特許第6448894号(P6448894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許6448894カラーフィルタ基板、液晶パネル及び液晶表示装置
<>
  • 特許6448894-カラーフィルタ基板、液晶パネル及び液晶表示装置 図000002
  • 特許6448894-カラーフィルタ基板、液晶パネル及び液晶表示装置 図000003
  • 特許6448894-カラーフィルタ基板、液晶パネル及び液晶表示装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6448894
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】カラーフィルタ基板、液晶パネル及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
   G02F1/1343
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-164877(P2013-164877)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-38326(P2014-38326A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】201210285759.X
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 熙哲
【審査官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/101888(WO,A1)
【文献】 特開2011−164426(JP,A)
【文献】 特開平09−185038(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0075074(US,A1)
【文献】 米国特許第07298445(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第101943829(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343−1345,1/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルのためのカラーフィルタ基板であって、
前記液晶パネルがアレイ基板を備え、前記アレイ基板の前記カラーフィルタ基板に対向する側に交互に配置された第1の画素電極と第1の共通電極とが複数形成され、
前記カラーフィルタ基板が、
基板と、
前記アレイ基板に対向する前記基板の一方側に形成された複数組の電極構造と、を備え、各組の電極構造が第2の画素電極と、第2の共通電極と、を備え、電圧の印加によって前記第2の画素電極と前記第2の共通電極との間に水平電界を生じさせ、各組の電極構造の前記第2の画素電極と前記第2の共通電極とが、前記基板上の前記第1の画素電極または前記第1の共通電極の正投影の両側に対象に分布され、
前記カラーフィルタ基板の隣接する2組の電極構造において、前記第2の画素電極及び前記第2の共通電極の配置の順番が逆であることを特徴とする、カラーフィルタ基板。
【請求項2】
隣接する2組の電極構造において、前記第2の画素電極と前記第2の共通電極との間の距離が等しいことを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項3】
前記第2の画素電極及び前記第2の共通電極の電極幅が2〜3μmであり、
前記第2の画素電極と前記第2の共通電極との間の距離が2〜5μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項4】
アレイ基板と、カラーフィルタ基板と、アレイ基板とカラーフィルタ基板との間に形成された液晶層と、を備える液晶パネルであって、
前記アレイ基板の前記カラーフィルタ基板に対向する側に、交互に配置される第1の画素電極と第1の共通電極とが複数形成され、
前記カラーフィルタ基板の前記アレイ基板に対向する側に、複数組の電極構造が形成され、各組の電極構造が第2の画素電極と、第2の共通電極と、を備え、各組の電極構造における第2の画素電極及び第2の共通電極は、前記第1の画素電極又は前記第1の共通電極の前記カラーフィルタ基板における正投影の両側に対称に分布し、
前記カラーフィルタ基板における隣接する2組の電極構造において、前記第2の画素電極と前記第2の共通電極の配置の順番が逆であることを特徴とする、液晶パネル。
【請求項5】
前記電極構造における前記第2の画素電極と前記第2の共通電極との間の距離が、隣接する前記第1の画素電極と前記第1の共通電極との間の距離よりも短いことを特徴とする、請求項4に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、第2の共通電極の電極幅が2〜3μmであり、
前記電極構造における前記第2の画素電極と前記第2の共通電極との間の距離が2〜5μmであり、
隣接する前記第1の画素電極と前記第1の共通電極との間の距離が5〜10μmであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の液晶パネル。
【請求項7】
液晶表示装置であって、請求項4〜6の何れか1項に記載の液晶パネルを備えることを特徴とする、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示分野に関し、特にカラーフィルタ基板、液晶パネル及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶を駆動する電界方向によって、液晶表示装置は垂直電界型液晶表示装置と水平電界型液晶表示装置とに分けられている。垂直電界型液晶表示装置は主にツイストネマチック(TN)モードと垂直配向(VA)モードとを備え、水平電界型液晶表示装置は主に共通平面切換(IPS)モードと、境界電界切換(FFS)モードと、高級スーパー次元切換(ADS)モードとを備える。垂直電界型液晶表示装置と比べ、水平電界型液晶表示装置は、別途の光学補償膜がなくても広視野角が実現できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、水平電界型液晶表示装置について、その液晶層における電界分布は不均一で、電界に被覆されていない一部領域が存在し、光は該一部領域を透過できないため、液晶パネル全体の透過率は高くない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、カラーフィルタ基板、液晶パネル及び液晶表示装置を提供し、液晶パネルの透過率を向上させることである。
【0005】
上記目的を実現するために、本発明に提供される技術案は以下の通りである。
【0006】
本発明の第1の態様により、カラーフィルタ基板が提供され、該カラーフィルタ基板は、基板と、前記基板の一方側に形成された複数組の電極構造と、を備え、各組の電極構造は画素電極と、共通電極と、を備え、電圧の印加によって前記画素電極と前記共通電極との間に水平電界を生じさせる。
【0007】
上記液晶パネルにおいて、隣接する2組の電極構造における前記画素電極と前記共通電極の配置の順番は逆である。
【0008】
上記液晶パネルにおいて、隣接する2組の電極構造における前記画素電極と前記共通電極との間の距離が等しい。
【0009】
上記液晶パネルにおいて、
前記画素電極と前記共通電極の電極幅は2〜3μmであり、
前記画素電極と前記共通電極との間の距離は2〜5μmである。
【0010】
本発明の第2の態様により、液晶パネルのカラーフィルタ基板が提供され、前記液晶パネルのアレイ基板の前記カラーフィルタ基板に対向する側に、交互に配置される第1の画素電極と第1の共通電極とが複数形成され、前記カラーフィルタ基板は、基板と、前記基板の前記アレイ基板に対向する側に形成された複数組の電極構造と、を備え、各組の電極構造は第2の画素電極と、第2の共通電極と、を備え、各組の電極構造における第2の画素電極と第2の共通電極は、第1の画素電極又は第1の共通電極の前記基板における正投影の両側に対称に分布している。
【0011】
上記カラーフィルタ基板において、隣接する2組の電極構造における第2の画素電極と第2の共通電極の配置の順番は逆である。
【0012】
上記カラーフィルタ基板において、前記電極構造における第2の画素電極と第2の共通電極との間の距離は、隣接する第1の画素電極と第1の共通電極との間の距離よりも短い。
【0013】
上記カラーフィルタ基板において、前記第1の画素電極、第2の画素電極、第1の共通電極、第2の共通電極の電極幅は2〜3μmである。
【0014】
前記電極構造における第2の画素電極と第2の共通電極との間の距離は2〜5μmである。
【0015】
隣接する第1の画素電極と第1の共通電極との間の距離は5〜10μmである。
【0016】
本発明の第3の態様により、上記液晶パネルを備える液晶表示装置が提供された。
【0017】
以下、本発明の実施例の技術案をさらに明確に説明するために、実施例の図面を簡単に説明する。明らかなように、以下の図面は本発明の一部の実施例に関するものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例に係る液晶パネルの構造の概略図である。
図2】本発明の実施例に係る液晶パネルに電界が形成された場合の透過率分布の概略図である。
図3】従来技術の液晶パネルに電界が形成された場合の透過率分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例の目的、技術案及びメリットをさらに明確にするように、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。なお、下記の実施例は、本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。説明する本発明の実施例に基づき、当業者が創造性のある労働をする必要がない前提で得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に入る。
【0020】
別途に定義していない限り、ここで使われる技術用語又は科学用語の意味は、本発明の分野で一般的知識を持っている人に理解される通常の意味である。本出願の明細書及び特許請求の範囲に記載の「第1」、「第2」及びそれに類似する言葉は順番、数量又は重要性を表すものではなく、異なる構成部分を区分するためだけである。同様に、「1つ」又は「1」などの類似する言葉も数量に対する制限ではなく、少なくとも1つが存在することを表すものである。「備えられる」又は「含まれる」及びそれに類似する言葉の意味は、「備えられる」又は「含まれる」の後ろに記載された素子又は部材が「備えられる」又は「含まれる」の前に挙げられた素子又は部材及びそれに同等するものを含める意味であり、その他の素子又は部材は排除されていない。「接続」又は「連結」及びそれに類似する言葉は、物理的又は機械的な接続に限定されるわけではなく、直接か間接かにもかかわらず、電気的な接続であってもよい。「上」、「下」、「左」、「右」などは相対的な位置関係を表す用語に過ぎず、説明対象の絶対位置が変化したら、この相対的な位置関係も対応して変化する。
【0021】
図3に示すように、従来の水平電界型液晶パネルの構成によれば、その画素電極a及び共通電極bはアレイ基板1に形成され、カラーフィルタ基板2に電極構造が形成されていない。図3から分かるように、電圧を印加した後、画素電極aと共通電極bとの間に水平電界4が形成され、画素電極a及び共通電極bの上方領域に電界が形成されていない。よって、この上方領域の液晶分子は回転できず、光線はこの領域を通るときに位相遅延が発生せず、液晶パネルの上下偏光板により、この領域の光線は液晶パネルを透過できないため、液晶パネル全体の透過率が高くない。通常、この構成の液晶パネルの最大透過率は70%程度である。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の実施例は液晶パネルを提供し、アレイ基板に画素電極及び共通電極を形成すると共に、カラーフィルタ基板に画素電極及び共通電極を形成し、液晶層に主にアレイ基板における画素電極及び共通電極による電界が分布する他に、カラーフィルタ基板における画素電極及び共通電極による補助電界も分布し、この補助電界の分布により液晶層における水平電界が補償且つ強化され、液晶層中の均一な電界分布が形成できる。この構成の液晶パネルの透過率は最小でも70%以上であり、最大は90%程度に達することができる。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施例に係る液晶パネルは、アレイ基板1と、カラーフィルタ基板2と、アレイ基板1及びカラーフィルタ基板2の間に形成された液晶層(図示しない)とを備え、
アレイ基板1のカラーフィルタ基板2に対向する側に、交互に配置される第1の画素電極aと第1の共通電極bとが複数形成され、
カラーフィルタ基板2のアレイ基板1に対向する側に、複数組の電極構造3が形成され、各組の電極構造3は第2の画素電極cと、第2の共通電極dと、を備え、各組の電極構造3における2の画素電極cと第2の共通電極dとは、第1の画素電極a又は第1の共通電極bのカラーフィルタ基板2における正投影の両側に対称に分布している。
【0024】
上記液晶パネルにおいて、隣接する2組の電極構造3の第2の画素電極cと第2の共通電極dの配置の順番は逆であることが望ましい。例えば、第1組の電極構造3において、第2の画素電極cは第2の共通電極dの左側に位置し、第2組の電極構造3において、第2の画素電極cは第2の共通電極dの右側に位置する。このようにして、補助電界を第1の画素電極a及び第1の共通電極bの上方領域だけに分布させることができる。
【0025】
電極構造3における第2の画素電極cと第2の共通電極dとの間の距離yは、隣接する第1の画素電極aと第1の共通電極bの間との距離xよりも短いことが望ましい。
【0026】
例えば、第1の画素電極a、第2の画素電極c、第1の共通電極b、第2の共通電極dの電極幅は2〜3μmであり、電極構造3における第2の画素電極cと第2の共通電極dとの間の距離は2〜5μmであり、隣接する第1の画素電極aと第1の共通電極bとの間の距離は5〜10μmである。カラーフィルタ基板における第2の画素電極cと第2の共通電極dとによる補助電界はアレイ基板における第1の画素電極又は第1の共通電極の真上に位置し、アレイ基板の主水平電界を補助することができる。第1の共通電極a及び第2の共通電極cの電圧は一定であってよく、第1の画素電極b及び第2の画素電極dは表示されるグレー値により、例えば0〜20Vに調節される。
【0027】
本発明の実施例の上記液晶パネルによれば、図2に示すように、表示する場合、電圧を第1の画素電極a、第1の共通電極b、第2の画素電極c、第2の共通電極dに印加し、第1の画素電極aと第1の共通電極bとの間に主水平電界4が形成され、第2の画素電極cと第2の共通電極dとの間に補助水平電界5が形成され、補助水平電界5は第1の画素電極a及び第1の共通電極bの上方領域に形成される。このようにして、液晶層に均一な電界分布が形成され、この均一な電界分布は基本的に画素領域の液晶分子を全て回転させることができ、光線の液晶層を通るときの位相遅延値は増大するため、液晶パネルの透過率は向上した。
【0028】
図2図3とを対比することにより、本発明の実施例の有益な効果が分かる。図3において、第1の画素電極a及び第1の共通電極bの上方に電界分布がないため、透過率は低い。図2において、第1の画素電極a及び第2の共通電極bの上方に補助水平電界5が形成されているため、透過率は向上した。
【0029】
また、本発明の実施例は表示装置を更に提供し、この表示装置は上記実施例における液晶パネルを備える。表示装置は、液晶パネル、電子ペーパー、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、デジタルアルバム、携帯電話、タブレットなどの何れかの表示機能を有する製品又は部材であってよい。
【0030】
以上は本発明の代表的な実施形態だけであり、本発明の保護を制限するためのものではない。本発明の保護範囲は、添付の請求項により決まる。
【符号の説明】
【0031】
1 アレイ基板
2 カラーフィルタ基板
3 電極構造
4 主水平電界
5 補助水平電界
a 画素電極
b 共通電極
c 第2の画素電極
d 第2の共通電極
図1
図2
図3