特許第6447462号(P6447462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6447462
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】エレベーターの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20181220BHJP
   B66B 1/34 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   B66B5/02 L
   B66B1/34 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-218125(P2015-218125)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2017-88283(P2017-88283A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 洋行
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−532078(JP,A)
【文献】 特開昭55−130471(JP,A)
【文献】 特開2000−255927(JP,A)
【文献】 特開2004−018254(JP,A)
【文献】 特開2005−89094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 1/52
B66B 5/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごを上下に駆動する電動機と、蓄電装置と、常用電源又は前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給する電力供給回路とを備えたエレベーターに設けられており、前記常用電源の停電時に前記かごの自動着床運転を行うエレベーター制御装置であって、
前記エレベーター制御装置は、前記常用電源の停電時に、前記電力供給回路を介して前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給し、前記かごが一定の第1速度で第1方向に移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第1トルク値を特定し、
前記エレベーター制御装置は、前記電動機の第1トルク値を特定した後に、前記第1速度と同じ大きさである一定の第2速度で、前記第1方向とは反対の第2方向に前記かごが移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第2トルク値を特定し、
前記エレベーター制御装置は、前記第1トルク値の大きさと前記第2トルク値の大きさとを比較して、前記第1方向と前記第2方向のうちトルク値の大きさが小さい方向について前記かごに最も近い階床に前記かごを着床させる、エレベーター制御装置。
【請求項2】
前記エレベーターは、前記かご内に存在する負荷を検出する負荷検出器を更に備えており、
前記エレベーター制御装置は、前記負荷検出器で検出された前記負荷の値に基づいて回生方向を推定し、前記第1方向は、回生方向であると推定された方向とは逆の方向である、請求項1に記載のエレベーター制御装置。
【請求項3】
前記エレベーター制御装置は、トルク指令値に基づいて、前記電力供給回路から前記電動機に流れる電流の制御を行う電流制御部を備えており、前記第1トルク値と前記第2トルク値は、前記トルク指令値である、請求項1又は請求項2に記載のエレベーター制御装置。
【請求項4】
前記第1トルク値と前記第2トルク値は、前記電力供給回路から前記電動機に流れる電流の測定に基づいて特定される、請求項1又は請求項2に記載のエレベーター制御装置。
【請求項5】
かごを上下に駆動する電動機と、蓄電装置と、常用電源又は前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給する電力供給回路とを備えたエレベーターにおいて、前記常用電源の停電時に、前記エレベーター制御装置を用いて前記かごの自動着床運転を行うエレベーター制御方法であって、
前記常用電源の停電時に、前記エレベーター制御装置が、前記電力供給回路を介して前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給すると共に、前記かごが一定の第1方向で移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第1トルク値を特定する第1工程と、
前記第1工程の後、前記エレベーター制御装置が、前記第1速度と同じ大きさである一定の第2速度で、前記第1方向とは反対の第2方向に前記かごが移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第2トルク値を特定する第2工程と、
前記エレベーター制御装置が、前記第1トルク値の大きさと前記第2トルク値の大きさとを比較して、前記第1方向と前記第2の方向のうちトルク値の大きさが小さい方向について前記かごに最も近い階床に前記かごを着床させる制御を行う第3工程と、
を含む、エレベーター制御方法。
【請求項6】
前記かご内に存在する負荷を検出する負荷検出器で検出された前記負荷の値に基づいて、前記エレベーター制御装置が、前記かごの上昇方向と下降方向の何れかを回生方向であると推定する第4工程をさらに含んでおり、前記第1方向は、回生方向であると推定された方向とは逆の方向である、請求項5に記載のエレベーターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用電源を用いてかごの停電時自動着床運転を行うエレベーターの制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターでは、当該エレベーターに電力を供給する常用電源(例えば、商用交流電源)の停電が起こると緊急停止し、その後、最寄りの階床にかごを着床させる停電時自動着床運転が一般的に行われている。停電時自動着床運転では、通常、停止していたかごを回生方向に移動させて、回生方向について最寄りの階床にかごを着床させる。停電時自動着床運転中、かごを駆動する電動機は、非常用電源として使用される蓄電装置によって給電される。蓄電装置は、常用電源によって充電されるか、エレベーターの通常運転中に電動機にて発生する回生電力によって充電される。
【0003】
エレベーターの停電時自動着床運転に関しては、以下の先行技術が知られている。
【0004】
特許文献1には、かご内の重量を検出する負荷検出器をかごに設け、常用電源の停電の際に、その負荷検出器による検出値から回生方向を判定して停電時自動着床運転を行うエレベーター制御装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、予め規定トルク値を定めておき、停電時自動着床運転の開始の際に予め定められた方向に電動機を駆動し、トルク指令値が規定トルク値を超えた場合は、エレベーターの運転方向を力行方向と判定する一方、規定トルク値を超えない場合は、回生方向と判定することで、力行方向に停電時自動着床運転をしていた場合には、運転方向を回生方向に反転させるエレベーター制御装置が開示されている。
【0006】
特許文献3及び特許文献4には、停電時自動着床運転時に電動機に流れる電流が所定値を超えた場合には、エレベーターの運転方向を力行方向と判定する一方、当該電流が所定値を超えていない場合には、運転方向を回生方向と判定することで、力行方向に停電時自動着床運転をしていた場合には、運転方向を回生方向に切り替える停電時自動着床制御装置が開示されている。なお、電動機に流れる電流とその電動機の出力トルクとの間には一定の関係があることから、電動機に流れる電流に基づいてその出力トルクを求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭59−116360号公報
【特許文献2】特開2005−89094号公報
【特許文献3】特開昭60−228376号公報
【特許文献4】特開昭60−262782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1乃至4に開示されている先行技術には、以下のような問題がある。
【0009】
特許文献1の先行技術では、負荷検出器による検出値と実際の負荷の値とに誤差があって、正しい負荷を検出できない場合、かごの運転方向が、回生方向ではなくて力行方向に(最終的に)決定される事態が起こり得る。停電時自動着床運転時の運転方向が力行方向に決定されると、停電時自動着床運転に要する電動機の消費電力が蓄電装置の容量を越えて大きくなって、停電時自動着床運転が完遂されない虞がある。
【0010】
特許文献2の従来技術では、エレベーター制御装置が適用されるエレベーターの仕様に応じて規定トルク値を適切に設定する必要がある。規定トルク値が不適切に設定されると、停電時自動着床運転時の運転方向が力行方向に決定されてしまい、蓄電装置の容量が不足して、停電時自動着床運転が完遂されない虞があるからである。しかしながら、エレベーターの製造工場やエレベーターが設置される現場にて、規定トルク値の設定におけるヒューマンエラーを完全に排除することは困難である。
【0011】
特許文献3及び特許文献4に開示の従来技術においても、特許文献2の従来技術と同様に、電動機に流れる電流の閾値が不適切に設定されることで、停電時自動着床運転が力行方向になされると、停電時自動着床運転が完遂されない虞がある。
【0012】
特許文献1乃至4の先行技術において、エレベーターの運転方向が誤って力行方向に決定されても停電時自動着床運転を完遂できるように、大容量の蓄電装置を用いることが考えられるが、大容量化に伴って、蓄電装置のコストが上昇したり、設置スペースが増加したりしてしまう点で好ましくない。
【0013】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、回生方向を確実に特定可能であって、非常用電源として使用される蓄電装置を大容量化することなく、停電時自動着床運転を確実に完遂させることができるエレベーターの制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のエレベーター制御装置は、かごを上下に駆動する電動機と、蓄電装置と、常用電源又は前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給する電力供給回路とを備えたエレベーターに設けられており、前記常用電源の停電時に前記かごの自動着床運転を行うエレベーター制御装置であって、前記エレベーター制御装置は、前記常用電源の停電時に、前記電力供給回路を介して前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給し、前記かごが一定の第1速度で第1方向に移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第1トルク値を特定し、前記エレベーター制御装置は、前記電動機の第1トルク値を特定した後に、前記第1速度と同じ大きさである一定の第2速度で、前記第1方向とは反対の第2方向に前記かごが移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第2トルク値を特定し、前記エレベーター制御装置は、前記第1トルク値の大きさと前記第2トルク値の大きさとを比較して、前記第1方向と前記第2方向のうちトルク値の大きさが小さい方向について前記かごに最も近い階床に前記かごを着床させる。
【0015】
本発明のエレベーター制御装置では、前記エレベーターは、前記かご内に存在する負荷を検出する負荷検出器を更に備えており、前記エレベーター制御装置は、前記負荷検出器で検出された前記負荷の値に基づいて回生方向を推定し、前記第1方向は、回生方向であると推定された方向とは逆の方向であってよい。
【0016】
本発明のエレベーター制御装置では、前記エレベーター制御装置は、トルク指令値に基づいて、前記電力供給回路から前記電動機に流れる電流の制御を行う電流制御部を備えており、前記第1トルク値と前記第2トルク値は、前記トルク指令値であってよい。
【0017】
本発明のエレベーター制御装置では、前記第1トルク値と前記第2トルク値は、前記電力供給回路から前記電動機に流れる電流の測定に基づいて特定されてよい。
【0018】
本発明のエレベーター制御方法は、かごを上下に駆動する電動機と、蓄電装置と、常用電源又は前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給する電力供給回路とを備えたエレベーターにおいて、前記常用電源の停電時に、前記エレベーター制御装置を用いて前記かごの自動着床運転を行うエレベーター制御方法であって、前記常用電源の停電時に、前記エレベーター制御装置が、前記電力供給回路を介して前記蓄電装置からの電力を前記電動機に供給すると共に、前記かごが一定の第1方向で移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第1トルク値を特定する第1工程と、前記第1工程の後、前記エレベーター制御装置が、前記第1速度と同じ大きさである一定の第2速度で、前記第1方向とは反対の第2方向に前記かごが移動するように前記電動機を駆動して、前記電動機の第2トルク値を特定する第2工程と、前記エレベーター制御装置が、前記第1トルク値の大きさと前記第2トルク値の大きさとを比較して、前記第1方向と前記第2の方向のうちトルク値の大きさが小さい方向について前記かごに最も近い階床に前記かごを着床させる制御を行う第3工程と、を含む。
【0019】
本発明のエレベーター制御方法は、前記かご内に存在する負荷を検出する負荷検出器で検出された前記負荷の値に基づいて、前記エレベーター制御装置が、前記かごの上昇方向と下降方向の何れかを回生方向であると推定する第4工程をさらに含んでおり、前記第1方向は、回生方向であると推定された方向とは逆の方向であってよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、停電時自動着床運転が力行方向になされる事態を確実に回避することが可能になり、さらには、このような事態が生じた際に要する電力をまかなえるように蓄電装置の容量を大きくする必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態であるエレベーター制御装置を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。
図2図2は、第1実施形態のエレベーター制御装置が実行する停電時自動着床運転制御の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の第2実施形態であるエレベーター制御装置を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。
図4図4は、第2実施形態のエレベーター制御装置が実行する停電時自動着床運転制御の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の第3実施形態であるエレベーター制御装置を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。
図6図6は、第3実施形態のエレベーター制御装置が実行する停電時自動着床運転制御の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の第4実施形態であるエレベーター制御装置を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。
図8図8は、本発明の第5実施形態であるエレベーター制御装置を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態であるエレベーター制御装置1を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。当該エレベーターは、常用電源2から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータ3と、コンバータ3から送られた直流電力を交流電力に変換する電力供給回路4と、電力供給回路4から供給された交流電力で動作する交流電動機5と、交流電動機5に連結されて回転駆動されるシーブ6と、シーブ6に巻き掛けられたロープの一端に吊り下げられたかご7と、当該ロープの他端に吊り下げられた釣合い錘8とを備えている。
【0023】
常用電源2は、商用の三相交流電源である。コンバータ3は、例えばダイオードブリッジ等を用いて構成されており、変換した直流電力を、高電位側電源線L1及び低電位側電源線L2を介して電力供給回路4に供給する。これら電源線L1及び電源線L2の間には、直流電圧の脈動分を平滑化するために設けられている平滑化コンデンサ9と、回生抵抗10及び放電用トランジスタ11からなる直列回路とが介挿されている。
【0024】
交流電動機5は、三相交流電動機である。電力供給回路4は、IGBTなどのスイッチング素子を用いて構成されたインバータであって、高電位側電源線L1と低電位側電源線L2を介して与えられる直流電力を、これらスイッチング素子のスイッチングにより三相交流電力に変換して交流電動機5に供給する。
【0025】
エレベーターは、昇降圧チョッパ回路等で構成された充放電回路部12を介して高電位側電源線L1と低電位側電源線L2に接続される蓄電装置13をさらに備えている。蓄電装置13には、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池などの蓄電池や大容量コンデンサが使用される。
【0026】
エレベーターが回生運転をしている状況では、交流電動機5で生成された回生電力が、電力供給回路4を介して高電位側電源線L1と低電位側電源線L2に供給される。電源線L1と電源線L2の間の電圧は、図示を省略した電圧計によって測定されている。エレベーターの主制御部(図示省略)は、当該電圧計で測定された電圧に基づいて回生電力が電源線L1と電源線L2に供給されているか否かを判定し、回生電力が供給されている場合には、充放電回路部12を制御する充放電制御部14に蓄電装置13を充電するように指示する。充放電制御部14は、電源線L1と電源線L2の間の電圧を降圧して蓄電装置13に印加するように充放電回路部12を動作させる。蓄電装置13の容量を超える電力は、放電用トランジスタ11がオンにされることで、回生抵抗10で消費される。また、充放電制御部14は、エレベーターの主制御部又はエレベーター制御装置1(の停電時運転制御部16)からの指示に基づいて、蓄電装置13の電圧を昇圧して電源線L1と電源線L2の間に直流電圧を印加するように充放電回路部12を制御する。なお、充放電回路部12は、蓄電装置13と電源線L1及び電源線L2とが直結可能なように構成されてよい。
【0027】
蓄電装置13は、常用電源2の停電時に非常用電源として交流電動機5に直流電力を供給して、停電時自動着床運転を実行するのに使用される。エレベーターには、常用電源2の停電を検出する停電検出部15が設けられており、停電検出部15は、停電を検出するとエレベーター制御装置1にその旨を通知する。後述する停電時自動着床運転制御が実行される際、エレベーター制御装置1が充放電制御部14に指示することで、電源線L1と電源線L2の間に直流電圧が印加されるように充放電回路部12が制御される。
【0028】
エレベーターの停電時自動着床運転を制御するエレベーター制御装置1は、停電時運転制御部16と、速度制御部17と、電流制御部18とを含んでいる。停電時運転制御部16は、停電時自動着床運転に係る統括的な制御を行う。停電時運転制御部16が行う処理の詳細については後述する。エレベーターには、交流電動機5の回転速度を検出するエンコーダ19が設けられており、速度制御部17は、エンコーダ19が検出した交流電動機5の回転速度と、停電時運転制御部16で設定される交流電動機5の回転速度の指令値との差がゼロになるような交流電動機5に係るトルク指令値を計算して、電流制御部18に送る。エレベーターには、交流電動機5に流れる三相電流の各相の電流値を検出する電流検出器20が設けられており、電流制御部18は、速度制御部17から送られたトルク指令値から交流電動機5に係る電流指令値を決定すると共に、当該電流指令値と、電流検出器20で検出された帰還電流値とに基づいて、電力供給回路4に含まれるスイッチング素子をスイッチングして、電力供給回路4の出力電流とその周波数を制御する。
【0029】
エレベーター制御装置1は、例えば、各種命令や計算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、エレベーター制御装置1の外部に存在する装置との接続に使用される各種インターフェイスとを含んでいる(何れも図示省略)。揮発性メモリは例えばRAM(Random Access Memory)であり、不揮発性メモリは例えばROM(Read Only Memory)である。不揮発性メモリには、エレベーター制御装置1で実行される処理を規定する制御プログラムが予め格納されている。揮発性メモリは、制御プログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。図に示した停電時運転制御部16、速度制御部17、及び電流制御部18(及び後述するトルク算出部21(図3))は、エレベーター制御装置1の不揮発性メモリに格納された制御プログラムがエレベーター制御装置1のCPUで実行されることで、実現される。
【0030】
次に、エレベーター制御装置1で制御されるエレベーターの停電時自動着床運転について説明する。停電検出部15にて、常用電源2の停電が検知されると、エレベーターの主制御部が停止機構(図示省略)を作動させることで、交流電動機5及びかご7が停止する。その後、エレベーターの停電時自動着床運転が行われる。図2は、エレベーター制御装置1のCPUが制御プログラムを実行することで行われる停電時自動着床運転制御の流れを示すフローチャートである。
【0031】
停電検出部15が常用電源2の停電を検知し、且つ、かご7が停止してから、エレベーターの主制御部からの指令を受けて、エレベーター制御装置1は、停電時自動着床運転制御を開始する。まず、エレベーター制御装置1の停電時運転制御部16は、充放電制御部14に指示を送って、蓄電装置13を用いて電源線L1及び電源線L2に直流電圧を印加するように充放電回路部12を動作させる(ステップSA100)。
【0032】
ステップSA100の後、エレベーター制御装置1は、かご7を微速運転で、短時間且つ短距離上昇させる制御を開始する(ステップSA110)。ステップSA110にて、停電時運転制御部16は、かご7を上昇させる向きの交流電動機5の回転速度の指令値を、速度制御部17に送る。速度制御部17は、当該指令値とエンコーダ19で測定された交流電動機5の回転速度(当初はゼロである)とを用いて、当該指令値に対応する一定の速度でかご7が上昇するために交流電動機5で発生させるべきトルクの値であるトルク指令値を決定する。そして、速度制御部17から送られたトルク指令値に基づいて、電流制御部18は電力供給回路4を制御する。
【0033】
ステップSA110の後、エレベーター制御装置1の停電時運転制御部16は、エンコーダ19から送られる交流電動機5の回転速度の測定値に基づいて、かご7の上昇速度が所望の速度で一定になったか否か(つまり、交流電動機5の回転速度が上記の指令値で一定になったか否か)を判定する(ステップSA120)。ステップSA120の判定結果がNoである間、かご7の上向きの加速が継続される(ステップSA130)。
【0034】
ステップSA120の判定結果がYesになる、つまり、かご7の上昇速度が一定になったと判定されると、停電時運転制御部16は、その時点における速度制御部17で決定されたトルク指令値Tupを(例えば、揮発性メモリに)記憶する(ステップSA140)。
【0035】
ステップSA110にて、停電時運転制御部16から速度制御部17に送られる交流電動機5の回転速度の指令値は、例えば、停止した状態からかご7が数秒程度で所定の速度になり、その間のかご7の上昇距離が10cm程度となるように設定される。
【0036】
ステップSA140の後、停電時運転制御部16は、かご7を下降させる向きの交流電動機5の回転速度の指令値を、速度制御部17に送って、かご7の運転方向を反転させる(ステップSA150)。ステップSA150にて速度制御部17に送られる交流電動機5の回転速度の指令値は、ステップSA110にて速度制御部17に送られる交流電動機5の回転速度の指令値の正負を反対にした値にされて(これら指令値は、絶対値が同じであって、正負が異なる)、かご7は、微速運転で、短時間且つ短距離下降する。
【0037】
ステップSA150の後、エレベーター制御装置1の停電時運転制御部16は、エンコーダ19から送られる回転速度の測定値に基づいて、かご7の下降速度が、上記の一定の上昇速度と同じ大きさであるが、向きが異なる所望の速度で一定になったか否かを判定する(ステップSA160)。ステップSA160の判定結果がNoである間、かご7の下向きの加速が継続される(ステップSA170)。
【0038】
ステップSA160の判定結果がYesになる、つまり、かご7の下降速度が一定になったと判定されると、停電時運転制御部16は、その時点における速度制御部17で決定されたトルク指令値Tdownを記憶する(ステップSA180)。
【0039】
ステップSA180の後、停電時運転制御部16は、ステップSA140にて記憶したトルク指令値Tupの大きさ(絶対値)と、ステップSA180にて記憶したトルク指令値Tdownの大きさの大小比較を、具体的には、前者が後者以上であるか否かの判定を行う(ステップSA190)。
【0040】
ステップSA190の判定結果がYesである場合(トルク指令値Tupの大きさ≧トルク指令値Tdownの大きさである場合)、停電時運転制御部16は、かご7が下降する方向が回生方向であると判定し、かご7の移動方向をそのままとして、かご7の下側に位置する階床のなかでかご7に最も近い階床にかご7を着床させる運転制御を開始する(ステップSA200)。
【0041】
ステップSA190の判定結果がNoである場合(トルク指令値Tupの大きさ<トルク指令値Tdownの大きさである場合)、停電時運転制御部16は、かご7が上昇する方向が回生方向であると判定し、かご7の移動方向を反転させて、かご7の上側に位置する階床のなかでかご7に最も近い階床にかご7を着床させる運転制御を開始する(ステップSA210)。
【0042】
ステップSA200又はSA210が開始されると、停電時運転制御部16は、目的の階床、つまり最寄り階に向けてかご7が適切に加減速し、当該最寄り階で停止するように、速度制御部17に送る交流電動機5の回転速度の指令値を適宜変更する。大抵の場合、かご7は、ステップSA120とステップSA160にてYesと判定された際の速度よりも(絶対値が)大きい速度に達して、当該速度を維持して一定時間移動した後、最寄り階に向けて減速するように制御される。
【0043】
ステップSA200又はSA210の後、停電時運転制御部16は、かご7が最寄り階に着床したか否かを判定する(ステップSA220)。ステップSA220では、例えば、エンコーダ19から送られる回転速度がゼロになり、目的の最寄り階に設けられたかご7の着床を検知するセンサー(図示せず)から、かご7の着床の通知を受けると、停電時運転制御部16は、かご7が最寄り階に着床したと判定し、停電時自動着床運転制御を終了する。ステップSA220の判定結果がNoである間、かご7を最寄り階に着床させる運転制御が継続される(ステップSA230)。
【0044】
本発明の第1実施形態では、ステップSA140にて記憶したトルク指令値Tupの大きさと、ステップSA180にて記憶したトルク指令値Tdownの大きさを比較することで、従来技術のように閾値を設定したり、かごに負荷検出器を設けることなく、停電時自動着床運転が行われる回生方向が決定されている。回生方向は従来技術よりも正確に決定されて、閾値の設定ミスや負荷検出器の誤差等に起因して、力行方向にかご7が自動着床運転される事態は起こらない。
【0045】
また、本発明の第1実施形態では、かご7が、ステップSA110が実行されて上昇し、ステップSA150が実行されて下降し、さらには、ステップSA210が実行されて、最寄り階に向けて回生方向に上昇した場合であっても、回生方向を決定するためにステップSA110及びステップSA150を行うのに要する電力は僅かであって、誤って力行運転がなされてかご7が最寄り階に着床される場合に要する電力よりも遙かに小さい。故に、蓄電装置13の容量は、ステップSA210を実行して、最寄り階にかご7を着床させるケースにおける最大の消費電力に加えて、ステップSA100及びステップSA150の両方の実行に要する電力をまかなえる程度にすればよく、本発明によれば、従来技術と比較して、蓄電装置13の容量を著しく低減することができる。
【0046】
本発明の第1実施形態では、かご7を上向きに微速運転した後に、かご7を下向きに微速運転しているが、これらの順序は逆でもよく、ステップSA110にてかご7を下向きに微速運転して、ステップSA140にてトルク指令値Tdownを得た後に、ステップSA150にてかご7を上向きに微速運転して、ステップSA180にてトルク指令値Tupが得られてもよい。また、その場合、ステップSA200は、運転方向を反転させてかご7を下降させるように変更され、ステップSA210は、かご7の上昇運転を継続するように変更される。
【0047】
図3は、本発明の第2実施形態であるエレベーター制御装置1を用いたエレベーターの概要を示す説明図であり、図4は、第2実施形態のエレベーター制御装置1が実行する停電時自動着床運転制御の流れを示すフローチャートである。本発明の第2実施形態では、図3に示すように、電流検出器20で検出された交流電動機5に流れる(三相電流の)各相の電流値(帰還電流値)が、エレベーター制御装置1のトルク算出部21に送られる。
【0048】
図2のステップSA140に対応する位置に示された図4のステップSA140’では、トルク算出部21は、かご7の上昇速度が一定になった時点における電流検出器20で検出された帰還電流値に基づいて交流電動機5のトルクTup’を算出する。また、図2のステップSA180に対応する位置に示された図4のステップSA180’では、トルク算出部21は、かご7の下降速度が一定になった時点における電流検出器20で検出された帰還電流値に基づいて交流電動機5のトルクTdown’を算出する。なお、算出されたトルクTup’及びTdown’は、停電時運転制御部16に送られ、記憶される。
【0049】
図2のステップSA190に対応する位置に示された図4のステップSA190’では、停電時運転制御部16は、ステップSA140’で計算された交流電動機5のトルクTup’の大きさが、ステップSA180’で計算された交流電動機5のトルクTdown’の大きさ以上であるか否かを判定する。
【0050】
第1実施形態と第2実施形態とでは共にフィードバック制御が行われていることから、第1実施形態に係るトルク指令値Tupと、第2実施形態に係るトルクTup’は、ほぼ同じ値となるので、これらは、(微速上昇運転時における)交流電動機5のトルクを特定する値として実質的に差異がない。第1実施形態に係るトルク指令値Tdownと、第2実施形態に係るトルクTdown’も、(微速下降運転時における)交流電動機5のトルクを特定する値として実質的に差異がない。故に、第1実施形態と第2実施形態とでは、実質的に同様な停電時自動着床運転制御が行われる。
【0051】
本発明の第2実施形態に関するその他の事項については、本発明の第1実施形態と同様である、又は、第1実施形態に関する先の説明から容易に理解できるので、説明を省略する。
【0052】
図5は、本発明の第3実施形態であるエレベーター制御装置1を用いたエレベーターの概要を示す説明図であり、図6は、第3実施形態のエレベーター制御装置1が実行する停電時自動着床運転制御の流れを示すフローチャートである。
【0053】
本発明の第3実施形態では、図1に示した第1実施形態とは異なり、かご7内に存在する負荷又は重量を検出する負荷検出器22が、かご7(より具体的には、かご7の床下に)に設けられている。第3実施形態におけるエレベーター制御装置1が実行する停電時自動着床運転制御では、図2に示すステップSA100に相当するステップSB100が実行された後、停電時運転制御部16は、負荷検出器22で検出されたかご7内に存在する負荷又は重量の値に基づいて、かご7の上昇方向と下降方向の何れかを回生方向として推定する(ステップSB110)。そして、停電時運転制御部16は、回生方向であると推定された方向とは逆方向にかご7が一定速度で微速運転するように、回転速度の指令値を速度制御部17に送る(ステップSB120)。
【0054】
ステップSB120の後、エレベーター制御装置1の停電時運転制御部16は、エンコーダ19から送られる回転速度の測定値に基づいて、かご7の速度が所望の速度で一定になったか否かを判定する(ステップSB130)。ステップSB130の判定結果がNoである間、回生方向であると推定された方向とは逆方向にかご7の加速が継続される(ステップSB140)。
【0055】
ステップSB130の判定結果がYesになる、つまり、かご7の速度が一定になったと判定されると、停電時運転制御部16は、その時点における速度制御部17で決定されたトルク指令値T1を記憶する(ステップSB150)。
【0056】
第1実施形態と同様に、ステップSB120にて、停電時運転制御部16から速度制御部17に送られる交流電動機5の回転速度の指令値は、例えば、停止した状態からかご7が数秒程度で所定の速度になり、その間のかご7の移動距離が10cm程度となるように設定される。
【0057】
ステップSB150の後、停電時運転制御部16は、回生方向と推定した向きである交流電動機5の回転速度の指令値を速度制御部17に送って、かご7の運転方向を反転させる(ステップSB160)。第1実施形態と同様に、ステップSB160にて速度制御部17に送られる交流電動機5の回転速度の指令値は、ステップSB120にて速度制御部17に送られる交流電動機5の回転速度の指令値の正負を反対にした値にされる。
【0058】
ステップSB160の後、エレベーター制御装置1の停電時運転制御部16は、エンコーダ19から送られる交流電動機5の回転速度の測定値に基づいて、かご7の速度が、ステップSB130における所望の速度と大きさが同じであるが向きが異なる速度で一定になったか否かを判定する(ステップSB170)。ステップSB170の判定結果がNoである間、推定方向へのかご7の加速が継続される(ステップSB180)。
【0059】
ステップSB170の判定結果がYesになる、つまり、かご7の速度が一定になったと判定されると、停電時運転制御部16は、その時点における速度制御部17で決定されたトルク指令値T2を記憶する(ステップSB190)。
【0060】
ステップSB190の後、停電時運転制御部16は、ステップSB150にて記憶したトルク指令値T1の大きさと、ステップSB190にて記憶したトルク指令値T2の大きさの大小比較を、具体的には、前者が後者以上であるか否かの判定を行う(ステップSB200)。
【0061】
ステップSB200の判定結果がYesである場合(トルク指令値T1の大きさ≧トルク指令値T2の大きさである場合)、停電時運転制御部16は、推定は正しいと、即ち、推定した方向は回生方向であると確定し、かご7の移動方向をそのままとして、かご7の移動方向に位置する階床のなかでかご7に最も近い階床にかご7を着床させる運転制御を開始する(ステップSB210)。
【0062】
ステップSB200の判定結果がNoである場合(トルク指令値T1の大きさ<トルク指令値T2の大きさである場合)、停電時運転制御部16は、推定は誤りであると、即ち、推定した方向とは逆の方向が回生方向であると判定し、かご7の移動方向を反転させて、逆方向に位置する階床のなかでかご7に最も近い階床にかご7を着床させる運転制御を開始する(ステップSB220)。その後、第1実施形態のステップSA220及びSA230に夫々対応したステップSB230及びSB240が実行される。
【0063】
本発明の第3実施形態では、負荷検出器22を用いて回生方向を推定し、推定した方法とは逆方向に最初にかご7を移動させて、その後推定方向にかご7を移動させている。負荷検出器22に何らかの障害が発生していない限り、ステップSB200にてNoと判定されて、ステップSB220が実行される可能性は非常に低く、第3実施形態では、第1実施形態と比較して、かご7が余分な動作をする可能性は極めて低くなっている。また、仮に、負荷検出器22の誤差などが原因で、推定した方向が誤っていても、最終的に回生方向が正しく決定されて、かご7は、回生方向に移動して最寄り階に着床する。
【0064】
本発明の第3実施形態では、速度制御部17で求められたトルク指令値の大きさが、推定方向と逆方向について比較されて回生方向が決定されているが、第2実施形態のように、電流検出器20から得られた帰還電流値を用いて計算される交流電動機5のトルクの大きさが、推定方向と逆方向について比較されて回生方向が決定されてよい。
【0065】
図7は、本発明の第4実施形態であるエレベーター制御装置1を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。本発明の第1乃至第3実施形態では、かご7を駆動するために交流電動機5が使用されているが、本発明の第4実施形態では、直流電動機5’が使用されてかご7が駆動されている。このように、本発明は、第1乃至第3実施形態のような交流エレベーターに加えて、第4実施形態(及び後述する第5実施形態)のような直流エレベーターにも適用可能である。
【0066】
本発明の第4実施形態では、電流検出器20は、直流電動機5’に流れる直流電流を検出する。電流制御部18は、速度制御部17から送られたトルク指令値から直流電動機5に係る電流指令値を決定すると共に、当該電流指令値と、電流検出器20で検出された帰還電流値とに基づいて、電力供給回路4に含まれるスイッチング素子をスイッチングして、電力供給回路4の出力電圧を制御する。第1乃至3実施形態と同様に、電力供給回路4としてインバータが使用されてよい。
【0067】
本発明の第4実施形態では、第1乃至第3実施形態とは異なり、蓄電装置13は、回生電力だけでなく、常用電源2を用いても充電可能なように構成されている(蓄電装置13は、常用電源2からの交流電力だけで充電されるように構成されてもよい)。充放電回路部12は、常用電源2の交流電力を直流電力に変換するコンバータを含んでいる。第4実施形態でも第1乃至第3実施形態と同様に、停電時自動着床運転時には、蓄電装置13を用いて電源線L1及び電源線L2に直流電圧が印加される。しかしながら、第4実施形態では、停電時自動着床運転時にて、蓄電装置13からの交流電力が充放電回路部12にて交流電力に変換されて、当該交流電力がコンバータ3に供給されるように構成されてもよい。停電時自動着床運転時にて、コンバータ3は、当該交流電力を直流電力に変換して、電力供給回路4に供給する。なお、本発明の第1乃至第3実施形態は、第4実施形態のように、回生電力だけでなく、常用電源2を用いて蓄電装置13を充電可能なように変更されてよく(又は、常用電源2からの交流電力だけで充電されるように変更されてよく)、蓄電装置13からの交流電力が充放電回路部12にて交流電力に変換されて、コンバータ3に供給されるように変更されてよい。
【0068】
第4実施形態に関するその他の事項については、本発明の第1実施形態と同様である、又は、第1実施形態に関する先の説明から容易に理解できるので、説明を省略する。
【0069】
図8は、本発明の第5実施形態であるエレベーター制御装置1を用いたエレベーターの概要を示す説明図である。第5実施形態は、エレベーター制御装置1が、第2実施形態のようにトルク算出部21を備えており、トルク算出部21は、電流検出器20で検出された帰還電流値に基づいて直流電動機5’のトルクを算出する点と、かご7内の負荷を検出する負荷検出器22’が設けられている点とで、第4実施形態とは異なっている。
【0070】
第5実施形態では、エレベーター制御装置1は、図6を参照して説明した停電時自動着床運転制御と同様な制御を行うが、ステップSB150及びステップSB190は、トルク算出部21が計算したトルクを記憶するように変更され、ステップSB200は、記憶されたそれらトルクを比較するように変更される。
【0071】
第3実施形態と異なり、第5実施形態では、かご7の上部のロープヒッチ部(図示せず)に設けられるタイプの負荷検出器22’が使用されている。本発明において、かご7内に存在する負荷を検出する負荷検出器22、22’の配置や構造は、本発明の作用効果が得られる限りにおいて限定されない。
【0072】
第5実施形態に関するその他の事項については、第1乃至第4実施形態に関する先の説明から容易に理解できるので、説明を省略する。
【0073】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
1 エレベーター制御装置
2 常用電源
4 電力供給回路
5 交流電動機
5’ 直流電動機
7 かご
13 蓄電装置
15 停電検出部
16 停電時運転制御部
17 速度制御部
18 電流制御部
20 電流検出器
21 トルク算出部
22 負荷検出器
22’負荷検出器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8