特許第6446584号(P6446584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6446584
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】看板などに取り付ける警備用案内装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/22 20060101AFI20181217BHJP
   G08B 13/18 20060101ALI20181217BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G08B21/22
   G08B13/18
   H04N5/225 100
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-96127(P2018-96127)
(22)【出願日】2018年5月18日
【審査請求日】2018年5月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398058441
【氏名又は名称】テイケイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】影山 嘉昭
【審査官】 永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−300874(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3211690(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3066012(JP,U)
【文献】 特開2017−143508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
G08B 1/00−15/02
G08B 19/00−31/00
G09F 7/00− 7/22
G09F 13/00−13/46
G09F 19/00−27/00
H04N 5/225
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場の看板、フェンス、板囲いなどの対象物に取り付ける、警備用案内装置であって、
通行人などの接近を検知する、人感センサと、
人感センサの検知反応によって作動する、カメラと、
人感センサの検知反応によって作動する、音声発生装置と、
を少なくとも備え
前記案内装置の背面を、
前記カメラのレンズ中心線と直交する直交面と、
前記直交面と一定の角度で交わる傾斜面とで形成してあることを特徴とする、
警備用案内装置。
【請求項2】
前記案内装置の背面に、金属板に取り付けるための磁石を設けてあることを特徴とする、
請求項1に記載の警備用案内装置。
【請求項3】
前記案内装置を対象物に取り付ける姿勢において、
前記傾斜面の上方に前記直交面を設けていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の警備用案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場の案内用の看板、フェンス、板囲いなどの警備現場に存する対象物へと取り付けて、歩行者を誘導するための警備用案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、警備業務の需要増加に伴って、警備員の人員確保が困難となっており、警備員の業務の負担が増加している。
その対策として、特許文献1に示すような、有人警備の一部を無人警備に置き換えるシステムが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録3211690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献記載の警備看板の技術は、折り畳み可能な板体であるが、特に通行人の接近を検知する人感センサと、そのセンサによって稼働する音声案内装置を備えている点で無人の案内装置として評価されるものであった。
しかし一方で、実際に工事現場に設置してみると、せっかくの案内装置が無人であるがゆえにいたずらされたり、破壊されたりするケースが発生し得ることが分かってきた。
さらに無人であるがゆえに、たとえば誘導路付近で転倒した通行人が、その責任を警備の不備を理由として訴えるような可能性も推測される。
特に工事中の誘導路では、自動車も指示に従って徐行や方向変更をしてもらう必要があるが、自動車と通行人との進行方向の混在から、一般道路よりも事故の発生の可能性が高いのでは、という推測も生まれてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するべくなされた本願の第1発明は、建設現場の看板、フェンス、板囲いなどの対象物に取り付ける、警備用案内装置であって、通行人などの接近を検知する、人感センサと、人感センサの検知反応によって作動する、カメラと、人感センサの検知反応によって作動する、音声発生装置と、を少なくとも備え
前記案内装置の背面を、前記カメラのレンズ中心線と直交する直交面と、前記直交面と一定の角度で交わる傾斜面とで形成してあることを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記案内装置の背面に、金属板に取り付けるための磁石を設けてあることを特徴とする。
また、本願の第発明は、前記第1発明または第2発明において、前記案内装置を対象物に取り付ける姿勢において、前記傾斜面の上方に前記直交面を設けていることを特徴とする

【発明の効果】
【0006】
本発明の案内装置は上記のように構成したから、次のような効果のいずれかを達成することができる。
(1)通行人などの接近を検知してカメラが作動するから、「録画中」などの表示をしておくことで、いたずらされたり、破壊されたりするケースを防止することができる。
(2)前記したように、臨時の誘導路などは段差ができたり、電線が横断して盛り上がったりして通常の平面を維持しにくい。
そこで自己の不注意で転倒した通行人であっても、なんらかの不満が生じ、その矛先が警備会社のみならず、施工者、さらには発注者へ向かう可能性も想定される。その際にも、通行人の接近を検知して状況が録画してあるから、施工者、発注者に対して証拠資料として提出することができ、裁判などで公正な判断を受けることができる。
(3)特に臨時の通路変更箇所では、不慣れな通行人と自動車の通行が混在して、軽微な事故の発生も推測されるが、いずれが無理な通行をしたか、何が原因だったか、など事故現場の記録を残してあるから、その場合にも工事の施工者、発注者に手数や迷惑をかけることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例に係る案内装置を示す正面図。
図2】案内装置の背面形状を示す説明図。
図3】工事看板に案内装置を取り付けた状態を示す説明図。
図4】安全鋼板に案内装置を取り付けた状態を示す説明図。
図5】安全鋼板の高い位置に案内装置を取り付けた状態を示す説明図。
図6】第2実施例に係る案内装置を取り付けた状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
<1>全体の説明(図1
本発明に係る案内装置Aは、建設現場の工事看板、フェンス、安全鋼板などに取り付けて使用する装置である。
そして、本発明に係る案内装置Aは、本体A1の内部に、基本的に人感センサ10と、記録用のカメラ20と、音声発生装置30とを少なくとも設けて構成する。
【0010】
<2>人感センサ
人感センサ10は、周辺の人や物の動きを検知するための装置である。
人感センサ10は通行人など移動する物体があると、それを検知してON、OFFの切り替えを行う信号を発することができる。
検知のためには、赤外線、超音波、可視光などを用いることができ、またこれらを適宜組み合わせてもよい。
その他、人感センサ10は、人や動物などの温度をもつものから自然に放射されている赤外線による温度変化を検知する熱センサを利用することもできる。
人感センサ10は約4度以上の温度差で感知して作動するもので、周囲温度に対し約4度以上の差、移動速度毎秒1mを感知して動作する構造のものも採用することができる。
【0011】
<3>カメラ
カメラ20は、案内装置Aの周囲を撮影するための装置である。
カメラ20は、人感センサ10の検知反応によって作動するよう構成し、いわゆる監視カメラ20のように機能する。
本発明で「カメラ20」とは、実際の撮影用のカメラ20単体ではなく、撮影した映像の伝送・処理、記録、表示機能を含むシステム全体も含まれる。
【0012】
<3.1>レンズ・赤外線照射部
カメラ20のレンズ21の周囲には、暗所での撮影を可能とするための赤外線照射部22を設けている。
また、カメラ20の映像はハードディスクやフラッシュメモリなどの記録媒体23に保存する。
映像は記憶領域の容量があるかぎり保存できるが、容量が足りなくなった後は古い記録から削除して行く方式であり、この記憶装置の容量については必要な保存期間を考慮して選定する。
【0013】
<3.2>その他の要素
このカメラ20は集音マイクを持ち音声の録音が可能な監視カメラ20を採用することができ、本発明の目的の一つである、証拠の収集という用途では集音マイクを備えていることが好ましい。
監視カメラ20にマイクがない場合でも、別に集音マイクを設置することもできる。
なお、プライバシー侵害につながるという批判を回避するために監視カメラ20を設置していることを「監視カメラ作動中」といった看板などで告知することが好ましい。
【0014】
<4>音声発生装置
音声発生装置30は、記録した定型文を音声で出力する装置である。
音声発生装置も、人感センサ10の検知反応によって作動するよう構成するが、設置場所によって想定される定型文を複数記録しておき、選択スイッチ31によって、望ましい定型文を選択して使用する。
設定したチャンネルは、チャンネル表示部32において表示する。
チャンネルの中には外国語で案内を行うチャンネルなどを用意しておくことができる。
また、1つのチャンネルで複数言語の音声を連続して流すよう構成してもよい。
【0015】
<5>背面の形状
本発明では、カメラ20の本体A1のカメラ20のレンズ21側とは反対の面を「背面」と表現するが、その背面側の構造、形状について説明する。
【0016】
<5.1>磁石40の配置
カメラ20の本体A1の背面には、金属板に接着する磁石40を配置する。
カメラ20の本体A1を、工事現場の金属製の案内看板、あるいは安全柵、板囲いの鋼板などに設置する場合に、磁石40で簡単に設置、撤去を行うことができる。
なお図示していないが、実際の取り付けに際しては鋼製ワイヤーなどを配置して、取り付け対象と強固に一体化しておくことはもちろんである。
【0017】
<5.2>傾斜面A11(図2a)
案内装置Aの背面の他の一部は、カメラ20のレンズ中心線211と直交せず、一定の角度で交わる傾斜面A11として形成する。
したがって傾斜面A11を背中にして取付対象に取り付ければ、レンズ21の中心線(レンズ中心線211)が、案内看板と直交しない方向に向くことになる。
【0018】
<5.3>直交面A12(図2b)
案内装置Aの背面の一部は、カメラ20のレンズ中心線211と直交する直交面A12として形成する。
したがって直交面A12を背中にして案内看板などに取り付ければ、レンズ中心線211が、案内看板と直交した方向に向くことになる。
【0019】
<5.4>面の配置(図2
上記のようにカメラ20本体A1の背面は直交面A12と傾斜面A11で構成するが、その配置は、案内装置Aを看板などに取り付ける姿勢において、傾斜面A11が下、直交面A12が上に位置するように形成する。
その理由は後述するようにカメラ20のレンズ21の方向と、案内看板などの取り付け対象の傾斜に対応させるためである。
【0020】
<6>設置イメージ(図3〜5)
本発明のカメラ20本体A1を取り付ける対象が工事看板Bである場合には、その表面は、地表面に対して90度ではなく、例えば60度程度に傾斜しているのが普通である。
一方、現場の周囲を包囲する安全柵や板囲いなどに用いる安全鋼板Cは、その表面が地表面に対して90度の直立状態で設置してある。
【0021】
<6.1>傾斜している場合(図3
取り付け対象が、工事看板Bのように、地表面に対して60度程度に傾斜している場合、本発明のカメラ20本体A1を対象物に取り付けるには、カメラ20本体A1の背面下方の傾斜面A11の磁石40を利用して取り付ける。
するとカメラ20のレンズ21の中心線はほぼ水平になり、接近する人物の全体像を映像として捉えることができる。
【0022】
<6.2>直立している場合(図4
取り付け対象が、安全鋼板Cのように、地表面に対して90度で直立している場合、本発明のカメラ20本体A1を対象物に取り付けるには、カメラ20本体A1の背面下方の直交面A12の磁石40を利用して取り付ける。
するとカメラ20のレンズ21の中心線はほぼ水平になり、接近する人物の全体像を映像として捉えることができる。
【0023】
<6.3>高い位置に取り付ける場合(図5
取り付け対象が安全鋼板Cなど、地表面に対して90度で直立している場合に、カメラ20本体A1の破損や盗難を避けるために、人の手の届かない範囲の高い位置に取り付けることができる。
その場合には本発明のカメラ20本体A1を対象物に取り付けるには、カメラ20本体A1の背面下方の傾斜面A11の磁石40を利用して取り付ける。
するとカメラ20のレンズ21の中心線は下向きとなり、接近する人物の全体像を上方から映像として捉えることができる。
【0024】
<7>実際の作動
本発明の案内装置Aを上記のような状態で設置する。
設置に際しては鋼製の板に磁石40を用いて設置する。同時に図示しないワイヤーなどで対象物と強固に一体化しておく。さらに音声選択スイッチ31で、その設置場所にふさわしい音声を選択する。選択したチャンネルは表示部において表示される。
その案内装置Aに通行人などが接近してくると、それを人感センサ10が検知して、記録用カメラ20と音声発生装置30を作動する。
すると音声発生装置30からは選択したチャンネルの録音音声を発音して、無人でありながら通行人を安全に誘導することができる。
また同時にカメラ20の映像の記録を開始するので、装置の近くに「録画中」といった表示をしておけば、装置に対するいたずらや故意の破壊を未然に防止することができる。
また万一、看板の設置箇所の付近で通行人が転倒したような場合、あるいは車両と接触した場合でも、その前後の映像が記録として残っている。
そのために事故の責任の所在を巡って争いになった場合にも、本装置に保存した記録を客観的な証拠として裁判所などに提出して公正な判断を仰ぐことができる。
【実施例2】
【0025】
本発明に係る案内装置Aの第2実施例について図6を参照しながら説明する。
本実施例に係る案内装置Aは、本体A1の前面および背面を平行な面で構成し、前面側に設けるカメラ20の中心線を、本体A1の前面に対して下方に傾斜した角度を設けるように構成している。
図6(a)は、取付対象を工事看板Bとした場合のイメージ図である。
工事看板Bの傾斜角度は予め決まっているため、この案内装置Aの背面を工事看板Bに沿わせて配置したときに、カメラ20の中心線が略水平方向となるようにカメラ20の向きを設定しておくように構成している。
図6(b)は、取付対象を安全鋼板Cとした場合のイメージ図である。
安全鋼板Cは、略鉛直方向に立設しているため、本実施例に係る案内装置Aを安全鋼板Cに取り付けた際には、カメラ20の中心線は、下向きとなってしまう。
このような場合には、撮影する箇所にカメラ20が向くように、案内装置Aをやや上方の位置に設置して使用すればよい。
【符号の説明】
【0026】
A :案内装置
A1 :本体
A11:傾斜面
A12:直交面
10 :人感センサ
20 :カメラ
21 :レンズ
211:レンズ中心線
22 :赤外線照射部
23 :記録媒体
30 :音声発生装置
31 :選択スイッチ
32 :チャンネル表示部
40 :磁石
B :工事看板
C :安全鋼板
【要約】
【課題】工事現場などで無人で案内をする場合の案内装置Aを提供する。
【解決手段】建設現場の看板、フェンスなどに取り付ける案内装置Aである。通行人などの接近を検知する人感センサ10と、人感センサ10の検知反応によって作動する、カメラ20および音声発生装置30を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6