【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、薬物の用量の設定中に圧縮される圧縮ばねを含む、薬物送達デバイス用のアセンブリが提供される。アセンブリは、さらにスリーブ部材を含み、圧縮ばねは、スリーブ部材と直接接触し、圧縮ばねおよびスリーブ部材は、圧縮ばねの弛緩が近位方向でスリーブ部材の回転および軸方向運動を生じるように構成される。それにより、薬物送達デバイスからの用量の投薬が引き起こされる。近位方向は、デバイスの投薬端から離れる方向でよい。
【0009】
圧縮ばねは、エネルギーを貯蔵するために変形、特に圧縮される要素でよい。このエネルギーは、圧縮ばねが弛緩されるときに解放される。それにより、圧縮ばねは、アセンブリの別の構成要素を駆動するように構成される。
【0010】
圧縮ばねの使用の利点は、アセンブリ内への圧縮ばねの挿入が単純であり得ることである。特に、圧縮ばねは、単に、アセンブリ内に軸方向で挿入されればよい。特に、圧縮ばねを駆動アセンブリの任意の他の部分にねじって固定する必要はない。圧縮ばねは、アセンブリの任意の構成要素に固定連結されずに、2つの支承面間に配置される。圧縮ばねの回転位置は重要でない。さらに、組立て中に圧縮ばねが圧縮されるだけでよいので、圧縮ばねの予張力の印加(pre−tensioning)は容易であり得る。たとえば、支承面間の距離は、非圧縮状態での圧縮ばねの軸方向長さよりも小さいことがある。それにより、圧縮ばねは、組立て中に自動的に予張力を印加される。再使用可能な薬物送達デバイスで圧縮ばねが使用される場合、デバイスのリセットは単純であり得る。
【0011】
スリーブ部材は、用量の設定中にユーザによって回転される。スリーブ部材の回転は、圧縮ばねの圧縮を引き起こすことがある。スリーブ部材は、たとえば、設定された用量の量をユーザに示すインジケータでよい。
【0012】
アセンブリは、用量設定部材を含むことがあり、用量設定部材は、用量を設定するために用量設定方向に回転されるように構成される。スリーブ部材は、ユーザが用量設定部材を回転させるときに回転される。好ましくは、スリーブ部材は、用量の設定中、遠位方向で回転および軸方向の複合運動を行うことができる。遠位方向は、デバイスの投薬端に向かう方向でよい。用量のキャンセル中、スリーブ部材は、近位方向で回転および軸方向の複合運動を行うことができる。用量のキャンセル中、圧縮ばねの弛緩が可能にされる。
【0013】
一実施形態によれば、アセンブリはアクチュエータを含み、アクチュエータは、用量を投薬するためにユーザによって操作されるように構成される。アクチュエータは、ボタンでよい。特に、アクチュエータは、ユーザによって圧縮される。圧縮ばねは、アクチュエータが動作されるときに弛緩することが可能になる。
【0014】
圧縮ばねは、コイルばねでよい。圧縮ばねは、スリーブ部材に力を及ぼすことがある。力は、近位方向に向けられる。デバイスがユーザによって作動され、圧縮ばねが弛緩することが可能になるとき、圧縮ばねは、スリーブ部材の運動を引き起こすことができる。
【0015】
アセンブリは、ハウジングを含むことがある。ハウジングは、支承面を含むことがある。特に、ハウジングは、突起を含むことがあり、支承面は、突起に位置する。支承面は、デバイスの近位端に向けられる。デバイスの近位端は、デバイスの投薬端から最も離れた端部でよい。圧縮ばねは、ハウジングの支承面とスリーブ部材との間に配置される。一実施形態では、スラストワッシャが、支承面と圧縮ばねとの間、およびスリーブ部材と圧縮ばねとの間に配置される。それにより、特に、ハウジングとスリーブ部材がプラスチック材料を含み、圧縮ばねが金属材料を含むときに、アセンブリの構成要素の摩耗が妨げられる。
【0016】
一実施形態によれば、スリーブ部材は、ねじ山を含む。スリーブ部材は、ねじ山によってハウジングと係合することができる。特に、スリーブ部材は、スリーブ部材の回転がハウジングに対するスリーブ部材の軸方向運動を引き起こすようにハウジングと係合することができる。特に、スリーブ部材は、用量設定方向に回転されるとき、遠位方向に移動される。それにより、スリーブ部材は、圧縮ばねを圧縮する。用量設定方向は、たとえば時計方向でよい。用量の投薬中または用量のキャンセル中、スリーブ部材は、用量投薬方向に回転される。それにより、スリーブ部材は、デバイスの近位端に向けて移動される。スリーブ部材は、止め具機能に当接するまで、デバイスの近位端に向けて移動される。
【0017】
一実施形態によれば、アセンブリは、ピストンロッドを含む。圧縮ばねの弛緩は、ピストンロッドを遠位方向に移動させることができる。
【0018】
一実施形態によれば、アセンブリは、駆動要素を含む。駆動要素は、遠位方向でピストンロッドの運動を引き起こすように構成される。駆動要素は、ピストンロッドと係合される。たとえば、駆動要素はスプラインを含むことがあり、スプラインは、ピストンロッドの対応する溝と係合される。溝は、ピストンロッドの全長に沿って延びることがある。特に、駆動要素は、ピストンロッドに対して軸方向に可動でよい。さらに、駆動要素は、ピストンロッドに対して回転方向に固定される。
【0019】
一実施形態によれば、アセンブリは、回転部材を含む。スリーブ部材は、回転部材に対して回転方向に固定されるが、軸方向に可動である。たとえば、スリーブ部材は、スプラインを含むことができ、スプラインは、回転部材の対応する溝に係合する。スリーブ部材は、回転部材の周りに同心に配置される。回転部材は、用量の設定中および投薬中に回転される。用量の設定中には、回転部材は、用量設定方向、たとえば時計方向に回転される。用量の投薬中には、回転部材は、用量投薬方向、たとえば反時計方向に回転される。
【0020】
一実施形態によれば、用量の設定中の回転部材の回転は、スリーブ部材を回転させて遠位方向に軸方向移動させ、それにより圧縮ばねが圧縮される。回転部材は、用量設定部材を回転させることによって回転される。特に、用量設定方向での用量設定部材の回転は、用量設定方向での回転部材の回転を引き起こすことができる。
【0021】
一実施形態によれば、アセンブリは、駆動軸を含むことがある。駆動軸は、スプラインによって用量設定部材に連結され、スプラインは、用量設定部材の対応する溝と係合する。回転部材は、駆動軸によって用量設定部材に連結される。用量の投薬中、駆動軸は、用量設定部材から係合解除される。
【0022】
一実施形態によれば、アセンブリは、ロッキング部材を含むことがある。ロッキング部材は、用量の設定中、ハウジングに対して固定される。特に、ロッキング部材とハウジングは、対応する係合手段を含むことがある。対応する係合手段は、用量の設定中に係合される。回転部材は、ロッキング部材に結合される。ロッキング部材は、用量の設定中に用量投薬方向での回転部材の意図しない回転を妨げるように構成される。それにより、ロッキング部材は、圧縮ばねの弛緩を妨げることができる。この目的で、回転部材は、ラチェット機構を含むことがある。回転部材は、ラチェット機構によってロッキング部材に連結される。ラチェット機構は、ラチェットアームを含むことがある。ラチェットアームは、用量投薬方向での回転部材の意図しない回転が妨げられるようにロッキング部材に係合される。ラチェット機構は、ロッキング部材に対する用量設定方向で回転部材の回転を可能にすることができる。
【0023】
アクチュエータが作動されるとき、回転部材は、ロッキング部材を移動させて、ハウジングとのロッキング部材の係合を解除することができる。さらに、用量の投薬中、回転部材の回転は、ロッキング部材の回転を引き起こすことができる。
【0024】
アクチュエータが作動されるとき、ロッキング部材は、用量投薬方向で回転部材の回転を可能にすることができる。特に、ロッキング部材は、用量の投薬中、ハウジングから係合解除される。それにより、圧縮ばねの弛緩が可能にされる。特に、アクチュエータが作動されるとき、圧縮ばねは、スリーブ部材の回転を引き起こす。さらに、スリーブ部材は、スリーブ部材と回転部材の係合により、回転部材を回転させる。
【0025】
駆動要素は、ロッキング部材に固定して連結され、それにより、駆動部材は、少なくとも用量の設定中、ロッキング部材によってハウジングに対して固定される。駆動要素とロッキング部材は互いに対して固定され、それにより、ロッキング部材の運動は、駆動要素の対応する運動を引き起こす。特に、用量の投薬中の回転部材の回転は、駆動要素の対応する回転を引き起こすことができる。それにより、ピストンロッドの回転が引き起こされる。
【0026】
用量の投薬中、ロッキング部材は、ハウジングに対して回転することができる。それにより、駆動要素は、用量の投薬中にハウジングに対して回転することができる。それにより、駆動要素は、ピストンロッドを移動させることができる。ロッキング部材の回転を可能にするために、ロッキング部材は、ハウジングとのその係合から解放されなければならない。たとえば、ロッキング部材は、ロッキング部材の回転を可能にするためにハウジングに対して軸方向に移動されなければならない。たとえば、ロッキング部材は、ロッキング部材の回転を可能にするために遠位方向に移動される。
【0027】
一実施形態によれば、アセンブリは、案内要素を含む。案内要素は、ハウジングに対して固定される。さらに、案内要素は、ピストンロッドと係合することができる。案内要素は、ピストンロッドの運動に影響を及ぼすことがある。たとえば駆動要素の回転によりピストンロッドが回転されるとき、ピストンロッドは、案内要素とのその協働により、軸方向で移動される。特に、ピストンロッドは、用量の設定中、遠位方向に移動されるように駆動要素によって回転される。それにより、薬物送達デバイスから用量が投薬される。一実施形態によれば、案内要素は、ピストンロッドとねじ係合することができる。
【0028】
好ましい実施形態によれば、アセンブリは、駆動要素の回転がピストンロッドの回転運動を引き起こすように構成される。特に、駆動要素の回転が、ピストンロッドの軸方向および回転の複合運動を引き起こす。特に、ピストンロッドが駆動要素によって回転されるとき、ピストンロッドは、案内要素を通って回転する。用量の設定中、駆動要素は、ハウジングに対して固定される。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、薬物送達デバイスが提供される。薬物送達デバイスは、前述したように構成されたアセンブリを含む。
【0030】
薬物送達デバイスは、注射デバイス、特にペン型のデバイスでよい。薬物送達デバイスは、ユーザに薬物の用量を送達するのに適していることがある。用量は、アクチュエータを押し下げることによって送達される。薬物送達デバイスは、ユーザが用量のサイズを選択することができるように、可変用量デバイスでよい。特に、ユーザは、用量設定部材を回転させることによって用量のサイズを選択することができる。薬物送達デバイスは、複数回用量用途(multiple dose application)向けに構成される。薬物は、注射針によってユーザに送達される。デバイスは、使用準備の整った完全に組み立てられた状態でユーザに送達される。特に、デバイスは、充填済みでよい。薬物送達デバイスは、使い捨てデバイスでもよい。用語「使い捨て」は、利用可能な量の薬物が薬物送達デバイスから送達された後には薬物送達デバイスを再使用することができないことを意味する。代替として、薬物送達デバイスは、再使用可能なデバイスでもよい。薬物送達デバイスは、液体薬物を送達するように構成される。薬物は、たとえば、インスリンでよい。
【0031】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0032】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0033】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0034】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0035】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0036】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0037】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0038】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0039】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0040】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0041】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0042】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0043】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0044】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0045】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0046】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0047】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0048】
さらなる特徴、改良、および便宜は、図面に関連する例示的実施形態の以下の説明から明らかになる。