特許第6446858号(P6446858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446858
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】一対の回転ロールを備える加工装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/20 20170101AFI20181220BHJP
   B31B 70/64 20170101ALI20181220BHJP
   B26D 1/12 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   B31B70/20
   B31B70/64
   B26D1/12
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-129518(P2014-129518)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2016-7764(P2016-7764A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】相川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】丹生 啓佑
【審査官】 西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−166109(JP,A)
【文献】 実開平06−070902(JP,U)
【文献】 特開2014−046655(JP,A)
【文献】 特開2014−140886(JP,A)
【文献】 実開昭53−100187(JP,U)
【文献】 特開2008−307611(JP,A)
【文献】 実開平03−065692(JP,U)
【文献】 実開昭52−095172(JP,U)
【文献】 特開2005−058070(JP,A)
【文献】 実開昭54−124035(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B70/00−70/99
B26D1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の回転ロールを備える加工装置であって、
前記一対の回転ロールの少なくとも一方は、左右の取付ロールと前記取付ロール間に取り付けられた正四角柱部材と、前記四角柱部材に装着された加工金型とを具備し、
前記正四角柱部材の回転軸と前記取付ロールの回転軸とは一致し、
前記正四角柱部材において前記回転軸に沿って延びる角部の一つに被装着角部が規定されると共に、前記加工金型には外側に向かって無限に開放された直角凹状の装着角部が形成され、前記加工金型は、前記装着角部が前記被装着角部の頂点を跨って密接した状態で前記正四角柱部材に装着され、
前記加工金型による加工時には、前記左右の取付ロールの回転軸、前記正四角柱部材の被装着角部の頂点、前記加工金型による加工位置、及び他方の回転ロールの回転軸が同一直線上に位置する、ことを特徴とする一対の回転ロールを備える加工装置。
【請求項2】
前記加工装置が樹脂フィルムを冷間加工する加工装置である請求項1に記載の一対の回転ロールを備える加工装置。
【請求項3】
前記加工装置が樹脂フィルムから成る中間パウチを冷間加工する加工装置である請求項1に記載の一対の回転ロールを備える加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の回転ロールを備える加工装置であって、さらに詳しくは一対の回転ロールを備え、少なくとも一方の回転ロールに加工金型を装着した加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種液体調味料或いは液体洗剤等のための容器として、周知のとおり、樹脂フィルムから成る袋状のパウチが広く実用に供されている。そして、このようなパウチに注出口、易開封のノッチ、或いは易開封溝を形成するため、本出願人は、特許文献1に開示されている如く、樹脂フィルム、或いは樹脂フィルムを重ね合わせてヒートシールした中間パウチに、冷間で注出口などを張り出させる立体成形を行う圧縮成形、或いはこの圧縮成形に加えてフルカット加工、ハーフカット加工を行う成形ロール(回転ロール)によるロータリー加工装置を提案した。
【0003】
そして、前述した加工装置は一対の回転ロールを備え、一方の回転ロールの外周面に、加工金型が着脱可能に装着されている。このような回転ロールを備える加工装置においては、一方の回転ロールに装着された加工金型と他方の回転ロールとにより、樹脂フィルム、中間パウチに、前述した圧縮成形、フルカット加工、ハーフカット加工等が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−46655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような一対の回転ロールを備える加工装置においては、一方の回転ロールの外周面の平坦面に、ボルト締め、ネジ締め等によって加工金型が装着されている。この結果、加工金型と他方の回転ロールによって樹脂フィルム等を加工する際に、両者間に生じるニップ抗力Nに起因して、回転ロールに装着した加工金型が、特に、樹脂フィルム等の搬送方向の上流側、或いは下流側に移動し、適正な加工力を樹脂フィルム等の被加工材に付与することができない。
【0006】
本発明は前記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、一対の回転ロールを備え、少なくとも一方の回転ロールの外周面に、加工金型が着脱可能に装着された加工装置による加工の際に、前記加工金型の回転ロールの装着面上での移動を確実に回避して、樹脂フィルム、中間パウチ等の被加工材に適正な加工力を付与することができる、新規、且つ改良された回転ロールを備える加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
一対の回転ロールを備える加工装置であって、
前記一対の回転ロールの少なくとも一方は、左右の取付ロールと前記取付ロール間に取り付けられた正四角柱部材と、前記四角柱部材に装着された加工金型とを具備し、
前記正四角柱部材の回転軸と前記取付ロールの回転軸とは一致し、
前記正四角柱部材において前記回転軸に沿って延びる角部の一つに被装着角部が規定されると共に、前記加工金型には外側に向かって無限に開放された直角凹状の装着角部が形成され、前記加工金型は、前記装着角部が前記被装着角部の頂点を跨って密接した状態で前記正四角柱部材に装着され、
前記加工金型による加工時には、前記左右の取付ロールの回転軸、前記正四角柱部材の被装着角部の頂点、前記加工金型による加工位置、及び他方の回転ロールの回転軸が同一直線上に位置する、ことを特徴とする一対の回転ロールを備える加工装置が提供される。
【0008】
また、本発明の一対の回転ロールを備える加工装置においては、
.前記加工装置が樹脂フィルムを冷間加工する加工装置であること、
.前記加工装置が樹脂フィルムから成る中間パウチを冷間加工する加工装置であること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一対の回転ロールを備える加工装置によれば、被加工材を加工する際に、回転ロールに装着した加工金型の移動が確実に回避され、樹脂フィルム、中間パウチ等の被加工材に適正な加工力を付与することができ、加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一対の回転ロールを備える加工装置の斜視図。
図2図1に示す加工装置の断面図。
図3図2の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一対の回転ロールを備える加工装置の実施形態について説明する。
【0012】
本発明の一対の回転ロールを備える加工装置は、前述した樹脂フィルム、中間パウチ等の被加工材に、圧縮成形、フルカット加工、或いはハーフカット加工等の加工を、例えば冷間加工で行う加工装置10であり、図1に示すように、この加工装置10は一対の回転ロール16a、16bを備え、図示しない適宜の駆動手段によって回転し、支持手段により相互にニップ(密着)力を付与した状態で回転自在に軸支される。
尚、本実施形態においては、上側の回転ロール16aの回転軸22が適宜の駆動手段によって回転し、下側の回転ロール16bが上側の回転ロール16aの後述する取付ロール18のロール表面との間で生じるニップ(密着)力に起因して回転する。
【0013】
本実施形態においては、一方(上側)の回転ロール16aは、左右の取付ロール18、18と、この取り付けロール18、18間に取り付けられる四角柱部材20、及びそれらの回転中心軸を一致させて、前記した左右の取付ロール18、18を超えて延びる回転軸22と、を設けている。そして、図2に示すように、前記した正四角柱部材20の断面の対角線の距離は、取付ロール18、18の直径よりも短く、加工金型28を装着するスペースを有して、この正四角柱部材20は、前記取付ロール18、18に装着されている。
また、他方の円筒型回転ロール16bは、その回転中心軸を、その回転ロール16bの両端部を超えて延びる回転軸24を設けている。
【0014】
また、前述した正四角柱部材20の隣接する外側面25aと25bとの接続部には、図2及び図3に示すように、頂角Aにより規定される被装着角部26が設けられ(従って、正四角柱部材20において回転軸に沿って延びる角部の一つに被装着角部26が規定されている)、この被装着角部26を軸方向に延在させて、正四角柱部材20を回転ロール16aの左右の取付ロール18、18間に取り付けている。
【0015】
一方、正四角柱部材20に装着する加工金型28は、所定の加工形状が施された加工面30、正四角柱部材20の被装着角部(外側面25a、25b、頂角A)26と密接する装着角部32、及び加工面30と装着角部32とを接続する接続面34を軸方向に延在して形成している。また、この加工金型28の装着角部32は、隣接する装着面36a、36bと、それらが形成する90度の内角Bで構成され、外側に向かって無限に開放された直角凹状である。加工金型28の加工面30は、その断面形状が取付ロール18と同一曲率の円弧状面として形成されている。
【0016】
そして、回転ロール16aの左右の取付ロール18、18間に取り付けた正四角柱部材20への加工金型28の装着は、前述した正四角柱部材20の被装着角部26(外側面25a、25b、頂角A)に、加工金型28の装着角部32(装着面36a、36b、内角B)を密接させて行われる。つまり、加工金型28は、装着角部32が被装着角部26の頂点Aを跨って密接した状態で正四角柱部材20に装着される。
【0017】
本実施形態の回転ロールを備える加工装置による樹脂フィルム、中間パウチ等の被加工材の加工は、回転ロール16a、16b間に、図2に示すように、例えば樹脂フィルムFを搬送し、上側の回転ロール16aの正四角柱部材20の装着角部26に装着した加工金型28の加工面30と、下側の回転ロール16bとのニップ力Nにより前述した立体成形を行う圧縮成形、フルカット加工、ハーフカット加工等が行われ、好ましくは冷間加工で行われる。本発明においては、加工金型28による加工時には、取付ロール18の左右の回転軸、正四角柱部材20の装着角部26の頂点、加工金型28による加工位置C、及び回転ロール16bの回転軸が同一直線上に位置することが重要である
【0018】
そして、これらの加工においては、前述したように、上側の回転ロール16aに取り付けた正四角柱部材20の装着角部26に、加工金型28の装着部32を装着し、下側の回転ロール16bとの間で行われることから、加工金型28の加工位置Cにおいては、図3に示すように、上方へのニップ抗力Nを受ける。しかしながら、このニップ抗力Nは、正四角柱部材20の装着角部26の外側面25a、加工金型28の装着部32の内側面36aに沿うニップ分力naと、正四角柱部材20の装着角部26の外側面25b、加工金型28の装着部32の内側面36bに沿うニップ分力nbとに分力されて軽減される。この結果、加工中の加工金型28の移動が防止され、被加工材に適正な加工力が付与されることになる。
また、被加工材に対する加工金型28の調整(最適クリアランス)も、正四角柱部材20の装着角部26の外側面25a、25bと、加工金型28の装着部32の内側面36a、36bで調整することにより、容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0019】
F:樹脂フィルム
10:加工装置
16a:回転ロール
16b:回転ロール
18:取付ロール
20:正四角柱部
26:装着角部
28:加工金型
32:装着
図1
図2
図3