
図4】セルスタック装置の断面図。
図5】セルスタック装置の断面図。
図6】上壁の平面図。
図7】マニホールド本体の拡大断面図。
図8】変形可能部の道程を示す断面図。
図9】変形例に係る上壁の平面図。
図10】変形例に係るマニホールド本体の断面図。
図11】変形例に係るマニホールド本体の拡大断面図。
図12】変形例に係るマニホールドの拡大断面図。
図13】変形例に係るマニホールドの拡大断面図。
図14】変形例に係るマニホールドの拡大断面図。
図15】変形例に係るマニホールドの拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1に示すように、セルスタック装置100は、複数の燃料電池セル10と、マニホールド20と、を備えている。各燃料電池セル10は、マニホールド20によって支持されている。マニホールド20は、各燃料電池セル10にガスを分配する。
【0030】
[燃料電池セル]
各燃料電池セル10は、マニホールド20から上方に延びている。燃料電池セル10の長手方向(x軸方向)は、上方に延びている。また、各燃料電池セル10は、マニホールド20の長手方向(z軸方向)に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。各燃料電池セル10は、集電部材(図示省略)を介して互いに電気的に接続されている。集電部材は、導電性を有する材料から形成されている。例えば、集電部材は、酸化物セラミックスの焼成体又は金属などによって形成されている。
【0031】
図2に示すように、燃料電池セル10は、複数の発電素子部11と、支持基板12とを備えている。各発電素子部11は、支持基板12の両面に配置されている。なお、各発電素子部11は、支持基板12の片面のみに配置されていてもよい。各発電素子部11は、燃料電池セル10の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施形態に係る燃料電池セル10は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。各発電素子部11は、電気的接続部17(図3参照)によって互いに電気的に接続されている。
【0032】
支持基板12は、燃料電池セル10の長手方向に延びる複数のガス流路121を内部に有している。なお、支持基板12の長手方向(x軸方向)は、燃料電池セル10の長手方向と同じ方向である。各ガス流路121は、互いに実質的に平行に延びている。各ガス流路121は、燃料電池セル10の長手方向の両端部において開口している。各ガス流路121は、燃料電池セル10の幅方向(y軸方向)の両端部に形成されていないことが好ましい。この燃料電池セル10の幅方向の両端部の下端面122は、後述する支持板41上に載置されている。
【0033】
図3に示すように、支持基板12は、複数の第1凹部123を有している。各第1凹部123は、支持基板12の両面に形成されている。各第1凹部123は支持基板12の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0034】
支持基板12は、絶縁性である。すなわち、支持基板12は、電子伝導性を有していない。支持基板12は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板12は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板12は、多孔質である。支持基板12の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
【0035】
各発電素子部11は、燃料極13、電解質14、及び空気極15を有している。また、各発電素子部11は、反応防止膜16をさらに有している。燃料極13は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極13は、燃料極集電部131と燃料極活性部132とを有する。
【0036】
燃料極集電部131は、第1凹部123内に配置されている。詳細には、燃料極集電部131は、第1凹部123内に充填されており、第1凹部123と同様の外形を有する。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。詳細には、燃料極活性部132は、第2凹部131a内に充填されている。
【0037】
燃料極集電部131は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部131は、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、並びに第1凹部123の深さは、50〜500μm程度である。
【0038】
燃料極活性部132は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部132は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、5〜30μmである。
【0039】
電解質14は、燃料極13上を覆うように配置されている。詳細には、電解質14は、あるインターコネクタ171から他のインターコネクタ171まで燃料電池セル10の長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル10の長手方向において、電解質14とインターコネクタ171とが交互に配置されている。
【0040】
電解質14は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質14は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質14は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質14の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0041】
反応防止膜16は、緻密な材料から構成される焼成体であり、平面視(z軸方向視)において、燃料極活性部132と略同一の形状であり、燃料極活性部132と略同じ位置に配置されている。反応防止膜16は、電解質14内のYSZと空気極15内のSrとが反応して電解質14と空気極15との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜16は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜16の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0042】
空気極15は、反応防止膜16上に配置されている。空気極15は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極15は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極15は、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極15は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極15の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0043】
電気的接続部17は、隣り合う発電素子部11を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部17は、インターコネクタ171及び空気極集電膜172を有する。インターコネクタ171は、第3凹部131b内に配置されている。詳細には、インターコネクタ171は、第3凹部131b内に埋設(充填)されている。インターコネクタ171は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ171は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ171は、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ171の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0044】
空気極集電膜172は、隣り合う発電素子部11のインターコネクタ171と空気極15との間を延びるように配置される。例えば、図3の左側に配置された発電素子部11の空気極15と、図3の右側に配置された発電素子部11のインターコネクタ171とを電気的に接続するように、空気極集電膜172が配置されている。空気極集電膜172は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。
【0045】
空気極集電膜172は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電膜172は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電膜172は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜172の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0046】
[マニホールド]
図4は、マニホールド本体3の上壁34及び一方の第2側壁33の記載を省略したセルスタック装置100の斜視図である。図4及び図5に示すように、マニホールド20は、各燃料電池セル10にガスを供給するように構成されている。燃料ガスなどのガスが、導入配管201を介して、マニホールド20の内部空間に供給される。マニホールド20は、各燃料電池セル10を支持している。マニホールド20は、マニホールド本体3と、支持部材4とを有する。
【0047】
マニホールド本体3は、実質的に直方体状であって、内部空間を有している。マニホールド本体3は、底壁31、一対の第1側壁32、一対の第2側壁33、上壁34、及び第1フランジ部35を有している。なお、底壁31、一対の第1側壁32、一対の第2側壁33、及び第1フランジ部35は、1つの部材によって構成されている。
【0048】
マニホールド本体3は、例えば、耐熱性を有するような金属によって形成される。より具体的には、マニホールド本体3は、ステンレス鋼、又は合金などから構成される。好ましくは、マニホールド本体3は、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びNi基合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種から形成されている。
【0049】
底壁31は、平面視(x軸方向視)が矩形状である。底壁31は、平面視において、長手方向(z軸方向)と幅方向(y軸方向)を有している。
【0050】
一対の第1側壁32は、底壁31の対向する一対の縁部のそれぞれから上方に延びている。詳細には、各第1側壁32は、底壁31の縁部のうち、長手方向(z軸方向)に延びる一対の縁部から上方に延びている。第1側壁32は、マニホールド20の長手方向(z軸方向)に延びている。すなわち、複数の燃料電池セル10の並ぶ方向に延びている。一対の第1側壁32は、マニホールド20の幅方向(y軸方向)において、互いに対向している。
【0051】
一対の第2側壁33は、底壁31の残りの対向する縁部から上方に延びている。詳細には、各第2側壁33は、底壁31の縁部のうち、幅方向(y軸方向)に延びる一対の縁部から上方に延びている。また、各第2側壁33は、マニホールド20の幅方向(y軸方向)に延びている。すなわち、各第2側壁33は、燃料電池セル10の幅方向に延びている。各第2側壁33は、マニホールド20の長手方向(z軸方向)において、互いに対向している。一対の第2側壁33のうち、一方の第2側壁33に導入配管201が接続されている。このため、一方の第2側壁33は、貫通孔331を有している。
【0052】
第1フランジ部35は、各第1側壁32及び各第2側壁33の上端部から外方に延びている。第1フランジ部35は、環状である。
【0053】
第1側壁32と、第2側壁33との第1境界部30aの内側面及び外側面は、R形状である。この第1境界部30aの内側面及び外側面の曲率半径は、3〜30mm程度とすることができる。なお、第1境界部30aの内側面とは、マニホールド本体3の内部空間を臨む面であり、第1境界部30aの外側面とは、マニホールド本体3の外側を臨む面である。
【0054】
底壁31と、第1側壁32及び第2側壁33との第2境界部30bの内側面及び外側面は、R形状である。この第2境界部30bの内側面の曲率半径は、2〜20mm程度とすることができる。なお、第2境界部30bの内側面とは、マニホールド本体3の内部空間を臨む面であり、第2境界部30bの外側面とは、マニホールド本体3の外部を臨む面である。
【0055】
第1側壁32及び第2側壁33と、第1フランジ部35との第3境界部30cの内側面及び外側面は、R形状である。この第3境界部30cの内側面の曲率半径は、1〜10mm程度とすることができる。なお、第3境界部30cの内側面とは、マニホールド本体3の内部空間を臨む面であり、第3境界部30cの外側面とは、マニホールド本体3の外部を臨む麺である。この第3境界部30cは、第1側壁32及び第2側壁33とともに、変形可能部を構成している。すなわち、第3境界部30cは、セルスタック装置100の定格運転時において、マニホールド本体3と支持部材4との熱膨張の差によって生じる熱応力によって、上下方向に延びるように変形する。
【0056】
上壁34は、マニホールド本体3の上面を塞ぐように構成されている。上壁34の外周縁部は、第1フランジ部35上に配置されており、第1フランジ部35に接合されている。上壁34は、例えば、溶接などによって、第1フランジ部35に接合されている。この上壁34と第1フランジ部35との接合箇所は、例えば、上壁34及び第1フランジ部35の側面であってもよいし、上壁34の下面と第1フランジ部35の上面の互いに接触する部分であってもよい。
【0057】
図6に示すように、上壁34は、複数の挿入孔341を有している。各挿入孔341には、各燃料電池セル10の下端部が挿入される。各挿入孔341は、マニホールド20の幅方向(y軸方向)に延びている。また、各挿入孔341は、マニホールド20の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。
【0058】
図7に示すように、マニホールド本体3の内部空間の高さ方向(x軸方向)において、第3境界部30cと上壁34との間に第1隙間部36が形成されている。すなわち、上壁34の下面と第1フランジ部35の上面とは接触している一方、上壁34の下面と第3境界部30cの内側面とは接触していない。第1隙間部36は、全周に亘って形成されている。
【0059】
図4及び図5に示すように、支持部材4は、マニホールド本体3内に配置されている。支持部材4は、燃料電池セル10を下方から支持するように構成されている。詳細には、支持部材4は、燃料電池セル10の下端面と当接することによって、燃料電池セル10を支持している。支持部材4を導電性の材料で構成する場合、支持部材4と燃料電池セル10との間では、絶縁性が確保されている。本実施形態では、支持部材4は、燃料電池セル10のうち電子伝導性を有さない部分と当接している。また、支持部材4が燃料電池セル10の電子伝導性を有する部分と当接するような構成となる場合は、支持部材4と燃料電池セル10との間に絶縁性を有する部材を介在させることができる。
【0060】
支持部材4は、マニホールド本体3の材料として例示したいずれかの材料によって形成することができる。例えば、支持部材4は、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びNi基合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種から形成されている。支持部材4は、マニホールド本体3と同じ材料によって形成することができる。なお、同じ材料とは、材料が完全に同じでなくてもよく、例えば、主成分が同じであればよい。なお、主成分とは、各成分のうち、もっとも質量パーセントが多い成分を意味する。
【0061】
支持部材4は、一対の支持板41と、底板42とを有している。一対の支持板41は、燃料電池セル10の幅方向(y軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。各支持板41は、上方に延びている。また、各支持板41は、燃料電池セル10の並ぶ方向(z軸方向)に延びている。すなわち、各支持板41は、マニホールド20の長手方向に延びている。詳細には、各支持板41は、一方の第2側壁33から他方の第2側壁33まで延びている。各支持板41は、第1側壁32と間隔をあけて配置されている。
【0062】
一対の支持板41は、燃料電池セル10の幅方向の両端部を下方から支持している。すなわち、一対の支持板41は、燃料電池セル10の幅方向の両端部の下端面122と当接している。なお、各支持板41は、燃料電池セル10の支持基板12と当接している。各支持板41は、燃料電池セル10と電気的に接続されていない。
【0063】
一対の支持板41の間隔d1は、燃料電池セル10の幅方向の両端部に位置する各ガス流路121の端と端との距離d2よりも大きい。すなわち、各ガス流路121は、一対の支持板41の間の空間に開口している。この一対の支持板41は、マニホールド本体3内において、ガス流路を画定している。詳細には、一対の支持板41は、ガスの供給方向(z軸方向)に延びており、ガス流路の両側面を画定している。
【0064】
マニホールド本体3の第1側壁32及び第2側壁33の各板厚は、支持板41の板厚よりも薄い。例えば、支持板41の板厚は、1.0〜4.0mm程度とすることができる。また、第1側壁32及び第2側壁33の各板厚は、0.3〜2.0mm程度とすることができる。なお、第1側壁32及び第2側壁33の各板厚は、2.0mm以下とすることが好ましい。このように、第1側壁32及び第2側壁33の各板厚を2.0mm以下とすることで、第1側壁32及び第2側壁33は、変形可能部を構成している。この第1側壁32及び第2側壁33は、セルスタック装置100の定格運転時において、マニホールド本体3と支持部材4との熱膨張の差によって生じる熱応力によって、上下方向に延びるように変形する。なお、支持部材4の熱膨張係数は、40℃から800℃の間の線熱膨張係数として例えば、10〜18ppm/K程度である。
【0065】
底板42は、各支持板41の下端縁同士を接続している。底板42は、マニホールド本体3の底壁31と接合している。なお、底板42は、一方の第2側壁33から他方の第2側壁33まで延びている。各支持板41と底板42とは1つの金属板によって構成されていることが好ましい。例えば、金属板を折り曲げることによって、一対の支持板41と底板42とが形成される。この底板42は、ガス流路の底面を画定している。
【0066】
以上のように構成されたマニホールド20に、各燃料電池セル10が支持されている。詳細には、各燃料電池セル10の下端部が、上壁34の各挿入孔341に挿入されている。各燃料電池セル10の幅方向の両端部の下端面122は、支持部材4の一対の支持板41の上端面に載っている。すなわち、各燃料電池セル10は、一対の支持板41と接触している。なお、複数ある燃料電池セル10のうち、一部の燃料電池セル10は、一対の支持板41と接触していなくてもよい。
【0067】
[接合材]
接合材101は、燃料電池セル10の下端部とマニホールド本体3とを接合する。詳細には、接合材101は、燃料電池セル10の下端部と、マニホールド本体3の上壁34とを接合する。また、接合材101は、挿入孔341の外周縁に沿って形成されている。接合材101は、燃料電池セル10が挿入された状態の挿入孔341内に充填されている。
【0068】
接合材101は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、又はSiO−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、接合材101の材料として、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、接合材101は、SiO−MgO−B−Al系及びSiO−MgO−Al−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0069】
図8に示すように、各支持板41の高さbに対する、変形可能部の道程aの割合(a/b)は、1.15以上とすることが好ましく、1.3以上とすることがより好ましい。なお、変形可能部の道程aとは、挿入孔341を通り燃料電池セル10の主面と平行な切断面(xy平面)において、底壁31の支持板41と接する点から、底壁31、第2境界部30b、第1側壁32、第3境界部30c、及び第1フランジ部35を通って、第1フランジ部35と上壁34との接合箇所までの長さa1と、第1フランジ部35と上壁34との接合箇所から上壁34を通り、上壁34が接合材101と接する点までの長さa2とを合わせた長さである。なお、変形可能部の道程aは、各部材の板厚の中心に沿って測定することができる。
【0070】
以上のように構成されたセルスタック装置100は、次のようにして発電する。導入配管201を介してマニホールド20内に供給された燃料ガス(水素ガス等)は、一対の支持板41の間を通った後、各燃料電池セル10の各ガス流路121内に供給される。
【0071】
このように、各燃料電池セル10の各ガス流路121内に燃料ガスを供給するとともに、支持基板12の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質14の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。このセルスタック装置100を外部の負荷に接続すると、空気極15において下記(1)式に示す電気化学反応が起こり、燃料極13において下記(2)式に示す電気化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O+2e→O2− …(1)
+O2−→HO+2e …(2)
【0072】
このセルスタック装置100の作動温度は、一般的に700〜1000℃程度と高温であるため、温度分布によってマニホールド本体3よりも支持部材4の方が熱膨張することがある。この熱膨張の差によって支持部材4とマニホールド本体3との間に生じた熱応力によって、第1及び第2側壁32、33が変形する。このように、第1及び第2側壁32,33の変形によって接合材101に作用する熱応力が低減し、接合材101におけるクラック発生を抑制することができる。また、上記熱応力によって第3境界部30cも変形可能であるため、この第3境界部30cの変形によっても、接合材101に作用する熱応力を低減することができる。
【0073】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0074】
変形例1
上記実施形態では、第1及び第2側壁32,33の板厚を支持板41の板厚よりも薄くすることによって、変形可能部を構成しているが、変形可能部の構成はこれに限定されない。例えば、第1側壁32、第2側壁33及び第1フランジ部35のいずれかに他よりも薄い部分を形成することで、その薄い部分を変形可能部とすることができる。例えば、第1及び第2側壁32,33よりも第1フランジ部35を薄くするなどによって、その第1フランジ部35を変形可能部とすることができる。他にも、第2境界部30bを第1及び第2側壁32,33より薄くしたり、第3境界部30cを第1及び第2側壁32,33より薄くしたりすることなどによって、この第2境界部30bや第3境界部30cを変形可能部とすることができる。
【0075】
変形例2
上記実施形態では、支持部材4は、一対の支持板41と、底板42とを有していたが、支持部材4は底板42を有していなくてもよい。
【0076】
変形例3
上記実施形態では、マニホールド本体3の上壁34は、複数の挿入孔341を有しているが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、マニホールド本体3の上壁34は、1つの挿入孔341を有していてもよい。そして、複数の燃料電池セル10の下端部が、1つの挿入孔341内に挿入されていてもよい。なお、各燃料電池セル10が挿入された状態における挿入孔341の隙間は、接合材によって埋められる。
【0077】
変形例4
上記実施形態では、第1側壁32及び第2側壁33は底壁31から略垂直に上方に延びているが、マニホールド本体3の構成はこれに限定されない。例えば、第1側壁32及び第2側壁33は、上方に向かって外方に広がるように傾斜している。特に限定されるものではないが、例えば、第1側壁32及び第2側壁33と、底壁31とがなす角度αは、90.1〜135°程度とすることができる。このように第1側壁32及び第2側壁33が傾斜しているため、マニホールド20の内部空間を底壁31と平行な面(yz平面)で切断した断面積は、上方にいくにつれて大きくなる。また、マニホールド20の内部空間を、底壁31に垂直で幅方向(y軸方向)に延びる面(xy平面)で切断した断面は、台形状となっている。また、マニホールド20の内部空間を、底壁31に垂直で奥行方向(z軸方向)に延びる面(xz平面)で切断した断面は、台形状となっている。
【0078】
変形例5
上記実施形態では、マニホールド本体3は、底壁31、第1側壁32、第2側壁33、及び第1フランジ部35が1つの部材で形成されており、上壁34が第1フランジ部35に接合さていたが、マニホールド本体3の構成はこれに限定されない。
【0079】
例えば、図10に示すように、マニホールド本体3は、上壁34、第1側壁32、第2側壁33、及び第2フランジ部37が1つの部材で形成されており、底壁31が第2フランジ部37に接合されていてもよい。なお、第2フランジ部37を有していてもよい。第2フランジ部37は、第1側壁32及び第2側壁33の下端部から外方に延びている。
【0080】
上壁34と、第1側壁32及び第2側壁33との第4境界部30dの内側面は、R形状である。この第4境界部30dの内側面の曲率半径は、2〜20mm程度とすることができる。なお、第4境界部30dの内側面とは、マニホールド本体3の内部空間を臨む面である。
【0081】
第1側壁32及び第2側壁33と、第2フランジ部37との第5境界部30eの内側面は、R形状である。この第5境界部30eの内側面の曲率半径は、1〜10mm程度とすることができる。なお、第5境界部30eの内側面とは、マニホールド本体3の内部空間を臨む面である。この第5境界部30eは、変形可能部を構成している。
【0082】
図11に示すように、マニホールド本体3の内部空間の高さ方向(x軸方向)において、第5境界部30eと底壁31との間に第2隙間部30が形成されている。すなわち、底壁31の上面と第2フランジ部37の下面とは接触している一方、底壁31の上面と第5境界部30eの内側面とは接触していない。第2隙間部30は、全周に亘って形成されている。
【0083】
底壁31は、マニホールド本体3の下面を塞ぐように、第2フランジ部37に固定されている。マニホールド本体3の内部空間を密閉するため、底壁31が全周に亘ってマニホールド本体3と接合されている。例えば、底壁31とマニホールド本体3とは、溶接されていてもよいし、結晶化ガラスによって接合されていてもよい。底壁31は、上述したマニホールド本体3の材料の少なくとも一種から形成することができる。
【0084】
変形例6
図12に示すように、マニホールド本体3の箱状部材300は、角部が他の部分よりも薄くなるように構成されていてもよい。詳細には、箱状部材300は、複数の平板部と、この平板部を連結する角部とを有している。平板部は、平坦な板状の部分である。なお、角部は、角を形成する部分、すなわち、角近傍である。複数の平板部は、底壁31の大部分を占める矩形状の平板部と、側壁32,33の大部分を占める4つの矩形状の平板部と、フランジ部25の大部分を占める環状の平板部とを有している。角部は、第1〜第3境界部30a〜30cである。このように、本実施の形態のマニホールド本体21は、複数の平板部と、複数の角部とからなる。なお、箱状部材300は、上方が開口しており、底壁31、第1側壁32、第2側壁33、及び第1フランジ部35を有している。そして、箱状部材300の上面は、上壁34(板状部材の一例)によって塞がれている。
【0085】
なお、角部はR形状であるが、角部の形状は特に限定されない。角部は、複数の平面部が直交してなる直角であってもよく、複数の平面部の交差部分を平面状に湾曲している形状(C面取りされた形状)であってもよい。
【0086】
角部の厚さT2は、平板部の厚さT1よりも小さい。このため、角部は、平面部よりも優先して変形する部位であり、変形可能部である。複数の平板部の厚さが異なる場合には、最小の厚さを厚さT1とする。箱状部材300は複数の角部を有し、複数の角部の厚さが異なる場合には、最小の厚さをT2とする。本変形例では、すべての角部の厚さT2が平板部の厚さT1よりも小さいが、複数の角部のうち少なくとも1つの角部が平板部の厚さよりも小さければよい。なお、厚さT1、T2は、板厚である。
【0087】
角部の厚さT2は、平板部の厚さT1の70.0%以上99.5%以下であることが好ましく、75.0%以上98.0%以下であることがより好ましい。70.0%以上の場合、マニホールド本体3の強度を向上でき、75.0%以上の場合、マニホールド本体3の強度をより向上できる。99.5%以下の場合、変形しやすいので、接合材101の変形を抑制することで、接合材101におけるクラックを抑制でき、98.0%以下の場合、接合材101におけるクラックを効果的に抑制できる。また、70.0%以上の場合、加工時に箱状部材300の角部が破断することを防止できる。
【0088】
平板部の厚さT1は、例えば、0.5mm以上4.0mm以下である。角部の厚さT2は、例えば、0.35mm以上3.9mm以下である。
【0089】
板状部材を構成する上壁34の厚さは、特に限定されないが、箱状部材300の角部の厚さT1よりも小さくすることができる。
【0090】
変形例7
変形例6では、箱状部材300は上方が開口していたが、箱状部材300は下方が開口していてもよい。この場合、図13に示すように、箱状部材300において、複数の平板部は、上壁34の大部分を占める矩形状の平板部と、側壁32,33の大部分を占める4つの矩形状の平板部と、第2フランジ部37の大部分を占める環状の平板部とを有している。そして、角部は、第1境界部30a、第4境界部30d、及び第5境界部30eである。
【0091】
変形例8
図14に示すように、底壁31に複数の突起部38が取り付けられていてもよい。複数の突起部38は、底壁31の下面311に取り付けられている。このため、台座Bにマニホールド本体3を配置すると、複数の突起部38が台座Bに接する。複数の突起部38は、底壁31の下面311に、偏析せずに、分散している。このため、マニホールド本体3は、安定して台座Bに配置される。
【0092】
突起部38を構成する材料は、底壁31を構成する材料と異なる材料で構成されていれば特に限定されないが、金属を除く材料で構成されていることが好ましく、無機材料で構成されていることがより好ましい。無機材料としては、セラミックスであることが好ましい。SOFCは高温で作動するが、金属材料は高温環境下で一定応力を連続的に与えられると高温クリープ変形が発生し、形状が変わってしまう恐れがある。マニホールド本体3の底壁31に取り付けられて台座に接する突起部38には、セルスタック装置100全体の荷重がかかるため、高温クリープ変形が懸念される。一方、無機材料では金属材料と比較して高温クリープ現象に対する耐性が高いため、台座と接する突起部38として無機材料を用いることが好ましい。
【0093】
また、突起部38は、底壁31を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する材料で構成されていることが好ましい。このような材料として、例えば、鉱物、セラミックス、ガラス、または繊維が挙げられる。鉱物としては、例えば、マイカ(雲母)、バーミキュライト、石英などが挙げられる。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化鉄、酸化クロムなどが挙げられる。ガラスとしては、例えば、結晶化ガラスなどが挙げられる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、またはSiO−MgO系が採用され得る。繊維としては、例えば、石英ウール、アルミナ、シリカアルミナなどが挙げられる。
【0094】
突起部38を構成する材料の熱伝導率は、40W/m・K以下であることが好ましく、20W/m・K以下であることがより好ましい。底壁31から台座Bへの熱伝導を低減できるので、熱伝導率は低いほど好ましいが、容易に実現できる観点から、下限値は、例えば0.01W/m・Kである。
【0095】
上記熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により750℃で測定される値である。
【0096】
台座Bと対向する面の表面粗さRzは、0.01z以上であることが好ましく、0.05z以上であることがより好ましい。底壁31と台座Bとの接触面積を低減できるので、表面粗さRzは高いほど好ましいが、セルスタック装置1の高さを考慮すると、上限値は、例えば10zである。
【0097】
上記「台座Bと対向する面」とは、本変形例では、底壁31の下面311と突起部38とで構成される面である。上記表面粗さRzは、JIS B0601に準拠して測定される値である。
【0098】
底壁31の下面311の面積に対する、突起部38と台座Bとが接触する面積の比は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0099】
突起部38は、下方に突出する凸形状である。突起部38は、例えば、下方(下面311から台座Bに)に向けて幅が小さい。突起部38は、部材として設けられる突起部と、粒子からなる突起部とを含む。突起部38と台座Bとの接触は、点接触であってもよい。また、突起部38が部材である場合には、例えば、平面視において矩形の片状であってもよく、繊維の切片であってもよい。
【0100】
突起部38を底壁31の下面311に取り付ける工程では、例えば以下のように実施する。底壁31を構成する材料の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する材料で構成されている突起部38となる材料を準備する。突起部38となる材料として、例えば、結晶化ガラスなどのガラスとなる材料などを準備する。この材料を、底壁31の下面311に接するように配置して、焼き付ける。
【0101】
変形例9
変形例8のように、突起部38を底壁31に取り付ける態様において、マニホールド本体3は、コーティング膜39をさらに備えていてもよい。図15に示すように、コーティング膜39は、底壁31の下面311に形成されている。突起部38は、コーティング膜39を介して底壁31に取り付けられている。突起部38の少なくとも一部は、コーティング膜39から下方に突出している。なお、突起部38と同じ部材がコーティング膜39に埋設されていてもよい。
【0102】
また、コーティング膜39は、露出する表面全体に形成されている。つまり、コーティング膜39が、外部に露出する。具体的には、コーティング膜39は、底壁31、側壁32,33、上壁34、及び第1フランジ部35の表面全体に形成されている。つまり、コーティング膜39は、底壁31、側壁32,33、上壁34及び第1フランジ部35の外側面及び内側面の全体に形成されている。外側面とは、マニホールド本体3の外部を臨む面であり、内側面とは、マニホールド本体3の内部空間を臨む面である。
【0103】
詳細には、コーティング膜39は、底壁31の上面312、下面311及び側面の全体に形成されている。また、コーティング膜39は、側壁32,33の内側面及び外側面の全体に形成されている。また、上壁34の上面、下面、側面、及び挿入孔341を構成する内壁面の全体に形成されている。また、コーティング膜39は、第1フランジ部35の上面、下面及び側面の全体に形成されている。なお、マニホールド本体3の各部材を被覆するコーティング膜は、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0104】
コーティング膜39は、例えばガラス、セラミックスなどで構成されており、ガラスで構成されていることがより好ましい。ガラスとしては、例えば結晶化ガラスを用いることができる。この結晶化ガラスは、接合材101と同様の材料であってもよい。セラミックスとしては、アルミナ、シリカ、ペロブスカイト系材料、スピネル系材料などを用いることができる。コーティング膜39は、複数の層で構成されてもよい。
【0105】
コーティング膜39の厚みは、例えば3〜200μmである。コーティング膜39の気孔率は、例えば0〜30%である。
【0106】
なお、本変形例における「台座Bと対向する面」は、下面311に形成されたコーティング膜39と突起部38とで形成される面である。
【0107】
また、突起部38は、コーティング膜39と同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0108】
本変形例では、例えば、コーティング膜39を形成し、その後に突起部38を形成する。
【0109】
具体的には、まず、マニホールド本体3の表面全体、つまり露出する面全体に、コーティング膜39となるペーストを形成する。ペーストは、例えばガラス粉末を含み、クロムは含まない。ペーストは、例えば、塗布、ディッピング法などによって形成される。
【0110】
次に、底壁31の下面に形成されたペーストに、突起部38となる材料を付着して、この状態で焼成する。この工程では、焼成容器(セッター)に突起部となる材料を配置し、次いで、この材料上に底壁31の下面311を配置し、この状態で焼成してもよい。
【符号の説明】
【0111】
3 マニホールド本体
31 底壁
32 第1側壁
33 第2側壁
34 上壁
35 第1フランジ部
37 第2フランジ部
341 挿入孔
4 支持部材
10 燃料電池セル
101 接合材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15