(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キュー発生器は、前記視覚チャネルに対する前記眼の前記配向の関数として、デューティサイクルで変化する音を生じるように構成されている、請求項5に記載の眼科装置。
前記判定論理は、前記2つの眼のうちの1つと前記それぞれの近位ポートとの間に配置された眼鏡レンズの処方が前記眼にとって所定の範囲内で正しいかどうかを計算するように構成されている、請求項2に記載の眼科装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、眼球系の光学性質を判定する方法を提供する。本方法は、予測ユーザが、予測ユーザの手で開放視野光学装置の重量全体を支持することを可能にするステップを含む。
本装置は、第1の近位ポートおよび遠位ポートを有する。第1の近位ポートおよび遠位ポートは、第1の近位ポートから遠位ポートまで視覚チャネルをともに形成する。予測ユーザは、装置の移動の全ての自由度の完全な物理的制御を有する。本方法は、第1の近位ポートに近接して予測ユーザの眼を位置付けるステップを含む。眼は、有効無限遠で焦点を合わせられる。眼の光学性質が測定される。
【0007】
眼の焦点を合わせるステップは、装置の外部の標的指標を視認することによって、有効無限遠で眼の焦点を合わせるステップを含んでもよい。
【0008】
眼の焦点を合わせるステップは、少なくとも部分的に視覚チャネルを通して、有効無限遠で眼の焦点を合わせるステップを含んでもよい。
【0009】
本方法はまた、近位ポートを通して波面を生じるように眼を照射するステップと、波面誤差を判定するステップとを含んでもよい。
【0010】
本方法はまた、波面誤差から屈折処方を計算するステップを含んでもよい。
【0011】
装置の外部の標的指標を視認するステップは、遠位ポートを通して標的指標を視認するステップを含んでもよい。
【0012】
本方法はまた、装置に連結される標的光源によって標的光線を生成するステップと、標的光線を用いて標的指標を生じるステップとを含んでもよい。
【0013】
標的指標を視認するステップは、遠位ポートから少なくとも約20フィートの標的指標を視認するステップを含んでもよい。
【0014】
眼の光学性質を測定するステップは、装置内の波面収差計を用いて、眼の光学性質を測定するステップを含んでもよい。
【0015】
本装置は、第1の近位ポートとともに両眼構成を形成する、第2の近位ポートを含んでもよい。本方法はさらに、第2の近位ポートに近接して予測ユーザの他方の眼を位置付けるステップを含んでもよい。
【0016】
本方法はさらに、有効無限遠で他方の眼の焦点を合わせるステップと、他方の眼の光学性質を測定するステップとを含んでもよい。
【0017】
本装置は、ハンドルを含んでもよい。本方法は、予測ユーザの手によってハンドルを保持するステップを含んでもよい。
【0018】
本方法は、予測ユーザの眼と第1の近位ポートとの間にレンズを配置するステップと、眼鏡レンズの処方が、ユーザの眼にとって、所定の範囲内で正しいかどうかを計算するステップとを含んでもよい。
【0019】
眼鏡レンズの処方が正しいかどうかを計算するステップは、波面誤差の判定に基づいて、眼鏡レンズの処方が正しいかどうかを計算するステップを含んでもよい。
【0020】
予測ユーザの眼と第1の近位ポートとの間にレンズを配置するステップは、予測ユーザの眼と第1の近位ポートとの間に少なくとも2つのレンズを配置するステップを含んでもよい。
【0021】
予測ユーザの眼と第1の近位ポートとの間にレンズを配置するステップは、予測ユーザの眼と第1の近位ポートとの間に既知の光学性質を伴うレンズを配置するステップを含んでもよい。眼鏡レンズの処方が正しいかどうかを計算するステップは、配置されたレンズの既知の光学性質を使用して、眼の光学性質を測定するステップを含んでもよい。
【0022】
本発明の別の実施形態は、眼を受容するように構成される近位ポートを有する、非定常本体を含む、光学装置を提供する。本体はさらに、遠位ポートを有し、近位ポートから遠位ポートまで視覚チャネルを形成する。視覚チャネルは、眼が、本体の外部にあり、かつそこから離間した標的指標を見ることを可能にするように、開放視野である。本体内の処理構成要素は、近位ポートを通して受容される波面を受容して、眼球系の光学性質を判定することに寄与するように構成される。
【0023】
光学装置はまた、処理構成要素に給電するためのバッテリを本体内に含んでもよい。
【0024】
本体は、顎支持体がなくてもよい。
【0025】
本体はさらに、予測ユーザの少なくとも片手によって握持するためのハンドルを含んでもよい。
【0026】
本体は、装置を可搬性にするように構成されてもよい。
【0027】
処理構成要素は、オペレータ相互作用を伴わずに処方を判定することに寄与するように構成されてもよい。
【0028】
本体は、両眼構成であってもよい。
【0029】
処理構成要素は、眼と近位ポートとの間に配置される眼鏡レンズの処方が、眼にとって、所定の範囲内で正しいかどうかを計算するように構成されてもよい。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態は、近位ポートを有する本体を含む、光学装置を提供する。近位ポートは、眼を受容するように構成される。本体はさらに、遠位ポートを有し、近位ポートから遠位ポートまで視覚チャネルを形成する。遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定する。標的光源が、装置の本体と連結される。標的光源は、本体の外側の標的上に標的指標を生じる、標的光線を生成するように構成される。標的光源は、標的指標を光軸と実質的に整合させるように構成される。光学装置はまた、眼のための処方を判定するための光学部も含む。
【0031】
視覚チャネルは、実質的に線形であり得る。
【0032】
視覚チャネルは、複数の分岐サブチャネルを有してもよい。
【0033】
標的光源は、レーザまたは発光ダイオードを含んでもよい。
【0034】
標的光源は、パターンを投影する空間的フィルタリング要素とともに、レーザまたは発光ダイオードを含んでもよい。
【0035】
標的光源は、時間が変動するパターンを投影する空間的フィルタリング要素とともに、レーザまたは発光ダイオードを含んでもよい。
【0036】
標的光源は、固定して連結され、本体に対して静止し得る。
【0037】
本装置はまた、本体内に光学部を含んでもよい。光学部は、光軸に交差する標的指標を有してもよい。
【0038】
本装置はまた、少なくとも部分的に固定された標的指標を生じるように構成される、網膜光源を含んでもよい。標的光源は、近位ポートを通して網膜光線を生じるように構成されてもよい。
【0039】
標的指標は、光を含んでもよい。
【0040】
標的指標は、物理的オブジェクトを含んでもよい。
【0041】
標的光源は、標的光線の少なくとも一部分を光軸と同軸上に実質的に整合させるように構成されてもよい。
【0042】
標的光源は、標的光線の少なくとも一部分に、光軸と角度を形成させるように構成されてもよい。
【0043】
標的光源は、標的光線の少なくとも一部分を、光軸と略平行にさせ、かつ光軸から離間させるように構成されてもよい。
【0044】
本体は、第2の近位ポートおよび第2の遠位ポートを有するチャネルを形成してもよい。本体は、両眼構成を形成してもよい。
【0045】
第2のチャネルは、眼の処方を判定するための光学部がなくてもよい。
【0046】
本発明の実施形態は、眼の処方または光学系の眼球収差を判定する方法を提供する。本方法は、視覚チャネルをともに形成する近位ポートおよび遠位ポートを有する、光学装置を提供するステップを含む。遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定する。光学装置はまた、標的指標を生じる標的光線を生成するように構成される、標的光源も有する。光学系は、近位ポートと実質的に整合させられる。標的指標は、光学装置の外側の標的上に形成される。標的指標は、光軸と実質的に整合させられる。光学系の眼が、波面を生じる網膜光源を用いて照射される。波面収差測定が、眼の眼球収差を判定するために使用される。
【0047】
特性評価されている光学系は、生物の眼であってもよい。
【0048】
特性評価されている光学系は、生物の眼および矯正レンズであってもよい。
【0049】
眼の眼球収差は、標的指標を光軸と整合させた後に取得されてもよい。
【0050】
標的指標を形成するステップは、遠位ポートを通して眼に可視的である視覚指標を形成するステップを含んでもよい。視覚指標は、別の光源から形成されてもよい。標的指標を光軸と整合させるステップは、視覚指標を光軸と整合させるステップを含んでもよい。
【0051】
標的指標を形成するステップは、眼に可視的である物理的対象から視覚指標を形成するステップを含んでもよい。標的指標を光軸と整合させるステップは、視覚指標を光軸と整合させるステップを含んでもよい。
【0052】
標的は、装置から少なくとも約20フィートにあってもよい。
【0053】
標的指標を光軸と整合させるステップは、標的により近く、またはそこからより遠くに移動するステップを含んでもよい。
【0054】
標的は、装置から既知の距離にあってもよい。本方法は、眼が20フィート超離れた標的に焦点を合わせていたという仮定に基づいて、眼球収差を推定するために既知の距離を使用するステップを含んでもよい。
【0055】
本発明の実施形態は、光学装置を提供するステップを含む、光学的方法を提供する。光学装置は、視覚チャネルをともに形成する、近位ポートおよび遠位ポートを有する。遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定する。生物の眼は、近位ポートと整合させられる。眼は、装置の外部の標的指標まで遠位ポートを通して視認する。眼の配向が、光軸に対して判定される。キューが、光軸に対する眼の配向の関数として生成される。キューは、人間に知覚可能である。
【0056】
キューは、視覚キュー、音響キュー、および/または機械キューを含んでもよい。
【0057】
キューを生成するステップは、光軸に対する眼の配向の関数として、振幅が変化する音を生じるステップを含んでもよい。
【0058】
キューを生成するステップは、光軸に対する眼の配向の関数として、周波数が変化する音を生じるステップを含んでもよい。
【0059】
キューを生成するステップは、光軸に対する眼の配向の関数として、デューティサイクルが変化する音を生じるステップを含んでもよい。
【0060】
眼の配向を判定するステップは、波面収差測定技法を使用するステップを含んでもよい。
【0061】
光学装置は、複数の標的光源を含んでもよい。各標的光源は、標的指標を選択的に生成するように構成されてもよい。本方法はまた、代替として、光軸との整合に向かって眼を指向するように、標的光源のうちの1つまたはそれを上回るものを照射するステップを含んでもよい。
【0062】
光学装置は、標的指標を形成するための光線を生じるように構成される標的光源を含んでもよい。本方法はまた、光軸との整合に向かって眼を指向するように、標的光源を移動させるステップを含んでもよい。
【0063】
眼は、キューの生成に応答して、光軸との整合に向かって移動してもよい。
【0064】
本発明のさらに別の実施形態は、生物の眼の眼球収差を測定するための光学装置を提供する。本装置は、近位ポートから遠位ポートまで視覚チャネルをともに形成する、近位ポートおよび遠位ポートを含む。遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定する。キュー発生器は、人間に知覚可能であるキューを生成するように構成される。配向論理が、キュー発生器および視覚チャネルに動作可能に連結され、光軸に対する生物の眼の配向を判定するように、および配向の関数としてキュー発生器の動作を引き起こすように構成される。
【0065】
キュー発生器は、視覚キュー、音響キュー、および/または機械キューを生じるように構成されてもよい。
【0066】
光学装置はまた、開放視野視覚チャネルを含んでもよい。
【0067】
視覚チャネルは、円錐形状を有してもよく、近位ポートに向かった円錐形状の頂点および遠位ポートに向かった円錐形状の基底を伴う。
【0068】
光学装置はまた、波面収差計を含んでもよい。
【0069】
光学装置はまた、両眼構成で本体を含んでもよい。
【0070】
光学装置はまた、複数の標的光源を含んでもよい。各標的光源は、標的指標を選択的に生成するように構成されてもよい。コントローラは、代替として、標的光源のうちの1つまたはそれを上回るものを照射して、光軸との整合に向かって眼を指向するように構成されてもよい。
【0071】
光学装置はまた、標的指標を生成するように構成される標的光源を含んでもよい。標的光源は、遠位ポートに対して移動可能である光線を照射するように構成されてもよい。
【0072】
本発明の例証的実施形態は、その上にコンピュータ可読プログラムコードを伴うコンピュータ使用可能媒体を有する、コンピュータプログラム製品として実装されてもよい。コンピュータ可読コードは、従来のプロセスに従って、コンピュータシステムによって読み取り、利用されてもよい。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
眼球系の光学性質を判定する方法であって、
予測ユーザが、前記予測ユーザの手で開放視野光学装置の重量全体を支持することを可能にするステップであって、前記装置は、第1の近位ポートから遠位ポートまで視覚チャネルをともに形成する、前記第1の近位ポートおよび前記遠位ポートを有し、前記予測ユーザは、前記装置の移動の全ての自由度の完全な物理的制御を有する、ステップと、
前記第1の近位ポートに近接して前記予測ユーザの眼を位置付けるステップと、
有効無限遠で前記眼の焦点を合わせるステップと、
前記眼の光学性質を測定するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記眼の焦点を合わせるステップは、前記装置の外部の標的指標を視認することによって、有効無限遠で前記眼の焦点を合わせるステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記眼の焦点を合わせるステップは、少なくとも部分的に前記視覚チャネルを通して、有効無限遠で前記眼の焦点を合わせるステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記近位ポートを通して波面を生じるように前記眼を照射するステップと、
波面誤差を判定するステップと、
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記波面誤差から屈折処方を計算するステップをさらに含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記装置の外部の標的指標を視認するステップは、前記遠位ポートを通して標的指標を視認するステップを含む、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記装置に連結される標的光源によって標的光線を生成するステップと、
前記標的光線を用いて前記標的指標を生じるステップと、
をさらに含む、項目4に記載の方法。
(項目8)
標的指標を視認するステップは、前記遠位ポートから少なくとも約20フィートの標的指標を視認するステップを含む、項目4に記載の方法。
(項目9)
前記眼の前記光学性質を測定するステップは、前記装置内の波面収差計を用いて、前記眼の前記光学性質を測定するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記装置は、前記第1の近位ポートとともに両眼構成を形成する、第2の近位ポートを備え、
前記方法はさらに、前記第2の近位ポートに近接して前記予測ユーザの他方の眼を位置付けるステップを含む、
項目1に記載の方法。
(項目11)
有効無限遠で他方の眼の焦点を合わせるステップと、
前記他方の眼の光学性質を測定するステップと、
をさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記装置は、ハンドルを備え、
前記方法はさらに、前記予測ユーザの手によって前記ハンドルを保持するステップを含む、
項目1に記載の方法。
(項目13)
前記予測ユーザの眼と前記第1の近位ポートとの間にレンズを配置するステップと、
眼鏡レンズの処方が、前記ユーザの眼にとって、所定の範囲内で正しいかどうかを計算するステップと、
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記眼鏡レンズの処方が正しいかどうかを計算するステップは、波面誤差の判定に基づいて、前記眼鏡レンズの処方が正しいかどうかを計算するステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記予測ユーザの眼と前記第1の近位ポートとの間に前記レンズを配置するステップは、前記予測ユーザの眼と前記第1の近位ポートとの間に少なくとも2つのレンズを配置するステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記予測ユーザの眼と前記第1の近位ポートとの間に前記レンズを配置するステップは、前記予測ユーザの眼と前記第1の近位ポートとの間に既知の光学性質を伴うレンズを配置するステップを含み、
前記眼鏡レンズの処方が正しいかどうかを計算するステップは、前記配置されたレンズの前記既知の光学性質を使用して、前記眼の前記光学性質を測定するステップを含む、
項目13に記載の方法。
(項目17)
眼を受容するように構成される近位ポートを有する、非定常本体であって、前記本体はさらに、遠位ポートを有し、前記近位ポートから前記遠位ポートまで視覚チャネルを形成し、前記視覚チャネルは、前記眼が、前記本体の外部にあり、かつそこから離間した標的指標を見ることを可能にするように、開放視野である、非定常本体と、
前記近位ポートを通して受容される波面を受容して、眼球系の光学性質を判定することに寄与するように構成される、前記本体内の処理構成要素と、
を備える、光学装置。
(項目18)
前記処理構成要素に給電するためのバッテリを前記本体内にさらに備える、項目17に記載の光学装置。
(項目19)
前記本体は、顎支持体がない、項目17に記載の光学装置。
(項目20)
前記本体はさらに、予測ユーザの少なくとも片手によって握持するためのハンドルを備える、項目17に記載の光学装置。
(項目21)
前記本体は、前記装置を可搬性にするように構成される、項目17に記載の光学装置。
(項目22)
前記処理構成要素は、オペレータ相互作用を伴わずに処方を判定することに寄与するように構成される、項目17に記載の光学装置。
(項目23)
前記本体は、両眼構成である、項目17に記載の光学装置。
(項目24)
前記処理構成要素は、前記眼と前記近位ポートとの間に配置される眼鏡レンズの処方が、前記眼にとって、所定の範囲内で正しいかどうかを計算するように構成される、項目17に記載の光学装置。
(項目25)
光学装置であって、
眼を受容するように構成される近位ポートを有する、本体であって、前記本体はさらに、遠位ポートを有し、前記近位ポートから前記遠位ポートまで視覚チャネルを形成し、前記遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定する、本体と、
前記装置の前記本体と連結される、標的光源であって、前記標的光源は、前記本体の外側の標的上に標的指標を生じる、標的光線を生成するように構成され、前記標的光源は、前記標的指標を前記光軸と実質的に整合させるように構成される、標的光源と、
前記眼のための処方を判定するための光学部と、
を備える、装置。
(項目26)
前記視覚チャネルは、実質的に線形である、項目25に記載の装置。
(項目27)
前記視覚チャネルは、複数の分岐サブチャネルを有する、項目25に記載の装置。
(項目28)
前記標的光源は、レーザまたは発光ダイオードを備える、項目25に記載の装置。
(項目29)
前記標的光源は、パターンを投影する空間的フィルタリング要素とともに、レーザまたは発光ダイオードを備える、項目25に記載の装置。
(項目30)
前記標的光源は、時間で変動するパターンを投影する空間的フィルタリング要素とともに、レーザまたは発光ダイオードを備える、項目25に記載の装置。
(項目31)
前記標的光源は、固定して連結され、前記本体に対して静止している、項目25に記載の装置。
(項目32)
前記本体内に光学部をさらに備え、前記光学部は、前記光軸に交差する標的指標を有する、項目25に記載の装置。
(項目33)
少なくとも部分的に固定された標的指標を生じるように構成される、網膜光源をさらに備え、前記標的光源は、前記近位ポートを通して網膜光線を生じるように構成される、項目32に記載の装置。
(項目34)
前記標的指標は、光を含む、項目33に記載の装置。
(項目35)
前記標的指標は、物理的オブジェクトを含む、項目25に記載の装置。
(項目36)
前記標的光源は、前記標的光線の少なくとも一部分を前記光軸と同軸上に実質的に整合させるように構成される、項目25に記載の装置。
(項目37)
前記標的光源は、前記標的光線の少なくとも一部分に、前記光軸と角度を形成させるように構成される、項目25に記載の装置。
(項目38)
前記標的光源は、前記標的光線の少なくとも一部分を、前記光軸と略平行にさせ、かつ前記光軸から離間させるように構成される、項目25に記載の装置。
(項目39)
前記本体は、第2の近位ポートおよび第2の遠位ポートを有するチャネルを形成し、前記本体は、両眼構成を形成する、項目25に記載の装置。
(項目40)
前記第2のチャネルは、前記眼の処方を判定するための光学部がない、項目39に記載の装置。
(項目41)
眼の処方または光学系の眼球収差を判定する方法であって、
視覚チャネルをともに形成する近位ポートおよび遠位ポートを有する、光学装置を提供するステップであって、前記遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定し、前記光学装置はまた、標的指標を生じる標的光線を生成するように構成される、標的光源も有する、光学装置と、
前記光学系を前記近位ポートと実質的に整合させるステップと、
前記光学装置の外側の標的上に前記標的指標を形成するステップと、
前記標的指標を前記光軸と実質的に整合させるステップと、
波面を生じる網膜光源を用いて、前記光学系の眼を照射するステップと、
前記眼の眼球収差を判定するために波面収差測定を使用するステップと、
を含む、方法。
(項目42)
特性評価されている前記光学系は、生物の眼である、項目41に記載の方法。
(項目43)
特性評価されている前記光学系は、生物の眼および矯正レンズである、項目41に記載の方法。
(項目44)
前記標的指標を前記光軸と整合させた後に、前記眼の前記眼球収差を取得するステップをさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目45)
前記標的指標を形成するステップは、前記遠位ポートを通して前記眼に可視的である視覚指標を形成するステップを含み、前記視覚指標は、別の光源から形成され、
前記標的指標を前記光軸と整合させるステップは、前記視覚指標を前記光軸と整合させるステップを含む、
項目41に記載の方法。
(項目46)
前記標的指標を形成するステップは、前記眼に可視的である物理的オブジェクトから視覚指標を形成するステップを含み、
前記標的指標を前記光軸と整合させるステップは、前記視覚指標を前記光軸と整合させるステップを含む、
項目41に記載の方法。
(項目47)
前記標的は、前記装置から少なくとも約20フィートにある、項目41に記載の方法。
(項目48)
前記標的指標を前記光軸と整合させるステップは、前記標的により近くに、またはそこからより遠くに移動するステップを含む、項目41に記載の方法。
(項目49)
前記標的は、前記装置から既知の距離にあり、
前記方法はさらに、前記眼が20フィート超離れた標的に焦点を合わせていたという仮定に基づいて、前記眼球収差を推定するために前記既知の距離を使用するステップを含む、
項目41に記載の方法。
(項目50)
視覚チャネルをともに形成する近位ポートおよび遠位ポートを有する、光学装置を提供するステップであって、前記遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定する、ステップと、
生物の眼を前記近位ポートと整合させるステップであって、前記眼は、前記装置の外部の標的指標まで前記遠位ポートを通して視認する、ステップと、
前記光軸に対する前記眼の配向を判定するステップと、
前記光軸に対する前記眼の前記配向の関数としてのキューを生成するステップであって、前記キューは、人間に知覚可能である、ステップと、
を含む、光学的方法。
(項目51)
前記キューは、視覚キュー、音響キュー、および機械キューのうちの少なくとも1つを含む、項目50に記載の光学的方法。
(項目52)
前記キューを生成するステップは、前記光軸に対する前記眼の配向の関数として、振幅が変化する音を生じるステップを含む、項目50に記載の光学的方法。
(項目53)
前記キューを生成するステップは、前記光軸に対する前記眼の配向の関数として、周波数が変化する音を生じるステップを含む、項目50に記載の光学的方法。
(項目54)
前記キューを生成するステップは、前記光軸に対する前記眼の配向の関数として、デューティサイクルが変化する音を生じるステップを含む、項目50に記載の光学的方法。
(項目55)
前記眼の前記配向を判定するステップは、波面収差測定技法を使用するステップを含む、項目50に記載の光学的方法。
(項目56)
前記光学装置は、複数の標的光源を備え、各標的光源は、前記標的指標を選択的に生成するように構成され、
前記方法はさらに、代替として、前記光軸との整合に向かって前記眼を指向するように、前記標的光源のうちの1つまたはそれを上回るものを照射するステップを含む、
項目50に記載の光学的方法。
(項目57)
前記光学装置は、前記標的指標を形成するための光線を生じるように構成される標的光源を備え、
前記方法はさらに、前記光軸との整合に向かって前記眼を指向するように、前記標的光源を移動させるステップを含む、
項目50に記載の光学的方法。
(項目58)
前記眼は、キューの生成に応答して、前記光軸との整合に向かって移動する、項目50に記載の光学的方法。
(項目59)
生物の眼の眼球収差を測定するための光学装置であって、
近位ポートおよび遠位ポートであって、前記近位ポートおよび前記遠位ポートは、前記近位ポートから前記遠位ポートまで視覚チャネルをともに形成し、前記遠位ポートは、少なくとも部分的に光軸を画定する、近位ポートおよび遠位ポートと、
人間に知覚可能であるキューを生成するように構成される、キュー発生器と、
前記キュー発生器および前記視覚チャネルに動作可能に連結され、前記光軸に対する前記生物の眼の配向を判定するように、および前記配向の関数として前記キュー発生器の動作を引き起こすように構成される、配向論理と、
を備える、光学装置。
(項目60)
前記キュー発生器は、視覚キュー、音響キュー、および機械キューのうちの少なくとも1つを生じるように構成される、項目59に記載の光学装置。
(項目61)
開放視野視覚チャネルをさらに備える、項目59に記載の光学装置。
(項目62)
前記視覚チャネルは、円錐形状を有し、前記近位ポートに向かった前記円錐形状の頂点および前記遠位ポートに向かった前記円錐形状の基底を伴う、項目61に記載の光学装置。
(項目63)
波面収差計をさらに備える、項目59に記載の光学装置。
(項目64)
両眼構成で本体をさらに備える、項目59に記載の光学装置。
(項目65)
各標的光源が標的指標を選択的に生成するように構成される、複数の標的光源と、
代替として、前記標的光源のうちの1つまたはそれを上回るものを照射して、前記光軸との整合に向かって前記眼を指向するように構成される、コントローラと、
をさらに備える、項目59に記載の光学装置。
(項目66)
標的指標を生成するように構成される、標的光源をさらに備え、前記標的光源は、前記遠位ポートに対して移動可能である光線を照射するように構成される、項目59に記載の光学装置。
【0073】
本発明は、図面と併せて具体的実施形態の以下の発明を実施するための形態を参照することによって、さらに完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明の好ましい実施形態によると、専門の臨床医、毛様筋麻痺薬、不明瞭化、または仮想画像を必要としない、比較的安価で軽量な可搬性器具を用いて、屈折誤差を補正する処方を計算するために、方法および装置が開示される。いくつかの実施形態はまた、眼の高次収差および/または眼の付加的な光学性質を補正する処方も計算する。いくつかの実施形態は、矯正レンズ(眼鏡)のための処方を計算するために、および/または既存の眼鏡が患者の正しい処方を有するかどうかをチェックするために使用されてもよい。
緒言
【0076】
図1は、正常なヒトの正視眼100の概略断面図である。正視は、無限遠におけるオブジェクトの焦点がしっかり合っており、眼の水晶体102が中立(弛緩または「非調節」)状態にある、視覚の状態を表す。この正常な眼100の状態は、角膜104および水晶体102の屈折力が眼100の軸長106の平衡を保ち、それによって、遠隔オブジェクト(図示せず)から正確に網膜110に光線108の焦点を合わせ、完璧な視覚をもたらすときに達成される。ここで、「遠隔」とは、20フィート(6メートル)以上離れていることを意味する。正視の状態にある眼は、矯正を必要としない。
【0077】
図2で概略的に示されるように、凝視が接近オブジェクト200に偏移すると、毛様筋(図示せず)が、水晶体102の形状を変化させ、それを厚くし、それによって、その屈折力を増加させるため、眼100が網膜110に光線208の焦点を合わせる。本プロセスは、「調節」と称される。したがって、毛様筋による努力がないと、眼100は、距離内のオブジェクトに自動的に焦点を合わせる。しかしながら、接近オブジェクトに焦点を合わせることは、努力を必要とする。ヒトは、自然に、かつ典型的には無意識に、関心のオブジェクトに自動的に焦点を合わせる。しかしながら、年齢とともに、水晶体102が、ますます厚くなり、毛様筋が、ある程度の収縮性を弛緩させ、それによって、次第に接近オブジェクトに焦点を合わせることをより困難にする。典型的には、45〜50歳までに、読書する距離にあるオブジェクトに焦点を合わせることが不可能になり、それによって、読書用眼鏡を必要とする。
【0078】
図1および2は、正常な眼を図示する。しかしながら、水晶体102、角膜104、網膜110、または眼100全般の形状または組成の種々の欠陥は、若年者でさえも、眼100が網膜110に光線108または208の焦点を完璧に合わせることを妨げ得る。これらの欠陥は、眼100が正常な眼のように光線を屈曲させる(屈折させる)ことを妨げ、それによって、「屈折誤差」を引き起こす。例えば、
図3は、接近オブジェクト310からの光線308が、過度に発散するため網膜110に焦点を合わせることができず、ぼやけた視界につながる、遠視(遠視の)眼300を概略的に図示する。同様に、
図4は、遠隔オブジェクト(図示せず)からの光線408が網膜110の前で焦点を合わせ、遠隔オブジェクトをぼやけて見えさせる、近視(近眼の)眼400を概略的に図示する。本質的に、近視眼の水晶体402は、眼400の軸長406に対して、過剰に大きい屈折力を有する。しかしながら、近視眼は、近くのオブジェクトにうまく焦点を合わせることができる。近視および遠視の両方では、網膜上にオブジェクトの鮮明な画像を作成できないことは、「焦点ぼけ誤差」と称される。眼の欠陥は、先天性であり得るか、または負傷もしくは疾患等の他の要因に起因し得る。
【0079】
眼のこれらおよび他の欠陥は、眼の前に矯正レンズを導入する、眼鏡(「めがね」)またはコンタクトレンズを処方することによって治療することができる。
図5は、近視を矯正するように
図4の近視眼400の前に配置される矯正レンズ500を概略的に図示する。レンズ500は、眼400からわずかな距離を置いて位置する、「眼鏡面」502内に配置される。眼鏡面502は、眼400に対して眼鏡が装着される場所を画定する。コンタクトレンズの場合、眼鏡面は、角膜の外層に近い。近視を矯正するレンズは、負の屈折力を有し、すなわち、近視眼の過剰な正の屈折力に対抗する、正味の凹面効果を有する。簡単にするために、以下の説明は、眼鏡またはめがねを指すが、コンタクトレンズにも適用される。
【0080】
矯正用眼鏡のための処方は、眼鏡のレンズの全ての側面を特定する。いくつかの眼の欠陥は、他のものより矯正することが容易である。例えば、眼が遠視のみ、または近視のみである場合、眼の焦点ぼけ誤差を補正するために、球面レンズを使用することができる。球面レンズは、球体の一部分である表面を含む。しかしながら、水晶体102(
図1)、角膜104、網膜110、または眼100全般が、適正に成形されていない場合、例えば、眼の焦点を合わせる能力が、異なる軸に沿って異なる場合、単純な球面レンズは、眼を完全には矯正することができない。この場合、眼は、「乱視」を有すると称される。球面または円柱構成要素を有する矯正用眼鏡が、乱視を矯正するために使用される。球面および円柱欠陥は、眼の欠陥の全てではないが大部分の主な原因となる。球面および円柱欠陥は、低次収差と称される。
【0081】
したがって、ほとんどの処方は、低次収差を補正するように、球面構成要素および円柱構成要素を含む。球面構成要素は、焦点ぼけ誤差を補正し、典型的には、ジオプターの数として表される、矯正レンズの正または負の屈折力に関して説明される。ジオプターは、メートルで測定されるレンズの焦点距離(f)の逆数、すなわち、1/fに等しい、レンズの屈折力の測定単位である。円柱構成要素は、円柱レンズの屈折力および軸に関して説明される。典型的には、1つまたは2つの円柱レンズに対応する、1つまたは2つの軸が特定される。各軸は、角度として特定される。結果として生じる矯正レンズは、眼の焦点ぼけおよび乱視欠陥を補償するように、処方によって説明されるような球面および円柱構成要素を含む、複合表面形状を有する。
【0082】
「収差」は、完璧な眼からの眼の光学的性能の逸脱である。したがって、焦点ぼけおよび乱視欠陥は、収差の例である。しかしながら、眼は、「高次収差」と一般的に称される、より複雑な欠陥に悩まされ得る。高次収差の例は、(上記で説明されるような焦点ぼけ誤差を引き起こす低次球面欠陥と混同されないように)コマおよび球面収差を含む。コマは、軸外点光源を歪曲されたように見せ、尾を有するように見える。球面収差は、光軸から遠くの眼に入射する平行光線を、光軸の近くの眼に入射する平行光線とは異なる位置で集束させる。いくつかの処方は、高次収差を少なくとも部分的に補正するが、これらの処方を判定することは、大型で重く高価な(デスク等の)固定された診断機器および高度な技能を持つ臨床医を必要とする。
【0083】
光学専門家は、眼鏡の処方を生成するために種々のツールおよび方法を使用する。いくつかの方法は主観的であり、他の方法は客観的である。例えば、フォロプタは、臨床医が、患者の前で、レンズの種々の組み合わせを種々の角度で位置付け、1つの組み合わせが標的を視覚化するために異なる組み合わせよりも良いかどうかを患者に尋ねることを可能にする。患者からの報告に基づいて、熟練した臨床医は、次第に良好な組み合わせを達成し、最終的には、必ずしも完璧ではないが良好な処方に到達することができる。しかしながら、処方の精度は、大部分が患者の報告精度に依存する。フォロプタは、比較的安価であるが、上記のプロセスは時間がかかる。
【0084】
収差計(波面センサ)は、どのように光が眼によって変化させられるかを客観的に測定し、それによって、眼によって引き起こされる屈折誤差を識別して定量化する。収差計は、通常、3つの種類、すなわち、(1)ハルトマン・シャックセンサ等の出射波面収差計、(2)クロスシリンダ収差計またはチェルニング収差計等、もしくは連続網膜レイトレーシング方法で使用されるような入射網膜結像収差計、および(3)空間分解屈折計等、または光路差方法で使用されるような入射フィードバック収差計に分類される。
【0085】
図6で概略的に図示されるように、ハルトマン・シャック波面収差計は、小型レンズ602、604、および606によって例示されるレンズ(「小型レンズ」)のアレイ600を含む。全ての小型レンズ602−606は、いくつかの製造公差内で、同一のサイズおよび焦点距離を有する。小型レンズアレイ600は、眼608と、画素化電荷結合素子(CCD)、画素化相補型金属酸化膜半導体(CMOS)素子、または象限フォトダイオード検出器のアレイ等の光学センサ610との間に光学的に配置される。各小型レンズ602−606は、光学センサ610の一部分上に焦点を合わせられる。したがって、単一の点光源からの光は、光点のアレイを生成するように、小型レンズアレイ600によって光学センサ610上に焦点を合わせられる。
【0086】
各小型レンズ602−606は、画素化CCDアレイのそれぞれの画素の中心に、またはそれぞれの象限センサの中心に焦点を合わせられてもよいが、その必要はない。光学センサ610は、以下でさらに詳細に説明されるように、回路またはプロセッサが、対応する小型レンズの中心と直接一致する位置からのスポットのアレイのうちの各スポットの変位を測定することを可能にするために、十分な空間分解能を有するように構成される。眼球608内の点618は、典型的には、レーザまたは高輝度発光ダイオード(SLEDまたはSLD)から眼608の中へ光を照らすことによって照射され、それによって、眼球608内で「仮想点光源」を生成する。「仮想光源」という用語は、波面収差測定で使用される専門用語であり、本明細書で使用されるように、本用語は、光が発するように見えるが、実際には光がそこでは生成されない場所を意味する。点618の場合、レーザまたはSLEDが、仮想光源を生成する。本明細書で使用されるように、文脈が別様に示さない限り、「仮想」は、「仮想」が別の場所に結像される物理的光源を意味する、光学で使用されるようなその用語と混同されるべきではない。
【0087】
図7で概略的に図示されるように、光は、点618から反射して、眼608から出射する。波面702、704、706、および708は、出射光を表す。小型レンズのアレイ600のうちの各小型レンズは、光学センサ610の対応する部分上に各波面700−706のそれぞれの部分の焦点を合わせ、スポットの円形アレイを作成する。仮説的なスポットのアレイ710(本明細書では「スポット図」とも称される)が示されているが、小型レンズのアレイ600は、示されているものより多い、または少ない小型レンズを含んでもよく、したがって、スポット
図710は、示されているよりも多い、または少ないスポットを含んでもよい。眼608が完全に成形され(正視)、調節されていない場合、波面706−708は平面的であり、スポット
図710のスポットは、各個別小型レンズの中心から等しく変位させられる。スポット図の外周は、眼608の瞳孔の投影であり、したがって、スポット図の外周の直径は、瞳孔径を示す。
【0088】
しかしながら、
図8で概略的に図示されるように、眼800に収差がある場合、眼800から出射する波面806−808は、非平面的である。波面806−808の形状は、眼800の低次および高次収差によって判定される。
図9は、領域900、902、および904によって例示される、正方形の領域に概念的に分割される波面908を概略的に図示する。各領域900−904は、それぞれの矢印906、908、および910によって示されるように、領域と実質的に垂直な方向に沿って小型レンズアレイ600に作用する。したがって、スポット
図810(
図8)のスポットは、波面808が平面的であった場合にあろう場所から変位させられる。
【0089】
1つのそのような変位したスポット912が、
図9の拡大部分に示されている。ここでは、スポット912に寄与する波面808の領域が小型レンズアレイ600に平行であった場合、領域は、小型レンズ914を通って移動し、光学センサ610に垂直な線916に沿って光学センサ610に作用し、場所918でスポットを生成したであろう。しかしながら、収差がある眼によって引き起こされる波面領域の傾転により、スポット912は、場所918からxおよびy距離で変位させられる。
【0090】
多くの場合、サブピクセル解像度を用いて、各小型レンズのxおよびy変位ならびに角度βを計算するように、光学センサ610からのデータを分析するために、従来の重心発見方法が使用されてもよい。したがって、各小型レンズにわたる波面908の局所傾転を、小型レンズによって生成される光学センサ610上のスポットの位置から計算することができる。任意の位相収差を離散傾転のセットに近似することができる。光学センサ610の要素から信号をサンプリングすることによって、これら全ての傾転を測定することができ、波面全体を数値的な波面データとして再構築して特性評価することができる。次いで、波面データは、光学系として眼800(
図8)を特性評価するために使用することができる。
【0091】
各スポットの変位を使用して、波面の分析的表現を再構築することが可能である。例えば、波面808の形状は、所定の3次元表面形状または基底関数のセットの加重和として表すことができる。セットの各形状は、通常、特定の収差項を表す独立多項式関数によって定義される。基底関数の全ての可能なセットの中でも、ゼルニケ多項式を使用することが一般的である。ゼルニケ多項式は、円形の瞳孔にわたって正規直交であるため、より重要なことには、収差の量が低いときに焦点面での画像強度を最適化することができるように、高次多項式が低次多項式によって「平衡を保たれる」ような方法で構築されるため、波面収差等の非常に複雑な形状を表すために適切である。
図10は、ゼルニケ多項式の0次〜4次(モード)によって定義される形状を図示する。
図10の図は、斜視図である。しかしながら、多くの場合、これらの形状は、収差の強度を表すために色のグラデーションを使用して、上面図で示される。形状は、次数の増加とともにますます複雑になり、これらの形状は、測定された波面に可能な限り良好に適合する表面を正確に表すように組み合わせることができる。
【0092】
各次数は、眼球収差と対応する表面形状を表す。0次は、定数を表す1つの項
【化1】
を有する。1次は、xおよびy軸の傾転を表す、2つの項
【化2】
を有する。2次は、2つの方向への焦点ぼけおよび正乱視を表す、3つの項を含む。3次は、コマおよびトレフォイルを表す、4つの項を有する。4次は、トレフォイル、二次乱視、および球面収差を表す、5つの項を有する。5次(図示せず)は、ペンタフォイル収差を表す、6つの項を有する。多項式は、十分な数の測定が計算のために行われ、光学センサが十分な空間分解能を提供する場合に、恣意的な次数まで拡張させることができる。
【0093】
したがって、ゼルニケ分析は、波面をゼルニケ多項式の加重和として数学的に表す。この和を計算するときに各モードに適用される加重は、ゼルニケ係数と呼ばれ、通常、ミクロンで表される。ゼルニケ多項式の加重和は、眼の全ての収差、すなわち、全屈折誤差の説明に等しい。実践では、ゼルニケ分析は、有限数のモードを含む。いったん眼の全屈折誤差が、所望の精度で、すなわち、所望の数のゼルニケ項を使用して、確認されると、周知の様式で屈折誤差を補償するように、矯正レンズ処方を計算することができる。したがって、処方を計算するためにスポット図を使用することができる。
【0094】
(十分な数のゼルニケモードを仮定して)いかなる両眼もゼルニケ係数の同一のセットを生じないため、ゼルニケ係数は、個別の眼、したがって、個人を一意に識別するために、指紋と多少類似して使用することができる。
【0095】
眼の光学性質は、(患者が白内障を有するかどうかを判定するために使用され得る)散乱、(屈折、低次収差、高次収差、調節、高次球面収差である円錐角膜、および同等物を測定するために使用され得る)波面、および瞳孔サイズを含む。
【0096】
眼鏡の処方を判定するための全ての従来技術の方法および装置は、関連問題を有する。例えば、フォロプタは、熟練した臨床医を必要とし、患者からの主観的報告に依拠する。ハルトマン・シャック波面収差計は、眼が測定されている間に調節を妨げるよう、毛様筋が毛様筋麻痺薬によって一時的に麻痺させられること、眼が「雲霧で覆われる」こと、または患者が無限遠で虚像を見せられることを必要とする。
【0097】
調節は、測定プロセスに非制御変数を導入する。雲霧法とは、調節を制御しようとしている患者の眼の前に正の球面屈折力を伴うレンズを一時的に配置することを指す。雲霧法の目標は、オブジェクトまでの距離にかかわらず、網膜の前で焦点を移動させることである。本質的に、患者は、一時的に人工的に近視にさせられる。記述されるように、眼は、接近オブジェクトをより明確に見るために、その屈折力を増加させるようにレンズの形状を変化させることによって調節する。しかしながら、眼が雲霧で覆われ、眼が調節する場合、オブジェクトまでの距離にかかわらず、視覚がよりぼやけて不明確になり、したがって、調節を妨げる。一部の患者は、雲霧法にうまく応答しない。
【0098】
虚像は、診断器具内で生成されるが、患者から少なくとも20フィート(6メートル)に光学的に位置する、画像である。しかしながら、患者が(20フィートと比較して)比較的小型の器具を覗き込むとき、患者は、視認したオブジェクトが20フィート離れていないことを直観的に把握し、したがって、患者は、調節する傾向がある。この現象は、時として、「器具誘発性近視」と称され、雲霧技法を用いても回避することが困難である。
【0099】
ほとんどの眼科診断機器が、少なくとも部分的に、患者の頭部の安定状態を保ち、それを整合させ、それによって、患者の眼を診断機器内のある光学要素と整合させるように設計されているため、該機器は、大型で重く、機械的に複雑である。その結果として、本機器は、典型的には、テーブルに取り付けられ、頑丈な構造部材、額および顎当て、ならびにラックアンドピニオン整合機構を含む。
軽量可搬性自動ハルトマン・シャック波面収差計
【0100】
図11、12、および13は、本発明の実施形態による、ハルトマン・シャック波面収差計を含む、軽量、可搬性、ハンドヘルド、内蔵型の自動光学または眼科装置1100の種々の図を含有する。
図14は、患者1400によって使用中である装置1100を示す。装置1100は、従来技術と関連付けられる問題の多くを解決する。例えば、装置1100は、フィードバックを患者1400に提供して、従来技術のデバイスによって必要とされる煩雑な機械設備を用いることなく、患者1400が装置1100を患者の眼に正しく整合させることを可能にする。さらに、装置1100は、「開放視野」設計であり、したがって、いなかる毛様筋麻痺薬、雲霧法、または虚像も用いることなく、患者1400が調節しないよう本質的に促すように構成される。装置1100は、自動的に、患者1400が調節していないときを判定し、自動的に眼鏡の処方を計算するために、非調節の期間中に獲得されるデータを使用する。代替として、装置1100は、既知の非無限距離で焦点を合わせられる眼の光学性質を測定することができ、これらの光学性質は、患者が無限遠で焦点を合わせる場合に患者の眼の光学性質を計算するために使用することができる。
【0101】
装置1100は、患者1400が片目で覗き込む接眼レンズ1102を含む。接眼レンズ1102は、患者の顔に押し付けられ、それによって、周囲光を遮断するように構成される、アイカップを含んでもよい。アイカップは、若年および高齢患者等の種々の顔面幾何学形状および解剖学的構成に対して良好に適合するように、異なって定寸および成形されてもよい。装置1100はまた、それを通して患者1400が見ることができる、出口ポート1104も画定する。したがって、装置1100は、「開放視野」構成を有する。
【0102】
図15は、本体1500内のその内部構成要素を示す、装置1100の概略ブロック図である。2つのビームスプリッタ1501および1502が、接眼レンズ1102と出口ポート1104との間で光軸1504に沿って配置される。光軸1504に沿って接眼レンズ1102を覗き込む患者は、光軸1504と整合させられる外部オブジェクト1506を見ることができる。患者によって見られるような視界が、
図15の差し込み図に示されている。
【0103】
一実施形態では、レーザダイオードまたは発光ダイオード(LED)等の可視光源1508は、矢印1512によって示されるように、ビームスプリッタ1502が光軸1504に沿って出口ポート1104から外へ反射する、光線1510を発する。ビーム1512は、遠隔の壁または他のオブジェクト1514上に光点を生成するために使用することができる。この説明では、オブジェクト1506は、ビーム1512によって壁1514上に生成される光点であると仮定される。可視光源1508は、本体1501および装置1100内の光学構成要素に対して固定される。したがって、ビーム1512は、常に光軸1504と一致している。
【0104】
遠隔の壁1514が、装置1100から少なくとも20フィート(6メートル)となるはずであるため、患者がスポット1506を見るとき、患者の眼1516は、実質的に調節されていない。装置1100と壁1514との間の距離を測定するために、超音波または他の距離センサ1517が使用されてもよい。装置1100は、距離が不適切である場合に、可聴、視覚、触覚、または他の警告を提供してもよい。スポット1506からの帰還ビーム1518は、出口ポート1104に入射し、光軸1504に沿って2つのビームスプリッタ1502および1501を通過し、接眼レンズ1102を介して患者の眼1516に入射する。これは、患者がスポット1506を見ることを可能にする。明確にするために、光軸1504ならびに2つのビーム1512および1518は、離間して示されているが、軸および2つのビームは一致する。
【0105】
別の実施形態では、標的は、患者から恣意的であるが既知の距離にあり得る。例えば、標的が器具から10フィート(3メートル)に投影される場合、患者が標的に焦点を合わせるために必要な調節の量が計算され、次いで、調節を補償する処方が計算される。
【0106】
接眼レンズ1102はまた、近位ポートと称されてもよく、出口ポート1104はまた、遠位ポートと称されてもよい。本体1500は、接眼レンズ1102と出口ポート1104との間に視覚チャネルを形成する。ビーム1512はまた、標的ビームと称されてもよく、壁または他のオブジェクト1514は、標的と称されてもよく、スポット1506はまた、標的指標と称されてもよい。
【0107】
随意に、接眼レンズ1102と出口ポート1104との間の視覚チャネルは、円錐形状を有してもよく、すなわち、形状は、円錐の一部分であってもよい。そのような実施形態では、視覚チャネルは、円錐形状の頂点が接眼レンズ1102に向かい、円錐形状の基底が出口ポート1104に向かうように構成される。ピンホールは、ユーザが自分の目を位置付け、ピンホールを通して見ることができる場所を制約する。しかしながら、ピンホールは、それに沿ってユーザがピンホールを通して見ることができる角度を制約しない。しかしながら、管状または円錐視覚チャネルは、視野角を制約する。したがって、円錐の頂点で、またはその付近で小さい穴として実装され得る、ピンホールを伴う円錐視覚チャネルは、ユーザの眼の位置、およびそれに沿って眼が見る角度の両方を制約する。
【0108】
別のレーザダイオード等の別の光源1520が、光線1522を投影する。ビームスプリッタ1502は、矢印1524によって示されるように、光軸1504に沿って接眼レンズ1102に向かってビーム1522を反射する。ビーム1524は、眼1516の裏のスポット1525を照射し、それによって、眼球1516内で仮想点光源を本質的に生成する。本仮想光源1525は、
図8に関して上記で説明されるスポット618に対応する。ハルトマン・シャック波面収差測定に関して上記で議論されるように、帰還波面が、眼1516からビーム1526に沿って移動する。ビームスプリッタ1501は、ビーム1526を反射し、結果として生じるビーム1528は、小型レンズアレイ1530を通過し、光学センサ1532に作用する。小型レンズアレイ1530を患者の眼鏡面ならびに帯域通過および/または減光フィルタと光学的に共役させる、中継レンズシステム等の随意的な光学部1534が、ビーム1528の経路の中に配置されてもよい。明確にするために、光軸1504ならびに2つのビーム1524および1526は、離間して示されるが、軸および2つのビームは、概して一致する。
【0109】
小型レンズアレイを使用するハルトマン・シャック波面収差測定を使用する、実施形態が説明されているが、波面感知のための他の方法を使用することができる。他の実施形態は、焦点ぼけ結像のために、ピンホールアレイまたはセンサのアレイを使用する。いくつかの実施形態では、飛行時間カメラ、干渉技法、または区分開口波面結像システムが使用される。区分開口波面結像システムは、http://biomicroscopy.bu.edu/research/partioned−aperture−wavefront−imagingで入手可能な情報から明らかなように、当業者に周知である。
【0110】
分析ユニット1536は、光学センサ1532に電子的に連結される。分析ユニット1536は、光学センサ1532からの信号を分析し、眼1516が正常であった場合にあろう場所からのスポット図中のスポットのxおよびy変位を計算するように構成される、適切なインターフェース電子機器、プロセッサ、メモリ、および関連回路を含む。このデータからは、分析ユニット1536は、ゼルニケ係数のセットを計算し、矯正レンズ処方を計算する。これらの分析および計算についての付加的な詳細が、以下で提供される。
【0111】
内部バッテリ1538は、分析ユニット1536、2つの光源1508および1520、光学センサ1532、および装置1100の他の構成要素に給電する。筐体1500のハンドル部分1539は、バッテリ1538を収納してもよい。装置1100の全ての電子構成要素は、バッテリ1538によって給電され、処方を確認するために必要な全ての計算は、分析ユニット1536によって行われる。したがって、装置1100は、完全に内蔵型であり、すなわち、壁1514および眼1516は別として、その機能を果たすために必要な全ての構成要素は、筐体1500内に含まれる。装置1100は、片手を使用する典型的な患者によって説明された測定を行うために十分に長く定位置で保持されるために、十分に小型かつ軽量である。
【0112】
装置1100の一実施形態では、眼球1516内で仮想光源1525を生成する光源1520は、近赤外(NIR)光源である。光源1520の波長は、患者が赤色桿体を知覚するように選択されるが、ビーム1504のエネルギーの大部分は、患者に可視的であるスペクトル内ではない。他方で、可視光源1508は、NIR光源1520から患者によって知覚される赤色とは知覚できるほど異なる緑色等の色を有するように選択される。患者は、赤色桿体の知覚された輝度を最大限化するよう、患者の眼に対して装置110を配向するように指示されてもよい。
【0113】
したがって、
図15−1で概略的に図示されるように、眼の視覚中心点1590が装置1100の光軸150と整合させられるように、患者の眼1516が接眼レンズ1102と適正に整合させられる場合、患者は、
図15−1の左側で図示されるように、一方が赤色で他方が緑色である、2つの一致するドット1592および1594、または赤色および緑色の両方である単一のドットを知覚する。したがって、2つの一致するドットまたは1つの2色ドットを知覚するまで装置1100を再配向するように、患者に指示することができる。次いで、患者は、処方を生成するためのデータを収集するために必要とされる短い時間にわたって、適正な整合で装置1100を容易に保持することができる。
【0114】
図15−2で概略的に図示されるように、眼の視覚中心点1590が装置1100の光軸1504に平行であるが、そこからわずかに変位させられるように、患者の眼1516が接眼レンズ1102と不適切に整合させられる場合、患者は、
図15−2の左側で例示されるように、接眼レンズによって得られる視野内で軸外にドット1592および1594を見る。しかしながら、
図15−3で概略的に図示されるように、患者の眼1516が著しく整合させられていない場合、患者は、
図15−3の左側で示されるように、接眼レンズによって得られる視野内でいかなるドットも見えない。
【0115】
したがって、装置1100の単純な設計は、従来技術によって必要とされる顎当てまたは他の複雑で重い機械的整合装置を用いることなく、装置1100の光学部との患者の眼の容易な整合を可能にする。さらに、装置1100の開放視野設計は、いかなる毛様筋麻痺薬、雲霧法、または虚像も用いることなく、患者が調節しないように促す。
【0116】
他の実施形態では、他の波長が、2つの光源1508および1520によって使用されてもよい。いくつかの実施形態では、可視波長が、光源1508および1520の両方に使用される。いくつかの実施形態では、同一または類似波長が、光源1508および1520の両方によって使用されるが、光源1508および1520の一方または両方が点滅するため、患者が2つの結果として生じるドットを区別することができる。光源1508および1520の両方が点滅する場合、それらは交互にオンになるべきである。
【0117】
装置1100は、ビーム1522を画定し、それをビームスプリッタ1502と整合させるように、絞り1540等の付加的な光学要素を含んでもよい。調整可能な虹彩絞り1542が、出口ポート1104を画定するために使用されてもよい。一実施形態では、絞り1542は、約7mmの最大直径を有し、ビームスプリッタ1500は、光源1520の動作波長で透過率に対する反射率の4:1比を有する。光源1520は、約850nmの波長で直径約2mmの約3mWビームを生成してもよい。ビームスプリッタ1502は、約375nm〜約725nmの範囲内で、出口ポート1104から出射する可視光を通過させる「ホットミラー」を含んでもよいため、患者が接眼レンズ1102を通してスポット1506を見ることができる。随意に、装置1100の構成要素は、約1mm〜2mmだけビーム1504および1527をオフセットして、眼1516からの鏡面反射を低減させるよう、Y軸に沿って変位させられてもよい。本鏡面反射は、光学センサ1532への雑音を構成する。
【0118】
光源1520によって眼1516に安全に送達することができる屈折力の量は、限定される。装置1100に入射し、光学センサ1532に作用する周囲光は、雑音を構成する。高周囲光条件下で、本雑音は、容認できないほど高いレベルに達し得る。加えて、周囲光は、光源1520からの光を圧倒し、それによって、患者が本光源からのスポットを見ることを妨げ得る。随意に、本雑音のレベルを低減させ、患者によって見られる周囲光のレベルを低減させるために、減光フィルタ1544が、出口ポート1104とビームスプリッタ1502との間の光路に沿って配置されてもよい。減光フィルタは、約1%等の任意の適切な量の光を入れるように選択または調整されてもよい。
【0119】
図16で概略的に示される別の実施形態では、光学または眼科装置1600は、
図15に関して上記で説明されるような構成要素を含み、さらに、照準線1602の中心が光軸1504と一致するように、接眼レンズ1102と出口ポート1104との間の光学経路に沿って配置される照準線1602を含む。したがって、照準線1602は、
図17および18に示されるように、眼1516の視野内で可視的である。患者が接眼レンズ1102と出口ポート1104との間の光学経路の中心に照準を定め、それによって、眼1516を光軸1504と整合させる場合、スポット1506は、
図17に示されるように照準線1602の交差点に出現する。しかしながら、患者が眼1516を光軸1504と適正に整合させない場合、スポット1506は、例えば、
図18に示されるように照準線1602の交差点に出現しない。照準線1602の中心でスポット1506を見るまで装置1600を再配向するように、患者に指示することができる。本実施形態では、光源1520は、少しでも患者によって知覚されるビーム1522を生成する必要がない。
【0120】
照準線1602は、眼1516が調節し、依然として合理的に照準線1602の焦点をうまく合わせることを要求しないよう、眼1516から距離を置いて配置されるべきである。これは、
図16の差し込み図で示されるように、アウトリガ1608によって等、筐体1604の大部分から距離を置いて照準線1602が保持されることを要求し得る。
【0121】
装置1600の他の側面は、装置1100に類似するが、いくつかの参照数字が、明確にするために
図16から省略されている。
【0122】
図19で概略的に示される、さらに別の実施形態では、光学または眼科装置1900は、ビームスプリッタ1502を通過する可視ビーム1904を伴わずに、可視光源1902が壁1514上にスポットを投影することを除いて、
図15に関して上記で説明されるような構成要素を含む。
図20で概略的に示されるように、ビーム1904は、光軸1504と平行ではない。したがって、ビーム1904は、装置1900からの距離2000で光軸1504に交差する。光軸1504に対する光源1902の角度2002は、距離2000が少なくとも20フィート(6メートル)であるように選択される。超音波または他の範囲センサ1517、もしくは単純な巻き尺が、壁1514から所望の距離で装置1900を選択的に配置するために使用されてもよい。
【0123】
図21で概略的に示される別の実施形態では、装置2100は、可視光源1902が光軸1504と平行に整合させられるが、そこから離間させられることを除いて、
図19および20に示される装置に類似する。投影された光源1902および内部光源1520の光軸間の距離が十分に小さい場合には、2つの光源の画像が一致するように、患者がデバイスを整合させるときに、眼は、正確な波面測定のために十分に整合させられる。いくつかの実施形態では、可視光源1902または1508(
図15)の軸は、内部光源1520の軸から約20mmオフセットされる。しかしながら、約20フィート(6メートル)の標的距離で、この不完全な整合は、器具の動作、または器具によって得られる処方もしくは測定に実質的に影響を及ぼさない。したがって、可視光源1902または1508、内部光源1520、および/または光軸1504の不整合が約0.5%未満である、実施形態では、これらの構成要素を「実質的に整合させられている」と称する。
【0124】
図55−57で概略的に示される別の実施形態では、本装置は、光源1508または1902(
図15および19)等の可視光源を含まない。代わりに、患者は、装置を覗き込み、装置の接眼レンズ1102および出口ポート1104によって提供される視野の中心で凝視を維持するように指示される。
図55では、眼1516は、デバイスの光軸1504と適正に整合させられている。眼1516によって見られるような仮説的な視界が、
図55で左側に示されている。
図56では、眼1516は、デバイスの光軸1504とわずかに整合させられていない。眼1516によって見られるような仮説的な視界が、
図56で左側に示されている。
図57では、眼1516は、デバイスの光軸1504と著しく整合させられていない。眼1516によって見られるような仮説的な視界が、
図57で左側に示されている。
【0125】
そのような実施形態では、
図15、16、および19に関して上記で説明される実施形態よりも小さく虹彩絞り1542(
図15)を閉鎖することによって等、比較的小さい視野を提供することが有利であり得る。患者の眼1516から生成されるスポット図の処理は、以下でさらに詳細に説明されるように、患者の眼1516が光軸1504と適正に整合させられているかどうかを確認し、もしそうでなければ、患者へフィードバック指示信号を生成するために、使用されてもよい。
両眼収差計
【0126】
図22は、これまで説明されたデバイスによって行われる測定の可能性として考えられる誤差の原因を図示する。患者が患者の瞳孔間軸2204と垂直以外の角度2202で装置2200を保持する場合、装置2200によって生成される処方の円柱軸構成要素は、不正確であり得る。この問題に対する1つの解決策は、装置2200が垂直以外に配向されているかどうかを検出し、もしそうであれば、ユーザに警告するように、装置2200に加速度計(図示せず)を含むことを伴う。別の解決策は、適切な量だけ測定された円柱軸をオフセットするために、加速器からの測定された角度を使用することである。しかしながら、これらのアプローチは、制限を有する。例えば、患者は、頭部を垂直にして位置付けられない可能性があり、それによって、装置の垂直配向を誤った配向にする。
【0127】
この問題を克服するために、随意に、本明細書で説明される任意の実施形態は、
図23で図示される光学または眼科装置2300によって例示されるように、両眼器具として構成されてもよい。代替的な両眼器具2350が、
図23−1で図示されている。両眼器具2300は、両手を使用して患者によって保持されてもよく、それによって、少なくとも部分的に、両手を使用することが器具2300の移動の自由度の数を削減するため、片手が単眼器具を保持するよりも安定性を提供する。両眼器具2300が患者によって保持される可能性が高く、したがって、2つの接眼レンズの間の器具軸が患者の眼内軸と平行であるため、乱視を矯正する処方は、円柱軸の正確な角度を含む可能性が高い。
【0128】
両眼器具2300では、器具2300の片側2302は、
図15に関して等、上記で説明される構成要素を含み、器具の反対側2304は、本質的に中空の管にすぎない。患者は、たとえ患者が頭部を片側に傾けたとしても、器具の垂直軸2306が患者の瞳孔間軸と垂直であるような様式で、顔に両眼器具を保持する可能性が非常に高い。
【0129】
収差計を含む両眼器具2300の側面2302は、上記で議論されるように、器具に入れられる周囲光の量を低減させるように、減光フィルタ1544(
図15)を含んでもよい。両眼器具2300の「作業」側2302の中に減光フィルタ1544がなくても、ビームスプリッタ1501、帯域通過フィルタ1534等が光を減衰させる。したがって、両眼器具2300の反対側2304が、減光フィルタを含むべきであるため、両眼がほぼ等しい量の光を受容する。
【0130】
いったん器具2300が一方の眼を測定するために使用されると、他方の眼を測定するように、器具2300を逆さまにすることができる。
図23に示される両眼器具2300は、2つのハンドル2308および2310を含み、右側を上にして、かつ逆さまに器具を保持することを同等に容易にする。代替として、両側2302および2304は、
図15に関して等、上記で説明される構成要素の大部分を含んでもよい。そのような実施形態は、デバイスが逆さまにされることを要求することなく、実質的に同時に両眼を測定することができる。代替として、両眼からスポット図を同時に結像するように、測定光および波面センサ視野を経路指定するように、付加的なビームスプリッタを二次チャネルに組み込むことができる。
【0131】
図24で概略的に示されるように、両眼器具2300の2つの部分2302および2304は、蟻継ぎまたは他の摺動レール2400によって、相互に調整可能に取り付けられてもよく、2つの接眼レンズ1102および2404の中心の間の距離2402が患者の瞳孔間距離に合致するように調整されることを可能にする。いったん2つの接眼レンズ1102および2404の間の分離が調整され、したがって、アイカップが患者の顔の輪郭に快適に適合すると、ポインタ2408を使用して、眼内距離を目盛り2406から読み取ることができる。随意に、または代替として、直線エンコーダ2410および指標2412が、距離2402を電子的に測定するために使用される。距離2402は、患者のために眼鏡を構築するためのパラメータとして使用することができる。
【0132】
摺動レール2400よりもむしろ、ウォーム歯車、または他の好適な線形、角度、もしくは他の調整可能リンクが使用されてもよい。例えば、
図25で概略的に示されるように、2つの部分2302および2304は、枢動接合部2500によって、相互に調整可能に取り付けられてもよい。2つの接続部材2504および2506によって画定される角度2502が変化すると、2つの接眼レンズ1102および2404の中心の間の距離2402が変化する。目盛り2508およびポインタ2510は、距離2402または角度2502を示すように較正されてもよい。当然ながら、距離2402は、器具の角度2502および既知の幾何学形状から計算することができる。随意に、または代替として、角度エンコーダ2510(鎖線で示される)が、枢動接合部2500に含まれる。
分析ユニット
【0133】
図15に関して記述されるように、光学または眼科装置1100は、光学センサ1532からの信号を分析して、スポット図内のスポットのxおよびy変位を計算し、変位からゼルニケ係数のセットを計算し、係数から矯正レンズ処方を計算するように構成される、分析ユニット1536を含む。分析ユニット1536はまた、装置1100の種々の構成要素の動作も制御する。
図26は、分析ユニット1536の概略ブロック図である。類似分析ユニットが、本発明の他の実施形態で使用されてもよい。
【0134】
分析ユニット1536は、コンピュータバス2604を介してメモリ2602に連結されるプロセッサ2600を含む。プロセッサ2600は、メモリ2602に記憶された命令を実行する。そうする際に、プロセッサ2600はまた、メモリ2602からデータをフェッチし、メモリ2602にデータを記憶する。
【0135】
また、コンピュータバス2604には、光学センサインターフェース2606、光源インターフェース2608、虹彩/減光フィルタインターフェース2610、コンピュータネットワークインターフェース2612、レンジファインダインターフェース2614、音声/視覚/触覚ユーザインターフェース2616、およびユーザ入力インターフェース2618も接続される。これらのインターフェース2606−2618は、コンピュータバス2604を介してプロセッサ2600によって制御され、プロセッサが、インターフェース2606−2618に連結されるそれぞれの構成要素にデータを送信すること、および/またはそこからデータを受信すること、ならびにそれらの動作を制御することを可能にする。
【0136】
光学センサインターフェース2606は、光学センサ1532の画素、象限セクタ、または他の要素からデータを受信するように、光学センサ1532(
図15)に連結される。記述されるように、いくつかの実施形態では、光学センサ1532は、画素化される。いくつかの実施形態では、光学センサ1532は、象限センサの長方形アレイを含む。いずれにしても、光学センサ1532は、光学センサ1532の部分に作用する照明の強度を示すデータを提供する。プロセッサ2600は、スポット図のスポットの重心の場所を計算するために、および完全な眼が光学センサ1532に重心を作用させるであろう場所からの重心の変位を計算するために、この情報を使用する。以下で説明される、いくつかの光学または眼科装置の実施形態は、光学センサインターフェース2606にも連結される、他のまたは付加的な光学センサを含む。
【0137】
光源インターフェース2608は、光源をオンおよびオフにすること、およびいくつかの実施形態では、光源1508および1520によって発せられる光の強度を制御すること等のそれらの動作を制御するように、可視光源1508(
図15)および光源1520に連結される。以下で説明される、いくつかの実施形態では、光源1508および1520の一方または両方は、個々の光源のそれぞれのアレイを含む。これらの場合において、光源インターフェース2608は、プロセッサが個々の光源のそれぞれを別々に制御することを可能にしてもよい。
【0138】
虹彩/減光フィルタインターフェース2610は、プロセッサ2600がそれらの動作を制御することを可能にするように、調整可能な虹彩絞り1542および/または減光フィルタ1544(
図15)に連結される。例えば、プロセッサ2600は、特定サイズまで開放または閉鎖するよう虹彩絞り1542に命令するように、インターフェース2610を介して信号を送信してもよい。同様に、減光フィルタ1544が調整可能である場合、プロセッサ2600は、光の特定部分を入れるよう減光フィルタ1544に命令するように、インターフェース2610を介して信号を送信してもよい。
【0139】
ネットワークインターフェース2612は、プロセッサ2600が、プリンタ、パーソナルコンピュータ、携帯電話またはスマートフォン、自動レンズ研磨機、または眼鏡注文処理システム等の別の好適に装備した外部デバイスと通信し得る、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、有線Ethernet(登録商標)インターフェース、Bluetooth(登録商標)インターフェース、無線赤外線(IR)インターフェース、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)インターフェース、または無線セルラーデータインターフェース等の有線または無線インターフェースを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサ2600は、直接的に、またはローカルエリアネットワークもしくは携帯電話会社ネットワーク等のネットワークを介してのいずれかにおいて、それが計算した処方を外部デバイスに送信する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、ネットワークインターフェース2612を介して、外部デバイスから患者データ、プログラム更新、構成情報等を受信する。全てのゼルニケおよび処方計算が装置内で行われる、実施形態が説明されているが、他の実施形態では、プロセッサは、光学センサ1532からの未加工データ、計算されたスポット図情報、ゼルニケ係数、または他の中間情報を外部デバイスに送信し、外部デバイスは、処方を計算する。
【0140】
レンジファインダインターフェース2614は、眼科装置内の任意の距離センサ1517に連結される。
【0141】
音声/視覚/触覚インターフェース2616は、眼科装置内の任意の音声、視覚、および/または触覚出力デバイスに連結される。例えば、記述されるように、装置1100は、装置1900と壁1514との間の距離2000(
図20)が不適切である場合に、可聴、視覚、触覚、または他の警告を提供してもよい。代替として、以下で示されるように、本インターフェース2616は、患者の眼とデバイスの光軸との間の整合についてのフィードバックを提供するために使用することができる。好適な音声デバイスは、ポケットベル、スピーカ、圧電デバイス等を含む。好適な視覚デバイスは、光、液晶ディスプレイ(LCD)画面等を含む。好適な触覚デバイスは、振動器、再生可能点字ディスプレイ等を含む。
【0142】
ユーザ入力インターフェース2618は、眼科装置内の任意のユーザ入力デバイスに連結される。そのような入力デバイスは、例えば、患者の眼の測定を開始するために使用されてもよい。好適なユーザ入力デバイスは、ボタン、キー、トリガ、タッチスクリーン、触覚センサ等を含む。例示的なユーザインターフェース2352が、
図23−1に示されている。
【0143】
インターフェース2606−2618、プロセッサ2600、メモリ2602、およびコンピュータバス2604、またはそれらの任意の部分のうちの1つまたはそれを上回るものは、プログラマブル論理デバイス(PLD)2626、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)2620、デジタル信号プロセッサ(DSP)2622、特定用途向け集積回路(ASIC)2624、離散論理または好適な回路等の好適にプログラムされたデバイスによって置換または増補されてもよい。インターフェース2606−2618に接続される構成要素、インターフェース自体、プロセッサ2600、メモリ2602、およびコンピュータバス2604は、本明細書で説明される光学および機械的要素とともに、プロセッサ2600、および/またはPLD2626、FPGA2620、DSP2622、および/またはASIC2624の制御下で、本明細書で説明される機能を集合的に果たす。
眼が光軸と整合させられているかどうかを自動的に判定し、フィードバックを患者に提供する
【0144】
図7に関して記述されるように、スポットのアレイ(スポット
図710)が、光学センサ610上に投影される。眼1516が、
図15に示されるようにデバイス1100の光軸1504と整合させられる場合、スポット図は、光学センサ1532上で中心に置かれる。しかしながら、
図27で概略的に例示されるように、眼1516が光軸1504とわずかに整合していない場合、スポット
図2700は、光学センサ1532上で中心に置かれない。たとえアイカップが患者の顔にしっかりと押し付けられたままであり、デバイス1100が患者の頭部に対して移動しなくても、患者の眼は、その眼窩内で移動することができ、したがって、光軸1504と整合させられなくなることに留意されたい。
【0145】
患者が眼1516を光軸1504と整合していないときを自動的に検出するため、および患者に不整合を通知するフィードバックを患者に提供するために、種々のアプローチが利用可能である。いくつかの実施形態では、フィードバックは、自己補正のための誘導を提供するように、不整合の程度および/または方向を患者に示す。ここで、これらのアプローチのうちのいくつかを説明する。
【0146】
図28は、本発明のいくつかの実施形態による、整合フィードバックモジュール2800の概略ブロック図である。本明細書で使用されるように、「モジュール」という用語は、1つまたはそれを上回る相互接続されたハードウェア構成要素、1つまたはそれを上回る相互接続されたソフトウェア構成要素、もしくはそれらの組み合わせを指す。したがって、整合フィードバックモジュール2800は、
図26に関して上記で議論される構成要素のうちのいずれかによって実装されてもよい。
【0147】
図9では、スポット
図810の全てのスポットは、概して、等しい強度ではないことが分かる。センサ610上で、各スポットの強度は、スポットの直径によって概略的に示される。一般に、スポット強度は、スポット
図810の中心からの半径方向距離とともに減少する。スポット図内のスポット強度分布は、3次元表面グラフ920によって表される。
【0148】
図28に戻って、スポット図重心およびサイズ計算機2802が、各画素または各象限によって検出される光の強度等の信号をそこから受信するように、光学センサ1532に連結される。スポット図重心およびサイズ計算機2802は、光学センサ1532上で、そのxおよびyまたは極座標、およびスポット図直径等のスポット図全体の重心のサイズおよび場所を計算する。スポット図重心計算機2802は、重心およびサイズを判定するための任意の適切なアルゴリズムまたは方法を使用してもよい。多くのそのようなアルゴリズムおよび方法が周知である。いくつかの実施形態では、照射された画素の座標の加重和が計算され、各画素の座標は、画素によって検出される照射レベルによって加重される。本情報はまた、スポット図のサイズ、例えば、スポット図の直径を判定するために使用することもできる。
【0149】
図29で概略的に例示されるように、スポット図の真の重心が、完全に光学センサ1532から外れるように、スポット図のスポットの一部分2900のみが光学センサ1532上に収まったとしても、スポット図重心計算機2802は、スポット2900内の場所を計算し、この場所をスポット図の重心として提供するために、スポットの一部分2900を使用してもよい。さらに、光学センサ1532上に収まるスポット図の一部分の形状はまた、スポット図のサイズを推定するために使用することができる。光学センサ1532上に収まるスポット図の一部の湾曲は、スポット図の直径を推定するために使用されてもよい。同様に、光学センサ1532上に収まるスポット図の一部の湾曲は、たとえ中心が光学センサ1532内になくても、スポット図の真の中心を推定するために使用されてもよい。随意に、スポット図重心計算機2802は、スポット図の真の重心が光学センサ1532の外にあることを示すように、付加的な信号を生成してもよい。
【0150】
差計算機2804は、スポット図の重心の場所と光学センサ1532の中心場所2806との間の差を計算する。差計算機2804の出力は、光学センサ1532の中心からのスポット
図2700(
図27)の重心の変位の規模および方向2808を表す。本規模および差2808は、フィードバック信号発生器2810に供給される。
【0151】
フィードバック信号発生器2810は、患者および/または随意的なオペレータに、音声、視覚、触覚、および/または他の出力を生成する。いくつかの実施形態は、スピーカ1546(
図15)によって例示されるようなスピーカを含み、フィードバック信号発生器2810は、スピーカ1546に連結される。いくつかの実施形態では、フィードバック信号発生器2810は、不整合の程度および/または不整合の方向を患者に示すように、スピーカ1546を介して音声信号を生成する。いくつかのそのような実施形態では、音のピッチまたは音量、もしくは(ガイガーカウンタによって発せられる音に多少類似する)カチカチという音の周波数は、どれだけ密接に眼が光軸に整合させられているかを表してもよい。いくつかの実施形態では、眼が適正に整合させられるとき、または整合させられるときはいつでも、ビープ音等の特定の音が再生される。フィードバック信号発生器2810は、どのようにして眼の整合を向上させるか、または維持するかを患者に指示する合成発話、例えば、「器具を少し上に動かして下さい」、「少し左側を見て下さい」、または「完璧です。眼を動かさないで下さい」を生成するように、発話シンセサイザを含んでもよい。スピーカはまた、デバイスを使用するための指示を再生するために使用されてもよい。1つの重要な指示は、瞬きをするように患者に求めることである。新鮮な涙液膜が、眼の光学性質の良好な測定のために重要である。
【0152】
いくつかの実施形態は、接眼レンズ1102、出口ポート1104の中、または器具1100内の他の場所に位置する、LEDによって照射される矢印等の視覚インジケータを含む。例示的な視覚インジケータ1548および1550は、
図15の接眼レンズ1102の中に示されている。フィードバック信号発生器2810は、患者が凝視を調整して眼を光軸とより良好に整合させるべきである、規模および方向を表すように、これらのインジケータ1548および1550のうちの1つまたはそれを上回るものを選択的に照射してもよい。随意に、または代替として、筐体1500(
図15)は、LCDディスプレイを含み、フィードバック信号発生器2810は、光学センサの中心に交差する垂直および水平軸3004および3006に対するスポット図の重心3002の場所を示す、
図30のディスプレイ3000によって概略的に例示されるディスプレイを生成する。そのようなディスプレイ3000は、患者に指導するオペレータによって使用されてもよい。ディスプレイ3000の別の実施形態が、
図23−1の2351で示されている。随意に、または代替として、筐体1500は、器具1100が光軸との眼の整合を向上させるように移動させられるべきである、相対方向、随意に、相対距離を示すように、フィードバック信号発生器2810に連結されるLED等の光を含んでもよい。
【0153】
いくつかの実施形態は、患者が、振動の軸に沿った方向へ、凝視を偏移させるか、または器具1100を移動させるべきであることを示すように、軸に沿って振動で患者に信号伝達する触覚出力デバイスを含む。振動の周波数は、患者が凝視を偏移させるか、または器具1100を移動させるべきである程度を示してもよい。
【0154】
ここまで、スポット図の少なくとも一部分が光学センサ上に収まることが仮定されている。しかしながら、眼が光軸と著しく整合していない場合、スポット図のうちのいずれも光学センサ上に収まらず、またはスポット図重心計算機2802が重心場所を計算するために、スポット図の不十分な部分が光学センサ上に収まる。そのような実施形態は、
図31で概略的に示されるように、光学センサ1532の周囲に光センサのアレイを含むことによって、この問題を解決する。ここで、光センサ3102、3104、および3106によって例示される光センサのアレイ3100は、光学センサ1532を大部分包囲するように配列される。光センサ3102−3106は、光学センサ1532と同一のサイズで示されている。しかしながら、光センサ3102−3106は、光学センサ1532より小さく、または大きくあり得る。各光センサ3102−3106は、単一の感光領域を有する。したがって、光センサ3102−3104は、光学センサ1532より安価であり得る。
【0155】
光センサ3102−3106は、スポット図重心計算機2802に連結される。ここではスポット
図3108によって例示されるスポット図が、光学センサ1532から外れる場合、光センサ3102−3106のうちの1つまたはそれを上回るものからの信号は、少なくとも光学センサ1532の中心からスポット
図3108までの方向をスポット図重心計算機2802に示す。スポット図の一部分のみが光学センサ1532上に収まる場合のように、スポット図重心計算機2802は、少なくともスポット
図3108の近似場所を計算し、これをスポット図の重心のシミュレートされた場所として提供するために、光センサのアレイ3100からの信号を使用してもよい。
【0156】
随意に、または代替として、スポット図重心計算機2802は、単純に、スポット
図3108が収まる、光学センサ1532の中心からのいくつかの方向のうちの1つを返す。可能性として考えられる方向の数は、アレイ3100内の光センサ3102−3106の数に等しくあり得る。可能性として考えられる方向の数は、光センサ3102−3106の数より多くあり得る。例えば、3つまたはそれを上回る光センサがあると、スポット図重心計算機2802は、光センサから信号の加重和を得ることによって、方向を計算してもよい。随意に、スポット図重心計算機2802は、スポット図の真の重心が光学センサ1532の外にあることを示すように、付加的な信号を生成してもよい。
【0157】
図31に示される実施形態では、8つの光センサ3102−3106が、光学センサ1532の周囲の1つの正方形リングで使用される。しかしながら、他の実施形態では、他の数の光センサおよび/または他の数の同心円状リングおよび/または他の形状のリングが使用されてもよい。光センサおよび/またはリングの数は、スポット図への方向および/または距離の所望の分解能に基づいて選択されてもよい。
【0158】
図32で概略的に示される、さらに別の実施形態では、付加的なビームスプリッタ3200が、眼1516から象限フォトダイオード検出器3202へ光学信号1526の一部分を指向する。象限フォトダイオード検出器3202は、スポット図重心計算機2802に連結される。
図33は、その上に投影される仮説スポット
図3300を含む、象限フォトダイオード検出器3202の平面図である。象限フォトダイオード検出器3202は、光学センサ1532に対して任意のサイズであり得る。しかしながら、ビームスプリッタ3200と象限フォトダイオード検出器3202との間に間置される縮小レンズ3204は、比較的広い領域にわたってスポット図の場所を検出するために、比較的小型で安価な検出器を使用することを可能にする。スポット図重心計算機2802の動作は、そのような実施形態では、
図31に関して上記で説明される動作に類似する。代替として、象限フォトダイオード検出器3202の代わりに、位置敏感型検出器(PSD)または多要素カメラアレイ等の任意の他の好適なセンサが使用されてもよい。代替として、象限検出器の代わりに、別の数のセクタを伴う検出器が使用されてもよい。セクタの数は、スポット図の場所が確認される、所望の分解能に基づいて選択されてもよい。
【0159】
随意に、または代替として、スポット1506(
図15)が壁1514上に投影される場所を変化させることによって、光軸への患者の眼の不整合についての患者へのフィードバックが提供される。そのような実施形態では、可視光源1508は、光源インターフェース2608(
図26)によって駆動されるパンおよび傾転ヘッド(図示せず)によって、または光源インターフェース2608によって駆動される可視光源のアレイによって等、操縦可能である。患者の眼が器具1100の光軸1504と適正に整合させられていない場合、スポット1506の場所は、不整合の方向および規模に対応する方向および距離で変化させられる。その結果として、スポット1506がもはや光軸1504に沿わなくなり得ることに留意されたい。結果として、患者は、スポット1506の新しい場所に向かってわずかに凝視を再指向するように指図され、それによって、光軸1504との眼の整合を向上させる。器具1100の光軸1504は、変化させられない。スポット1506が投影される場所のみが変化する。
【0160】
図34は、可視光源3402、3404、および3406によって例示される可視光源の例示的なアレイ3400の概略平面図である。可視光源3402−3406のそれぞれは、わずかに異なる軸に沿って光線1510(
図15)を投影するよう配置され、それによって、壁1514上のわずかに異なる場所でスポット1506を照射する。
図34に示される実施形態は、25個の可視光源3402−3406を含む。しかしながら、壁1514上のスポット1506の場所に対する制御の所望の粒度および範囲に応じて、他の数の可視光源およびそれらの間隔が使用されてもよい。
【0161】
図28に示されるように、フィードバック信号発生器2810は、個々の可視光源3402−3406のうちのどれがスポット1506を投影するかを制御するように、信号を光源インターフェース2608に送信する。中心可視光源3408は、光軸1504に沿ってスポット1506を投影するよう、単一の可視光源1508が別様に配置されるであろう場所に配置される。本光源3408は、壁1514上でスポット1506を最初に照射するために使用される。しかしながら、スポット図重心場所計算機2802が、患者の眼が光軸1504と整合させられていないことを確認する場合、不整合信号2808の規模および方向が、フィードバック信号発生器2810に可視光源3408を消光させ、可視光源のアレイ3400の異なる光源を照射させる。フィードバック信号発生器2810は、方向および規模信号2808に対応する中心可視光源3408からの方向および距離に位置する、可視光源3402−3406のうちの1つを選択する。
光学センサ上でより良好にスポット図を中心に置くように、仮想光源の場所を自動的に調整する。
【0162】
随意に、または代替として、患者の眼が器具1100の光軸1504と適正に整合させられていない場合、患者の眼球内の仮想光源1525(
図15)の場所は、光学センサ1532上でより良好に中心に置かれているスポット図を自動的に生成するよう変化させられる。そのような実施形態では、光源1520は、光源インターフェース2608(
図26)によって駆動されるパンおよび傾転ヘッド(図示せず)によって、または光源インターフェース2608によって駆動される光源のアレイによって等、操縦可能である。患者の眼が器具1100の光軸1504と適正に整合させられていない場合、仮想光源1525の場所は、不整合の方向および規模に対応する方向および距離で変化させられる。その結果として、仮想光源1525がもはや光軸1504に沿わなくなり得ることに留意されたい。結果として、スポット図は、患者によるいかなる動作も伴わずに、光学センサ1532の中心により近い、光学センサ1532上の異なる場所に収まる。器具1100の光軸1504は、変化させられない。スポット図が光学センサ1532上に収まる場所のみが変化する。
【0163】
図35は、光源3502、3504、および3506によって例示される光源の例示的なアレイ3500の概略平面図である。光源3502−3506のそれぞれは、わずかに異なる軸に沿って光線1522(
図15)を投影するよう配置され、それによって、眼1516の網膜上のわずかに異なる場所で仮想光源1525を生成する。
図35に示される実施形態は、25個の光源3502−3506を含む。しかしながら、眼1516の網膜上の仮想光源1525の場所に対する制御の所望の粒度および範囲に応じて、他の数の光源およびそれらの間隔が使用されてもよい。
【0164】
図28に示されるように、フィードバック信号発生器2810は、個々の可視光源3502−3506のうちのどれが仮想光源1525を投影するかを制御するように、信号を光源インターフェース2608に送信する。中心光源3508は、光軸1504に沿って仮想光源1525を投影するよう、単一の光源1520が別様に配置されるであろう場所に配置される。本光源3508は、眼1516の網膜上で仮想光源1525を最初に照射するために使用される。しかしながら、スポット図重心場所計算機2802が、患者の眼が光軸1504と整合させられていないことを確認する場合、不整合信号2808の規模および方向が、フィードバック信号発生器2810に可視光源3508を消光させ、可視光源のアレイ3500の異なる光源を照射させる。フィードバック信号発生器2810は、方向および規模信号2808に対応する中心光源3508からの方向および距離に位置する、光源3502−3506のうちの1つを選択する。
眼が調節しているかどうかを自動的に判定し、フィードバックを患者に提供する
【0165】
本明細書で説明される開放視野設計は、少なくとも部分的に、壁上に投影されているスポットが遠く離れていることを患者が把握しているため、調節しないよう患者を促す。それでもなお、患者は、時として、眼が測定されている間に調節し得る。調節は、矯正用眼鏡の処方が調節されていない眼から発する波面に基づいて計算されるべきであるため、処方測定プロセスに非制御変数を導入する。この問題を回避するため、本発明の実施形態は、患者が調節していないときを自動的に確認し、処方を計算するためにそのような期間からの波面データを使用する。
【0166】
記述されるように、矯正レンズ処方を計算するために、波面収差測定によって生成されるスポット図を使用することができる。しかしながら、従来技術と異なり、本発明の実施形態は、1つまたは少数の単一恣意的時限画像よりむしろ、ビデオデータ、すなわち、一連の時間的に離間したフレームを捕捉する。ビデオフレームレートは、一定または可変であり得る。フレームレートは、所与のフレームの中の飽和ピクセルの全体的照射および割合等の光学センサ1532(
図15)によって結像されるスポット図の特性に基づいて、フレーム毎にリアルタイムで調整されてもよい。いくつかの実施形態では、フレームレートは、毎秒約6つのフレームから、毎秒15より多くのフレームまで変動し得る。それでもなお、フレーム間時間は、比較的短く、約1/10秒であり、したがって、ビデオフレームを「連続的」と称する。ビデオデータは、光学センサ1532(
図15)から捕捉され、処理のためにメモリ2602(
図26)に記憶される。ビデオの各フレームは、光学センサ1532によって捕捉される画像、関連フレーム番号、およびフレームレートが一定ではない場合はフレームが捕捉された関連時間を含む。したがって、各フレームから処方を計算することができる。いくつかのフレームが、雑音、不完全なスポット図を含む、スポット図を含まない、または別様に処方計算のために望ましくないため、屈折処方、ゼルニケ係数のセット、またはフレームから計算されるある他の表現によって表され得る、収差プロファイルは、本明細書では「候補処方」と称される。
【0167】
候補処方が、各フレームについて計算され、メモリ2602に記憶される。候補処方計算は、ビデオの最後のフレームが捕捉された後に行われてもよく、または計算は、ビデオ捕捉および記憶と時間的に重複してもよい。十分な計算能力が利用可能である場合、フレームが捕捉された後であるが、連続フレームが捕捉される前に、候補処方が各フレームについて計算されてもよい。後者の場合、いくつかの実施形態では、未加工ビデオデータは、メモリ2602に記憶されない。
【0168】
図36は、本発明の実施形態による、非調節検出器モジュール3600の概略ブロック図である。処方計算機3602は、本明細書で説明されるように、光学センサ1532から信号を受信し、信号から候補処方を計算する。記述されるように、処方は、典型的には、少なくとも球面構成要素と、1つまたは2つの円柱構成要素とを含む。球面構成要素は、正または負の屈折力に関して説明され、円柱構成要素は、屈折力および軸または同等の用語(例えば、屈折力ベクトル表記)に関して説明される。処方はまた、高次収差を補正するように付加的なレンズ仕様を含んでもよい。
【0169】
処方計算機3602は、球体3604、円柱−1 3605、軸−1 3606等の個々のレンズ仕様のセットを出力する。随意に、スポットサイズ等の他の情報3607も出力される。出力は、集合的に候補処方3612と称される。各候補処方3612は、どのビデオフレームから候補処方が計算されたかという識別、またはフレームが光学センサ1532によって得られた相対時間3608とともに、メモリ2602(
図26)に記憶される。球体3604、円柱−1 3605、軸−1 3606等は、種々の次数のゼルニケ情報を使用して取得される、M、J0、およびJ45等の種々のゼルニケモードを使用して計算される処方データであり得る。
【0170】
常時開スイッチ3620は、全てのフレームが獲得された後に閉鎖する。
【0171】
スポット図サイズは、品質測定基準に関係付けられ、処方についてのある情報を与える。一定の瞳孔サイズを仮定すると、眼が正視である場合、スポット図サイズは、瞳孔サイズに等しい。しかしながら、眼が近視である場合、スポット図は、瞳孔サイズより小さい。近視が高いほど、瞳孔サイズが小さくなる。他方で、眼が遠視である場合、スポット図直径は、瞳孔サイズより大きい。より遠視であるほど、スポット図が大きくなる。
【0172】
スポット図サイズはまた、調節とともに変化する。したがって、患者が調節している場合、器具がスポット図サイズの変化を検出することができる。
【0173】
スポット図サイズは、瞳孔サイズに関係付けられ、瞳孔サイズは、眼によって受容される光の量に関係付けられる。より暗い環境では、瞳孔は、自動的により大きくなる。したがって、器具は、患者が測定されていた間の室内の周囲光の変化等の外部条件を追跡するために、スポット図サイズから推定されるような瞳孔サイズを使用することができる。
【0174】
加えて、スポット図のサイズを品質測定基準に関係付けることができる。焦点ぼけ収差および伝搬アルゴリズムを使用して、スポット図サイズは、瞳孔サイズを計算するために使用することができる。収差プロファイルが特定の開口直径と関連付けられるため、瞳孔サイズは、収差を測定するために重要である。
【0175】
図37は、仮説的患者から計算される球面および円柱屈折力候補処方のグラフ3700を含有する。白丸は、球面候補処方を表し、十字を引いた丸は、円柱候補処方を表す。垂直軸は、ジオプター(D)で屈折力を示し、水平軸は、候補処方が計算された時間を示す。フレームは、毎秒約10フレームで捕捉された。
【0176】
図37は、時間1で約−2.25Dから始まる、経時的に変動する患者の候補球面処方を示す。ほぼ時間175から始まって、候補球面処方は、ほぼ時間240で約−1.7Dから約+0.4Dまで増加する。ほぼ時間240後に、候補球面処方は減少する。
【0177】
眼が調節されていないとき、調節されていない水晶体が調節された水晶体とは異なる屈折力を提供し、したがって、調節された水晶体とは異なる補正を必要とするため、候補球面処方は、眼が調節されている間に計算される任意の候補球面処方とは異なるはずである。他方で、円柱補正が調節の量とともに有意に変動しないため、処方の円柱構成要素の変動が見出される場合、これらは、一般に、検査中の患者の望ましくない動きを示す。したがって、
図37のグラフから、(3702等の)約0Dの候補球面処方は、計算される最大の候補球面処方であるため、患者のための正しい処方により近いはずであるかのように見えるであろう。
【0178】
しかしながら、候補処方が雑音の結果であり得、調節の規模および方向が患者の実際の屈折誤差等の他の要因に依存し得るため、本発明の実施形態は、必ずしも最大候補球面処方を正しい処方として容認するわけではない。例えば、
図37によって図示される場合では、眼が候補球面処方3702または3704のいずれかを生じさせたほど十分に迅速に調節を変化させることができないことを認識するため、候補球面処方3702または3704のいずれも容認されない。本文献は、ヒトの眼において毎秒約1〜2ジオプターの最大調節速度を報告する。バー3706は、接近から遠隔オブジェクトに調節を変化させるために眼によって必要とされる近似時間量を示す。対照的に、候補球面処方3702および3704は、眼が生理学的に一般的であるよりもはるかに迅速に調節を変化させることを要求したであろう。さらに、水晶体が形状を変化させると、眼が調節を連続的に変化させる。したがって、近くに候補処方がない候補処方は、雑音の結果である可能性が非常に高い。例えば、小さい瞳孔を伴う近視眼の場合、スポット図を構成する非常に少数のスポットがあろう。次いで、反射雑音からこれらのスポットの重心を判定することの誤差は、眼の焦点ぼけに対応するゼルニケ係数の計算の大きな誤差を引き起こし得る。
【0179】
図36に戻って、全てのフレームが獲得された後、常時開スイッチ3620は、閉鎖され、候補球面処方3604は、周辺候補球面処方とは根本的に異なる、すなわち、候補球面処方の絶対傾斜が所定の値より大きい、候補球面処方を除去するように、調節フィルタ3622(
図38の調節フィルタ3810)内の低域通過フィルタ3614に供給される。いくつかの実施形態では、毎秒約±1ジオプターより大きい候補球面処方信号3604の瞬間傾斜が、候補球面処方の拒否をトリガする。平滑化候補球面処方、すなわち、低域通過フィルタ3614を通過する候補球面処方が、調節補正規則3624に従って処理される。いくつかの実施形態では、規則3624は、最大候補球面処方を選択する。
図37のグラフでは、候補球面処方3708は、規則3624によって選択されるであろう。しかしながら、他の実施形態では、候補処方を処理して処方に到達するために、他の選択基準、機械学習、または他の機構が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、候補処方3612の他の部分、または時間の関数としてのスポット図サイズ等の他の情報もまた、使用されてもよい。
【0180】
規則3624によって選択される候補球面処方と関係付けられるフレーム数または時間は、メモリ2602に記憶された候補処方、すなわち、規則3624によって検出される候補球面処方と同一のフレームから計算される他の候補処方パラメータを選択するために使用される。選択された候補処方3618は、患者のための処方として報告されるか、または別のモジュールに供給される。したがって、本発明の実施形態は、自動的に、患者が調節していないときを確認し、処方を計算するためにそのような期間からの波面データを使用する。
【0181】
いくつかの実施形態では、1つより多くの候補球面処方は、患者の眼が調節されなかった間に捕捉されたフレームから計算されたと見なされてもよい。例えば、上記で説明されるように、規則3634によって検出される候補球面処方の所定の範囲内の全ての候補球面処方は、調節されていない眼のデータから計算されたと見なされてもよい。規則3634は、調節されていない眼のデータから計算された候補処方を識別する情報をメモリ2602に記憶する。
【0182】
いくつかの実施形態は、ピーク候補球面処方が検出されたとき、または光学センサ1532からデータを収集し始めた後の所定の時間量内にそのようなピークが検出されなかったときに、フィードバックを患者に提供する。本フィードバックは、
図28に関して上記で説明される線に沿った、音声、視覚、触覚、または他のフィードバックの形態であってもよい。
信号対雑音比を向上させるように複数のフレームを組み合わせる
【0183】
処方を計算するために、スポット図を含む光学センサ1532からの個々のフレームが使用されてもよいが、いくつかの実施形態では、単一の処方を計算するように、複数のフレームが組み合わせられる。複数のフレームを組み合わせることは、雑音を平均化することによって等、信号対雑音(S/N)比を向上させることができる。これらの実施形態、およびフレームを組み合わせないいくつかの実施形態に関する、付加的な詳細とともに、ここで、フレームを組み合わせるいくつかの実施形態を説明する。いくつかの処理モジュールを説明する。処理モジュールおよびこれらのモジュール間の相互接続は、
図38で要約される。
【0184】
モジュール3800では、データが画像センサ1532(
図15)から獲得される。各フレームは、露出時間およびフレームレートを含む、画像センサ設定に従って獲得される。これらの設定は、良好な信号対雑音比を伴うフレームを獲得することを目標にして、フレーム毎に調整されてもよい。一般に、それらのスポット図内に明るいスポットを伴うフレームは、薄暗いスポットを伴うフレームよりも良好な信号対雑音を有するが、飽和している多数のスポットは望ましくない。「飽和」とは、画素の輝度値が画素にとって可能な最大値に等しいことを意味する。代替として、モジュール3800は、以前に獲得され、メモリ2602に記憶されているフレームを処理してもよい。
【0185】
一実施形態では、フレームのピクセルの第1の所定の割合より多くが飽和している場合、次のフレームの露出時間が短縮される。割合は、百分率として表されてもよく、例えば、センサ内の全ての画素の0.1%が飽和しているはずである。本割合は、瞳孔のサイズ、およびスポット図を含むスポットの平均サイズに基づいて、変動し得る。加えて、本割合は、画像センサ1532および光源1520の特性に基づいて設定されてもよい。逆に、フレームのピクセルの第2の所定の割合より少ないものが飽和している場合、次のフレームの露出時間が増加させられる。しかしながら、露出時間は、眼の動きの結果として被写体ぶれを引き起こし得る値まで増加させられるべきではない。したがって、光学センサ1532のサイズ、およびそれが含有する画素または象限の数に基づいて、最大露出時間を確認することができる。データ収集モジュール3800からの出力が、表1で要約される。
【表1】
【0186】
記述されるように、患者が、患者の眼に対して器具1100の位置を調整するように指示されてもよいため、患者は、最大輝度で赤色ドットを知覚する。本位置で、器具1100(
図15)は、患者の眼窩に対して良好に配向される。しかしながら、患者の眼は、依然として眼窩内で動くことができる。つまり、患者は、上、下、左、および右を見ることができる。したがって、眼の視野の中心は、器具1100の光軸1504と整合させられない場合があり、スポット図は、光学センサ1532上で中心に置かれない場合があり、またはスポット図は、光学センサ1532から完全に外れ得る。加えて、患者は、瞬きをし得る。さらに、いくつかのフレームでは、光学センサ1532に到達する信号は、眼の網膜上の仮想光源よりもむしろ、眼の角膜からの反射に由来し得る。したがって、いくつかのフレームは、有用な情報を含有しない場合がある。
【0187】
フレームセレクタ3802は、有用な情報を含有し得るフレームのみを保持する。フレームセレクタ3802の目的は、処方を計算するために使用される未加工データが可能な限り良好であることを確実にすることである。フレームセレクタ3802は、表2で要約されるように、フレームを破棄してもよい。例えば、スポット図の直径がフレーム毎に所定量を上回って変動する、連続フレームは、破棄されてもよい。
【0188】
フレームセレクタ3802は、フレームに「有効」、「不完全」、またはおそらく「破棄」等のタグ付けをする。タグは、フレームの画素の輝度値またはフレームから計算される処方を表すデータと関連して、メモリ2602に記憶されたコードによって表されてもよい。
【表2】
【0189】
図39は、完全スポット図の概略図であり、
図40は、部分スポット図、すなわち、スポット図の一部分が光学センサ1532から外れる、スポット図の概略図である。スポット図は、本明細書で説明されるようなプロトタイプ器具によって捕捉された。フレームセレクタ3802は、種々の技法によって、これら2種類のフレームを相互と区別してもよい。例えば、フレームセレクタ3802は、スポット図の形状を確認してもよい。スポット図が、ほぼ円形または楕円形かつ完全である場合、フレームは、完全スポット図を含有すると見なされてもよく、フレームは、容認されて「有効」とタグ付けされてもよい。フレームセレクタ3802はまた、スポット図の中心の場所を計算してもよい。他方で、形状の一部分のみが円形であり、スポット図のスポットが光学センサ1532の隣接縁である場合、フレームは、部分スポット図を含有すると見なされ、「不完全」とタグ付けされてもよい。不完全とタグ付けされたフレームについて、フレームセレクタ3802はまた、スポット図のどれだけの割合が光学センサ1532上に収まるかを計算または推定してもよい。以下で議論されるように、不完全なスポット図が、いくつかの処方計算で使用されてもよい。
【0190】
図41は、患者の瞬きまたは器具1100の光軸1504との患者の眼の著しい不整合の結果等の、スポット図がない光学センサ1532からのフレームの概略図である。フレームセレクタ3802は、フレームの全ての画素を合計または積分することによって、この種類のフレームを検出してもよい。合計または積分が、所定の値より小さく、スポット図のより少ないスポットがフレームに存在するか、いかなるスポットも存在しないことを示す場合、フレームセレクタ3802は、フレームを破棄してもよい。
【0191】
図42は、角膜反射を含有する光学センサ1532からのフレームの概略図である。フレームは、本明細書で説明されるようなプロトタイプ器具によって捕捉された。フレームセレクタ3802は、いくつかの要因に基づいて、そのようなフレームを識別してもよい。例えば、画像が小型レンズアレイ1530内のレンズより多くのスポットを含有する場合、フレームセレクタ3802は、フレームを破棄してもよい。フレームセレクタ3802は、フレームの全ての画素を合計または積分してもよい。合計または積分が、所定の値より大きく、スポット図の過剰に多くのスポットがフレーム内に存在することを示す場合、フレームセレクタ3802は、フレームを破棄してもよい。フレームセレクタ3802によって破棄されるフレームは、メモリに記憶されるが、「破棄」とタグ付けされてもよい。
【0192】
表3は、フレームセレクタ3802モジュールからの出力を要約する。
【表3】
【0193】
随意に、連続フレームのそれぞれより良い信号対雑音比を伴う単一のフレームを取得するように、いくつかの連続フレームが組み合わせられてもよい。患者の眼1516において仮想光源1525を生成するために、低費用光源1520(
図15)が使用される場合、光学センサ1532によって獲得される画像は、有意なスペックル雑音を含み得る。スペックル雑音は、仮想光源1525および光学センサ1532内の点の間の経路長差に起因し得る。これらの経路長差は、仮想光源1525内の点から発するいくつかの波面からの相互干渉により、強度の無作為な変動を引き起こす。さらに、たとえ患者の眼が動かなくても、硝子体液等の眼内液が流動し、光学干渉を引き起こし得る。他方で、硝子体液流は、フレームの時間目盛り上の経路長を無作為化し、したがって、スペックル雑音を低減させ得る。いずれにしても、いくつかのフレームを組み合わせることは、スペックル雑音を平均化することによって信号対雑音比を向上させることができる。
【0194】
フレーム結合器3804は、フレームセレクタモジュール3802から、随意に、処方計算機3806から出力を受信し、単一の複合フレームを出力する。フレーム結合器3804は、「有効」とタグ付けされる連続フレームのみを組み合わせてもよい。随意に、または代替として、フレーム結合器3804は、「有効」または「不完全」とタグ付けされる連続フレームを組み合わせてもよい。随意に、フレーム結合器3804は、処方計算機3806によって提供される処方情報に基づいて、非連続フレームを組み合わせてもよい。
【0195】
フレームを組み合わせる際に、フレーム結合器3804が、組み合わせられるフレームを位置合わせするため、スポット図の対応するスポットは、相互に位置合わせする。スポット図の形状を変化させないよう、非変形(剛性)位置合わせプロセスが使用されるべきである。いったんフレームが位置合わせされると、合計または平均されてもよい。つまり、各合計フレーム内の対応する画素によって記録される強度が、加算または平均される。加えて、スポット図の露出時間は、複合フレームの露出時間を合計することによって訂正されるべきである。また、調節が、異なる処方とのフレームの組み合わせを引き起こし、誤った結果につながり得るため、この段階で、時間的に近いフレームのみ(すなわち、眼に調節する時間がなかった連続フレーム)が組み合わせられ得ることも考慮されたい。
【0196】
いくつかの実施形態では、「有効」とタグ付けされるフレームのみが組み合わせられる。いくつかの実施形態では、「有効」とタグ付けされるフレームおよび「不完全」とタグ付けされるフレームが組み合わせられる。
図43−46は、左から右に移動するスポット図のセットを作成する、眼がゆっくり移動するにつれて獲得される一連の画像を含有する、光学センサ1532からのフレームのセットの概略図である。フレームは、本明細書で説明されるようなプロトタイプ器具によって捕捉された。
図43−45のスポット図は、不完全とタグ付けされ、
図46のスポット図は、有効とタグ付けされる。フレームを組み合わせるための上記で説明されるものと本質的に同一の手順が、
図43−46によって表されるフレームを組み合わせるために使用されてもよい。しかしながら、結果として生じる複合スポット図内のいくつかのスポットは、他の結果として生じる複合スポット図とは異なる数のスポットを加算または平均することに起因する。例えば、いくつかのスポットが、光学センサ1532の左側から外れるため、これらのスポットは、
図43のスポット図に含まれない。これらのスポットは、スポット図が右に移動するにつれて、後続のフレーム内で出現する。したがって、これらのスポットは、それらの合計または平均へのより少ない寄与を有する。したがって、これらのスポットは、おそらく、
図43−46のそれぞれに出現するスポットより不良な信号対雑音比を有する。
【0197】
いずれにしても、フレーム画像に適用して、それらを標的基準に位置合わせするための変位等の位置合わせパラメータを計算するために、低域通過フィルタが、組み合わせられる各フレームを平滑化するように使用されてもよい。低域通過フィルタは、位置合わせパラメータを計算するために使用される。いったん位置合わせパラメータが計算されると、位置合わせ変位が、フィルタにかけられたフレームではなく、元のフレームに適用される。低域通過フィルタの特性は、光源1520(
図15)の特性および小型レンズアレイ1530の特性を考慮して、経験的に判定されてもよい。低域通過フィルタの特性は、小型レンズアレイ1530の回折限界に関係付けられるスペックルのサイズに関する。デバイス1100内の異なる構成要素の不整合に関係付けられる較正が、位置合わせプロセスの前に適用されるべきである。フレーム結合器3804からの出力が、表4で要約される。
【表4】
【0198】
処方計算機モジュール3806は、各フレームから処方を計算する。各フレームについて、処方計算機3806は、スポット図の各スポットの重心座標を計算する。
図47は、完全スポット図を含有する、光学センサ1532からの仮説的フレームの概略図である。「X」は、スポット図の重心を示す。十字は、完璧な眼に出現するであろう、スポットの重心場所を示す。図から明白であるように、スポット図の多くのスポットは、これらの十字から変位させられる。
【0199】
記述されるように、波面が小型レンズのアレイに作用するときに、スポット図が生成される。各サンプル点(小型レンズアレイのレンズ)における波面の斜面が計算される。スポット図の各スポットの変位(ΔxおよびΔy)は、
図48で例示されるように、完璧な眼からのスポットの場所に対して計算される。小型レンズアレイの焦点距離を考慮して、傾斜を変位から計算することができる。
【0200】
変位データは、ゼルニケ多項式に適合され、以下の方程式で要約されるように、最小二乗推定を使用して、膨張係数が判定される。
【数1-1】
【数1-2】
【0201】
ゼルニケ係数は、処方を計算するために使用される。ゼルニケ膨張が基底関数の直交セットを採用するため、他の係数の値にもかかわらず、最小二乗解が二次ゼルニケ係数によって求められる。これらの二次ゼルニケ係数は、以下または他の周知の方程式を使用して、屈折力ベクトル表記で球面円柱処方に変換することができる。
【数2】
【0202】
C
nmは、n次ゼルニケ係数であり、rは、瞳孔半径である。また、例えば、以下の方程式で示されるように、より多くのゼルニケ係数を使用して、すなわち、高次収差のために、処方を計算することも可能である。
【数3】
【0203】
屈折力ベクトル表記は、臨床医によって使用される従来の形式に容易に変換される、クロスシリンダ慣例である。
【0204】
処方を計算するためにゼルニケ係数が使用されている間、または使用された後に、システムの光学構成要素の間の利得、オフセット、非線形性、または不整合等のデバイス1100の誤差を排除するように、較正をゼルニケ係数または屈折力ベクトルに適用することができる。上記で示される方程式では、Mは、球面誤差(近視または遠視)に関し、J0およびJ45は、乱視を表す。記述されるように、瞳孔半径は、スポット図のサイズに基づいて推定される。処方計算機3806からの出力が、表5で要約される。
【表5】
【0205】
随意に、処方についての情報は、処方計算機3806によってフレーム結合器3804に提供されてもよい。この場合、フレーム結合器3804は、どのようにしてフレームを組み合わせるかを判定するために、本情報を使用してもよい。
【0206】
随意に、品質測定基準が、品質測定基準計算機3808によって、各計算された処方について計算されてもよい。後続のモジュールでは、品質測定基準は、各フレームまたはフレームの組み合わせから計算される処方に加重して、最終処方を計算するために使用されてもよい。品質測定基準は、2進値、例えば、「不良」の「0」および「良好」の「1」のように単純であり得る。より複雑な品質測定基準が、0.0〜1.0の実数等の範囲内に入り得る。品質測定基準は、例えば、フレームの数、スポット図の信号対雑音比、スポット図内のスポットの数、スポット図内のポイントの鮮明さ、および高次ゼルニケ係数の非存在または小さい値、もしくはそれらの組み合わせに基づいてもよい。フレームの信号対雑音比は、例えば、スポット図内のスポットの平均画素値を、背景、すなわち、スポット図の外側の領域の平均画素値で除算することによって計算されてもよい。
【0207】
品質測定基準計算機3808からの出力が、表6で要約される。
【表6】
【0208】
記述されるように、調節は、測定プロセスに非制御変数を導入する。したがって、患者が調節している間に捕捉されるスポット図から計算される処方は、正確である可能性が低い。随意に、調節フィルタモジュール3810は、患者が調節していないときに捕捉されるフレームを選択する。
【0209】
ヒトの眼が調節することができる量は、
図49のグラフで要約されるように、患者の年齢とともに変動する。本発明の実施形態は、矢印ボタンが押されると、表示された年齢値を増加または減少させる、数値ディスプレイに連結される数値キーボードまたは上/下ボタンを介して等、各患者の年齢を入力する。患者の年齢、および調節速度についての文献に存在する生理学的データを使用して、調節フィルタ3810は、患者の年齢を考慮して、患者が調節できるはずであるよりも速く調節の変化を証明するフレームを破棄する。一実施形態では、調節フィルタ3810は、特性が期待最大調節速度によって制御される、可変低域通過フィルタを含む。低域通過フィルタは、処方のM(球面誤差)部分に作用する。他の実施形態は、患者の年齢から独立している、毎秒約1〜2ジオプター等の固定調節速度限界を採用する。そのような実施形態では、固定調節速度限界より速く生じる、計算された焦点ぼけ項(またはPWV表記におけるM)の変化は、雑音と見なされ、最終処方を判定する際に含まれない。
【0210】
図50は、本明細書で説明されるようなプトロタイプ器具によって計算されたM、J0、およびJ45処方のセットのグラフである。調節フィルタ3810による処理後のM値を示すように、黒い線が追加されている。M値の変動から分かるように、患者の調節が変動した。丸5000および5002によって示されるM値のピークは、患者が調節しなかった時間を示す。したがって、調節フィルタ3810は、処方のための球面項を計算する目的で、これらの時間の間に獲得されるフレームを選択し、他のフレームを破棄する。処方の乱視および他の項が調節とともに変動しないため、調節フィルタ3810によって破棄されるフレームは、これらの他の項を計算するために使用されてもよい。時間の関数としての乱視の変動が見出される場合、これは、検査中の患者の動きのインジケータとして使用し、したがって、フレームを無効とタグ付けするために使用することができる。
【0211】
図51は、異なる患者のためのプロトタイプ器具によって計算されたM、J0、およびJ45処方のセットのグラフである。図に示されるように、M値5100は、グラフの全体を通して有意に変動しない。したがって、患者は、グラフによって表される期間の全体を通して調節しなかったと仮定することができる。この場合、調節フィルタ3810は、グラフによって表される全てのフレームを選択し、いかなるフレームも破棄されない。
【0212】
調節フィルタの出力が、表7で要約される。
【表7】
【0213】
フレームのグループは、類似処方を生じてもよい。例えば、
図50のグラフに示されるように、フレームの2つのグループ5000および5002は、類似J(球面)処方を生じる。随意に、フレームグルーパモジュールが、値の所定の範囲内の処方等の類似処方を生じる、フレームのグループを識別する。2つのそのようなフレームグルーパモジュール3812および3814が、
図38に示されている。
【0214】
一方のフレームグルーパ3812は、約5%差内等で、類似ゼルニケ係数を生じるフレームをグループ化する。いくつかの実施形態では、処方グルーパ3812は、最初の6つのゼルニケ係数のみを考慮するが、他の数の係数が使用されてもよい。他方のフレームグルーパ3814は、類似処方、例えば、約±0.125ジオプター内または約±0.25ジオプター内に入る、M、J0、および/またはJ45の値を生じる、フレームをグループ化する。他の類似性に基づいてフレームをグループ化するフレームグルーパもまた、使用されてもよい。
【0215】
フレームの別個のグループが、処方の各項について定義されてもよい。したがって、フレームの1つのグループが、類似M値を有するために選択されてもよく、異なる、おそらく重複するフレームのグループが、類似J0値を有するために選択されてもよい。いくつかのフレームが調節フィルタ3810によって破棄された場合、フレームの異なるプールが、J0値の類似性に基づいてフレームを選択するためよりも、M値の類似性に基づいてフレームを選択するために、フレームグルーパ3814に利用可能であり得る。同様に、フレームの異なるプールが、他方のフレームグルーパ3812に利用可能であり得る。
【0216】
フレームグルーパ3814は、処方の各項のためのヒストグラムを生成することによって動作してもよい。球面処方のための仮説的ヒストグラムが、
図52に示されている。水平軸は、屈折力ベクトルドメイン内の球面処方値またはM値を表し、垂直軸は、所与の球面処方を生じたフレームの数を表す。低信号対雑音比等の低品質未加工データを含有するフレームが、他のモジュールによって破棄されたことに留意されたい。したがって、いくつかの処方値は、任意の容認されたフレームから計算されていなくてもよい。処方値5200は、最大数のフレームから生じ、この値の周辺の処方値の範囲5202は、フレームグルーパ3814によって選択される。フレームグルーパ3814は、他の処方項について、同様に動作する。他方のフレームグルーパ3812は、同様に動作し、それが考慮する各ゼルニケ係数のためのヒストグラムを生成する。代替として、垂直軸上のフレームの数を表すヒストグラムの代わりに、フレームグルーパ3814は、フレームの品質測定基準の合計を使用してもよい。したがって、品質測定基準値が0.0〜1.0である場合、所与の処方を生じたフレームの数を示すヒストグラムの代わりに、ヒストグラムは、その処方を生じたフレームの品質測定基準の合計を表す。随意に、または代替として、フレームグルーパ3812および3814は、ヒストグラム以外に、またはヒストグラムに加えて、他の選択動作を使用してもよい。
【0217】
フレームグルーパ3812および3814からの出力が、表8で要約される。
【表8】
【0218】
随意に、類似処方またはゼルニケ係数を生じるフレームは、より良好な信号対雑音比を伴うフレームを生じるように組み合わせられてもよく、複合フレームから処方を計算することができる。フレーム回復器3816が、フレームグルーパ3812および/または3814の一方または両方によって出力されるフレームを組み合わせる。フレーム回復器3816は、フレーム結合器3804に関して上記で説明されるものと同様に、これらのフレームを組み合わせる。フレームグルーパ3812および/または3814から利用可能な全てのフレームは、単一のフレームに組み込まれてもよい。代替として、全てのフレームが、処方項毎に組み合わせられてもよい。つまり、類似MおよびJ値を伴う全てのフレームが、単一の複合フレームを生成するように組み合わせられてもよい。
【0219】
代替として、フレームは、
図53においてグラフで図示されるように、各フレームがフレームの入力セット内の全ての先行フレームの組み合わせである、フレームの新しいセットを生じるよう、組み合わせられてもよい。出力フレーム1は、入力フレーム1および2を位置合わせし、合計または平均することによって生成される。出力フレーム2は、入力フレーム1、2、および3を位置合わせし、合計または平均することによって生成される。出力フレームNは、入力フレーム1、2、3、...Nを位置合わせし、合計または平均することによって生成される。随意に、各生成されたフレームの品質測定基準が調整されてもよい。一般に、フレームを組み合わせることは、信号対雑音比を向上させる。
【0220】
フレーム回復器3816の出力が、表9で要約される。
【表9】
【0221】
随意に、第2の処方計算機3818は、フレーム回復器3816によって生成されるフレームから処方を計算する。第2の処方計算機3818は、入力データセットが異なることを除いて、主に、第1の処方計算機3806に関して上記で説明されるように動作する。第2の処方計算機3816からの出力は、表5で説明されるものと本質的に同一である。
【0222】
最終処方計算機3820は、フレームグルーパ3812、フレームグルーパ3814、および/または第2の処方計算機3818から入力を受け取る。最終処方計算機3820は、1つまたはそれを上回る統計的計算を使用して、その入力から単一の最終処方を計算する。いくつかの実施形態では、最終処方計算機3820は、フレームの品質測定基準によって各フレームの処方に加重した後に、その入力M、J0、およびJ45処方の平均、モード、または中央値として、最終M、J0、およびJ45処方を計算する。最終処方計算機3820、および本明細書で説明される他のモジュールでは、高次処方項が、M、J0、およびJ45処方が計算される様式と同様に計算される。
【0223】
随意に、最終処方計算機3820はまた、各最終計算処方の推定誤差値も計算する。いくつかの実施形態では、M誤差は、最終処方計算機3820へのM入力データ内で、最終計算M処方の標準偏差であるように推定される。いくつかの実施形態では、誤差は、一部の臨床医の選好(95%信頼区間)に従って、標準偏差の2倍であると推定される。他の実施形態は、他の統計式を使用して誤差を推定してもよい。本誤差は、処方の信頼値によってデバイスのユーザに伝達され、例えば、測定された処方の強い信頼、または測定された処方の弱い信頼を示し、検査を再度実行することを示唆してもよい。
【0224】
いくつかの実施形態は、最終乱視処方のための信頼領域を推定する。本信頼領域は、J0およびJ45の二変量分布について計算される楕円であってもよい。これらの実施形態では、乱視処方の精度は、
図54で例示されるように、95%信頼楕円の長軸および短軸の幾何学的平均と見なされる。
【0225】
本発明の実施形態は、必ずしも生物のための処方を計算することに限定されない。いくつかの実施形態は、個人のめがねの処方を評価するために、モデル眼球で使用されてもよい。例えば、これらの実施形態は、個人のめがねを評価し、めがねを着用していない個人をチェックし、(
図15の1552において透視で示されるように)めがねを着用している個人をチェックするか、またはモデル眼の上のめがねをチェックすることのいずれかによって、めがねが個人に適切であるかどうかを自動的に判定するために使用されてもよい。随意に、または代替として、実施形態は、個人のめがねを評価し、めがねを着用している個人をチェックし、帰還波面が、少なくとも所定の範囲内で正しい視覚を示すかどうかを判定することによって、めがねが個人に適切であるかどうかを自動的に判定するために使用されてもよい。
【0226】
患者がうまく調節できることが把握されている場合、患者が、20フィート(6メートル)より近くに離れて位置する標的における実施形態を覗き込んでいるときに、患者の収差が測定されてもよく、次いで、無限遠で患者のための処方を推定するよう、調節オフセットが計算される。
【0227】
別の実施形態では、単眼収差計は、デバイスが、どちらの方向が上であるかを確認し、したがって、どちらの眼(左または右)が測定されているかを自動的に確認することを可能にするように、それの中に加速度計を含む。本デバイスは、反対の眼を測定するように、逆さまにされる。
【0228】
いくつかの実施形態はまた、時間の関数として、処方の乱視構成要素がどのように変化するかを追跡することによって、患者の望ましくない動きも追跡する。
【0229】
本発明は、上記の例示的実施形態を通して説明されるが、本明細書で開示される発明の概念から逸脱することなく、図示した実施形態の修正および変更が行われてもよい。例えば、本発明の実施形態は、仮想現実ゴーグルまたは適応補正ディスプレイで有用性を見出し得る。さらに、開示された側面、またはその部分が、上記に記載されていない、および/または明示的に請求されていない方法で組み合わせられてもよい。したがって、本発明は、開示された実施形態に限定されると見なされるべきではない。
【0230】
実施形態の側面は、フローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明され得るが、各ブロックの全体または一部分、もしくはブロックの組み合わせの機能、動作、決定等は、組み合わせられ、別個の動作に分離され、または他の順序で行われてもよい。各ブロックの全体または一部分、もしくはブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令(ソフトウェア等)、ハードウェア(組み合わせ論理、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のハードウェア等)、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとして実装されてもよい。実施形態は、メモリに記憶された命令を実行する、または命令によって制御される、プロセッサによって実装されてもよい。メモリは、制御ソフトウェアまたは他の命令およびデータを記憶するために好適である、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、または任意の他のメモリ、もしくはそれらの組み合わせであってもよい。本発明の機能を定義する命令は、有形の書き込み不可能な記憶媒体(例えば、ROM等のコンピュータ内の読取専用メモリデバイス、またはCD−ROMもしくはDVDディスク等のコンピュータ入出力アタッチメントによって可読であるデバイス)上に永久に記憶された情報、有形の書き込み可能な記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、可撤性フラッシュメモリ、およびハードドライブ)上に変更可能に記憶された情報、または有線もしくは無線コンピュータネットワークを含む通信媒体を通してコンピュータに伝えられる情報を含むが、それらに限定されない、多くの形態で、プロセッサに配信されてもよい。また、実施形態は、種々の例証的データ構造に関連して説明され得るが、種々のデータ構造を使用してシステムが具現化されてもよい。