(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部を説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
図1は本発明の電磁装置を有する車両用警音器(電気式ホーンともいう)の
図2のI―I線に沿う断面を示す。
図2は、
図1のホーンから可動鉄心4と振動板3を除去したものを
図1の矢印II方向に見た内部構造を示す。
【0015】
この実施形態の車両用警音器は、
図1及び
図2に示すように、有底筒状のハウジング1と、ハウジング1内の中央付近に収容され固定された電磁コイル部2とを有している。さらに電気式ホーンは、電磁装置の外郭を構成するハウジング1に収納され、ハウジング1の開口部を覆う振動板3を有している。
【0016】
また、電気式ホーンは、振動板3の中央付近に固定され、電磁コイル部2の固定鉄心2aに対向して配置された可動鉄心4と、ハウジング1の底部に固定されて車両等に取り付けられる取り付けステー5とを有している。
【0017】
電磁コイル部2は、ハウジング1の中心部に固定されている。ハウジング1及び振動板3は、電磁コイル部2の磁気回路の一部を構成するために、鉄系の磁性体材料の板材が凹形状にプレス成形されて形成されている。電磁コイル部2は、樹脂製のボビン2bにマグネットワイヤ20が巻回されて構成されている。
【0018】
このボビン2bの中心の穴部に円柱状に成形された可動鉄心4の後部の円柱部4aが配置されている。可動鉄心4の前方部の小径部4bには、振動板3の中心穴部3aと共鳴板6の中心穴部が嵌合して、可動鉄心4、振動板3及び共鳴板6がかしめ固定されている。
【0019】
ハウジング1の中間平坦部1bには、ボビン2bの前側鍔部2b1から径外方へ突出している突出部2b2、金属ばね材から構成される可動接点支持板7、固定接点支持板8を積層している。また、可動接点支持板7と固定接点支持板8との間に介在される絶縁部材も積層されている。そしてこれらの部材を金属製の第2リベット21bによりかしめ固定している。この発明に関わるリベット21は、例えば、第1リベット21aまたは第2リベット21b(
図2に図示)から構成される。なお、
図1ではコネクタ11が反対方向に存在するため見えない。
【0020】
図3に図示するように、可動接点支持板7に設けられた可動接点部7aと、固定接点支持板8に設けられた固定接点部8aとはそれぞれ互いに対向して配置されている。可動接点部7aは、通常時(電磁コイル部2の非通電時)は、可動接点支持板7のばね力により固定接点部8aに接触する常閉型の接点を構成している。
【0021】
可動鉄心4の軸方向中間部の外周面には、
図1のように、径外方へ突き出すリング状のフランジ部4cが、冷鍛加工等により一体成形されている。可動鉄心4のフランジ部4cは、可動接点支持板7のうちホーン中心部寄りの押圧部位7p(
図2に図示)を
図1の後方、つまり、
図2の紙面に対して垂直であって奥側へ押圧する押圧部を構成する。
【0022】
振動板3の外周部は、ハウジング1の外周端部のフランジ部1cに巻きかしめされている。可動鉄心4の前部の小径部4bには、振動板3の中心部が挿入されてかしめ固定されている。固定鉄心2aは、取り付けステー5に、ハウジング1の底面部1dの中心部とともにかしめ等の手段で固定される。また、固定鉄心2aは、取り付けステー5に、ハウジング1の底面部1dの中心部とともに、ナット締め等の手段で固定されるようにしてもよい。
【0023】
次に、本実施形態の電気式ホーンの作動を説明する。ホーンスイッチが投入されることにより、車載電源からの電流が、コネクタ11の内部のコネクタ端子120から第1リベット21a→マグネットワイヤ20のワイヤ端末部20a→電磁コイル部2の経路で電流が流れる。さらに電流は、
図2のマグネットワイヤ20のワイヤ端末部20b→可動接点支持板7→可動接点部7a→固定接点部8a→固定接点支持板8→第2リベット21b→ハウジング1→固定鉄心2a→取り付けステー5→車体(接地)の経路で流れる。なお、ワイヤ端末部20aは電流流れの上流側に位置するマグネットワイヤ20の一部であり、ワイヤ端末部20bは電流流れの下流側に位置するマグネットワイヤ20の一部である。
【0024】
第1実施形態の電気式ホーンでは、ワイヤ端末部20aまたはワイヤ端末部20bと、第1リベット21aまたは可動接点支持板7とが導通している。これにより、電磁コイル部2の電磁力が可動鉄心4と固定鉄心2aとの吸引間隙に作用して、可動鉄心4が固定鉄心2aに吸引され衝突する。この可動鉄心4の変位により可動鉄心4のフランジ部4cが可動接点支持板7の押圧部位7pを押圧して、可動接点部7aを固定接点部8aから開離させる。
【0025】
その結果、電磁コイル部2への通電が遮断され、電磁力がなくなるので、可動鉄心4は、振動板3の弾性力により元の位置に復帰し、これにより、可動接点部7aと固定接点部8aとの閉成状態が復活する。
【0026】
このようにして、電磁コイル部2の通電が断続されることにより、可動鉄心4の固定鉄心2aへの衝突が繰り返され、振動板3及び共鳴板6が高周波で振動して音波が
図1の前方側に放射される。
【0027】
また、電磁コイル部2においてマグネットワイヤ20を巻回する際に、ワイヤ端末部20a、ワイヤ端末部20bのいずれを巻き始め部としてもよいし、巻き終わり部としてもよい。
【0028】
電磁コイル部2は、導体26の周りに絶縁皮膜25が形成されたマグネットワイヤ20を巻回した巻回部を有する。電磁コイル部2において、巻回部から延びるマグネットワイヤ20のワイヤ端末部20aは、第1リベット21aの軸部22の周辺に沿うように設置されて、金属板23を介して第1リベット21aの頭部21ahに圧接される。
【0029】
そして、金属板23に圧接されることにより、金属板23とワイヤ端末部20aの導体26(例えばアルミ線)が導通するため、ワイヤ端末部20aと金属板23と第1リベット21aとが導通することになる。なお、マグネットワイヤ20の導体26は、アルミ線以外の導電性材質によって構成することもできる。
【0030】
さらに第1リベット21aは、絶縁部材によってハウジング1からは絶縁されている。第1リベット21aは、コネクタ端子120と導通している。コネクタ端子120は、ホーンスイッチを介してバッテリのプラス電位が導かれている。したがって、第1リベット21aは、電磁コイル部2において電流投入側に位置するリベットである。なお、第1実施形態の車両用警音器は、第2リベット21bのかしめ固定によって金属板23に圧接されるマグネットワイヤ20のワイヤ端末部20bに導通するコネクタ端子をさらに備えるようにしてもよい。この2端子を有する構成では、ワイヤ端末部20aとワイヤ端末部20bの両方に導通するコネクタ端子を備えることになる。
【0031】
金属板23は、第1リベット21aの軸部22が挿通可能な開口部を中央に備えるワッシャ形状である。金属板23は、表側から突出するように切り起こされた突起部23t1と、裏側から突出するように切り起こされた突起部23t2と、を有する。また、突起部23t1と突起部23t2は、金属板23の外縁に沿う方向の平坦部23pの端部を切り起こして形成される。
【0032】
一組の突起部23t1と突起部23t2は、金属板23の平坦部23pにおいて周方向(または幅方向)の両方の端部から切り起こされて、突出する部分である。一組の突起部23t1と突起部23t2は、金属板23において放射状に延びる平坦部23pについて同一の回転方向に切り起こされる部分である。一組の突起部23t1と突起部23t2は、平坦部23pの径方向に延びる軸線23paに対して回転方向に切り起こされた部分である。また、一組の突起部23t1と突起部23t2は、その断面形状が平坦部23pの中心に対して点対称となるように設けられる(
図6参照)。
【0033】
突起部23t1は、金属板23の表側から突出する表側突起部である。突起部23t2は、金属板23の裏側から突出する裏側突起部である。また、突起部23t1を裏側突起部として定義する場合は、突起部23t2は、表側突起部になる。したがって、突起部23t1及び突起部23t2の一方は、表側突起部であり、他方は裏側突起部である。
【0034】
金属板23は、一組の突起部23t1と突起部23t2を、複数組備えている。複数組の突起部23t1及び突起部23t2は、第1リベット21aの軸部22が挿通可能な開口部23hの周囲(外側)に設けられている。複数組の突起部23t1及び突起部23t2は、金属板23において放射状に配置されている。また、複数組の突起部23t1及び突起部23t2は、金属板23において環状を形成するように並んでいる。
【0035】
突起部23t1は、先端にエッジ部23t1eを有する。複数のエッジ部23t1eは、金属板23において放射状に位置するように設けられている。リベットのかしめ固定によって、エッジ部23t1eは、リベットの頭部に接触または食い込むことで、リベットと金属板23との導通が成立する。突起部23t2は、先端にエッジ部23t2eを有する。複数のエッジ部23t2eは、金属板23において放射状に位置するように設けられている。リベットのかしめ固定によって、エッジ部23t2eは、マグネットワイヤ20の導体26に食い込むことで、金属板23とマグネットワイヤ20との導通が成立する。この構成により、第1リベット21a、金属板23及びマグネットワイヤ20の導体26が電気的に接続されることになる。
【0036】
このように、突起部23t2のエッジ部23t2eがワイヤ端末部20aの導体26へ食い込むことにより、プラス電位が導かれた第1リベット21aとマグネットワイヤ20の導体26との導通が絶縁皮膜25の剥離作業を経ることなく成立する。なお、
図4では、理解が容易となるように、食い込み状態やマグネットワイヤ20等を誇張して図示している。
【0037】
また、突起部23t1は、金属板23の表面から第1リベット21a側に突出しているので、第1リベット21aを押圧することになる。これにより、突起部23t1から押圧された第1リベット21aは、金属板23を押し返す反力を作用させるため、さらに金属板23をマグネットワイヤ20側に押し付ける効果を奏する。したがって、突起部23t1が第1リベット21aに接触して第1リベット21aからの反力を金属板23が受けることによって、マグネットワイヤ20側の突起部23t2のエッジ部23t2eをワイヤ端末部20aにさらに確実に食い込ませることができる。
【0038】
車両用警音器では、電磁コイル部2の電磁力により、振動板3と一体に動く可動鉄心4を吸引する。マグネットワイヤ20の少なくともワイヤ端末部20aは、第1リベット21aの軸部22の周辺に配置されている。ワイヤ端末部20aは、金属板23に押し付けられて、前述の食い込み状態が成立するため、ワイヤ端末部20aの導体26と金属板23と第1リベット21aとが導通する。そして、ホーンスイッチが投入されることにより、車載電源からの電流がコネクタ11内のコネクタ端子120から、第1リベット21a、金属板23を経由して電磁コイル部2に電流が流れるようになる。
【0039】
車両用警音器の製造において、マグネットワイヤ20のワイヤ端末部20aを第1リベット21aの外周に沿わせる。そして、第1リベット21aが貫通した金属板23をワイヤ端末部20aに押し付けて、第1リベット21aを絶縁部材を介してハウジング1に、かしめて固着する。このときに、金属板23の突起部23t2がワイヤ端末部20aの絶縁皮膜25に食い込んで絶縁皮膜25を貫通し、金属板23とワイヤ端末部20aの導体26とが電気的に導通する。さらに、第1リベット21aの頭部21ah側に位置する複数の突起部23t1が頭部21ahに食い込むことによれば、第1リベット21aと金属板23とが固定されることになる。
【0040】
突起部23t1と突起部23t2は、金属板23の表側と裏側のそれぞれから突出する。突起部23t1と突起部23t2のエッジ部は、平坦部23pに対して交差する方向に延びる位置にある。
【0041】
突起部23t1、23t2は、金属板23の内周側、つまり金属板23の外縁よりも内側に形成されている。
図5に図示するように、金属板23の外縁には、突起部23t1、23t2が設けられていない平坦なリング部31が環状に設けられている。第1リベット21aの軸部22が貫通した金属板23は、第1リベット21aとマグネットワイヤ20の一部(ワイヤ端末部20a)に押し付けられる。そして、第1リベット21aをかしめて固着したときに、金属板23の複数の突起部23t2のいずれかが、
図4に図示するように、マグネットワイヤ20の絶縁皮膜25に食い込むため、導体26が金属板23を介して第1リベット21aと電気的に導通する。ここで、金属板23として、ばね性を有するステンレス等を使用することにより、電磁装置は長期間使用しても良好な導通状態を保持できる。
【0042】
突起部23t1、23t2は、金属板23の内周側に形成されている。金属板23は、
図5のように、平坦なリング部31と、その内周側に設けられる突起部23t1、23t2とを備えている。
【0043】
したがって、突起部23t2は、金属板23の内周側において、マグネットワイヤ20の絶縁皮膜25に食い込む。このことにより、絶縁皮膜25が剥離するが、金属板23の内周側において絶縁皮膜25が剥離しても、リング部31が環状に設けられているために、絶縁皮膜25の剥離片等は外部に出てこない。したがって、剥離した絶縁皮膜25が可動接点部7aと固定接点部8aの間に侵入して可動鉄心4の導通不良を起こさない。
【0044】
次に、ワイヤ端末部20bにおけるマグネットワイヤ20と金属板23との導通に係る構成について
図7を参照して説明する。この導通に係る構成においても、前述のワイヤ端末部20aにおける構成と同様に、金属板23の突起部23t2によって、金属板23と導体26との導通を図っている。
【0045】
金属板23は、マグネットワイヤ20のワイヤ端末部20bを押さえるように配置される。金属板23の上には、可動接点支持板7、絶縁部材24、固定接点支持板8、第2リベット21bの頭部21bhが上方に向かって順に積層配置される。絶縁部材24は、可動接点支持板7と固定接点支持板8との導通を遮断する機能を果たす。第2リベット21bの軸部22は、金属板23、可動接点支持板7、絶縁部材24、固定接点支持板8のそれぞれに設けられた貫通口部を挿通した上でハウジング1にかしめて固定される。これにより、金属板23、可動接点支持板7、絶縁部材24、固定接点支持板8及び第2リベット21bの頭部21bhが、一体となってワイヤ端末部20bを押圧する。
【0046】
第2リベット21bのかしめ固定によって、エッジ部23t1eは、可動接点支持板7に接触または食い込むことで、可動接点支持板7と金属板23との導通が成立する。さらに、複数のエッジ部23t2eのうちの少なくともひとつが、ワイヤ端末部20bの導体26に食い込むことで、金属板23とマグネットワイヤ20との導通が成立する。したがって、マグネットワイヤ20のワイヤ端末部20bは、金属板23を介して可動接点支持板7と導通し、可動接点支持板7とマグネットワイヤ20の導体26とが電気的に接続されることになる。
【0047】
このように、突起部23t2のエッジ部23t2eがワイヤ端末部20bの導体26へ食い込むことにより、可動接点支持板7とマグネットワイヤ20の導体26との導通が絶縁皮膜25の剥離作業を経ることなく成立する。なお、
図7では、理解が容易となるように、食い込み状態やマグネットワイヤ20等を誇張して図示している。
【0048】
また、突起部23t1は、金属板23の表面から第2リベット21b側に突出しているので、可動接点支持板7を押圧することになる。これにより、突起部23t1から押圧された可動接点支持板7は、そのばね性も相まって金属板23を押し返す反力を作用させるため、さらに金属板23をマグネットワイヤ20側に押し付ける効果を奏する。したがって、突起部23t1が可動接点支持板7に接触して可動接点支持板7からの反力を金属板23が受けることによって、マグネットワイヤ20側の突起部23t2のエッジ部23t2eをワイヤ端末部20bにさらに確実に食い込ませることができる。
【0049】
次に、第1実施形態の電磁装置がもたらす作用効果について説明する。電磁装置は、装置の外郭を構成するハウジング1の内部に設けられる電磁コイル部2と、ハウジング1に固定される第1リベット21aと、かしめられた第1リベット21aに圧接されてマグネットワイヤ20の一部を圧接する金属板23と、を備える。第1リベット21aは、ワイヤ端末部20aを押さえるようにハウジング1にかしめられる。金属板23は、金属板23の平坦部23pから突出した突起部23t2を有する。金属板23が第1リベット21aに圧接された状態で、突起部23t2はマグネットワイヤ20の絶縁皮膜25を剥離してマグネットワイヤ20の導体26と接触している。
【0050】
これによれば、突起部23t2が絶縁皮膜25を剥離してワイヤ端末部20aの導体26に接触して導通する。突起部23t2は、金属板23の一部であるため、突起部23t2の弾性力によって、導通状態がリベットのかしめが終了した後も持続することになる。したがって、長く導通状態が維持可能な高品質の電磁装置を提供できる。
【0051】
また、突起部23t1、23t2は、金属板23の表側と裏側との両方から突出している。つまり、金属板23は、金属板23の表側から突出する表側突起部と、金属板23の裏側から突出する裏側突起部と、を備える。この構成によれば、金属板23の表裏を逆にして組み付けたとしても、突起部23t1、突起部23t2のいずれかが、マグネットワイヤ20に向かって突出する状態になる。したがって、突起部23t1、突起部23t2のいずれかが、ワイヤ端末部20aやワイヤ端末部20bの絶縁皮膜25を確実に剥離して導体26と導通することができる。
【0052】
また、突起部23t2が、金属板23の外縁よりも内側に設けられている。これによれば、金属板23の外縁よりも内周側で絶縁皮膜25が剥離することになる。このため、剥離した絶縁皮膜25がハウジング1内に飛散することがなく、電磁装置の品質を損なうことがない。
【0053】
さらに、金属板23は、その外縁に、突起部が設けられていない環状の平坦部をなすリング部31を備える。この構成によれば、金属板23のリング部31は、ハウジング1側に接触するため、この接触面を形成する部位によって、剥離した絶縁皮膜25をリング部31の内周側に閉じ込めることができる。したがって、剥離した絶縁皮膜25をリング部31の内周側に確実に保持することができる。
【0054】
また、車両用警音器は、前述の構成を有する電磁装置と、電磁コイル部2により着磁される固定鉄心2aと、着磁された固定鉄心2aに吸引される可動鉄心4と、可動鉄心4に結合されて、吸引される可動鉄心4の動きに伴って振動する振動板3と、を備える。
【0055】
これによれば、突起部23t2を有する金属板23によって、絶縁皮膜25を剥離して、ワイヤ端末部20aの導体26と第1リベット21aとの導通、またはワイヤ端末部20bの導体26と可動接点支持板7との導通を実施できる。これにより、リベットのかしめ終了後も導通状態が持続する装置を提供できる。したがって、長く導通状態が維持可能な高品質の車両用警音器を提供できる。
【0056】
また電磁装置は、装置の外郭を構成するハウジング1内に設けられる電磁コイル部2と、ハウジング1に固定される第2リベット21bと、かしめられた第2リベット21bにより間接的に圧接されてマグネットワイヤ20の一部を圧接する金属板23と、を備える。第2リベット21bは、ワイヤ端末部20aを押さえるようにハウジング1にかしめられる。金属板23が固定接点支持板8、絶縁部材24及び可動接点支持板7を介して第2リベット21bに圧接された状態で、突起部23t2はマグネットワイヤ20の絶縁皮膜25を剥離してマグネットワイヤ20の導体26と接触している。
【0057】
これによれば、突起部23t2が絶縁皮膜25を剥離してワイヤ端末部20bの導体26に接触して導通する。この場合も、突起部23t2は、金属板23の一部であるため、突起部23t2の弾性力によって、導通状態がリベットのかしめが終了した後も持続することになる。したがって、長く導通状態が維持可能な高品質の電磁装置を提供できる。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態の金属板23の他の形態を示す。第2実施形態において金属板123以外については、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0059】
図8は、他の形状の金属板123を示す平面図である。金属板123の外縁は円形に限らず方形であってもよい。また、本発明に係る金属板23、123は、リベットの軸部が貫通するように構成することに限定されない。すなわち、金属板23、123は、リベットの軸部が貫通する構成を備えることなく、リベットに圧接されるものでもよい。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態について
図9及び
図10を参照して説明する。第3実施形態は、金属板223以外については第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。また、金属板223において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成要素及び説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0061】
金属板223は、第1リベット21aの軸部22が挿通可能な開口部23hを中央に備えるワッシャ形状である。金属板223は、表側から突出するように切り起こされた突起部23t1と、裏側から突出するように切り起こされた突起部23t2と、を有する。また、突起部23t1と突起部23t2は、金属板223の平坦部223pにおいて、周方向または幅方向の両方の端部を切り起こして形成される。金属板223を平面視すると、表側突起部及び裏側突起部である突起部23t1と突起部23t2は、それぞれの軸線A1が同軸線上となるように設けられている。
【0062】
金属板223は、一組の突起部23t1と突起部23t2を、複数組備えている。複数組の突起部23t1及び突起部23t2は、開口部23hに対して、片方の側に集中して設けられている。複数組の突起部23t1及び突起部23t2は、直線状に一列に並ぶように設けられている。また、複数組の突起部23t1及び突起部23t2は、開口部23hに対して、もう片方の側にも設けるようにしてもよい。また、金属板223は、同心円上に突起部を有しない構成を備える。
【0063】
第3実施形態の金属板223によれば、複数組の突起部23t1及び突起部23t2が金属板223において直線状に一列に並ぶように設けられている。この構成によれば、導体26に対して、この複数組の突起部の並びをあてがうように金属板223を設置することにより、少なくとも一組の突起部が導体26を押さえつけるので、金属板223と第1リベット21a及び導体26との導通を確実に行うことができる。
【0064】
(第4実施形態)
第4実施形態について
図11〜
図12を参照して説明する。第4実施形態は、金属板323以外については第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。また、金属板323において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成要素及び説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第4実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0065】
金属板323は、第1リベット21aの軸部22が挿通可能な開口部23hを中央に備えるワッシャ形状である。金属板323は、表側から突出するように切り起こされた突起部323t1と、裏側から突出するように切り起こされた突起部323t2と、を有する。突起部323t1は、金属板323の平坦部を切り起こして形成される。突起部323t2は、金属板323の平坦部を、突起部323t1の切り起こし方向とは逆向きに切り起こして形成される。
【0066】
金属板323を平面視すると、突起部323t1の軸線A2と突起部323t2の軸線A3は、開口部23hに対してその両側に位置するように設けられる。したがって、突起部323t1と突起部323t2は、開口部23hに対してその両側に位置するように設けられている。金属板323を平面視すると、突起部323t1の軸線A2と突起部323t2の軸線A3は、開口部23hを間において平行になっている。このように、突起部323t1と突起部323t2は、それぞれの軸線A2、A3が同軸線上とならないように設けられている。互いの軸線A2、A3が同軸線上にないとは、一直線上に無いという関係であり、例えば、金属板323において軸線同士が交差したり、平行となる場合を含む。さらに、突起部323t1と突起部323t2の間には金属板323の平坦部323pが介在している。これらの構成により、突起部323t1と突起部323t2は、一定以上の表面積を有する平坦部323pによって離れて配置されることになる。このように金属板323は、表側突起部と裏側突起部とを分離する構成を有する。また、金属板323は、同心円上に突起部を有しない構成を備える金属板ともいえる。
【0067】
また金属板323には、位置決めのための切り欠き部323aがその外周に形成されている。金属板323を設置する際に、ハウジング1等に設けられた所定の形状に合わせるように切り欠き部323aを嵌めることにより、金属板323の表裏や向きを、導体26に接触可能な状態に設定することができる。すなわち、ハウジング1等に設けられた所定の形状は、切り欠き部323aと合致する形状に形成されている。
【0068】
また、位置決めのための切り欠き部323aは、金属板323にピン状の突出部を設けることによって置き換えることもできる。また、金属板323は、一組の突起部23t1と突起部23t2を、複数組備えるようにしてもよい。
【0069】
第4実施形態の金属板323によれば、切り起こしにより形成される突起部323t1と突起部323t2は、金属板323において、それぞれの軸線A2、A3が同軸線上とならないように設けられる。これにより、突起部323t1の軸線A2上にある平坦部には、突起部323t1を切り起こす際の曲げ応力しか作用しない。一方、突起部323t2の軸線A3上にある平坦部には、突起部323t2を切り起こす際の曲げ応力しか作用しない。すなわち、それぞれの平坦部には、両方の切り起こし時の曲げ応力が働かないため、平坦部の変形を抑制することができる。突起部のベース部となる平坦部の変形が抑制されるので、各突起部の導体26や第1リベット21aへの食い込み力を確保することができる。したがって、各突起部の機能をより確実に発揮可能な金属板323を提供できる。
【0070】
(第5実施形態)
第5実施形態について
図14及び
図15を参照して説明する。第5実施形態は、金属板423以外については第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。また、金属板423において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成要素及び説明しない構成は、第1実施形態及び第4実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第5実施形態では、第1実施形態や第4実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0071】
金属板423は、金属板323に対して、裏側突起部である突起部423t2の構成が相違する。金属板423は、2個からなる一組の突起部423t2を備える。両方の突起部423t2は、
図15に図示するように、金属板423の平坦部を、突起部323t1の切り起こし方向とは逆向きに切り起こして形成される。
【0072】
金属板423を平面視すると、突起部323t1の軸線A2と2個の突起部423t2の軸線A3は、開口部23hに対してその両側に位置するように設けられる。したがって、突起部323t1と突起部423t2は、開口部23hに対してその両側に位置するように設けられている。金属板423を平面視すると、突起部323t1の軸線A2と突起部423t2の軸線A3は、開口部23hを間において平行になっている。このように、突起部323t1と突起部423t2は、それぞれの軸線A2、A3が同軸線上とならないように設けられている。互いの軸線A2、A3が同軸線上にないとは、一直線上に無いという関係であり、例えば、金属板423において軸線同士が交差したり、平行となる場合を含む。さらに、突起部323t1と突起部423t2の間には金属板423の平坦部423pが介在している。これらの構成により、突起部323t1と突起部423t2は、一定以上の表面積を有する平坦部423pによって離れて配置されることになる。このように金属板423は、表側突起部と裏側突起部とを分離する構成を有する。また、金属板423は、同心円上に突起部を有しない構成を備える金属板ともいえる。
【0073】
また、金属板423を平面視すると、一組の突起部423t2はそれぞれの軸線(
図14に二点鎖線で図示)が同一線上にあるように設けられる。さらに一組の突起部423t2のそれぞれの先端間には、金属板423を貫通する抜き部が存在する。この抜き部が設けられることによれば、各突起部423t2について切り起こされる起点の部分が隣接しておらず、それぞれ独立した位置にある。このため、それぞれの突起部423t2の強度を確保しやすい。
【0074】
(第6実施形態)
第6実施形態について
図16及び
図17を参照して説明する。第6実施形態は、金属板223以外については第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。また、金属板523において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成要素及び説明しない構成は、第1実施形態及び第4実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第6実施形態では、第1実施形態や第4実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0075】
金属板523は、金属板323に対して、裏側突起部である突起部523t2の構成が相違する。金属板523は、2個からなる一組の突起部523t2を備える。両方の突起部523t2は、
図17に図示するように、金属板523の平坦部523pの両端側を、突起部323t1の切り起こし方向とは逆向きに切り起こして形成される。
【0076】
一組の突起部523t2は、金属板523の平坦部523pにおいて周方向または幅方向の両端部から切り起こされて、突出する部分である。一組の突起部523t2は、平坦部523pに対して同じ方向に切り起こされる部分である。一組の突起部523t2は、平坦部523pに対して周方向または幅方向に左右対称となる形状をなす(
図17参照)。平面視すると、一組の突起部523t2は、それぞれの軸線が平坦部523pの周方向または幅方向に延びる軸線A3と同軸となるように設けられる。
【0077】
金属板523を平面視すると、突起部323t1の軸線A2と2個の突起部523t2の軸線A3は、開口部23hに対してその両側に位置するように設けられる。したがって、突起部323t1と突起部523t2は、開口部23hに対してその両側に位置するように設けられている。金属板523を平面視すると、突起部323t1の軸線A2と突起部523t2の軸線A3は、開口部23hを間において平行になっている。このように、突起部323t1と突起部523t2は、それぞれの軸線A2、A3が同軸線上とならないように設けられている。互いの軸線A2、A3が同軸線上にないとは、一直線上に無いという関係であり、例えば、金属板523において軸線同士が交差したり、平行となる場合を含む。このような構成により、突起部323t1と突起部523t2は、切り起こされる平坦部が互いに離れて独立した位置に設けられることになる。このように金属板523は、表側突起部と裏側突起部とを分離する構成を有する。また、金属板523は、同心円上に突起部を有しない構成を備える金属板ともいえる。
【0078】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0079】
突起部23t1、突起部23t2は、その先端形状が前述した方形状に限定されるものではない。例えば、先端形状は、
図18〜
図21に図示する形状でもよい。
図18に図示する突起部23t1、突起部23t2は、先端の中央部が両側部に対してその軸方向に凹んだ形状をなしている。
図19に図示する突起部23t1、突起部23t2は、
図18に図示する形状よりも、先端の中央部が大きく凹んだ鋭角状の先細り形状をなしている。
図20に図示する突起部23t1、突起部23t2は、先端の中央部が両側部に対して対称にその軸方向に突出する先細り形状である。
図21に図示する突起部23t1、突起部23t2は、先端の片側部がもう一方の側部に対してその軸方向に突出する片側先細り形状である。このような様々な先端形状を有する突起部23t2によれば、突起部23t2と導体26との角度が様々な状態になっても、突起部23t2を導体26に接触させることが可能になる。
【0080】
また、突起部23t1、突起部23t2は、その形状が前述した形状に限定されものではない。例えば、突起部23t1及び突起部23t2は、
図22に図示するように、一方が折り曲げ部を構成し、他方が折り曲げ部下ら反対側に延びる先端部を構成するアーチ状をなしてもよい。
【0081】
また、
図23に図示する金属板623においては、突起部323t1、突起部323t2は、金属板623の表面の両方から突出している。つまり、金属板623は、金属板623の表側から突出する表側の突起部と、金属板623の裏側から突出する裏側の突起部と、を備える。金属板623は、金属板323に対して切り欠き部323aが設けられていないことのみ相違する。
【0082】
この構成によれば、金属板623の表裏を逆にして組み付けたとしても、突起部323t1、突起部323t2のいずれかが、マグネットワイヤ20に向かって突出する状態になる。したがって、突起部323t1、突起部323t2のいずれかによって、ワイヤ端末部20bの絶縁皮膜25を確実に剥離して導体26と導通することができる。
【0083】
車両用警音器は、平型ホーンであっても共鳴箱を一体に有するトランペット型のホーンであっても適用することができる。また電磁装置は、車両用警音器に限らず、電動機、電磁リレー、電磁弁等の電磁力で作動する装置に採用できる。
【0084】
さらに突起部は、切り起こしによって形成したが、金属の平坦部をプレスして突起部を形成するように構成してもよい。また、金属板には、弾性を有する銅板や鉄板を採用することができる。
【0085】
また前述の実施形態においては、マグネットワイヤ20のワイヤ端末部20a、20bとリベットとの電気接続について本発明を適用したが、電気接続される部位はマグネットワイヤ20の端部に限定するものではない。例えば、マグネットワイヤ20の巻回途中から引き出した中間タップとリベットとを導通させる場合等にも本発明を適用することができる。
【0086】
また、本発明に係る電磁装置が、導通状態の形成のために金属板に備える突起部は、前述の実施形態で説明した金属板23の表側と裏側から突出する突起部23t1と突起部23t2に限定されない。例えば、金属板が有する突起部は、リベットの頭部側の面にはなく、マグネットワイヤ20側に突出して、ワイヤ端末部20a、20bに対して食い込んで導体26と接触するものであってもよい。
【0087】
また、前述の実施形態に係る金属板223、323、423、523は、リベットの軸部が貫通する構成を備えることなく、リベットに圧接される構成でもよい。