【実施例】
【0029】
以下、実施例・比較例によって本発明に係る収納袋について詳細に説明するが、本発明の収納袋は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。また、実施例および比較例における特性の評価方法は以下の通りである。
【0030】
<熱シール部分の形状>
実施例・比較例で得られた収納袋の左端縁の溶断シール部分(熱シール部分)の幅および厚みを株式会社ハイロックス社製デジタルマイクロスコープKH−7700(レンズMXG2500REZ Low−Range 150倍)によって測定した。
【0031】
<引張弾性率>
実施例・比較例において収納袋の製造に用いた合成樹脂フィルムを裁断して、長さ150mm×幅15mm×厚さ0.5mmのストリップ状のサンプルを作成した。そして、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、JIS K−7127に準拠し、島津株式会社製オートグラフAG−100E型を使用し、サンプルを100mmの距離を隔てたチャック間に掴み、引張速度200mm/分で引っ張り、引張比例限度内における引張応力とそれに対応するひずみの比を引張弾性率として算出した。
【0032】
<鮮度保持特性(枝豆)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅150mm×高さ250mmのもの)に、約250gの枝豆を詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、その枝豆を収納した収納袋を、以下の2種類の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納された枝豆の状態を、乾燥度合い、色および臭気の観点から下記の4段階で官能評価した。
・保管条件
a.20℃×40%RHの雰囲気下で120時間(5日間)保管
b.30℃×80%RHの雰囲気下で72時間(3日間)保管
・評価基準
◎:色・臭気において収納前のものとの違いがまったく認められない。
○:若干乾燥した様子であるものの、変色・異臭が認められない。
△:わずかな変色、微かな異臭が認められる。
×:全体的な乾燥、変色、明確な異臭、カビの発生、腐敗が認められる。
【0033】
<鮮度保持特性(ブロッッコリー)>
実施例・比較例で得られた収納袋(幅230mm×高さ320mmのもの)に、約370gのブロッッコリーを詰めた後に、その収納袋の上部をヒートシールすることによって収納袋を密封した。そして、そのブロッッコリーを収納した収納袋を、以下の2種類の温湿度・期間の条件下で保管した。しかる後、収納されたブロッッコリーの状態を、乾燥度合い、色、臭気および花蕾の落下の観点から下記の4段階で官能評価した。
・保管条件
a.20℃×40%RHの雰囲気下で72時間(3日間)保管
b.20℃×40%RHの雰囲気下で96時間(4日間)保管
・評価基準
◎:色・臭気において収納前のものとの違いがまったく認められない。
○:若干乾燥した様子であるものの、変色・異臭が認められない。
△:わずかな変色、微かな異臭が認められる。
×:全体的な乾燥、変色、明確な異臭、カビの発生、腐敗、花蕾の落下が認められる。
【0034】
[実施例1]
防曇剤を練り込んだ厚さ20μmの長尺な二軸延伸ポリオレフィンフィルム(OPPフィルム 東洋紡(株)製 P5562)を、トタニ技研工業株式会社製高速サイドウェルド自動製袋機HK65Vを用いて、長手方向に沿って二つ折りした後に、下記の条件にて、所定の間隔で溶断(ヒートシールおよび裁断)することによって(すなわち、ヒートシール後に裁断することによって)、所定の大きさ(幅150mm×高さ250mm、および、幅230mm×高さ320mmの2種類)を有する2種類の二方袋(二つ折りしたOPPフィルムの左右をヒートシールしたもの)を作製した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:120°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
【0035】
そして、その二方袋(袋本体)の熱シール部分から約10.0mm内側の部分に、4.0mmφの円形の透過孔(パンチ孔)を穿設することによって(透過孔の中心が熱シール部分から10mm内側になるように穿設することによって)、実施例1の収納袋を得た。さらに、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。加えて、収納袋の製造に用いたOPPフィルムの長手方向の引張弾性率(すなわち、収納袋における幅方向の引張弾性率)を上記した方法によって測定した。
【0036】
図2は、実施例1の収納袋を示したものである。収納袋P
1は、OPPフィルムによって形成された正面視矩形状の二方袋であり、左右の両端縁が溶断シールされている。そして、左側の溶断シール部分(熱シール分)から10mm内側の部分に、4.0mmφの円形の1個の透過孔Hが穿設されている(透過孔Hの面積=約12.56mm
2)
【0037】
そして、上記の如く得られた2種類の収納袋の内の小型のもの(幅150mm×高さ250mmのもの)を用いて、上記した方法によって、枝豆に対する収納袋の鮮度保持特性を評価した。一方、上記の如く得られた収納袋の内の大型のもの(幅230mm×高さ320mmのもの)を用いて、上記した方法によって、ブロッコリーに対する収納袋の鮮度保持特性を評価した。それらの鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0038】
[実施例2]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、防曇剤を練り込んだ厚さ20μmのOPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562)と厚さ20μmのOPPフィルム(グンゼ(株)製 SVS2)とのラミネートフィルムに変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:380℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:90個/分(1ショット当たりの時間:0.6秒)
【0039】
そして、それ以外は実施例1と同様にして実施例2の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いたラミネートフィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例2の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0040】
[実施例3]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、防曇剤を練り込んだ厚さ20μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルム(三菱ケミカル(株)製 エコロージュSG106)に変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:370℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
【0041】
そして、それ以外は、実施例1と同様にして実施例3の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いた二軸延伸ポリ乳酸フィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例3の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0042】
[実施例4]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるベースフィルムの上にポリエステル樹脂を溶融押し出ししてなる総厚さ32μmのラミネートフィルム(中本パックス(株)製 HS−PET)に変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:360℃
・刃先の角度:60°
・溶断速度:100個/分(1ショット当たりの時間:0.5秒)
【0043】
そして、それ以外は、実施例1と同様にして実施例4の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いたラミネートフィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例4の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0044】
[実施例5]
収納袋を作製する際に、構成材料である合成樹脂フィルムを、ポリエチレンとポリプロピレンとを共押し出ししてなる総厚さ25μmの未延伸フィルム(サン・トックス(株)製 YJ02)に変更するとともに、溶断条件を、以下のように変更した。
<溶断条件>
・刃先の温度:300℃
・刃先の角度:60°
・溶断速度:100個/分(1ショット当たりの時間:0.5秒)
【0045】
そして、それ以外は、実施例1と同様にして実施例5の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定するとともに、収納袋の製造に用いた未延伸フィルムの長手方向の引張弾性率を上記した方法によって測定した。実施例5の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0046】
[実施例6]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
【0047】
また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。実施例6の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0048】
[実施例7]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:120°
・溶断速度:100個/分(1ショット当たりの時間:0.5秒)
【0049】
また、得られた収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。実施例7の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0050】
[実施例8]
実施例1と同様な方法によって作成した二方袋(袋本体)の熱シール部分の上に、4.0mmφの半円形の透過孔(パンチ孔)を穿設することによって、実施例8の収納袋を作製した。
図3は、実施例8の収納袋を示したものである。収納袋P
2は、OPPフィルムによって形成された正面視矩形状の二方袋であり、左右の両端縁が溶断シールされている。そして、左側の溶断シール部分(熱シール部分)に、4.0mmφの半円形の1個の透過孔Hが穿設されている(透過孔Hの面積=約6.28mm
2)。
【0051】
そして、その実施例8の収納袋(大型のものおよび小型のもの)を用いて、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例8の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0052】
[実施例9]
実施例1と同様な方法によって作成した二方袋(袋本体)の左側の下端の隅部(熱シール部分と下端縁とが交差する部分)に、熱シール部分および下端縁からの各距離がいずれも所定の距離(1.0mm)になるように三角形状にヒートシール(約120℃)を施した。しかる後、その二方袋の左下端の隅部を、上記した三角形状のヒートシール部分の先端を含めて約45°の傾斜状に裁断することによって、ヒートシール部分の外側(左側)および下側に、それぞれ、2つの透過孔を形成することによって、実施例9の収納袋を作製した。
図4は、実施例9の収納袋を示したものである。収納袋P
3は、OPPフィルムによって形成された正面視矩形状の二方袋であり、左右の両端縁が溶断シールされている。そして、左下端の隅部(熱シール部分と下端縁とが交差する部分)に、略台形状のポイントシール部分Sが設けられており、そのポイントシール部分Sの外側(左側)および下側に、それぞれ、所定の開口面積(約0.63mm
2)の2つの透過孔H
1,H
2が形成されている。
【0053】
そして、その実施例9の収納袋(大型のもの、および小型のもの)を用いて、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例9の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0054】
[実施例10]
透過孔(パンチ孔)を穿設する位置を、二方袋(袋本体)の熱シール部分から約45.0mm内側の部分に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例10の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例10の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0055】
[実施例11]
二方袋(袋本体)に穿設する透過孔(パンチ孔)を10.0mmφの円形のものに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例11の収納袋を作製し、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した(透過孔Hの面積=約78.5mm
2)。実施例11の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0056】
[実施例12]
実施例1と同様な方法によって作成した二方袋(袋本体)の熱シール部分から約8.0mm内側の部分に、1.0mmφの円形の6つの透過孔(パンチ孔)を、
図5の如く、上下に並べて穿設することによって(透過孔の中心が熱シール部分から10mm内側になるように穿設することによって)、実施例12の収納袋を得た(6個の透過孔H,H・・の合計面積=約4.71mm
2)。そして、得られた収納袋を用いて、実施例1と同様な方法によって、収納袋の鮮度保持特性を評価した。実施例12の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0057】
[比較例1]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の収納袋を作製した。そして、実施例1と同様な方法によって、比較例1の収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:420℃
・刃先の角度:120°
・溶断速度:60個/分(1ショット当たりの時間:0.9秒)
【0058】
また、得られた比較例1の収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。比較例1の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0059】
[比較例2]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例2と同様にして比較例2の収納袋を作製した。そして、実施例1と同様な方法によって、比較例2の収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:330℃
・刃先の角度:90°
・溶断速度:90個/分(1ショット当たりの時間:0.7秒)
【0060】
また、得られた比較例2の収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。比較例2の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0061】
[比較例3]
収納袋を作製する際の溶断条件を、以下のように変更した以外は、実施例3と同様にして比較例3の収納袋を作製した。そして、実施例1と同様な方法によって、比較例3の収納袋の鮮度保持特性を評価した。
<溶断条件>
・刃先の温度:370℃
・刃先の角度:60°
・溶断速度:120個/分(1ショット当たりの時間:0.4秒)
【0062】
また、得られた比較例3の収納袋の左側の熱シール部分の幅および厚みを上記した方法によって測定した。比較例3の収納袋の鮮度保持特性の評価結果を収納袋の性状・製造条件とともに表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1から、熱シール部分の形状が本発明の要件を満たした実施例1〜12の収納袋は、いずれも、枝豆を収納した場合およびブロッコリーを収納した場合の鮮度保持機能が良好であることが分かる。これに対して、熱シール部分の形状が本発明の要件を満たさない比較例1〜3の収納袋は、いずれも、枝豆を収納した場合およびブロッコリーを収納した場合の鮮度保持機能が不良であることが分かる。