特許第6448080号(P6448080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6448080無線通信システム、通信方法、無線通信モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6448080
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】無線通信システム、通信方法、無線通信モジュール
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20181220BHJP
   H04W 76/20 20180101ALI20181220BHJP
   H04W 92/10 20090101ALI20181220BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   H04W76/10
   H04W76/20
   H04W92/10
   H04M11/00 302
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-196593(P2014-196593)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-72647(P2016-72647A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】池田 克則
(72)【発明者】
【氏名】小早川 雅一
(72)【発明者】
【氏名】池田 智彦
【審査官】 田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−512750(JP,A)
【文献】 特開平10−117221(JP,A)
【文献】 特開2012−208704(JP,A)
【文献】 特開2012−227826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04M 11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとネットワークを介して接続した基地局と、外部装置と接続した無線通信モジュール間で常時接続通信を行う無線通信システムであって、
前記基地局と前記無線通信モジュール間は、位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態であり、
前記無線通信モジュールは、
前記外部装置との間で接続処理が行われていない状態で前記外部装置からのパケット発信要求を受けると、前記外部装置に接続応答を送信し、前記外部装置との間の接続処理を基地局側とは同期せずに行うパケット発信エミュレート機能を有し、
前記外部装置との間で接続処理が行われていない状態で前記サーバからのデータ受信を受けると、前記外部装置に対してパケット着信を出力し、前記外部装置からの着信応答に対して接続応答を送信し、前記外部装置との間の接続処理を基地局側とは同期せずに行うパケット着信エミュレート機能を有し、
前記無線通信モジュールと前記外部装置との間の接続処理が完了することで、既に位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態の前記基地局と前記無線通信モジュールを介して前記サーバと前記外部装置との間のデータ通信を可能とすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、
前記無線通信モジュールは、前記外部装置との間で接続処理が行われている状態で前記外部装置からのパケット切断要求を受けると、前記外部装置との間の切断処理を基地局側とは同期せずに行うパケット切断エミュレート機能を有し、
前記基地局と前記無線通信モジュールがデータ通信可能な状態を維持したまま、前記無線通信モジュールと前記外部装置を切断可能とすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
サーバとネットワークを介して接続した基地局と、外部装置と接続した無線通信モジュール間で常時接続通信を行う無線通信システムの通信方法であって、
前記無線通信モジュール前記基地局との間で位置登録およびベアラ設定を行ってデータ通信可能状態にし、前記無線通信モジュールは前記外部装置との間で接続処理が行われていない状態で前記外部装置からのパケット発信要求を受けると前記外部装置に接続応答を送信して前記外部装置との間の接続処理を基地局側とは同期せずに行い、前記外部装置は前記接続処理が完了すると前記サーバへパケットデータを送信することを特徴とする無線通信システムの通信方法。
【請求項4】
サーバとネットワークを介して接続した基地局と、外部装置と接続した無線通信モジュール間で常時接続通信を行う無線通信システムの通信方法であって、
前記無線通信モジュール前記基地局との間で位置登録およびベアラ設定を行ってデータ通信可能状態にし、前記無線通信モジュールは前記外部装置との間で接続処理が行われていない状態で前記サーバからのデータ受信を受けると前記外部装置にパケット着信を出力して前記外部装置との間の接続処理を基地局側とは同期せずに行い、前記接続処理が完了すると前記サーバからのデータを前記外部装置へ送信することを特徴とする無線通信システムの通信方法。
【請求項5】
外部装置と接続され、サーバとネットワークを介して接続された基地局と常時接続通信を行う無線通信システムにおける無線通信モジュールであって、
前記基地局との間の位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態で前記外部装置との間で接続処理が行われていない状態で前記外部装置からのパケット発信要求を受けると、前記外部装置に接続応答を送信し、前記外部装置との間の接続処理を基地局側とは同期せずに行うパケット発信エミュレート機能と、
前記基地局との間の位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態で前記外部装置との間で接続処理が行われていない状態で前記サーバからのデータ受信を受けると、前記外部装置に対してパケット着信を出力し、前記外部装置からの着信応答に対して接続応答を送信し、前記外部装置との間の接続処理を基地局側とは同期せずに行うパケット着信エミュレート機能を有し、
前記外部装置との間の接続処理が完了することで、既に位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態の前記基地局を介して前記サーバと前記外部装置との間のデータ通信を可能とすることを特徴とする無線通信モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の無線通信モジュールであって、
前記外部装置との間で接続処理が行われている状態で前記外部装置からのパケット切断要求を受けると、前記外部装置との間の切断処理を基地局側とは同期せずに行うパケット切断エミュレート機能を有し、
前記基地局とのデータ通信可能な状態を維持したまま、前記外部装置を切断可能とすることを特徴とする無線通信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、無線によるデータ通信は様々な分野で利用されている。
図1に無線によるデータ通信のシステム構成を示す。
図1の構成は、例えば、自動販売機の管理(商品の管理、売り上げ管理、販売動向管理など)、GPS(Global Positioning System)と組み合わせた位置管理(タクシー配車管理、バスロケーション、トラックの運行管理など)、監視系(電力監視、エレベータ監視、温度監視、水位監視など)などを実現する際のシステム構成である。
【0003】
外部装置104は、データ端末装置(DTE:Data Terminal Equipment)等であり、サーバ101とデータ通信を必要とするタイミングで無線通信モジュール103の発信制御を行っている。また、サーバ101から外部装置104へデータ通信を行うための呼出しが発生した場合には、無線通信モジュール103の着信制御を行っている。例えば、自動販売機の管理では、売り上げ集計や売り切れを通知する際に発信しサーバ101とデータ通信を行う。また、サーバ101からの在庫数把握の際は着信を受けてサーバ101とデータ通信を行う。
【0004】
上記のような外部装置104の発着信制御はダイヤルアップと呼ばれている。ダイヤルアップはアナログ回線を用いたモデムを源流としており、現在主流である3G(3rd Generation=第3世代移動通信システム)として用いられているW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式等に対応した無線通信モジュールにおいても外部装置104が無線通信モジュールの発着信制御(ダイヤルアップ)を行うことでデータ通信を実現している場合が多い。
【0005】
無線通信モジュール103は携帯電話等の公衆無線通信ネットワークを利用しているが、公衆無線通信ネットワークは近年3Gから4G(4th Generation=第4世代移動通信システム)等に移行してきており、無線通信モジュール103も4Gとして用いられるLTE(Long Term Evolution)方式等への対応が必要となっている。4Gに対応したLTE方式は3Gの次世代通信方式であるが、今までの通信方式のコンセプトであるダイヤルアップによるパケット発信やパケット着信という概念が無く、無線端末がネットワークに位置登録している間はベアラを確立している(以降、常時接続と呼ぶ)状態となる。そのため、LTE方式等に対応した無線通信モジュール103では電源ON時に位置登録と同時に常時接続の状態となり、データ通信が可能な状態となるものが多い。そして、データ通信を行う場合、外部装置はデータ通信状態に移行するコマンド(AT+CGDATA)を発行しデータ通信を行う必要がある。
【0006】
データ通信状態に移行するコマンド(AT+CGDATA)は、常時接続を前提としたコマンドであり、ダイヤルアップを前提とした従来の無線通信モジュールでは対応していない。そのため、ダイヤルアップのみに対応している既存の外部装置が本コマンド(AT+CGDATA)に対応していないという問題があった。
データ通信状態に移行するコマンド(AT+CGDATA)に対応していない場合でも既存の外部装置を常時接続方式の無線通信モジュールで使用することは可能であるが、常時接続方式ではパケット着信という概念が存在しないため、パケット発信による接続を行っていない間、サーバからのデータ通信が行えないという問題があった。
【0007】
常時接続方式の代表であるLTE方式における無線通信モジュール103は、電源ONと同時にデフォルトPDNに対し初期位置登録及びベアラ確立が行われた後に、既存の外部装置104から発信を行った場合、既存の外部装置104からの発信は別のPDNへ接続するための発信として処理されるため、発信によるデータ通信は行うことができるが、データ通信が完了し切断すると本PDNのデタッチと無線ベアラ解放を行うため、サーバ101からのデータ通信ができないという問題があった。
デフォルトPDNは無線端末から指定することができるため、不揮発性メモリ等に接続先PDNのAPNを設定しておき、既存の外部装置104を常時接続方式の無線通信モジュール103で使用することも可能であるが、外部装置104は通信を行っている認識が無いためサーバからのデータ通信を行うことができないという問題があった。
LTE方式における無線通信モジュール103は、の電源ONと同時に接続先PDNに対し初期位置登録及びベアラ確立が行われた場合、サーバ101からのデータ通信は無線通信モジュール103までは到達するが、外部装置104はデータ通信中という認識が無いため、無線通信モジュール103は受信したデータを送出することができず、破棄しなければならない。
【0008】
先行技術文献としては、3GPP(Third Generation Partnership Project)に関する規格が非特許文献1、非特許文献2等である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS 23.401 v8.18.0: General Packet Radio Service(GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access
【非特許文献2】3GPP TS 27.007 V9.9.0: AT command set for User Equipment(UE)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
常時接続方式のネットワークにおいて、外部装置が発着信制御を行うことなくデータ通信できるということは一つの利点であるが、既存方式であるダイヤルアップを使用している外部装置からの移行を考慮した場合、外部装置の制御ソフトウェアを改修しない限り、サーバからのデータ通信を行うことができないという課題があった。
本発明の目的は、外部装置の制御ソフトウェアを改修することなくサーバからのデータ通信を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の無線通信システムは、サーバとネットワークを介して接続した基地局と、外部装置と接続した無線通信モジュール間で常時接続通信を行う無線通信システムであって、基地局と無線通信モジュール間は位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態であり、無線通信モジュールは外部装置からのパケット発信要求を受けて接続処理を行うパケット発信エミュレート機能と、サーバからのデータ受信を受けて外部装置に対してパケット着信を行うパケット着信エミュレート機能を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の無線通信システムは、上述の無線通信システムであって、無線通信モジュールは、外部装置からのパケット切断要求を受けて外部装置の切断処理を行うパケット切断エミュレート機能を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線通信システムの通信方法は、サーバとネットワークを介して接続した基地局と、外部装置と接続した無線通信モジュール間で常時接続通信を行う無線通信システムの通信方法であって、無線通信モジュール間は基地局と位置登録およびベアラ設定を行ってデータ通信可能状態にし、外部装置からのパケット発信要求を受けて接続処理を行い、サーバからのデータ受信を受けて外部装置に対してパケット着信処理を行わせることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の無線通信システムの通信方法は、サーバとネットワークを介して接続した基地局と、外部装置と接続した無線通信モジュール間で常時接続通信を行う無線通信システムの通信方法であって、無線通信モジュール間は基地局と位置登録およびベアラ設定を行ってデータ通信可能状態にし、サーバからのデータ受信を受けて、外部装置へ着信処理を行わしてからデータを送信することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の無線通信モジュールは、外部装置と接続され、サーバとネットワークを介して接続された基地局と常時接続通信を行う無線通信システムにおける無線通信モジュールであって、基地局との間の位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態で外部装置からのパケット発信要求を受けて接続処理を行うパケット発信エミュレート機能と、基地局との間の位置登録とベアラ設定を行ってデータ通信可能な状態でサーバからのデータ受信を受けて外部装置に対してパケット着信を行うパケット着信エミュレート機能を有することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の無線通信モジュールは、上述の無線通信モジュールであって、外部装置からのパケット切断要求を受けて外部装置の切断処理を行うパケット切断エミュレート機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部装置の制御ソフトウェアを改修することなくサーバからのデータ通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】無線によるデータ通信のシステム構成を示す図である。
図2】外部装置が3G方式のダイヤルアップである場合のパケット発信のシーケンス図である。
図3】外部装置が3G方式のダイヤルアップである場合のパケット着信のシーケンス図である。
図4】外部装置がLTE方式のダイヤルアップである場合のパケット発信のシーケンス図である。
図5】1stPDN通信中状態でサーバから無線通信モジュールにデータ送信した場合のシーケンス図である。
図6】本発明の一実施形態であるLTE方式ネットワークにおけるパケット発信エミュレートと切断エミュレートの動作を説明するためのシーケンス図である。
図7】本発明の一実施形態であるLTE方式ネットワークにおけるパケット着信エミュレートと切断エミュレートの動作を説明するためのシーケンス図である。
図8】本発明の一実施形態である、無線通信モジュールを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、無線によるデータ通信のシステム構成を示す図であり、本実施の形態に係る通信システムの概略的なシステム構成図であり、従来とほぼ同様な構成である。
図1において、無線通信システムは、サーバ101、無線ネットワーク102、無線通信モジュール103、外部装置104で構成している。無線モジュールと外部装置は接続されており、ATコマンドやデータの送受信を行う。
無線ネットワーク102は、ネットワーク105と基地局106で構成されている。
【0020】
外部装置104は、データ端末装置(DTE:Data Terminal Equipment)等であり、データ通信を必要とするタイミングで無線通信モジュール103の発信制御を行う。
また、サーバ101が外部装置104とデータ通信を行いたいタイミングで着信が発生し、外部装置104は無線通信モジュール103の着信制御を行う。例えば、外部装置104は自動販売機の管理で、売り上げ集計や売り切れを通知する際に発信しサーバ101とデータ通信を行う。また、サーバ101からの在庫数把握の際は着信が行われる。
【0021】
次に、本発明の一実施例である無線通信モジュールについて図8を用いて説明する。
図8は本発明の無線通信モジュールのブロック構成図である。
図8において、制御部801は記憶部809に記憶されたプログラムコードを実行する。
UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)802ならびにUSB(Universal Serial Bus)803は外部インタフェースであり、外部装置104と接続するインタフェースである。
記憶部809は、Flash ROM(Flash Read Only Memory)804とRAM(Random Access Memory)805を有し、プログラムコードや一時データ、不揮発性データを記憶する。
入出力処理部806は無線によるデータ送受信のための処理を行う。
送受信部807はデータの送信や受信を行う。
アンテナ808は基地局106との送受信を行う。
【0022】
次に、3G方式のダイヤルアップによるパケット発信の動作について、図2を用いて説明する。
図2は外部装置が3G方式のダイヤルアップである場合のパケット発信のシーケンス図である。
図2において、無線通信モジュール103は、の電源が投入されると、基地局106に対してアタッチ要求S201を送信する。
無線通信モジュール103は、基地局106と認証・セキュリティ処理S202を行った後、基地局106からのアタッチ応答S203を受信することで位置登録処理を完了しアタッチ状態となる。
【0023】
無線通信モジュール103は、外部装置104から任意のタイミングでパケット発信(ATD)S204を受信すると、発信処理を開始する。
無線通信モジュール103の発信処理は、接続応答(CONNECT)S205を送信し、外部装置104との間で必要なL2P(Layer 2 Protocol)処理であるL2P(PPP)接続処理S206を開始する。
無線通信モジュール103は、外部装置104とのL2P(PPP)接続処理の途中で、基地局106とパケット発信要求S207、ベアラ設定要求S208、ベアラ設定応答S209、パケット発信応答S210の順に行い、発信処理が完了すると、外部装置104とサーバ101とのデータ送受信が可能となる。
【0024】
外部装置104はサーバ101へデータS211を送信し、サーバ101は外部装置104へデータS212の送信が適宜行われる。
【0025】
無線通信モジュール103は、外部装置104から切断処理を行うためにオンラインコマンドモードに移行するためのエスケープシーケンス(+++)S213を受信すると、オンラインコマンドモードに移行し、外部装置104に応答(OK)S214を出力する。
無線通信モジュール103は、外部装置104から回線を切断するための切断要求(ATH)S215を受信すると、切断処理を開始する。
無線通信モジュール103は、基地局106との間でパケット終話S216の送信、パケット終話応答S217の受信の順に行われ、切断処理が完了すると切断応答(NO CARRIER)S218を外部装置104に出力する。
【0026】
次に、3G方式のダイヤルアップによるパケット着信の動作について、図3を用いて説明する。
図3は外部装置が3G方式のダイヤルアップである場合のパケット着信のシーケンス図である。
図3において、無線通信モジュール103は、電源が投入されると、基地局106に対してアタッチ要求S301を送信する。
無線通信モジュール103は、基地局106と認証・セキュリティ処理S302を行った後、基地局106からのアタッチ応答S303を受信することで位置登録処理を完了しアタッチ状態となる。
【0027】
基地局106は、任意のタイミングでサーバ101からのデータを受信S304すると、受信したデータを一次記憶し、無線通信モジュール103にページングS305とパケット着信要求S306を送信する。
これを受けて、無線通信モジュール103はパケット着信(RING)S307を外部装置104に出力する。
外部装置104は、パケット着信(RING)を受信すると、無線通信モジュール103にパケット着信応答(ATA)S308を送信する。
外部装置104は、接続応答(CONNECT)S309を受信すると、無線通信モジュール103との間で必要なL2P(Layer 2 Protocol)処理であるL2P(PPP)接続処理S310を開始する。
【0028】
無線通信モジュール103は、L2P(PPP)接続処理の途中で、基地局106にパケット発信要求S311を送信し、基地局106からベアラ設定要求S312が送信されてきたら、基地局106にベアラ設定応答S313を送信し、基地局106からパケット発信応答S314が送信されてきたら、着信処理が完了する。
無線通信モジュール103の着信処理が完了すると、サーバ101と外部装置104とのデータ送受信が可能となる。
【0029】
基地局106は、一次記憶していたデータを外部装置104にデータS315を送信する。
外部装置104は、サーバ101にデータS316を適宜送信する。
【0030】
外部装置104は、切断処理を行うためにオンラインコマンドモードに移行するためのエスケープシーケンス(+++)S317を無線通信モジュール103に送信する。
無線通信モジュール103は、オンラインコマンドモードに移行すると応答(OK)S318を外部装置104に出力する。
外部装置104は、回線を切断するために切断要求(ATH)S319を無線通信モジュール103に送信することで、無線通信モジュール103が切断処理を開始する。
無線通信モジュール103は、パケット終話S320を基地局106に送信し、パケット終話応答S321の受信の順に行われ、切断処理が完了すると切断応答(NO CARRIER)S322を外部装置104に出力する。
【0031】
次に、LTE方式のダイヤルアップによるパケット発信の動作について、図4を用いて説明する。
図4は外部装置がLTE方式のダイヤルアップである場合のパケット発信のシーケンス図である。
なお、1stPDN(Public Data Network、公衆データ網)は目的の接続先では無いPDN、2ndPDNは目的の接続先PDNとする。
【0032】
図4において、無線通信モジュール103は、電源が投入されると、基地局106に対して1stPDNアタッチ要求S401を送信する。
無線通信モジュール103は、基地局106と認証・セキュリティ処理S402を行った後、基地局106からベアラ設定要求S403を受信すると、基地局106にベアラ設定応答S404を送信し、さらにアタッチ完了S405を基地局106に送信することで位置登録とベアラ設定処理が完了し、1stPDN通信中状態となる。
【0033】
サーバ101より基地局106にデータS406を送信しているが、1stPDNは本来の接続先では無いため基地局106として送り先が無いのでデータS406が破棄され、外部機器104には到達しない。すなわち、今の状態ではサーバ101から通信を行うことができない。
【0034】
その後、外部装置104は任意のタイミングで2ndPDNに対するパケット発信(ATD)S407を行うことで、無線通信モジュール103は発信処理を開始する。
外部装置104は、無線通信モジュール103から送信された接続応答(CONNECT)S408を受信すると、無線通信モジュール103との間で必要なL2P(Layer 2 Protocol)処理であるL2P(PPP)接続処理S409を開始する。
【0035】
無線通信モジュール103は、L2P(PPP)接続処理の途中で、基地局106に2ndPDN接続要求S410を送信し、基地局106と認証・セキュリティ処理S411を行い、基地局106からベアラ設定要求S412が送信されてきたら、基地局106にベアラ設定応答S413を送信し、続いて基地局106に接続完了S414を送信することで発信処理が完了し、2ndPDN通信中状態となる。これにより無線通信モジュール103は目的のサーバ101とのデータ送受信が可能となる。
【0036】
外部装置104はサーバ101へデータS415を送信し、サーバ101は外部装置104へデータS416送信が行われる。
【0037】
外部装置104は、切断処理を行うためにオンラインコマンドモードに移行するためのエスケープシーケンス(+++)S417を無線通信モジュール103に送信する。
無線通信モジュール103は、オンラインコマンドモードに移行すると応答(OK)S418を外部装置104に出力する。
外部装置104は、回線を切断するために切断要求(ATH)S419を無線通信モジュール103に送信することで、無線通信モジュール103が切断処理を開始する。
無線通信モジュール103は、2ndPDNパケット終話S420を基地局106に送信し、パケット終話応答S421の受信の順に行われ、切断処理が完了すると切断応答(NO CARRIER)S422を外部装置104に出力する。
その後、サーバ101はデータS423を基地局106に送信しても、基地局106は1stPDNしか接続が無いため基地局106内でデータS423が破棄され、外部機器104には到達しない。
【0038】
次に、1stPDN通信中状態でサーバから無線通信モジュールにデータ送信した場合の動作について、図5を用いて説明する。
図5は1stPDN通信中状態でサーバから無線通信モジュールにデータ送信した場合のシーケンス図である。
図5において、無線通信モジュール103は、電源が投入されると、基地局106に対して1stPDNアタッチ要求S501を送信する。
無線通信モジュール103は、基地局106と認証・セキュリティ処理S502を行った後、基地局106からのベアラ設定要求S503を行い受信すると、基地局106にベアラ設定応答S504を送信し、続いて基地局106にアタッチ完了S505を送信することで位置登録とベアラ設定処理を完了し、1stPDN通信中状態となる。
この後、サーバ101は、データS506を基地局106に送信し、さらに基地局106から無線通信モジュール103にデータS506を送信する。1stPDNは基地局106の目的の接続先であるため無線通信モジュールまでは到達する。
しかしながら、外部装置104は待ち受け状態となっており、無線通信モジュール103はデータ通信を行うことができないためサーバ101からのデータS506を破棄しなければならない。
【0039】
次に、本発明の一実施形態である無線通信システムの動作について、図6を用いて説明する。
図6は本発明の一実施形態であるLTE方式ネットワークにおけるパケット発信エミュレートと切断エミュレートの動作を説明するためのシーケンス図である。
なお、1stPDNは目的の接続先をPDNとする。
【0040】
図6において、無線通信モジュール103は、の電源が投入されると、基地局106に対し1stPDNアタッチ要求S601を送信する。
無線通信モジュール103は、基地局106と認証・セキュリティ処理S602を行った後、基地局106からベアラ設定要求S603を受信すると、基地局106にベアラ設定応答S604を送信し、さらにアタッチ完了S605を基地局106に送信することで位置登録とベアラ設定処理が完了し、1stPDN通信中状態となる。
【0041】
この状態で外部装置104が通信を開始した場合、パケット発信(ATD)S606を無線通信モジュール103に送信する。
無線通信モジュール103は、基地局106に対し特に処理は行わず、接続応答(CONNECT)S607を外部装置104に送信する。
その後、外部装置104は、無線通信モジュール103との間で必要なL2P(Layer 2 Protocol)処理であるL2P(PPP)接続処理S608を行う。
なお、パケット発信(ATD)からL2P(PPP)接続処理までを基地局106側とは同期せず、擬似的に行うためこの部分を発信エミュレートと呼ぶ。
無線通信モジュール103は、外部装置104とのL2P(PPP)接続処理が完了すると、外部装置104はサーバ101へのデータS609の送信と、サーバ101は外部装置104へのデータS610の送受信を行うことができる。
【0042】
外部装置104は、サーバ101との通信が不要となったら、切断処理を行うためのオンラインコマンドモードに移行するため、エスケープシーケンス(+++)S611を無線通信モジュール103に送信する。
無線通信モジュール103は、オンラインコマンドモードに移行すると応答(OK)S612を外部装置104に出力する。
外部装置104は、擬似的に回線を切断するために切断要求(ATH)S613を無線通信モジュール103に送信し、無線通信モジュール103は切断応答(NO CARRIER)S614を外部装置104に出力する。
なお、切断要求(ATH)と切断応答(NO CARRIER)は、基地局106側とは同期せず、擬似的に行うためこの部分を切断エミュレートと呼ぶ。
【0043】
次に、本発明の一実施形態である無線通信システムの動作について、図7を用いて説明する。
図7は本発明の一実施形態であるLTE方式ネットワークにおけるパケット着信エミュレートと切断エミュレートの動作を説明するためのシーケンス図である。
なお、1stPDNは目的の接続先をPDNとする。
【0044】
図7において、無線通信モジュール103は、電源が投入されると、基地局102に対し1stPDNアタッチ要求S701を送信する。
無線通信モジュール103は、基地局102と認証・セキュリティ処理S702を行った後、基地局102からベアラ設定要求S703を受信すると、基地局102にベアラ設定応答S704を送信し、さらにアタッチ完了S705を基地局106に送信することで位置登録とベアラ設定処理を完了し、1stPDN通信中状態となる。
【0045】
この状態でサーバ101が通信を開始した場合、サーバ101から送信したデータS706が無線通信モジュール103に到達する。
無線通信モジュール103は、これを受けてパケット着信S707を外部装置104に出力する。
外部装置104はパケット着信応答(ATA)S708を無線通信モジュール103に送信する
無線通信モジュール103はネットワーク基地局106に対し特に処理は行わず、接続応答(CONNECT)S709を外部装置104に送信する。
その後、外部装置104は、無線通信モジュール103との間で必要なL2P(Layer 2 Protocol)処理であるL2P(PPP)接続処理S710を行う。
なお、パケット着信(RING)からL2P(PPP)接続処理までを基地局106側とは同期せず、擬似的に行うためこの部分を着信エミュレートと呼ぶ。
無線通信モジュール103は、外部装置104とのL2P(PPP)接続処理S710が完了すると保留していたデータS711を外部装置104へ出力する。
また、外部装置104は、サーバ101へのデータS712の送信を行うことができる。
【0046】
外部装置104は、サーバ101との通信が不要となったら、切断処理を行うためのオンラインコマンドモードに移行するため、エスケープシーケンス(+++)S713を無線通信モジュール103に送信する。
無線通信モジュール103は、オンラインコマンドモードに移行すると応答(OK)S714を外部装置104に出力する。
外部装置104は、擬似的に回線を切断するために切断要求(ATH)S715を無線通信モジュール103に送信し、無線通信モジュール103は切断応答(NO CARRIER)S716を外部装置104に出力する。
切断要求(ATH)と切断応答(NO CARRIER)は、基地局106側とは同期せず、擬似的に行うためこの部分を切断エミュレートと呼ぶ。
【0047】
本発明の実施形態である無線通信システムは、外部装置の制御ソフトウェアを改修することなくサーバからのデータ通信を行うことができる。
【0048】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
101:サーバ、102:無線ネットワーク、103:無線通信モジュール、104:外部装置、105:ネットワーク、106:基地局、801:制御部、802:UART、803:USB、804:Flash ROM、805:RAM、806:入出力処理部、807:送受信部、 808:アンテナ、809:記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8