(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6448857
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】ボール
(51)【国際特許分類】
A63B 41/00 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
A63B41/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-516857(P2018-516857)
(86)(22)【出願日】2017年7月12日
(86)【国際出願番号】JP2017025367
(87)【国際公開番号】WO2018012521
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2018年3月30日
(31)【優先権主張番号】特願2016-138060(P2016-138060)
(32)【優先日】2016年7月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000138244
【氏名又は名称】株式会社モルテン
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】永尾 幸則
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 令
(72)【発明者】
【氏名】脇林 和幸
【審査官】
藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/099186(WO,A1)
【文献】
特開2004−300656(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/099185(WO,A1)
【文献】
特開2004−277961(JP,A)
【文献】
米国特許第05580049(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 39/00−41/12
D06N 3/00− 3/18
D06M 13/00−15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性を有する表皮層を備えることを特徴とするボールであって、
前記表皮層は、表面部と、前記表面部の周縁から下方に延在する周壁部と、前記表面部の少なくとも一部に貼着された吸水性外皮と、を含み、
前記吸水性外皮が更に前記周壁部にも貼着されており、
隣接する前記吸水性外皮同士は、互いに貼着又は縫合されていることを特徴とするボール。
【請求項2】
前記吸水性外皮が前記表面部の全面に貼着されていることを特徴とする請求項1に記載のボール。
【請求項3】
前記吸水性外皮がポリウレタン系樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボール。
【請求項4】
前記吸水性外皮が吸水性ポリマー又は親水性ポリマーによって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボール。
【請求項5】
前記吸水性外皮が多孔質に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボール。
【請求項6】
前記吸水性外皮が無底の凹部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のボール。
【請求項7】
前記表皮層が前記周壁部から中心に向かって延在する張出し部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のボール。
【請求項8】
前記表皮層が互いに複数個貼着された貼りボールであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボール。
【請求項9】
中空のチューブをさらに備え、前記表皮層が前記チューブの外層を構成することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のボール。
【請求項10】
前記チューブが、互いに溶着又は接着された複数の分割体から構成されることを特徴とする請求項9に記載のボール。
【請求項11】
さらに、前記チューブと前記表皮層との間に設けられた補強層を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール、特に球技用ボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドボール、バレーボール、ビーチバレーボール、バスケットボール、ラグビーボールなど、手を用いる競技用ボールの表皮材として、人工皮革を用いたボールが知られている(例えば、特許文献1参照)。これらの競技では、原則として素手をもって競技用ボールを扱うため、汗や雨などでボールの表面が濡れると滑ってしまい、正確なプレーができない状態になってしまう。
【0003】
このような状態への対応として、特許文献1では、手の汗の状態に関わらず良好なグリップ感を有しながら、重量やハンドリング性に変化の少ないボール用表皮材を提供することを課題として、繊維と高分子弾性体と撥水剤からなる基体層の表面に、高分子弾性体からなり撥水剤を含まない多孔質コート層が存在し、該コート層の表面が開口部を有するボール用表皮材を開示している。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、コート層が塗布して形成されることから、その製造工程において工数が掛かることや、長時間の使用による耐久性が低いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−240032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、製造工程において工数を掛けず、かつ、長時間の使用を行った場合でも耐久性があって、吸水性を容易に維持可能な競技用のボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の第1の観点は、ボールであって、吸水性を有する表皮層を備えることを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記表皮層が吸水性素材によって形成されている。
【0009】
(3)上記(2)の構成において、前記吸水性素材がポリウレタン系樹脂によって形成されている。
【0010】
(4)上記(2)の構成において、前記吸水性素材が吸水性ポリマー又は親水性ポリマーによって形成されている。
【0011】
(5)上記(2)の構成において、前記吸水性素材が多孔質に形成されている。
【0012】
(6)上記(2)から(5)のいずれか1つの構成において、前記吸水性素材が有底の凹部を有する。
【0013】
(7)上記(1)の構成において、前記表皮層が、表面部と、前記表面部の表面の少なくとも一部に貼着された吸水性外皮と、を含む。
【0014】
(8)上記(7)の構成において、前記吸水性外皮が前記表面部の全面に貼着されている。
【0015】
(9)上記(7)又は(8)の構成において、前記吸水性外皮がポリウレタン系樹脂によって形成されている。
【0016】
(10)上記(7)の構成において、前記吸水性外皮が吸水性ポリマー又は親水性ポリマーによって形成されている。
【0017】
(11)上記(7)の構成において、前記吸水性外皮が多孔質に形成されている。
【0018】
(12)上記(7)から(11)のいずれか1つの構成において、前記吸水性外皮が無底の凹部を有する。
【0019】
(13)上記(1)の構成において、前記表皮層が、表面部と、前記表面部の周縁から下方に延在する周壁部とを有する。
【0020】
(14)上記(13)の構成において、前記表皮層が前記周壁部から中心に向かって延在する張出し部を有する。
【0021】
(15)上記(1)の構成において、前記表皮層が互いに複数個貼着された貼りボールである。
【0022】
(16)上記(1)又は(15)の構成において、中空のチューブをさらに備え、前記表皮層が前記チューブの外層を構成する。
【0023】
(17)上記(16)の構成において、前記チューブが、互いに溶着又は接着された複数の分割体から構成される。
【0024】
(18)上記(16)又は(17)の構成において、さらに、前記チューブと前記表皮層との間に設けられた補強層を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、製造工程において工数を掛けず、かつ、長時間の使用を行った場合でも耐久性があって、吸水性を容易に維持可能な競技用のボールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係るボールの斜視図である。
【
図2】
図1において、表皮層が貼着して形成されている状態(貼りボール)を説明する図であって、(a)は表皮層が吸水性素材で形成されている場合を、(b)は表皮層の表面部の表面の一部に吸水性外皮が形成されている場合を、(c)は表皮層の表面部の表面の全部に吸水性外皮が形成されている場合を、それぞれ示している。
【
図3】
図2(a)において、表皮層が縫着して形成されている状態(縫いボール)を説明する図である。
【
図4】
図2(b)において、補強層及び中間層をさらに備えた場合を説明する図である。
【
図5】張出し部23を設けない場合を説明する図であって、(a)は中間層を備えない場合を説明する図であり、(b)は中間層を備える場合を説明する図である。
【
図6】
図1において、表皮層に有底の凹部が設けられた場合を示す図であって、(a)は表皮層の全体を、(b)は(a)の断面を示している。
【
図7】
図1において、チューブが分割体から構成される場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。以下では、ハンドボールを例として取り上げて説明するが、本実施形態の適用に当たってハンドボールに限られるものではなく、バレーボール、ビーチバレーボール、バスケットボール、ラグビーボールなど、手を用いる競技用のボールであればよい。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0028】
(ボールの全体構成)
ボール1は、
図1に示すように、中空のチューブ10と、チューブ10の外層を構成する表皮層20と、を備えている。以下、各別に説明する。
【0029】
(チューブ)
チューブ10は、圧搾空気が競技の規程に基づく所定の圧力によって封入される。チューブ10は、例えば、ブチルゴム又はラテックスゴム等の空気非透過性を有する弾性材料で構成されており、周知の構造のゴム製バルブ(図示せず)を有している。このバルブは、外面に露出しており、バルブを介してチューブ10内に圧縮空気が注入されるようになっているが、バルブの構造は公知のものを採用することができる。なお、
図1では、ハンドボール用のチューブ10として球体中空のものを図示しているが、ラグビーボールやアメリカンフットボールなどのような場合には、チューブ10は、楕円体中空とすればよい。なお、ここでは、チューブ10を備えるボール1について説明しているが、ボール1は、その用途(例えば、子供用の玩具など)によっては、チューブ10を設けずに表皮層20を互いに複数個貼着した構成としても差し支えない。
【0030】
(表皮層)
表皮層20は、チューブ10を直接的に又は補強層30等(後述)を介して間接的に覆うように構成されている。
図1では、表皮層20の一単位として、六角形の平面形状のものを図示している。ボール1をハンドボールとした場合、図示した六角形と、図示していない五角形の表皮層20を、それぞれ組み合わせてチューブ10を覆う態様とすることが多いが、もちろんその態様に限られることなく、他の形状としてもよい。
【0031】
表皮層20は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゴムからなる軟質素材を用いて、射出成形、プレス成形、真空成形、ブロー成形などの成形法により成形することができる。
図1では、表皮層20として、表面部21と、表面部21の周縁からチューブ10の側に延在する周壁部22と、周壁部22から中心に向かって延在する張出し部23とから構成された例を示している。なお、表面部21、周壁部22、張出し部23、チューブ10に囲われている空間は、空洞部27である。
【0032】
チューブ10と、表皮層20との関係を、
図2を用いてより詳しく説明する。
図2(a)は、表皮層20をチューブ10の表面に貼着した際の断面を示している。具体的には、周壁部22から中心に向かって折り曲げられている張出し部23がチューブ10の表面に貼着されている。隣接する表皮層20同士は、互いの周壁部22が貼着されている。この表皮層20は、前述したように、六角形又は五角形の平面形状に形成されているが、隣接する表皮層20同士は、平面形状にかかわらず、互いに貼着されている。
【0033】
このように、張出し部23を設けたので、表皮層20をチューブ10に貼着する面積を広く取ることができ、ボール1を貼りボールとするとき、貼着の強度を向上させることができる。隣接する表皮層20同士の周壁部22が貼着されている点は、前述のとおりである。
【0034】
(吸水性)
本実施形態に係るボール1は、汗や水などを吸水して、それを掴むプレーヤの手が滑らないようにすることにより、正確なプレーを補助し、実力が発揮できるようにするものである。この観点から、表皮層20には、次のような構成により、吸水性が付与されている。
【0035】
まず、吸水性に係る態様1として、
図2(a)に示すような構成とすることができる。この場合、表皮層20そのものが吸水性素材によって形成されることにより、吸水性が付与される。その素材としては、例えば、ポリウレタン系樹脂とすることが好ましい。ポリウレタン系樹脂を多孔質に構成すると、数秒程度で表皮層20の表面にある水分が吸収される。また、同様の観点から、素材を多孔質性の吸水性ポリマー又は親水性ポリマーによって構成しても差し支えない。
【0036】
次に、態様2として、
図2(b)に示すような構成とすることもできる。この場合、表皮層20の全面に吸水性外皮24が貼着されることにより、吸水性が付与される。吸水性外皮24としては、例えば、グリップテープ状に形成されたポリウレタン系樹脂を用いることができ、これを表皮層20の全面に貼着することにより構成することができる。この構成では、表皮層20を従来の素材、製造工程で構成したうえで、その全面を別体の吸水性外皮24で覆うことになる。なお、吸水性外皮24は、前述の素材と同様に、多孔質性の吸水性ポリマー又は親水性ポリマーによって構成しても差し支えない(以下の態様3から態様7においても同様である)。
【0037】
次に、態様3として、
図2(c)に示すような構成とすることもできる。この場合、表皮層20
の表面部21及び周壁部22に吸水性外皮24が貼着される。吸水性外皮24としては、第2実施形態と同様に、例えば、グリップテープ状に形成されたポリウレタン系樹脂を用いることができる。第3実施形態では、表皮層20の表面部21及び周壁部22が吸水性外皮24によって覆われ、かつ、周壁部22に対応する吸水性外皮24同士が貼着されることから、汗などの水分が表皮層20同士の隙間からチューブ10側への浸み込み難くなる。
【0038】
さらに、態様4として、
図3に示すような構成とすることもできる。上述した態様1から態様3では、表皮層20をチューブ10に貼着した、及び/又は表皮層20同士を貼着した、いわゆる貼りボールの態様で説明したが、態様4は、表皮層20を縫い合わせた、いわゆる縫いボールの態様としたものである。
図3には、
図2(b)に対応して表皮層20の全面を吸水性外皮24が覆うように構成した縫いボールの例を示している。ここでは、表皮層20が張出し部23を有していない場合を図示している。
【0039】
隣接する表皮層20のそれぞれの周壁部22及び吸水性外皮24は、内側に約90度折りこまれた状態で縫い糸25(約10000デニール)にて縫い合わされている。表皮層20の周壁部22の端面22a及び吸水性外皮24の端面24a、並びに表皮層20の表面部21の内面21aは、それぞれチューブ10に貼着されている。
【0040】
なお、表皮層20に吸水性を付与する態様は、このような縫いボールにも適用でき、縫いボールでは表皮層20と表面部21とを一体的に縫合するので接合強度が増す。これに対し、貼りボールは、縫い目26においてもボール全体が手で掴んだときに一様に撓むことから、手の汗を吸水する機能と相まって滑らない効果をより一層発揮することができる。
【0041】
(補強層)
ボール1は、態様5として
図4に示すように、上記で説明したチューブ10と表皮層20の間に、次のような層をさらに備えてもよい。例えば、ブチルゴム又はラテックスゴム等の弾性材料で構成されているチューブ10の外面を覆うように補強層30を設けてもよい。補強層30は、チューブ10の全体に略均一に巻き付けられた糸で構成されている。糸としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、綿素材ものが挙げられる。補強層30は、糸の代わりに、布等で構成することもできるし、糸と布を組み合わせて構成してもよい。
【0042】
(中間層)
さらに、表皮層20の周壁部22によって囲われている空洞部27に中間層40を設けてもよい。中間層40は、例えば発泡樹脂、不織布、ゴム、エラストマーなどの緩衝材で構成されており、相手チームが投げたボール1を掴んだ際のクッションとなるとともに、人がボール1を掴んだ際の感触が良くなるといった効果を奏する。また、クッション層となる中間層40のかたさを変えることで、人がボール1を掴んだ際の感触を調整できる。中間層40の厚みは、略0.5mm以上2.0mm以下に設定されている(ただし、製造上のばらつきにより、厚みが略0mmになったり、3.0mm程度に厚くなったりする場合もある)。なお、中間層40は、例えば、天然ゴムを発泡させたもの、合成ゴムを発泡させたもの、各種樹脂(例えばポリウレタン)を発泡させたものであってもよい。
【0043】
ところで、態様6及び態様7として、表皮層20は、張出し部23(
図2及び
図4参照)を設けない態様とすることもできる。
図5は、張出し部23を設けない場合を説明する図であって、
図5(a)は中間層40を備えない場合を説明する図であり、
図5(b)は中間層40を備える場合を説明する図である。
図5(a)に示す態様6は、態様2(
図2(b)参照)と比べて、表皮層20に張出し部23を設けない点で異なる。そして、表面部21、周壁部22、チューブ10に囲まれている空間は、空洞部27である。なお、表皮層20には吸水性外皮24が貼着されている。
また、
図5(b)に示す態様7は、
図4に示すような態様と比べて、表皮層20に張出し部23を設けない点で異なる。そして、表面部21、周壁部22、チューブ10に囲まれている空間には、中間層40が設けられている。なお、表皮層20には吸水性外皮24が貼着されている。
このように、表皮層20を、張出し部23を設けない態様とすることで、表皮層20を簡易に製造することができる。また、表皮層20を、張出し部23を設けない態様とすることで、張出し部23がある態様よりも表皮層20の剛性が低くなり、表面部21に人が触れた時の感触を軟らかくできる。なお、周壁部22の端面22aは、チューブ10に貼着されてもよいし、されていなくてもよい。
【0044】
(凹部)
表皮層20又は吸水性外皮24は、平面状に形成されていてもよいが、有底又は無底の凹部28を設けるようにしてもよい。凹部28を設けると、吸水性が促進されるとともに、凹部28に指先が引っ掛かることにより、ボール1を掴んだ際に滑ることをより一層抑制することができる。
【0045】
図6は、表皮層20に有底の凹部28を設けた場合の一例を示している。ここでは、表皮層20の表面部21に有底の凹部28を設けている。
図6(a)は表皮層20を外側からみた態様を、
図6(b)はその断面を拡大して示している。凹部28の設け方は図示されたものに限られない。
【0046】
(チューブの分割)
図1では、1つの気嚢から構成されたチューブ10を説明したが、チューブ10は、
図7に示すように、複数に分割された第1分割体11と第2分割体12を接着した態様のものとすることもできる。チューブ10を第1分割体11と第2分割体12で構成すると、強く、かつ、製造が容易な、内部にリブ構造13を有するボール1を提供することが可能となる。
【0047】
図7に示すように、第1分割体11と第2分割体12は、その内壁面にリブ構造13を有している。ここでは、リブ構造13として、凸部14が三角形を単位とする網目を構成する例を示している。このような構成とすることにより、チューブ10の表面に前述した補強層30を設けない場合であっても、全体で均一な硬さを発揮でき、競技の際における適切なリバウンド性も発揮できるボール1を提供することができる。
【0048】
ここでは、リブ構造13の凸部14として、切頂二十面体(表皮層20が、正六角形20枚、正五角形12枚)に対応して構成された例を示している。すなわち、リブ構造13の凸部14は、正六角形の表皮層20に対応する領域には三角形が6つ、正五角形の表皮層20に対応する領域には三角形が5つとなるように(正六角形の領域における三角形と、正五角形の領域における三角形とでは、その大きさは異なる)構成されており、このような網目状に構成するとバランスの良いボール1とすることができる。ただし、リブ構造13の態様は、ボール1として全体のバランスが取れる構造であれば、この形状に限られるものではない。例えば、凸部14を不連続な格子状に構成してもよいし、渦巻き状などに構成してもよい。
【0049】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
1…ボール
10…チューブ
11…第1分割体
12…第2分割体
13…リブ構造
14…凸部
20…表皮層
21…表面部
21a…内面(表面部21の)
22…周壁部
22a…端面(周壁部22の)
23…張出し部
24…吸水性外皮
23a…端面(吸水性外皮24の)
25…縫い糸
26…縫い目
27…空洞部
28…凹部
30…補強層
40…中間層