特許第6448761号(P6448761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6448761摩擦結合的に挟持された粒子を有するセパレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6448761
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】摩擦結合的に挟持された粒子を有するセパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
   H01M2/16 P
   H01M2/16 M
【請求項の数】27
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-502238(P2017-502238)
(86)(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公表番号】特表2017-525106(P2017-525106A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2015062852
(87)【国際公開番号】WO2016008648
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】102014213679.2
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ アイゼレ
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シューマン
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−507636(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/093519(WO,A1)
【文献】 特開平11−260405(JP,A)
【文献】 特開2012−123957(JP,A)
【文献】 特表2008−503049(JP,A)
【文献】 特開2013−004305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的セル用のセパレータ(10)であって、
多孔質のポリマー層(11)と、
非多孔質材料からなるイオン伝導性粒子(14)とを含んでおり、
前記ポリマー層(11)は、貫通細孔(12)および/または貫通細孔複合体(12)を有しており、
前記ポリマー層(11)の前記細孔(12)は、ポリマー壁部(13)によって画定されており、
前記粒子(14)が、前記ポリマー層(11)の前記細孔(12)内へ導入され、かつ前記細孔(12)を画定する前記ポリマー壁部(13)間で摩擦結合的に挟持されており、
前記ポリマー壁部(13)の平均壁厚(d)は、前記粒子(14)の平均粒径(dPa)よりも小さく、かつ/または、前記粒子(14)は、非拡張状態における前記ポリマー層(11)の平均孔径(dPo1)よりも大きい平均粒径(dPa)を有していることを特徴とするセパレータ(10)。
【請求項2】
電気化学的セル用のセパレータ(10)であって、
多孔質のポリマー層(11)と、
非多孔質材料からなるイオン伝導性粒子(14)とを含んでおり、
前記ポリマー層(11)は、貫通細孔(12)および/または貫通細孔複合体(12)を有しており、
前記ポリマー層(11)の前記細孔(12)は、ポリマー壁部(13)によって画定されており、
前記粒子(14)が、前記ポリマー層(11)の前記細孔(12)内へ導入され、かつ前記細孔(12)を画定する前記ポリマー壁部(13)間で摩擦結合的に挟持されており、
前記粒子(14)は、非拡張状態における前記ポリマー層(11)の平均孔径(dPo1)に対して50%以下の平均粒径(dPa)を有していることを特徴とするセパレータ(10)。
【請求項3】
前記粒子(14)は、金属イオン伝導性またはプロトン伝導性または陰イオン伝導性である、請求項1又は2記載のセパレータ(10)。
【請求項4】
前記粒子(14)は、リチウムイオン伝導性である、請求項1又は2記載のセパレータ(10)。
【請求項5】
前記粒子(14)は、リチウムイオン伝導性のリチウムガーネット、及び/又はリチウムイオン伝導性のリチウムアルジロダイトを含む、請求項記載のセパレータ。
【請求項6】
前記粒子(14)は、無機粒子または有機粒子である、請求項1からいずれか1項記載のセパレータ(10)。
【請求項7】
少なくとも、前記セパレータ(10)の動作状態においてアノード側に配置された前記細孔(12)内に前記粒子(14)が導入されている、請求項1からいずれか1項記載のセパレータ(10)。
【請求項8】
前記セパレータ(10)の動作状態においてカソード側に配置された前記細孔(12)内にも前記粒子(14)が導入されている、請求項記載のセパレータ(10)。
【請求項9】
前記ポリマー層(11)は、ポリスチレンまたはポリイミドまたはポリフェニレンサルファイドまたはポリテレフタレートまたはポリカーボネートまたはポリアクリレートまたはポリウレタン、またはそれらの混合物からなる、請求項1からいずれか1項記載のセパレータ(10)。
【請求項10】
前記セパレータ(10)は、リチウム電池用のセパレータ(10)、ナトリウム電池用のセパレータ(10)、燃料電池用のセパレータ(10)、又はレドックスフロー電池用のセパレータ(10)である、請求項1からいずれか1項記載のセパレータ(10)。
【請求項11】
電気化学的セル用のセパレータ(10)を製造する方法であって、
a)貫通細孔(12)および/または貫通細孔複合体(12)を有する多孔質のポリマー層(11)を拡張させる方法ステップと、
b)拡張状態における前記ポリマー層(11)の少なくとも一方の側の前記細孔(12)内に粒子(14)を導入する方法ステップと、
c)前記ポリマー層(11)を弛緩させる方法ステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記粒子(14)は、イオン伝導性である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記粒子(14)は、高密度材料または多孔質材料から形成されている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記粒子(14)は、金属イオン伝導性またはプロトン伝導性または陰イオン伝導性であり、前記粒子(14)は、無機粒子または有機粒子である、請求項11から13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記粒子(14)は、リチウムイオン伝導性である、請求項11から13いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記粒子(14)は、リチウムイオン伝導性のリチウムガーネット、及び/又はリチウムイオン伝導性のリチウムアルジロダイトを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記粒子(14)は、非拡張状態における前記ポリマー層(11)の平均孔径(dPo1)よりも大きく、かつ、拡張状態における前記ポリマー層(11)の平均孔径(dPo2)以下である、平均粒径(dPa)を有している、請求項11から16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記方法ステップb)において、前記細孔(12)内に粒子(14)を圧入により導入する、請求項11から17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記粒子(14)は、非拡張状態における前記ポリマー層(11)の平均孔径(dPo1)に対して50%以下の平均粒径(dPa)を有している、請求項11から16いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー層(11)の前記細孔(12)は、ポリマー壁部(13)によって画定されており、前記ポリマー層(11)の非拡張状態における前記ポリマー壁部(13)の平均壁厚(d)は、前記粒子(14)の平均粒径(dPa)より小さい、請求項11から19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記方法ステップa)において、前記ポリマー層(11)を、長手方向および横方向に拡張させる、請求項11から20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記方法ステップa)において、前記ポリマー層(11)を、20%以上拡張させる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記方法ステップb)において、前記粒子(14)を、少なくともセルの動作状態において前記ポリマー層(11)の、アノードに面する側に導入する、請求項11から22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記方法ステップb)において、拡張された前記ポリマー層(11)の両側に前記粒子(14)を導入する、請求項11から22いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、さらに、前記ポリマー層(11)の材料の融解温度および/または軟化温度以上の温度まで、前記ポリマー層(11)を加熱する方法ステップd)を含んでいる、請求項11から24いずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマー層(11)は、ポリスチレンまたはポリイミドまたはポリフェニレンサルファイドまたはポリテレフタレートまたはポリカーボネートまたはポリアクリレートまたはポリウレタン、またはそれらの混合物からなる、請求項11から25いずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記セパレータ(10)は、リチウム電池用のセパレータ(10)、ナトリウム電池用のセパレータ(10)、燃料電池用のセパレータ(10)、又はレドックスフロー電池用のセパレータ(10)である、請求項11から26いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的セル用のセパレータおよびそれのための製造方法並びにそれを備えた電気化学的セルに関している。
【0002】
従来技術
リチウム電池のような電気化学的セルは、通常は、アノード、カソードおよびこれらの間に配置されるセパレータを有している。この場合セパレータは、アノードとカソードとの間の機械的な接触を回避するために用いられる。
【0003】
リチウムイオン電池の場合、セパレータは、通常は多孔質ポリマー層の形態で形成されており、それを通って電解液が浸透し、このようにしてリチウムイオンが移送可能である。
【0004】
より高いセル電圧を達成するために、リチウム電池では、アノード側にも金属リチウム(Li)が使用され得る。しかしながら金属リチウムからなるアノードを使用する場合、充電の際に金属リチウムからなる樹状突起を形成しかねない。それら樹状突起は、電池のセパレータに損傷を与えるかまたは場合によっては貫通すらしかねず、その場合にはセルが破壊されかねない。
【0005】
樹状突起の形成を回避するために、実際にはほとんどの場合、グラファイトがアノード材料として用いられる。グラファイトは、リチウム金属原子が挿入可能なリチウム層間材料である。しかしながらグラファイトは、純粋な金属リチウムに比べて(アノードアースとの関連で)0.3Vだけ低いセル電圧と、数分の1のエネルギー密度とを有する。
【0006】
独国特許出願公開第10255121号明細書は、電気化学的セルのための非対称的多孔質構造を有するセパレータに関している。
【0007】
国際公開第2004/021477号は、リチウムバッテリ用のイオン伝導性バッテリセパレータおよびその製造方法並びにその使用に関している。
【0008】
発明の開示
本発明の態様は、多孔質のポリマー層と、特にイオン伝導性の粒子とを含んでいる、電気化学的セル用の、特にリチウム電池用のセパレータである。
【0009】
ここでのポリマー層は、特に貫通細孔または貫通細孔複合体を有している。ポリマー層の細孔は、ここでは特にポリマー壁部によって画定され得る。粒子が、ここでは特にポリマー層の細孔内に導入され、特に細孔を画定するポリマー壁部間で摩擦結合的に挟持され得る。
【0010】
この種のセパレータは、特に、以下のような方法ステップを含む方法によって製造され得る。すなわち、
a)特に貫通細孔および/または貫通細孔複合体を有する多孔質のポリマー層を拡張、特に伸長させる方法ステップと、
b)拡張状態におけるポリマー層の少なくとも一方の側の細孔内に粒子、特にイオン伝導性の粒子を導入する方法ステップと、
c)ポリマー層を弛緩若しくは緩和させる方法ステップと、を含む。それ故本発明のさらなる態様は、セパレータ、特に本発明による、電気化学的セル用、例えばリチウム電池用のセパレータの対応する製造方法である。
【0011】
例えば細孔構造部若しくは細孔ネットワークとも称され得る細孔複合体とは、特に例えば、互いに合流する複数の細孔からなるチャネル状の中空構造部と理解することができる。
【0012】
細孔若しくは細孔複合体は、特にポリマー層の両側に向けて貫通していてもよい。ポリマー層の両側とは、ここでは特に、最大面積を有するポリマー層(主表面)の特に相互に相対向する2つの側と理解することができる。
【0013】
例えば、ポリマー層は、約30体積%以上から90体積%以下までの、例えば50体積%以上から80体積%以下までの特に貫通細孔若しくは細孔複合体における空隙率を有する。ここでの細孔若しくは細孔複合体は、例えば後で説明するような様々な方法によって形成することができる。
【0014】
ポリマー層とは、特に少なくとも1つのポリマーを含んだ1つの層と理解することができる。例えばポリマー層は、1つのポリマーかまたは2つ以上のポリマー、例えばポリマー混合層を含み得る。その際この層は、単一層かまたは二層若しくは多層であってもよい。例えばこのポリマー層は、2つ以上の異なる特に多孔質の例えば異なるポリマーからなる複数の層を含んだ層であってもよい。その際これらの層は、例えば1つの層に一緒に積層されていてもよい。
【0015】
方法ステップa)における拡張、特に伸長により、ここではポリマー層の細孔の平均孔径が拡大され、例えばこれらの細孔が方法ステップb)における粒子の導入のために開放されることが有利に達成できる。次に方法ステップb)では、粒子を細孔内に導入することができ、例えば細孔は、少なくとも部分的に、例えば広範に、場合によっては完全に充填される。次に方法ステップc)におけるポリマー層の弛緩若しくは緩和により、ポリマー層の細孔の平均孔径が再び収縮することを有利に達成することができる。特にこの場合は、緩まるポリマー層によって、1つの応力(挟持力)、例えば圧縮応力またはポリマー層の復元される拡張力若しくは緩和力が、導入若しくは注入された粒子にもたらされ、特にそれによって粒子は、例えば静止摩擦を用いて、ポリマー層の細孔を画定するポリマー壁部の間で摩擦結合的に挟持され、このようにして、場合によってはさらなる手段なしで、ポリマー層内に固定若しくは安定化され得る。その上さらに方法ステップc)におけるポリマー層の弛緩または緩和により、有利には、粒子がポリマー壁部の例えば弾性的な変形によっては摩擦結合的に取り囲まれ、さらにこのようにして付加的に、場合によってはさらなる手段なしで、ポリマー層内に固定若しくは安定化され得る。
【0016】
細孔内に導入され、摩擦結合的に挟持された粒子により、有利にはポリマー層内の粒子の密な埋め込みと細孔の密閉とを達成することができ、それによって再び、特に粒子が充填された細孔内への樹状突起の内方成長が妨げられるかまたは阻止され得る。それにより、再び有利には、ポリマー層を貫通する樹状突起の貫通成長が阻止され得る。
【0017】
全体的に有利には、例えばリチウム樹状突起に対する、高められた樹状突起耐性を備えたセパレータが、得られるようになる。
【0018】
粒子が、イオン伝導性であることにより、有利には、セパレータを貫通するイオン伝導性が保証若しくは改善され得る。
【0019】
加えてポリマー層は、粒子によって有利には、その柔軟性を維持しながら強化され得る。それにより、有利に強化されたにもかかわらず、さらに柔軟性もあるセパレータ、特にハイブリッドセパレータが得られるようになる。これは、固体電解質セパレータの硬度を有するポリマーセパレータの柔軟性の利点を兼ね備えており、さらに例えばその特に巨視的にはポリマーセパレータのような柔軟性をさらに処理することができる。
【0020】
多孔質ポリマー層は、例えば細孔を有する例えば薄膜の形態の高分子支持体であってもよい。例えば多孔質ポリマー層は、例えばセル状に構築され、異なって拡張可能な少なくとも2つの位相を有するポリマーの伸長および/または拡張法によって製造可能である。それに対して代替的または付加的に、多孔質ポリマー層は、溶媒または溶媒混合物によってポリマーの少なくとも1つの相が部分的若しくは場合により完全に除去され、そのためそれによって、特に粒子のためのスペースを提供する空き空間若しくは細孔が、例えばポリマーの他の相に形成されるブロック共重合体から製造されてもよい。しかしながら多孔質ポリマー層として、また例えば他の方法によって製造されるかまたは市場で得られる多孔質ポリマーセパレータを用いることも可能である。この多孔質ポリマー層は、特に弾性的であってもよい。それ故方法ステップa)における拡張は、特に弾性的連続拡張とも称され得る。
【0021】
ポリマー層は、硬質ポリマー若しくは機械的耐性ポリマーとも称され得る1つ以上のポリマーを含み得る。例えばポリマー層は、ここではポリスチレンまたはポリイミドまたはポリフェニレンサルファイドまたはポリテレフタレートまたはポリカーボネートまたはポリアクリレートまたはポリウレタンか、またはその他の機械的耐性ポリマーまたはそれらの混合物または例えば異なるポリマー若しくはポリマー混合物からなる例えば異なる層を有する二層若しくは多層膜であってもよい。硬質若しくは機械的耐性ポリマーの使用により、例えばリチウム樹状突起に対するセパレータの改善された樹状突起耐性が得られ得る。
【0022】
特にイオン伝導性粒子は、例えばカチオン伝導性、例えばリチウムイオン伝導性またはナトリウムイオン伝導性またはプロトン伝導性、特に金属イオン伝導性、例えばリチウムイオン伝導性またはナトリウムイオン伝導性、または陰イオン伝導性、例えば塩素イオン伝導性またはフッ素イオン伝導性または酸素イオン伝導性であってもよい。
【0023】
イオン伝導性粒子は、特に、セパレータを備えるべき電気化学的セル内で伝導すべきイオンに対してイオン伝導性である材料から形成されてもよい。
【0024】
例えば、セパレータは、リチウム電池、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池またはリチウム酸素電池(若しくはリチウム空気電池)用に設計されていてもよい。
【0025】
この場合、イオン伝導性粒子は、特に金属イオン、例えばリチウムイオン用の複数のセラミックイオン伝導体から選択されてもよいし若しくは選択され得る。例えばイオン伝導性粒子は、イオン伝導性の結晶材料またはイオン伝導性のガラスから形成されていてもよいし、例えばケイ素および/またはゲルマニウムのような少なくとも1つのドーピング元素、および/または他の半導体物質、および/または例えば塩素、ヨウ素、臭素および/またはフッ素などのハロゲン物質を有する、例えばリチウム、硫黄および/またはリン化合物を含み得る。例えばこれらの粒子は、リチウム含有のアルジロダイトを含んでいてもよいし、あるいはそれから形成されていてもよい。
【0026】
リチウム電池とは、特に電気化学的反応にリチウムが関与している電気化学的セル、例えばアキュムレータセル若しくはバッテリセルと理解されたい。
【0027】
ここでのリチウムイオン電池とは、特に、そのカソード材料内でリチウムイオンが特に可逆的に、例えば化学的に堆積、例えばインターカレートされ得るセルと理解されたい。
【0028】
例えば、カソード材料は、少なくとも1つのリチウム金属酸化物、例えばリチウム、ニッケルおよび/またはコバルトおよび/またはマンガン酸化物、例えばアルミニウムがドープ(NCA)された例えばリチウム、ニッケルおよび/またはコバルト酸化物、および/または、例えばニッケル1/3、コバルト1/3、マンガン1/3の割合のリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM)、および/または高エネルギー金属酸化物、特にLiMnOを含み得る。ここでのセルは、リチウム金属酸化物セルとも称され得る。ここでのこのアノードは、金属リチウム若しくはリチウム合金(リチウム金属アノード)かまたは例えばグラファイトなどのインターカレーション材料も含み得る。
【0029】
リチウム硫黄電池とは、特にそのカソード材料が硫黄を含んでいるセルと理解されたい。ここでは、カソード材料は、例えばポリマーと硫黄の化学的化合物、例えばポリアクリロニトリル(例えばこれは例えば脱水や硫化などの加熱プロセスにより製造される)、および/または特に硫黄および例えば硫黄を含有した炭素等の導電性手段からなる硫黄複合体、および/または元素の硫黄を含み得る。例えばカソード材料は、SPANを含み得る。このSPANとは、特に、共有結合した硫黄を有する、ポリアクリロニトリル(PAN)ベースのポリマーと理解されたい。特にこれは、硫黄の存在下でのポリアクリロニトリルの熱変換および/または化学反応により得られている。特にこの場合、ニトリル基は次のようなポリマーに対して反応し得る。すなわちニトリル基が、互いに懸架され窒素を含有する環、特に共有結合した硫黄を有する6員環に対して変換されるようなポリマーである。SPANは、刊行物“Chem.Mater.,2011,23,5024, J.Mater.Chem., 2012,22,23240”並びに国際公開第2013/182360号に記載されている。
【0030】
リチウム電池、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池またはリチウム酸素電池(若しくはリチウム空気電池)のために、イオン伝導性粒子は、特にリチウムイオン伝導性か若しくはリチウムイオン伝導性材料から形成されていてもよい。
【0031】
しかしながらセパレータは、ナトリウム電池のために設計されていてもよい。
【0032】
ナトリウム電池とは、特に電気化学的反応にナトリウムが関与している電気化学的セル、例えばアキュムレータセル若しくはバッテリセルと理解されたい。ナトリウム電池は、前述のリチウム電池に類似して構成されてもよい。例えばナトリウム電池は、ナトリウムアノードを有し得る。
【0033】
ナトリウム電池のために、イオン伝導性粒子は、特にナトリウムイオン伝導性か若しくはナトリウムイオン伝導性材料から形成されていてもよい。
【0034】
しかしながらセパレータは、水素電池のために設計されていてもよい。
【0035】
水素電池とは、特に、電気化学的反応に水素が関与している電気化学的セル、例えば燃料電池および/または電解セルと理解されたい。
【0036】
水素電池のために、イオン伝導性粒子は、特にプロトン伝導性か若しくはプロトン伝導性材料から形成されていてもよい。
【0037】
しかしながらセパレータは、陰イオンセルのために設計されていてもよい。
【0038】
陰イオン電池とは、特に、電気化学的反応に陰イオン、例えば塩素イオン、フッ素イオンおよび/または酸素イオンが関与している電気化学的セル、例えばアキュムレータセルまたはバッテリセルと理解されたい。
【0039】
陰イオン電池のために、イオン伝導性粒子は、特に塩素イオン伝導性、フッ素イオン伝導性または酸素イオン伝導性あるいは塩素イオン伝導性材料、フッ素イオン伝導性材料または酸素イオン伝導性材料から形成されていてもよい。
【0040】
しかしながらセパレータは、レドックスフロー電池のために設計されていてもよい。
【0041】
レドックスフロー電池とは、特に電極材料が液体懸濁液および/または溶液で提供される電気化学的セル、例えばアキュムレータセル若しくはバッテリセルと理解されたい。
【0042】
粒子は、高密度材料または多孔質材料から形成されてもよい。
【0043】
例えば粒子は、多孔性、例えばわずかに多孔性であってもよい。多孔質粒子は、有利には、少なくとも1つの、場合によってはイオン伝導性の機械的な断熱層を形成し得る。この断熱層は、セパレータのさらなる周辺において、例えば局所的な短絡によるセルの欠陥の際に、アノードとカソードとの間の接触接続を阻止可能であり、その際この断熱層は、例えば溶融プロセスに基づいた例えばセパレータの熱収縮に対抗し得る。その上さらに多孔質粒子は、液体電解質による伝導性を可能にし、特に有利には液体電解質を伝導性に関与させることができる。
【0044】
しかしながら特定の構成の枠内において、粒子は、高密度の、特に液体電解質密若しくは液密および/または場合によりガス密の材料から形成されている。高密度若しくは非多孔質粒子は、有利には、アノードチャンバとカソードチャンバとを、特に気密に相互に遮蔽若しくは相互に分離し得る。それにより有利には、液体のセパレータの通過、例えば液体電解質および/またはその他の液体相、例えばリチウム硫黄電池におけるようなポリスルフィド、またはマンガン含有の金属酸化物カソードからの何らかの溶解マンガンのような他の反応生成物または湿気の侵入が少なくとも大部分阻止され得る。それにより有利には、例えばカソードからアノード(またはその逆)への物質の移行に起因する、セパレータの液体通過に伴って現れる劣化メカニズムも回避され得る。例えばリチウムイオン電池の場合、アノードを害するマンガンイオンのカソードからアノードへの通過による劣化が避けられ得る。高密度粒子が、特にセル内で必要とされるイオンのために、イオン伝導性、例えばリチウムイオン伝導性であることによって、粒子は、それに対して従来の多孔質ポリマーセパレータの場合にはセパレータの開いた細孔によって行われていた、セルの機能のために必要な例えばリチウムイオンのイオン遷移を可能にする。それ故特に粒子は、高密度材料、特に高密度なイオン伝導性材料から形成されていてもよい。
【0045】
特に高密度なイオン伝導性粒子により、有利には、リチウム硫黄電池の場合、カソードの放電の際に形成されるポリスルフィドのアノード、特にリチウム金属アノードへの移送は阻止され得る。このことは、シャトル機構と称される。
【0046】
リチウム酸素電池(若しくはリチウム空気電池)の場合、特に高密度なイオン伝導性粒子により、有利には湿気および二酸化炭素(CO)の加えられたカソードからのアノードの分離が阻止され、このようにしてアノードの動作がそれによって得られた嫌気性の例えば超乾燥電解質相において可能となり、その際アノードの寿命が延ばされる。
【0047】
イオン伝導性粒子は、例えば固体イオン伝導体若しくは固体電解質から形成されていてもよい。ここでのイオン伝導性粒子は、例えば無機または有機であってもよい。
【0048】
一実施形態の枠内では、粒子は、無機または有機の粒子である。特に粒子は、無機粒子であってもよい。無機粒子は、有利には、リチウム樹状突起のような樹状突起に対してハードであってもよく、例えばほとんど若しくは全く樹状突起によって貫通されない。このようにして、無機粒子により有利には、アノードとカソードとの間の機械的な分離を得ることができ、それによって、セパレータを備えた電池の安全性も高められ得る。
【0049】
例えばイオン伝導性のために、カチオン伝導性、例えば金属イオン伝導性、例えばリチウムイオン伝導性および/またはナトリウムイオン伝導性および/またはプロトン伝導性および/またはアニオン伝導性、例えば塩素イオン伝導性、フッ素イオン伝導性および/または酸素イオン伝導性の無機固体および/または(有機)ポリマーが用いられてもよい。
【0050】
さらなる実施形態の枠内では、粒子は、カチオン伝導性、例えば金属イオン伝導性、例えばリチウムイオン伝導性および/またはナトリウムイオン伝導性および/またはプロトン伝導性、および/またはアニオン伝導性、例えば塩素イオン伝導性、フッ素イオン伝導性および/または酸素イオン伝導性である。
【0051】
例えば粒子若しくは固体イオン伝導体若しくは固体電解質は、セラミックであってもよい。セラミック粒子は、有利には、リチウム樹状突起のような樹状突起に対して特にハードであってもよく、例えばほとんど若しくは全く樹状突起によって貫通されない。このようにして、セラミックの特にイオン伝導性粒子により有利には、アノードとカソードとの間の機械的な分離を得ることができ、それによって、セパレータを備えた電池の安全性も高められ得る。
【0052】
例えば粒子は、特にリチウムイオン伝導性のリチウムガーネットを含むか若しくはそれから形成されていてもよい。
【0053】
それに対して代替的にまたは付加的に、粒子は、特にリチウムイオン伝導性のリチウムアルジロダイトを含むか若しくはそれから形成されていてもよい。
【0054】
固体イオン伝導体若しくは固体電解質、例えばリチウムガーネットおよび/またはリチウムアルジロダイトは、有利には特に液体リチウム電解質のリチウムイオン伝導性に匹敵するリチウムイオン伝導性を、例えば約10−3S/cmまで有し得る。
【0055】
特定の構成の枠内では、粒子はリチウムイオン伝導性である。この場合粒子は、例えばリチウムイオン伝導性の固体電解質から形成されていてもよい。このように製造されたセパレータは、特に例えばリチウム金属アノードまたはインターカレーションアノードを有するリチウムイオン電池などのリチウム電池用に、および/またはリチウム硫黄電池および/またはリチウム酸素電池用に用いることが可能である。
【0056】
しかしながら、例えばバッテリなどの他の電気化学的セルのために、および/または例えばレドックスフロー電池などの電気化学的蓄積セルのために、他の固体イオン伝導体を用いることも可能である。例えばナトリウムイオン伝導性のためにナトリウムベータ酸化アルミニウムクラスからなるセラミック構造体を使用することも可能である。プロトン伝導性のために、例えばナフィオンポリマーおよび/またはフッ素系スルホン化ポリマーを用いることが可能である。
【0057】
方法ステップb)において、特にイオン伝導性の粒子を例えば次のことによって細孔内に導入可能である。すなわち粉末を、拡張状態におけるポリマー層の少なくとも一方の側に塗布することによって導入可能である。方法ステップb)において、粒子を、拡張状態におけるポリマー層の少なくとも一方の側に塗布することによって、粒子は、特に拡張によって拡大された平均孔径に基づき、ポリマー層の細孔内に浸透若しくはその内部に導入若しくは充填され得る。粉末の形態で用いられる粒子は、粉末粒若しくは粉末粒子とも称し得る。方法ステップb)における粒子の導入若しくは塗布は、ポリマー層の細孔構造部の製造後にも製造中にも行うことが可能である。例えばポリマー層の多孔性が伸長および/または拡張法によって生成される限り、方法ステップa)および/またはb)は、例えば多孔質ポリマー層の製造過程において既に実施可能である。そのため有利には方法ステップが最小化可能である。
【0058】
粒子は、特に、拡張されたポリマー層の平均孔径(dPo2)以下である平均粒径(dPa)を有している。基本的には、粒子はこの場合、非拡張のポリマー層の平均孔径(dPo1)以上または以下の平均粒径(dPa)を有し得る。
【0059】
1つの構成の枠内では、粒子は、非拡張状態におけるポリマー層の平均孔径(dPo1)よりも小さい、特に著しく小さい、例えば50%以下、例えば15%以下の平均粒径(dPa)を有し得る。そのため有利には、ポリマー層の拡張状態において、可及的に多くの粒子を、ポリマー層の細孔内に浸透させ、これを特に十分に、場合によっては完全に充填させ得ることが生じ得る。この場合、ポリマー層の弛緩によって粒子は圧縮され、細孔のコンパクトで例えば実質的に完全な充填が達成され得る。そのため有利には、セパレータの例えばリチウム樹状突起に対する、改善された樹状突起耐性が達成され得る。
【0060】
1つの好ましい構成の枠内では、粒子は、非拡張状態におけるポリマー層の平均孔径(dPo1)よりも大きい平均粒径(dPa)を有している。そのため有利には、ポリマー層の拡張および弛緩の後で、粒子がそれぞれ例えば完全に、ポリマー層のポリマー材料によって固定的に取り囲まれることが生じ得る。粒子は、そのようなものとして、多数の粒子からなる圧入結合体よりも高い機械的強度若しくは硬度および/または密度を有し得るので、それにより有利には、特に良好なシール効果を達成することができ、セパレータの、例えばリチウム樹状突起に対する樹状突起耐性がさらに向上し、並びにセパレータの液体通過に伴って現れる劣化メカニズムがさらに良好に回避され得る。
【0061】
それ故この実施形態の特定の構成の枠内では、粒子は、非拡張状態におけるポリマー層の平均孔径(dPo1)よりも大きく、かつ、拡張状態におけるポリマー層の平均孔径(dPo2)以下である、平均粒径(dPa)を有している。
【0062】
ポリマー層の非拡張若しくは弛緩状態における細孔間の平均間隔(d)は、特に粒子の平均粒径(dPa)よりも小さくてもよい。それに応じて、ポリマー層の非拡張若しくは弛緩状態における、特にポリマー層の細孔を画定するポリマー壁部の平均壁厚(d)は、粒子の平均粒径(dPa)よりも小さくてもよい。
【0063】
それ故さらなる実施形態の枠内では、特にポリマー層の非拡張状態において、特にポリマー層の細孔を画定するポリマー壁部の平均壁厚(d)は、粒子の平均粒径(dPa)よりも平均的に小さい。
【0064】
特にポリマー層の細孔間のポリマー壁部は、樹状突起、例えばリチウム樹状突起の平均直径より小さい平均壁厚を有し得る。例えば多孔質ポリマー層は、平均孔径の1/4以下である、細孔間の平均間隔若しくはポリマー壁部の平均壁厚(d)を有し得る。このようにして有利には、場合によりセルの使用の際に生じる樹状突起、例えばリチウム樹状突起が、粒子間でポリマー壁部を浸透できないことが達成され得る。なぜなら成長する樹状突起は、導入された粒子に衝突し、それによってポリマー壁部に対する例えば切削的および/または穿通的応力作用が阻止されるからである。そのため有利には、セパレータの、例えばリチウム樹状突起に対する樹状突起耐性がさらに向上され得る。
【0065】
さらなる実施形態の枠内では、方法ステップa)において、ポリマー層が長手方向および/または横方向に、特に長手方向および横方向に拡張される。例えばこの場合ポリマー層は、特に、非拡張状態におけるポリマー層の長手方向伸長若しくは横方向伸長に関連して20%以上だけ、長手方向および/または横方向に拡張可能であり、特に拡張され得る。例えばこの場合ポリマー層は、特に、非拡張状態におけるポリマー層の長手方向伸長若しくは横方向伸長に関連して300%以下まで、例えば200%以下だけ、例えば200%以下まで、例えば100%以下だけ、長手方向および/または横方向に拡張可能であり、特に拡張され得る。この拡張は、ここでは特に、使用されるポリマー層の弾性歪み限界によって制限されてもよい。
【0066】
さらなる実施形態の枠内では、少なくとも、セパレータの動作状態においてアノード側に配置された細孔内に粒子が導入され、若しくは方法ステップb)において、粒子が、特にイオン伝導性粒子が、少なくとも、ポリマー層の、セルの動作状態においてアノードに面する側に塗布若しくは導入される。それにより有利には、樹状突起成長が早期に中断され得る。
【0067】
さらなる実施形態の枠内では、また、セパレータの動作状態においてカソード側に配置された細孔内にも、例えば両側で粒子が導入され、若しくは方法ステップb)において、拡張されたポリマー層の両側へ若しくは両側に、粒子が、特にイオン伝導性粒子が、塗布若しくは導入される。それにより有利には、セパレータの非対称な伸縮が回避され得る。このことは、セパレータの容易な取り外しも可能にさせ、特に、セパレータがその際粒子の付加されない側の方向へよじれることを回避させ得る。
【0068】
さらなる実施形態の枠内では、細孔内に導入された粒子は、付加的に素材結合的に、例えばポリマー壁部の材料の溶融および/または軟化により、ポリマー壁部と結合され、若しくは、この方法は、さらにポリマー層を、特に、ポリマー層の例えばポリマー材料の溶融温度および/または軟化温度以上の温度まで加熱する方法ステップd)を含んでおり、特にこの場合は、ポリマー層の特にポリマー材料が溶融および/または軟化される。この種の加熱方法により、有利にはポリマー壁部の材料若しくはポリマー層が、取り入れられた粒子と固定的に若しくは素材結合的に結合されることが達成され得る。
【0069】
さらにこの方法は、粒子を、ポリマー層の細孔内に圧入する方法ステップb1)を含み得る。この方法ステップb1)は、特にポリマー層の拡張状態において実施され得る。例えばこの方法ステップb1)は、方法ステップb)の間および/または後に実施され得る。例えば方法ステップb1)は、圧延装置および/またはローラー装置を用いて実施され得る。それによって、場合によってはシール作用および樹状突起耐性がさらに向上し、並びに劣化メカニズムがさらに良好に回避され得る。
【0070】
セパレータは特に、例えばリチウム金属アノードまたはインターカレーションアノード、特にリチウム金属アノードを有する、リチウム電池、例えばリチウムイオン電池および/またはリチウム硫黄電池および/またはリチウム酸素電池(若しくはリチウム空気電池)用のセパレータであってもよい。
【0071】
この方法は特に、例えばリチウム金属アノードまたはインターカレーションアノード、特にリチウム金属アノードを有し、例えば液状電解質および/または固体電解質を有する、リチウム電池、例えばリチウムイオン電池および/またはリチウム硫黄電池および/またはリチウム酸素電池(若しくはリチウム空気電池)用のセパレータの製造のために設計されていてもよい。
【0072】
本発明の方法による製造は、例えば化学的および/または顕微鏡的分析によって証明され得る。
【0073】
これと共に本発明によるセパレータおよび本発明による方法のさらなる技術的特徴および利点については、本発明によるセルとの関連における説明並びに図面および図面の説明に明示的に示される。
【0074】
さらに本発明は、本発明によるセパレータおよび/または本発明による方法によって製造されたセパレータを含んでいる電気化学的セルに関している。このセルは、例えばリチウム電池、例えばリチウムイオン電池および/またはリチウム硫黄電池および/またはリチウム酸素電池(若しくはリチウム空気電池)であってもよい。特にこのセルは、リチウム金属アノードを有し得る。
【0075】
これと共に本発明によるセルのさらなる技術的特徴および利点については、本発明によるセパレータおよび本発明による方法との関連における説明並びに図面および図面の説明に明示的に示される。
【0076】
本発明による態様のさらなる利点および有利な実施形態は、図面によって具体的に示され、以下の明細書において説明される。その際には、これらの図面が説明のためだけの特徴を有し、本発明を何らかの形態に限定することを意図したものではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】非拡張の多孔質ポリマー層の概略的断面図
図2図1に示す多孔質ポリマー層の方法ステップa)における拡張状態における概略的断面図
図3図2に示す拡張された多孔質ポリマー層の方法ステップb)におけるイオン伝導性粒子の導入後の概略断面図
図4図3に示す多孔質ポリマー層の方法ステップc)における弛緩後の概略的断面図
【0078】
図1は、非拡張状態における、貫通細孔12を有する、本発明による方法の実施形態の枠内で使用可能な弾性的多孔質ポリマー層11を具体的に示している。図1は、ここでは細孔12が、ポリマー壁部13によって画定され、相互に離間されていることを表している。図1はさらに、ポリマー層11の非拡張状態において、細孔12が平均孔径(dPo1)を有し、ポリマー壁部13が平均壁厚(d)を有していることを具体的に示している。
【0079】
図2は、図1に示すポリマー層11が、方法ステップa)において当該層11の拡張若しくは伸長された後を示している。図2は、方法ステップa)において、ポリマー層11が例えば長手方向および/または横方向に、例えばその長手方向伸長若しくは横方向伸長に関連して例えば約100%だけ拡張され得ることを示唆している。図2は、ポリマー層11の拡張によって、細孔12が平均孔径(dPo2)分だけ拡大されたことを表している。
【0080】
図3は、図2に示す拡張状態におけるポリマー層11が、方法ステップb)において、その細孔12内にイオン伝導性粒子14を導入した後を示している。この細孔12内へのイオン伝導性粒子14の導入は、例えば粉末を、拡張状態におけるポリマー層11の少なくとも一方の側に塗布することによって行うことが可能である。図3は、ここでは粒子14が、ポリマー層11の拡張によって拡大された細孔12内へ導入されることを示している。場合によっては粒子14は、ここでは付加的に、例えば圧延装置および/またはローラー装置を用いて、細孔12内に圧入され得る。図3は、さらに粒子14が、拡張状態におけるポリマー層11の平均孔径(dPo2)以下である平均粒径(dPa)を有し、特に図1に示す非拡張状態のポリマー層11の平均孔径(dPo1)よりも大きいことを具体的に示している。
【0081】
図4は、図3に示すポリマー層11の、方法ステップc)における当該ポリマー層11の弛緩後を示す。図4は、ポリマー層11の弛緩の際に、細孔12の平均孔径が再び収縮することを具体的に示している。この場合弛緩するポリマー層11によって、応力F、例えばポリマー層11の圧縮応力若しくは回復する拡張力若しくは弛緩力が、導入若しくは取り込まれた粒子14にもたらされ、それによって粒子14が、ポリマー壁部13間で摩擦結合的に把持され、そのようにしてポリマー層11内に固定される。図4はさらに、ここでのポリマー層11の非拡張若しくは弛緩状態におけるポリマー壁部13の平均壁厚(d)が、粒子14の平均粒径(dPa)よりも小さいことを具体的に示している。
図1
図2
図3
図4