(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各種情報は、道路標識情報、避難誘導情報、海抜情報、地名情報から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の組み合わせからなることを特徴とする請求項1又は2記載の表示板付き標識柱。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
(表示板付き標識柱の全体構成)
図1は本発明に係る表示板付き標識柱の一例を示し、(a)はその正面図、(b)は(a)中の(ア)−(ア)線に沿う断面図である。
【0018】
表示板付き標識柱Pは、標識柱本体1と、この標識柱本体1に取り付けられた表示板2とを有する。
【0019】
標識柱本体1は、例えばポリウレタン等の弾性変形可能な樹脂によって形成された柱状体である。すなわち、標識柱本体1は歩行者や車両等が衝突して外力が加わると容易に折れ曲がり、また、外力が除去されると、その弾性によって元の直立状態に復帰するように構成されている。ここでは横断面が中空円形状となる標識柱本体1を示しているが、弾性変形可能な柱状体であれば、標識柱本体1の横断面形状は特に問わない。
【0020】
標識柱本体1の上端部には頭部11が取り付けられ、下部には台座部12が取り付けられている。台座部12の下面からは、路面に埋設された不図示の埋設用脚に取り付けるための固定用ボルト13が突出している。11aは頭部11の外周に形成された反射シート、12aは台座部12の外周に形成された反射シートであり、これらによって注意喚起効果を発揮できるようになっている。
【0021】
表示板2は、その表面で歩行者、自転車で走行する者、自動車やオートバイのドライバーに対して各種の情報表示を行うものである。表示板2は、正面視形状が四角形状、円形状等の任意形状の板状体、あるいは、円柱や角柱等の棒状体等からなる。ここでは、1つの頂点によって方向を指し示すことができる五角形のホームベース形状の表示板2を、板状体からなる表示板の一例として示している。これは表示板2の表面で多くの情報を表示させることができると共に、表示板2の形状そのもので方向を指し示すことができるので、視覚に訴える効果が高く、視覚誘導効果に優れるため、本発明において好ましい態様である。
【0022】
この表示板2は、従来のような縦長の長方形状のものとは異なり、上下方向(標識柱本体1の直立時の高さ方向)の寸法は、左右方向に比べて比較的小さく形成されている。特に限定されるものではないが、この上下方向の寸法は100mm〜200mm程度が好ましい。
【0023】
表示板2に使用される樹脂としては、ポリウレタン等のウレタン系樹脂の他、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂等が挙げられるが、特に問わない。厚みは5mm〜10mm程度が好ましい。硬さはデュロメータA(瞬時)85以上が好ましく、デュロメータA(瞬時)90以上であることが望ましい。
【0024】
この他、デュロメータA(瞬時)80〜95(JIS K6253:1997)のクロロプレンゴム等のゴム材や、鉄やアルミニウム等の薄板状金属板等も使用することができる。
【0025】
中でも、表示板2は、標識柱本体1と同様の樹脂製であるのが好ましく、標識柱本体1とは異なり、弾性変形しないものが好ましい。ここで弾性変形しないとは、外力が加わった場合に必ずしも全く変形することがないことを意味するものではなく、表示板2に歩行者や自転車等が衝突した程度の外力が加わっても、その平板形状を実質的に維持し、表面が平坦のまま保たれることをいう。従って、このような弾性変形しない表示板2は、標識柱本体1よりも硬い、ある程度の硬さを持つものとなっている。具体的な硬さとしては、デュロメータD64(JIS K7215:1986)以上が好ましく、デュロメータD68以上であることが望ましい。
【0026】
表示板2の表面には各種情報が設けられている。各種情報としては、道路標識情報、避難誘導情報、海抜情報、地名情報等が挙げられ、これらがピクトサインや文字等によって表示されている。これらの情報は、表示板2の表面に塗装、印刷、彫刻等によって設けられるようにしてもよいが、情報が形成されたシート2aを貼着することが好ましい。このようなシート2aは、反射シートであると、注意喚起効果を発揮できるために更に好ましい。
【0027】
表示板2の背面には、放射状に延びる複数のリブ21が設けられている。表示板2はこのリブ21によって補強され、平板形状の維持効果がより高められている。また、リブ21の補強効果によって表示板2を薄く形成することもでき、必要な強度を維持しながらコストダウンを図ることも可能である。
【0028】
図1(a)では、標識柱本体1に2枚の表示板2を高さを異ならせて取り付けたものを例示している。すなわち、上側の表示板2が、1つの頂点で正面視右方向を指し示すように、標識柱本体1の軸線(図示上下方向)の上方向に対して時計周りに90°の角度で取り付けられ、下側の表示板2が、同じく1つの頂点で正面視左方向を指し示すように、標識柱本体1の軸線の上方向に対して反時計周りに90°の角度で取り付けられたものを示している。表示板2の高さ方向の設置数は特に限定されず、標識柱本体1の高さ寸法や表示板2の大きさに応じて適宜決められる。
【0029】
また、同一の標識柱本体1に取り付けられる複数枚の表示板2は、シート2aが貼着された面が、標識柱本体1の軸線を中心にしてそれぞれ異なる方向を向くように取り付けられていてもよい。
【0030】
(表示板の取り付け構造の第1の実施形態)
次に、表示板2の取り付け構造の第1の実施形態について説明する。
【0031】
図2は、表示板2の詳細を示し、(a)は背面図、(b)は(a)中の(イ)−(イ)線に沿う断面図、(c)は(a)中のC方向から見た側面図、
図3は、表示板2を標識柱本体1に取り付ける様子を説明する断面図である。
【0032】
表示板2の背面側(標識柱本体1に取り付けられる面側)には、表示板2を標識柱本体1に取り付けるための取付け部3を有している。
【0033】
この取付け部3は、表示板2の背面に一体成形されており、表示板2の背面から突出する一対の脚部31、31を有している。脚部31、31は、相対する内面間の離間距離が標識柱本体1の直径と同等となるように配置されている。取付け部3は、これらの脚部31、31によって、標識柱本体1を両側から挟み付けるようにして取り付けられるようになっている。各脚部31、31には、それぞれ貫通穴31a、31aが1つずつ形成されている。
【0034】
脚部31、31の内側は、表示板2の背面にかけて標識柱本体1の外周面に沿うように円弧状に形成されている。これにより取付け部3は、標識柱本体1の外周面の略半周に亘って密接し、表示板2を標識柱本体1に安定して取り付けることができるようになっている。
【0035】
このような表示板2を標識柱本体1に取り付けるには、
図3に示すように、予め標識柱本体1にその軸線と直交するように貫通穴1aを形成しておき、該貫通穴1a付近に取付け部3の脚部31、31で標識柱本体1を挟み付けるように装着する。その後、脚部31、31の各貫通穴31a、31aと標識柱本体1に形成した貫通穴1aとに亘って、固定用軸部材である1本の組ネジ(メス)32aを貫通させ、組ネジ(オス)32bによって固定する。これにより、表示板2は取付け部3を介して標識柱本体1に取り付けられる。
【0036】
1枚の表示板2は、取付け部3によって、標識柱本体1の高さ方向の1箇所のみで取り付けられるため、表示板2自体は弾性変形しないものであっても、標識柱本体1の弾性変形機能を実質的に阻害することはない。このため、歩行者や車両が表示板2に衝突しても、標識柱本体1が容易に弾性変形して、その衝撃力を緩衝することができ、表示板2の損傷や、歩行者や車両へ与える影響を少なくすることができる。しかも、表示板2は弾性変形しないため、表面に貼着されているシート2aが剥離してしまうことがなく、表示板2による情報表示機能を長期に亘って維持することができる。
【0037】
また、表示板2の取付け部位に着目しても、取付け部3は、その脚部31、31が標識柱本体1を両側から挟み付け、1本の組ネジ(メス)32aが貫通することによって取り付けられているだけであるため、取付け部位における標識柱本体1の弾性変形機能を大きく損なうようなこともない。このため、1本の標識柱本体1に複数枚の表示板2を取り付けることができるようになり、それだけ多くの情報を表示させることができる。
【0038】
(表示板の取り付け構造の第2の実施形態)
次に、表示板2の取り付け構造の第2の実施形態について説明する。
【0039】
表示板2の取り付け構造の第1の実施形態は、表示板2と取付け部3とを一体成形したものを挙げたが、第2の実施形態は、表示板2と取付け部3とは別体に形成し、表示板2が取付け部3に対して着脱可能に取り付けられるようにしたものである。着脱可能とすることで、表示板2の劣化、破損等が発生した場合に、取付け部3から表示板2を取り外して表示板2のみを交換することができ、メンテナンス性に優れ、補修費用も安価で済む効果がある。また、表示板2のデザイン変更が必要な場合も、表示板2のみの成形金型を製作するだけで対応できるため、金型費用も安価にできる。
【0040】
取付け部3は、表示板2と同一の樹脂によって形成することができる。また、表示板2を安定して取り付けることができるようにするため、表示板2と同程度の硬度であることが好ましい。
【0041】
取付け部3と別体に形成された表示板2は、例えばネジ等の固定手段を用いて、取付け部3に着脱可能となるように取り付けることが好ましい。
【0042】
図4は、取付け部3に表示板2をネジ止めすることによって着脱可能とした態様を示している。(a)は取付け部3の斜視図、(b)は表示板2を背面側から見た斜視図である。
【0043】
取付け部3には、表示板2が取り付けられる取付け面3aの略中央に、ネジ穴33と、このネジ穴33を間に挟むように配置された2つの凹部34、34とが形成されている。取付け面3aは円形に形成されているが、特に問わない。各凹部34、34は、ネジ穴33との離間距離が等しくなるように配置されている。
【0044】
一方、表示板2の背面には、取付け部3のネジ穴33に対応するネジ穴22と、1つの凸部23とが形成されている。凸部23とネジ穴22との離間距離は、取付け部3の各凹部34、34とネジ穴33との離間距離に等しくなるように設定されている。
【0045】
この表示板2を取付け部3に取り付けるには、2つの凹部34、34のうちのいずれかに凸部23が係合するように表示板2を取付け面3aに装着した後、ネジ穴22、33に亘ってネジS1を貫挿させ、表示板2を取付け部3にネジ止めする。このとき、凸部23を上側の凹部34と係合させるか(
図5(a))、下側の凹部34と係合させるか(
図5(b))によって、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度(標識柱本体1の軸線に交差するネジS1の軸を中心とする回転方向の取り付け角度)を、2つの角度に選択して位置決めすることができる。
【0046】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られることに加え、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を2つの角度に設定することができる効果がある。しかも、表示板2の凸部23を係合させる凹部34を選択するだけで、取付け部3を標識柱本体1に取り付けた状態のまま、表示板2の取り付け角度を簡単に変更することができる。
【0047】
また、凸部23と凹部34とが係合するため、これがストッパーとなって、表示板2がネジS1を中心に回転してしまうことはなく、悪戯防止を図ることもできる。表示板2には僅かに出っ張る程度の凸部23を形成し、取付け部3にはこの凸部23を収容できる程度の深さの凹部34を形成すればよいだけであるため、表示板2と取付け部3とが必要以上に厚くなったり、大型化したりすることはない。
【0048】
なお、凸部22と凹部34の形状は特に問わない。また、表示板2が例えば円形等のようにその形で方向を指し示すものではない場合には、取付け部3の凹部34は1つだけでもよい。
【0049】
更に、表示板2の凸部23を取付け部3の取付け面3aに設け、取付け部3の凹部34、34を表示板2の背面に設けるようにしてもよい。
【0050】
(表示板の取り付け構造の第3の実施形態)
次に、表示板2の取り付け構造の第3の実施形態について説明する。
【0051】
表示板2の取り付け構造の第3の実施形態は、
図6に示すように、取付け部3の凹部34の数を、
図4に示した取付け部3の凹部34の数よりも更に多く設け、それら凹部34を、ネジ穴33から等距離の位置に、ネジ穴33を中心とする円を描くように配列させたものである。
【0052】
この構成によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られることに加え、表示板2の凸部23を係合させるべき凹部34の位置を任意に選択することにより、
図7に示すように、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度(標識柱本体1の軸線に交差するネジS1の軸を中心とする回転方向の取り付け角度)を、ネジS1の軸を中心として、凹部34の数だけ任意の角度に細かく位置決めすることができる効果がある。
【0053】
これにより、
図8に示す表示板付き標識柱Pのように、1本の標識柱本体1に複数枚の表示板2を、それぞれ取付け角度を異ならせて標識柱本体1に取り付けることによって、各表示板2が指し示す方向を、それぞれ異なる任意の方向となるように設定することもできる。このようにすることで、各表示板2による情報表示の機能を分離することができる。
【0054】
例えば
図8では、津波の避難誘導を行うために、それぞれ高台へ向かう車両用の避難路情報を示す表示板2と歩行者用の避難路情報を示す表示板2とに分け、これらがそれぞれ異なる最適な避難路を指し示すように、異なる方向及び角度で標識柱本体1に取り付けた表示板付き標識柱Pを示している。これにより、車両と歩行者とが混乱することなく、車両と歩行者のそれぞれに最適な高台への避難誘導を、視認性高く表示させることができる。
【0055】
しかも、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度は、凸部23を係合させる凹部34を選択するだけで、取付け部3を標識柱本体1に取り付けた状態のまま、簡単に変更することができる。
【0056】
また、凸部23と凹部34とが係合するため、これがストッパーとなって、表示板2がネジS1を中心に回転してしまうことはなく、悪戯防止を図ることもできる。表示板2には僅かに出っ張る程度の凸部23を形成し、取付け部3にはこの凸部23を収容できる程度の深さの凹部34を形成すればよいだけであるため、表示板2と取付け部3とが必要以上に厚くなったり、大型化したりすることはない。
【0057】
なお、凸部22と凹部34の形状は特に問わない。また、表示板2の凸部23を取付け部3の取付け面3aに設け、取付け部3の凹部34、34を表示板2の背面に設けるようにしてもよい。
【0058】
(表示板の取り付け構造の第4の実施形態)
次に、表示板2の取り付け構造の第4の実施形態について説明する。
【0059】
表示板2の取り付け構造の第4の実施形態は、
図9に示すように、取付け部3の取付け面3aに、
図6、
図7に示した凹部34に代えて、ネジ穴33を中心とする円形状の凹溝35を形成し、一方の表示板2に、ネジS1を貫挿させるネジ穴22の他に、もう一つのネジ穴24を形成したものである。この表示板2のネジ穴22、24間の離間距離は、取付け部3の凹溝35の半径に等しくなるように設定されている。
【0060】
この表示板2を取付け部3に取り付けるには、表示板2のネジ穴22と取付け部3のネジ穴33とに亘ってネジS1を貫挿させ、軽くネジ止めした後、ネジS1の軸を中心にして表示板2を回転させ、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度(標識柱本体1の軸線に交差するネジS1の軸を中心とする回転方向の取り付け角度)を任意に調整する。このとき、表示板2のもう一方のネジ穴24は、取付け部3の凹溝35上を移動するため、このネジ穴24にネジS2を貫挿させて凹溝35にネジ止めし、更にネジS1を締め付けることによって、表示板2を取付け部3に取り付ける。
【0061】
この構成によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られることに加え、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を、ネジS1の軸を中心として360°に亘って自由に調整できるので、任意の角度に一層細かく位置決めすることができる効果がある。しかも、取付け部3を標識柱本体1に取り付けた状態のまま、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を簡単に変更することもできる。
【0062】
また、ネジS2がストッパーとなって、表示板2がネジS1を中心に回転してしまうことはなく、悪戯防止を図ることもできる。表示板2、取付け部3のいずれにも出っ張る部位を設ける必要がないため、表示板2と取付け部3とが厚くなったり、大型化したりすることはない。
【0063】
なお、表示板2の取り付け角度の変更範囲を360°とする必要がない場合は、図示しないが、取付け部3の凹溝35は、円形状のものに代えて、1つの又は複数に分割された円弧状の凹溝としてもよい。
【0064】
また、この実施形態では、必ずしも表示板2と取付け部3とが完全に着脱可能な構成でなくてもよい。すなわち、ネジS1を用いる代わりに、図示しないが、表示板2と取付け部3とが、両者を貫通するピン等の軸部材によって、該軸部材を中心に回転可能となるように一体化されたものであってもよい。
【0065】
(表示板の取り付け構造の第5の実施形態)
次に、表示板2の取り付け構造の第5の実施形態について説明する。
【0066】
表示板2の取り付け構造の第5の実施形態は、
図10に示すように、取付け部3の取付け面3aの中央に正六角柱形状の凸部36を突出形成すると共に、この凸部36の中央にネジ穴33を形成し、一方の表示板2の背面に、凸部36が嵌合し得る正六角形状の凹部25を形成すると共に、この凹部25の中央にネジ穴22を形成したものである。
【0067】
この表示板2を取付け部3に取り付けるには、表示板2の凹部25内に取付け部3の凸部36を嵌合させた後、表示板2のネジ穴22と取付け部3のネジ穴33とに亘ってネジS1を貫挿させてネジ止めする。
【0068】
この構成によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られることに加え、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度(標識柱本体1の軸線に交差するネジS1の軸を中心とする回転方向の取り付け角度)を、凹部25と凸部36との嵌合によって、ネジS1の軸を中心として6つの角度に調整して位置決めすることができる効果がある。
【0069】
もちろん、凹部25と凸部36を正八角形等のように更に角数の多い正多角形状とすることによって、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を更に多くの角度に調整して位置決めすることができる。しかも、取付け部3を標識柱本体1に取り付けた状態のまま、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を簡単に変更することもできる。
【0070】
また、角柱形状の凸部36と凹部25とが嵌合するため、これがストッパーとなって、表示板2がネジS1を中心に回転してしまうことはなく、悪戯防止を図ることもできる。
【0071】
なお、表示板2の凹部25を取付け部3の取付け面3aに設け、取付け部3の凸部36を表示板2の背面に設けるようにしてもよい。
【0072】
(表示板の取り付け構造の第6の実施形態)
次に、表示板2の取り付け構造の第6の実施形態について説明する。
【0073】
表示板2の取り付け構造の第6の実施形態は、
図11に示すように、表示板2と取付け部3の取付け面3aに、それぞれネジ穴22、33のみを複数形成したものである。ここではそれぞれ4つのネジ穴22、33が、正方形の各頂点を形成するように配置されたものを例示している。
【0074】
この表示板2は、表示板2のネジ穴22と取付け部3のネジ穴33とに亘ってそれぞれネジS1を貫挿させてネジ止めすることによって取付け部3に取り付けられるが、同一のネジS1を貫挿させるネジ穴22、33の組み合わせを適宜選択することにより、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を調整することができる。このとき、表示板2は、標識柱本体1の軸線に交差し、且つ、各ネジ穴22(又は各ネジ穴33)から等距離にある仮想の軸Oを中心として回転方向の取り付け角度が調整される。
【0075】
この構成によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られることに加え、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を、ネジ穴22、33の数と同数の4つの角度から選択して位置決めすることができる効果がある。
【0076】
もちろん、ネジ穴22、33が正方形の各頂点ではなく、ネジ穴22、33の数を増やして正多角形状の各頂点を形成するように構成することにより、更に多角度により細かく調整して位置決めすることができる。しかも、取付け部3を標識柱本体1に取り付けた状態のまま、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を簡単に変更することもできる。
【0077】
この実施形態では、ネジS1は複数必要となるが、表示板2と取付け部3にはそれぞれネジ穴22、33を形成するだけの簡素な加工を施すだけで済む。
【0078】
(表示板の取り付け構造の第7の実施形態)
次に、表示板2の取り付け構造の第7の実施形態について説明する。
【0079】
表示板2の取り付け構造の第7の実施形態は、取付け部の構造が、以上説明した取付け部3とは異なっており、複数の部材に分割された取付け部4を用いたものである。
【0080】
図12に示す取付け部4は、内面が標識柱本体1の外周面と合致する円弧面となるように形成された2つの半割り部材41、41に分割されている。この取付け部4は表示板2と別体に形成されたものであり、表示板2がネジ穴22に貫挿されたネジS1によって取付け部4の一方の半割り部材41に着脱可能に取り付けられている。
【0081】
各半割り部材41、41は、標識柱本体1を間に挟むように配置され、該標識柱本体1の外周面に対してその両側からそれぞれ装着されている。そして、それらの端部同士を突き合わせた後、ネジ42、42によって固定されている。これにより、取付け部4は円筒状に形成され、標識柱本体1の外周面全周を取り囲んでいる。2つの半割り部材41、41によって構成される取付け部4の内径は、標識柱本体1の外径よりもやや小さく形成されており、これによって取付け部4は、標識柱本体1の外周面を締め付けるようにして取り付けられている。
【0082】
このような取付け部4によれば、標識柱本体1に
図3に示すような取り付けボルト32aを貫通させるための貫通穴を形成する必要がないため、取り付け作業が簡略化でき、貫通穴の形成に起因する標識柱本体1の強度低下の心配もない。しかも、標識柱本体1の任意の高さ位置に表示板2を取り付けることができる。
【0083】
例えば、
図13は、標識柱本体1の路面に近い低位置に「段差注意」の情報を表示させたホームベース型の表示板2を、斜め下方を指し示すように取り付けた場合を示している。このように標識柱本体1に貫通穴を形成することなく、表示板2を任意の高さ位置に取り付けることができるため、表示させる情報に応じて最適な取り付け位置を自由に選択して簡単に取り付けることができる。
【0084】
図13のように表示板2を標識柱本体1に取り付ける際、
図2、
図3に示した構造の取付け部3を用いることもできるが、
図12に示した取付け部4を用いれば、取り付け後に高さ方向及び周方向の取り付け位置を自由に変更することができる。
【0085】
また、取付け部4は標識柱本体1の外周面全周に亘っているので、標識柱本体1が、取付け部4が取り付けられている部位で弾性変形しにくくなることが懸念されるが、取付け部4は標識柱本体1の外周面全周を締め付けることから、取付け部4の幅(標識柱本体1の高さ方向の長さ)を小さくしても表示板2を安定して取り付けることができるようになるため、標識柱本体1の弾性変形機能を実質的に阻害するようなことはなく、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
しかも、取付け部4を構成する各半割り部材41、41として同一構造のものを使用すれば、部品管理が容易であり、製造コストを抑えることができると共に、
図14に示すように、各半割り部材41、41にそれぞれ表示板2をネジS1によって取り付けることができ、標識柱本体1に別途の取付け部を追加する必要なく、各表示板2の表面を相反する2方向に面するように配置させて表示を行うこともできる。
【0087】
なお、この取付け部4の半割り部材41と表示板2との取り付け構造にも、以上説明した第2〜第6の実施形態に示した取り付け構造と同じ構成を適用することにより、標識柱本体1に対する表示板2の取り付け角度を調整可能とすることができる。
【0088】
また、ここでは2つの半割り部材41、41に分割されるものを示したが、3つ以上の部材に分割されていてもよい。この場合、そのうちの少なくともいずれか一つの部材に表示板2が取り付けられるようにすればよい。
【0089】
更に、表示板2は一つの部材(半割り部材41)に一体成形されていてもよい。
【0090】
(表示板付き標識柱の他の実施形態)
図1、
図8に示した表示板付き標識柱Pは、標識柱本体1の高さ方向に沿って高さを異
ならせて、同一形状の2枚の表示板2を取り付けたものを例示したが、表示板2は取付け
部3、4を利用して簡単に取り付けることができるため、表示板2を標識柱本体1に3枚
以上取り付けることも容易に可能である。また、同一形状の表示板2の組み合わせに限ら
ず、異なる形状の表示板2を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0091】
図15は、1本の標識柱本体1の高さ方向に、ホームベース形状の2枚の表示板2Aと、円形状の1枚の表示板2Bとを、高さをそれぞれ異ならせて取り付けた表示板付き標識柱Pを示している。これによって、より多くの情報を表示することができる。しかも、図示するように、文字情報と図形情報とを併用することもできるため、歩行者やドライバー等に対する注意喚起効果及び視覚誘導効果を高めることもできる。
【0092】
このように標識柱本体1に複数枚の表示板2を取り付ける場合、特に
図12、
図14に示した取付け部4を用いると、標識柱本体1に、
図3に示した取り付けボルト32aを貫通させるための貫通穴を形成する必要がなく、標識柱本体1の任意の高さにそれぞれ簡単に取り付けることができるために好ましい。
【0093】
また、この他、標識柱本体1に複数の表示板2を取り付ける場合、図示しないが、板状体からなる表示板と棒状体からなる表示板とを組み合わせて用いるようにしてもよい。