特許第6447089号(P6447089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6447089
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/60 20060101AFI20181220BHJP
   F16B 21/04 20060101ALI20181220BHJP
   F04D 13/02 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   F04D29/60 E
   F16B21/04 A
   F04D13/02 A
【請求項の数】18
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2014-255460(P2014-255460)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-114028(P2016-114028A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮村 太基
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05021048(US,A)
【文献】 特開平09−047506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/60
F04D 13/02
F16B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送液ポンプを回転駆動する駆動ヘッドを備えた回転駆動装置に取り付けることが可能なアタッチメントであって、
前記ポンプは、その下端に円環状の台座を備え、前記台座の外周面は前記ポンプに内蔵されたロータと同軸の円筒面であり、
前記台座の前記外周面には、凹部と、前記凹部と接続された溝とが形成されており、
前記凹部は、前記ロータの回転軸方向と平行に延び、
前記溝は、前記台座の周方向に沿って延び、
前記アタッチメントに前記ポンプを着脱可能に装着することができ、
前記アタッチメントは、前記駆動ヘッドを取り囲む環状形状を有し、
前記アタッチメントは、同軸に配された固定リングと可動リングとを備え、
前記固定リングは、前記固定リングの内周面から内側に向かって突出した固定爪を備え、
前記可動リングは、前記可動リングの内周面から内側に向かって突出した可動爪と、前記可動リングの外周端縁から外側に向かって突出した操作レバーとを備え、
前記操作レバーを操作して前記可動リングを第1位置と第2位置との間で前記固定リングに対して回動させることができ
前記可動リングが前記第1位置にあるとき、前記台座を前記アタッチメント内に嵌入させ、前記固定爪及び前記可動爪を前記台座の前記凹部内に嵌入させることができ、
前記台座が前記アタッチメント内に嵌入した状態で前記可動リングを前記第2位置に回動させると、前記可動爪が前記溝内に嵌入することを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
前記可動リングを前記第2位置に保持するための保持機構を更に備える請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記保持機構は、前記第2位置にある前記可動リングを前記第1位置に回動させることができないように、前記第2位置にある前記可動リングに係合する係合部材を含む請求項2に記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記可動リングが前記第1位置から前記第2位置へ回動すると、直ちに前記係合部材は、前記可動リングを回動させることができないように、前記可動リングに係合する請求項3に記載のアタッチメント。
【請求項5】
前記保持機構は、前記可動リングを前記第2位置に向かって付勢する付勢部材を含む請求項2に記載のアタッチメント。
【請求項6】
前記可動リングが前記第1位置にあるとき、前記可動爪は前記固定爪に上下方向に重なり、前記可動リングが前記第2位置にあるとき、前記可動爪は前記固定爪に対して周方向に位置ずれする請求項1〜5のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項7】
前記ポンプのロータが前記駆動ヘッドと同軸になるように前記ポンプを位置合わせする軸合わせ部材を備える請求項1〜6のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項8】
前記軸合わせ部材は、前記固定リング及び前記可動リングに対して前記回転駆動装置とは反対側に配されたアッパーリングである請求項7に記載のアタッチメント。
【請求項9】
前記軸合わせ部材は、前記固定リングである請求項7に記載のアタッチメント。
【請求項10】
前記固定爪は前記可動爪よりも前記回転駆動装置側に配置されている請求項1〜9のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項11】
前記固定リングは前記可動リングよりも前記回転駆動装置側に配置されている請求項1〜10のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項12】
前記可動リングは前記固定リングよりも前記回転駆動装置側に配置されている請求項1〜10のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項13】
前記固定爪の数と前記可動爪の数とは同じである請求項1〜12のいずれかに記載のア
タッチメント。
【請求項14】
前記可動爪の数は3である請求項1〜13のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項15】
記台座の前記外周面に、複数の前記凹部と複数の前記溝とが前記ロータの回転軸に対して等角度間隔で形成されている請求項1〜14のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項16】
前記固定爪が前記台座の前記凹部内に嵌入しているとき、前記固定爪は前記台座が前記アタッチメントに対して回動するのを規制する請求項1〜15のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項17】
前記可動爪が前記溝内に嵌入しているとき、前記可動爪は前記台座が前記アタッチメントから抜け出るのを規制する請求項1〜16のいずれかに記載のアタッチメント。
【請求項18】
前記ポンプは、複数のベーンを備えたインペラがポンプ室内で回転するターボ式血液ポンプである請求項1〜17のいずれかに記載のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送液ポンプを回転駆動装置に着脱可能に装着するためのアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
人工心肺装置を用いた体外血液循環回路において、血液を移動させるために血液ポンプが用いられる。血液ポンプとしては、ポンプ室内でインペラ(羽根車)を回転させて、遠心力により血液を送り出すターボ式血液ポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。血液ポンプは手術ごとに交換されるので、血液ポンプは、これを駆動する回転駆動装置にアタッチメントを介して着脱可能に装着される。
【0003】
図18は、ターボ式血液ポンプ(以下、単に「ポンプ」という)700を従来のアタッチメント900を介して回転駆動装置800に装着した状態を示した断面図である。一点鎖線800aは、回転駆動装置800の中心軸であり、中心軸800aはポンプ700及びアタッチメント900の各中心軸と一致する。説明の便宜のため、中心軸800aに沿った方向を「上下方向」、中心軸800aに垂直な平面に平行な方向を「水平方向」、中心軸800aに直交する方向を「半径方向」、中心軸800aの周りを回転する方向を「周方向」と呼ぶ。「上」及び「下」は、ポンプ700及び回転駆動装置800を図18の向きに配置した状態にて定義する。但し、「上下方向」及び「水平方向」は、ポンプ700及び回転駆動装置800の実際の使用時の姿勢を意味しない。
【0004】
ポンプ700は、上半体710aと下半体710bとが上下方向に接合されたハウジング710を備える。ハウジング710内に、ポンプ室711が形成されている。ハウジング710には、ポンプ室711の上部に連通した入口ポート712と、ポンプ室711の側部に連通した出口ポート713とが形成されている。入口ポート712は、中心軸800aに沿って上方に向かって延びている。出口ポート713は、ポンプ室711の外周面から接線方向(半径方向に直交する方向)に沿って延びている。入口ポート712及び出口ポート713は、体外血液循環回路を構成する柔軟なチューブ(図示せず)に接続される。例えば、入口ポート712をチューブを介して貯血槽の下端の出口ポートに接続することができ、出口ポート713をチューブを介して人工肺の入口ポートに接続することができる。
【0005】
ポンプ室711内に、ロータとしてのインペラ(羽根車)720が中心軸800aと同軸に配置されている。インペラ720は、中心軸800aに沿って延びた回転軸721と、回転軸721に等角度間隔で接続された薄板状の複数(本例では6枚)のベーン(羽根)722と、複数のベーン722の外周端部を連結する環状の連結環723とを備える。回転軸721の上端はハウジング710を構成する上半体710aに回転可能に支持され、回転軸721の下端はハウジング710を構成する下半体710bに回転可能に支持されている。これにより、インペラ720は、ポンプ室711内で回転軸721の周りを回転可能である。連結環723内には、回転軸721に対して等角度間隔で複数の磁石(従動磁石)725が内蔵されている。
【0006】
回転駆動装置800は、駆動モータ(図示せず)と、駆動モータの上部に取り付けられたアッパーハウジング801とを備える。アッパーハウジング801の中央に形成された開口(貫通孔)802から、中心軸800aと同軸の駆動ヘッド820が上方に向かって突出している。駆動ヘッド820から中心軸800aに沿って下方に向かって延びた駆動軸821は、駆動モータの回転出力軸(図示せず)に連結されている。駆動ヘッド820の上面には、中心軸800aに対して等角度間隔で複数の磁石(駆動磁石)825が固定されている。駆動磁石825の数は、従動磁石725の数と同じである。ポンプ700に向かって突出したヘッドカバー805が、開口802を塞ぐようにアッパーハウジング801に装着されている。ヘッドカバー805は、駆動ヘッド820から離間し、且つ、これを覆っている。
【0007】
アッパーハウジング801の上面に、アタッチメント900が取り付けられている。アタッチメント900は、駆動ヘッド820及びヘッドカバー805を取り囲む環状形状を有している(後述する図20を参照)。ポンプ700は、アタッチメント900を介して、回転駆動装置800に着脱可能に装着されている。
【0008】
ポンプ700がアタッチメント900に装着された状態では、複数の従動磁石725と複数の駆動磁石825とが、下半体710b及びヘッドカバー805を介してそれぞれ対向し磁気結合する。この状態で回転駆動装置800の駆動ヘッド820を回転させると、回転駆動力は、駆動磁石825及び従動磁石725を介してインペラ720に伝達され、インペラ720が回転軸721の周りを回転する。ポンプ室711内の血液は、インペラ720に設けられたベーン722により回転され、それによって生じた遠心力により出口ポート713から流出する。これによりポンプ室711内が負圧になるので、入口ポート712を通じて血液がポンプ室711内に流入する。
【0009】
アタッチメント900とポンプ700との結合構造を説明する。
【0010】
図19Aは、ポンプ700の上方から見た斜視図、図19Bは、ポンプ700の下方から見た斜視図である。図19A及び図19Bに示されているように、ポンプ700のハウジング710を構成する下半体710bの下端に、円環状の台座730が設けられている。台座730の外周面は、インペラ720の回転軸721(即ち、中心軸800a、図18参照)と同軸の円筒面である。台座730の外周面に、12個の凹部731が、インペラ720の回転軸721に対して等角度間隔(30度間隔)で形成されている。各凹部731の形状は、上下方向に延びた半円筒面である。周方向に隣り合う凹部731間に、ダミー凹部732が形成されている。ダミー凹部732の形状も、凹部731の形状と同様に、上下方向に延びた半円筒面である。但し、半円筒面の半径は、ダミー凹部732の方が、凹部731より小さい。従って、半径方向の寸法(深さ)も、ダミー凹部732の方が凹部731より小さい。
【0011】
台座730の上端に、スロット状の溝(凹部)733が、凹部731と一対一に対応して形成されている。溝733は、対応する凹部731の上部の一部を切り欠き、凹部731と接続されている。より詳細には、溝733は、上方から見て反時計回り方向に始端733aから終端733bまで、周方向に沿って延びている。溝733の始端733aの周方向の位置は、この溝733に対応する凹部731の最深部(半径方向において最も窪んだ箇所)に一致する。溝733は、この溝733に対応する凹部731に隣り合う凹部731にまでは達していない。始端733a及び終端733bは、いずれも、半径方向及び上下方向に沿った壁面を構成する。
【0012】
図20は、回転駆動装置800のアッパーハウジング801に取り付けられたアタッチメント900の上方から見た斜視図である。アタッチメント900は、ヘッドカバー805を取り囲む円環状のベースリング901を備える。ベースリング901の内周面(ヘッドカバー805側の面)902は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円筒面である。3つの連結爪905が、内周面902から半径方向に沿って内側に向かって突出している。連結爪905は、120度間隔で配置されている。連結爪905は、水平方向面に平行な薄板状物であり、上方から見た連結爪905の先端は半円形状を有する。更に、ロックピン910が、ベースリング901を半径方向に貫通している。ロックピン910の、略円筒面である外周面には、ロックピン910の長手方向に延びた所定長さの溝(図示せず)が形成されている。半径方向に直交する方向に沿ったストッパピン919がベースリング901に挿入されている。ストッパピン919の先端は、ロックピン910の上記の溝に嵌入している。この結果、ロックピン910は、溝の長さの範囲内で、半径方向に沿ってヘッドカバー805に接近または離間するように移動することができる。
【0013】
図20は、ヘッドカバー805から最も離間した位置にあるロックピン910を示す。ロックピン910のこの位置を「非ロック位置」という。ロックピン910が非ロック位置にあるとき、ロックピン910の先端911は、ベースリング901の内周面902よりヘッドカバー805側に突出していない。
【0014】
図21は、ヘッドカバー805に最も接近した位置にあるロックピン910を示す。ロックピン910のこの位置を「ロック位置」という。ロックピン910がロック位置にあるとき、ロックピン910の先端911は、ベースリング901の内周面902よりヘッドカバー805側に突出している。
【0015】
このように、ロックピン910は、非ロック位置(図20)とロック位置(図21)との間で半径方向に沿って移動可能である。ロックピン910の半径方向の移動は、ベースリング901より半径方向に沿って外側に向かって突出したロックピン910の操作端(後端)912にて行うことができる。
【0016】
以上のように構成されたアタッチメント900へのポンプ700の着脱方法を説明する。
【0017】
最初に、図22に示すように、アタッチメント900にポンプ700を対向させる。このとき、アタッチメント900のロックピン910は非ロック位置(図20参照)にある。図示していないが、入口ポート712及び出口ポート713には、体外血液循環回路を構成するチューブが既に接続されている。回転駆動装置800は、治具(図示せず)により所定位置に固定されている。
【0018】
次いで、ポンプ700をアタッチメント900に接近させる。ポンプ700の台座730をアタッチメント900のベースリング901内に挿入する。ポンプ700を周方向にわずかに回動させて、アタッチメント900の連結爪905を、ポンプ700の台座730の凹部731(図19A図19Bを参照)内に嵌入させる。なお、ダミー凹部732の半円筒面の半径は、連結爪905の先端の半円形状の半径より小さいので、連結爪905はダミー凹部732内に嵌入することはできない。
【0019】
図23は、ポンプ700の台座730をアタッチメント900のベースリング901内に最も深くまで挿入した状態を示した斜視図である。図示されていないが、台座730に形成された溝733(図19A及び図19B参照)は、連結爪905と上下方向の位置が一致する。ベースリング901の内周面902と台座730の外周面とが嵌合することにより、インペラ720が駆動ヘッド820と同軸になるように、ポンプ700はアタッチメント700及び回転駆動装置800に対して水平方向に位置決めされる。図23の状態でポンプ700を上方に持ち上げると、ポンプ700をアタッチメント900から分離することが可能である。アタッチメント900のロックピン910は依然として非ロック位置(図20参照)にある。詳細な図面を省略するが、ロックピン910の先端911は、台座730のダミー凹部732(図19A図19Bを参照)に対向している。
【0020】
次いで、図24に示すように、ポンプ700をアタッチメント700及びアッパーハウジング801に対して、上方から見て時計回り方向(矢印R7)に回動させる。ポンプ700が回動すると、連結爪905は凹部731から溝733(図19A及び図19B参照)内へ移動する。ポンプ700の回動は、連結爪905が溝733の後端733b(図19A図19Bを参照)に衝突することによって規制される。本例では、ポンプ700の回動可能角度範囲は約15度である。図24は、連結爪905が溝733の後端733bに衝突するまでポンプ700を回動させた状態を示す。連結爪905が台座730の溝733内に嵌入しているので、ポンプ700はアタッチメント900及び回転駆動装置800に対して上下方向に位置決めされる。従って、ポンプ700を上方に持ち上げても、ポンプ700をアタッチメント900から分離することはできない。アタッチメント900のロックピン910は依然として非ロック位置(図20参照)にある。詳細な図面を省略するが、ロックピン910の先端911は、台座730の凹部731(図19A図19Bを参照)に対向している。
【0021】
最後に、図25に示すように、ロックピン910の操作端912を半径方向に沿って押し込んで、ロックピン910をロック位置(図21参照)に移動させる。かくして、ポンプ700のアタッチメント900への装着が完了する。ロックピン910がロック位置にあるとき、ロックピン910の先端911は凹部731内に嵌入する。従って、ポンプ700をアタッチメント900に対して回動させることができない。また、連結爪905が台座730に形成された溝733内に嵌入している。従って、ポンプ700を上方に持ち上げても、ポンプ700とアタッチメント900とを上下方向に分離することはできない。
【0022】
上述した図18は、図25に示す状態の断面図である。インペラ720の従動磁石725は駆動ヘッド820の駆動磁石825に接近し磁気結合している。回転駆動装置800及びアタッチメント900に対するポンプ700の相対的位置は変化し得ないから、磁気結合は安定的に維持される。駆動ヘッド820を回転させると、インペラ720が追従して回転し、血液を入口ポート712から流入させ出口ポート713から流出させることができる。
【0023】
図25の状態から、ポンプ700をアタッチメント900から分離するためには、上記と逆の操作を行うことにより可能である。
【0024】
即ち、最初に、ロックピン910の操作端912を引っ張ってロックピン910を半径方向に沿って外向きに移動させる。ロックピン910の先端911は凹部731から抜け出る。これにより、図24に示す状態となる。
【0025】
次いで、ポンプ700をアタッチメント700及びアッパーハウジング801に対して、上方から見て反時計回り方向に回動させる。連結爪905が、溝733の始端733a(図19A図19Bを参照)に衝突する。これにより、図23に示す状態となる。
【0026】
最後に、ポンプ700を上方に持ち上げる。これにより、図22に示すように、ポンプ700とアタッチメント900とを分離することができる。
【0027】
以上のように、従来のアタッチメント900によれば、台座730をベースリング901内に嵌入させることにより、ポンプ700のインペラ720が回転駆動装置800の駆動ヘッド820と同軸になるように、ポンプ700は水平方向に位置決めされる。次いで、ポンプ700を回動させて、アタッチメント900の連結爪905を台座730の溝733に嵌入させることにより、ポンプ700は上下方向に位置決めされる。そして、最後に、ロックピン910をロック位置に移動させる。ロックピン910が凹部731内に嵌入することにより、ポンプ700がアタッチメント900に対して回動するのが規制される。ロックピン910がロック位置にあり続ける限り、ポンプ700がアタッチメント900から意図せずに脱落することはないから、従動磁石725と駆動磁石825との磁気結合が維持され、血液を安定的に送液することができる。ロックピン910は、ポンプ700がアタッチメント900に装着された状態を維持するための「ロック機構」として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2014−114784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
上記の従来のアタッチメント900は、以下の課題を有している。
【0030】
ポンプ700をアタッチメント900に装着するためには、台座730をベースリング901内に挿入した(図23参照)後、ポンプ700をアタッチメント900に対して回動(上記の例では矢印R7の向きに約15度)させる必要がある(図24参照)。ところが、ポンプ700を回動させることにより、ポンプ700の入口ポート712及び出口ポート713に接続されたチューブが捻れたり、折れ曲がったりするという課題がある。これにより、チューブ内の流路が狭くなり、最悪の場合には流路が閉塞してしまい、チューブ内の血液の流れが阻害される。一般に、患者の負担を軽減するためには体外血液循環回路内の容量は少ないことが好ましく、この観点から、入口ポート712や出口ポート713に接続されるチューブは可能な限り短くされることが多い。このような場合には、ポンプ700を回動することによるチューブの捻れや折れ曲がりはより顕著となる。
【0031】
従来のアタッチメント900では、ロックピン910を押し込んでロック位置(図25参照)に移動させて、ロック機構が有効に機能した状態(即ち、「ロック状態」)に移行させることにより、ポンプ700のアタッチメント900への装着が完了する(図25参照)。ところが、台座730をベースリング901内に単に嵌入させただけの状態(図23参照)や、ポンプ700をアタッチメント900に対して回動させただけでロックピン910を押し込んでいない状態(図24参照)であっても、従動磁石725と駆動磁石825とを磁気結合させ、インペラ720を駆動ヘッド820に追従して回転させることは可能である。従って、ポンプ700をアタッチメント900に装着する作業において、ポンプ700を回動させる操作や、ロックピン910をロック位置へ押し込む操作を忘れてしまうという誤操作が発生する可能性がある。ロックピン910が非ロック位置にある図23図24に示す状態(「非ロック状態」)でポンプ700を駆動すると、回転駆動装置800の振動、捻れたり湾曲したチューブの弾性復元力、あるいは意図しない外力等によって、ポンプ700がアタッチメント900から上方に浮き上がり、更にはアタッチメント900から脱落してしまいうる。その結果、従動磁石725と駆動磁石825との磁気結合力が低下または消失し、インペラ720の回転が突然停止し、血液を送ることができなくなる。ロックピン910がロック位置(図25参照)にあるか否かの確認は、ロックピン910の半径方向の位置で確認できる。しかしながら、ロックピン910の非ロック位置からロック位置への移動量は数mm程度であるため、ロックピン910がロック位置にあるか否かを直感的に認識することは難しい。
【0032】
本発明は、従来のアタッチメントが有する上記の課題を解決するものである。本発明の第1の目的は、ポンプを回動させることなくポンプをアタッチメントに装着することを可能にすることにある。本発明の第2の目的は、ポンプを装着した状態を維持するロック機構を備えたアタッチメントにおいて、当該ロック機構がロック状態であるか否かを容易に視認することができ、また、当該ロック機構をロック状態に移行する操作をし忘れるという誤操作をする可能性を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明のアタッチメントは、送液ポンプを回転駆動する駆動ヘッドを備えた回転駆動装置に取り付けることが可能である。前記ポンプは、その下端に円環状の台座を備え、前記台座の外周面は前記ポンプに内蔵されたロータと同軸の円筒面である。前記台座の前記外周面には、凹部と、前記凹部と接続された溝とが形成されている。前記凹部は、前記ロータの回転軸方向と平行に延びる。前記溝は、前記台座の周方向に沿って延びる。前記アタッチメントに前記ポンプを着脱可能に装着することができる。前記アタッチメントは、前記駆動ヘッドを取り囲む環状形状を有する。前記アタッチメントは、同軸に配された固定リングと可動リングとを備える。前記固定リングは、前記固定リングの内周面から内側に向かって突出した固定爪を備える。前記可動リングは、前記可動リングの内周面から内側に向かって突出した可動爪と、前記可動リングの外周端縁から外側に向かって突出した操作レバーとを備える。前記操作レバーを操作して前記可動リングを第1位置と第2位置との間で前記固定リングに対して回動させることができる。前記可動リングが前記第1位置にあるとき、前記台座を前記アタッチメント内に嵌入させ、前記固定爪及び前記可動爪を前記台座の前記凹部内に嵌入させることができる。前記台座が前記アタッチメント内に嵌入した状態で前記可動リングを前記第2位置に回動させると、前記可動爪が前記溝内に嵌入する。
【発明の効果】
【0034】
本発明のアタッチメントは、固定爪を有する固定リングと、可動爪を有する可動リングとを備え、可動リングは回動可能である。従って、可動リングを回動させて可動爪をポンプに係合させることにより、ポンプを上下方向に位置決めすることができる。これにより、従来のアタッチメントと異なり、アタッチメント内でポンプを回動させることなく、ポンプをアタッチメントに装着することができる。
【0035】
可動爪を備えた可動リングは、ポンプを装着した状態を維持するロック機構として機能する。可動リングがロック状態(第2位置)であるか、非ロック状態(第1位置)であるかは、可動リングから突出した操作レバーの周方向の位置により判断することができる。操作レバーの周方向の位置の変化量は、従来のアタッチメントのロックピンの半径方向の位置の変化量に比べて大きいので、ロック機構がロック状態であるか否かを容易に視認することができる。これにより、ロック機構をロック状態に移行する操作をし忘れるという誤操作をする可能性が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、回転駆動装置のアッパーハウジングに取り付けられた、本発明の実施形態1に係るアタッチメントの斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態1に係るアタッチメントの分解斜視図である。
図3図3は、ポンプを本発明の実施形態1に係るアタッチメントに装着する前の状態を示した斜視図である。
図4図4は、ポンプの台座を本発明の実施形態1に係るアタッチメント内に挿入した状態を示した斜視図である。
図5A図5Aは、図4の状態から可動リングを回動させた状態を示した斜視図である。
図5B図5Bは、ポンプを省略し、図5Aのアタッチメント示した斜視図である。
図6A図6Aは、本発明の実施形態1に係るアタッチメントへのポンプの装着が完了した状態を示した斜視図である。
図6B図6Bは、ポンプを省略し、図6Aのアタッチメント示した斜視図である。
図7図7は、回転駆動装置のアッパーハウジングに取り付けられた、本発明の実施形態2に係るアタッチメントの斜視図である。
図8A図8Aは、本発明の実施形態2に係るアタッチメントの上方から見た分解斜視図である。
図8B図8Bは、本発明の実施形態2に係るアタッチメントの下方から見た分解斜視図である。
図9図9は、ポンプを本発明の実施形態2に係るアタッチメントに装着する前の状態を示した斜視図である。
図10図10は、ポンプを本発明の実施形態2に係るアタッチメントに装着する直前に、操作レバーを操作して可動リングを第1位置に回動させた状態を示した斜視図である。
図11図11は、ポンプの台座を本発明の実施形態2に係るアタッチメント内に挿入した直後の状態を示した斜視図である。
図12A図12Aは、本発明の実施形態2に係るアタッチメントへのポンプの装着が完了した状態を示した斜視図である。
図12B図12Bは、ポンプを省略し、図12Aのアタッチメント示した斜視図である。
図13図13は、回転駆動装置のアッパーハウジングに取り付けられた、本発明の実施形態3に係るアタッチメントの斜視図である。
図14図14は、本発明の実施形態3に係るアタッチメントの上方から見た分解斜視図である。
図15図15は、ポンプを本発明の実施形態3に係るアタッチメントに装着する前の状態を示した斜視図である。
図16図16は、ポンプの台座を本発明の実施形態3に係るアタッチメント内に挿入した状態を示した斜視図である。
図17A図17Aは、図16の状態から可動リングを回動させた状態を示した斜視図である。
図17B図17Bは、ポンプを省略し、図17Aのアタッチメント示した斜視図である。
図18図18は、ポンプを従来のアタッチメントを介して回転駆動装置に装着した状態を示した断面図である。
図19A図19Aは、ポンプの上方から見た斜視図である。
図19B図19Bは、ポンプの下方から見た斜視図である。
図20図20は、回転駆動装置のアッパーハウジングに取り付けられた従来のアタッチメント(ロックピンは非ロック位置にある)の斜視図である。
図21図21は、回転駆動装置のアッパーハウジングに取り付けられた従来のアタッチメント(ロックピンはロック位置にある)の斜視図である。
図22図22は、ポンプを従来のアタッチメントに装着する前の状態を示した斜視図である。
図23図23は、ポンプの台座を従来のアタッチメントのベース内に挿入した状態を示した斜視図である。
図24図24は、図23の状態からポンプを回動させた状態を示した斜視図である。
図25図25は、図24の状態からロックピンを押し込んで、ポンプの従来のアタッチメントへの装着が完了した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上記の本発明のアタッチメントは、前記可動リングを前記第2位置に保持するための保持機構を更に備えうる。これにより、第2位置(ロック位置)にある可動リングが意図せずに第1位置(非ロック位置)へ移動して、ロック状態が解除されてしまう事態に至る可能性を低減することができる。
【0038】
前記保持機構は、前記第2位置にある前記可動リングを前記第1位置に回動させることができないように、前記第2位置にある前記可動リングに係合する係合部材を含みうる。これは、可動リングが意図せずに第1位置(非ロック位置)へ移動してロック状態が解除されてしまう可能性を更に低減するのに有利である。
【0039】
上記において、前記可動リングが前記第1位置から前記第2位置へ回動すると、直ちに前記係合部材は、前記可動リングを回動させることができないように、前記可動リングに係合してもよい。これにより、ロック機構がロック状態に移行するのと同時に保持機構が有効化される。このため、保持機構を有効化するための独立した操作が不要になるので、保持機構を確実に機能させることができる。
【0040】
前記保持機構は、前記可動リングを前記第2位置に向かって付勢する付勢部材を含みうる。これにより、保持機構の構成を簡単化することができる。また、保持機構を有効化するための独立した操作が不要になるので、保持機構を確実に機能させることができる。
【0041】
前記可動リングが前記第1位置にあるとき、前記可動爪は前記固定爪に上下方向に重なり、前記可動リングが前記第2位置にあるとき、前記可動爪は前記固定爪に対して周方向に位置ずれしていてもよい。これは、アタッチメントの設計や組立を容易にする観点で有利である。
【0042】
本発明のアタッチメントは、前記ポンプのロータが前記駆動ヘッドと同軸になるように前記ポンプを位置合わせする軸合わせ部材を備えうる。これは、駆動ヘッドの駆動磁石とロータの従動磁石とを適切に磁気結合させるのに有利である。
【0043】
前記軸合わせ部材は、前記固定リング及び前記可動リングに対して前記回転駆動装置とは反対側に配されたアッパーリングでありうる。固定リング及び可動リングとは別に軸合わせ部材を備えることにより、ポンプを駆動ヘッドと同軸になるようにより正確に位置合わせすることができる。また、可動リングを回動可能にする構成を容易に実現することができる。
【0044】
あるいは、前記軸合わせ部材は、前記固定リングでありうる。これにより、アタッチメントを構成する部品数を少なくすることができるので、アタッチメントの構成を簡単化することができる。
【0045】
前記固定爪は前記可動爪よりも前記回転駆動装置側に配置されていることが好ましい。これにより、図19A及び図19Bに示した従来から使用されているポンプを設計変形することなく着脱することができるアタッチメントを構成することができる。
【0046】
前記固定リングは前記可動リングよりも前記回転駆動装置側に配置されうる。これにより、固定爪を可動爪よりも回転駆動装置側に配置する構成を容易に実現することができる。
【0047】
あるいは、前記可動リングは前記固定リングよりも前記回転駆動装置側に配置されうる。これにより、ポンプをアタッチメント内に挿入するための案内面を固定リングに設けることができ、また、ポンプのロータを駆動ヘッドと同軸になるようにポンプを位置合わせする軸合わせ機能を固定リングに担わせることができる。
【0048】
前記固定爪の数と前記可動爪の数とは同じであってもよい。これは、アタッチメントの設計や組立を容易にする観点で有利である。
【0049】
前記可動爪の数は3でありうる。これは、ロータの回転軸が傾くことなくポンプを上下方向の所定位置に位置決めするのに有利である。
【0050】
前記ポンプは、その下端に円環状の台座を備えうる。前記台座の外周面は前記ポンプに内蔵されたロータと同軸の円筒面でありうる。前記台座の前記外周面には、複数の凹部と、前記複数の凹部と接続された複数の溝とが前記ロータの回転軸に対して等角度間隔で形成されうる。前記複数の凹部のそれぞれは、前記ロータの回転軸方向と平行に延びうる。前記複数の溝のそれぞれは、前記台座の周方向に沿って延びうる。前記可動リングが前記第1位置にあるとき、前記台座を前記アタッチメント内に嵌入させ、前記固定爪及び前記可動爪を前記台座の前記凹部内に嵌入させることができることが好ましい。前記台座が前記アタッチメント内に嵌入した状態で前記可動リングを前記第2位置に回動させると、前記可動爪が前記溝内に嵌入することが好ましい。これにより、従来から使用されているポンプを設計変更することなく、本発明のアタッチメントに着脱可能に装着することができる。
【0051】
前記固定爪が前記台座の前記凹部内に嵌入しているとき、前記固定爪は前記台座が前記アタッチメントに対して回動するのを規制しうる。これにより、ポンプがアタッチメントに対して回動して可動爪が台座の溝から抜け出るという事態は発生しない。
【0052】
前記可動爪が前記溝内に嵌入しているとき、前記可動爪は前記台座が前記アタッチメントから抜け出るのを規制してもよい。これにより、ポンプがアタッチメントに適切に装着された状態を維持できる。
【0053】
前記ポンプは、複数のベーンを備えたインペラがポンプ室内で回転するターボ式血液ポンプでありうる。
【0054】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図では、実際の部材の寸法および各部材の寸法比率等が必ずしも忠実に表されていない。以下に示す図において、同一の部材には同一の符号をしており、それらについての重複する説明を省略する。
【0055】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るアタッチメント100の斜視図である。本実施形態1のアタッチメント100は、上述した従来のアタッチメント900に代えて回転駆動装置800に、回転駆動装置800の中心軸800a(図18参照)と同軸に取り付けることができる。そして、上述したポンプ700を、アタッチメント100に着脱可能に装着することができる。従来技術に関する図18図25に示された部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。従来のアタッチメント900と同様に、アタッチメント100は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)及びヘッドカバー805を取り囲むことができるように、中央が開口した環状形状を有している。
【0056】
図2は、アタッチメント100の上方から見た分解斜視図である。アタッチメント100は、いずれもが円環形状を有する、固定リング110、可動リング120、アッパーリング140を、回転駆動装置800のアッパーハウジング801側からこの順に備える。
【0057】
固定リング110の中央には、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。3つの固定爪111が、開口の内周面112から内側(即ち、駆動ヘッド820)に向かって突出している。固定爪111は、120度間隔で配置されている。上方から見た固定爪111の先端は半円形状を有する。
【0058】
4つの貫通穴113が、固定リング110を上下方向に貫通している。円筒形状のスペーサ114が、貫通穴113を取り囲む端縁から上方に向かって突出している。
【0059】
固定リング110の外周端縁に、その一部を凹状に切り欠くことにより収容部115が形成されている。収容部115には、リリースボタン116が収容される。収容部115を規定する周方向に対向する2つの側面が、収容部115に収容されたリリースボタン116の周方向の位置を規制する。収容部115を規定する半径方向に垂直な壁面と、この壁面に対向する、リリースボタン116の端面との間に、コイルバネ118が介在される。コイルバネ118は、リリースボタン116を半径方向に沿って外側に向かって付勢する。リリースボタン116の上面から、上方に向かってカム軸117が突出している。
【0060】
可動リング120の中央には、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。3つの可動爪121が、開口の内周面122から内側(即ち、駆動ヘッド820)に向かって突出している。可動爪121は、120度間隔で配置されている。可動爪121は、水平方向面に平行な薄板状物であり、上方から見た可動爪121の先端は、固定爪111と略同一半径の半円形状を有する。
【0061】
可動リング120の外周端縁から半径方向に沿って外向きに操作突起125が突出している。操作突起125には、操作レバー127が装着される。より詳細には、操作突起125の上面に操作レバー127を載置し、固定ネジ128を、操作突起125に形成された貫通穴に下側から挿入して操作レバー127に螺合する。
【0062】
可動リング120には、3つのガイド穴123とカム穴124が形成されている。ガイド穴123及びカム穴124は、いずれも可動リング120を上下方向に貫通する貫通穴である。ガイド穴123は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円弧に沿って延びている。カム穴124は屈曲部124cで屈曲した略「L」字形状を有する。カム穴124の一端124aと屈曲部124cとの間の部分は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820と同軸の円弧に沿っており、カム穴124の他端(外側端)124bと屈曲部124cとの間の部分は、半径方向に沿っている。外側端124bは、屈曲部124cより外側(駆動ヘッド820より遠い側)に配置されている。
【0063】
アッパーリング140の中央にも、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。開口の直径は、固定リング110及び可動リング120のそれぞれの開口の直径と同じかこれらよりわずかに小さいことが好ましい。アッパーリング140の上面の開口の端縁に、案内面141が形成されている。案内面141は、内側(駆動ヘッド820)に近づくにしたがって下方に向かって降下する、駆動ヘッド820と同軸の円錐面(テーパ面)である。
【0064】
4つの貫通穴143が、アッパーリング140を上下方向に貫通している。貫通穴143の位置は、固定リング110の貫通穴113の位置と一致する。
【0065】
回転駆動装置800のアッパーハウジング801(図1参照)上に、固定リング110、可動リング120、アッパーリング140をこの順に、駆動ヘッド820と同軸に積み重ねる。そして、固定ネジ149を貫通穴143に挿入する。固定ネジ149は、貫通穴143、ガイド穴123、貫通穴113を順に貫通して、アッパーハウジング801に形成されたネジ孔(雌ネジ、図示せず)と螺合される。かくして、アタッチメント100は、図1に示すように、回転駆動装置800のアッパーハウジング801に取り付けられる。
【0066】
固定リング110の上面から突出したスペーサ114は、可動リング120のガイド穴123内に挿入される。4つのスペーサ114のうち、周方向に接近した2つのスペーサ114は、3つのガイド穴123のうち、周方向に長いガイド穴123に挿入される。スペーサ114の上端は、アッパーリング140の下面に当接する。スペーサ114は、固定リング110とアッパーリング140との上下方向の間隔を一定に維持する。可動リング120のガイド穴123内にスペーサ114が挿入されているので、可動リング120は、固定リング110及びアッパーリング140に対して、回転駆動装置800の中心軸800a回りに周方向に回動することができる。可動リング120の回動は、可動リング120から突出した操作突起125に取り付けた操作レバー127を用いて行うことができる。一方、固定リング110及びアッパーリング140は、アッパーハウジング801に対して移動することができない。
【0067】
リリースボタン116の上面から突出したカム軸117は、可動リング120のカム穴124に嵌入する。可動リング120が回動すると、カム軸117はカム穴124内を移動する。カム軸117及びカム穴124は、可動リング120の回動可能角度範囲を規定する。また、カム軸117及びカム穴124は、コイルバネ118によって半径方向に沿って外向きに付勢されたリリースボタン116の半径方向の位置を規定する。
【0068】
以上のように構成された本実施形態のアタッチメント100へのポンプ700の着脱方法を説明する。
【0069】
最初に、図3に示すように、アタッチメント100にポンプ700を対向させる。ポンプ700は、図19A及び図19Bで説明したものと同じである。図示していないが、入口ポート712及び出口ポート713には、体外血液循環回路を構成するチューブが既に接続されている。また、回転駆動装置800は、治具(図示せず)により所定位置に固定されている。図3に示す初期状態では、アタッチメント100の可動リング120の可動爪121は、固定リング110の固定爪111と上下方向に対向している(重なり合っている)。可動リング120の操作レバー127は、リリースボタン116の近くに位置している。可動リング120のこの位置を、「第1位置」という。図示を省略するが、リリースボタン116のカム軸117は、可動リング120のカム穴124の端124a(図2参照)に位置している。リリースボタン116は、その周方向の両側の固定リング110の外周面よりも後退した位置(即ち、駆動ヘッド820側の位置)にある。
【0070】
次いで、ポンプ700をアタッチメント100に接近させる。ポンプ700の台座730をアタッチメント100のアッパーリング140の中央の開口内に挿入する。傾斜した案内面141が、台座730を開口内に案内する。ポンプ700を周方向にわずかに回転させて、アタッチメント100の可動爪121及び固定爪111を、ポンプ700の台座730の凹部731(図19A図19Bを参照)内に順に嵌入させる。可動リング120は、図3と同様に第1位置にあり、可動爪121と固定爪111とは上下方向に対向している。従って、台座731が下降するにしたがって、可動爪121及び固定爪111が、台座730の同じ凹部731内に嵌入する。なお、ダミー凹部732の半円筒面の半径は、可動爪121及び固定爪111の先端の半円形状の半径より小さいので、可動爪121及び固定爪111はダミー凹部732内に嵌入することはできない。台座730の下面が、アッパーハウジング801に当接するまで、台座730をアタッチメント100内に挿入することができる。
【0071】
図4は、ポンプ700の台座730をアタッチメント100内に最も深くまで挿入した状態を示した斜視図である。操作レバー127は図3と同じ位置にあり、従って、可動リング120は依然として第1位置にある。図示されていないが、台座730に形成された溝733(図19A及び図19B参照)は、可動爪121と上下方向の位置が一致する。図4の状態でポンプ700を上方に持ち上げると、ポンプ700をアタッチメント100から分離することが可能である。アッパーリング140の中央の開口の内側端縁は、ポンプ700の台座730の外周面と当接することにより、ポンプ700を水平方向に位置決めする。従って、駆動ヘッド820とインペラ720とが同軸に位置合わせされる。
【0072】
次いで、図5Aに示すように、操作レバー127を、上方から見て反時計回り方向(矢印R1)に回動させる。図5Bは、ポンプ700の図示が省略され、図5Aと同じ状態のアタッチメント100を示す。操作レバー127を回動させることにより、可動リング120が回動し、可動爪121が周方向に移動する。このとき、固定爪111は変位しない。固定爪111が台座730の凹部731内に嵌入しているので、可動リング120が回動しても、ポンプ700は回動しない。従って、可動爪121は、凹部731から溝733(図19A図19Bを参照)内へ移動する。可動リング120の回動量は、リリースボタン116のカム軸117が、可動リング120のカム穴124の屈曲部124c(図2参照)に到達することによって規制される。本実施形態では、可動リング120の回動可能角度範囲は約15度である。カム軸117が屈曲部124cに到達するのと同時に、可動爪121が溝733の後端733b(図19A図19Bを参照)に衝突してもよい。可動リング120のこの位置を、「第2位置」という。可動爪121が台座730の溝733内に嵌入しているので、ポンプ700はアタッチメント100及び回転駆動装置800に対して上下方向に位置決めされる。従って、ポンプ700を上方に持ち上げても、ポンプ700をアタッチメント100から分離することはできない。
【0073】
可動リング120が図5A及び図5Bに示す位置に回動されると、上述したように、リリースボタン116のカム軸117が、可動リング120のカム穴124の屈曲部124c(図2参照)に到達する。この直後に、カム軸117がカム穴124の外側端124bに到達するまで、コイルバネ118は、リリースボタン116を半径方向に沿って外側に向かって押し出す。図6Aは、リリースボタン116が押し出された状態を示した斜視図である。図6Bは、ポンプ700の図示が省略された、図6Aと同じ状態のアタッチメント100を示す。図6A及び図6B図5A及び図5Bと比較すれば容易に理解できるように、図6A及び図6Bでは、リリースボタン116は、その外側面が、リリースボタン116の周方向の両側の固定リング110の外周面とほぼ同一曲面を構成するような位置まで、外側に向かって移動している。かくして、アタッチメント100へのポンプ700の装着が完了する。
【0074】
図6A及び図6Bの状態では、リリースボタン116のカム軸117が、可動リング120のカム穴124の外側端124b(図2参照)に位置している。従って、可動リング120を回動させることができない。また、可動爪121が台座730の溝733内に嵌入している。従って、ポンプ700を上方に持ち上げても、ポンプ700とアタッチメント100とを上下方向に分離することはできない。更に、固定爪111が台座730の凹部731内に嵌入している。従って、ポンプ700をアタッチメント100及び回転駆動装置800に対して回動させることもできない。図6A及び図6Bのこの状態では、インペラ720と駆動ヘッド820とは同軸に位置合わせされ、インペラ720の従動磁石725は駆動ヘッド820の駆動磁石825と磁気結合している。駆動ヘッド820を回転させると、インペラ720が追従して回転し、血液を入口ポート712から流入させ出口ポート713から流出させることができる。
【0075】
図6A及び図6Bの状態から、ポンプ700をアタッチメント100から分離するためには、概略、上記と逆の操作を行うことにより可能である。
【0076】
即ち、最初にリリースボタン116を図5A及び図5Bの状態になるまで押し込む。リリースボタン116のカム軸117は、可動リング120のカム穴124内を外側端124bから屈曲部124c(図2参照)へ移動する。
【0077】
次いで、リリースボタン116を押し込みながら、操作レバー127をリリースボタン116に近づくように移動させる。可動リング120は、上方から見て時計回り方向に回動する。これにより、リリースボタン116のカム軸117は、可動リング120のカム穴124内を屈曲部124cから端124a(図2参照)へ移動する。これと並行して、可動爪121は、溝733から凹部731内に移動する。これにより、図4に示す状態となる。リリースボタン116への押力を解除しても、リリースボタン116は押し込まれたままである。
【0078】
最後に、ポンプ700を上方に持ち上げる。これにより、図3に示すように、ポンプ700をアタッチメント100から分離することができる。
【0079】
以上のように、本実施形態によれば、図6A及び図6Bに示すように、ポンプ700の台座730をアタッチメント100内に挿入し、且つ、可動リング120を第2位置に回動させれば、ポンプ700のアタッチメント100への装着が完了する。アタッチメント100のアッパーリング140の中央の開口の内側端縁は、インペラ720が駆動ヘッド820と同軸になるようにポンプ700を水平方向に位置合わせする。アタッチメント100の可動爪121は、ポンプ700の台座730がアタッチメント100から抜け出ることがないようにポンプ700の上下方向の移動を規制する。これらによって、インペラ720の従動磁石725と駆動ヘッド820の駆動磁石825とが所望する距離に接近され、磁気結合する。従って、インペラ720を駆動ヘッド820の回転に追従して回転させて、血液を送ることが可能になる。
【0080】
ポンプ700をアタッチメント100に装着する場合、ポンプ700の台座730をアタッチメント100内に一旦挿入した(図4参照)後は、ポンプ700のアタッチメント100への装着が完了する(図6A及び図6B参照)までの間、ポンプ700をアタッチメント100及び回転駆動装置800に対して回動させる必要がない。さらに、台座730がアタッチメント100内に挿入されるとアタッチメント100の固定爪111が台座730の凹部731内に嵌入するので、ポンプ700をアタッチメント100に対して回動させることができない。従って、従来のアタッチメント900を用いた場合と異なり、本実施形態では、ポンプ700をアタッチメント100に装着する過程で入口ポート712及び出口ポート713に接続されたチューブに捩れや曲げが生じることがなく、チューブ内の血液の良好な流れを確保することができる。
【0081】
台座730がアタッチメント100内に挿入された状態で可動リング120が第2位置に位置している限り、ポンプ700がアタッチメント100に装着された状態は維持される。従って、可動爪121を備え且つ回動可能な可動リング120は、ポンプ700が適切に装着された状態を維持するための「ロック機構」を構成する。
【0082】
ロック機構が有効に機能した「ロック状態」に移行させるためには、操作レバー127を用いて、可動リング120を第1位置(「非ロック位置」、図4参照)から第2位置(「ロック位置」、図5A及び図5B参照)へ回動させる操作が必要がある。本実施形態では、図4図6Aとを比較すれば容易に理解できるように、可動リング120の外周端縁から外向きに突出した操作レバー127の周方向の位置によって、ロック状態であるか否かを確認することができる。例えば駆動ヘッド820の回転中心軸から操作レバー127までの半径方向の距離が50mmである場合、操作レバー127を当該中心軸に対して15度回動させたときの周方向の移動量は13mmとなる。これは、従来のアタッチメント900のロックピン910の半径方向の移動量が5mm程度であったことに比べて格段に大きい。従って、本実施形態のアタッチメント100は、操作レバー127の位置により、ロック状態であるか否かを容易に視認することができる。
【0083】
更に、ロック状態に移行すると、リリースボタン116が半径方向に沿って外向きに押し出される(図6A及び図6B参照)。従って、操作レバー127に加えて、リリースボタン116の位置によっても、ロック状態であるか否かを視認することができる。リリースボタン116の半径方向の移動量は、カム穴124の屈曲部124cと外側端124bとの間の距離に依存する。この距離は任意に設定することができ、長くすればするほど、リリースボタン116の移動量を大きくすることができる。従って、リリースボタン116の位置を利用した、ロック状態であるか否かの視認性を向上させることが可能である。
【0084】
更に、固定リング110の収容部115の半径方向に略平行な内壁面115a(図5A参照)に着色を施してもよい。この場合、リリースボタン116が押し込まれた状態では着色を視認でき、リリースボタン116が押し出されると着色がリリースボタン116で隠れて見えなくなる(図6A参照)。これにより、ロック状態であるか否かの確認が一層容易になる。
【0085】
このように、本実施形態では、ロック状態であるか否かを容易に視認することができる。このため、作業者がロック機構をロック状態に移行させる操作をし忘れるという誤操作をする可能性が低減される。
【0086】
可動リング120を第2位置に回動させると、リリースボタン116のカム軸117が可動リング120のカム穴124の外側端124b(図2参照)に直ちに移動する。この結果、可動リング120はカム軸117によって係合され、可動リング120を回動させることができなくなる。このように、アタッチメント100は、可動リング120が第2位置(ロック位置)に保持されるように機能する「保持機構」を備えている。これにより、第2位置(ロック位置)にある可動リング120が意図せずに第1位置(非ロック位置)に移動して、ロック状態が解除されてしまう事態に至るのを防止することができる。
【0087】
本実施形態1では、保持機構は、第2位置にある可動リング120に係合するカム軸117(係合部材)を備えている。係合部材は、第2位置にある可動リング120を第1位置に回動させることができないように、可動リング120に係合する。保持機構がこのような係合部材を含むことは、意図せずに可動リング120が第1位置へ移動してロック状態が解除されてしまう可能性を低減するのに有利である。
【0088】
カム軸117は、可動リング120が第1位置から回動されて第2位置に到達すると、直ちに可動リング120に係合し、保持機構が有効化される。即ち、ロック機構がロック状態に移行されれば、同時に保持機構が有効化される。保持機構を有効化するための独立した操作は不要である。これにより、保持機構を確実に機能させることができる。
【0089】
ロック状態を解除するためには、リリースボタン116の押し込みと操作レバー127の回動とが同時に行われる必要がある。単にリリースボタン116が押し込まれただけ、あるいは、単に操作レバー127に上方から見て時計回り方向の力が作用しただけでは、ロック状態は解除されない。従って、ポンプ700を装着したアタッチメント100に意図しない外力が加わっても、ロック状態が解除される可能性は低く、ポンプ700はアタッチメント100から脱落しにくい。このため、アタッチメント100は安全性に優れている。
【0090】
ポンプ700の台座730をアタッチメント100内に挿入した状態では、固定リング110の固定爪111が台座730の凹部731内に嵌入する。このため、ポンプ700をアタッチメント100及び回転駆動装置800に対して回動させることができない。従って、ロック状態(図6A及び図6B参照)において、ポンプ700がアタッチメント100に対して回動して可動爪121が溝733から抜け出るという事態は発生しない。
【0091】
本実施形態のアタッチメント100は、従来のアタッチメント900に置き換えて使用することができる。回転駆動装置800(特にそのアッパーハウジング801)及びポンプ700は従来から使用されているものを、設計変形することなく継続して使用することができる。従って、費用対効果に優れる。
【0092】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係るアタッチメント200の斜視図である。本実施形態2のアタッチメント200は、実施形態1のアタッチメント100と同様に、上述した従来のアタッチメント900に代えて回転駆動装置800に、回転駆動装置800の中心軸800a(図18参照)と同軸に取り付けることができる。そして、上述したポンプ700を、アタッチメント200に着脱可能に装着することができる。実施形態1に関する図1図6B及び従来技術に関する図18図25に示された部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。従来のアタッチメント900と同様に、アタッチメント200は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)及びヘッドカバー805を取り囲むことができるように、中央が開口した環状形状を有している。
【0093】
図8Aは、アタッチメント200の上方から見た分解斜視図である。図8Bは、アタッチメント200の下方から見た分解斜視図である。アタッチメント200は、いずれもが円環形状を有する、固定リング210、可動リング220、補助リング230、アッパーリング240を、回転駆動装置800のアッパーハウジング801側からこの順に備える。
【0094】
固定リング210の中央には、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。3つの固定爪211が、開口の内周面212から内側(即ち、駆動ヘッド820)に向かって突出している。固定爪211は、120度間隔で配置されている。上方から見た固定爪211の先端は半円形状を有する。
【0095】
4つの貫通穴213が、固定リング210を上下方向に貫通している。
【0096】
図8Aに示されているように、固定リング210の上面には、3つの溝215が形成されている。3つの溝215は、回転駆動装置800の中心軸800a(図18参照)に対して等角度間隔に配置されている。溝215は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円弧に沿って延びている。
【0097】
各溝215内に、スライダ216及びコイルバネ218が収納されている。コイルバネ218の長手方向の一端(上方から見て時計回り方向の前端)は、溝215の一端(上方から見て時計回り方向の前端)の内壁面に当接される。コイルバネ218の他端(上方から見て反時計回り方向の前端)は、スライダ216に連結されている。かくして、溝215内において、コイルバネ218は、スライダ216を、上方から見て反時計回り方向に付勢する。スライダ216の上面から、上方に向かって連結軸217が突出している。
【0098】
可動リング220の中央には、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。3つの可動爪221が、開口の内周面222から内側(即ち、駆動ヘッド820)に向かって突出している。可動爪221は、120度間隔で配置されている。可動爪221は、水平方向面に平行な薄板状物であり、上方から見た可動爪221の先端は、固定爪211と略同一半径の半円形状を有する。
【0099】
可動リング220の外周端縁から半径方向に沿って外向きに操作突起225が突出している。操作突起225には、操作レバー227が装着される。より詳細には、操作突起225の上面に操作レバー227を載置し、固定ネジ228を、操作突起225に形成された貫通穴に下側から挿入して操作レバー227に螺合する。
【0100】
可動リング220には、3つの連結穴223が形成されている。3つの連結穴223は、回転駆動装置800の中心軸800a(図18参照)に対して等角度間隔に配置されている。連結穴223は、可動リング220を上下方向に貫通する小径の貫通穴である。
【0101】
補助リング230の中央にも、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。開口の直径は、固定リング210及び可動リング220のそれぞれの開口の直径と同じかこれらよりわずかに小さいことが好ましい。補助リング230には、3つの連結穴233及び3つのガイド穴235が形成されている。3つの連結穴233及び3つのガイド穴235は、いずれも回転駆動装置800の中心軸800a(図18参照)に対して等角度間隔に配置されている。連結穴233は、補助リング230を上下方向に貫通する小径の貫通穴である。ガイド穴235は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円弧に沿って第1端235aから第2端235bまで延びている。上方から見たとき、第1端235aは、第2端235bよりも反時計回り方向の前方側に位置している。
【0102】
アッパーリング240は、水平方向に沿った天板240aと、天板240aの外周端縁から下方に延びた略円筒面形状を有する側壁240bとを備える。天板240aの中央に、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。開口の直径は、固定リング210及び可動リング220のそれぞれの開口の直径と同じかこれらよりわずかに小さいことが好ましい。天板240aの上面の開口の端縁に、案内面241が形成されている。案内面241は、内側(駆動ヘッド820)に近づくにしたがって下方に向かって降下する、駆動ヘッド820と同軸の円錐面(テーパ面)である。
【0103】
4つの貫通穴243が、アッパーリング240の天板240aを上下方向に貫通している。貫通穴243の位置は、固定リング210の貫通穴213の位置と一致する。
【0104】
固定レバー247が、側壁240bから、半径方向に沿って外向きに突出している。
【0105】
図8Bに示されているように、3つのスペーサ244が、天板240aの下面から下方に向かって突出している。3つのスペーサ244は、回転駆動装置800の中心軸800a(図18参照)に対して等角度間隔に配置されている。
【0106】
側板240bに、側板240bの下端から上方に向かって側板240bの一部を切り欠くことによって形成された切り欠き248が形成されている。
【0107】
回転駆動装置800のアッパーハウジング801(図7参照)上に、固定リング210、可動リング220、補助リング230、アッパーリング240をこの順に、駆動ヘッド820と同軸に積み重ねる。そして、固定ネジ249を貫通穴243に挿入する。固定ネジ249は、貫通穴243、ガイド穴235、貫通穴213を順に貫通して、アッパーハウジング801に形成されたネジ孔(雌ネジ、図示せず)と螺合される。かくして、アタッチメント100は、図7に示すように、回転駆動装置800のアッパーハウジング801に取り付けられる。
【0108】
可動リング220及び補助リング230は、アッパーリング240の側壁240b内に収納される。可動リング220から突出した操作突起225は、側壁240bの切り欠き248を通って側壁240b外に突出する。操作レバー227は、操作突起225の側壁240b外に突出した部分に装着される。
【0109】
アッパーリング240の天板240aの下面から突出したスペーサ244は、補助リング230のガイド穴235に嵌入される。スペーサ244の下端は、固定リング210の上面に当接する。可動リング220は、3つのスペーサ244より内側(駆動ヘッド820に近い側)に配置される。スペーサ244は、固定リング210とアッパーリング240の天板240aとの上下方向の間隔を一定に維持する。
【0110】
スライダ216の上面から突出した連結軸217は、可動リング220の連結穴223及び補助リング230の連結穴233に嵌入する。従って、可動リング220と補助リング230とは、スライダ216の連結軸217を介して連結される。また、補助リング230のガイド穴235内にスペーサ244が挿入される。このため、可動リング220及び補助リング230は、固定リング210及びアッパーリング240に対して、回転駆動装置800の中心軸800a回りに周方向に一体的に回動することができる。可動リング220及び補助リング230の回動可能角度範囲は、スペーサ244が円弧状のガイド穴235の第1端235a及び第2端235bに衝突することによって規定される。本実施形態では、可動リング220及び補助リング230の回動可能角度範囲は約15度である。一方、固定リング210及びアッパーリング240は、アッパーハウジング801に対して移動することができない。
【0111】
コイルバネ218が、スライダ216及び連結軸217を介して、可動リング220及び補助リング230を一体的に上方から見て反時計回り方向に付勢する。可動リング220から突出した操作突起225に取り付けた操作レバー227を用いて、可動リング220及び補助リング230を、コイルバネ218の弾性力に抗して時計回り方向に回動させることができる。
【0112】
以上のように構成された本実施形態のアタッチメント200へのポンプ700の着脱方法を説明する。
【0113】
最初に、図9に示すように、アタッチメント200にポンプ700を対向させる。ポンプ700は、図19A及び図19Bで説明したものと同じである。図示していないが、入口ポート712及び出口ポート713には、体外血液循環回路を構成するチューブが既に接続されている。また、回転駆動装置800は、治具(図示せず)により所定位置に固定されている。図9に示す初期状態では、上述したように、可動リング220及び補助リング230は、コイルバネ218(図8A図8B参照)の弾性力によって上方から見て反時計回り方向に付勢されている。図示を省略するが、スペーサ244はガイド穴235の第2端235bに当接している。可動リング220に設けられた操作レバー227は固定レバー247から反時計回り方向に最も遠くに位置している。可動リング220の可動爪221は、固定リング210の固定爪211に対して周方向に位置ずれしている。可動リング220のこの位置を、「第2位置」という。
【0114】
次に、図10に示すように、操作レバー227を上方から見て時計回り方向(矢印R2)に回動させる。例えば、右手の親指を固定レバー247に添え、右手の人差し指を操作レバー227に添えて、人差し指を親指に接近させれば、操作レバー227を容易に回動させることができる。操作レバー227と共に可動リング220及び補助リング230が回動し、コイルバネ218が弾性圧縮される。図示を省略するが、スペーサ244がガイド穴235の第1端235aに当接するまで(図8A参照)、操作レバー227を回動させることができる。図10は、この状態を示している。可動リング220の可動爪221は、固定リング210の固定爪211と上下方向に対向している(重なり合っている)。可動リング220のこの位置を、「第1位置」という。
【0115】
次いで、可動リング220が第1位置に保持されるように操作レバー227を押さえながら、ポンプ700をアタッチメント200に接近させる。ポンプ700の台座730をアタッチメント200のアッパーリング240の中央の開口内に挿入する。傾斜した案内面241が、台座730を開口内に案内する。ポンプ700を周方向にわずかに回転させて、アタッチメント200の可動爪221及び固定爪211を、ポンプ700の台座730の凹部731(図19A図19Bを参照)内に順に嵌入させる。可動爪221と固定爪211とは上下方向に対向しているので、可動爪221及び固定爪211は、台座730の同じ凹部731内に嵌入する。なお、ダミー凹部732の半円筒面の半径は、可動爪221及び固定爪211の先端の半円形状の半径より小さいので、可動爪221及び固定爪211はダミー凹部732内に嵌入することはできない。台座730の下面が、アッパーハウジング801に当接するまで、台座730をアタッチメント200内に挿入することができる。
【0116】
図11は、ポンプ700の台座730をアタッチメント200内に最も深くまで挿入した状態を示した斜視図である。操作レバー227は図10と同じ位置にあり、従って、可動リング220は依然として第1位置にある。図示されていないが、台座730に形成された溝733(図19A及び図19B参照)は、可動爪221と上下方向の位置が一致する。図11の状態でポンプ700を上方に持ち上げると、ポンプ700をアタッチメント200から分離することが可能である。アッパーリング240及び補助リング230の中央の開口の内側端縁は、ポンプ700の台座730の外周面と当接することにより、ポンプ700を水平方向に位置決めする。従って、駆動ヘッド820とインペラ720とが同軸に位置合わせされる。
【0117】
次いで、操作レバー227から指を離す。直ちに、可動リング220は、コイルバネ218により、第1位置から第2位置へ、上方から見て反時計回り方向に回動される。可動リング220の回動は、スペーサ244がガイド穴235の第2端235b(図8A参照)に当接することによって規制される。図12Aは、可動リング220が第2位置に回動した状態を示した斜視図である。操作レバー227が、図9と同じ位置に復帰している。図12Bは、ポンプ700の図示が省略された、図12Aと同じ状態のアタッチメント200を示す。図12Bに示すアタッチメント200の状態は、図9と同じである。
【0118】
可動リング220が第2位置に回動することにともなって、可動爪221が周方向に移動する。このとき、固定爪211は変位しない。固定爪211が台座730の凹部731内に嵌入しているので、可動リング220が回動しても、ポンプ700は回動しない。従って、可動爪221は、凹部731から溝733(図19A図19Bを参照)内へ移動する。スペーサ244がガイド穴235の第2端235b(図8A参照)に当接するのと同時に、可動爪221が溝733の後端733b(図19A図19Bを参照)に衝突してもよい。かくして、アタッチメント200へのポンプ700の装着が完了する。
【0119】
図12A及び図12Bに示す状態では、コイルバネ218が可動リング220を第2位置に保持されるように付勢している。従って、操作レバー227を上方から見て時計回り方向に回動させない限り、可動リング220は第2位置のままである。また、可動爪221が台座730の溝733内に嵌入している。従って、ポンプ700を上方に持ち上げても、ポンプ700とアタッチメント200とを上下方向に分離することはできない。更に、固定爪211が台座730の凹部731内に嵌入している。従って、ポンプ700をアタッチメント200及び回転駆動装置800に対して回動させることもできない。図12A及び図12Bのこの状態では、インペラ720と駆動ヘッド820とは同軸に位置合わせされ、インペラ720の従動磁石725は駆動ヘッド820の駆動磁石825と磁気結合している。駆動ヘッド820を回転させると、インペラ720が追従して回転し、血液を入口ポート712から流入させ出口ポート713から流出させることができる。
【0120】
図12A及び図12Bの状態から、ポンプ700をアタッチメント200から分離するためには、概略、上記と逆の操作を行うことにより可能である。
【0121】
即ち、最初に、操作レバー227を、固定レバー247に近づくように図11の位置まで移動させる。可動リング220は、上方から見て時計回り方向に第1位置まで回動する。これにより、可動爪221と固定爪211とが上下方向に対向する。
【0122】
次いで、操作レバー227の位置を保持しながら(即ち、可動リング220を第1位置に保持しながら)ポンプ700を上方に持ち上げる。これにより、図10に示すように、ポンプ700をアタッチメント200から分離することができる。
【0123】
その後、操作レバー227から指を離すと、コイルバネ218により、可動リング220は直ちに第2位置へ、上方から見て反時計回り方向に回動される。操作レバー227は固定レバー247から離れた位置に移動し、図9に示す初期状態となる。
【0124】
以上のように、本実施形態によれば、操作レバー227を操作して可動リング220を第1位置に回動させた状態(図10参照)でポンプ700の台座730をアタッチメント200内に挿入し(図11参照)、その後、操作レバー227から指を離せば、可動リング220は自動的に第2位置へ回動し、図12A及び図12Bに示すようにポンプ700のアタッチメント200への装着が完了する。アタッチメント200のアッパーリング240及び補助リング230のそれぞれの中央の開口の内側端縁は、インペラ720が駆動ヘッド820と同軸になるようにポンプ700を水平方向に位置合わせする。アタッチメント200の可動爪221は、ポンプ700の台座730がアタッチメント200から抜け出ることがないようにポンプ700の上下方向の移動を規制する。これらによって、インペラ720の従動磁石725と駆動ヘッド820の駆動磁石825とが所望する距離に接近され、磁気結合する。従って、インペラ720を駆動ヘッド820の回転に追従して回転させて、血液を送ることが可能になる。
【0125】
実施形態1と同様に、本実施形態においても、ポンプ700の台座730をアタッチメント200内に一旦挿入した(図11参照)後は、ポンプ700のアタッチメント200への装着が完了する(図12A及び図12B参照)までの間、ポンプ700をアタッチメント200及び回転駆動装置800に対して回動させる必要がない。さらに、アタッチメント200の固定爪211が台座730の凹部731内に嵌入するので、ポンプ700をアタッチメント200に対して回動させることができない。従って、従来のアタッチメント900を用いた場合と異なり、本実施形態では、ポンプ700をアタッチメント200に装着する過程で入口ポート712及び出口ポート713に接続されたチューブに捩れや曲げが生じることがなく、チューブ内の血液の良好な流れを確保することができる。
【0126】
実施形態1と同様に、本実施形態においても、台座730がアタッチメント200内に挿入された状態で可動リング220が第2位置に位置している限り、ポンプ700がアタッチメント200に装着された状態は維持される。従って、可動爪221を備え且つ回動可能な可動リング220は、ポンプ700が適切に装着された状態を維持するための「ロック機構」を構成する。
【0127】
ロック機構が有効に機能した「ロック状態」に移行させるためには、可動リング220を第1位置(「非ロック位置」)から第2位置(「ロック位置」)へ回動させる必要がある。本実施形態では、可動リング120は、コイルバネ218により第2位置に向かって常時付勢されている。従って、ロック状態に移行させるためには、図11に示すようにポンプ700の台座730をアタッチメント200内に挿入した後、単に操作レバー227から指を離すだけでよい。可動リング220が第1位置にある状態で操作レバー227から手を離せば、可動リング220は自動的に直ちに第2位置に移動し、ロック状態(図12A及び図12B参照)に移行する。このため、作業者がロック機構をロック状態に移行させる操作をし忘れるという誤操作をする可能性がない。
【0128】
また、実施形態1と同様に、本実施形態のアタッチメント200では、図11図12Aとを比較すれば容易に理解できるように、可動リング220の外周端縁から外向きに突出した操作レバー227の周方向の位置によって、ロック状態であるか否かを確認することができる。例えば駆動ヘッド820の回転中心軸から操作レバー227までの半径方向の距離が50mmである場合、操作レバー227を当該中心軸に対して15度回動させたときの周方向の移動量は13mmとなる。これは、従来のアタッチメント900のロックピン910の半径方向の移動量が5mm程度であったことに比べて格段に大きい。従って、本実施形態のアタッチメント200は、操作レバー227の位置により、ロック状態であるか否かを容易に視認することができる。この点からも、本実施形態では、作業者がロック機構をロック状態に移行させる操作をし忘れるという誤操作をする可能性が低減されている。
【0129】
可動リング220が第2位置にあるとき(図12A及び図12B参照)でも、コイルバネ218は、可動リング220が第1位置へ回動しないように常時付勢している。このように、アタッチメント200は、可動リング220が第2位置(ロック位置)に保持されるように機能する「保持機構」を備えている。これにより、第2位置(ロック位置)にある可動リング220が意図せずに第1位置(非ロック位置)に移動して、ロック状態が解除されてしまう事態に至るのを防止することができる。
【0130】
本実施形態2では、保持機構は、可動リング220を第2位置に向かって付勢するコイルバネ218(付勢部材)を備えている。保持機構がこのような付勢部材を含むことは、保持機構の構成を簡単化するのに有利である。また、保持機構を有効化するための独立した操作は不要になるので、保持機構を確実に機能させることができる。
【0131】
実施形態1の保持機構は可動リング120に係合する係合構造(カム軸117)を備えたが、本実施形態1の保持機構は係合構造を備えない。このため、ロック状態を解除するためには、係合を解除する操作が不要で、単に操作レバー227をコイルバネ218の付勢力に反して回動させるだけでよい。従って、ロック状態と非ロック状態(ロック状態が解除された状態)との切り替えが簡単である。
【0132】
ポンプ700の台座730をアタッチメント200内に挿入した状態では、固定リング210の固定爪211が台座730の凹部731内に嵌入する。このため、ポンプ700をアタッチメント200及び回転駆動装置800に対して回動させることができない。従って、ロック状態(図12A及び図12B参照)において、ポンプ700がアタッチメント200に対して回動して可動爪221が溝733から抜け出るという事態は発生しない。
【0133】
実施形態1のアタッチメント100と同様に、本実施形態のアタッチメント200も、従来のアタッチメント900に置き換えて使用することができる。回転駆動装置800(特にそのアッパーハウジング801)及びポンプ700は従来から使用されているものを、設計変形することなく継続して使用することができる。従って、費用対効果に優れる。
【0134】
(実施形態3)
図13は、本発明の実施形態3に係るアタッチメント300の斜視図である。本実施形態3のアタッチメント300は、実施形態1,2のアタッチメント100,200と同様に、上述した従来のアタッチメント900に代えて回転駆動装置800に、回転駆動装置800の中心軸800a(図18参照)と同軸に取り付けることができる。そして、上述したポンプ700を、アタッチメント300に着脱可能に装着することができる。実施形態1に関する図1図6B及び従来技術に関する図18図25に示された部材と同じ部材には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。従来のアタッチメント900と同様に、アタッチメント300は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)及びヘッドカバー805を取り囲むことができるように、中央が開口した環状形状を有している。
【0135】
図14は、アタッチメント300の上方から見た分解斜視図である。アタッチメント300は、いずれもが円環形状を有する、可動リング320、固定リング310を、回転駆動装置800のアッパーハウジング801側からこの順に備える。
【0136】
可動リング320の中央には、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。3つの可動爪321が、開口の内周面322から内側(即ち、駆動ヘッド820)に向かって突出している。可動爪321は、120度間隔で配置されている。可動爪321は、水平方向面に平行な薄板状物であり、上方から見た可動爪321の先端は半円形状を有する。
【0137】
可動リング320の外周端縁から半径方向に沿って外向きに操作レバー327が突出している。
【0138】
可動リング320には、3つのガイド穴323が形成されている。ガイド穴323は、可動リング320を上下方向に貫通する貫通穴である。ガイド穴323は、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円弧に沿って延びている。3つのガイド孔323のうちの1つは、他の2つより周方向の長さが長い。ガイド孔323内に、円筒形状のスリーブ326が挿入される。長いガイド孔323には2つのスリーブ326が挿入され、短いガイド孔323には1つのスリーブ326が挿入される。
【0139】
固定リング310の中央には、回転駆動装置800の駆動ヘッド820(図18参照)と同軸の円形の開口(貫通穴)が形成されている。開口の直径は、可動リング320の開口の直径と同じかこれらよりわずかに小さいことが好ましい。固定リング310の上面の開口の端縁に、案内面341が形成されている。案内面341は、内側(駆動ヘッド820)に近づくにしたがって下方に向かって降下する、駆動ヘッド820と同軸の円錐面(テーパ面)である。
【0140】
固定リング310は、その内側端縁から下方に向かって延びた、円筒形状のスペーサ筒314を備える。3つの固定爪311が、スペーサ筒314の内周面312から内側(即ち、駆動ヘッド820)に向かって突出している。固定爪311は、120度間隔で配置されている。上方から見た固定爪311の先端は、可動爪321と略同一半径の半円形状を有する。
【0141】
スペーサ筒314には、3つの切り欠き315が形成されている。切り欠き315は、スペーサ筒314の下端から上方に向かって所定長さで延びている。切り欠き315は、120度間隔で配置され、周方向に隣り合う固定爪311の略中間に位置している。
【0142】
4つの貫通穴313が、固定リング310を上下方向に貫通している。
【0143】
回転駆動装置800のアッパーハウジング801(図13参照)上に、可動リング320及び固定リング310をこの順に、駆動ヘッド820と同軸に積み重ねる。そして、固定ネジ349を貫通穴313に挿入する。固定ネジ349は、貫通穴313、ガイド穴323に挿入されたスリーブ326を順に貫通して、アッパーハウジング801に形成されたネジ孔(雌ネジ、図示せず)と螺合される。かくして、アタッチメント300は、図13に示すように、回転駆動装置800のアッパーハウジング801に取り付けられる。
【0144】
固定リング310のスペーサ筒314は、可動リング320の中央の開口内に挿入される。スペーサ筒314の下端は、アッパーハウジング801の上面に当接する。また、スリーブ326の上端は固定リング310の下面に当接し、スリーブ326の下端はアッパーハウジング801の上面に当接する。かくして、スペーサ筒314及びスリーブ326は、固定リング310とアッパーハウジング801との上下方向の間隔を一定に維持する。このため、可動リング320は、固定リング310に対して、回転駆動装置800の中心軸800a回りに周方向に回動することができる。可動リング320の回動は、可動リング320から突出した操作レバー327を用いて行うことができる。一方、固定リング310は、アッパーハウジング801に対して移動することができない。
【0145】
可動リング320の可動爪321は、スペーサ筒314に形成された切り欠き315を介して、内側に向かって突出している。可動リング320が回動すると、可動爪321は切り欠き315内で周方向に移動する。上下方向において、固定爪311は、可動爪321よりもアッパーハウジング801側に位置している。
【0146】
可動リング320の回動可能角度範囲は、ガイド孔323の周方向の両端がスリーブ326に当接することによって規定される。本実施形態では、可動リング320の回動可能角度範囲は約15度である。
【0147】
以上のように構成された本実施形態のアタッチメント300へのポンプ700の着脱方法を説明する。
【0148】
最初に、図15に示すように、アタッチメント300にポンプ700を対向させる。ポンプ700は、図19A及び図19Bで説明したものと同じである。図示していないが、入口ポート712及び出口ポート713には、体外血液循環回路を構成するチューブが既に接続されている。また、回転駆動装置800は、治具(図示せず)により所定位置に固定されている。図15に示す初期状態では、可動リング320は、上方から見て時計回り方向に、その回動可能角度範囲の最大限にまで回動されている。可動リング320のこの位置を、「第1位置」という。
【0149】
次いで、ポンプ700をアタッチメント300に接近させる。ポンプ700の台座730をアタッチメント300の固定リング310の中央の開口内に挿入する。傾斜した案内面341が、台座730を開口内に案内する。ポンプ700を周方向にわずかに回転させて、アタッチメント300の可動爪321及び固定爪311を、ポンプ700の台座730の凹部731(図19A図19Bを参照)内に順に嵌入させる。
【0150】
本実施形態では、可動爪321と固定爪311とは、周方向の異なる位置に配置されている。しかしながら、可動リング320が第1位置にあるとき、周方向に隣り合う固定爪311と可動爪321とが中心軸800aに対してなす角度が、ポンプ700の台座730に形成された凹部731の中心軸800aに対するピッチ角(本実施形態では30度)の整数倍になるように、可動爪321及び固定爪311の周方向の位置が設定されている。従って、可動爪321及び固定爪311は、台座730の異なる凹部731内に嵌入する。なお、ダミー凹部732の半円筒面の半径は、可動爪321及び固定爪311の先端の半円形状の半径より小さいので、可動爪321及び固定爪311はダミー凹部732内に嵌入することはできない。台座730の下面が、アッパーハウジング801に当接するまで、台座730をアタッチメント300内に挿入することができる。
【0151】
図16は、ポンプ700の台座730をアタッチメント300内に最も深くまで挿入した状態を示した斜視図である。操作レバー327は図15と同じ位置にあり、従って、可動リング320は依然として第1位置にある。図示されていないが、台座730に形成された溝733(図19A及び図19B参照)は、可動爪321と上下方向の位置が一致する。図16の状態でポンプ700を上方に持ち上げると、ポンプ700をアタッチメント300から分離することが可能である。固定リング310の中央の開口の内側端縁及びスペーサ筒314の内周面312は、ポンプ700の台座730の外周面と当接することにより、ポンプ700を水平方向に位置決めする。従って、駆動ヘッド820とインペラ720とが同軸に位置合わせされる。
【0152】
次いで、図17Aに示すように、操作レバー327を、上方から見て反時計回り方向(矢印R3)に、可動リング320の回動可能角度範囲の最大限にまで回動させる。図17Bは、ポンプ700の図示が省略され、図17Aと同じ状態のアタッチメント300を示す。操作レバー327を回動させることにより、可動リング320が回動し、可動爪321が周方向に移動する。このとき、固定爪311は変位しない。固定爪311が台座730の凹部731内に嵌入しているので、可動リング320が回動しても、ポンプ700は回動しない。従って、可動爪321は、凹部731から溝733(図19A図19Bを参照)内へ移動する。可動リング320のこの位置を、「第2位置」という。かくして、アタッチメント100へのポンプ700の装着が完了する。
【0153】
図17A及び図17Bの状態では、可動爪321が台座730の溝733内に嵌入しているので、ポンプ700はアタッチメント300及び回転駆動装置800に対して上下方向に位置決めされる。従って、ポンプ700を上方に持ち上げても、ポンプ700をアタッチメント300から分離することはできない。固定爪311は台座730の凹部731内に嵌入している。従って、ポンプ700をアタッチメント300及び回転駆動装置800に対して回動させることもできない。インペラ720と駆動ヘッド820とは同軸に位置合わせされ、インペラ720の従動磁石725は駆動ヘッド820の駆動磁石825と磁気結合している。駆動ヘッド820を回転させると、インペラ720が追従して回転し、血液を入口ポート712から流入させ出口ポート713から流出させることができる。
【0154】
図17A及び図17Bの状態から、ポンプ700をアタッチメント300から分離するためには、概略、上記と逆の操作を行うことにより可能である。即ち、最初に、操作レバー327を、上方から見て時計回り方向に、可動リング320の回動可能角度範囲の最大限にまで回動させる。これにより、図16に示す状態となる。その後、ポンプ700を上方に持ち上げる。これにより、図15に示すように、ポンプ700をアタッチメント300から分離することができる。
【0155】
以上のように、本実施形態によれば、図17A及び図17Bに示すように、ポンプ700の台座730をアタッチメント300内に挿入し、且つ、可動リング320を第2位置に回動させれば、ポンプ700のアタッチメント300への装着が完了する。アタッチメント300の固定リング310の中央の開口の内側端縁及びスペーサ筒314の内周面312は、インペラ720が駆動ヘッド820と同軸になるようにポンプ700を水平方向に位置合わせする。アタッチメント300の可動爪321は、ポンプ700の台座730がアタッチメント300から抜け出ることがないようにポンプ700の上下方向の移動を規制する。これらによって、インペラ720の従動磁石725と駆動ヘッド820の駆動磁石825とが所望する距離に接近され、磁気結合する。従って、インペラ720を駆動ヘッド820の回転に追従して回転させて、血液を送ることが可能になる。
【0156】
ポンプ700をアタッチメント300に装着する場合、ポンプ700の台座730をアタッチメント300内に一旦挿入した(図16参照)後は、ポンプ700のアタッチメント300への装着が完了する(図17A及び図17B参照)までの間、ポンプ700をアタッチメント300及び回転駆動装置800に対して回動させる必要がない。さらに、台座730がアタッチメント300内に挿入されるとアタッチメント300の固定爪311が台座730の凹部731内に嵌入するので、ポンプ700をアタッチメント300に対して回動させることができない。従って、従来のアタッチメント900を用いた場合と異なり、本実施形態では、ポンプ700をアタッチメント300に装着する過程で入口ポート712及び出口ポート713に接続されたチューブに捩れや曲げが生じることがなく、チューブ内の血液の良好な流れを確保することができる。
【0157】
台座730がアタッチメント300内に挿入された状態で可動リング320が第2位置に位置している限り、ポンプ700がアタッチメント300に装着された状態は維持される。従って、可動爪321を備え且つ回動可能な可動リング320は、ポンプ700が適切に装着された状態を維持するための「ロック機構」を構成する。
【0158】
ロック機構が有効に機能した「ロック状態」に移行させるためには、操作レバー327を用いて、可動リング320を第1位置(「非ロック位置」、図16参照)から第2位置(「ロック位置」、図17A及び図17B参照)へ回動させる操作が必要がある。本実施形態では、図16図17Aとを比較すれば容易に理解できるように、可動リング320の外周端縁から外向きに突出した操作レバー327の周方向の位置によって、ロック状態であるか否かを確認することができる。例えば駆動ヘッド820の回転中心軸から操作レバー327までの半径方向の距離が50mmである場合、操作レバー327を当該中心軸に対して15度回動させたときの周方向の移動量は13mmとなる。これは、従来のアタッチメント900のロックピン910の半径方向の移動量が5mm程度であったことに比べて格段に大きい。従って、本実施形態のアタッチメント300は、操作レバー327の位置により、ロック状態であるか否かを容易に視認することができる。このため、作業者がロック機構をロック状態に移行させる操作をし忘れるという誤操作をする可能性が低減される。
【0159】
ポンプ700の台座730をアタッチメント300内に挿入した状態では、固定リング310の固定爪311が台座730の凹部731内に嵌入する。このため、ポンプ700をアタッチメント300及び回転駆動装置800に対して回動させることができない。従って、ロック状態(図17A及び図17B参照)において、ポンプ700がアタッチメント300に対して回動して可動爪321が溝733から抜け出るという事態は発生しない。
【0160】
実施形態2の固定レバー247と同様の、半径方向に沿って外向きに突出した固定レバーを固定リング310に設けてもよい。これにより、操作レバー327を回動させる操作が容易になるとともに、操作レバー327の位置の判断もより容易になる。
【0161】
実施形態1,2と異なり、本実施形態3では、固定リング310が可動リング320より上側(ポンプ700側)に配置されている。従って、ポンプ700の台座730をアタッチメント300内に案内する案内面341を固定リング310に設けることができる。このため、実施形態1,2のアッパーリング140,240のような不動のリングを固定リング310とは別に設ける必要がない。更に、固定リング310に、ポンプ700のインペラ720と回転駆動装置800の駆動ヘッド820とが同軸なるようにポンプ700を水平方向に位置合わせする機能(軸合わせ機能)を担わせることができる。但し、案内面341を備え、且つ、軸合わせ機能を有するアッパーリングを、固定リング310よりも上側(ポンプ700側)に設けてもよい。
【0162】
実施形態1,2のアタッチメント100,200と同様に、本実施形態のアタッチメント300も、従来のアタッチメント900に置き換えて使用することができる。回転駆動装置800(特にそのアッパーハウジング801)及びポンプ700は従来から使用されているものを、設計変形することなく継続して使用することができる。従って、費用対効果に優れる。
【0163】
上記の実施形態1〜3は例示にすぎない。本発明は、上記の実施形態1〜3に限定されず、適宜変更することができる。
【0164】
ポンプ700のインペラ720と回転駆動装置800の駆動ヘッド820とが同軸なるようにポンプ700を水平方向に位置合わせする機能(軸合わせ機能)を、実施形態2ではアッパーリング240及び補助リング233の開口の内周端縁が担っていた。しかしながら、軸合わせ機能を、実施形態1と同様にアッパーリング240のみに担わせてもよく、または、補助リング233のみに担わせてもよい。あるいは、実施形態1,2において、上記の軸合わせ機能を、固定リング110,210の開口の内周面112,212または可動リング120,220の開口の内周面122,222に担わせてもよい。この場合、アッパーリング140,240を省略してもよい。一般に、軸合わせ機能は、軸合わせ精度の観点から、回転駆動装置800に対して不動のリング(即ち、固定リング又はアッパーリング)に担わせることが好ましい。
【0165】
実施形態2において、可動リング220の外径を拡径し、可動リング220にガイド穴235を形成してもよい。この場合、補助リング230を省略することができる。
【0166】
操作レバー127,227は可動リング120,220と別個の部材である必要はない。実施形態3の操作レバー327のように、可動リング120,220に一体的に設けられた操作突起125,225が操作レバーであってもよい。この場合、可動リング120,220と別部材である操作レバー127,227及び固定ネジ128,228を省略することができる。
【0167】
本発明において、ロック状態を維持するための保持機構の構成は上記の実施形態1,2に限定されない。例えば、可動リング120,220が第2位置(ロック位置)にあるとき、互いに係合し合う係合形状(例えば、凸部と、当該凸部が嵌入する凹部、または、互いに係合可能な凸部と凸部)を、回動可能部材(即ち、可動リング120,220、補助リング230)と固定部材(即ち、固定リング110,210、アッパーリング140,240)に設けてもよい。可動リング120,220を回動させて第2位置に到達すると、上記の係合形状が係合し、可動リング120,220の第1位置への回動が規制される。このような保持機構は、アタッチメントを構成する部品数の低減や、アタッチメントの構成の簡単化に有利である。
【0168】
実施形態3のアタッチメント300に、ロック状態を維持するための保持機構を設けることができる。この場合、保持機構の構成は任意であり、例えば、実施形態1のように可動リングに係合する係合部材を有していてもよく、実施形態2のように可動リングを第2位置に向かって付勢する付勢部材を有していてもよく、あるいは上記の係合形状を有していてもよい。
【0169】
あるいは、実施形態1,2において、ロック状態を維持するための保持機構を省略してもよい。保持機構が省略されても、可動リング120,220を第2位置から第1位置へ回動させる外力が操作レバー127,227に作用しない限り、ロック状態は維持される。
【0170】
実施形態2では、コイルバネ218の付勢力をスライダ216を介して可動リング220に印加させた。しかしながら、スライダ216を用いることなく、コイルバネ218の一端を直接可動リング220に当接させてもよい。コイルバネ218及びスライダ216の数は、上記の実施形態2のように3つである必要はなく、2つ以下(例えば1つ)であってもよく、または4つ以上であってもよい。コイルバネ216が圧縮コイルバネでなく、引っ張りコイルバネであってもよい。
【0171】
固定爪111,211,311の数及び可動爪121,221,321の数は、上記の実施形態1〜3のように3つである必要はない。また、固定爪111,211,311の数と可動爪121,221,321の数とが同じである必要はない。固定爪111,211,311の数及び/又は可動爪121,221,321の数は、2つ以下であってもよく、または4つ以上であってもよい。但し、インペラ720の回転軸721が傾くことなくポンプ700を上下方向の所定位置に位置決めするためには、可動爪121,221,321の数は3つであることが好ましい。固定爪111,211,311の数及び/又は可動爪121,221,321の数が複数である場合、固定爪111,211,311及び/又は可動爪121,221,321は中心軸800aに対して等角度間隔に配置されることが好ましい。
【0172】
上記の実施形態1,2では、可動リング120,220が第1位置にあるとき、固定爪111,211と可動爪121,221とが上下方向に重なり合っていた。これは、アタッチメント100,200の設計や組立を容易にする点で有利である。但し、本発明はこれに限定されない。可動リング120,220が第1位置にあるときに、固定爪111,211及び可動爪121,221が、台座730のそれぞれ異なる凹部731に嵌入することができれば、台座730をアタッチメント内に挿入することができる。例えば、実施形態3と同様に、可動リング120,220が第1位置にあるとき、可動爪121,221は、固定爪111,211に対して、凹部731のピッチ角(上記の実施形態1,2では30度)の整数倍だけ位置ずれしていてもよい。
【0173】
実施形態3において、可動リング320が第1位置にあるとき、実施形態1,2と同様に、固定爪311と可動爪321とが上下方向に重なり合うように構成してもよい。
【0174】
上記の実施形態1〜3では、ポンプ700の台座730に、ダミー凹部732が形成されていたが、本発明のアタッチメントは、ダミー凹部732が形成されていないポンプを装着することもできる。
【0175】
上記の実施形態1〜3では、送液ポンプが、ポンプ室内でインペラ(ロータ)が回転するターボ式血液ポンプである場合を説明した。しかしながら、本発明のアタッチメントは、ターボ式血液ポンプ以外の任意の送液ポンプにも適用できる。例えば、柔軟なチューブを圧縮しながら当該チューブ上を順次転がりながら移動する複数のローラを備えたロータが駆動ヘッドによって回転駆動される、いわゆるローラポンプにも適用することができる。送液ポンプが送る液体は、血液に限定されず、栄養剤(例えば経腸栄養剤)を含む液状物や薬液等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明は、送液ポンプを回転駆動装置に着脱可能に装着するためのアタッチメントとして利用可能である。送液ポンプの種類は問わないが、医療用に使用されるポンプが好ましく、中でも血液を送る血液ポンプが特に好ましい。
【符号の説明】
【0177】
100,200,300 アタッチメント
110,210,310 固定リング
111,211,311 固定爪
120,220,320 可動リング
121,221,321 可動爪
127,227,327 操作レバー
140,240 アッパーリング(軸合わせ部材)
117 カム軸(係合部材)
218 コイルバネ(付勢部材)
700 送液ポンプ(ターボ式血液ポンプ)
711 ポンプ室
720 インペラ(ロータ)
722 ベーン
730 台座
731 凹部
733 溝
800 回転駆動装置
800a 回転駆動装置の中心軸
820 駆動ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24
図25