(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォトレジストパターンを形成する段階が、フォトレジストパターンと同時に露光され現像される現像可能な底部反射防止層の上方に前記フォトレジスト組成物の層を被覆することを含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【背景技術】
【0002】
半導体製造業において、イオン注入は、望ましい導電率の不純物(またはドーパント)をシリコンウエハなどの半導体基板に導入するために従来使用されている。慣用される不純物としては、ホウ素(p型)、ヒ素(n型)およびリン(n型)が挙げられる。半導体に注入された場合、ドーパント原子は、アニーリングの後に電荷担体を作り出す。正孔はp型ドーパントに生成され、電子はn型ドーパントに生成され、それによって半導体材料の導電率の変更を可能にする。それによってこのプロセスはMOSFETなどの電子デバイスに望ましい特性を形成し付与するために使用される。
【0003】
イオン注入プロセスは、一般に気体または固体形態の供給源からのイオン化された形態のドーパントを含有するイオンビームの生成を伴い、それは半導体基板表面に向けられる。基板の予め定義された領域に不純物原子を選択的に導入するために、フォトレジストマスクが、一般に、イオン注入の前に基板表面の上方に形成される。マスクは、基板をフォトレジスト層で被覆することにより形成され、その後それはパターン化されたフォトマスクを通して活性化放射線に露光され、現像されてレジストパターンを形成する。レジストパターンには、下にある基板を露出する開口部が含まれ、該開口部は注入されるべき半導体基板の領域に相当し、レジストマスクの下にある基板の領域は注入から保護される。注入の後、レジストマスクが基板から剥離され、基板がアニールされる。
【0004】
フォトリソグラフィ技術がその解像限界に近づくにつれて、基板表面上の微細な形状の印刷が課題である。現世代の半導体デバイスにおいて求められる極めて微細な形状の結果として、イオン注入プロセスの小さな変化でさえも、形成されたデバイスの電気的性質に不利な影響を及ぼし得る。イオン注入プロセスに有害な一つの課題は、注入マスクのパターン化の後に注入されるべき基板領域上のフォトレジスト残渣(スカム)の存在である。そのようなレジストスカムの存在は、デバイス収量に大幅に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
米国特許出願公開第2011/10174774A1号は、パターン化されたフォトレジストをデスカミングする方法を開示する。この方法には、パターン化されたフォトレジストによって覆われた、エッチングされるべき材料層を準備する段階、窒素プラズマを用いてデスカミングプロセスを実施してパターン化されたフォトレジストのエッジをトリミングする段階、およびマスクとしてパターン化されたフォトレジストをデスカミングすることを用いて材料層をエッチングする段階が含まれる。この文書に記載されるものなどのプラズマデスカミングプロセスの使用は、例えば、プラズマエッチングプロセスの複雑さおよび下にある表面へのプラズマに誘導される損傷のために、イオン注入マスクを用いる使用に望ましくない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の方法において有用なフォトレジストデスカミング組成物には、マトリックスポリマー、遊離酸、および溶媒が含まれ、さらに、随意のさらなる成分が含まれ得る。フォトレジスト注入マスクを有する半導体基板の上方に被覆された場合、デスカミング組成物は、イオン注入される前の基板の表面のスカムの存在を有利に最小にするかまたは除去することができる。その結果、イオン注入ドーパントプロファイルは、不利な影響を受けることなく、望ましい電気的性質を有するデバイスの形成を可能にする。
【0012】
マトリックスポリマーは、組成物がフォトレジストパターンの上方に望ましい厚さを有する層の形態で被覆されることを可能にする。このことは、フォトレジストパターン化辞表面のスカムと相互作用するために十分な含有量の酸の存在を確保するのに役立つことになる。マトリックスポリマーは、このプロセスで使用されるデスカミング組成物リンス剤に良好な溶解度を有するべきである。例えば、マトリックスポリマーは、水性アルカリ性リンス剤、好ましくは水酸化第四アンモニウム水溶液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液などに、または水に可溶性であり得る。デスカミング材料から生じる残渣欠陥を最小化するために、デスカミング組成物の乾燥層の溶解速度は、フォトレジストパターンのデスカミング組成物リンス剤への溶解速度よりも大きくなくてはならない。マトリックスポリマーは、一般にリンス剤で100Å/秒またはそれ以上、好ましくは1000Å/秒またはそれ以上の溶解速度を示す。マトリックスポリマーは、デスカミング組成物の溶媒に可溶性である。マトリックスポリマーは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリビニルアセタール、ポリ(メタ)アクリル酸およびそれらの組合せから選択され得る。好ましくは、ポリマーは、−COOH、−SO
3H、SiOH、ヒドロキシルスチレン、ヒドロキシルナフタレン、スルホンアミド、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、マラミド(malamide)、アリルアミン、ピロリドンおよびそれらの組合せから選択される1またはそれ以上の官能基を含有する。
【0013】
デスカミング組成物中のマトリックスポリマーの含有量は、例えば、層の目標厚さによって決まり、より高いポリマー含有量はより厚い層に使用される。マトリックスポリマーは、一般にデスカミング組成物中にデスカミング組成物の全固形分に基づいて、80〜99重量%、より一般に90〜99重量%の量で存在する。ポリマーの重量平均分子量は、一般に400,000未満、好ましくは2000〜50,000、より好ましくは3000〜10,000である。
【0014】
デスカミング組成物において有用なポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、あるいは、複数の別個の繰り返し単位、例えば、2、3または4個の別個の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。デスカミング組成物には、1またはそれ以上のポリマーが含まれる。デスカミング組成物中での使用に適したポリマーおよびモノマーは、市販されており、かつ/または当業者により容易に作成され得る。
【0015】
デスカミング組成物には、1またはそれ以上の遊離酸がさらに含まれる。脱保護反応に基づくレジストから形成されるフォトレジストスカムの場合、遊離酸は熱とともにスカム中の酸不安定基の結合を切断することができる。適した酸には、芳香族酸と非芳香族酸の両方が含まれる。好ましくは、酸は、スルホン酸などの強酸である。適した非芳香族酸は、少なくとも1つのフッ素置換基を該酸性基のα位に有することができる。
デスカミング組成物での使用に好ましい酸としては、脂肪族および芳香族構造が挙げられる。芳香族酸は、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、チオフェンまたはフラン基を含む。適した酸としては、次の式(I)〜(VII)の酸が挙げられる:
【化1】
上式で:R
0は線状、所望により例えば、フッ素原子またはヒドロキシ基で置換されている、1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜15個の炭素原子を有する分枝状または環状アルキル基であり;かつ、Aは、一重結合、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレタン基、尿素基、所望により例えばフッ素原子またはヒドロキシ基で置換されているアルキレン基、またはそれらの組合せである;
【化2】
上式で:R
1は独立に、置換もしくは非置換C1−C20アルキル基、置換もしくは非置換C5−C20アリール基またはそれらの組合せを表し、所望によりカルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換もしくは非置換アルキレン基、またはそれらの組合せから選択される1またはそれ以上の基を含有し;Z
1は独立に、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C5アルコキシ、ホルミルおよびスルホン酸から選択される基を表し、;かつ、aおよびbは独立に、0〜5の整数であり;a+bは、5以下である;
【化3】
上式で:R
2およびR
3は各々独立に、置換もしくは非置換C1−C20アルキル基、置換もしくは非置換C5−C16アリール基またはそれらの組合せを表し、所望によりカルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換もしくは非置換アルキレン基、またはそれらの組合せから選択される1またはそれ以上の基を含有し;Z
2およびZ
3は、各々独立に、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C5アルコキシ、ホルミルおよびスルホン酸から選択される基を表し、;cおよびdは、独立に、0〜4の整数であり;c+dは、4以下であり;eおよびfは、独立に、0〜3の整数であり;かつ、e+fは、3以下である;
【化4】
上式で:R
4、R
5およびR
6は各々独立に、置換もしくは非置換C1−C20アルキル基、置換もしくは非置換C5−C12アリール基またはそれらの組合せを表し、所望によりカルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換もしくは非置換アルキレン基、またはそれらの組合せから選択される1またはそれ以上の基を含有し;Z
4、Z
5およびZ
6は、各々独立に、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C5アルコキシ、ホルミルおよびスルホン酸から選択される基を表し、;gおよびhは、独立に、0〜4の整数であり;g+hは、4以下であり;iおよびjは、独立に、0〜2の整数であり;i+jは、2以下であり;kおよびlは、独立に、0〜3の整数であり;かつ、k+lは、3以下である;
【化5】
上式で:R
4、R
5およびR
6は各々独立に、置換もしくは非置換C1−C20アルキル基、置換もしくは非置換C5−C12アリール基またはそれらの組合せを表し、所望によりカルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換もしくは非置換アルキレン基、またはそれらの組合せから選択される1またはそれ以上の基を含有し;Z
4、Z
5およびZ
6は、各々独立に、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C5アルコキシ、ホルミルおよびスルホン酸から選択される基を表し、;gおよびhは、独立に、0〜4の整数であり;g+hは、4以下であり;iおよびjは、独立に、0〜1の整数であり;i+jは、1以下であり;kおよびlは、独立に、0〜4の整数であり;かつ、k+lは、4以下である;
【化6】
上式で:R
7およびR
8は各々独立に、置換もしくは非置換C1−C20アルキル基、置換もしくは非置換C5−C14アリール基またはそれらの組合せを表し、所望によりカルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換もしくは非置換アルキレン基、またはそれらの組合せから選択される1またはそれ以上の基を含有し;Z
7およびZ
8は、各々独立に、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C5アルコキシ、ホルミルおよびスルホン酸から選択される基を表し、;mおよびnは、独立に、0〜5の整数であり;m+nは、5以下であり;oおよびpは、独立に、0〜4の整数であり;かつ、o+pは、4以下である;および
【化7】
上式で:Xは、OまたはSであり;R
9は、独立に、置換もしくは非置換C1−C20アルキル基、置換もしくは非置換C5−C20アリール基またはそれらの組合せを表し、所望によりカルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換もしくは非置換アルキレン基、またはそれらの組合せから選択される1またはそれ以上の基を含有し;Z
9は、独立に、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−C5アルコキシ、ホルミルおよびスルホン酸から選択される基を表し、;qおよびrは、独立に、0〜3の整数であり;かつ、q+rは、3以下である。前述の構造に関して、R
1〜R
9基が所望によりそれらのそれぞれの会合する環とともに縮合構造を形成することができることは明らかであるはずである。
【0016】
適した酸としては、例えば:CF
3SO
3H、C
4F
9SO
3H、CH
3CH
2CF
2CF
2SO
3H、HOCH
2CH
2CF
2CF
2SO
3H、
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【化8-5】
が挙げられる。
【0017】
デスカミング組成物中の酸の含有量は、一般に、デスカミング組成物の全固形分に基づいて0.1〜20重量%である。
【0018】
デスカミング組成物には、溶媒または溶媒混合物がさらに含まれる。デスカミング組成物を配合しキャストするために適した溶媒材料は、デスカミング組成物の非溶媒成分に関して非常に良好な溶解度特性を示すが、相互混合を最小化するために下にあるフォトレジストパターンをあまり溶解しない。溶媒は、一般に、水、水溶液、有機溶媒およびそれらの混合物から選択される。デスカミング組成物に適した有機溶媒としては、例えば:アルコール類、例えば線状、分枝状または環状のC
4−C
9一価アルコールなど、例えば1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノールおよび4−オクタノールなど;2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールおよび2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−ヘキサノール、およびC
5−C
9フッ素化ジオール類、例えば2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールおよび2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオールなど;アルキルエステル類、例えば酢酸アルキル、例えば酢酸n−ブチルなど、プロピオン酸塩類、例えばプロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸n−ペンチル、プロピオン酸n−ヘキシルおよびプロピオン酸n−ヘプチルなど、および酪酸アルキル類、例えば酪酸n−ブチル、酪酸イソブチルおよびイソ酪酸イソブチルなど;ケトン類、例えば2,5−ジメチル−4−ヘキサノンおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなど;脂肪族炭化水素類、例えばn−ヘプタン、n−ノナン、n−オクタン、n−デカン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、3,3−ジメチルヘキサンおよび2,3,4−トリメチルペンタンなど、ならびにフッ素化脂肪族炭化水素類、例えばパーフルオロヘプタンなど;エーテル類、例えばイソペンチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルなど;ならびにこれらの溶媒の1またはそれ以上を含有する混合物が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、アルコール、脂肪族炭化水素およびエーテルが好ましい。デスカミング組成物の溶媒成分は、一般に、デスカミング組成物に基づいて、90〜99重量%の量で存在する。
【0019】
デスカミング組成物には、随意の添加剤が含まれてよく、好ましくは架橋剤を含まない。そのような材料は結果としてレジストパターンの寸法の増加をもたらす可能性があり、スカム除去に干渉し得るためである。随意の添加剤として、デスカミング組成物には、基板上のスカムと反応し、該スカムを有機溶媒リンス剤に可溶性にする成分が含まれ得る。この随意の成分は、好ましくは、−OH、−NH、−SH、ケトン、アルデヒド、−SiX(式中、Xは、ハロゲン、ビニルエーテルおよびそれらの組合せである)から選択される官能基を含有する。特定の理論に縛られることを望むものではないが、この成分は、スカムの中に拡散して、スカムのカルボン酸基と反応すると思われる。この反応の結果、表面の極性変化がもたらされ、表面を有機溶媒に可溶性にする。この成分は、例えば、フォトレジストパターンが、パターンが酸不安定基を含むフォトレジストの非露光部分からなるネガ型現像(NTD)により形成される場合に有用であり得る。そのような成分は、使用される場合、一般にデスカミング組成物の全固形分に基づいて0.1〜10重量%の量で存在する。
【0020】
デスカミング組成物には、界面活性剤がさらに含まれ得る。典型的な界面活性剤には、両親媒性の性質を示す界面活性剤が含まれる、つまり、それらは同時に親水性であり、疎水性であり得る。両親媒性の界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する1または複数個の親水性の頭基、および親有機性であり水に反発する長い疎水性の尾を有する。適した界面活性剤は、イオン性(すなわち陰イオン性、陽イオン性)、または非イオン性であり得る。界面活性剤のさらなる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、およびフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。適した非イオン性界面活性剤としては、限定されるものではないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシレート、例えばTRITON(登録商標)X−114、X−100、X−45、X−15などおよび分枝二級アルコールエトキシレート、例えばTERGITOL(商標)TMN−6(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan USA)などが挙げられる。なおさらなる例となる界面活性剤としては、アルコール(一級および二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、またはManufacturers Confectioners Publishing Co.of Glen Rock,N.J.により出版されたMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000に開示されるその他の界面活性剤が挙げられる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も適切であり得る。そのような界面活性剤は、Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PAから商業的に入手可能であり、SURFYNOL(登録商標)およびDYNOL(登録商標)の商標名で販売されている。さらなる適した界面活性剤としては、その他のポリマー化合物、例えばトリ−ブロックEO−PO−EOコ−ポリマー、プルロニック(登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101およびP123(BASF,Inc.)などが挙げられる。そのような界面活性剤およびその他の随意の添加剤は、使用される場合、一般に、デスカミング組成物の全固形分に基づいて0.01〜10重量%などの少量で組成物中に存在する。
【0021】
デスカミング組成物は、公知の手順に従って調製され得る。例えば、組成物は、組成物の固体成分を溶媒成分に溶解することにより調製され得る。組成物の所望の総固体含有量は、所望の最終の層厚さなどの要因によって決まる。好ましくは、デスカミング組成物の固体含有量は、組成物の総重量に基づいて、1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
【0022】
本発明に従うプロセスを、次に、本明細書に記載されるフォトレジストデスカミング組成物を用いて、半導体デバイスにおいてイオン注入領域を形成するための例となるプロセスフローを示す
図1A〜Fを参照して説明する。
図1Aは、半導体基板100を断面図で表す。基板は、半導体などの材料、例えばシリコンまたは化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅および同類のものなどでできていてよい。一般に、基板は、半導体ウエハ、例えば単結晶シリコンまたは化合物半導体ウエハなどであり、1またはそれ以上の層およびその表面に形成されたパターン化された特徴を有し得る。基板の層形成部分には、例えば、1またはそれ以上の導電層、例えばアルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、合金、そのような金属の窒化物または珪化物、ドープされたアモルファスシリコンまたはドープされたポリシリコンの層など、1またはそれ以上の誘電層、例えば酸化シリコン、窒化ケイ素、シリコンオキシ窒化物、または金属酸化物の層など、半導体層、例えば単結晶シリコンなど、およびそれらの組合せが含まれてよい。層は、様々な技法、例えば、化学気相成長(CVD)、例えばプラズマCVD、低圧CVDまたはエピタキシャル成長など、物理的蒸着(PVD)、例えばスパッタリングまたは蒸発など、あるいは電気めっきにより形成され得る。
【0023】
イオン注入領域は、一般に半導体製造プロセスによって何回も形成される。イオン注入される領域は、ベース基板材料自体にも存在してよいし、ベース基板材料の上方に形成された層にも存在してよい。典型的なイオン注入領域としては、例えば、ウェル、ソース/ドレイン領域、トランジスタチャネル領域、低ドープドレイン(LDD)、素子分離領域、コンタクトホール注入領域および同類のものが挙げられる。
【0024】
酸不安定基を有するマトリックスポリマーを含む化学増幅型感光性組成物から形成されるフォトレジスト層102は、基板の上方に被覆される。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティングまたはその他の従来のコーティング技法により基板に塗布され得る。これらの中でスピンコーティングが典型的である。スピンコーティングには、塗料溶液の固体含有量は、利用する具体的な塗布装置、溶液の粘度、塗布ツールの速度ならびにスピニングに許容される量および時間に基づいて、望ましい膜厚を得るために調節され得る。フォトレジスト層102の典型的な厚さは、約500〜3000Åである。
【0025】
次に、フォトレジスト層102は、層中の溶媒含有量を最小化するためにソフトベークされ、それにより不粘着性の塗膜を形成し、層の基板への接着を改善する。ソフトベークは、ホットレートの上で、またはオーブン中で実施されることができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、フォトレジストの特定の材料および厚さによって決まる。典型的なソフトベークは、約90〜150℃の温度、および約30〜90秒の時間で実施される。
【0026】
フォトレジスト露光中の入射放射線の反射を低減するために、基板の上方の、コーティングされるフォトレジスト層の上または下に反射防止コーティングを配置することが望ましいことがあり得る。そのようなコーティングは、焦点深度、露光寛容度、線幅均一性およびCD制御を改善することができる。イオン注入プロセスの完全性は、大部分が注入される表面の質によって決まるので、無機底部反射防止コーティング(BARC)材料が、フォトレジスト現像された後にプラズマエッチングされる場合に、注入される表面には起こり得る損傷がないことが好ましい。したがって、反射防止材料が望ましい場合にはフォトレジストパターンの下に有機の現像可能なBARC(DBARC)層を、かつ/またはフォトレジストパターンの上方に上部反射防止コーティング(TARC)層を使用することが好ましい。これらの材料は、イオン注入されるべき基板の領域を、エッチング中にプラズマエッチングにより誘導される損傷に曝すことなく、それらの材料が基板から除去され得るという点で有利である。そのような材料は、フォトレジスト層を現像する時点で基板から除去され得る。一部のDBARC材料は感光性であるので、フォトレジスト層の下にあるそのようなDBARC層は、同じ現像液を用いてフォトレジスト層と同時に露光され、パターン化され得る。適したDBARC材料および使用方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許出願公開第2011/0003250A1号および米国特許第7824837B2号および同第8088548B2号に記載されている。現像液可溶性であり、そのためレジスト現像の時点で除去可能な適したTARC材料もまた、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5750312号に記載されている。
【0027】
フォトレジスト層102を液浸リソグラフィーツール、例えば193nm液浸スキャナで露光させる場合、液浸トップコート層をフォトレジスト層の上方に配置すればよい。そのようなトップコート層の使用は、反射防止特性を提供するだけでなく、浸漬液と下にあるフォトレジスト層との間のバリアとして作用することができる。このようにして、フォトレジスト組成物の成分の浸漬液への浸出(おそらく、結果として光学レンズの汚染と、浸漬液の有効屈折率および透過特性の変化をもたらす)を、最小化するかまたは回避することができる。適したトップコート組成物およびそれらの使用は、例えば、米国特許第8012666B2号および同第8241832B2号に記載されているように当技術分野で公知である。
【0028】
フォトレジスト層102は、次に第1のフォトマスク106を通して活性化放射線104に露光されて、露光領域と非露光領域との間の溶解度の差を作り出す。本明細書において、フォトレジスト組成物を組成物に対して活性化している放射線に露光することとは、その放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成することができることを示す。フォトマスクは、光学的に透明領域と光学的に不透明な領域108、110を有し、それぞれ、活性化放射線により露光される、および露光されないレジスト層の領域に相当する。活性化放射線は、例えば、400nm未満、300nm未満または200nm未満、例えば193nmなどの露光波長もしくはEUV波長を有してよく、または、電子線照射の形をとってもよい。露光エネルギーは、一般に、約10〜80mJ/cm
2であり、露光ツールおよび感光性組成物の成分に依存する。
【0029】
フォトレジスト層102の露光の後、露光後ベーク(PEB)を実施する。PEBは、例えば、ホットレートの上で、またはオーブン中で実施され得る。PEBのための条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物および層厚さによって決まる。PEBは、一般に、約80〜150℃の温度および約30〜90秒の時間で実施される。極性が切り替わった領域と切り替わっていない領域(それぞれ、露光領域および非露光領域に相当)との間の境界によって定義される潜像が、それによって形成される。レジストパターンの形状特性は限定されず、注入されるおよび注入されない基板の領域の形状に対応する。
【0030】
次に、フォトレジスト層102を現像して層の露光領域を除去して非露光領域を残し、
図1Bに示されるような複数の特徴を有するレジストパターン102’を形成する。図示されるプロセスは、ポジ型現像(PTD)法である。PTD現像液は、一般に、水性アルカリ現像剤、例えば、第四級水酸化アンモニウム溶液、例えば、0.26規定度(N)(2.38重量%)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などのテトラ−アルキル水酸化アンモニウム溶液である。あるいは、ネガ型現像は、適した有機溶剤現像剤の使用により実施することができる。NTDは、結果としてフォトレジスト層の非露光領域の除去をもたらし、それらの領域の極性反転によって露光領域を後に残す。適したNTD現像液としては、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、およびそれらの混合物から選択される溶媒が挙げられる。その他の適した溶媒としては、フォトレジスト組成物中に使用される溶媒が挙げられる。現像液は、好ましくは2−ヘプタノンまたは酢酸n−ブチルなどの酢酸ブチルである。
【0031】
フォトレジスト層の現像は、レジストパターン102’のエッジに基板表面のレジストスカム111の存在を生じさせる可能性がある。レジストスカム111は、イオン注入中のドーパントプロファイルとして望ましくない上、形成されたデバイスの結果として得られる電気的性質は、目標値から変更されるようになり得る。
【0032】
本明細書に記載されるデスカミング組成物の層112は、
図1Cに示されるように、フォトレジストパターン102’の上方に形成される。デスカミング組成物は、一般に、スピンコーティングにより基板に塗布される。デスカミング組成物の固体含有量は、用いる具体的な塗布装置、溶液の粘度、塗布ツールの速度およびスピニングに許容される時間量に基づいて、望ましい膜厚を得るよう調節され得る。デスカミング組成物層112の典型的な厚さは、200〜1500Åである。
【0033】
図1Dに示されるように、基板は、次に、デスカミング組成物層112中の溶媒を除去するためにベークされ、遊離酸をレジストスカム111の中に広げ、レジストスカムにおける極性変化反応を可能にする。ベークはホットプレート上で、またはオーブン114中で実施され得、ホットプレートが典型的である。適したベーク温度は、50℃よりも高い、例えば、70℃よりも高い、90℃よりも高い、120℃よりも高いまたは150℃よりも高く、70〜160℃の温度および約30〜90秒の時間が典型的である。一回のベーク工程が典型的であるが、複数工程のベークを使用してもよい。
【0034】
次に、基板をリンス剤と接触させて残留するデスカミング組成物およびレジストスカムを基板から除去する。リンス剤は、一般に水、アルカリ水溶液、または有機溶媒または溶媒混合物であり、それには、上記の界面活性剤などのさらなる随意の成分が含まれ得る。適したアルカリ水溶液としては、例えば、第四級水酸化アンモニウム溶液、例えば、0.26規定度(N)(2.38重量%)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などのテトラ−アルキル水酸化アンモニウム溶液が挙げられる。適した有機溶媒としては、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、およびそれらの混合物から選択される溶媒が挙げられる。適したケトン溶媒としては、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。適したエステル溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチル−3−エトキシプロピオン酸塩、3−メトキシ酢酸ブチル、3−メチル−3−メトキシ酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチルおよび乳酸プロピルが挙げられる。適したエーテル溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランおよびグリコールエーテル溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびメトキシメチルブタノールが挙げられる。適したアミド溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。適した炭化水素溶媒としては、例えば、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。加えて、これらの溶媒の混合物、あるいは、上に記載される溶媒以外の溶媒と混合されたかまたは水と混合された、列挙される溶媒の1またはそれ以上を使用することができる。その他の適した溶媒としては、フォトレジスト組成物で使用される溶媒が挙げられる。
【0035】
図1Eに示されるように、スカムのない表面を有する基板100は、イオンビーム118を生成し基板100に接触させるイオン注入ツールに導入される。不純物は、一般にn型(例えば、リンまたはヒ素)またはp型(例えば、ホウ素)であり、供給源、例えば、ホスフィン、アルシンもしくは三フッ化ホウ素などのガス源、または固体ヒ素もしくはリンなどの固体源から生成されたイオン化種としてイオンビーム中に存在する。イオンビームからの不純物原子は、選択的に基板100に導入されて、フォトレジストパターン102’によって覆われていない基板領域に、ドープされた領域120を形成する。
【0036】
イオン注入プロセスに続いて、フォトレジストパターン102’は基板の表面から剥離される。フォトレジストパターン102’を基板から剥離するのに適した技法および化学は、当技術分野で公知である。レジストパターンは、例えば、酸素プラズマにより除去され得、どんな残りの残渣も標準的な水性の洗浄化学、例えば、RCA(SC1+SC2)湿式化学洗浄で除去される。基板表面からのレジストパターンの除去の後、基板を一般に熱アニーリング処理に供して、例えば、注入プロセス中にもたらされた基板の損傷を修復し、かつ、ドーパント原子を活性化させる。アニーリング技法は当技術分野で公知であり、それには、一定時間高温下でウエハを加熱して、注入プロセスによってもたらされた基板の損傷を修復することが含まれる。アニーリングは、一般に、急速熱処理装置または拡散炉において不活性ガス雰囲気下で実施される。アニーリング条件は、例えば、ドーパント材料、ドーパントが注入される材料および所望のドーパントプロファイルによって決まる。結果として得られる構造は、
図1Fに示される。
【0037】
以下の限定されない例は本発明を説明する。
【実施例】
【0038】
フォトレジストデスカミング組成物
実施例1:PDC−1
2.167gのメタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸の共重合体(重量比77/23)、0.033gのp−トルエンスルホン酸一水和物、および97.8gの4−メチル−2−ペンタノールを、すべての成分が溶解するまで一緒に混合した。得られる混合物を0.2μmナイロンフィルタで濾過した。
【0039】
実施例2:PDC−2
2.143gのメタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸の共重合体(重量比77/23)、0.057gのドデシルベンゼンスルホン酸、および97.8gの4−メチル−2−ペンタノールを、すべての成分が溶解するまで一緒に混合した。得られる混合物を0.2μmナイロンフィルタで濾過した。
【0040】
実施例3:PDC−3
2.160gのメタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸の共重合体(重量比77/23)、0.04gのカンファスルホン酸、および97.8gの4−メチル−2−ペンタノールを、すべての成分が溶解するまで一緒に混合した。得られる混合物を0.2μmナイロンフィルタで濾過した。
【0041】
実施例4:PDC−4
2.148gのメタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸の共重合体(重量比77/23)、0.052gのパーフルオロブタンスルホン酸、および97.8gの4−メチル−2−ペンタノールを、すべての成分が溶解するまで一緒に混合した。得られる混合物を0.2μmナイロンフィルタで濾過した。
【0042】
実施例5:PDC−5
2.162gのメタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸の共重合体(重量比77/23)、0.033gのp−トルエンスルホン酸(Sulfonic sulfonic acid)、0.006gのPF 656界面活性剤および97.8gの4−メチル−2−ペンタノールを、すべての成分が溶解するまで一緒に混合した。得られる混合物を0.2μmナイロンフィルタで濾過した。
【0043】
実施例6:PDC−6
2.162gのメタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸の共重合体(重量比77/23)、0.033gのp−トルエンスルホン酸(Sulfonic sulfonic acid)、0.006gのサーフィノール420界面活性剤を、すべての成分が溶解するまで一緒に混合した。得られる混合物を0.2μmナイロンフィルタで濾過した。
【0044】
リソグラフィ処理
実施例7(比較用)
EPIC 2096 ArFフォトレジスト(Rohm and Haas Electronic Materials LLC,Marlborough,MA)を、TEL Clean Track Lithius i+(Tel Clean Track)で、有機底部反射防止コーティング(BARC)二重層(AR(商標)137 20nm/AR(商標)26N 76nm)を被覆した12インチシリコンウエハの上方でスピンコーティングし、ウエハを120℃で60秒間ソフトベーク(SB)した。30nm厚さのOC(商標)2000トップコート層(Rohm and Haas Electronic Materials)を、TEL Clean Trackでフォトレジスト層の上方に適用し、90℃で60秒間ベークした。被覆されたウエハを、NA=1.35、x偏光のDipole 35Y照明(0.9/0.76シグマ)でASML ArF 1900iで露光し、その後95℃で60秒間露光後ベーク(PEB)した。被覆されたウエハを、Tel Lithus GP ノズルによって0.26N(規定)TMAH水溶液で12秒間処理して、140nm 1:1のトレンチを形成した。140nm トレンチに対する限界寸法(CD)測定を、Hitachi CG 4000 SEMで行い、20mJ/cm
2でSEMによって生成した画像を用いてスカムの存在および相対量を視覚的に検査した。観察したスカムの相対量を、次の通り、最小から最大までのスケールに分類した:スカムなし(視覚によって検出されるスカムの不在)<少量のスカム<中程度のスカム<大量のスカム。大量のスカムの存在は、形成されたレジストパターン化ウエハに観察された。
【0045】
実施例8〜13
実施例1〜6の各々のデスカミング組成物の600Åの厚層を、TEL Clean Trackを用いて、実施例8で形成されたそれぞれのパターン化ウエハの上方にスピンコーティングした。ウエハを70℃で60秒間ベークし、Clean Trackで2.38%TMAH現像液リンス剤中で30秒間すすぎ、水ですすいだ。140nmトレンチの限界寸法(CD)測定をHitachi CG 4000 SEMで行い、スカムの存在および量を20mJ/cm
2で調べた。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
イオン注入
実施例9
実施例9〜15のウエハを、BF
3源を用いて、B
11(10
14原子/cm
2、40keV)でイオン注入する。