(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線通信モジュールは、板金でシールドされるとアンテナ特性が著しく低下し、通信不能となる。器具筐体が板金で構成される照明器具に無線通信モジュールを搭載する場合、アンテナ特性低下を回避するための方法の一つとして、照明器具外部に無線通信モジュールのアンテナを露出させることが考えられる。しかしながら、無線通信モジュールを備えない従来の照明器具では、アンテナを露出させるための特別の構造を備えないことが一般的である。よって、無線通信モジュールの配置位置によっては十分なアンテナ特性を確保することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、アンテナ特性を確保しつつ無線通信モジュールを搭載することのできる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる照明器具は、金属製の筐体と、前記筐体に設けられ、発光素子を備える発光素子モジュールと、前記筐体に設けられ、前記発光素子モジュールを点灯させる点灯回路と、前記点灯回路と接続するアース線および給電線と、前記筐体に設けられ、
基板と、前記基板の表面に設けられたアンテナと
、前記基板に設けられ前記アンテナで通信した信号を前記点灯回路に伝達する制御回路とを備え、
前記基板の前記表面の平面視において前記アース線と前記給電線の少なくとも一方の線
が前記アンテナと重なりつつ伸びており、前記少なくとも一方の線で前記アンテナの通信特性が強化される程度の距離で前記少なくとも一方の線と前記アンテナと
が配置された無線通信モジュールと、を備える。
【0008】
第2の発明にかかる照明器具は、金属製の筐体と、表面が露出するように前記筐体に設けられ、外郭が樹脂製であるソケットと、前記ソケットに接続された、発光素子を備える発光素子モジュールと、前記筐体に設けられ、前記発光素子モジュールを点灯させる点灯回路と、前記ソケットに設けられたアンテナと、前記アンテナで通信した信号を前記点灯回路に伝達する制御回路とを備えた無線通信モジュールと、を備え
、前記ソケットに、前記アンテナと前記制御回路のうち前記アンテナのみが設けられたものである。
る。
【0009】
第3の発明にかかる照明器具は、金属製の筐体と、表面が露出するように前記筐体に設けられ、発光素子と前記発光素子を収納する光透過性樹脂からなるモジュールカバーとを備える発光素子モジュールと、前記筐体に設けられ、前記発光素子モジュールを点灯させる点灯回路と、前記モジュールカバーの内部に設けられたアンテナと、
前記モジュールカバーの外部に設けられ前記アンテナで通信した信号を前記点灯回路に伝達する制御回路と
、を備えた無線通信モジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、金属製の筐体を有する照明器具に対してアンテナの配置方法を工夫したので、アンテナ特性を確保しつつ無線通信モジュールを搭載することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具1の斜視図である。照明器具1は、金属製の器具筐体1aと、発光素子であるLEDを備えるLEDモジュール2と、器具筐体1aの内部に設けられ、LEDモジュール2を点灯する点灯回路3と、器具筐体1aの一方の端部に設けられ外郭が樹脂製である給電用ソケット5と、器具筐体1aの他方の端部に設けられ外郭が樹脂製であるアース用ソケット6と、器具筐体1aの内部に設けられた無線通信モジュール4と、を備えている。LEDモジュール2の一端が給電用ソケット5に固定され、LEDモジュール2の他端がアース用ソケット6に固定される。給電用ソケット5は、LEDモジュール2を器具筐体1aに固定して点灯回路3から電力を供給する。アース用ソケット6は、給電用ソケット5と対向した側面に備え、LEDモジュール2のアースを接続する。
図1に示すように、それぞれ樹脂製である給電用ソケット5およびアース用ソケット6並びにLEDモジュール2の表面は、器具筐体1aの外部に露出している。無線通信モジュール4は、点灯回路3に接続され、他の照明器具及び、調光コントローラ、照度コントローラ、あるいは人感センサコントローラ等の照明制御機器と通信を行う。点灯回路3と無線通信モジュール4は配線で接続され、照明器具1の内部に配置される。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具1の平面図である。LEDモジュール2は、給電用端子12とアース用端子13を両端部に備える。給電用ソケット5およびアース用ソケット6には、図示しない電極部が設けられており、この電極部を介して給電用端子12およびアース用端子13とそれぞれ接続している。アース用端子13はアース用ソケット6と固定され、点灯回路3の外郭となる金属ケース31にアース線9で電気的に接続される。金属ケース31を構成する板金を介して、器具筐体1aと点灯回路3の金属ケース31とが電気的に接続されている。器具筐体1aをアース(図示せず)に接続することで点灯回路3及びLEDモジュール2がアースに接続されることになる。給電用端子12は給電用ソケット5と固定され、給電線7を介して点灯回路3と接続される。点灯回路3がこの給電線7によりLEDモジュール2に電力を供給することで、LEDモジュール2が点灯する。
【0014】
無線通信モジュール4は、アンテナ10と制御回路11とを備える。制御回路11は、アンテナ10で送受信した信号を点灯回路3と通信可能な信号に変換し、信号線8を介して点灯回路3との間で通信を行う。無線通信モジュール4は、例えば外部の調光コントローラからの調光信号をアンテナ10で受信すると、制御回路11にてその調光信号を調光量制御信号に変換し、この調光量制御信号を点灯回路3に送信する。点灯回路3は、スイッチングコンバータ回路を含んでおり、調光量制御信号をもとに内部のスイッチング素子(図示せず)を制御して、LEDモジュール2の電力量(具体的には電流値)を制御する。
【0015】
アンテナ10は、制御回路11が搭載されている基板に設けられ、金属パターン、チップ部品、またはリード等で形成される。
図2に示すように、アンテナ10の平面視においてアース線9がアンテナ10の上を通過するように、アース線9とアンテナ10が並べて配置されている。アース線9とアンテナ10は、互いに離間するように並べられてもよいし、互いに密着するように並べられてもよい。ただし、アース線9とアンテナ10は近づけて配置されることが好ましく、アース線9とアンテナ10の間に例えばLEDモジュール2あるいは器具筐体1の板金部分などの他の構造物が介在することは避けることが好ましい。このように、アンテナ10上を通過するようにアース線9を配線することにより、器具筐体1aの板金部分によるアンテナ特性(通信周波数)の低下を軽減して、通信特性を向上できる。
【0016】
次に、
図3を用いて、アース線9がアンテナ10の上を通過するように配線できるような無線通信モジュール4の構造について、説明する。
図3は、無線通信モジュール4の側断面図である。
図4は、無線通信モジュール4の平面図である。無線通信モジュール4は、無線信号を送受信するアンテナ10と、制御回路11と、モジュールケース14を備えている。制御回路11は、アンテナ10と接続し、アンテナ10で送受信する無線信号を変換して、照明器具1の点灯回路3に伝達するとともに、点灯回路3からの信号をアンテナ10へと伝達する。モジュールケース14は、樹脂からなるケースであり、アンテナ10と制御回路11を収納する。
【0017】
アンテナ10は、制御回路11が搭載されている基板に金属パターン、チップ部品、またはリード等で形成され、公知の各種既存のものが活用可能である。モジュールケース14は、アース線9の電線を通し収納固定することが可能な電線固定フォルダ15を備えている。電線固定フォルダ15の内部にはアース線9が収納されるスペースがあり、例えば、電線固定フォルダ15の上部は開閉可能な蓋構造となっている。この電線固定フォルダ15にアース線9を通すことで、アース線9がアンテナ10の上側を電線が通過するような構造となり、アース線9とアンテナ10の位置関係を安定化することができる。ここでいう「上側を通過」とは、
図2の平面視でアース線9とアンテナ10とが重なっていることを意味している。
【0018】
以上説明した実施の形態1にかかる照明器具1によれば、アース線9の近傍にアンテナ10を配置することで、他の照明器具1もしくは照明制御機器と通信を良好に行うことができる。アース用ソケット6の図示しない電極部と上部を通過するアース線9とにより、アンテナ10のアンテナ特性を強化できるからである。また、この実施の形態では、照明器具1内部に無線通信モジュール4を搭載することが可能なため、アンテナ10を照明器具1外に露出させるような、器具筐体1aの板金部分に対する改造などを行う必要がなく、既存の現場に設置されている状態の照明器具1にも容易に適用することができる。
【0019】
なお、実施の形態1では、無線通信モジュール4のアンテナ10の近傍にアース線9を配置したが、本発明はこれに限られない。アース線9の代わりに給電線7の近傍にアンテナ10を配置してもよい。
【0020】
なお、照明器具1ではアース用ソケット6および給電用ソケット5を用いるタイプの照明器具について説明したが、本発明はこれに限られない。ソケットを介さずにLEDモジュール2と点灯回路3を配線で直接に接続した照明器具1において、この配線とアンテナ10を近づけて配置してもよい。LEDモジュール2と点灯回路3を配線で直接に接続して構成したユニットは、器具筐体1aの内部に固定して配置してもよいし、器具筐体1aから取り外し可能に配置してもよい。
【0021】
実施の形態2
図5は、本発明の実施の形態2にかかる照明器具101の平面図であり、無線通信モジュール4をアース用ソケット6に搭載した照明器具101を示す。実施の形態2にかかる照明器具101の構成は実施の形態1と基本的には同じであるので、異なる箇所を中心に説明する。無線通信モジュール4は、アース用ソケット6の内部に搭載される。無線通信モジュール4は、アース用ソケット6内に完全に埋め込むように配置してもよいし、一部が露出するように配置してもよい。
【0022】
アース用ソケット6は、外郭が樹脂で構成されており、内部に無線通信モジュール4を搭載してもアンテナ特性を低下させることなく、他の照明器具及び照明制御機器と通信が可能となる。この実施の形態によれば、無線通信モジュール4を樹脂製のアース用ソケット6内に埋め込むことができるので、実施の形態1よりも、さらにアンテナ特性の低下を抑えて、通信特性を向上できる。
【0023】
本実施の形態2にかかる照明器具101の構成は、既存の照明器具から無線通信モジュール4を搭載しているアース用ソケット6を交換するだけでよい。アンテナ10を照明器具外に露出させるような、照明器具101の板金の改造などが必要なく、現場に設置されている状態の照明器具にも容易に適用することができる。
【0024】
なお、上記の説明は、アース用ソケット6に無線通信モジュール4を搭載する構成としたが、本発明はこれに限られない。給電用ソケット5に無線通信モジュール4を搭載しても同様なアンテナ特性の効果が得られる。なおアース用ソケット6は給電用ソケット5と比較して内部のスペースを大きく取れるので、無線通信モジュール4を配置する点で好ましい。
【0025】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3にかかる照明器具201の平面図である。
図6は、無線通信モジュール4のアンテナ10をアース用ソケット6に搭載した照明器具201を示す。実施の形態3にかかる照明器具201の構成は実施の形態1と基本的には同じであるので、異なる箇所を中心に説明する。
【0026】
無線通信モジュール4は、制御回路11とアンテナ10を別々に備え、信号線19で接続する。アンテナ10で送受信する信号は、信号線19にて制御回路11と信号を送受信する。アンテナ10は、アース用ソケット6の内部に搭載される。実施の形態2でも説明した通り、アース用ソケット6は、外郭が樹脂で構成されており、内部に無線通信モジュール4のアンテナ10を搭載してもアンテナ特性を低下させることなく、他の照明器具及び照明制御機器と通信が可能となる。
【0027】
本実施の形態3にかかる照明器具201の構成は、既存の照明器具に制御回路11を搭載するとともに無線通信モジュール4のアンテナ10を備えるアース用ソケット6を設けるだけでよく、これにより無線通信機能を有した照明器具201が得られる。アンテナ10を照明器具201外に露出させるような、器具筐体1aの板金部分に対する改造などが必要なく、現場に設置されている状態の照明器具にも容易に適用することができる。
【0028】
また、本実施の形態3のアース用ソケット6は、制御回路11は収納せずに、アンテナ10のみを収納している。このため、実施の形態2と比較して内部のスペースをより確保することができ、アース用ソケット6自身の小型化を行うこともできる。
【0029】
なお、上記実施の形態3ではアース用ソケット6に無線通信モジュール4のアンテナ10を搭載する構成としたが、本発明はこれに限られない。給電用ソケット5に無線通信モジュール4のアンテナ10を搭載してもよい。
【0030】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4にかかる照明器具301の平面図である。
図7は、無線通信モジュール4のアンテナ10をLEDモジュール2に搭載した照明器具301を示す。実施の形態4にかかる照明器具301の構成は実施の形態1と基本的には同じであるので、異なる箇所を中心に説明する。
【0031】
無線通信モジュール4は、制御回路11とアンテナ10を別々の部品として備えている。制御回路11とアンテナ10は、信号線19で接続される。信号線19は、制御回路11からアース用ソケット6に向かって伸び、アース用ソケット6内を通ってアース用端子13を通過して、アンテナ10に接続している。アンテナ10は、信号線19を介して制御回路11と信号を送受信する。アンテナ10は、LEDモジュール2の内部に搭載される。
【0032】
図8は、本発明の実施の形態4にかかる照明器具301のLEDモジュール2の側断面図である。実施の形態4にかかるLEDモジュール2は、実施の形態1〜3とは異なり、無線通信モジュール4のアンテナ10を内蔵している。照明器具301の光源となるLEDモジュール2は、一つ以上のLED16と、LEDモジュール基板17と、LED16の照射面を覆うLEDモジュールカバー18から構成される。本実施の形態では、LEDモジュール基板17の表面(
図8の紙面下方を向く面)にはLED16が並べて設けられ、LEDモジュール基板17の裏面(
図8の紙面上方を向く面)にはアンテナ10が搭載される。アンテナ10は、LEDモジュール基板17に、金属パターン、チップ部品、またはリード等で形成される。一例として、LEDモジュール基板17のLED16が配置されていない裏面には放熱用の金属パターンが配置されるので、この放熱用金属パターンの一部にアンテナ特性が得られるようにパターン化したアンテナパターンを設けることでアンテナ10を形成してもよい。なお、アンテナ10は、LEDモジュール基板17の裏面側ではなく、表面側に形成してもよい。
【0033】
LEDモジュールカバー18は、光を透過しやすい樹脂で構成されており、LEDモジュール2の内部にアンテナ10を搭載してもアンテナ特性を低下させることなく、他の照明器具及び照明制御機器と通信が可能となる。
【0034】
本実施の形態4にかかる照明器具301の構成は、アンテナ10をLEDモジュール2に搭載していることから、無線通信モジュール4にアンテナ10用のスペースを確保する必要がなく、LEDモジュール基板17を利用することができる。
【0035】
また、既存の照明器具に制御回路11を搭載しLEDモジュール2の構成を変更するだけで、無線通信機能を有した照明器具301が得られる。アンテナ10を照明器具301外に露出させるような、器具筐体1aの板金部分に対する改造などが必要なく、現場に設置されている状態の照明器具にも容易に適用することができる。
【0036】
なお、LEDモジュール2の構成を明確にするために、ランプ型のLEDモジュール2を用いて説明したが、本発明はこれに限られない。LEDモジュール2と器具筐体1aが直接に接続されて一体型となる照明器具において、LEDモジュール2にアンテナ10を搭載してもよい。
【0037】
実施の形態5.
図9は、本発明の実施の形態5にかかる照明器具401の平面図である。
図9は、無線通信モジュール4をLEDモジュール2に搭載した照明器具401を示す。実施の形態5にかかる照明器具401の構成は実施の形態4と基本的には同じであるので、異なる箇所のみ説明する。
【0038】
無線通信モジュール4は、アンテナ10を含む制御回路11から構成され、信号線8で点灯回路3と接続する。この点灯回路3と接続される信号線8は、点灯回路3からアース用ソケット6側に向かって伸び、アース用ソケット6とアース用端子13を介して、無線通信モジュール4と電気的に接続される。
【0039】
また、無線通信モジュール4は、LEDモジュール2の内部に搭載される。無線通信モジュール4は、LEDモジュール基板17のLED16が配置されている表面側に配置してもよいし、LED16が配置されていない裏面側に配置してもよい。裏面側の場合は放熱用金属パターンを活用して、アンテナ特性が得られるようにパターン化したアンテナパターンを設けてもよい。
【0040】
実施の形態4で説明した通り、LEDモジュールカバー18は、光を透過しやすい樹脂で構成されており、LEDモジュール2の内部に無線通信モジュール4を搭載してもアンテナ特性を低下させることなく、他の照明器具及び照明制御機器と通信が可能となる。
【0041】
本実施の形態5にかかる照明器具401の構成は、LEDモジュール2に無線通信モジュール4を搭載するためにLEDモジュール2の構成を変更するだけでよく、これにより無線通信機能を有した照明器具401が得られる。アンテナ10を照明器具401外に露出させるような、器具筐体1aの板金部分に対する改造などが必要なく、現場に設置されている状態の照明器具にも容易に適用することができる。
【0042】
なお、LEDモジュール2の構成を明確にするために、取り外し可能な直管型のLEDモジュール2を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。LEDモジュール2と器具筐体1aが直接に接続されて一体型となる照明器具において、LEDモジュール2に無線通信モジュール4を搭載してもよい。