(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着剤層は、粘着剤としてシリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の着色粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[着色粘着テープの構成]
図1は、本実施の形態が適用される着色粘着テープ1の構成の一例を示した図である。
図1に示すように、本実施の形態の着色粘着テープ1は、複合基材2と粘着剤層3とが積層された構造を有している。本実施の形態の着色粘着テープ1は、例えばシート状のウエブや物品等を繋ぎ合わせる等の所謂スプライシングの用途で用いられる。着色粘着テープ1は、ウエブや物品の接合部分を分かりやすくするため、被着体となるウエブや物品の色とは異なる色に着色されている。なお、以下の説明において、粘着剤層3のうち被着体に貼り付けられる面(複合基材2に接する面とは反対側の面)を、貼り付け面3aと呼ぶことがある。
【0010】
また、図示は省略するが、着色粘着テープ1は、複合基材2と粘着剤層3との間に必要に応じてアンカーコート層を備えていてもよい。また、複合基材2の表面(粘着剤層3に対向する面とは反対側の面)に、表面処理が施されていてもよい。さらに、粘着剤層3の表面(複合基材2に接する面とは反対側の面)に、剥離ライナーを備えていてもよい。
【0011】
<複合基材>
上述したように、本実施の形態の複合基材2は、第1基材21と第2基材22との間に、所定の色に着色された着色層23が挟まれて構成されている。言い換えると、複合基材2は、第1基材21、着色層23および第2基材22が、この順で積層された構造を有している。また、本実施の形態の着色粘着テープ1では、粘着剤層3は、複合基材2における第1基材21側の面に積層されている。
本実施の形態の着色粘着テープ1では、複合基材2が、第1基材21と第2基材22とで着色層23が挟まれた積層構造を有することで、着色層23が直接、外気に触れることが抑制される。これにより、例えば基材自身に着色剤を含有する場合や基材の表面に着色を施す場合と比較して、高温下や高温多湿下における着色剤の変色や退色が抑制される。第1基材21、着色層23および第2基材22が積層された構造を有している。
以下、複合基材2を構成する各層について説明する。
【0012】
(第1基材、第2基材)
本実施の形態の第1基材21および第2基材22としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等に代表されるポリエステルフィルム、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエチレンまたはポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート積層フィルム、エチレンプロピレン共重合体ポリプロピレン積層フィルム、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層積層フィルム等を用いることができるが、特に限定されるものではない。
第1基材21および第2基材22は、後述するエルメンドルフ引裂強さの関係を満たすのであれば、同じ材質のフィルムを用いてもよく、異なる材質のフィルムを用いてもよい。
【0013】
また、第1基材21および第2基材22は、その表面に、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、易接着アンカーコート処理等の易接着処理が施されていてもよい。
【0014】
第1基材21および第2基材22の厚さは、それぞれ、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。第1基材21および第2基材22の厚さが30μmより厚くなると、着色粘着テープ1全体の厚さが厚くなる。この場合、例えばシート状のウエブや物品等の被着体同士を接合した後、この被着体を巻回した際に、被着体に段差が生じやすくなり、被着体に段差痕が形成される場合がある。
なお、第1基材21と第2基材22とで同じ材質のフィルムを用いる場合、第2基材22の厚さを第1基材21の厚さよりも薄くすることで、後述するように、第1基材21と第2基材22とのエルメンドルフ引裂強さの関係を満たしやすくなる。
【0015】
(第1基材および第2基材のエルメンドルフ引裂強さ)
本実施の形態の着色粘着テープ1では、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さは、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さ以下となっている。第2基材22のエルメンドルフ引裂強さは、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さよりも小さいことが好ましい。
また、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さは、3mN以上55mN以下の範囲となっている。第2基材22のエルメンドルフ引裂強さは、6.9mN以上35mN以下の範囲であることが好ましい。
詳細については後述するが、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さと第2基材22のエルメンドルフ引裂強さとがこのような関係を有することで、着色粘着テープ1における複合基材2の層間割れが抑制される。
【0016】
なお、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さが3mN未満である場合、第2基材22の強度が不足し、複合基材2にしわが生じたり、複合基材2を作製することが困難になったりする。
また、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さが55mNよりも大きい場合、第2基材22が切断されにくくなるため、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さが第1基材21のエルメンドルフ引裂強さ以下であっても複合基材2の層間割れを抑制することが難しくなる。
【0017】
第1基材21および第2基材22のエルメンドルフ引裂強さは、JISP8116に規定される引裂き試験機を用いて、JISZ0237に基づき測定する。
具体的には、第1基材21または第2基材22を切断し、長さ76mm、幅63±0.2mmの試料を規定枚数作成し、JISP8116に規定される引裂き試験機を用いて測定した引裂き強さに基づき、以下の式により試料(第1基材21または第2基材22)1枚当たりの引裂き強さを算出する。
T=A/S×16
(ただし、T:測定された引裂き強さ(N)、A:目盛の読み(N)、S:引裂き枚数)
【0018】
(着色層)
着色層23は、着色粘着テープ1を所定の色に着色するための着色剤、および第1基材21と第2基材22とを接着するための接着剤を含む。
着色層23の厚さは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましい。着色層23の厚さが過度に厚い場合、着色層23がもろくなりやすく、例えば着色粘着テープ1を切断する際等に着色層23にてクラックが生じる場合がある。また、着色層23の厚さが過度に厚い場合、着色層23の厚さむらが生じやすく、着色粘着テープ1の平滑性が低下するおそれがある。
また、着色層23の厚さは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。着色層23の厚さが0.5μm未満である場合、着色層23による第1基材21と第2基材22との接着力が不十分になりやすい。この場合、複合基材2において第1基材21または第2基材22が剥離するおそれがある。
【0019】
(着色剤)
着色層23に用いられる着色剤としては、特に限定されず、無機顔料、有機顔料、染料等が挙げられる。これらのうち、着色粘着テープ1の耐候性の観点からは、無機顔料を用いることが好ましく、また着色粘着テープ1の製造工程の簡略化の観点からは、染料を用いることが好ましい。
着色層23に用いられる無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカ等が挙げられる。
【0020】
着色層23に用いられる有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。
着色層23に用いられる染料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、フタロシアニン系、カルボニル系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系の染料が挙げられる。
【0021】
(接着剤)
着色層23に用いられる接着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、アミドイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合系樹脂、スチレン・ブタジエンゴム系樹脂、塩化ビニル系樹脂、クロロプレンゴム系樹脂、ニトリルゴム系樹脂、再生ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等の接着剤を用いることができる。
【0022】
<粘着剤層>
粘着剤層3は、粘着剤により形成される。粘着剤層3を構成する粘着剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ホットメルト型の粘着剤等を用いることができる。
これらの中でも、着色粘着テープ1を製造する際の乾燥工程での耐熱性、粘着剤層3上に貼り合わせる剥離ライナーとの関係、材質の異なる多様な被着体に対する粘着特性等の観点から、シリコーン系粘着剤を用いることが好ましい。
【0023】
(シリコーン系粘着剤)
粘着剤層3に用いられるシリコーン系粘着剤としては、付加反応型シリコーン粘着剤および過酸化物硬化型シリコーン粘着剤が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、併用してもよい。
粘着剤層3に用いられる付加反応型シリコーン粘着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、信越化学工業社製のKR3700、KR3701、X−40−3237−1、X−40−3240、X−40−3291−1、X−40−3229、X−40−3270、X−40−3306や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSR1512、TSR1516、XR37−B9204や、東レ・ダウコーニング社製のSD4584、SD4585、SD4560、SD4570、SD4600PFC、SD4593等があげられる。
【0024】
付加反応型シリコーン粘着剤を架橋するための架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、信越化学工業社製のX−92−122や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のCR50や、東レ・ダウコーニング社製のBY24−741等を用いることができる。
【0025】
粘着剤層3に用いられる過酸化物硬化型シリコーン粘着剤としては、信越化学工業社製のKR100、KR101−10や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のYR3340、YR3286、PSA610−SM、XR37−B6722や、東レ・ダウコーニング社製のSH4280等があげられる。
【0026】
過酸化物硬化型シリコーン粘着剤を架橋するための架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾイールペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1′−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン等があげられる。
【0027】
(アクリル系粘着剤)
粘着剤層3に用いられるアクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と極性基含有単量体との共重合体と架橋剤からなる。アクリル系粘着剤を用いる場合、アクリル系粘着剤中の溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)または水を乾燥させることで、粘着剤層3を形成する。または、アクリル系粘着剤中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、極性基含有単量体及び多官能アクリレートに、光重合開始剤(例えば、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア369、イルガキュア819(BASFジャパン社製)、Chivacure TPO、Chivacure107、Chivacure173、Chivacure1256(チャイテック社製)等)を0.001〜5.0重量部添加し、紫外線(UV)重合させることで、粘着剤層3を形成する。
【0028】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と極性基含有単量体との共重合体とは、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸イソオクチルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの共重合体、アクリル酸ブチルとアクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの三元共重合体等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
【0029】
上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基などで代表される通常、炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。なお、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独もしくは2種以上で使用される。
上述した極性基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、アクリル酸−β−カルボキシエチル(β−CEA)、メタクリロニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン等で代表される、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の極性基を有する重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0030】
また、アクリル系粘着剤層の粘着付与剤とは、耐候性の高い水素化ロジン樹脂(完全水素化ロジン樹脂)、脂肪族完全飽和炭化水素樹脂、水素化テルペン樹脂(完全水素化テルペン樹脂)またはシランカップリング剤であって、具体的には、パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604(以上、荒川化学工業社製)、アルコンP−70、アルコンP−100、アルコンP−115、アルコンP−125、アルコンP−140(以上、荒川化学工業社製)、クリアロンP−85、クリアロンP−105、クリアロンP−115、クリアロンP−125、クリアロンM−105、クリアロンK−100、クリアロンK−110(以上、ヤスハラケミカル製)及びシランカップリング剤Z−6011、Z−6020、Z−6050、Z−6041、Z−6044、Z−6920、Z−6075、Z−6300、Z−6825、Z−6033、Z−6062、Z−6860(以上、東レ・ダウコーニング社製)等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
【0031】
また、アクリル系粘着剤層の架橋剤とは、例えば、分子中にイソシアネート基(ポリイソシアネート)、グリシジル基(エポキシ樹脂)等の官能基を2個以上持つもの、または、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートなどの多官能アクリレート、または、金属キレート化合物が存在する。具体的には、コロネートL、コロネートL−55E、コロネートL−45E(以上、東ソー社製)、TETRAD−C、TETRAD−X(以上、三菱瓦斯化学社製)、硬化剤E−AX、硬化剤E−5C、硬化剤E−100X、硬化剤M−5、硬化剤M−5A(以上、綜研化学社製)、A−HD−NA−1000(以上、新中村化学工業社製))等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
【0032】
(ゴム系粘着剤)
粘着剤層3に用いられるゴム系粘着剤(天然ゴム粘着剤および合成ゴム粘着剤)としては、主にエラストマー、粘着付与剤、軟和剤、老化防止剤等が添加配合された組成物が用いられる。これらのうち溶剤型のゴム系粘着剤を用いる場合には、ゴム系粘着剤に含まれる溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)を乾燥させ、またエマルジョン型のゴム系粘着剤を用いる場合には、ゴム系粘着剤に含まれる水を乾燥させ、複合基材2上に粘着剤層3として形成する。
ゴム系粘着剤のエラストマーとしては、天然ゴム、再生天然ゴム、イソプレン、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体エラストマー等が使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0033】
(粘着剤層の厚さ)
本実施の形態の着色粘着テープ1では、粘着剤層3の厚さは、150μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましい。粘着剤層3の厚さが150μmより厚くなると、着色粘着テープ1全体の厚さが厚くなるため、例えばシート状のウエブや物品等の被着体同士を接合した後、この被着体を巻回した場合に、被着体に段差が生じやすくなり、被着体に段差痕が形成される場合がある。
また、粘着剤層3の厚さは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。粘着剤層3の厚さが5μmよりも薄い場合、粘着剤層3による粘着力が低下しやすく、被着体同士を接合できずに剥がれるおそれがある。
【0034】
[着色粘着テープの製造方法]
続いて、本実施の形態の着色粘着テープ1の製造方法の一例について説明する。着色粘着テープ1は、複合基材2を形成した後、複合基材2に対して粘着剤層3を積層することにより形成される。なお、着色粘着テープ1の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
図2(a)〜(c)は、着色粘着テープ1の製造方法の一例を示す図である。
図2(a)は、着色粘着テープ1の原反を切断する状態を示した図であり、
図2(b)および
図2(c)は切断後の着色粘着テープ1の状態を示している。
【0035】
まず、第1基材21上に、着色層23を構成する着色接着剤をグラビアロール等で塗布する。続いて、第1基材21に塗布した着色接着剤を、所定の温度で加熱することで乾燥させた後、着色接着剤上に第2基材22を貼り合わせる。
続いて、必要に応じて第2基材22上に剥離処理等を施し、第1基材21、着色層23および第2基材22が順に積層された複合基材2が得られる。
【0036】
この例では、複合基材2を作製するに際し、着色層23を構成する着色接着剤を第1基材21に塗布、乾燥させているため、着色接着剤を乾燥する工程において、着色接着剤とともに第1基材21も加熱される。そして、加熱により第1基材21が収縮し、第1基材21を構成するフィルムの分子密度が高まることで、第1基材21の強度が向上する。
このため、例えば第1基材21と第2基材22とで、同じ厚さ・材質のフィルムを用いた場合であっても、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さを第2基材22のエルメンドルフ引裂強さ以上とすることが可能となる。
【0037】
続いて、作製した複合基材2の第1基材21上に、粘着剤を塗布し、粘着剤層3を形成する。
具体的には、例えば付加反応型のシリコーン粘着剤を用いる場合には、シリコーン粘着剤をトルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解した溶液に、付加反応型シリコーン粘着剤に有効な架橋剤を添加して粘着剤組成物とする。次いで、この粘着剤組成物を、複合基材2の第1基材21に対して、乾燥後の厚さが均一となるように、コンマコーターやリップコーター等で塗布する。その後、塗布した粘着剤組成物を所定の温度で乾燥させることで、複合基材2上に粘着剤層3が積層された着色粘着テープ1の原反が得られる。
【0038】
得られた着色粘着テープ1の原反は、粘着剤層3側が内側となるようにロール状に巻き取られた後、
図2(a)に示すように、丸刃C等の切断装置を用いて所定の幅に切断され、製品化される。具体的には、
図2(a)に示すように、ロール状に巻かれた着色粘着テープ1に対して、軸方向に直交する方向に丸刃Cを進行させることで、着色粘着テープ1を切断する。
これにより、
図2(b)に示すように、所定の幅の着色粘着テープ1が得られる。そして、所定の幅に切断された着色粘着テープ1は、上述したスプライシング等の用途に使用される。
【0039】
ところで、着色粘着テープ1の原反を丸刃C等で切断する際に、
図2(a)にて破線矢印で示すように、ロール状の着色粘着テープ1に対して丸刃Cの角度や進行方向がずれる場合がある。
丸刃Cの角度や進行方向がずれた場合、
図2(c)に示すように、切断後の着色粘着テープ1の幅方向端部に切れ込みXが生じる所謂二重切れが発生する場合がある。具体的には、ロール状に巻かれた着色粘着テープ1の幅方向端部に、複合基材2側から切れ目が入る場合がある。
【0040】
そして、着色粘着テープ1を使用する際に巻き戻すと、この二重切れ部分を起点として、複合基材2の第1基材21と着色層23との界面、または第2基材22と着色層23との界面で剥がれ(複合基材2の層間割れ)が生じる場合がある。そして、着色粘着テープ1を巻き戻すに伴って着色粘着テープ1の長さ方向(周方向)に亘って連続して複合基材2の層間割れが生じた場合には、粘着剤層3が第1基材21と第2基材22とに挟まれた状態となる。
【0041】
図3(a)〜(b)は、複合基材2に層間割れが生じた場合の着色粘着テープ1の状態を示した図である。例えば、複合基材2の第2基材22と着色層23との界面が剥がれた場合には、
図3(a)に示すように、着色粘着テープ1の表面に着色層23および第2基材22が露出し、粘着剤層3は、第1基材21と第2基材22とに挟まれた状態となる。また、複合基材2の第1基材21と着色層23との界面が剥がれた場合には、
図3(b)に示すように、着色粘着テープ1の表面に第1基材21および着色層23が露出し、粘着剤層3は、第1基材21と第2基材22とに挟まれた状態となる。
この場合、粘着剤層3の貼り付け面3aが着色粘着テープ1の表面に露出しないため、着色粘着テープ1を被着体に貼り付けることができなくなり、着色粘着テープ1を使用することができない。
【0042】
[本実施の形態の着色粘着テープの作用について]
これに対し、本実施の形態の着色粘着テープ1では、複合基材2の第1基材21と第2基材22とのエルメンドルフ引裂強さの関係を特定することにより、例えば着色粘着テープ1に二重切れ等が生じた場合であっても、複合基材2の層間割れを抑制し、粘着剤層3が第1基材21と第2基材22とに挟まれた状態で着色粘着テープ1が巻き戻されることを抑制する。
【0043】
すなわち、上述したように、本実施の形態の着色粘着テープ1では、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さが、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さと比較して弱くなっている。言い換えると、本実施の形態の複合基材2では、第1基材21と比較して第2基材22が切断されやすくなっている。
このため、例えば着色粘着テープ1の原反を切断する際に、着色粘着テープ1の端部に二重切れが生じた場合に、着色粘着テープ1を巻き戻す際に複合基材2に加わる力によって、二重切れが生じた部分が第2基材22で切断される。
【0044】
この結果、複合基材2の層間割れが抑制され、
図3(a)〜(b)に示したように粘着剤層3が第1基材21と第2基材22とに挟まれた状態で着色粘着テープ1が巻き戻されることが抑制される。言い換えると、着色粘着テープ1に二重切れが生じた場合であっても、第2基材22が切断されることで、粘着剤層3の貼り付け面3aが露出するようになる。
これにより、着色粘着テープ1を正常な積層状態で巻き戻すことが可能となり、着色粘着テープ1を用途に沿って用いることができる。
【0045】
なお、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さが第2基材22のエルメンドルフ引裂強さと比較して弱い場合、着色粘着テープ1は、第1基材21において切断されやすくなる。この場合、粘着剤層3の貼り付け面3aには第2基材22が積層された状態が維持され、着色粘着テープ1を正常な積層状態で巻き戻すことはできない。
【0046】
ここで、上述したように、本実施の形態の着色粘着テープ1では、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さは、3mN以上55mN以下の範囲となっている。第2基材22のエルメンドルフ引裂強さをこのような範囲とすることで、着色粘着テープ1に二重割れが生じた場合に、着色粘着テープ1を巻き戻す際に生じる応力により、第2基材22を切断することが可能となる。なお、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さが55mNよりも大きい場合、着色粘着テープ1を巻き戻す際に第2基材22が容易に切断されないため、着色粘着テープ1の層間割れを防止することが困難になる。
【実施例】
【0047】
続いて、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
1.着色粘着テープ1の作製
(実施例1)
メチルエチルケトン9.2重量部に、油溶性有機染料(オリヱント化学工業社製VALIFAST YELLOW 3150)0.16重量部、および銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(オリヱント化学工業社製VALIFAST BLUE 2670)0.21重量部を均一に溶解した溶剤に、ポリエステル系樹脂(東洋モートン社製AD−900)15重量部、ポリイソシアネート(東洋モートン社製CAT−RT85)2.25重量部を均一に溶解し、着色接着剤Aを得た。
得られた着色接着剤Aを、厚さ25μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)からなる第1基材21上に、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、100℃で30秒乾燥させた後、厚さ12μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)からなる第2基材22を貼り合わせた。その後、第1基材21の表面にアンカーコート剤を施し、第2基材22の表面に剥離処理剤を施し、複合基材2を得た。
【0049】
過酸化物硬化型シリコーン粘着剤(信越化学工業社製KR100)100重量部、ベンゾイールペルオキシド(日本油脂社製ナイパーBMT−K40)2重量部、トルエン50重量部を均一に溶解し、粘着剤aを得た。
【0050】
得られた粘着剤aを、複合基材2のうちアンカーコート剤を施した第1基材21表面に、乾燥後の厚さが30μmとなるように塗工・乾燥して粘着剤層3を形成し、着色粘着テープ1を得た。
【0051】
(実施例2)
付加反応型シリコーン粘着剤(信越化学工業社製KR3700)100重量部、触媒(信越化学工業社製CAT−PL−50T)0.5重量部、トルエン50重量部を均一に溶解し、粘着剤bを得た。
粘着剤aに替えて粘着剤bを使用した以外は、実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を作製した。
【0052】
(実施例3)
アクリル系粘着剤(昭和電工社製ビニロールPSA SV−6460)100重量部、硬化剤(綜研化学社製E−AX)0.5重量部を均一に溶解し、粘着剤cを得た。
粘着剤aに替えて粘着剤cを使用した以外は、実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を作製した。
【0053】
(実施例4)
天然ゴム(ペールクレープ)をミキシングロールで素練りし、ムーニー粘度ML(100℃)が50の素練りゴムを得た。得られた素練りゴム20重量部、脂環族飽和炭化水素石油樹脂(荒川化学工業社製アルコンP−115)15重量部、酸化防止剤(BASFジャパン社製イルガノックス1010)、硬化剤(東ソー社製コロネートL−55E)1.5重量部、トルエン100重量部を均一に溶解して粘着剤dを得た。
粘着剤aに替えて粘着剤dを使用した以外は、実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を作製した。
【0054】
(実施例5)
第1基材21として厚さ40μmのPPフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして、着色粘着テープ1を作製した。
【0055】
(実施例6)
第1基材21として厚さ25μmのPIフィルム(東レ・デュポン社製カプトン100H)を用いた以外は実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を作製した。
【0056】
(実施例7)
第1基材21として厚さ19μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)、第2基材22として厚さ25μmのPPSフィルム(東レ社製トレリナ3030)を用いた以外は実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を作製した。
【0057】
(実施例8)
第1基材21および第2基材22として厚さ12μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)を用いた以外は実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を得た。
【0058】
(実施例9)
第1基材21として厚さ100μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)、第2基材22として厚さ50μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)を用いた以外は実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を得た。
【0059】
(比較例1)
第1基材21として厚さ12μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)、第2基材22として厚さ25μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)を用いた以外は実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を得た。
【0060】
(比較例2)
第1基材21として厚さ25μmのPPSフィルム(東レ社製トレリナ3030)、第2基材22として厚さ19μmのPETフィルム(南亞プラスチック社製BP21)を用いた以外は実施例1と同様にして、着色粘着テープ1を得た。
【0061】
2.層間割れ試験
実施例1〜実施例9および比較例1、比較例2にて作製した着色粘着テープ1について、以下の方法により複合基材2の層間割れの発生の有無を評価した。
すなわち、JISZ0237に記載される高速巻き戻し力試験に準拠して、
図4(巻き戻し力測定装置を示した図)に示した装置を用いて着色粘着テープ1を巻き戻した際に、複合基材2の層間割れが生じるか否かを評価した。
【0062】
評価を行う着色粘着テープ1のサンプルとしては、長さ50mの着色粘着テープ1の原反をロール状に巻き回したものを、端面に二重切れが生じるように、幅10mmに切断したものを用いた。
また、巻き戻し力測定装置による巻き戻し速度は、60m/minとした。
【0063】
3.評価結果
実施例1〜実施例9および比較例1、2の着色粘着テープ1の複合基材2における第1基材21、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さ、および層間割れ試験による評価結果について、表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示すように、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さが、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さ以下、且つ3mN以上55mN以下の範囲である実施例1〜実施例9では、層間割れ試験において複合基材2の層間割れが発生しないことが確認された。
これに対し、第2基材22のエルメンドルフ引裂強さが、第1基材21のエルメンドルフ引裂強さよりも大きい比較例1および比較例2では、層間割れ試験において複合基材2の層間割れが発生することが確認された。