特許第6448079号(P6448079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6448079
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20181220BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20181220BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20181220BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20181220BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20181220BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20181220BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20181220BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/44
   A61K8/362
   A61Q19/10
   A61Q5/02
   A61Q19/00
   A61Q5/06
   A61K8/365
【請求項の数】14
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-122147(P2014-122147)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-3185(P2016-3185A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166683
【氏名又は名称】互応化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】阿部 峰大
(72)【発明者】
【氏名】松村 正人
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−087946(JP,A)
【文献】 特開2005−042049(JP,A)
【文献】 特開2000−302649(JP,A)
【文献】 特開平10−286451(JP,A)
【文献】 特開2011−037759(JP,A)
【文献】 特開2013−253057(JP,A)
【文献】 特開2002−114642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
C08F 220/00−220/70
C08L 33/00− 33/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表わされる第一構成単位及び下記式(2)で表される第二構成単位を備える共重合体(A)と、
ジカルボン酸(B)とを含有し、
前記ジカルボン酸(B)が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有する化粧料組成物、
【化1】
【化2】
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示し、
式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【請求項2】
下記式(1)で表わされる第一構成単位及び下記式(2)で表される第二構成単位を備える共重合体(A)と、
ジカルボン酸(B)とを含有し、
前記ジカルボン酸(B)が、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有する化粧料組成物、
【化3】
【化4】
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示し、
式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【請求項3】
洗浄用化粧料である請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
肌用化粧料である請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
毛髪用化粧料である請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
下記式(1)で表わされる第一構成単位及び下記式(2)で表される第二構成単位を備える共重合体(A)と、
ジカルボン酸(B)とを含有し、
洗浄用化粧料である化粧料組成物、
【化5】
【化6】
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示し、
式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【請求項7】
下記式(1)で表わされる第一構成単位及び下記式(2)で表される第二構成単位を備える共重合体(A)と、
ジカルボン酸(B)とを含有し、
肌用化粧料である化粧料組成物、
【化7】
【化8】
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示し、
式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【請求項8】
前記ジカルボン酸(B)が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有する請求項6又は7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記ジカルボン酸(B)が、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有する請求項6又は7に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記第二構成単位に対する前記第一構成単位のモル比の値が、2/8〜8/2の範囲内である請求項1から9のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記共重合体(A)の重量平均分子量が、100,000〜1,000,000の範囲内である請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記ジカルボン酸(B)の分子量が、90〜250の範囲内である請求項1から11のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
前記共重合体(A)に対する前記ジカルボン酸(B)の割合が、0.1〜10質量%の範囲内である請求項1から12のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
前記化粧料組成物が、ノニオン性、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関し、詳しくはハンドソープ、ボディソープ、ヘアシャンプー等の洗浄用化粧料、保湿クリーム、ファンデーション等の肌用化粧料、及びヘアスタイリングフォーム等の毛髪用化粧料として好適な化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アニオン性、カチオン性、両性、或いはノニオン性のエチレン性不飽和単量体を重合することで得られる重合体が、化粧料の添加剤や基剤として使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、両性のエチレン性不飽和単量体を含むモノマーを重合させて得られる重合体を、保湿剤に含有させることが開示されている。
【0004】
化粧料の添加剤や基剤としての重合体には、優れた泡立ち性や優れた皮膜形成能力等の性能が求められる。そのためには、重合体の分子量を増大させることが効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−37759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、重合体の分子量を増大させると、例えば重合体をハンドソープ、ボディソープ、ヘアシャンプーなどの洗浄用化粧料に配合した場合、洗浄用化粧料をすすぎ落としにくくなったり、すすぎの際や仕上がり後の毛髪又は肌にきしみ感が生じたりすることがある。また、重合体を保湿クリームなどの肌用化粧料に配合した場合も、肌にきしみ感や過度のつっぱり感が生じたりすることがある。また、重合体をヘアスタイリングフォームなどの毛髪用化粧料に配合した場合も、毛髪用化粧料を洗い落としにくくなることがある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、化粧料の基剤である重合体の分子量を実際に増大させることなく、泡立ち性の向上、皮膜形成能の向上などといった、重合体の分子量が増大した場合の利点を生じさせることができる化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る化粧料組成物は、下記式(1)で表わされる第一構成単位及び下記式(2)で表される第二構成単位を備える共重合体(A)と、
ジカルボン酸(B)とを含有し、
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示し、
式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【0012】
前記第二構成単位に対する前記第一構成単位のモル比の値が、2/8〜8/2の範囲内であることが好ましい。
【0013】
前記ジカルボン酸(B)が、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することが好ましい。
【0014】
前記ジカルボン酸(B)が、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することが好ましい。
【0015】
前記共重合体(A)に対する前記ジカルボン酸(B)の割合が、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
【0016】
前記化粧料組成物が、ノニオン性、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0017】
本発明に係る化粧料組成物は、例えば洗浄用化粧料である。
【0018】
本発明に係る化粧料組成物は、肌用化粧料であってもよい。
【0019】
本発明に係る化粧料組成物は、毛髪用化粧料であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、すすぎ落としにくさ、洗い落としにくさ、並びに毛髪又は肌のきしみ感、過度のつっぱり感という不利益の発生を抑制しながら、化粧料組成物の泡立ち性又は皮膜形成能を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る化粧料組成物について説明する。本実施形態に係る化粧料組成物は、共重合体(A)とジカルボン酸(B)とを含有する。
【0022】
共重合体(A)は、下記式(1)で表わされる第一構成単位及び下記式(2)で表される第二構成単位を備える。
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【0026】
式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜2のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【0027】
化粧料組成物は、共重合体(A)とジカルボン酸(B)とを含有するため、化粧料組成物は共重合体(A)中の第一構成単位によって、洗浄用化粧料に適用した際の泡立ち性を改善し、洗浄時の滑らかさを付与することができる。また、側鎖構造に起因する分子間力の強さから皮膜形成能が高くなり、肌用化粧料に適用した際に適度なハリ感を与え、毛髪化粧料に適用した際に、良好な整髪性を与えることができる。
【0028】
更に、化粧料組成物は、泡立ち性の向上、皮膜形成能の向上などといった重合体の分子量が増大した場合と同じ利点を有する。すなわち、化粧料組成物の泡立ち性又は皮膜形成能は、共重合体(A)の実際の分子量から予測される泡立ち性又は皮膜形成能よりも高くなる。それにもかかわらず、化粧料組成物には、すすぎ落としにくさ、洗い落としにくさ、皮膜の保持力の低さ、並びに毛髪又は肌のきしみ感、過度のつっぱり感の発生という重合体の分子量が増大した場合に生じる不利益が生じにくい。尚、皮膜の保持力とは、化粧料組成物から形成される皮膜と肌及び毛髪との間の密着力のことである。
【0029】
泡立ち性の向上、皮膜形成能の向上などの作用は、化粧料組成物内で共重合体(A)中の第二構成単位におけるアミノ基とジカルボン酸(B)におけるカルボキシル基との間の相互作用により、擬似的な架橋構造が形成されることに起因すると考えられる。また、すすぎ落としにくさ、洗い落としにくさ、並びに毛髪又は肌のきしみ感、過度のつっぱり感の発生という不利益が生じにくいことは、リニア状に重合体の分子量を増大させた場合と異なり、擬似的な架橋構造によって分子量を増大させることで球状構造をとりやすくなるためと考えられる。更には、共有結合による架橋構造と比べ、擬似的な架橋構造におけるアミノ基とカルボキシル基との相互作用が弱く、この擬似的な架橋構造が適度に解消されるためであると考えられる。
【0030】
化粧料組成物中の成分について更に詳しく説明する。
【0031】
共重合体(A)は、第一構成単位及び第二構成単位のみを備えてもよく、第一構成単位及び第二構成単位に加えてこれら以外の構成単位を備えてもよい。
【0032】
第二構成単位に対する第一構成単位のモル比の値が、20/80〜80/20の範囲内であることが好ましい。この値が20/80以上であると、上述した第一構成単位に起因する性能が充分に発揮される。この値が80/20以下であると、上述した第二構成単位とジカルボン酸(B)との相互作用による疑似的架橋構造が充分に形成される。モル比の値が35/65〜65/35の範囲内であれば、更に好ましい。
【0033】
共重合体(A)が第一構成単位及び第二構成単位以外の構成単位を備える場合、共重合体(A)中の全構成単位に対する、第一構成単位及び第二構成単位の合計の割合が、50〜100モル%の範囲内であることが好ましい。
【0034】
共重合体(A)は、第一構成単位及び第二構成単位以外の構成単位として、例えば各種のアニオン性不飽和単量体、カチオン性不飽和単量体、ノニオン性不飽和単量体、及びこれら以外のエチレン性不飽和単量体からなる群から選ばれる一種以上の単量体に由来する構成単位を備えることができる。
【0035】
アニオン性不飽和単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸;(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸;ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体;(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のリン酸基含有不飽和単量体;等が挙げられる。
【0036】
カチオン性不飽和単量体の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩;(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩;ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩基含有不飽和単量体;等が挙げられる。
【0037】
ノニオン性不飽和単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸プ口ピル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸へプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の直鎖状、分岐鎖状又は脂環式の炭化水素基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニル;スチレン;ビニルピロリドン;アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド等の直鎖状、分岐鎖状又は脂環式の炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸のエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の前記ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類の水酸基末端がアルキルエーテル化された不飽和単量体;(メタ)アクリル酸グリセリル、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア等の単官能不飽和単量体;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能不飽和単量体;等が挙げられる。
【0038】
共重合体(A)は、例えばエチレン性不飽和単量体(a)を重合させることで得られる。この場合、エチレン性不飽和単量体(a)は、下記式(11)に示す第一の単量体(a1)と下記式(21)に示す第二の単量体(a2)とを含有することが好ましい。エチレン性不飽和単量体(a)が第一の単量体(a1)を含有すると、共重合体(A)中に第一構成単位が形成される。また、エチレン性不飽和単量体(a)が第二の単量体(a2)を含有すると、共重合体(A)中に第二構成単位が形成される。
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】
式(11)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【0042】
式(21)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Aは酸素原子又はNHを示す。
【0043】
共重合体(A)が第一構成単位及び第二構成単位以外の構成単位を備える場合、エチレン性不飽和単量体(a)は、第一の単量体(a1)及び第二の単量体(a2)に加えて第一の単量体(a1)及び第二の単量体(a2)以外の単量体を含有してもよい。第一の単量体(a1)及び第二の単量体(a2)以外の単量体としては、上述の各種のアニオン性不飽和単量体、カチオン性不飽和単量体、ノニオン性不飽和単量体、及びこれら以外のエチレン性不飽和単量体からなる群から選ばれる一種以上の単量体が挙げられる。
【0044】
第二の単量体(a2)に対する第一の単量体(a1)のモル比の値が、20/80〜80/20の範囲内であることが好ましい。
【0045】
エチレン性不飽和単量体(a)が第一の単量体(a1)及び第二の単量体(a2)以外の構成単位を備える場合、エチレン性不飽和単量体(a)全体に対する第一の単量体(a1)及び第二の単量体(a2)の合計の割合が、50〜100モル%の範囲内であることが好ましい。
【0046】
エチレン性不飽和単量体(a)を用意するにあたり、第二の単量体(a2)を用意し、この第二の単量体(a2)の一部を両性化することで、第一の単量体(a1)と第二の単量体(a2)とを含有するエチレン性不飽和単量体(a)を得てもよい。両性化は適宜の手法でなされる。例えば第二の単量体(a2)を含む親水性溶媒溶液を攪拌しながら、この溶液に両性化剤を含む液(水溶液、親水性溶媒溶液、懸濁液等)を滴下し、続いてこの溶液を70〜95℃で2〜10時間加熱することで第二の単量体(a2)の一部を両性化することができる。両性化剤として、X−R3−COOH(Xはハロゲン原子)で示される化合物、この化合物のアルカリ金属塩等が挙げられる。アルカリ金属塩が使用される場合、両性化により副次的に生成する塩は必要に応じて濾過、イオン交換、電気透析等の適宜の手法で除去される。
【0047】
エチレン性不飽和単量体(a)の重合方法は特に制限されず、公知の種々の方法が採用され得る。特にエチレン性不飽和単量体(a)を親水性溶媒中又は水と親水性溶媒とを含む混合溶媒中でラジカル重合させることが好ましい。重合法としては、例えば溶液重合法、乳化重合法等が採用され得る。共重合体(A)は、ブロック共重合体であってもグラフト共重合体であってもよい。
【0048】
親水性溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール等の低級アルコール;アセトン等の低級ケトン;等が挙げられる。これらの溶媒のうち一種のみが用いられても、二種以上が併用されてもよい。
【0049】
エチレン性不飽和単量体(a)の重合にあたって、重合開始剤が使用されることも好ましい。重合開始剤としては特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物;過硫酸カリウム;過硫酸アンモニウム;過酸化水素水;等が挙げられる。
【0050】
エチレン性不飽和単量体(a)を重合させる際の反応温度はエチレン性不飽和単量体(a)の組成、重合開始剤の種類、溶媒の種類などに依存するが、20〜200℃の範囲内が好ましい。反応時間はエチレン性不飽和単量体(a)の組成、重合開始剤の種類、溶媒の種類などに依存するが、2〜24時間の範囲内であることが好ましい。
【0051】
第二の単量体(a2)を含有するエチレン性不飽和単量体(a)を重合することで第二構成単位を備える中間体を合成し、この中間体中の第二構成単位の一部を両性化することで共重合体(A)を得てもよい。両性化は適宜の手法でなされる。例えば中間体を含む親水性溶媒溶液を攪拌しながら、この溶液に両性化剤を含む液(水溶液、親水性溶媒溶液、懸濁液等)を滴下し、続いてこの溶液を70〜95℃で2〜10時間加熱することで第二構成単位の一部を両性化することができる。
【0052】
共重合体(A)の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーの測定による蛋白質換算の重量平均分子量として100,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。この重量平均分子量が1,000,000以下であることで、洗浄用化粧料のすすぎの際や仕上がり後のきしみ感を抑制することができるとともに、肌用化粧料の過度のつっぱり感を抑制し、肌用化粧料や毛髪用化粧料の皮膜の保持力を高めることができる。また、この重量平均分子量が100,000以上であることで、洗浄用化粧料の優れた泡立ち性を充分に得ることができるとともに、肌用化粧料や毛髪用化粧料の皮膜形成能を高めることができる。共重合体(A)の重量平均分子量が150,000〜900,000の範囲内であれば更に好ましい。
【0053】
本実施形態に係る化粧料組成物中のジカルボン酸(B)は、一分子中に二つのカルボキシル基を備える化合物であればよい。
【0054】
ジカルボン酸(B)の分子量が、90〜250の範囲内であることが好ましい。分子量が90以上の場合、一分子中に二つのカルボキシル基を備えることができる。分子量が250以下の場合、ジカルボン酸(B)の水溶性が適度に保持されるため、化粧料組成物中において親水性である共重合体(A)とジカルボン酸(B)との親和性が向上し、共重合体(A)とジカルボン酸(B)との間に充分な相互作用が生じる。
【0055】
ジカルボン酸(B)が、特にアスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することが好ましい。これらの化合物は、生体適合性を有するため、化粧料組成物の肌や毛髪への親和性が高くなり、化粧料組成物が使用された場合に肌などに良好な感触が得られる。更に、これらの化合物は、天然保湿因子でもあるため、化粧料組成物に保湿性を付与することもできる。
【0056】
また、ジカルボン酸(B)が、特にシュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有することも好ましい。これらの化合物は、化粧品原料として使用可能であるため、化粧料組成物に配合されても生体への危険性の懸念が少ない。
【0057】
共重合体(A)に対するジカルボン酸(B)の割合は、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。この割合が0.1質量%以上であると、化粧料組成物の泡立ち性又は皮膜形成能が特に優れる。また、この割合が10質量%以下であると、化粧料組成物の安定性が阻害されないため、共重合体(A)及び他の成分の析出や凝集を防ぐことができる。この割合が0.2〜5質量%の範囲内であれば、更に好ましい。
【0058】
化粧料組成物は、ノニオン性、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を含有することが好ましい。
【0059】
ノニオン性界面活性剤としては化粧料用途に適用可能であれば特別な制限はないが、例えばポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤、モノあるいはジエタノールアミド型ノニオン性界面活性剤、糖系ノニオン性界面活性剤、グリセリン系ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0060】
ポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤には、一種類のポリオキシアルキレンが付加しているタイプと二種類以上のポリオキシアルキレンが付加しているタイプとがある。具体的には、前者として、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられ、後者として、例えばポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。
【0061】
モノあるいはジエタノールアミド系ノニオン性界面活性剤としては、例えばラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0062】
糖系ノニオン性界面活性剤としては、例えば糖エーテル系であるアルキルサッカライド系、糖アミド系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ショ糖脂肪酸エステル系などが挙げられる。糖アミド系ノニオン性界面活性剤として、より具体的には、例えばN−メチルラウリルグルカミドなどのN−メチルアルキルグルカミド等が挙げられ、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤として、より具体的には、例えばモノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤として、より具体的には、例えばラウリン酸ショ糖エステル、ショ糖モノステアレート、POPショ糖モノラウレートなどが挙げられる。
【0063】
グリセリン系ノニオン性界面活性剤としては、例えばセスキオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレートなどのモノグリセリン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤、モノイソステアリン酸ポリグリセリル等の脂肪酸エステル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤、ポリグリセリル・ポリオキシブチレンステアリルエーテルなどのアルキルエーテル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0064】
カチオン性界面活性剤としては化粧料用途に適用可能であれば特別な制限はないが、例えば塩化アルキルトリメチルアンモニウム類、臭化アルキルトリメチルアンモニウム類、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0065】
塩化アルキルトリメチルアンモニウム類としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0066】
臭化アルキルトリメチルアンモニウム類としては、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0067】
アニオン性界面活性剤としては化粧料用途に適用可能であれば特別な制限はないが、例えば高級脂肪酸塩型界面活性剤、スルホン酸塩型界面活性剤、硫酸エステル塩型界面活性剤、アルキルリン酸エステル塩型界面活性剤が挙げられる。
【0068】
高級脂肪酸塩型界面活性剤としては、例えばC12〜C18の飽和又は不飽和脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などの塩(カリウム塩(カリ石ケン素地)、ナトリウム塩(石ケン素地)、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩など)などの脂肪酸石けん;アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えばラウリン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルメチル−β−アラニントリエタノールアミン等が挙げられる。尚、化粧料組成物に脂肪酸石けんを含有させるにあたっては、脂肪酸石けんそのものが化粧料組成物に配合されても良いし、化粧料組成物中に脂肪酸とアルカリがそれぞれ別々に配合されて化粧料組成物中で中和されてもよい。
【0069】
スルホン酸塩型界面活性剤としては、例えばN−アシルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えばN−ココイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
【0070】
硫酸エステル塩型界面活性剤としては、例えば高級アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
【0071】
アルキルリン酸エステル塩型界面活性剤としては、例えばモノラウリルリン酸トリエタノールアミン、モノラウリルリン酸ジカリウム等が挙げられる。
【0072】
両性界面活性剤としては化粧料用途に適用可能であれば特別な制限はないが、例えばイミダゾリン型(アミドアミン型)、アミドアミノ酸塩、カルボベタイン型(アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン)等のカルボン酸型両性界面活性剤、スルホベタイン型(アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン)、ホスホベタイン型、アシル第3級アミンオキサイド、アシル第3級ホスフォンオキサイド等が挙げられる。
カルボン酸型両性界面活性剤としては、より具体的には、イミダゾリン型として、例えばヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど;アルキルベタインとして、例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど;アルキルアミドベタインとして、例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
アルキルスルホベタインとして、例えばヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなどが挙げられる。アルキルヒドロキシスルホベタインとして、例えばラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0073】
ホスホベタイン型として、例えばラウリルヒドロキシホスホベタイン等が挙げられる。アシル第3級アミンオキサイドとしては、例えばラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。
【0074】
アシル第3級ホスフォンオキサイドとしては、例えばラウリルジメチルホスフォンオキサイド等が挙げられる。
【0075】
尚、本実施形態において、ジカルボン酸(B)に代えてトリカルボン酸等の三官能以上の多官能カルボン酸が使用されると、化粧料組成物の酸性度が過度に高くなるため、化粧料組成物が極めて不安定となり、その結果、化粧料組成物中の共重合体(A)等の成分が析出したり凝集したりするおそれがある。また、三官能以上の多官能カルボン酸が使用されると、疑似架橋構造が過剰に形成されることで、使用者が毛髪や肌のきしみ感を感じたり、化粧料組成物から形成される皮膜の保持力が低下したりするおそれがある。
【0076】
化粧料組成物は、その具体的な用途に応じて溶剤、分散安定剤、防腐剤、光安定剤など、公知の添加剤を更に含有してもよい。
【0077】
化粧料組成物は、例えば肌用化粧料として調製される。肌用化粧料とは、例えば液状ファンデーション、クリームファンデーション等のメーキャップ用化粧料、又は保湿美容液、乳液、保湿クリーム等のスキンケア化粧料である。
【0078】
化粧料組成物が肌用化粧料として調製されると、肌用化粧料の皮膜形成能が向上する。このため、過度につっぱることなく肌のハリ感が向上すると共にべたつきが低減する。更に、肌用化粧料が水分を取り込みやすくなり、肌用化粧料の保湿性が向上する。
【0079】
メーキャップ用化粧料は、例えば、体質顔料、色剤(着色顔料)、パール剤、ラメ剤、油分、ワックス、保湿剤等を含有することができる。スキンケア化粧料は、例えば多価アルコール類、植物油、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、乳化剤、保湿剤、アルカリ剤、増粘剤、着色剤、香料などを含有することができる。
【0080】
肌用化粧料中の共重合体(A)及びジカルボン酸(B)の合計量の割合は、例えば0.01〜30質量%の範囲内である。この割合は0.1〜20質量%の範囲内でもよく、0.5〜15質量%の範囲内でもよい。
【0081】
化粧料組成物は、毛髪用化粧料として調製されてもよい。毛髪用化粧料とは、例えばヘアスプレー剤、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアローション、ノンガスエアゾール剤(ヘアミスト剤)、ヘアスタイリングフォーム(ヘアムース)、カーラーウォーター、又はヘアトリートメントである。
【0082】
化粧料組成物が毛髪用化粧料として調製されると、特に毛髪用化粧料がヘアスタイリングフォームなどの泡状の製剤である場合、毛髪用化粧料の泡の量や泡の保持力が向上する。すなわち毛髪用化粧料から形成される泡の質が改善する。それにもかかわらず、皮膜の保持力の低下や毛髪用化粧料を洗い落としにくくなるということは起こらない。
【0083】
毛髪用化粧料は、例えば多価アルコール、界面活性剤、シリコーン、紫外線防止剤、酸化防止剤、毛髪栄養剤等の種々の添加剤を含有することができる。
【0084】
毛髪用化粧料中の共重合体(A)及びジカルボン酸(B)の合計量の割合は、例えば0.01〜30質量%の範囲内である。この割合は、0.1〜20質量%の範囲内でもよく、1〜15質量%の範囲内でもよい。
【0085】
化粧料組成物は、洗浄用化粧料として調製されてもよい。洗浄用化粧料とは、例えばハンドソープ、ボディソープ又はヘアシャンプー等である。
【0086】
化粧料組成物が洗浄用化粧料として調製されると、洗浄用化粧料の泡立ちの速さ、泡の量、及び泡の厚み感が向上する。すなわち洗浄用化粧料から形成される泡の質が改善する。しかも、洗浄用化粧料をすすぎ落としやすくなる。更に、洗浄用化粧料で洗浄された毛髪及び肌にきしみ感が生じにくくなる。
【0087】
洗浄用化粧料は、例えば脂肪酸石けん、界面活性剤、油分、ラノリン誘導体、蛋白質誘導体、水溶性高分子化合物、アクリル樹脂分散液、ビタミン、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料等を含有してもよい。
【0088】
洗浄用化粧料中の共重合体(A)及びジカルボン酸(B)の合計量の割合は、例えば0.01〜10質量%の範囲内である。この割合は0.05〜5質量%の範囲内でもよく、0.1〜1質量%の範囲内でもよい。
【実施例】
【0089】
[製造例1]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液の製造
反応性モノマー混合物として、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタインとメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルとの混合物を、次のようにして調製した。
【0090】
冷却管、温度計、ガス導入管および撹拌機を備えた10L容量の反応容器に、800質量部のエタノールを仕込み、撹拌しながら30分間窒素ガスを通気させた後、320質量部の水酸化カリウムを投入して30分間加熱還流状態を維持した。次いで、反応容器にモノクロロ酢酸756.8部を400質量部のエタノールに溶解させた溶液を滴下することで、モノクロロ酢酸カリウムを調製した。滴下中は、中和による発熱を適宜取り除くことで、反応容器内温度を60℃に調節した。得られたモノクロロ酢酸カリウム溶液に1264質量部のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを投入してから、空気ガスを通気しながら5時間還流状態を維持し、続いて冷却しながら147.2質量部の水酸化カリウムを投入し、30分間熟成させた。これにより得られたスラリー状の溶液から濾過によって副生成物の塩化カリウムおよび未反応のモノクロロ酢酸カリウムを除去してから、反応性モノマー混合物の含有量が50質量%となるようにエタノールで希釈することで、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液を得た。
【0091】
また、ガスクロマトグラフィーによって未反応のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを定量することで、反応効率を算出した結果、65モル%のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルがN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタインに変換したことがわかった。
【0092】
[製造例2]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
冷却管、温度計、ガス導入管および撹拌機を備えた1L容量の反応容器に、製造例1で得られたN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)200質量部を仕込み、窒素ガスを30分間通気したのち、加熱還流状態を維持しながら0.5質量部の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを投入し、還流状態で4時間熟成させることで重合反応を進行させた。次いで、反応容器内の溶液から溶媒を留去するとともに、この反応溶液内に水とエタノールを加えることで溶液中の溶媒含有量を調整し、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は530,000であった。
【0093】
[製造例3]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:50/50)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)161質量部、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル19.5質量部、及びエタノール19.5質量部の混合物を使用した。
【0094】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:50/50)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は550,000であった。
【0095】
[製造例4]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:35/65)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)118.2質量部、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル40.9質量部、及びエタノール40.9質量部の混合物を使用した。
【0096】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:35/65)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は570,000であった。
【0097】
[製造例5]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:20/80)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)71.0質量部、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル64.5質量部、及びエタノール64.5質量部の混合物を使用した。
【0098】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:20/80)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は580,000であった。
【0099】
[製造例6]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:80/20)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン(未反応物と溶媒が除去された精製固体)84.6質量部とメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル15.4質量部、及びエタノール100質量部の混合物を使用した。
【0100】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:80/20)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は510,000であった。
【0101】
[製造例7]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)160質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部、及びエタノール20質量部の混合物を使用した。
【0102】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は540,000であった。
【0103】
[製造例8]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)168質量部、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(有効成分80質量%の水溶液)20質量部、及びエタノール12質量部の混合物を使用した。
【0104】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は580,000であった。
【0105】
[製造例9]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液(不飽和単量体として50質量%)160質量部、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア(有効成分50質量%の水溶液)40質量部の混合物を使用した。
【0106】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル・2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は580,000であった。
【0107】
[製造例10]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合物(製造例1の混合溶液から溶媒が除去された粘性液体)100質量部とエタノール15質量部との混合物を使用し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部に代えて、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を使用した。
【0108】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は1,000,000であった。
【0109】
[製造例11]:N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド混合溶液の製造
製造例1において、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル1264質量部に代えて、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド1369質量部を使用した。
【0110】
それ以外は製造例1と同じ条件で合成を行い、N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド混合溶液を得た。
【0111】
ガスクロマトグラフィーによって未反応のN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドを定量することで、反応効率を算出した結果、65モル%のN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドがN−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタインに変換したことがわかった。
【0112】
[製造例12]:N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、製造例11で得たN−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド混合溶液(不飽和単量体として50質量%)200部を使用した。
【0113】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド共重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量は490,000であった。
【0114】
[製造例13]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル共重合体(第一構成単位割合65モル%、第二構成単位割合35モル%)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合物(製造例1の混合溶液から溶媒が除去された粘性液体)100質量部とエタノール5質量部との混合物を使用し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部に代えて、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05質量部を使用した。
【0115】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位と第二構成単位のモル比:65/35)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は1,400,000であった。
【0116】
[比較製造例1]:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位割合100モル%)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン(未反応物と溶媒が除去された精製固体)100質量部とエタノール100質量部との混合物を使用した。
【0117】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン重合体(第一構成単位割合100モル%)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は500,000であった。
【0118】
[比較製造例2]:メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル重合体(第二構成単位割合100モル%)の製造
製造例2において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−カルボキシベタイン・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル混合溶液200質量部に代えて、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル100質量部とエタノール100質量部との混合物を使用した。
【0119】
それ以外は製造例2と同じ条件で合成を行い、固形分濃度30%のメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル重合体(第二構成単位割合100モル%)の溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は、前記製造例の重合体と同じ条件では測定することができなかった。
【0120】
各製造例及び比較製造例における原料であるエチレン性不飽和単量体の組成を、下記表1及び表2に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
[洗浄用化粧料の性能評価]
表2〜5に示す成分を配合して評価用ハンドソープを調整し、評価用ハンドソープをポンプフォーマーで吐出することで1.5gの泡を作成した。この泡を用いて、五人の被験者が手を洗浄した際の感触(泡立ち性、泡の厚み、すすぎ時の滑らかさ)を、以下に示す基準で評価した。また、製剤の安定性を以下に示す方法で評価した。
【0124】
(1)泡立ち性:泡立ちが良好なほど高い点数となるように、1〜5点の5段階で評価した。
【0125】
(2)泡の厚み:泡の厚み感が良好に感じられるほど高い点数となるように、1〜5点の5段階で評価した。
【0126】
(3)すすぎ時の滑らかさ:肌の滑らかに感じられるほど高い点数となるように、1〜5点の5段階で評価した。
【0127】
上記(1)〜(3)の評価項目ごとに5人の被験者の評価の平均点を算出し、その結果を次のように評価した。評価結果を表1〜4に示す。
A:4.5点以上5点以下。
B:3.5点以上4.5点未満。
C:2.5点以上3.5点未満。
D:1.5点以上2.5点未満。
E:1.5点未満。
【0128】
(4)製剤の安定性:評価用ハンドソープを50℃の環境下において30日間保存した後の製剤の状態を以下の基準に基づき目視で評価した。評価結果を表3〜6に示す。
○:状態変化しなかった。
×:状態変化(凝集・析出等)が起こった。
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
上記表に示すように、第一構成単位及び第二構成単位を備える製造例2の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例1〜6の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例1の洗浄用化粧料と比べて、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。ジカルボン酸としてグルタミン酸以外の化合物を含有する実施例7〜9の洗浄用化粧料を使用した場合も、実施例5の場合と同様に泡の質が改善された
一方、製造例2の重合体とモノカルボン酸である酢酸とを含有する比較例2の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸とモノカルボン酸のいずれも含有しない比較例1の洗浄用化粧料に対して性能の改善が認められなかった。
【0134】
また、製造例2の重合体とトリカルボン酸であるクエン酸とを含有する比較例3の洗浄用化粧料を使用した場合、性能の改善は認められたが、製剤の安定性が著しく損なわれた。
【0135】
第一構成単位及び第二構成単位を製造例2とは異なる割合で備える製造例3〜6の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例10〜13の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例4〜7の洗浄用化粧料と比べ、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
第一構成単位及び第二構成単位に加えて、これら以外の不飽和単量体を含む製造例7〜9の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例14〜16の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例8〜10の洗浄用化粧料と比べ、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0136】
重量平均分子量を増大させた製造例10の重合体と、ジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例17の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例11の洗浄用化粧料と比べ、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0137】
製造例2の重合体とは異なる構造の第一構成単位及び第二構成単位を備える製造例12の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例18の洗浄用化粧料を使用した場合、ジカルボン酸を含有しない比較例12の洗浄用化粧料と比べて、すすぎ時の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0138】
また、重量平均分子量を1,000,000よりも増大させた製造例13の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例19の洗浄用化粧料を用いた場合は、ジカルボン酸を含有しない比較例17の洗浄用化粧料と比べ、泡立ち性及び泡の厚みが改善されることがわかった。
【0139】
一方、第二構成単位を備えない比較製造例1の重合体とグルタミン酸とを含有する比較例14の洗浄用化粧料を使用した場合、グルタミン酸を含有しない比較例13の洗浄用化粧料に対して性能の改善は認められなかった。
【0140】
尚、第一構成単位を備えない比較製造例2の重合体を含有する比較例15の洗浄用化粧料を用いた場合は、重合体を含有しない比較例18の洗浄用化粧料と比べて、性能の差は認められず、また比較例16のようにグルタミン酸を配合しても性能の改善は認められなかった。
【0141】
[毛髪洗浄用化粧料の性能評価]
表7に示す成分を配合してヘアシャンプーを調製し、被験者がこのヘアシャンプーを用いて毛束を洗浄した際の感触、泡立ち性を評価した。
【0142】
その結果、第一構成単位と第二構成単位とを備える製造例2の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例20のヘアシャンプーを用いると、ジカルボン酸を含有しない比較例19のヘアシャンプーを用いた場合と比べて、すすぎ時の毛束の滑らかさを損なうことなく、泡立ち性に優れていた。
【0143】
【表7】
【0144】
[肌用化粧料の性能評価]
表8に示す成分を配合してO/Wクリームを調整し、被験者がこのO/Wクリームを顔面に塗布した際の感触を評価した。
【0145】
その結果、第一構成単位と第二構成単位とを備える製造例3の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例21のO/Wクリームを用いると、ジカルボン酸を含有しない比較例20のO/Wクリームを用いた場合と比べてつっぱらずに良好なハリ感を与え、べたつきが少なく、使用後の肌の保湿感にも優れていた。
【0146】
【表8】
【0147】
[毛髪用化粧料の性能評価]
表9に示す成分を配合してヘアスタイリングフォームを調整し、被験者がこのヘアスタイリングフォームを容器から吐出させて作成した泡の弾力性と、この泡で毛束を整髪した際の感触を評価した。
【0148】
その結果、第一構成単位と第二構成単位とを備える製造例2の重合体とジカルボン酸であるグルタミン酸とを含有する実施例22のヘアスタイリングフォームを用いると、ジカルボン酸を含有しない比較例21のヘアスタイリングフォームを用いた場合と比べて泡の弾力性及びスタイリング性に優れていた。
【0149】
【表9】