特許第6446899号(P6446899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446899
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
   B65G1/04 541
   B65G1/04 505D
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-160659(P2014-160659)
(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公開番号】特開2016-37343(P2016-37343A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】木村 正博
【審査官】 小金井 匠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−142617(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0185656(US,A1)
【文献】 特開昭56−160820(JP,A)
【文献】 特開昭60−015302(JP,A)
【文献】 特開平07−187328(JP,A)
【文献】 特開2001−114206(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/158422(WO,A1)
【文献】 特開平09−295287(JP,A)
【文献】 特開2004−099208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/133
B65G 1/14− 1/20
B65G 47/82、47/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台の第一位置から前記第一位置よりも前方の第二位置まで、可動部に設けられた爪を前方に向けて移動させることで、前記載置台上の荷物を前記載置台の外部の載置場所に押し出すことのできる移載装置であって、
前記可動部の動作の制御を行うコントローラと、
前記載置台に設けられ、前記載置台における荷物の後端位置を検出し、前記載置台上の前後方向に異なる位置に並んで設けられた複数の光電センサである位置検出部と、を備え、
前記複数の光電センサのそれぞれは、前記前後方向と直交する方向に光を発することにより、当該光電センサの位置における前記荷物の存在の有無を検出し、
前記位置検出部は、前記荷物が前記載置台の所定の位置に載置されている場合、前記前後方向における複数の位置で前記荷物の存在を検出し、
前記コントローラは、
(i)前記第一位置から前記後端位置よりも所定の距離だけ後方の位置まで第一速度で前記爪が移動し、(ii)その後、前記後端位置に前記爪が至るまでの位置であって前記複数の光電センサのうち、前記載置台上の荷物を検出している光電センサの後方の隣に配置されており、かつ、前記載置台上の荷物を検出していない光電センサの位置において、前記第一速度よりも遅い第二速度に前記爪が減速して移動し、かつ、(iii)前記爪が前記荷物の後端に当接した後に、前記第二速度よりも速い第三速度で前記第二位置まで前記爪が移動するように、前記制御を行う
移載装置。
【請求項2】
さらに、
前記可動部に設けられ、前記爪が前記荷物の後端に当接したことを検出する当接検出部を備え、
前記コントローラは、前記当接検出部により前記爪が前記荷物の後端に当接したことを検出した後に、前記第三速度で前記第二位置まで前記爪が移動するように、前記制御を行う
請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
さらに、
荷物のサイズと、前記サイズの荷物が前記載置台上の所定の位置に配置されているときに、前記複数の光電センサのうちの物体を検出している光電センサの数とが予め関連付けられたサイズ情報を記憶している記憶部を備え、
前記コントローラは、さらに、前記複数の光電センサの検出結果が、前記記憶部に記憶されているサイズ情報で関連付けられている前記光電センサの数と合致するか否かを判定し、前記検出結果が前記光電センサの数と合致しない場合、前記荷物が前記載置台上の前記所定の位置に配置されていないと判定する
請求項に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を保持するラック等に対する荷物の移載を行う移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を保持するラックと荷物を搬送する搬送台車との間で荷物を移載するために、搬送台車には荷物の移載装置が備えられている。
【0003】
このような、荷物を搬送台車の載置台と載置台の外部の載置場所との間で移載する方式としては、伸縮するアームに設けられた爪により荷物の押し出しおよび引き込みを行うことで荷物の移載を行うプッシュプル式を例示することができる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、荷物の取り込みのためにアームを伸縮させるときに、アームを伸縮させる速度を変更させることで、荷物の位置検出の精度向上と、荷物を取り込むまでの時間短縮とを両立させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/158422号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、載置台からラックの載置場所へと荷物を押し出すときのことは考慮されていない。つまり、載置台から載置場所へ荷物を押し出すときに、どのように押し出すことが最適であるかは考慮されていない。
【0006】
そこで、本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、短時間、かつ、荷物にとって最適な状態で、載置台から載置場所に荷物を押し出すことができる移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る移載装置は、載置台の第一位置から前記第一位置よりも前方の第二位置まで、可動部に設けられた爪を前方に向けて移動させることで、前記載置台上の荷物を前記載置台の外部の載置場所に押し出すことのできる移載装置であって、前記可動部の動作の制御を行うコントローラと、前記載置台に設けられ、前記載置台における荷物の後端位置を検出し、前記載置台上の前後方向に異なる位置に並んで設けられた複数の光電センサである位置検出部と、を備え、前記複数の光電センサのそれぞれは、前記前後方向と直交する方向に光を発することにより、当該光電センサの位置における前記荷物の存在の有無を検出し、前記位置検出部は、前記荷物が前記載置台の所定の位置に載置されている場合、前記前後方向における複数の位置で前記荷物の存在を検出し、前記コントローラは、(i)前記第一位置から前記後端位置よりも所定の距離だけ後方の位置まで第一速度で前記爪が移動し、(ii)その後、前記後端位置に前記爪が至るまでに、前記複数の光電センサのうち、前記載置台上の荷物を検出している光電センサの後方の隣に配置されており、かつ、前記載置台上の荷物を検出していない光電センサの位置において、前記第一速度よりも遅い第二速度に前記爪が減速して移動し、かつ、(iii)前記爪が前記荷物の後端に当接した後に、前記第二速度よりも速い第三速度で前記第二位置まで前記爪が移動するように、前記制御を行う。
【0008】
これによれば、荷物を載置台から押し出すときに、可動部を高速で移動させることができ、かつ、荷物に当接する位置で低速に移動するように減速させることができる。このため、爪を荷物に対して低速の第二速度で当てることができるため、荷物に爪が当接するときの衝撃による荷物へのダメージを軽減することができる。また、爪が荷物に当接した後で、再び高速の第三速度で爪を移動させることができるため、荷物を載置台から載置場所に押し出すまでにかかる時間を短縮することができる。よって、移載装置では、短時間、かつ、荷物にとって最適な状態で、載置台から載置場所に荷物を押し出すことができる。
【0009】
また、前記位置検出部は、前記載置台上の前後方向に並んで設けられた複数の光電センサであり、前記コントローラは、前記複数の光電センサのうち、前記載置台上の荷物を検出している光電センサの後方の隣に配置されており、かつ、前記載置台上の荷物を検出していない光電センサの位置において、前記第二速度に減速して前記爪が移動するように、前記制御を行ってもよい。
【0010】
これによれば、複数の光電センサを載置台の前後方向に並べて配置することで、載置台上の荷物の後端の位置を検出しているため、コントローラが可動部に対して複雑な制御を行わなくても正確に荷物の後端の位置を検出できる。
【0011】
また、さらに、前記可動部に設けられ、前記爪が前記荷物の後端に当接したことを検出する当接検出部を備え、前記コントローラは、前記当接検出部により前記爪が前記荷物の後端に当接したことを検出した後に、前記第三速度で前記第二位置まで前記爪が移動するように、前記制御を行ってもよい。
【0012】
これによれば、当接検出部により爪が荷物の後端に当接したことを検出しているため、当接したことを検出した位置において低速の第二速度から高速の第三速度に爪の移動速度を切り替えることができる。このため、荷物に衝撃を加えることを抑えつつ、荷物を押し出す距離に対する荷物を高速で押し出す距離の割合を長くすることができる。
【0013】
また、さらに、荷物のサイズと、前記サイズの荷物が前記載置台上の所定の位置に配置されているときに、前記複数の光電センサのうちの物体を検出している光電センサの数とが予め関連付けられたサイズ情報を記憶している記憶部を備え、前記コントローラは、さらに、前記複数の光電センサの検出結果が、前記記憶部に記憶されているサイズ情報で関連付けられている前記光電センサの数と合致するか否かを判定し、前記検出結果が前記光電センサの数と合致しない場合、前記荷物が前記載置台上の前記所定の位置に配置されていないと判定してもよい。
【0014】
これによれば、載置台の所定の位置に荷物が載置されているか否かを判定することができる。例えば、載置台から荷物がはみ出して載置されているか否かを判定することができる。
【0015】
なお、本発明は、上記いずれかの態様に係る移載装置を備える搬送台車として実現すること、および、上記いずれかの態様に係る移載装置が実行する特徴的な処理を含む移載方法として実現することもできる。また、当該移載方法が含む各処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0016】
本発明の移載装置は、短時間、かつ、荷物にとって最適な状態で、載置台から載置場所に荷物を押し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1における移載装置の構成概要を示す図である。
図2】実施の形態1における移載装置がラックに荷物を載置する際の動作を示す図である。
図3】実施の形態1における移載装置が荷物を取り込む際の動作を示す図である。
図4】実施の形態1における移載装置の動作の制御系統に関するブロック図である。
図5】実施の形態1における移載装置の爪の可動範囲と、位置検出部の位置との関係を説明するための図である。
図6】実施の形態1における移載装置による荷物の押し出し動作における可動部の移動速度の変化の例を示す図である。
図7】実施の形態2における移載装置の構成概要を示す図である。
図8】実施の形態2における移載装置による荷物の押し出し動作における可動部の移動速度の変化の例を示す図である。
図9】実施の形態3における移載装置の動作の制御系統に関するブロック図である。
図10】実施の形態3におけるサイズ情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一態様に係る移載装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における移載装置の構成概要を示す図である。
【0021】
図1に示す、移載装置100は、載置台120と、載置台120に設けられた位置検出部105と、載置台120に設けられた可動部110と、可動部110の先端部に設けられた爪102と、可動部110の動作の制御を行うコントローラ108とを備える。
【0022】
なお、本実施の形態1においては、移載装置100は、並行して設置された2本のレールで構成された走行路160を走行する搬送台車150に設置されている。つまり、移載装置100は、搬送台車150が走行路160に沿って移動することで、搬送台車150の前方に配置されたラック(図1に図示せず)が有する複数の棚のそれぞれに対する荷物の移載を行うことができる。
【0023】
また、移載装置100は、2つのアームから構成される可動部110を備え、これらは左右方向(X軸方向)に所定の間隔をあけて配置されている。これら可動部110には、上記の先端部の爪102に加え、後端部の爪103も備えられている。
【0024】
先端部の爪102および後端部の爪103はそれぞれ、Y軸方向に平行な回動軸を中心に回動することで、可動部110から出退することができる。
【0025】
また、可動部110は、トップ部111と、ミドル部112と、ベース部113とを有し、これらによって、テレスコピック構造が構成されている。つまり、駆動装置(図示せず)によってベース部113に対してミドル部112を突出するようにスライドさせると、当該動作に連動してトップ部111がミドル部112に対して突出するようにスライドする。これにより、可動部110は全体として伸長する。
【0026】
また、伸長した可動部110を縮める場合、駆動装置によって、ベース部113に対してミドル部112を収めるようにスライドさせると、当該動作に連動してトップ部111もミドル部112に対して収まるようにスライドする。これにより、伸長した可動部110は縮められる。
【0027】
このように伸縮する可動部110の動作は、上記のようにコントローラ108によって制御される。コントローラ108は例えば、情報の入出力を行うインタフェース、並びに、制御プログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)およびメモリ等を備えるコンピュータによって実現される。
【0028】
また、コントローラ108は、可動部110とともに搬送台車150に備えられていてもよい。また、コントローラ108は、例えば搬送台車150と有線または無線のネットワークを介して接続され、かつ、当該ネットワークを利用した通信を行うことが可能な通信装置を備えていてもよい。
【0029】
位置検出部105は、載置台120に設けられ、載置台120における荷物の後端位置を検出する。具体的には、位置検出部105は、載置台120上の前後方向に並んで設けられた複数の光電センサにより実現される。
【0030】
コントローラ108は、位置検出部105による検出結果に基づいて、可動部110の動作の制御を行う。コントローラ108による具体的な制御内容は、図5および図6を用いて後述する。
【0031】
次に、移載装置100の基本的な動作を図2および図3を用いて説明する。
【0032】
なお、2つの可動部110はともに同じ動作を行うため、以下、1つの可動部110についてのみ説明する。
【0033】
図2は、実施の形態1における移載装置100がラック300に荷物200を載置する際の動作を示す図である。
【0034】
図2に示すように、可動部110の後端部の爪103が荷物200の方向に突出した状態で、可動部110が伸ばされる。これにより、搬送台車150上に載置されていた荷物200は、ラック300が備える棚まで押し出される。このとき、可動部110の後端部の爪103は、載置台120の第一位置P1から第一位置P1よりも前方の第二位置P2までを、移動することになる。なお、第二位置P2は、載置台120よりも前方(外方)の位置である。このように、移載装置100では、可動部110に設けられた後端部の爪103を前方に向けて移動させることで、載置台120上の荷物を載置台120の外部の載置場所であるラック300に押し出すことができる。
【0035】
図3は、実施の形態1における移載装置100が荷物200を取り込む際の動作を示す図である。
【0036】
図3に示すように、可動部110の先端部の爪102が、荷物200の後端(図3における荷物200の下端)より後方に位置する状態まで、可動部110が伸長された後、爪102が荷物200の方向に突出される。
【0037】
また、この状態で、可動部110が縮められる。これにより、爪102を荷物200の後端に当接させながら荷物200をラック300の棚(載置場所)から、搬送台車150上の所定の場所(載置台120)に取り込むことができる。
【0038】
なお、このように荷物の後端に爪を引っ掛けて取り込む方式は、リアフック方式とも呼ばれる。
【0039】
移載装置100では、荷物200を押し出す制御を行う場合、上述のように、位置検出部105の検出結果を用いて可動部110の動作が制御される。
【0040】
図4は、実施の形態1における移載装置100の動作の制御系統に関するブロック図である。
【0041】
移載装置100では、位置検出部105が、載置台120上の荷物200の後端位置を検出し検出結果をコントローラ108に通知する。具体的には、位置検出部105は、複数の光電センサのうち、載置台120上の荷物200を検出している第一光電センサと、当該第一光電センサの後方の隣に配置されており、かつ、載置台120上の荷物を検出していない第二光電センサとを特定する。これにより、位置検出部105は、第一光電センサの位置と第二光電センサの位置との間に後端位置があると判断する。
【0042】
コントローラ108は、位置検出部105から通知された検出結果に基づいて、第一位置P1から位置検出部105が検出した後端位置よりも所定の距離だけ後方の位置まで第一速度で爪103が移動するように可動部110を伸張させる。なお、所定の距離とは、第一速度から第二速度までに減速するのに要する距離以上の距離であればよく、減速の能力に応じて変化する。
【0043】
次に、コントローラ108は、後端位置に爪103が至るまでに、第一速度よりも遅い第二速度に爪103が減速して移動するように、可動部110を伸張させる。
【0044】
次に、コントローラ108は、爪103が荷物の後端に当接した後に、第二速度よりも速い第三速度で第二位置P2まで爪103が移動するように、可動部110を伸張させる。
【0045】
このように、実施の形態1における移載装置100は、コントローラ108による可動部110の動作制御に特徴を有している。そこで、コントローラ108による可動部110の動作制御について図5および図6を用いて具体的に説明する。
【0046】
図5は、実施の形態1における移載装置100の爪103の可動範囲と、位置検出部105の位置との関係を説明するための図である。
【0047】
図5に示すように、移載装置100では、位置検出部105として複数の光電センサ105aa〜105ea,105ab〜105ebがY軸方向に並んで配置されている。複数の光電センサ105aa〜105ea,105ab〜105ebは、光を発する投光器105aa〜105eaと、投光器105aa〜105eaから発せられた光を検出する受光器105ab〜105ebとから構成されている。また、投光器105aa〜105eaと、受光器105ab〜105ebとは一台ずつがペアとなっている。つまり、投光器105aaから発せられた光は、受光器105abにより検出される。投光器105baから発せられた光は、受光器105bbにより検出される。投光器105caから発せられた光は、受光器105cbにより検出される。投光器105daから発せられた光は、受光器105dbにより検出される。投光器105eaから発せられた光は、受光器105ebにより検出される。
【0048】
また、ペアとなっている投光器105aa〜105eaと、受光器105ab〜105ebとは、Y軸方向に直交するX軸方向にそれぞれ並んでいる。つまり、投光器105aa〜105eaは、X軸方向に平行に光を発する。つまり、受光器105abが光を受光している場合には、載置台120のY軸方向の位置P11に荷物が存在しないことを示す。同様に、受光器105bbが光を受光している場合には、載置台120のY軸方向の位置P12に荷物が存在しないことを示す。同様に、受光器105cbが光を受光している場合には、載置台120のY軸方向の位置P13に荷物が存在しないことを示す。同様に、受光器105dbが光を受光している場合には、載置台120のY軸方向の位置P14に荷物が存在しないことを示す。同様に、受光器105ebが光を受光している場合には、載置台120のY軸方向の位置P15に荷物が存在しないことを示す。
【0049】
このように、Y軸方向に複数の光電センサが並んで設けられた位置検出部105を用いることで、荷物の後端位置を所定の範囲に特定することができる。つまり、上述したように、位置検出部105は、複数の光電センサのうち、載置台120上の荷物を検出している第一光電センサと、当該第一光電センサの後方の隣に配置されており、かつ、載置台120上の荷物を検出していない第二光電センサとを特定する。これにより、位置検出部105は、第一光電センサの位置と第二光電センサの位置との間に後端位置があると判断する。なお、図5の例では、第一光電センサは、投光器105caおよび受光器105cbのペアであり、第二光電センサは、投光器105baおよび受光器105bbのペアである。このため位置検出部105は、位置P12と位置P13との間の範囲(所定の範囲)に荷物200の後端位置が存在すると判断できる。
【0050】
図6は、実施の形態1における移載装置100による荷物200の押し出し動作における可動部110の移動速度の変化の例を示す図である。
【0051】
図6に示すように、コントローラ108は、まず、爪103が第一位置P1から第一速度V1になるように加速して、可動部110を伸張させる。この第一速度V1は、例えば、荷物の負荷がない状態における可動部110の最高伸長速度(空荷最高速度)である。
【0052】
その後、コントローラ108は、位置P12および位置P13との間の範囲に後端位置が存在すると判断しているため、爪103が位置P12に至るまでに、第一速度V1よりも遅い第二速度V2に爪103が減速するように、可動部110を伸張させる。
【0053】
次に、コントローラ108は、位置P12から位置P13までを爪103が第二速度V2で移動するように、可動部110を伸張させる。このとき、荷物200の後端位置は位置P12から位置P13の間に存在するため、爪103は、位置P12から位置P13の間の位置で荷物200に当接し、荷物200に当接した状態で前方に向けて移動することになる。なお、第二速度V2は、爪103が荷物200に接触した場合であっても当該荷物200にダメージを与えることのない程度に遅い速度(接触速度)である。
【0054】
次に、コントローラ108は、爪103が位置P13に到達したときに、爪103が荷物200の後端に確実に当接したと判断できるため、第二速度V2よりも速い第三速度V3で第二位置P2まで爪103が移動するように、可動部110を伸張させる。この第三速度V3は、例えば、荷物200を押し出す負荷がある状態における可動部110の最高伸張速度(実荷最高速度)である。なお、この場合の第三速度V3は、図6に示されるように、第一速度V1よりも遅い速度となっているが、第一速度V1と同じ速度であってもよいし、第一速度よりも速い速度であってもよい。つまり、第一速度V1および第三速度V3は、第二速度V2よりも速い速度であれば、互いに異なる速度であってもよいし、同じ速度であってもよい。
【0055】
なお、荷物200を後方側に押し出すときには、上記の制御を反対に行えばよい。つまり、爪102を用いて載置台120上の荷物200を後方に押し出すことになる。
【0056】
このように、実施の形態1の移載装置100は、荷物200を押し出す際に、爪103が第一位置P1から荷物200の後端位置よりも所定の距離だけ後方の位置まで第一速度V1で爪が移動するように可動部110を伸張させる。その後、後端位置に爪103が至るまでに、第一速度V1よりも遅い第二速度V2に爪が減速して移動するように可動部110を伸張させる。そして、爪103が荷物200の後端に当接した後に、第二速度V2よりも速い第三速度V3で第二位置P2まで爪103が移動するように、可動部110を伸張させる。
【0057】
これにより、荷物200を載置台120から押し出すときに、荷物200に当接する所定の範囲において減速した第二速度V2で爪103を移動させているため、爪103を荷物に対して低速の第二速度V2で当てることができる。これにより、荷物200に爪103が当接するときの衝撃による荷物200へのダメージを軽減することができる。また、爪103が荷物200に当接した後で、再び高速の第三速度V3で爪103を移動させることができるため、荷物200を載置台120からラック300の棚に押し出すまでにかかる時間を短縮することができる。よって、移載装置100では、短時間、かつ、荷物にとって最適な状態で、載置台120から載置場所に荷物200を押し出すことができる。
【0058】
また、実施の形態1の移載装置100は、載置台120に設けられた位置検出部105により荷物200の後端の位置を検出しているため、荷物200の後端の位置を検出するための動作を行う必要が無い。このため、荷物200を押し出すための動作を可動部110に初めから行わせることができる。
【0059】
また、実施の形態1の移載装置100によれば、位置検出部105が載置台120の前後方向に複数並べられた光電センサにより構成されており、このような位置検出部105により載置台120上の荷物200の後端の位置を検出している。このため、コントローラ108が可動部110に対して複雑な制御を行わなくても正確に荷物200の後端の位置を検出できる。
【0060】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の移載装置について説明する。
【0061】
図7は、実施の形態2における移載装置100aの概要構成を示す図である。
【0062】
図7に示す、移載装置100aは、実施の形態1の移載装置100の各構成要素にさらに、当接検出部106、107を備える。つまり、移載装置100aの当接検出部106、107以外の各構成要素は、実施の形態1の移載装置100の各構成要素と同様であるため、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0063】
当接検出部107は、移載装置100が載置台120上の荷物200を押し出すときに、可動部110に設けられた爪103が荷物200の後端部に当接したことを検出する装置であり、例えば、光電センサにより実現される。当接検出部107は、可動部110の後端部に設けられ、爪103が荷物200の後端に当接したことを当該光電センサの検出結果と爪103が移動した距離とを用いて検出する。具体的には、当接検出部107は、爪103を荷物200が載置されている方向(Y軸方向マイナス側)に向けて移動させている場合、当該光電センサが荷物(物体)200の存在を検出してから爪103と当該光電センサとの間のY軸方向における距離だけ爪103がY軸方向マイナス側に移動したときに、爪103が荷物200に当接したと検出する。また、当接検出部106は、当接検出部107と同様の構成であり、載置台120上の荷物を後方のラックに押し出すときに、可動部110に設けられた爪102が荷物200の前端部に当接したことを検出する。
【0064】
コントローラ108は、実施の形態1の移載装置100での位置検出部105の検出結果を用いた制御に加えて、当接検出部107の検出結果を用いた制御を行う。具体的には、コントローラ108は、第二速度V2から第三速度V3に加速させるタイミングを、当接検出部107により爪103が荷物200の後端に当接したことを検出したタイミングとして、可動部110を伸張する。つまり、コントローラ108は、爪103が荷物200の後端に当接したことを当接検出部107が検出した後に、第三速度V3で第二位置P2まで爪103が移動するように、可動部110の制御を行う。
【0065】
図8は、実施の形態2における移載装置100aによる荷物200の押し出し動作における可動部110の移動速度の変化の例を示す図である。なお、図8は、実施の形態1と同様に、図5に示すように載置台120に荷物200が載置されているときの行われる制御である。
【0066】
図8に示すように、コントローラ108は、まず、実施の形態1と同様に、爪103が第一速度V1で移動するように加速し、位置P12よりも所定の距離だけ後方の位置まで第一速度V1で爪103が移動し、その後、位置P12に至るまでに第二速度V2に爪103が減速して移動するように可動部110を制御する。そして、コントローラ108は、位置P12から爪103が第二速度V2で移動するように、可動部110を伸張する。ここまでは、コントローラ108は、実施の形態1と同様の制御を行う。
【0067】
その後、コントローラ108は、爪103が荷物200の後端に当接したことを当接検出部107が検出したタイミングで、第三速度V3で第二位置P2まで爪103が移動するように、可動部110を伸張する。
【0068】
なお、荷物200を後方側に押し出すときには、上記の制御を反対に行えばよい。つまり、爪102を用いて載置台120上の荷物200を後方に押し出すため、コントローラ108は、荷物200の前端部に爪102が当接したか否かを当接検出部106の検出結果で判断する。
【0069】
このように、実施の形態2の移載装置100aは、爪103が荷物200の後端に当接したか否かを、当接検出部107の検出結果により判断しているため、第二速度V2から第三速度V3に加速するタイミングを、爪103が荷物200の後端に当接したタイミングとすることができる。これにより、第三速度V3に加速するタイミングを早めることができるため、より短時間、かつ、荷物200に衝撃が加わらないような状態で、載置台120からラック300の棚に荷物200を押し出すことができる。
【0070】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の移載装置について説明する。
【0071】
図9は、実施の形態3における移載装置100bの動作の制御系統に関するブロック図である。
【0072】
移載装置100bでは、実施の形態1における移載装置100の各構成要素にさらに、記憶部109を備える。つまり、移載装置100bの記憶部109以外の各構成要素は、実施の形態1の移載装置100の各構成要素と同様であるため、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0073】
記憶部109は、荷物のサイズと、当該サイズの荷物が載置台120上の所定の位置に配置されているときに、位置検出部105の複数の光電センサのうち物体を検出している光電センサの数とが予め関連付けられたサイズ情報を記憶している。
【0074】
コントローラ108は、さらに、位置検出部105の複数の光電センサの検出結果が、記憶部109に記憶されているサイズ情報で関連付けられている光電センサの数と合致するか否かを判定し、検出結果が光電センサの数と合致しない場合、荷物が載置台120上の所定の位置に配置されていないと判定する。
【0075】
図10は、サイズ情報の一例を示す図である。
【0076】
図10に示すように、載置台120に載置される荷物のサイズのタイプにはサイズAおよびサイズBのように2種類あるとする。つまり、上記の2種類のサイズの荷物だけが載置台120に載せられるものと仮定する。
【0077】
この場合、サイズAの荷物は、載置台120の所定の位置(つまり、載置台120の上面に荷物が収まって配置される位置)に載置された場合、位置検出部105の複数の光電センサのうち5つの光電センサ(つまり全ての光電センサ)により載置台120上での荷物の存在が検出される荷物である。また、サイズBの荷物は、載置台120の所定の位置に載置された場合、位置検出部105の複数の光電センサのうち3つの光電線センサにより載置台120上での荷物の存在が検出される荷物である。
【0078】
このため、コントローラ108は、位置検出部105の光電センサのうちの例えば4つの光電センサが載置台120上の荷物の存在を検出している場合、サイズAの荷物が載置台120の所定の位置に載置されておらず、載置台120からはみ出して載置されていると判定できる。また、位置検出部105の光電センサのうちの例えば1つまたは2つの光電センサが載置台120上の荷物の存在を検出している場合、サイズAまたはサイズBの荷物が載置台120の所定の位置に載置されておらず、載置台120からはみ出して載置されていると判定できる。
【0079】
このように、実施の形態3の移載装置100bによれば、コントローラ108は、載置台120の所定の位置に荷物が載置されているか否かを判定することができる。このため、はみ出して荷物が載置台120に載置されていると判定された場合に、荷物を載置台120の所定の位置に移動させる制御を行ったり、また、ユーザに荷物が載置台120の所定の位置に載置されていないことを通知する制御を行ったりすることができる。
【0080】
なお、実施の形態3の移載装置100bでは、載置台120上に載置される荷物のサイズがサイズAの荷物であるかサイズBの荷物であるかをコントローラ108が認識していないが、載置台120上に載置される荷物のサイズのタイプをコントローラ108が認識できるようにしてもよい。具体的には、コントローラ108に載置される荷物のサイズを通知しておくことや、荷物にタグを備えておいて、載置台120のセンサで読み取ることにより荷物のサイズを判定することにより、コントローラ108が荷物のサイズを認識できるようにすることが考えられる。このように、コントローラ108が載置台120上の荷物のサイズを認識している場合には、より正確に、荷物が載置台120上の所定の位置に載置されているか否かを判定できる。つまり、上記実施の形態3の移載装置100bでは、サイズAの荷物が載置台120上に載置されていており、かつ、位置検出部105の複数の光電センサのうち3つの光電センサにより載置台120上での荷物の存在が検出されている場合には、荷物が載置台120上の所定の位置に配置されていると判定されてしまう。しかしながら、コントローラ108が載置台120上の荷物のサイズの種類を予め認識しておくことで、正確に荷物が載置台120上の所定の位置に載置されていると判定することができる。つまり、コントローラ108は、上記の場合には、サイズAの荷物が載置台120に載置されていることを認識できるため、正確に荷物が載置台120上の所定の位置に載置されていると判定できる。
【0081】
(その他の実施の形態)
(1)
上記実施の形態1〜3では、位置検出部として、複数の光電センサを前後方向に並べることにより、荷物の後端の位置を検出しているが、これに限らずに、載置台120の全体を撮影可能なカメラを位置検出部として採用してもよい。この場合、カメラにより撮影された画像を解析することにより、載置台120上の荷物の後端の位置を検出することになる。また、例えば載置台120の後端部からY軸方向の物体までの距離を計測するレーザー距離計を位置検出部として採用してもよい。
【0082】
(2)
上記実施の形態1〜3では、位置検出部105の複数の光電センサは、投光器および受光器が別体である透過型の光電センサであるが、これに限らずに、投光器および受光器が一体である拡散反射型の光電センサを採用してもよいし、投光器および受光器が一体であり、かつ、回帰反射板を用いた回帰反射型の光電センサを採用してもよい。
【0083】
以上、本発明の移載装置について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、短時間、かつ、荷物にとって最適な状態で、載置台から載置場所に荷物を押し出すことができる。
【符号の説明】
【0085】
100、100a、100b 移載装置
102、103 爪
105 位置検出部
105aa〜105ea 投光器
105ab〜105eb 受光器
106、107 当接検出部
108 コントローラ
109 記憶部
110 可動部
111 トップ部
112 ミドル部
113 ベース部
120 載置台
150 搬送台車
160 走行路
200 荷物
300 ラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10