特許第6448845号(P6448845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6448845-燃料電池システム 図000002
  • 特許6448845-燃料電池システム 図000003
  • 特許6448845-燃料電池システム 図000004
  • 特許6448845-燃料電池システム 図000005
  • 特許6448845-燃料電池システム 図000006
  • 特許6448845-燃料電池システム 図000007
  • 特許6448845-燃料電池システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6448845
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04664 20160101AFI20181220BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20181220BHJP
   H01M 8/0668 20160101ALI20181220BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20181220BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20181220BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20181220BHJP
【FI】
   H01M8/04664
   H01M8/04537
   H01M8/0668
   H01M8/04955
   !H01M8/10 101
   !H01M8/12 101
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-182795(P2018-182795)
(22)【出願日】2018年9月27日
(62)【分割の表示】特願2017-41991(P2017-41991)の分割
【原出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-200900(P2018-200900A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2018年10月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 麻理恵
(72)【発明者】
【氏名】中島 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 和郎
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−134287(JP,A)
【文献】 特開2012−204125(JP,A)
【文献】 特開2009−110806(JP,A)
【文献】 特開2003−045466(JP,A)
【文献】 特開平9−147895(JP,A)
【文献】 特開2013−191281(JP,A)
【文献】 特開2015−201266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 − 8/0668
H01M 8/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む燃料ガスを受ける初段の燃料電池スタック及び前段に設けられた燃料電池スタックにおける化学反応後の未反応の燃料ガスを受けて発電する後段の燃料電池スタックを備えた多段式発電処理部と、
二段目以降に位置する燃料電池スタック、又は前記燃料電池スタックを構成するセルの開回路電圧を検出する開回路電圧検出手段と、
発電負荷追従運転前後に実行され、前記開回路電圧検出手段で検出した開回路電圧と、基準電圧とを比較して、開回路電圧の検出対象とした燃料電池スタックよりも上流に位置する燃料電池スタックの動作状態の良否を判定する判定手段と、
を有する燃料電池システム。
【請求項2】
前記判定手段が不良判定した場合に、前記多段式発電処理部の発電処理を強制停止させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
後段の燃料電池スタックに前記未反応の燃料ガスを供給する際に、二酸化炭素及び水蒸気の少なくとも一方を除去することで燃料ガスを再生する燃料再生装置と、
前記未反応の燃料ガスが流動する管路に設けられ、前記燃料再生装置を適用状態又は非適用状態の何れかに切り替え可能な切替手段とをさらに有し、
前記燃料再生装置を適用している状態で、前記判定手段が不良判定した場合に、前記切替手段を制御して、前記燃料再生装置を非適用状態とし、前記判定手段による判定を再度実行することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記基準電圧が、固定値であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記基準電圧が、前記判定手段で良判定となった最新の開回路電圧の更新値であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関するものであり、特に、多段式燃料電池システムにおける後段スタック及び燃料再生装置の故障検知に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、多段式燃料電池システムにおいて、アノードオフガスから水蒸気、或いは水蒸気と二酸化炭素を除去する燃料再生を実施することで、燃料利用率を改善することが記載されている。
【0003】
ところで、多段式燃料電池システムにおいて、多段の燃料電池スタックが劣化した場合、特に、前段の燃料電池スタックの劣化検知が重要となる。
【0004】
その主たる理由は、後段の燃料電池スタックへ供給されるアノード・カソードガスの組成や流量が変動し、その状態で発電を実施したとすると、後段の燃料電池スタックも劣化しやすくなるからである。
【0005】
燃料電池スタックは、長期運転や起動停止によるヒートサイクルや運転時にかかるガス圧力の変動やガス組成の変動等の負荷により、劣化が進行する可能性がある。
【0006】
特に、SOFCは、作動温度が高く、発電効率が高いが、運転温度が高いと劣化速度も増加する傾向にあることから、燃料電池スタックの劣化の対策として、燃料電池スタックの上限温度を設定し、その設定した上限温度を超えたときは、空気流量を増加する制御が実施される。
【0007】
燃料電池スタックの劣化の検知手段としては、運転中の温度を検知箇所とするものが一般的であり、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0008】
特許文献2には、SOFCの作動温度を検知し、作動温度が所定温度以下になった場合、出力を減らすことで作動温度を低下させ、作動温度が所定温度以下になると、出力を定格に戻す制御を実施することが記載されている。
【0009】
また、特許文献3には、発電室温度を検知し、基準温度を複数点設定し、温度上昇分にしきい値を設け、検出温度がしきい値を超えている場合には、燃料電池モジュールが劣化したと判定し、燃料流量と定格出力を減らす制御を実施することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−31989号公報
【特許文献2】特開2007−273252号公報
【特許文献3】特開2011−103210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、燃料電池システムにおいて、エネルギー利用効率を向上させるための構成として、燃料電池スタックを複数設け、前段の燃料電池スタックから排出された使用済みの燃料ガス中の未反応の燃料ガスを、後段の燃料電池スタックで再利用する多段式燃料電池システムが知られている。
【0012】
多段式燃料電池システムは、燃料電池の種類を問わず適用され、多段化による燃料利用率向上が検討されている。
【0013】
一例として、前後段の燃料電池スタックと共に高温作動型燃料電池(固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池等)が適用される。なお、固体酸化物型燃料電池(SOFC)については酸化物イオン導電型・プロン導電型のいずれの種類でもよい。
【0014】
また、他の例としては、後段のみ固体高分子型燃料電池等が適用される。
【0015】
さらに、前後段の燃料電池スタックの間に、未反応の燃料ガス中における水蒸気や二酸化炭素を取り除くことができれば、反応に寄与する水素や一酸化炭素の濃度が上がり、再利用された燃料ガスを用いた燃料電池スタックの性能を向上させることができる。
【0016】
しかしながら、上記燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックの温度を劣化判定とする場合、発電出力(発電負荷)等の条件が変わると、条件変化による温度変化であるのか、燃料電池スタックの劣化による温度変化であるのかの判断が難しい。
【0017】
従って、前記特許文献2及び特許文献3を含む従来技術では、発電中に劣化を判定するため、劣化判定モードを設定し劣化判定モード中の数時間は負荷追従が不可能になるという課題がある。
【0018】
また、発電中に劣化を検知する手段では、燃料電池スタックの劣化が進行し易い時期に検知することはできない。
【0019】
本発明は上記事実を考慮し、発電負荷追従運転に際し、事前に燃料電池スタックの劣化を検知することができる燃料電池システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、水素を含む燃料ガスを受ける初段の燃料電池スタック及び前段に設けられた燃料電池スタックにおける化学反応後の未反応の燃料ガスを受けて発電する後段の燃料電池スタックを備えた多段式発電処理部と、二段目以降に位置する燃料電池スタック、又は前記燃料電池スタックを構成するセルの開回路電圧を検出する開回路電圧検出手段と、発電負荷追従運転前後に実行され、前記開回路電圧検出手段で検出した開回路電圧と、基準電圧とを比較して、開回路電圧の検出対象とした燃料電池スタックよりも上流に位置する燃料電池スタックの動作状態の良否を判定する判定手段と、を有する燃料電池システムである。
【0021】
本発明によれば、判定手段では、発電負荷追従運転前後に、開回路電圧検出手段で二段目以降に位置する燃料電池スタックを構成するセルの開回路電圧を検出する。この開回路電圧検出手段で検出した開回路電圧と、基準電圧とを比較して、開回路電圧の検出対象とした燃料電池スタックよりも上流に位置する燃料電池スタックの動作状態の良否を判定する。
【0022】
なお、発電負荷追従運転前とは、例えば、燃料電池システムの昇温処理後、かつ発電負荷追従運転が開始されるまでの期間であり、発電負荷追従運転後とは、例えば、発電負荷追従運転の終了後、かつ燃料電池システムの降温処理までの期間である。
【0023】
従って、発電負荷追従運転前後に、燃料電池スタックの良否を判定することができる。
【0024】
発電負荷追従運転前であれば、直後の発電負荷追従運転に際し、事前に燃料電池スタックの劣化を検知することができる。また、発電負荷追従運転後であれば、次の発電負荷追従運転に際し、事前に燃料電池スタックの劣化を検知することができる。
【0025】
本発明において、前記判定手段が不良判定した場合に、前記多段式発電処理部の発電処理を強制停止させることを特徴とする。
【0026】
不良判定は、燃料電池スタックの機能低下で、発電そのものは可能である場合がある。しかし、負荷変動する発電には適さないため、機能低下を故障と判断し、即時に多段式発電処理部の発電処理を停止させる。
【0027】
これにより、例えば、劣化が判明して修復するまでの期間、負荷追従が中断するという最悪の事態を回避することができる。
【0028】
本発明において、後段の燃料電池スタックに前記未反応の燃料ガスを供給する際に、二酸化炭素及び水蒸気の少なくとも一方を除去することで燃料ガスを再生する燃料再生装置と、前記未反応の燃料ガスが流動する管路に設けられ、前記燃料再生装置を適用状態又は非適用状態の何れかに切り替え可能な切替手段とをさらに有し、前記燃料再生装置を適用している状態で、前記判定手段が不良判定した場合に、前記切替手段を制御して、前記燃料再生装置を非適用状態とし、前記判定手段による判定を再度実行することを特徴とする。
【0029】
燃料再生装置を適用している状態で、判定手段が不良判定した場合に、切替手段を制御して、燃料再生装置を非適用状態とし、判定手段による判定を再度実行する。例えば、切替手段として、電気的制御で弁体を開閉可能なソレノイドバルブ(電磁弁)等が適用可能であるが、制御という範疇に、手動による切替操作(弁体の開閉等)を含むものとする。
【0030】
これにより、不良判定となった原因箇所が、前段の燃料電池スタックであるか、或いは、燃料再生装置であるかを特定することができる。
【0031】
本発明において、前記基準値が、固定値であることを特徴とする。
【0032】
基準電圧が固定値であれば、絶対量として開回路電圧の良否を判定することができる。
【0033】
本発明において、前記基準値が、前記判定手段で良判定となった最新の開回路電圧の更新値であることを特徴とする。
【0034】
基準電圧が更新値であれば、前回との変化率(又は変化量)として開回路電圧の良否を判定することができる。なお、当然、前回の判定が正常であることが前提となる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明した如く本発明では、発電負荷追従運転に際し、事前に燃料電池スタックの劣化を検知することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の実施の形態に係る燃料電池システムの概略構成図であり、(A)は燃料再生装置の適用状態(デフォルト)のバルブ位置、(B)は燃料再生装置の非適用状態のバルブ位置を示す。
図2】第1の実施の形態に係る制御部において実行されるSOFCスタック健全性確認モード制御のための機能ブロック図である。
図3】第1の実施の形態に係るSOFCスタック健全性確認モード制御ルーチンを示すフローチャートである。
図4】第1の実施の形態の変形例(変形例1)に係るSOFCスタック健全性確認モード制御ルーチンを示すフローチャートである。
図5】第2の実施の形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。
図6】第2の実施の形態に係るSOFCスタック健全性確認モード制御ルーチンを示すフローチャートである。
図7】第2の実施の形態の変形例(変形例2)に係るSOFCスタック健全性確認モード制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1の実施の形態)
【0038】
図1に従い、第1の実施の形態に係る燃料電池システム10の構成を、各部の機能と共に説明する。
【0039】
燃料電池システム10は、主要な構成として、気化器12、改質器14、燃焼器15、第1燃料電池スタック16、第2燃料電池スタック18、燃料再生装置20、及び制御部22を備えている。
【0040】
第1燃料電池スタック16は、固体酸化物形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セルを有している。第1燃料電池スタック16は、燃料ガス及び空気を同等の条件で受ける複数のスタックモジュールで構成してもよい。また、第1燃料電池スタック16は、固体酸化物形に限定されるものではない。
【0041】
第2燃料電池スタック18は、固体酸化物形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セルを有している。第2燃料電池スタック18は、燃料ガス及び空気を同等の条件で受ける複数のスタックモジュールで構成してもよい。また、第2燃料電池スタック18は、固体酸化物形に限定されるものではない。
【0042】
すなわち、第1の実施の形態の燃料電池システム10は、燃料電池スタックが第1燃料電池スタック16及び第2燃料電池スタック18の2段とされた、多段式の燃料電池システム10を構成している。なお、段数は、2段に限定されず、3段以上であってもよい。
【0043】
気化器12には、原料ガス管P1の一端が接続されており、原料ガス管P1の他端は図示しないガス源に接続されている。ガス源からは、ブロアBによりガス(一例として、メタン)が気化器12へ送出される。また、気化器12には、水供給管P2が接続され、改質水(液相)が気化器12へ送出される。
【0044】
なお、第1の実施形態では、原料ガスとしてメタンを用いるが、改質が可能なガスであれば特に限定されず、炭化水素燃料を用いることができる。炭化水素燃料としては、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。
【0045】
気化器12では、供給されたメタン及び水が混合されると共に加熱され、水が気化され水蒸気となる。
【0046】
メタン及び水蒸気は、気化器12から配管P3を介して改質器14へ送出される。改質器14では、燃焼器15による加熱に依存した改質反応により、水素を含む燃料ガスが生成される。燃料ガスは、燃料ガス管P4を介して第1燃料電池スタック16のアノード16Aに供給される。
【0047】
第1燃料電池スタック16のカソード16Bには、例えば、燃料再生装置20を経由した配管P5から酸化ガスが供給される。これにより、第1燃料電池スタック16では、化学反応により発熱し、発電が行われる。この発電に伴い燃料電池スタック16のアノード16Aからは、アノードオフガスがアノードオフガス管P6を通って燃料再生装置20へ排出される。また、カソード16Bからは、カソードオフガスが排出され、カソードオフガスは、カソードオフガス管P7を通って第2燃料電池スタック18のカソード18Bへ供給される。
【0048】
アノード16Aから排出されたアノードオフガスは、燃料再生装置20で再生燃料ガスが生成され、再生燃料ガス管P8により第2燃料電池スタック18のアノード18Aへ供給される。第2燃料電池スタック18では、化学反応により発電が行われる。
【0049】
なお、燃料再生装置20では、詳細は省略するが、アノードオフガスから二酸化炭素及び水蒸気の少なくとも一方を分離する機能を有しており、一例として、複数の熱交換部や分離部を備え、再生燃料ガスの生成に際し、空気供給部から供給される空気(酸化ガス)等との熱交換、といった処理が実行される。
【0050】
アノード18A及びカソード18Bでの使用済ガスは、配管P9、カソードオフ燃焼導入管P10により各々燃焼器15へ送出され、燃焼器15で燃焼に供される。
【0051】
燃焼器15からの燃焼排ガスは、例えば、図示しない熱交換部を経て、気化器12で改質水を気化するための熱源として利用される。
【0052】
第1の実施の形態の多段式の燃料電池システム10は、起動指示があると発電するための起動の準備(起動処理)が実行された後、負荷追従運転に移行するようになっている。
【0053】
負荷追従運転とは、負荷の消費電力に応じて、発電量を制御する運転である。
【0054】
ここで、多段式の燃料電池システム10を発電し、負荷追従運転を実行する前に、燃料電池スタック16、18が劣化していると、発電量が負荷の消費電力に追従できなくなる場合がある。
【0055】
そこで、第1の実施の形態では、多段式の燃料電池システム10を起動し、発電負荷追従状態に移行する前に、動作状態、すなわち、燃料電池スタックの健全性を確認するようにした。
【0056】
具体的には、多段となっている燃料電池スタックの何れかセルの開回路電圧である起電力「OCV「Open Circuit Voltage」を検出することで、検出位置よりも上流側(前段)の燃料電池スタックの健全性を確認する。すなわち、第1の実施の形態では、2段の燃料電池スタック16、18を備えているため、この燃料電池スタック18のセルにOCV検出部36を設置、当該セルのOCVを検出し、燃料電池スタック16の健全性を確認(正常/異常の判定)している。
【0057】
多段式燃料電池システムにおいて、多段の燃料電池スタックが劣化した場合、特に、前段の燃料電池スタックの劣化検知が重要となる(以下の理由1〜3参照)。
【0058】
(理由1) 後段の燃料電池スタックへ供給されるアノード・カソードガスの組成や流量が変動し、その状態で発電を実施したとすると、後段の燃料電池スタックも劣化しやすくなる。
【0059】
(理由2) 前段の燃料電池スタックは、後段の燃料電池スタックに比較して水の気化による圧力変動やポンプ脈動による圧力変動の影響が大きい。
【0060】
(理由3) 内部改質可能な、例えば燃料電池システムの燃料電池スタックが特に前段の燃料電池スタックに劣化が生じやすい。
【0061】
なお、第1の実施の形態において、「劣化」とは機能低下を含むが、実際には、発電が負荷に追従できないという状況から鑑み、機能低下の最悪の状態である、「故障」と言い換えてもよい。以下において、劣化及び故障を総称して、「異常」という。
【0062】
燃料電池スタック18のセルのOCVの基準値(リーク無)は既知(一例として、1.06V)であり、この既知である基準値(基準値に幅を持たせる場合は、その下限レベル)を記憶しておき、OCV検出時期に基準値を読み出して、OCV検出値と比較することで、正常か異常かを判定することができる。なお、基準値の上限レベルは、OCVが異常時に電圧が上がることは想定していなため、基準値の下限レベルを設定すればよい。なお、上限レベルの設定を否定するものではなく、基準値を所定範囲として判定するようにしてもよい。
【0063】
異常の場合の一例として、燃料ガスがメタン(CH4)、S/C=2.5、燃料電池スタック温度=700℃、燃料ガスの50%がセルの内部からリークし、それと同等の空気がアノード18A側に流入し平衡状態と仮定し、燃料再生装置20では、二酸化炭素を50%、水を80%除去した場合、異常値(リーク有)は0.96Vとなった。従って、OCVを監視することで、燃料電池スタック16の状態(正常又は異常)を確認することができる。
【0064】
ところで、第1の実施の形態の多段式の燃料電池システム10は、燃料再生装置20を備えているため、前記燃料電池スタック18のセルのOCVの検出値が異常値を示した場合、前段の燃料電池スタック16のリークと断定できない場合がある。
【0065】
すなわち、燃料再生装置20での不具合で異常が発生することがある。そこで、燃料電池スタック16と燃料電池スタック18との間に介在する燃料再生装置20をショートパスするバイパス管P11を設け、バルブ切替制御によって、燃料再生装置20を適用する場合と、適用しない場合とを設定可能とした。
【0066】
すなわち、図1に示される如く、アノードオフガス管P6及び再生燃料ガス管P8の間には、燃料再生装置20を介さずに、当該アノードオフガス管P6及び再生燃料ガス管P8を直接連通させるバイパス管P11が設けられている。バイパス管P11の途中には、ショートパスバルブ24が介在されている。
【0067】
また、アノードオフガス管P6における前記バイパス管P11との接続部よりも燃料再生装置20側には、連通バルブ26Aが介在されている。さらに、再生燃料ガス管P8における前記バイパス管P11との接続部よりも燃料再生装置20側には、連通バルブ26Bが介在されている。
【0068】
ここで、図1(A)に示される如く、燃料再生装置20を適用する場合は、ショートパスバルブ24を閉止状態とし、連通バルブ26A、26Bを開放状態とする。この燃料再生装置20を適用する状態とデフォルト状態とする。
【0069】
一方、図1(B)に示される如く、燃料再生装置20を適用しない場合は、ショートパスバルブ24を開放状態とし、連通バルブ26A、26Bを閉止状態とする。
【0070】
図2は、第1の実施の形態に係る制御部22において実行される、燃料電池スタックの健全性確認モード制御に特化した機能ブロック図である。なお、この図2の各ブロックは、制御部22のハード構成を限定するものではない。例えば、制御部22がハード構成として、CPU、RAM、ROM、入出力ポート(I/O)、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバスを備えたマイクロコンピュータを有し、以下に説明する一部又は全部の機能ブロックの動作をCPUで実行される燃料電池スタックの健全性確認モード制御プログラムの処理としてもよい。
【0071】
起動指示受付部28では、多段式の燃料電池システム10の起動指示を受け付ける。起動指示受付部28は、バルブ動作制御部30に接続されており、起動指示に基づき、各バルブ(ショートパスバルブ24及び連通バルブ26A、26B)をデフォルト状態(燃料再生装置20の適用状態)とする。第1の実施の形態では、燃料再生装置20を適用することがデフォルト状態であり、ショートパスバルブ24を閉止状態とし、連通バルブ26A、26Bを開放状態とする(図1(A)参照)。
【0072】
また、バルブ動作制御部30では、起動指示直後の昇温中、及び、後述する判定部42から、デフォルト状態の下での異常判定の通知を受けると、各バルブを燃料再生装置20の非適用状態とする。すなわち、ショートパスバルブ24を開放状態とし、連通バルブ26A、26Bを閉止状態とする(図1(B)参照)。
【0073】
バルブ動作制御部30は、起動実行部32に接続されており、各バルブの動作制御後に起動実行指示を通知する。
【0074】
より具体的には、起動指示後に昇温処理を実行するが、この昇温処理中は、燃料再生装置20を非適用状態とし、昇温が十分に実行された後、燃料再生装置20を適用状態としている。これは、昇温スピードを向上するためであり、バルブ動作制御部30では、この昇温処理に同期して、ショートパスバルブ24、連通バルブ26A、26Bを制御して、図1(B)の状態で昇温し、昇温終了後に図1(A)の状態に移行させる。
【0075】
起動実行部32は、起動実行通知を受けると、昇温終了後に、OCV取込部34に対して、OCV検出部36で検出した、後段燃料電池スタック(すなわち、第1の実施の形態では、燃料電池スタック18)のセルのOCV(VAocv、VBocv)を取り込むように指示する。
【0076】
検出値VAocvは燃料再生装置20の適用時(デフォルト時)の電圧であり、検出値VBocvは燃料再生装置20の非適用時の電圧である。
【0077】
OCV取込部34は、比較部38に接続されている。また、比較部38は、基準値メモリ40に接続されている。
【0078】
このため、比較部38では、OCV取込部34で取り込んだ燃料電池スタック18のセルのOCV(VAocv、VBocv)と、基準値とが比較されるようになっている。
【0079】
この比較の際、基準値メモリ40からは、燃料再生装置20の適用時(デフォルト時)は基準値VSaが読み出され、燃料再生装置20の非適用時は基準値VSbが読み出される。なお、基準値VSbは、基準値VSaよりも若干低い値に設定されている(VSb<VSa)。
【0080】
比較部38での比較結果は、判定部42に送出される。
【0081】
判定部42における判定結果が、VAocvと基準値VSaとの比較で異常と判定した場合は、バルブ動作制御部30に対して、燃料再生装置20を非適用状態とするようにバルブ切替制御を指示する。すなわち、ショートパスバルブ24を開放状態とし、連通バルブ26A、26Bを閉止状態とする(図1(B)参照)。
【0082】
また、判定部42における判定結果が、VAocvと基準値VSaとの比較で正常と判定した場合、並びに、VBocvと基準値VSbとの比較で正常又は異常と判定した場合は、処理選択部44に正常又は異常を通知する。
【0083】
処理選択部44では、正常通知を受けた場合は、正常処理部46に実行指示を出力し、負荷追従運転に移行させ、異常通知を受けた場合は、異常処理部48に実行指示を出力し、異常報知及び運転停止処理を実行する。
【0084】
なお、上記の判定処理は、昇温後、発電前に実行される。
【0085】
以下に、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0086】
(多段式燃料電池スタックの発電動作)
【0087】
第1の実施の形態の燃料電池システムでは、まず、初段である第1燃料電池スタックを対象として、気化器12には、ガス源からメタンが供給されると共に、水が供給される。供給されたメタンと水は、混合されると共に、燃焼排ガスから熱を得て加熱され、水が気化され水蒸気となる。
【0088】
メタン及び水蒸気は、気化器12から改質器14へ送出される。改質器14では、改質反応により、水素を含む燃料ガスが生成される。燃料ガスは、第1燃料電池スタック16のアノード16Aに供給される。第1燃料電池スタック16のカソード16Bには、酸化ガスが供給される。これにより、第1燃料電池スタック16では、化学反応により発電が行われる。
【0089】
この発電に伴い燃料電池スタック16のアノード16Aからは、アノードオフガスが排出される。また、カソード16Bからは、カソードオフガスが排出され、カソードオフガスは、第2燃料電池スタック18のカソード18Bへ供給される。
【0090】
アノード16Aから排出されたアノードオフガスは、燃料再生装置20により再生燃料ガスが生成され、第2燃料電池スタック18のアノード18Aへ供給される。第2燃料電池スタック18では、化学反応により発電が行われる。
【0091】
(燃料電池スタックの健全性確認)
【0092】
多段式の燃料電池システム10を発電し、負荷追従運転を実行する前に、燃料電池スタック16、18が劣化していると、発電が負荷に追従できなくなる場合がある。そこで、第1の実施の形態では、多段式の燃料電池システム10を起動し、発電負荷追従状態に移行する前に、動作状態、すなわち、燃料電池スタックの健全性を確認するようにした。
【0093】
図3は、第1の実施の形態に係る燃料電池スタックの健全性確認モード制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0094】
ステップ100では、起動指示があったか否かを判断し、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ100で肯定判定されると、ステップ101へ移行してバルブ制御を実行する。
【0095】
このステップ101では、燃料再生装置20の非適用状態となるようにバルブ制御を実行する。すなわち、このステップ114では、ショートパスバルブ24を開放状態とし、連通バルブ26A、26Bを閉止状態とする(図1(B)参照)。
【0096】
次のステップ102では、昇温処理を実行する。このステップ102での昇温処理が終了すると、ステップ103へ移行する。
【0097】
ステップ103では、デフォルト状態(燃料再生装置20の適用有り)とするべく、ショートパスバルブ24を閉止状態とし、連通バルブ26A、26Bを開放状態とする(図1(A)参照)。
【0098】
次のステップ104では、起動処理を実行し、ステップ106へ移行する。例えば、原料ガス及び改質水の供給等である。
【0099】
ステップ106では、後段の燃料電池スタック18のOCV(VAocv)を検出し、次いで、ステップ108へ移行して、燃料再生装置20の適用状態(再生有)における基準値OCV(VSa)を読み出し、ステップ110へ移行する。
【0100】
ステップ110では、OCVの検出値VAocvと、OCV基準値VSaとを比較する。ステップ110での比較の結果、VAocv≧VSaと判定された場合は、正常であると判断し、ステップ112へ移行して、SOFCの発電を開始し、次いでステップ113へ移行する。ステップ113では、SOFC発電負荷追従運転処理へ移り、このルーチンは終了する。
【0101】
また、ステップ110での比較の結果、VAocv<VSaと判定された場合は、異常であると判断し、ステップ114へ移行する。
【0102】
このステップ110での異常判定は、前段の燃料電池スタック16のリークに限定されず、燃料再生装置20に原因がある場合がある。そこで、ステップ114では、燃料再生装置20の非適用状態となるようにバルブ制御を実行する。すなわち、このステップ114では、ショートパスバルブ24を開放状態とし、連通バルブ26A、26Bを閉止状態とする(図1(B)参照)。
【0103】
次のステップ116では、後段の燃料電池スタック18のOCV(VBocv)を検出し、次いで、ステップ118へ移行して、燃料再生装置20の非適用状態(再生無)におけるOCV基準値(VSb)を読み出し、ステップ120へ移行する。
【0104】
ステップ120では、OCVの検出値VBocvと、OCV基準値VSbとを比較する。ステップ120での比較の結果、VBocv≧VSbと判定された場合は、正常であると判断し、ステップ112へ移行して、燃料再生装置20を切り離した状態で、SOFC発電負荷追従運転処理へ移行して、このルーチンは終了する。なお、ここでは、燃料再生装置20を切り離した状態での負荷追従運転処理へ移行するようにしたが、燃料再生装置20の点検を促す、何らかの警告を報知することが望ましい。また、負荷運転処理への移行に遅延可能な余裕があるか否かを判断し、余裕がある場合は、負荷運転処理への移行を遅延させて、燃料再生装置20のメンテナンスを実行するようにしてもよい。
【0105】
また、ステップ120での比較の結果、VBocv<VSbと判定された場合は、前段の燃料電池スタック16の異常であると判断し、ステップ122へ移行して、異常を報知する。
【0106】
次のステップ124では、SOFCの起動を停止し、このルーチンは終了する。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態では、後段の燃料電池スタック18のセルのOCVを検出し、予め既知の基準値と比較することで、前段の燃料電池スタック16の状態(正常又は異常)を判断することができる。このため、燃料電池スタックの劣化が進行し易い起動による異常を、当該起動前に検知することができる。
【0108】
(変形例1)
【0109】
なお、第1の実施の形態では、基準値を固定値としたが、比較対象を前回の燃料電池スタックの健全性確認モード制御でのOCV検出部36による検出値としてもよい。この場合、図2の点線ブロックで示される如く、後段燃料電池スタックOCV取込部34に基準値更新部39が追加される。基準値更新部39は、基準値メモリ40に接続され、後段燃料電池スタックOCV取込部34によって取り込んだ、OCV検出部36による正常判定を受けた検出値を、基準値メモリ40に記憶されたVSa、VSbとして、それぞれ更新記憶する。
【0110】
図4は、この変形例1における燃料電池スタックの健全性確認モード制御ルーチンを示すフローチャートである。なお、この図4のフローチャートにおいて、前述した図3のフローチャートと同一ステップについては、同一のステップ番号の末尾に「A」を付し、説明を省略する。
【0111】
この変形例1では、図4に示される如く、ステップ110Aで、OCVの検出値VAocvと、OCV基準値VSaとを比較し、正常判定(VAocv≧VSa)されると、ステップ111において、基準値VSaを今回の検出値VAocvに更新し(VSa←VAocv)、ステップ112Aへ移行して、SOFCの発電を開始し、次いでステップ113Aへ移行する。ステップ113Aでは、SOFC発電負荷追従運転処理へ移り、このルーチンは終了する。
【0112】
また、この変形例1では、図4に示される如く、ステップ120Aで、OCVの検出値VBocvと、OCV基準値VSbとを比較し、正常判定(VBocv≧VSb)されると、ステップ121において、基準値VSbを今回の検出値VBocvに更新し(VSb←VBocv)、ステップ112Aへ移行して、SOFC発電負荷追従運転処理へ移行して、このルーチンは終了する。
【0113】
(第2の実施の形態)
【0114】
以下に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0115】
第2の実施の形態の特徴は、第1の実施の形態に搭載した燃料再生装置20(図1参照)が存在しない構成である。すなわち、図5に示される如く、アノードオフガスが、燃料電池スタック18のアノード18Aに、再生燃料ガスとして直接供給される配管P12が設けられている。
【0116】
言い換えれば、配管P12は、図1のアノードオフガス管P6、バイパス管P11、再生燃料ガス管P8が単一の配管で直列に接続された構造である。
【0117】
この第2の実施の形態の燃料電池システム10Aでは、後段の燃料電池スタック18のセルのOCVの異常値が、前段の燃料電池スタック16の異常に起因すると判断される。
【0118】
以下に第2の実施の形態の作用を、図6のフローチャートに従い説明する。
【0119】
ステップ150では、起動指示があったか否かを判断し、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ150で肯定判定されると、ステップ151へ移行して昇温処理を実行し、ステップ152へ移行する。ステップ152では、起動処理を実行し、ステップ154へ移行する。
【0120】
ステップ154では、後段の燃料電池スタック18のOCV(Vocv)を検出し、次いで、ステップ156へ移行して、燃料再生装置20の適用状態(再生有)における基準値OCV(VS)を読み出し、ステップ158へ移行する。
【0121】
ステップ158では、OCVの検出値Vocvと、OCV基準値VSとを比較する。ステップ158での比較の結果、Vocv≧VSと判定された場合は、正常であると判断し、ステップ160へ移行して、SOFCの発電を開始し、次いでステップ161へ移行する。ステップ161では、SOFC発電負荷追従運転処理へ移り、このルーチンは終了する。
【0122】
また、ステップ158での比較の結果、Vocv<VSと判定された場合は、異常であると判断し、ステップ162へ移行して、異常を報知する。
【0123】
次のステップ164では、SOFCの起動を停止し、このルーチンは終了する。
【0124】
(変形例2)
【0125】
なお、第2の実施の形態では、基準値を固定値としたが、比較対象を前回の燃料電池スタックの健全性を確認モード制御でのOCV検出部36による検出値としてもよい。
【0126】
図7は、この変形例2における燃料電池スタックの健全性確認モード制御ルーチンを示すフローチャートである。なお、この図7のフローチャートにおいて、前述の図6のフローチャートと同一ステップについては、同一のステップ番号の末尾に「A」を付し、説明を省略する。
【0127】
この変形例2では、図7に示される如く、ステップ158Aで、OCVの検出値Vocvと、OCV基準値VSとを比較し、正常判定(Vocv≧VS)されると、ステップ159において、基準値VSを今回の検出値Vocvに更新し(VS←Vocv)、ステップ160Aへ移行して、SOFCの発電を開始し、次いでステップ161Aへ移行する。ステップ161Aでは、SOFC発電負荷追従運転処理へ移り、このルーチンは終了する。
【0128】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態(それぞれの変形例1、変形例2を含む)では、燃料電池スタックが2段のシステムとし、後段の燃料電池スタック18で前段の燃料電池スタック16の状態を判別するようにしたが、3段以上の多段の燃料電池スタックの場合は、セルのOCVを検出する燃料電池スタックよりも上段(上流)側の燃料電池スタックの何れかに異常が発生していると判断されるため、2段目以降の各段毎の燃料電池スタック毎にOCV検出部36を設置するようにしてもよい。
【0129】
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態(それぞれの変形例1、変形例2を含む)では、多段となっている燃料電池スタックの何れかセルの開回路電圧(OCV)を検出するようにしたが、燃料電池スタック18及びそれよりも後段の燃料電池スタックの開回路電圧(OCV)を検出するようにしてもよい。
【0130】
さらに、第1の実施の形態及び第2の実施の形態(それぞれの変形例1、変形例2を含む)では、起動後、発電負荷運転前に開回路電圧を検出するようにしたが、発電停止後に開回路電圧を検出するようにしてもよい。すなわち、発電停止→後段スタック電圧を確認し故障を判定→降温処理、の流れで処理を実行すればよい。
【符号の説明】
【0131】
B ブロア
P1 原料ガス管
P2 水供給管
P3 配管
P4 燃料ガス管
P5 配管
P6 アノードオフガス管
P7 カソードオフガス管
P8 再生燃料ガス管
P9 配管
P10 カソードオフ燃焼導入管
P11 バイパス管
10 燃料電池システム
12 気化器(多段式発電処理部)
14 改質器(多段式発電処理部)
15 燃焼器(多段式発電処理部)
16 第1燃料電池スタック(多段式発電処理部)
16A アノード
16B カソード
18 第2燃料電池スタック(多段式発電処理部)
18A アノード
18B カソード
20 燃料再生装置
22 制御部(判定手段)
24 ショートパスバルブ
26A、26B 連通バルブ
28 起動指示受付部
30 バルブ動作制御部
32 起動実行部
34 OCV取込部
36 OCV検出部(開回路電圧検出手段)
38 比較部
40 基準値メモリ
42 判定部
44 処理選択部
46 正常処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7