【文献】
TE-Power PROBE,2010年 1月29日,URL,https://web.archive.org/web/20100129223333/http://www.micropelt.com:80/applications/te_power_probe.php
【文献】
Thermal Energy Harvesting,2010年,URL,http://eh-network.org/events/dissmination2011/pitches/Micropelt.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源制御部は、前記キャパシターに蓄えられている電力を、前記少なくとも一部の部品の動作に必要な電圧まで昇圧して前記少なくとも一部の部品に供給することを特徴とする請求項5に記載のセンサー装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、従来のワイヤレスセンサーのように、RGBセンサーの検出結果を無線によって送信する送信部と、白色LED、RGBセンサーおよび送信部に供給されるための電力を生成する熱発電素子と、産業用ロボットが運転中に発生する摩擦などの熱を効率よく熱発電素子に伝えるために、産業用ロボットの外面に密着するように固定された固定板とを備えている構成に改良されることによって、従来よりメンテナンス性を向上することができると考えられる。
【0008】
しかしながら、このように改良された産業用ロボット用潤滑油状態センサーであっても、熱発電素子によって発電された電力が不十分である場合には、電力不足によって産業用ロボットの減速機の潤滑油の状態を検出することができないということが生じる可能性があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、産業用ロボットの減速機の潤滑油の状態の検出の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができる産業用ロボット用潤滑油状態センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、産業用ロボットの減速機の潤滑油の状態を検出するために前記産業用ロボットに取り付けられる産業用ロボット用潤滑油状態センサーであって、前記潤滑油の状態を検出する油状態検出部と、前記油状態検出部の検出結果を無線によって送信する無線通信部と、前記油状態検出部および前記無線通信部に電力を供給する電力供給部とを備えており、前記電力供給部は、前記産業用ロボットの駆動によって熱せられた前記潤滑油の温度と、前記産業用ロボットの周囲の温度との温度差を電力に変換する熱発電部と、前記潤滑油に接触して前記潤滑油の熱を前記熱発電部に伝導する油接触熱伝導部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
この構成により、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、油状態検出部の検出結果を無線によって送信するので、外部の装置との配線が不要である。また、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、産業用ロボットの駆動によって熱せられた潤滑油の温度を利用して熱発電部によって電力を生成することができるので、電池を内蔵しなくても良い。したがって、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、従来よりメンテナンス性を向上することができる。
【0012】
産業用ロボットの減速機の潤滑油は、産業用ロボットの内部に収納されているので、産業用ロボットの外面と比較して、産業用ロボットの周囲の気体によって冷まされ難い。ここで、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、産業用ロボットの減速機の潤滑油に接触する油接触熱伝導部によって潤滑油の熱を熱発電部に伝導する。したがって、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、産業用ロボットの外面に密着するように固定された部材によって産業用ロボットの外面の熱を熱発電部に伝導する構成と比較して、熱発電部によって発電される電力量を増加させることができ、結果として、産業用ロボットの減速機の潤滑油の状態の検出が電力不足によって失敗することを抑えることができる。
【0013】
以上に説明したように、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、産業用ロボットの減速機の潤滑油の状態の検出の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができる。
【0014】
また、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーにおいて、前記油状態検出部は、光を発する発光素子と、受けた前記光の色を検出する受光素子と、前記潤滑油が侵入するための隙間であって前記発光素子から前記受光素子までの光路上に配置されている油用隙間が形成されていて前記光を透過させる隙間形成部材と、前記潤滑油に接触して前記隙間形成部材を支持する支持部材とを備えており、前記支持部材は、前記油接触熱伝導部の少なくとも一部を構成していても良い。
【0015】
この構成により、本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、隙間形成部材を支持する支持部材が、潤滑油の熱を熱発電部に伝導する油接触熱伝導部の少なくとも一部として兼用されるので、支持部材および油接触熱伝導部を別々に備える構成と比較して、簡単な構成で実現されることができる。
【0016】
本発明の産業用ロボット遠隔監視システムは、上述の産業用ロボット用潤滑油状態センサーが取り付けられた産業用ロボットと、前記産業用ロボット用潤滑油状態センサーの前記無線通信部から無線によって送信された検出結果に基づいて前記減速機の状態を監視する遠隔監視装置とを備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明の産業用ロボット遠隔監視システムは、産業用ロボットに取り付けられている産業用ロボット用潤滑油状態センサーが減速機の潤滑油の状態の検出の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができるので、潤滑油の状態に基づいた減速機の状態の監視の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の産業用ロボット用潤滑油状態センサーは、産業用ロボットの減速機の潤滑油の状態の検出の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本実施の形態に係る産業用ロボット遠隔監視システムの構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る産業用ロボット遠隔監視システム10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、産業用ロボット遠隔監視システム10は、複数の産業用ロボット20と、産業用ロボット20の後述の減速機40の状態を監視する遠隔監視装置80と、産業用ロボット20の後述の潤滑油状態センサー50からの信号を遠隔監視装置80に中継する中継装置90とを備えている。
【0024】
図2は、産業用ロボット20の側面図である。
【0025】
図2に示すように、産業用ロボット20は、床、天井などの設置部分に取り付けられる取付部21と、アーム22〜26と、取付部21およびアーム22を接続する関節部31と、アーム22およびアーム23を接続する関節部32と、アーム23およびアーム24を接続する関節部33と、アーム24およびアーム25を接続する関節部34と、アーム25およびアーム26を接続する関節部35と、アーム26および図示していないハンドを接続する関節部36とを備えている。
【0026】
図3は、関節部32の断面図である。なお、以下においては、関節部32について説明するが、関節部31、33〜36についても同様である。
【0027】
図3に示すように、関節部32は、アーム22およびアーム23を接続する減速機40と、ボルト49aによってアーム22に固定されたモーター49と、減速機40の可動部に生じる摩擦を軽減するための潤滑油40aの状態を検出するための産業用ロボット用潤滑油状態センサーとしての潤滑油状態センサー50とを備えている。
【0028】
減速機40は、ボルト41aによってアーム22に固定されたケース41と、ボルト42aによってアーム23に固定された支持体42と、モーター49の出力軸に固定された歯車43と、減速機40の中心軸の周りに等間隔に3個配置されていて歯車43と噛み合う歯車44と、減速機40の中心軸の周りに等間隔に3個配置されていて歯車44に固定されたクランク軸45と、ケース41に設けられた内歯歯車と噛み合う2個の外歯歯車46とを備えている。
【0029】
支持体42は、ケース41に軸受41bを介して回転可能に支持されている。ケース41と、支持体42との間には、潤滑油40aの漏れを防止するためのシール部材41cが設けられている。
【0030】
クランク軸45は、支持体42に軸受42bを介して回転可能に支持されているとともに、外歯歯車46に軸受46aを介して回転可能に支持されている。
【0031】
潤滑油状態センサー50は、アーム23に固定されている。
【0032】
図4は、潤滑油状態センサー50のブロック図である。
【0033】
図4に示すように、潤滑油状態センサー50は、潤滑油40aの状態を検出する油状態検出部50aと、油状態検出部50aの検出結果を無線によって送信する無線通信部50bと、油状態検出部50aおよび無線通信部50bに電力を供給する電力供給部50cとを備えている。
【0034】
油状態検出部50aは、光を発する発光素子であって白色の光を発する白色LED(Light Emitting Diode)51と、受けた光の色を検出する受光素子としてのRGBセンサー52と、白色LED51およびRGBセンサー52を制御するマイクロプロセッサーである制御部53とを備えている。
【0035】
無線通信部50bは、アンテナ54と、RGBセンサー52の検出結果をアンテナ54を介して無線によって送信する送信部55とを備えている。
【0036】
電力供給部50cは、熱エネルギーを電力に変換するペルチェ素子などの熱発電素子56と、熱発電素子56によって生成された電力を蓄えるキャパシター57と、熱発電素子56およびキャパシター57を制御するマイクロプロセッサーである電源制御部58とを備えている。
【0037】
熱発電素子56は、産業用ロボット20の駆動によって熱せられた潤滑油40aの温度と、産業用ロボット20の周囲の温度との温度差を電力に変換するようになっており、本発明の熱発電部を構成している。なお、産業用ロボット20の周囲の温度とは、例えば産業用ロボット20が設置されている部屋の室温である。産業用ロボット20の周囲の温度は、例えば25℃前後である。
【0038】
図5は、潤滑油状態センサー50の正面断面図であって、アーム23に取り付けられた状態での図である。
【0039】
図5に示すように、潤滑油状態センサー50は、アーム23のネジ穴23aに固定されるためのネジ部61aを備えている固定部61と、固定部61に保持された隙間形成部材62と、固定部61に保持されてアーム23および固定部61の間からの潤滑油40aの漏れを防止するOリング63と、図示していないボルトによって複数のスペーサー64aを介して固定部61に固定されていて白色LED51およびRGBセンサー52が実装されている回路基板であるセンサー基板64と、熱発電素子56の入熱面56aおよび固定部61に接続されている熱伝導部材65と、熱発電素子56の放熱面56bに接続されているヒートシンクなどの放熱部材66と、図示していないボルトによって固定部61および放熱部材66に固定されていて白色LED51、RGBセンサー52、熱発電素子56などの電子部品を覆うカバー67と、図示していないボルトによって複数のスペーサー68aを介してカバー67に固定されていてアンテナ54および送信部55(
図5には図示していない。)が実装されている回路基板である通信基板68と、図示していないボルトによって複数のスペーサー69aを介して通信基板68に固定されていて制御部53(
図5には図示していない。)が実装されている回路基板である制御基板69と、図示していないボルトによって複数のスペーサー70aを介して制御基板69に固定されていてキャパシター57が実装されている回路基板であるキャパシター実装基板70と、図示していないボルトによって複数のスペーサー71aを介してキャパシター実装基板70に固定されていて電源制御部58(
図5には図示していない。)が実装されている回路基板である電源制御基板71と、電源制御基板71と熱発電素子56、センサー基板64、通信基板68、制御基板69およびキャパシター実装基板70のそれぞれとを電気的に接続する複数の配線72とを備えている。
【0040】
固定部61、熱伝導部材65および放熱部材66は、金属などの熱伝導性が高い材料によって形成されている。例えば、固定部61、熱伝導部材65および放熱部材66は、アルミニウム合金によって形成されている。
【0041】
カバー67は、固定部61を介して伝導される潤滑油40aの熱を、放熱部材66を介して熱発電素子56の放熱面56bに伝導させないために、プラスチックなどの断熱材料によって形成されている。
【0042】
隙間形成部材62は、2つの直角プリズム62a、62bによって構成されており、潤滑油40aが侵入するための隙間である油用隙間62cが2つの直角プリズム62a、62bの間に形成されている。直角プリズム62a、62bは、ガラス、シリコン樹脂などの材料によって形成されている。油用隙間62cは、白色LED51からRGBセンサー52までの光路51a上に配置されている。
【0043】
直角プリズム62a、62bは、白色LED51によって発せられる光を透過させる。直角プリズム62aは、白色LED51によって発せられる光が入射する入射面と、この入射面から入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面と、この反射面で反射した光が出射する出射面とが形成されている。直角プリズム62bは、直角プリズム62aの出射面から出射した光が入射する入射面と、この入射面から入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面と、この反射面で反射した光が出射する出射面とが形成されている。
【0044】
直角プリズム62aの入射面、反射面および出射面と、直角プリズム62bの入射面、反射面および出射面とは、光学研磨されている。また、直角プリズム62aの反射面と、直角プリズム62bの反射面とは、アルミ蒸着膜が施されている。そして、硬度や密着力が弱いアルミ蒸着膜を保護するために、MgF2膜、もしくはSiO2膜がアルミ蒸着膜上に更に施されている。
【0045】
光路51aは、直角プリズム62aの反射面で90度曲げられていて、直角プリズム62bの反射面でも90度曲げられている。すなわち、光路51aは、隙間形成部材62によって180度曲げられている。
【0046】
直角プリズム62aの出射面と、直角プリズム62bの入射面との距離、すなわち、油用隙間62cの長さは、例えば1mmである。油用隙間62cの長さが短過ぎる場合、潤滑油40a中の汚染物質が油用隙間62cを適切に流通し難いので、潤滑油40a中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。一方、油用隙間62cの長さが長過ぎる場合、白色LED51から発せられた光が油用隙間62c内の潤滑油40a中の汚染物質によって吸収され過ぎてRGBセンサー52まで届き難いので、やはり潤滑油40a中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。したがって、油用隙間62cの長さは、潤滑油40a中の汚染物質の色の検出精度が高くなるように、適切に設定されることが好ましい。
【0047】
なお、固定部61は、潤滑油40aに接触して隙間形成部材62を支持しており、本発明の支持部材を構成している。固定部61および隙間形成部材62は、油用隙間62cを潤滑油40aの中に配置させるために必要な部材であり、潤滑油40aの状態を検出する油状態検出部50aの一部を構成している。
【0048】
また、固定部61は、潤滑油40aに接触して潤滑油40aの熱を熱伝導部材65に伝導するようになっている。また、熱伝導部材65は、固定部61から伝導された熱を熱発電素子56に伝導するようになっている。すなわち、固定部61および熱伝導部材65は、潤滑油40aに接触して潤滑油40aの熱を熱発電素子56に伝導するようになっており、本発明の油接触熱伝導部を構成している。このように、固定部61および熱伝導部材65は、熱発電素子56による発電に必要な部材であり、油状態検出部50aおよび無線通信部50bに電力を供給する電力供給部50cの一部を構成している。
【0049】
図6は、遠隔監視装置80のブロック図である。
【0050】
図6に示すように、遠隔監視装置80は、遠隔監視装置80の使用者による種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部81と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部82と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク経由で中継装置90と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部83と、各種のデータを記憶しているHDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである記憶部84と、遠隔監視装置80全体を制御する制御部85とを備えている。遠隔監視装置80は、PC(Personal Computer)などのコンピューターによって構成されている。
【0051】
記憶部84は、潤滑油状態センサー50の検出結果であるR値、G値、B値に基づいて、産業用ロボット20の減速機40の潤滑油40aの劣化の状態と、減速機40の故障の状態とを判定する状態判定プログラム84aを記憶している。なお、潤滑油状態センサー50の検出結果であるR値、G値、B値と、潤滑油40aの劣化の状態との対応関係は、予め実験などに基づいて設定されている。同様に、潤滑油状態センサー50の検出結果であるR値、G値、B値と、減速機40の故障の状態との対応関係は、予め実験などに基づいて設定されている。特に、減速機40の故障の状態には、減速機40の故障までの時間の目安を含めることができる。
【0052】
状態判定プログラム84aは、遠隔監視装置80の製造段階で遠隔監視装置80にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリー、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの記憶媒体から遠隔監視装置80に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上から遠隔監視装置80に追加でインストールされても良い。
【0053】
制御部85は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部84に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0054】
次に、産業用ロボット20の関節部32の動作について説明する。なお、以下においては、関節部32について説明するが、関節部31、33〜36についても同様である。
【0055】
関節部32のモーター49の出力軸が回転すると、モーター49の回転力は、減速機40によって減速されて、減速機40のケース41に固定されたアーム22に対して、減速機40の支持体42に固定されたアーム23を動かす。
【0056】
産業用ロボット20が以上のように駆動されると、減速機40の潤滑油40aは、産業用ロボット20の駆動によって熱せられる。したがって、潤滑油40aの温度は、例えば40℃〜80℃になる。
【0057】
次に、潤滑油状態センサー50の動作について説明する。
【0058】
産業用ロボット20の駆動によって潤滑油40aが熱せられると、潤滑油状態センサー50の熱発電素子56は、固定部61および熱伝導部材65を介して
本発明の油温度導入面としての入熱面56aに導入された潤滑油40aの温度と、
本発明の周囲温度導入部材としての放熱部材66を介して
本発明の周囲温度導入面としての放熱面56bに導入された産業用ロボット20の周囲の温度との温度差を電力に変換する。
【0059】
熱発電素子56が電力を生成すると、電源制御部58は、熱発電素子56によって生成された電力をキャパシター57に一旦蓄えさせた後、キャパシター57に蓄えられている電力を白色LED51、RGBセンサー52、送信部55および制御部53の駆動に必要な電圧まで昇圧して白色LED51、RGBセンサー52、送信部55および制御部53に供給する。
【0060】
制御部53は、電源制御部58から電力が供給されると、白色LED51に白色の光を発せさせる。
【0061】
そして、制御部53は、RGBセンサー52によって受けた光のRGBの各色の光量をR値、G値、B値として送信部55に無線によって送信させる。
【0062】
なお、RGBセンサー52によって光を検出し、この検出の結果を送信部55によって送信するという一連の動作の実行のタイミングは、常時である必要はない。例えば、潤滑油状態センサー50は、RGBセンサー52によって光を検出し、この検出の結果を送信部55によって送信するという一連の動作を1日に1回だけ実行するようになっていても良い。
【0063】
次に、遠隔監視装置80の動作について説明する。
【0064】
状態判定プログラム84aを実行している遠隔監視装置80は、中継装置90を介して潤滑油状態センサー50の検出結果を受信すると、受信した潤滑油状態センサー50の検出結果であるR値、G値、B値に基づいて、産業用ロボット20の減速機40の潤滑油40aの劣化の状態と、減速機40の故障の状態とを判定し、これらの状態を表示部82に表示させる。
【0065】
したがって、遠隔監視装置80の使用者は、表示部82に表示された情報によって、産業用ロボット20の減速機40の潤滑油40aの劣化の状態と、減速機40の故障の状態とを認識することができる。
【0066】
以上に説明したように、潤滑油状態センサー50は、油状態検出部50aの検出結果を無線によって送信するので、外部の装置との配線が不要である。また、潤滑油状態センサー50は、産業用ロボット20の駆動によって熱せられた潤滑油40aの温度を利用して熱発電素子56によって電力を生成することができるので、電池を内蔵しなくても良い。したがって、潤滑油状態センサー50は、従来よりメンテナンス性を向上することができる。
【0067】
産業用ロボット20の減速機40の潤滑油40aは、産業用ロボット20の内部に収納されているので、産業用ロボット20の外面と比較して、産業用ロボット20の周囲の気体によって冷まされ難い。ここで、潤滑油状態センサー50は、産業用ロボット20の減速機40の潤滑油40aに接触する固定部61および熱伝導部材65によって潤滑油40aの熱を熱発電素子56に伝導する。したがって、潤滑油状態センサー50は、産業用ロボット20の外面に密着するように固定された部材によって産業用ロボット20の外面の熱を熱発電素子56に伝導する構成と比較して、熱発電素子56によって発電される電力量を増加させることができ、結果として、産業用ロボット20の減速機40の潤滑油40aの状態の検出が電力不足によって失敗することを抑えることができる。
【0068】
以上に説明したように、潤滑油状態センサー50は、産業用ロボット20の減速機40の潤滑油40aの状態の検出の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができる。
【0069】
また、潤滑油状態センサー50は、隙間形成部材62を支持する支持部材である固定部61が、潤滑油40aの熱を熱発電素子56に伝導する油接触熱伝導部の少なくとも一部として兼用されるので、支持部材および油接触熱伝導部を別々に備える構成と比較して、簡単な構成で実現されることができる。
【0070】
なお、潤滑油状態センサー50は、支持部材および油接触熱伝導部を別々に備える構成であっても良い。すなわち、潤滑油状態センサー50は、隙間形成部材62を支持する支持部材である固定部61とは別に、潤滑油40aの熱を熱発電素子56に伝導する油接触熱伝導部を備える構成であっても良い。
【0071】
また、産業用ロボット遠隔監視システム10は、産業用ロボット20に取り付けられている潤滑油状態センサー50が減速機40の潤滑油40aの状態の検出の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができるので、潤滑油40aの状態に基づいた減速機40の状態の監視の失敗を抑えながら従来よりメンテナンス性を向上することができる。
【0072】
一般的に、産業用ロボットは、関節部に使用されている減速機の性能によってアームの軌跡の精度などが大きく左右される。したがって、産業用ロボット用の減速機は、性能が落ちた場合に適切に交換されることが大切である。しかしながら、産業用ロボット用の減速機が交換される場合、その減速機を備えている産業用ロボットや、その産業用ロボットが設置されている生産ラインが停止されなければならない。そこで、産業用ロボット用の減速機の交換時期を把握するために、産業用ロボット用の減速機の故障が適切に予知されることは非常に重要である。
【0073】
産業用ロボット遠隔監視システム10は、潤滑油状態センサー50の検出結果であるR値、G値、B値に基づいて減速機40の故障の状態を判定するので、減速機40の故障の状態を即時に判定することができる。
【0074】
なお、産業用ロボット20における潤滑油状態センサー50の設置位置は、
図3によって示した位置に限らず、産業用ロボット20の用途などに合わせて適宜設定されることが好ましい。
【0075】
また、潤滑油状態センサー50における熱発電素子56の設置位置も、
図5によって示した位置に限らず、適宜設定されることができる。例えば、熱発電素子56の設置位置は、
図7に示すように、固定部61の近傍であっても良い。なお、
図7に示す例においては、固定部61のみが本発明の油接触熱伝導部を構成している。
【0076】
なお、潤滑油状態センサー50は、熱発電素子56によって生成される電力が少ない場合に備えて、電池を内蔵していても良い。
【0077】
以上においては、発電の方法として、産業用ロボット20の駆動によって熱せられた潤滑油40aの温度と、産業用ロボット20の周囲の温度との温度差を電力に変換する方法について説明したが、他の方法が採用されても良い。例えば、発電の方法は、産業用ロボット20の潤滑油40aの温度ではなくモーター49の温度と、産業用ロボット20の周囲の温度との温度差を電力に変換する方法が採用されても良い。また、発電の方法は、産業用ロボット20のアームの動きによる運動エネルギーを電力に変換する方法が採用されても良い。運動エネルギーを電力に変換する手段としては、例えば、圧電素子、電磁誘導、静電誘導などが採用されることができる。また、発電の方法は、産業用ロボット20が設置されている部屋の照明など、産業用ロボット20の周囲の光による光発電が採用されても良い。