(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6446586
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】組立式基礎ブロック
(51)【国際特許分類】
E02D 27/42 20060101AFI20181217BHJP
E04C 1/39 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
E02D27/42
E04C1/39 108
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-112557(P2018-112557)
(22)【出願日】2018年6月13日
【審査請求日】2018年6月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504447349
【氏名又は名称】山湛産業開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】小山 隆資
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−243046(JP,A)
【文献】
特開2012−087586(JP,A)
【文献】
特開平04−055522(JP,A)
【文献】
特開平02−054045(JP,A)
【文献】
特開2017−137620(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/042856(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/42
E04C 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1,第2及び第3の組立式基礎ブロックをこの順で含む,基礎構造物であって,
第1,第2及び第3の組立式基礎ブロックは,同じ形状であり,それぞれ
ブロック本体(1)を有する組立式基礎ブロックであって,
前記ブロック本体(1)の正方形の上面の各辺の中央に設けられた4つの凸部(3a,3b,3c,3d)と,
前記ブロック本体(1)の正方形の下面の各辺の中央に設けられた4つの凹部(5a,5b,5c,5d)であって,前記4つの凸部(3a,3b,3c,3d)に対応した位置に設けられ,前記4つの凸部(3a,3b,3c,3d)を収容できる形状を有するものと,を有し,
前記ブロック本体(1)は,
前記ブロック本体(1)を貫通する2つの貫通穴(9)であって,前記上面の第1の対角線上であって,前記上面の中心に関して対称な位置に存在するものと,前記ブロック本体(1)の上面から途中まで続く穴である2つのインサート(11)であって,前記上面の第2の対角線上であって,前記上面の中心に関して対称な位置に存在し,前記2つのインサート(11)の中心間の距離が,前記2つの貫通穴(9)の中心間の距離と等しいものをさらに有する,組立式基礎ブロックであり,
第1の組立式基礎ブロックの前記2つのインサート(11)の上部に第2の組立式基礎ブロックの前記2つの貫通穴(9)が位置し,
第1の組立式基礎ブロックの前記2つのインサート(11)と,第2の組立式基礎ブロックの前記2つの貫通穴(9)とはボルトにより固定され,
第2の組立式基礎ブロックの前記2つのインサート(11)の上部に第3の組立式基礎ブロックの前記2つの貫通穴(9)が位置し,
第2の組立式基礎ブロックの前記2つのインサート(11)と,第3の組立式基礎ブロックの前記2つの貫通穴(9)とはボルトにより固定されている,
基礎構造物。
【請求項2】
請求項1に記載の基礎構造物であって,
第1,第2及び第3の組立式基礎ブロックは,前記ブロック本体(1)の中心を通って貫通する穴であり,前記ブロック本体(1)に柱を通すための建柱穴(7)をさらに有する,基礎構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,組立式基礎ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許3841809号公報には,基礎構造(基礎構造物)が記載されている。基礎構造は,一般的に大きく重い。このため基礎構造を運搬するためには,重機が必要とされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3841809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は,上記の課題を解決するため,基礎構造を分割して軽量化し,希望する場所で組立てて基礎構造物を製造できるような組立式基礎ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は,基本的には,基礎ブロックの上面に凸部を設けるとともに,基礎ブロックの下部にその凸部に対応した凹部を設けることで,複数の基礎ブロックを重ねたときに,安定な状態となるという知見に基づく。
【0006】
本発明は,ブロック本体1を有する組立式基礎ブロックに関する。この組立式基礎ブロックは,ブロック本体1の上面に設けられた1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dと, ブロック本体1の下面に設けられた1又は複数の凹部5a,5b,5c,5dを有する。
【0007】
1又は複数の凹部5a,5b,5c,5dは,1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dに対応した位置に設けられ,1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dを収容できる形状を有するものである。
【0008】
そして,ブロック本体1は,ブロック本体1を貫通する貫通穴9と,ブロック本体1の上面から途中まで続く穴であるインサート11を有する。
【0009】
組立式基礎ブロックは,ブロック本体1の中心を通って貫通する穴であり,ブロック本体1に柱を通すための建柱穴7をさらに有するものが好ましい。
【0010】
ブロック本体1の上面の例は正方形である。そして,1又は複数の凸部の例は,ブロック本体1の上面の中点について90°回転対称となる位置に設けられた4つの凸部である。
【0011】
貫通穴9及びインサート11の数の例は,をそれぞれ2つである。それぞれの貫通穴9を,ブロック本体1の上面の中点について90°回転させた位置には,インサート11が位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
基礎構造を分割して軽量化し,希望する場所で組立てて基礎構造物を製造できるような組立式基礎ブロックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は,組立式基礎ブロックの基本構造例を示す概念図である。
図1(a)は,組立式基礎ブロックを上面から見た様子を示す。
図1(b)は,組立式基礎ブロックを横から見た様子(A−A断面図)を示す。
図1(c)は,
図1(b)より製品高さが低い組立式基礎ブロックを横から見た様子を示す。
【
図2】
図2は,組立式基礎ブロックのうち最上部に位置するものの基本構造例を示す概念図である。
図2(a)は,組立式基礎ブロックを上面から見た様子を示す。
図2(b)は,組立式基礎ブロックを横から見た様子を示す。
図2(c)は,
図2(b)より製品高さが低い組立式基礎ブロックを横から見た様子を示す。
【
図3】
図3は,組立式基礎ブロックを積み上げる例を説明するための図である。
【
図4】
図4は,組立式基礎ブロックの
図1とは別の例を示す図である。
【
図5】
図5は,複数の組立式基礎ブロックを用いて得られた基礎構造物の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0015】
図1は,組立式基礎ブロックの基本構造例を示す概念図である。
図1(a)は,組立式基礎ブロックを上面から見た様子を示す。
図1(b)は,組立式基礎ブロックを横から見た様子(A−A断面図)を示す。
図1(c)は,
図1(b)より製品高さが低い組立式基礎ブロックを横から見た様子を示す。このブロックは,ブロック本体1を有する組立式基礎ブロックである。この組立式基礎ブロックは,複数のものを組み立てて,例えば,フェンス・ガードレール用基礎ブロックや工事現場用の基礎ブロック,建物の基礎となる基礎構造用の基礎ブロックとして用いることができる。
【0016】
組立式基礎ブロックのブロック本体1の形状は,例えば,四角柱状(例えばひし形の中将や正方形の柱状)を基本として,凸部や凹部が設けられているものである。ブロック本体1の形状は,円柱状や楕円柱状であってもよいし,多角柱状であってもよい。ブロック本体1の中心には,柱を通すための建柱穴7や,そのほかの要素が存在してもよい。組立式基礎ブロックの素材の例は,コンクリート,プラスチック,金属,及び紙である。組立式基礎ブロックの素材として好ましいものは,コンクリートである。ブロック本体1の大きさは,組立式基礎ブロックの集合体である基礎ブロック(基礎構造)の大きさに合わせて,調整すればよい。一片の長さの例は,10cm以上2m以下であり,20cm以上80cm以下でもよく,運搬しやすいという観点からは,1m以下や50cm以下が好ましい。ブロック本体1の高さも,運搬しやすいという観点から適宜調整すればよい。ブロック本体1の高さの例は,5cm以上1m以下であり,3cm以上50cm以下でもよいし,5cm以上30cm以下でもよい。
【0017】
この組立式基礎ブロックは,ブロック本体1の上面に設けられた1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dと,ブロック本体1の下面に設けられた1又は複数の凹部5a,5b,5c,5dとを有する。1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dは,組立式基礎ブロックのブロック本体1と一体に成形されていてもよいし,組立式基礎ブロックのブロック本体1と別に設けられたものであってもよい。
図1の例では,4つの凸部3a,3b,3c,3dが,四角柱状のブロック本体1の上面の各辺の中央から,上方に向かって形成されている。凸部の数は,1個又は2個でもよいし,3個や4個又はそれ以上であってもよい。凸部は,すべてが同じ形状であってもよいし,異なる形状であってもよい。凸部は,凹部とかみ合った際に,ブロック本体1に力が加わっても,容易に破損しないものであればよい。凸部の高さは,例えば,ブロック本体1の厚さの1/1000以上1/2以下であり,1/100以上1/10以下でもよい。凸部の幅(凸部の最大の幅)の例は,ブロック本体1の一辺の長さの1/1000以上1/2以下であり,1/100以上1/10以下でもよい。
【0018】
1又は複数の凸部の例は,ブロック本体1の上面の中点について90°回転対称となる位置に設けられた4つの凸部であることが好ましい。凸部の数は8個を含め4の倍数子であることが好ましい。つまり,ブロックを90°(又は180°)回転させた場合,回転前に凸部があった位置に回転後は他の凸部が位置するものが好ましい。
【0019】
ブロック本体1は,ブロック本体1の下面に設けられた1又は複数の凹部5a,5b,5c,5dを有する。1又は複数の凹部5a,5b,5c,5dは,1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dに対応した位置に設けられ,1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dを収容できる形状を有する。1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dに対応した位置とは,同形のブロック本体1を重ねたときに,下に位置するブロック本体1の1又は複数の凸部3a,3b,3c,3dが,上に位置するブロック本体1の1又は複数の凹部5a,5b,5c,5d内に収容される位置関係であることを意味する。
【0020】
組立式基礎ブロックの例は,ブロック本体1が,ブロック本体1に柱を通すための建柱穴7を有するものである。複数の組立式基礎ブロックを組み立てた際に,この建柱穴7が複数連結されて,柱を通すことができるようになる。建柱穴7の例は,ブロック本体1の中心を通って貫通する穴である。
【0021】
ブロック本体1を貫通する貫通穴9と,ブロック本体1の上面から途中まで続く穴であるインサート11を有する。組立式基礎ブロックを組み立てた際に下層にあるインサート11の上部に貫通穴9が位置することが好ましい。貫通穴9及びインサート11の数の例は,をそれぞれ2つである。それぞれの貫通穴9を,ブロック本体1の上面の中点について90°回転させた位置には,インサート11が位置することが好ましい。貫通穴9を通して,インサート11にボルトを挿入する。すると,上下の組立式基礎ブロックが固定されることとなる。インサートは,ボルトの一部が挿入され,ボルトの一部を収容するための要素である。貫通穴9及びインサート11は回転対称となる位置に存在することが好ましい。貫通穴9及びインサート11が回転対称となる位置にあるので,上層に位置する基礎ブロックを回転させた後に,下層に搭載した場合,下層の基礎ブロックのインサート11に対応した位置に,上層の貫通穴9が存在することとなり,ボルトなどの連結手段(連結要素)を用いて,インサート11と貫通穴9とを接続し,これにより下層と上層とを固定できる。この場合,貫通穴9とインサート11(の中心穴)は,
図1のように対角線上(であって,各角から同じ距離である位置)に存在するものが好ましい。
【0022】
貫通穴9は,上記の目的を達成できる形状であれば,どのようなものであっても構わない。貫通穴9のブロック本体1の上面における形状が円形の場合,その直径の例は1cm以上40cm以下であり,2cm以上10cm以下でもよい。貫通穴9のブロック本体1の上面における形状が四角形(又は多角形)の場合,一片の長さの例は1cm以上20cm以下であり,2cm以上10cm以下でもよい。
【0023】
インサート11のブロック本体1の上面における形状が円形の場合,その直径の例は0.5cm以上10cm以下であり,1cm以上4cm以下でもよい。インサート11のブロック本体1の上面における形状が四角形(又は多角形)の場合,一片の長さの例は0.5cm以上10cm以下であり,1cm以上4cm以下でもよい。
【0024】
図2は,上部用の組立式基礎ブロックの基本構造例を示す概念図である。
図2(a)は,組立式基礎ブロックを上面から見た様子を示す。
図2(b)は,組立式基礎ブロックを横から見た様子を示す。
図2(c)は,
図2(b)より製品高さが低い組立式基礎ブロックを横から見た様子を示す。上部用の組立式基礎ブロックは,その上に組立式基礎ブロックが存在しないので,又は複数の凸部3a,3b,3c,3dが存在していない。また,この例では,上部の各辺の角が面取りされている。
【0025】
図3は,組立式基礎ブロックを積み上げる例を説明するための図である。
図1(a)のような基礎ブロックをA層とすると,その状態から90°回転させた状態の基礎ブロックをB層としてA層に搭載する。すると,A層の2つのインサート11の上部には,B層の貫通穴9が位置することとなる。その状態で,2つの貫通穴9からボルトを入れて,インサート11と貫通穴とを固定する。すると,A層とB層とが接続されることとなる。ボルトを挿入した後には,コーキング剤,充填剤,シーリング材又はコンクリートを貫通穴9から入れてもよい。目的とする高さ付近まで基礎ブロックを積み上げた後に,
図2に示される最上部用の基礎ブロックを積み上げる。このようにして,基礎構造を得ることができる。その後は,例えば,建柱穴7に柱を通し,コンクリートを用いて柱と基礎構造とを固定する。
【0026】
図4は,組立式基礎ブロックの
図1とは別の例を示す図である。
図4に示されるように,凸部(したがって凹部)は,各辺の中心ではない位置に存在してもよい。この場合,複数の凸部(したがって凹部)は,回転対称となる位置に存在することが好ましい。回転対称となる位置にあるので,上層に位置する基礎ブロックを回転させた後に,下層に搭載した場合でも,下層の基礎ブロックに対応した位置に,上層の凹部が存在することとなり,上層の凹部に下層の凸部がはまることとなる。この関係は,貫通穴9とインサート11にも当てはまる。貫通穴9及びインサート11は回転対称となる位置に存在することが好ましい。この場合,貫通穴9とインサート11は,
図1のように対角線上に存在するものでなくても,
図4のように各辺の中心部分に貫通穴9又はインサート11が存在するものでもよい。
【0027】
図5は,複数の組立式基礎ブロックを用いて得られた基礎構造物の概念図である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明は,組立式基礎ブロックに関するので,建設機材業や建設業において利用されうる。
【符号の説明】
【0029】
1 ブロック本体
3a,3b,3c,3d 凸部
5a,5b,5c,5d 凹部
7 建柱穴
9 貫通穴
11 インサート
【要約】 (修正有)
【課題】希望する場所で組立てて基礎構造物を製造できる組立式基礎ブロックを提供する。
【解決手段】ブロック本体1を有する組立式基礎ブロックであって、ブロック本体1の上面に設けられた1又は複数の凸部3a、3b、3c、3dと、ブロック本体1の下面に設けられた1又は複数の凹部5a、5b、5c、5dであって、1又は複数の凸部3a、3b、3c、3dに対応した位置に設けられ、1又は複数の凸部3a、3b、3c、3dを収容できる形状を有するものとを有し、ブロック本体1は、ブロック本体1に柱を通すための建柱穴7と、ブロック本体1を貫通する貫通穴9と、ブロック本体1の上面から途中まで続く穴であるインサート11をさらに有する。
【選択図】
図1