【実施例】
【0089】
[製造例1]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液の製造
反応性モノマー混合物として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタインとメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルとの混合物を、次のようにして調製した。
【0090】
冷却管、温度計、ガス導入管および撹拌機を備えた10L容量の反応容器に、800質量部のエタノールを仕込み、撹拌しながら30分間窒素ガスを通気させた後、320質量部の水酸化カリウムを投入して30分間加熱還流状態を維持した。次いで、反応容器にモノクロロ酢酸756.8部を400質量部のエタノールに溶解させた溶液を滴下することで、モノクロロ酢酸カリウムを調製した。滴下中は、中和による発熱を適宜取り除くことで、反応容器内温度を60℃に調節した。得られたモノクロロ酢酸カリウム溶液に1264質量部のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを投入してから、空気ガスを通気しながら5時間還流状態を維持し、続いて冷却しながら147.2質量部の水酸化カリウムを投入し、30分間熟成させた。これにより得られたスラリー状の溶液から濾過によって副生成物の塩化カリウムおよび未反応のモノクロロ酢酸カリウムを除去してから、反応性モノマー混合物の含有量が50質量%となるようにエタノールで希釈することで、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液を得た。
【0091】
また、ガスクロマトグラフィーによって未反応のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを定量することで、反応効率を算出した結果、65モル%のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルがN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタインに変換したことがわかった。
【0092】
[製造例2]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
冷却管、温度計、ガス導入管および撹拌機を備えた1L容量の反応容器に、製造例1で得られたN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)200質量部を仕込み、窒素ガスを30分間通気したのち、加熱還流状態を維持しながら0.5質量部の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを投入し、還流状態で4時間熟成させることで重合反応を進行させた。次いで、反応容器内の溶液から溶媒を留去するとともに、この反応溶液内に水とエタノールを加えることで溶液中の溶媒含有量を調整し、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は530,000であった。
【0093】
[製造例3]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:50/50)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)161質量部、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル19.5質量部、及びエタノール19.5質量部の混合物を使用した。
【0094】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:50/50)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は550,000であった。
【0095】
[製造例4]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:35/65)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)118.2質量部、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル40.9質量部、及びエタノール40.9質量部の混合物を使用した。
【0096】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:35/65)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は570,000であった。
【0097】
[製造例5]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:20/80)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)71.0質量部、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル64.5質量部、及びエタノール64.5質量部の混合物を使用した。
【0098】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:20/80)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は580,000であった。
【0099】
[製造例6]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:80/20)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン(未反応物と溶媒が除去された精製固体)84.6質量部とメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル15.4質量部、及びエタノール100質量部の混合物を使用した。
【0100】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:80/20)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は510,000であった。
【0101】
[製造例7]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)160質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部、及びエタノール20質量部の混合物を使用した。
【0102】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は540,000であった。
【0103】
[製造例8]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)168質量部、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(有効成分80質量%の水溶液)20質量部、及びエタノール12質量部の混合物を使用した。
【0104】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は580,000であった。
【0105】
[製造例9]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)160質量部、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア(有効成分50質量%の水溶液)40質量部の混合物を使用した。
【0106】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は580,000であった。
【0107】
[製造例10]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合物(製造例1の混合溶液から溶媒が除去された粘性液体)100質量部とエタノール15質量部との混合物を使用し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部に代えて、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を使用した。
【0108】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は1,000,000であった。
【0109】
[製造例11]:N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド混合溶液の製造
製造例1において、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル1264質量部に代えて、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド1369質量部を使用した。
【0110】
それ以外は製造例1と同じ条件で合成を行い、N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド混合溶液を得た。
【0111】
ガスクロマトグラフィーによって未反応のN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドを定量することで、反応効率を算出した結果、65モル%のN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドがN−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタインに変換したことがわかった。
【0112】
[製造例12]:N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、製造例11で得たN−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド混合溶液(不飽和単量体として50質量%)200部を使用した。
【0113】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は490,000であった。
【0114】
[製造例13]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位割合65モル%、第二構成単位割合35モル%)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合物(製造例1の混合溶液から溶媒が除去された粘性液体)100質量部とエタノール5質量部との混合物を使用し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部に代えて、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05質量部を使用した。
【0115】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は1,400,000であった。
【0116】
[比較製造例1]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位割合100モル%)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン(未反応物と溶媒が除去された精製固体)100質量部とエタノール100質量部との混合物を使用した。
【0117】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位割合100モル%)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は500,000であった。
【0118】
[比較製造例2]:メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル重合体(第二構成単位割合100モル%)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル100質量部とエタノール100質量部との混合物を使用した。
【0119】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル重合体(第二構成単位割合100モル%)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は、前記製造例の重合体と同じ条件では測定することができなかった。
【0120】
各製造例及び比較製造例における原料であるエチレン性不飽和単量体の組成を、下記表1及び表2に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
[洗浄用化粧料の性能評価]
表2〜5に示す成分を配合して評価用ハンドソープを調整し、評価用ハンドソープをポンプフォーマーで吐出することで1.5gの泡を作成した。この泡を用いて、五人の被験者が手を洗浄した際の感触(泡立ち性、泡の厚み、すすぎ時の滑らかさ)を、以下に示す基準で評価した。また、製剤の安定性を以下に示す方法で評価した。
【0124】
(1)泡立ち性:泡立ちが良好なほど高い点数となるように、1〜5点の5段階で評価した。
【0125】
(2)泡の厚み:泡の厚み感が良好に感じられるほど高い点数となるように、1〜5点の5段階で評価した。
【0126】
(3)すすぎ時の滑らかさ:肌の滑らかに感じられるほど高い点数となるように、1〜5点の5段階で評価した。
【0127】
上記(1)〜(3)の評価項目ごとに5人の被験者の評価の平均点を算出し、その結果を次のように評価した。評価結果を表1〜4に示す。
A:4.5点以上5点以下。
B:3.5点以上4.5点未満。
C:2.5点以上3.5点未満。
D:1.5点以上2.5点未満。
E:1.5点未満。
【0128】
(4)製剤の安定性:評価用ハンドソープを50℃の環境下において30日間保存した後の製剤の状態を以下の基準に基づき目視で評価した。評価結果を表3〜6に示す。
○:状態変化しなかった。
×:状態変化(凝集・析出等)が起こった。
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
上記表に示すように、第一構成単位及び第二構成単位を備える製造例2の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例1〜6の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例1の洗浄用化粧料と比べて、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。ジカルボン酸としてグルタミン酸以外の化合物を含有する実施例7〜9の洗浄用化粧料を使用した場合も、実施例5の場合と同様に泡の質が改善された
一方、製造例2の重合体とモノカルボン酸である酢酸とを含有する比較例2の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸とモノカルボン酸のいずれも含有しない比較例1の洗浄用化粧料に対して性能の改善が認められなかった。
【0134】
また、製造例2の重合体とトリカルボン酸であるクエン酸とを含有する比較例3の洗浄用化粧料を使用した場合、性能の改善は認められたが、製剤の安定性が著しく損なわれた。
【0135】
第一構成単位及び第二構成単位を製造例2とは異なる割合で備える製造例3〜6の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例10〜13の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例4〜7の洗浄用化粧料と比べ、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
第一構成単位及び第二構成単位に加えて、これら以外の不飽和単量体を含む製造例7〜9の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例14〜16の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例8〜10の洗浄用化粧料と比べ、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0136】
重量平均分子量を増大させた製造例10の重合体と、ジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例17の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例11の洗浄用化粧料と比べ、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0137】
製造例2の重合体とは異なる構造の第一構成単位及び第二構成単位を備える製造例12の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例18の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例12の洗浄用化粧料と比べて、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0138】
また、重量平均分子量を1,000,000よりも増大させた製造例13の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例19の洗浄用化粧料を用いた場合は、ジカルボン酸を含有しない比較例17の洗浄用化粧料と比べ、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0139】
一方、第二構成単位を備えない比較製造例1の重合体とグルタミン酸とを含有する比較例14の洗浄用化粧料を使用した場合、グルタミン酸を含有しない比較例13の洗浄用化粧料に対して性能の改善は認められなかった。
【0140】
尚、第一構成単位を備えない比較製造例2の重合体を含有する比較例15の洗浄用化粧料を用いた場合は、重合体を含有しない比較例18の洗浄用化粧料と比べて、性能の差は認められず、また比較例16のようにグルタミン酸を配合しても性能の改善は認められなかった。
【0141】
[毛髪洗浄用化粧料の性能評価]
表7に示す成分を配合してヘアシャンプーを調製し、被験者がこのヘアシャンプーを用いて毛束を洗浄した際の感触、泡立ち性を評価した。
【0142】
その結果、第一構成単位と第二構成単位とを備える製造例2の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例20のヘアシャンプーを用いると、ジカルボン酸を含有しない比較例19のヘアシャンプーを用いた場合と比べて、すすぎ時の毛束の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性に優れていた。
【0143】
【表7】
【0144】
[肌用化粧料の性能評価]
表8に示す成分を配合してO/Wクリームを調整し、被験者がこのO/Wクリームを顔面に塗布した際の感触を評価した。
【0145】
その結果、第一構成単位と第二構成単位とを備える製造例3の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例21のO/Wクリームを用いると、ジカルボン酸を含有しない比較例20のO/Wクリームを用いた場合と比べてつっぱらずに良好なハリ感を与え、べたつきが少なく、使用後の肌の保湿感にも優れていた。
【0146】
【表8】
【0147】
[毛髪用化粧料の性能評価]
表9に示す成分を配合してヘアスタイリングフォームを調整し、被験者がこのヘアスタイリングフォームを容器から吐出させて作成した泡の弾力性と、この泡で毛束を整髪した際の感触を評価した。
【0148】
その結果、第一構成単位と第二構成単位とを備える製造例2の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例22のヘアスタイリングフォームを用いると、ジカルボン酸を含有しない比較例21のヘアスタイリングフォームを用いた場合と比べて泡の弾力性及びスタイリング性に優れていた。
【0149】
【表9】