(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における、影響推定装置、影響推定方法、影響推定プログラム及び記録媒体について詳細に説明する。
【0013】
先ず、
図1を用いて、影響推定装置の機能を説明する。
図1は、実施形態に係る影響推定装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【0014】
図1において、影響推定装置10は、特徴ベクトル取得部101、類似性情報算出部102、類似性情報取得部103、重要度情報取得部104、価値情報取得部105、影響度情報算出部106、推定値算出部107、推定値提供部108、UI(User Interface)提供部109及び通信制御部110の各機能を有する。推定値提供部108は、表示データ提供部108a、印字データ提供部108b、通信データ提供部108cの各機能を有する。
【0015】
本実施形態における影響推定装置10の上記各機能は、影響推定装置10を制御する影響推定プログラム(ソフトウェア)によって実現される機能モジュールであるものとして説明する。
【0016】
特徴ベクトル取得部101は、要素の特徴を示す特徴ベクトルを取得する。本実施形態において、要素は、他の要素によって影響を受け得る事項であり、複数の要素間において相互に関係し、一の要素によって他の要素に影響を与えるものとする。例えば、一の要素の変更によって他の要素は影響を受ける。要素の変更とは、例えば、要素の追加又は削除を含む。要素は、一又は複数の特徴量を表す特徴ベクトルによって特徴付けられる。特徴ベクトル取得部101は、例えば複数の特徴ベクトルはベクトル合成によってまとめた特徴ベクトルを取得してもよい。特徴ベクトルは、特徴又は特徴量という場合がある。
【0017】
なお、後述する実施形態においては、要素が商材である場合を例示する。例えば、商材が複数の原材料から製造される製品である場合、特徴ベクトルは使用する原材料名、原材料の使用割合等とすることができる。要素である商材は、特徴ベクトルである原材料名等によって特徴付けられる。商材は原材料が類似している場合類似した商材として相互に影響を受ける可能性がある。特徴ベクトル取得部101は、特徴ベクトルとしてそれぞれの商材における原材料名やその使用割合の情報を取得する。
【0018】
類似性情報算出部102は、特徴ベクトル取得部101において取得された特徴ベクトルに基づき、類似性情報を算出する。類似性情報とは、複数の要素における要素間の類似性を表す情報(例えば、類似度)である。特徴ベクトルはそれぞれの要素の特徴を示す。従って、類似した要素は類似した特徴ベクトルを有している。類似性情報算出部102は、それぞれの要素における特徴ベクトルに基づき、類似性情報(類似性ベクトル)を算出する。類似性情報を要素間で比較することにより、要素間の類似性を得ることができる。
【0019】
類似性情報取得部103は、類似性情報を取得する。類似性情報取得部103における類似性情報の取得先は限定されない。例えば、類似性情報取得部103は、類似性情報算出部102において算出された類似性情報を取得する。類似性情報取得部103は、類似性情報算出部102から直接類似性情報を取得してもよく、また、類似性情報算出部102で算出された後、図示しないメモリ等に記憶された類似性情報を取得するようにしてもよい。さらに、類似性情報取得部103は、類似性情報算出部102で算出された類似性情報以外の類似性情報を取得するようにしてもよい。例えば、類似性情報取得部103は、予め定められた類似性情報を、ネットワークを介して影響推定装置10に接続された外部サーバ等から取得するようにしてもよい。
【0020】
重要度情報取得部104は、要素それぞれの重要度を表す重要度情報(重要度ベクトル)を取得する。重要度情報取得部104は、特徴ベクトル取得部101において取得されたそれぞれの要素の特徴ベクトルの中から重要度情報を取得するようにしてもよい。また、重要度情報取得部104は、UI提供部109において提供される重要度情報入力画面から影響推定装置10のユーザ(以下、「ユーザ」という。)が入力した重要度情報を取得する。重要度情報取得部104は、例えば、要素ごとに予め定められた所定の重要度情報を、例えばメモリ等から取得するようにしてもよい。
【0021】
価値情報取得部105は、要素それぞれの価値を表す価値情報(価値ベクトル)を取得する。価値情報取得部105は、特徴ベクトル取得部101において取得されたそれぞれの要素の特徴ベクトルの中から価値情報を取得するようにしてもよい。また、価値情報取得部105は、UI提供部109において提供される価値情報入力画面からユーザが入力した価値情報を取得する。価値情報取得部105は、例えば、要素ごとに予め定められた所定の価値情報を、例えばメモリ等から取得するようにしてもよい。
【0022】
なお、後述する実施形態においては、要素が商材であり、重要度情報が商材の販売量、また、価値情報が商材の価格である場合を例示する。また、後述する他の実施形態において、要素がスケジュールであり、重要度情報がスケジュールの主体の役職である場合を例示する。
【0023】
影響度情報算出部106は、重要度情報取得部104において取得された重要度情報、価値情報取得部105において取得された価値情報、及び類似性情報取得部103において取得された類似性情報に基づき、要素間に生じる影響度を表す影響度情報を算出する。
【0024】
[影響度情報の算出方法]
影響度情報算出部106は、要素間における重要度情報と価値情報に基づき重要度価値情報を算出し、算出した重要度価値情報と類似性情報の積において影響度情報を算出する。重要度情報と価値情報に基づく重要度価値情報の算出は、例えば以下に例示する4つの算出方法によって算出することができる。
【0025】
(第1の算出方法)
影響度情報算出部106は、要素間における重要度情報の差と要素間における価値情報の差を積算することにより重要度価値情報を算出する。第1の算出方法における影響度情報の算出例を式1に示す。
【0026】
【数1】
但し、i:要素i、j:要素j、V
ij:要素iから要素jへの影響度、a1:定数
r
ij:要素iと要素jとの間の類似度、p
i:要素iの価値、p
j:要素jの価値
m
i:要素iの重要度、m
j:要素jの重要度
(pi−pj)*(|mi−mj|)/(Σk=1(rij)*(pi+pj)):重要度価値情報
【0027】
なお、上記式1は、ぞれぞれの要素における重要度情報と価値情報の積を要素間において減算するものである。
【0028】
(第2の算出方法)
影響度情報算出部106は、要素間における重要度情報の差と要素間における価値情報の差を加算することにより重要度価値情報を算出する。第2の算出方法における影響度情報の算出例を式2に示す。
【0029】
【数2】
但し、a2〜a3:定数
(a2*(p
i−p
j)+a3*(m
i−m
j)):重要度価値情報、他は式1と同じ。
【0030】
(第3の算出方法)
影響度情報算出部106は、ぞれぞれの要素における重要度情報と価値情報の和を要素間において減算することにより重要度価値情報を算出する。第3の算出方法における影響度情報の算出例を式3に示す。
【0031】
【数3】
但し、a4〜a5:定数
{a4*(p
i+m
i)−a5*(p
j+m
j)}:重要度価値情報、他は式1と同じ。
【0032】
上記第1の算出方法〜第3の算出方法に示した重要度価値情報の算出方法及び影響度情報は、式1〜式3に示した算出式に限定されるものではない。例えば、上記式1〜式3のいずれか一つの式に、定数や所定の係数を加算又は乗算するようにしてもよい。また、式1〜式3は、要素iと要素jについての算出式を例示しているが、例えば第3の要素として要素kについての項を有する算出式を用いるものであってもよい。
【0033】
影響度情報算出部106は、要素の変更に伴う影響度情報を算出することができる。要素の変更とは、例えば、要素の追加又は削除を含む。要素の変更は、要素の重要度情報、価値情報又は特徴ベクトルの変更であってもよい。
【0034】
例えば、要素が商材である場合、要素の追加とは、市場における新しい商材の販売開始であり、要素の削除とは、市場における商材の販売中止である。商材の追加又は削除に対する影響度情報とは、新しい商材の販売開始に伴う他の商材に対する販売量等に対する影響である。また、要素が商材である場合、価値情報の変更とは商材の価格の変更であり、商材の価格の変更に対する影響度情報とは、他の商材に対する販売量等に対する影響である。影響度情報は、例えば、増減する販売量(数量)、増減する販売量の割合(%)等によって算出される。
【0035】
第1の算出方法〜第3の算出方法に示した算出方法を用いることにより、影響度情報算出部106は、要素間の影響度を少ないデータ数において精度よく算出することが可能となる。
【0036】
推定値算出部107は、影響度情報算出部106において算出された影響度情報に基づき、要素への影響を推定した推定値を算出する。推定値算出部107は、推定値の初期値と算出された影響度情報とに基づき推定値を算出する。推定値は、要素への影響を推定した値であり、初期値に対して影響度情報を適用した数値である。
【0037】
例えば、要素が商材であり、影響度情報が他の商材に対する販売量に対する影響である場合、初期値は要素の変更前の販売量であり、推定値は要素の変更後の販売量の推定値(予想される販売量)である。
【0038】
推定値提供部108は、推定値算出部107において算出された推定値を提供する。推定値提供部108は、表示データ提供部108a、印字データ提供部108b、通信データ提供部108cを有している。
【0039】
表示データ提供部108aは、推定値を表示するための表示データを、例えば影響推定装置10に接続された表示装置に対して提供することにより、推定値をユーザに報知することができる。印字データ提供部108bは、推定値を印字するための印字データを、例えば影響推定装置10に接続された印字装置に対して提供することにより、推定値を印字してユーザに報知することができる。また、通信データ提供部108cは、推定値を、通信回線を介して送信するための通信データを、例えば影響推定装置10に接続された外部サーバに対して提供することにより、推定値を提供することができる。なお、推定値提供部108は、表示データ、印字データ又は通信データ以外の態様において推定値を提供するものであってもよい。例えば、推定値提供部108は、音声データをスピーカ等に出力することによって推定値を提供するものであってもよい。
【0040】
UI提供部109は、ユーザに対して要素の変更の設定を可能とするUIを提供する。UI提供部109は、例えば、重要度情報取得部104によって取得される重要度情報又は価値情報取得部105において取得される価値情報を入力するための表示画面を生成して、キーボード等による入力を可能とする。
【0041】
UI提供部109によって、要素の変更の設定が可能となることにより、ユーザは要素の重要度情報又は価値情報の入力値に対する推定値を対話形式で取得することが可能となる。例えば、要素が商材である場合、ユーザは新たに市場において販売開始する商材の価値情報である価格をUI提供部109に入力することにより、新たに販売開始する商材の推定値である販売予測量と、他の商材の販売に対する影響を対話形式(要素の設定に対して推定値が逐次報知される形式)で取得することができる。UI提供部109は、特徴ベクトル等の要素のパラメータを変更するものであってもよい。
【0042】
通信制御部110は、影響推定装置10と図示しない外部装置との通信を制御する。通信制御部110は、影響推定装置10における上述した各機能において取得等される情報の通信を制御する。
【0043】
上述した機能を有することにより、影響推定装置10は、要素間の影響度を少ないデータ数において精度よく算出し、推定値をユーザに提供することができるとともに、要素の変更に対する推定値の変化を確認容易とすることが可能となる。
【0044】
なお、影響推定装置10が有する、特徴ベクトル取得部101、類似性情報算出部102、類似性情報取得部103、重要度情報取得部104、価値情報取得部105、影響度情報算出部106、推定値算出部107、推定値提供部108、表示データ提供部108a、印字データ提供部108b、通信データ提供部108c、UI提供部109及び通信制御部110の各機能は、上述の通り、ソフトウェアによって実現されるものとして説明した。しかし、影響推定装置10が有する上記機能の中で少なくとも1つ以上の機能は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0045】
また、影響推定装置10が有する上記何れかの機能は、1つの機能を複数の機能に分割して実施してもよい。また、影響推定装置10は、上記何れか2つ以上の機能を1つの機能に集約して実施してもよい。
【0046】
また、影響推定装置10は、1つの筐体によって実現される装置であっても、ネットワーク等を介して接続された複数の装置から実現されるシステムであってもよい。例えば、影響推定装置10は、クラウドコンピューティングシステムによって提供されるクラウドサービス等、仮想的な装置であってもよい。また、影響推定装置10は、サーバ装置等の汎用のコンピュータであってもよく、機能が限定された専用の装置であってもよい。
【0047】
また、影響推定装置10の上記各機能のうち、少なくとも1以上の機能を他の装置において実現するようにしてもよい。すなわち、影響推定装置10は上記全ての機能を有している必要はなく、一部の機能を有するものであってもよい。
【0048】
次に、
図2を用いて、影響推定装置10のハードウェア構成を説明する。
図2は、実施形態における影響推定装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0049】
影響推定装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、HDD(hard disk drive)14、表示制御部15、入力制御部16、通信I/F(Interface)17を有する。
【0050】
影響推定装置10は、サーバ装置、デスクトップ型PC、タブレット型PC等の汎用装置、若しくは影響推定専用の装置である。影響推定装置10は、
図1で説明した影響推定プログラムを実行する。
【0051】
CPU11は、RAM12、ROM13又はHDD14に記憶された影響推定プログラムを実行することにより、影響推定装置10の制御を行う。影響推定プログラムは、例えば、影響推定プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介したプログラム配信サーバ等から取得されて、HDD14にインストールされ、RAM12にCPU11から読出し可能に記憶される。
【0052】
表示制御部15は、表示装置21に表示する表示データを生成する。入力制御部16は、キーボードやマウス等の入力装置22から入力される情報を取得する。なお、表示装置21及び入力装置の代わりに操作入力機能と表示機能とを有するタッチパネルが用いられる場合、表示制御部15及び入力制御部16はタッチパネルの表示及び操作に関する入出力制御を行うものであってもよい。
【0053】
通信I/F17は、ネットワーク90を介して接続されたサーバ91との通信を制御する。サーバ91は、例えば影響推定装置10が取得するデータを保存し、又は影響推定装置10が提供するデータを保存するものであってもよい。また、サーバ91は、上述のように影響推定装置10を制御する影響推定プログラムの一部を記憶し又は実行するものであってもよい。
【0054】
次に、
図3を用いて、影響推定装置10の動作を説明する。
図3は、実施形態に係る影響推定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0055】
なお、
図3に示すフローチャートにおける各処理は、例えば、
図2で説明したCPU11が影響推定プログラムを実行することにより、
図1で説明した各機能を実現することによって実行することができる。以下の説明では、フローチャートの処理は影響推定装置10が実行するものとして説明する。
【0056】
図3において、影響推定装置10は、推定開始の指示があったか否かを判断する(ステップS11)。推定開始の指示があったか否かは、例えば、UI提供部109においてユーザからの要素の変更が設定されたか否か等を検出することによって判断することができる。推定開始の指示は、例えば、「推定開始」のボタン操作等のユーザからの明示的な指示であっても、UI提供部109におけるデータ入力等のユーザからの非明示的な指示であってもよい。
図3に示す動作においては、以下のステップの処理は、推定開始の指示があったときに実行されるものとする。推定開始の指示がないと判断した場合(ステップS11:NO)、影響推定装置10は、ステップS11の処理を繰り返して推定開始の指示がされるのを待機する。
【0057】
一方、推定開始の指示があったと判断した場合(ステップS11:YES)、影響推定装置10は、要素に関する情報を取得する(ステップS12)。要素に関する情報の取得は、例えば、特徴ベクトル取得部101が特徴ベクトルを取得することにより実行することができる。なお、ステップS12の処理においては、例えば既に取得されている特徴ベクトルについては取得せず、新たに追加、削除等の変更がある特徴ベクトル(例えば、差分情報)についてのみを取得するようにしてもよい。
【0058】
ステップS12の処理を実行した後、影響推定装置10は、類似性情報を算出する(ステップS13)。類似性情報の算出は、例えば、類似性情報算出部102が、特徴ベクトル取得部101において取得された特徴ベクトルに基づき算出することができる。
【0059】
ステップS13の処理を実行した後、影響推定装置10は、重要度情報を取得する(ステップS14)。重要度情報の取得は、例えば重要度情報取得部104が重要度情報を取得することにより実行することができる。
【0060】
ステップS14の処理を実行した後、影響推定装置10は、価値情報を取得する(ステップS15)。価値情報の取得は、例えば価値情報取得部105が価値情報を取得することにより実行することができる。
【0061】
ステップS15の処理を実行した後、影響推定装置10は、影響度情報を算出する(ステップS16)。影響度情報の算出は、例えば、影響度情報算出部106が、重要度情報取得部104において取得された重要度情報、価値情報取得部105において取得された価値情報、及び類似性情報算出部102で算出されて類似性情報取得部103において取得された類似性情報に基づき算出することができる。
【0062】
ステップS16の処理を実行した後、影響推定装置10は、推定値を提供する(ステップS17)。推定値の提供は、例えば、推定値提供部108が、推定値算出部107において算出された推定値を、表示データ、印字データ又は通信データとして提供することにより実行することができる。ステップS17処理を実行した後、影響推定装置10は、フローチャートに示す処理を終了する。
【0063】
なお、
図3において示した各ステップの処理の実行順序はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS14の処理とステップS15の処理の実行順序は逆であってもよい。
【0064】
[第1の実施形態]
次に、
図4〜
図7を用いて、第1の実施形態を説明する。第1の実施形態は、影響推定装置10において、商材としてのビールの市場シェアを推定するものである。
図4〜7は、影響推定装置10で用いられるデータ(情報)を表形式で示している。なお、影響推定装置10で用いられるデータの形式は表形式に限定されるものではなく、例えば、CSV(Comma−Separated Values)、XML(ExtensibleMarkupLanguage)等のデータ形式であってもよい。
【0065】
図4は、第1の実施形態に係る影響推定装置で用いられる要素の属性の一例を示す図である。
【0066】
図4において、「製品名」のデータ項目に示す「A」〜「D」はビールの製品名であり、本実施形態における要素を示す。「メーカ名」、「価格」、「t年のシェア」及び「原材料」は、それぞれの要素「A」〜「D」における属性である。ここで、第1の実施形態では、「価格」のデータ項目を、価値情報(p(円))とする。「t年のシェア」のデータ項目を、重要度情報(m(%))とする。さらに、「原材料」のデータ項目を、特徴ベクトルとする。なお、いずれのデータ項目を価値情報等とするかは任意であり、例えば、ユーザが、UI提供部109が提供するUIから指定できるようにしてもよい。
【0067】
製品A〜製品Cは、t年の時点において市場のシェアが、それぞれ30%、50%及び20%のシェアを有している。一方、製品Dは、t年の時点においては販売されておらず、市場のシェアが0%である。第1の実施形態においては、製品Dが新たに販売されて市場に投入されることに伴う影響を推定する。
【0068】
類似度は、類似性を表す類似性情報の一例である。類似度は、特徴ベクトルに基づき算出される。第1の実施形態において、類似度は「原材料」のデータ項目に基づき算出するものとする。「原材料」のデータ項目においては、文字列がカンマ区切りで列挙されて、単語の羅列となっている。第1の実施形態においては、各文字列の平均Jaccard係数を算出することによって、文字列間の類似度を算出する。Jaccard係数を用いることによって、二つの要素間の類似度(r
ij)を算出することができる。Jaccard係数を用いた類似度(r
ij)の算出式を式4に示す。
【0069】
【数4】
但し、SetX、SetYは原材料名であり、式4は、類似度(r
ij)を、原材料が共通する数を原材料の数で割ることにより算出するものである。ここで、文字列が同一である場合、式4の値は1となる。また、共通する文字列が無ければ式4の値は0となる。すなわち、Jaccard係数を用いることにより、原材料の類似度を0〜1の数値で定量化することが可能となる。なお、第1の実施形態においては、Jaccard係数を用いることにより類似度を算出する場合を例示したが、類似度の算出方法はこれに限定されるものではない、例えば、特徴ベクトルが文字列である場合の類似度を、Dice係数又はSimpson係数を用いることにより算出してもよい。また、特徴ベクトルが数値である場合の類似度を平均ユークリッド距離等を用いて算出するようにしてもよい。
【0070】
図5は、第1の実施形態に係る影響推定装置10で算出された類似度の一例を示す図である。
図5は、製品A〜Dの要素に対する製品A〜Dの要素の類似度を示している。
【0071】
図5において、同じ要素同士においては、上述のように類似度は1となる。例えば、製品Aの要素に対する、製品Bの要素の類似度は0.67、製品Cの要素の類似度は0.67、製品Dの要素の類似度は0.5となる。製品Bの要素に対する、製品Cの要素の類似度は0.5、製品Dの要素の類似度は0.75となる。また、製品Cの要素に対する、製品Dの要素の類似度は0.4となる。すなわち、原材料において「麦芽,ホップ,米」が共通する製品Bと製品Dの類似度が0.75で一番高く、原材料において、全ての製品名において含まれる「麦芽,ホップ」以外の原材料の数が多い製品Cと製品Dの類似度が0.4で一番低いことが算出される。
【0072】
次に、
図6を用いて、
図5に示した類似度に基づく影響度の算出結果を説明する。
図6は、第1の実施形態に係る影響推定装置10で算出された影響度の一例を示す図である。
【0073】
図6は、要素iから要素jへの影響度V
ijを、式5を用いて算出した結果を示している。
【0074】
【数5】
但し、r
ii=0とする。式5は、式1の一実施態様である。
【0075】
第1の実施形態において、影響度V
ijは、価値情報である価格pと重要度情報であるt年のシェアmにおいて算出される。また、重要度情報において、m
itは、時点tにおける製品iのシェアを示す。式5において、影響度V
ijが正の値となる場合は、製品iから製品jへシェアが流入して、製品jのシェアが増加したことを示す。一方、影響度V
ijが負の値となる場合は、製品jから製品iへシェアが流入して、製品jのシェアが減少したことを示す。
【0076】
図6において、例えば、V
ABは0、V
ACは0.520、V
ADは1.165である。類似度の大きい製品Bと製品Dにおいて、V
BDは2.790、V
DBは−3.247となる。一方、類似度の小さい製品Cと製品Dにおいて、V
CD及びV
DCは0となる。すなわち、類似度の大きい製品間において、一方の製品から他方の製品に対する影響度が大きくなることを示している。
【0077】
次に、
図7を用いて、
図6に示した影響度に基づく推定値の算出結果を説明する。
図7は、第1の実施形態に係る影響推定装置で算出された推定値の一例を示す図である。
【0078】
第1の実施形態においては、算出する推定値を製品のシェアとする。時点t+1年における製品iのシェアをm
it+1とすると、m
it+1は、例えば、式6で算出することができる。
【0080】
図7において、新たに販売される製品Dのシェアは、8.50%と推定される。製品Dの販売に対して、例えば、製品Aのt+1年におけるシェアは、26.41%と算出される。
図4において製品Aのt年におけるシェアは30%であったため、製品Aはシェアを3.59%減少させると推定される。同様に、製品Bのt+1年におけるシェアは、41.48%と算出される。
図4において製品Bのt年におけるシェアは50%であったため、製品Bはシェアを8.52%減少させると推定される。また、製品Cのt+1年におけるシェアは、23.61%と算出される。
図4において製品Cのt年におけるシェアは20%であったため、製品Cはシェアを3.61%増加させると推定される。
【0081】
なお、ユーザは
図4で示した製品の価格を適宜変更することにより、変更した価格における各製品のシェアに対する影響の変化を容易に推定することが可能となる。
【0082】
[第2の実施形態]
次に、
図8〜
図11を用いて、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、影響推定装置10において、組織における会議等のスケジュールを新たに追加した場合の、他のスケジュールへの影響を推定するものである。
図8〜11は、第1の実施形態と同様に影響推定装置10で用いられるデータ(情報)を表形式で示している。
【0083】
図8は、第2の実施形態に係る影響推定装置10で用いられる社員の属性の一例を示す図である。
【0084】
図8において、「氏名」のデータ項目に示す「A」〜「E」は社員名である。
図8は、それぞれの社員の「役職」と「重要度」を定義している。重要度は役職に応じて、1〜4の数値が設定される。例えば、「役職」が社員である場合重要度は1に、また、「役職」が部長である場合重要度は4に設定されている。
【0085】
図9は、第2の実施形態に係る影響推定装置で用いられる要素の属性の一例を示す図である。
【0086】
図9において、「名称」のデータ項目に示す「1」〜「3」は会議等のスケジュール名であり、本実施形態における要素を示す。「時間」、「参加者」、「重要度m(所要時間)」、「価値p」及び「備考」は、それぞれの要素「1」〜「3」における属性である。ここで、第2の実施形態では、「価値p」のデータ項目を、価値情報(p)とする。「重要度m(所要時間)」のデータ項目を、重要度情報(m)とする。「重要度m(所要時間)」は、スケジュール1〜スケジュール3におけるそれぞれの所要時間(h)を示し、例えば、スケジュール1は2hである。また、「価値p」は、それぞれのスケジュールの参加者の、
図8で説明した「重要度」の総和としている。「時間」は、それぞれのスケジュールの開始時間(時刻)と終了時間(時刻)を示す。「参加者」は、それぞれのスケジュールに参加する社員名を示す。なお、いずれのデータ項目を価値情報等とするかは任意であり、例えば、ユーザが、UI提供部109が提供するUIから指定できるようにしてもよい。
【0087】
スケジュール1は、時間13:00―15:00において開催されて、参加者はA及びBの2名である。スケジュール2は、時間16:00―17:00において開催されて、参加者はC、D及びEの3名である。スケジュール1とスケジュール2は、時間も参加者も重複していない。第2の実施形態においては、スケジュール1とスケジュール2に対して、新たなスケジュール3を新規に追加する場合の影響を推定する。スケジュール3は、時間15:00−16:30において開催され、参加者はB,C及びDの3名を予定している。すなわち、スケジュール3は、スケジュール2と、時間において16:00−16:30で重複し、参加者においてC及びDで重複している。
【0088】
図10は、第2の実施形態に係る影響推定装置10で算出された類似度の一例を示す図である。
【0089】
図10は、スケジュール間の類似度r
ijを、式7〜式9を用いて算出した結果を示している。
【0090】
【数7】
但し、j(hi,hj)はスケジュールiの参加者の集合hiとスケジュールjの参加者の集合hjのJaccard係数
【0091】
【数8】
但し、t
is:スケジュールiの開始時刻、t
ie:スケジュールiの終了時刻
t
js:スケジュールjの開始時刻、t
je:スケジュールjの終了時刻
【0093】
図10において、同じ要素同士における類似度r
iiは0である。例えば、スケジュール1とスケジュール2の類似度r
12(=r
21)は、上述のように時間と参加者における重複がないため、類似度は0と算出される。一方、スケジュール1とスケジュール3の類似度r
13(=r
31)は0.125、また、スケジュール2とスケジュール3の類似度r
23(=r
32)は0.313と算出される。類似度においては、時間と参加者において重複のあるスケジュール2とスケジュール3の類似度の方が、重複のないスケジュール1とスケジュール3の類似度より高く算出されている。
【0094】
図11は、第2実施形態に係る影響推定装置10で算出された影響度の一例を示す図である。
【0095】
第2の実施形態においては、スケジュール間の影響度を式10において算出する。
【0096】
【数10】
式10は、式3の一実施態様である。
【0097】
式10において、スケジュール間の影響度V
ijが、正の値として算出されたときは、スケジュールjがスケジュールiに対し悪い影響を与えていることを示している。この場合、スケジュールiは、スケジュールjに比べて重要であると判断することができる。一方、スケジュール間の影響度V
ijが、負の値として算出されたときは、スケジュールiがスケジュールjに対し悪い影響を与えていることを示している。この場合、スケジュールjは、スケジュールiに比べて重要であると判断することができる。
【0098】
図11において、スケジュール1とスケジュール3の間の影響度は、V
31=−0.188、V
13=0.188と算出される。また、スケジュール2とスケジュール3の間の影響度は、V
32=0.781、V
23=−0.781と算出される。ここでスケジュール3がスケジュール1とスケジュール2に対して与える影響度を比較すると、V
31(=−0.188)が負の値として算出されているのに対して、V
32(=0.781)は正の値として算出されている。すなわち、新たに追加されたスケジュール3による影響は,時間と参加者が重複しているスケジュール2に対する影響よりも、スケジュール1に対して悪影響を与えていると判断することができる。また、V
32(=0.781)の算出結果より、スケジュール3は、スケジュール2に比べて重要であると判断することができる。
【0099】
算出された影響度は、例えば、推定値提供部108等によってユーザに報知するようにしてもよい。この算出結果を報知されたユーザは、例えば、スケジュールを再調整する際に、スケジュール1とスケジュール3に重複した参加者Bの参加を考慮して、例えば、スケジュール3の開始時刻を繰り下げることにより、スケジュール1への悪影響を小さくすることが可能となる。なお、影響度に基づき、スケジュール1〜スケジュール3のうちの少なくとも1つのスケジュールの時間、参加者等を自動的に調整するようにしてもよい。
【0100】
次に、
図12〜
図13を用いて、影響推定装置10が提供するUIを説明する。
図12は、実施形態に係る影響推定装置10が提供する表示画面の一例を示す図である。表示画面は、例えば、UI提供部109において生成されて、表示装置21に表示される。
【0101】
図12において、表示画面1000は、要素表示部1001、詳細表示ボタン1002、要素追加ボタン1003、再計算指示ボタン1004及びグラフ表示ボタン1005を有している。
【0102】
表示画面1000は、例えば、ユーザからの明示的な指示に基づき表示される。要素表示部1001は、
図4〜
図7で例示した、第1の実施形態におけるビールの市場シェアの推定結果を示している。要素表示部1001において、メーカ、製品名、価格(円)及び前年シェア(%)は、要素である製品名の属性であり、予めユーザによって設定される。当年予測シェア(%)は、影響推定装置10において算出された推定値である。要素表示部1001を表示することにより、ユーザは各製品毎の当年シェアを予測することができる。
【0103】
詳細表示ボタン1102は、ユーザがマウス等の操作によって押下することにより、それぞれの要素の詳細を設定可能にするボタンである。製品Dの詳細表示ボタン1102が押下されると、表示画面1100が表示される。表示画面1100は、ユーザに対して要素の詳細を入力可能にするUIである。表示画面1100は、メーカ、製品名、価格(円)、前年シェア(%)及び原材料の設定項目を入力(編集を含む。)可能にする。ユーザは設定項目の入力が完了すると、表示画面1100のOKのボタンを押下する。設定項目の入力結果は要素表示部1001に反映される。なお、要素を削除する場合、表示画面1100の削除ボタンを押下する。
【0104】
再計算指示ボタン1004は、当年予測シェアを再計算するためのボタンである。例えば、表示画面1100において設定項目を入力した後に再計算指示ボタン1004を押下することによって、設定項目入力後の当年予測シェアを再計算することができる。ユーザは、設定項目の入力とそれに対するシェアの再計算を対話形式に実行することにより、例えば製品の目標とする市場シェアにおける適正な価格を容易に推定することが可能となる。
【0105】
グラフ表示ボタン1005は、算出された当年予測シェアをグラフで表示させるためのボタンである。グラフ表示ボタン1005が押下されると、表示画面1200が表示される。表示画面1200は、各製品における前年シェアと当年予測シェアを棒グラフで表示する。
【0106】
なお、表示画面1200において表示されるグラフは、例えば円グラフや折れ線グラフであってもよい。また、表示されたグラフは、キーボードの操作等によりプリンタから印字できるようにしてもよい。また、
図12においては、シェアの予測を年毎に行う場合を示したが、シェアの予測は、例えば、月毎、週毎等において実行できるようにしてもよい。
【0107】
図13は、実施形態に係る影響推定装置10が提供する表示画面の他の一例を示す図である。
【0108】
図13において、表示画面2000は、会議詳細設定部2001、参加者設定ボタン2002及び登録ボタン2003を有している。
【0109】
表示画面2000は、例えば、ユーザからの明示的な指示に基づき表示される。表示画面2000は、
図8〜
図11で例示した、第2の実施形態におけるスケジュールの影響を推定するための設定画面を示している。
【0110】
会議詳細設定部2001は、会議の詳細を設定するための入力を可能にする。ユーザは、会議詳細設定部2001において、会議名、開始日時、終了日時、場所の情報を入力することができる。
【0111】
参加者設定ボタン2002は、会議詳細設定部2001において入力した会議の参加者を登録するためのボタンである。参加者設定ボタン2002が押下されると、参加者登録画面2100が表示される。参加者登録画面2100は、参加者の所属、参加者名、及び役職を入力可能にする。参加者の入力は、例えばプルダウンメニュー等によって選択して入力するものであってもよい。また、参加者の役職は、
図8で示したように、予め設定しておくようにしてもよい。ぞれぞれの参加者には、例えば役職に応じて重要度が予め設定されているものとする。ユーザは参加者登録画面2100において参加者を入力した場合、登録ボタン2101を押下することにより、参加者を確定することができる。
【0112】
表示画面2000の登録ボタン2003は、表示画面2000において入力した会議を影響推定装置10に新規に登録して影響度の推定を開始するためのボタンである。登録ボタン2003が押下されると、確認画面2200が表示される。確認画面2200は、新規に登録した会議の他の会議に対する影響度に基づき、ユーザに注意を与えるための画面である。
【0113】
確認画面2200において、登録されている会議(予定1〜予定3)に関し、開催時間と参加者の情報が表示される。また、確認画面2200には、開催時間が重複している会議における参加者の重複が表示される。
【0114】
また、確認画面2200には、開催時間が連続している会議における参加者の重複が表示される。開催時間が連続している会議における参加者の重複の表示は、例えば、参加者の重要度に応じて表示又は非表示を表示するようにしてもよい。すなわち、スケジュールの影響度を算出するときに参加者の重要度を条件とする場合、重要度の高い参加者のスケジュールを考慮することができる。
【0115】
また、確認画面2200には、優先する会議に関する情報が表示される。優先する会議は、上述のように、V
ijを算出することによって判断することができる。
【0116】
確認画面2200を表示することにより、推定されたスケジュール同士の影響度に基づき、ユーザに対してスケジュールの調整を提案することが可能となる。
【0117】
以上、説明したように、本実施形態における影響推定装置は、複数の要素における要素間の類似性を表す類似性情報を取得する類似性情報取得部と、要素それぞれの重要度を表す重要度情報を取得する重要度情報取得部と、要素それぞれの価値を表す価値情報を取得する価値情報取得部と、取得された重要度情報、価値情報又は類似性情報の少なくともいずれか1つに基づき、要素間に生じる影響度を表す影響度情報を算出する影響度情報算出部とを備える。これによって、影響推定装置は、要素間の影響を少ないデータ数においても精度よく推定することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態における影響推定装置において、算出された影響度情報に基づき、要素への影響を推定した推定値を算出する推定値算出部と、算出された推定値を提供する推定値提供部とをさらに備える。これによって、ユーザに対して、影響度に基づく推定値を提供することが可能となる。
【0119】
また、本実施形態における影響推定装置において、影響度情報算出部は、要素間における重要度情報と価値情報に基づき重要度価値情報を算出し、算出した重要度価値情報と類似性情報の積において影響度情報を算出する。これによって、影響推定装置は、要素間の影響を少ないデータ数においても精度よく推定することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態における影響推定装置において、要素間における前記重要度情報の差と要素間における価値情報の差を積算することにより重要度価値情報を算出する。これによって、影響推定装置は、要素間の影響を少ないデータ数においても精度よく推定することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態における影響推定装置において、影響度情報算出部は、要素間における重要度情報の差と要素間における価値情報の差を加算することにより重要度価値情報を算出する。これによって、影響推定装置は、要素間の影響を少ないデータ数においても精度よく推定することが可能となる。
【0122】
また、本実施形態における影響推定装置において、ぞれぞれの要素における重要度情報と価値情報の積を要素間において減算することにより算出する。これによって、影響推定装置は、要素間の影響を少ないデータ数においても精度よく推定することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態における影響推定方法は、複数の要素における要素間の類似性を表す類似性情報を取得する類似性情報取得ステップと、要素それぞれの重要度を表す重要度情報を取得する重要度情報取得ステップと、要素それぞれの価値を表す価値情報を取得する価値情報取得ステップと、取得された重要度情報、価値情報又は類似性情報の少なくともいずれか1つに基づき、要素間に生じる影響度を表す影響度情報を算出する影響度情報算出ステップとを含む。これによって、影響推定装置は、要素間の影響を少ないデータ数においても精度よく推定することが可能となる。
【0124】
また、本実施形態における影響推定プログラムは、複数の要素における要素間の類似性を表す類似性情報を取得する類似性情報取得処理と、要素それぞれの重要度を表す重要度情報を取得する重要度情報取得処理と、要素それぞれの価値を表す価値情報を取得する価値情報取得処理と、取得された重要度情報、価値情報又は類似性情報の少なくともいずれか1つに基づき、要素間に生じる影響度を表す影響度情報を算出する影響度情報算出処理とをコンピュータに実行させる。これによって、影響推定装置は、要素間の影響を少ないデータ数においても精度よく推定することが可能となる。
【0125】
また、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0126】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0127】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【解決手段】影響推定装置は、複数の要素における要素間の類似性を表す類似性情報を取得する類似性情報取得部と、要素それぞれの重要度を表す重要度情報を取得する重要度情報取得部と、要素それぞれの価値を表す価値情報を取得する価値情報取得部と、取得された重要度情報と価値情報と類似性情報とに基づき、要素間に生じる影響度を表す影響度情報を算出する影響度情報算出部とを備える。