特許第6448907号(P6448907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6448907オーバーヘッド式運搬格納装置、及び自動格納・取出し式の資材収容庫
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6448907
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】オーバーヘッド式運搬格納装置、及び自動格納・取出し式の資材収容庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
   B65G1/04 551A
   B65G1/04 551D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-23022(P2014-23022)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-147673(P2015-147673A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年11月4日
【審判番号】不服2017-15388(P2017-15388/J1)
【審判請求日】2017年10月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314001450
【氏名又は名称】向本 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100076484
【弁理士】
【氏名又は名称】戸川 公二
(72)【発明者】
【氏名】向本 修平
【合議体】
【審判長】 大町 真義
【審判官】 尾崎 和寛
【審判官】 内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−129906(JP,A)
【文献】 特開平5−213414(JP,A)
【文献】 実開昭59−190707(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定棚(C)(C)…が奥行方向に間隔を空けて3台以上並設された倉庫内において、各固定棚(C)(C)…に資材(R)を出し入れするために使用されるオーバーヘッド式運搬格納装置であって、
前記複数並んだ固定棚(C)(C)…の上方に、固定棚(C)の幅方向に沿って平行に設けられた複数の走行レール(1)(1)と;
これらの走行レール(1)(1)に懸架した状態で装着され、かつ、両サイドに走行レール(1)(1)上を移動させるための移動手段を備えた親台車(2)と;
この親台車(2)上に装着され、かつ、親台車(2)上を横行させるための移動手段を備えた子台車(3)と;
この子台車(3)に鉛直方向に付設された棒状の第一昇降ガイド(4)と;
前記親台車(2)における固定棚(C)(C)…間の各スペースに対応する複数の位置に、それぞれ鉛直方向に下設され、かつ、親台車(2)の高さから固定棚(C)下部の高さまで到達する長さを有する棒状の第二昇降ガイド(5)(5)…と;
前記第一昇降ガイド(4)及び第二昇降ガイド(5)(5)…に装着可能で、かつ、各昇降ガイド上を移動させるための移動手段を備えた昇降装置(6)と;
この昇降装置(6)に設けられた、固定棚(C)に対する資材(R)の積み込みと積み降ろしを行うための移載機構(7)と;
前記親台車(2)、子台車(3)及び昇降装置(6)の移動制御、並びに移載機構(7)の駆動制御を行うための制御装置(8)とを含んで成り、
前記昇降装置(6)を制御装置(8)によって所定の固定棚(C)(C)間のスペースに降下させる際、第一昇降ガイド(4)が所定の第二昇降ガイド(5)の真上にくるまで子台車(3)を移動させてから、第一昇降ガイド(4)に装着された昇降装置(6)を第二昇降ガイド(5)へと乗り移らせる移動制御が行われることを特徴とするオーバーヘッド式運搬格納装置。
【請求項2】
子台車(3)に対して第一昇降ガイド(4)が、また親台車(2)に対して第二昇降ガイド(5)が固定棚(C)の幅方向にそれぞれ一対ずつ設けられると共に、これら一対の第一昇降ガイド(4)(4’)または第二昇降ガイド(5)(5’)間に昇降装置(6)が配置されて、一対の昇降ガイドで両側が支持された状態で昇降装置(6)の上下動が行われることを特徴とする請求項1記載のオーバーヘッド式運搬格納装置。
【請求項3】
一対の第二昇降ガイド(5)(5’)間に横桟(51)が配設されていることを特徴とする請求項2記載のオーバーヘッド式運搬格納装置。
【請求項4】
固定棚(C)(C)間の床(F)上に棚の幅方向に沿って設置される床上ガイド(G)を含んで構成される一方、第二昇降ガイド(5)の下端には一対のガイドローラ(52)(52)が設けられて、当該ガイドローラ(52)(52)間に前記床上ガイド(G)を挟み込んだ状態で第二昇降ガイド(5)が設置されることにより、親台車(2)が移動する際における第二昇降ガイド(5)(5)…の横ブレを抑えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のオーバーヘッド式運搬格納装置。
【請求項5】
倉庫内において奥行方向に間隔を空けて3台以上並設された固定棚(C)(C)…と;
これら複数並んだ固定棚(C)(C)…の上方に、固定棚(C)の幅方向に沿って平行に設けられた複数の走行レール(1)(1)と;
これらの走行レール(1)(1)に懸架した状態で装着され、かつ、両サイドに走行レール(1)(1)上を移動させるための移動手段を備えた親台車(2)と;
この親台車(2)上に装着され、かつ、親台車(2)上を横行させるための移動手段を備えた子台車(3)と;
この子台車(3)に鉛直方向に付設された棒状の第一昇降ガイド(4)と;
前記親台車(2)における固定棚(C)(C)…間の各スペースに対応する複数の位置に、それぞれ鉛直方向に下設され、かつ、親台車(2)の高さから固定棚(C)下部の高さまで到達する長さを有する棒状の第二昇降ガイド(5)(5)…と;
前記第一昇降ガイド(4)及び第二昇降ガイド(5)(5)…に装着可能で、かつ、各昇降ガイド上を移動させるための移動手段を備えた昇降装置(6)と;
この昇降装置(6)に設けられた、固定棚(C)に対する資材(R)の積み込みと積み降ろしを行うための移載機構(7)と;
前記親台車(2)、子台車(3)及び昇降装置(6)の移動制御、並びに移載機構(7)の駆動制御を行うための制御装置(8)とを含んで成り、
前記昇降装置(6)を制御装置(8)によって所定の固定棚(C)(C)間のスペースに降下させる際、第一昇降ガイド(4)が所定の第二昇降ガイド(5)の真上にくるまで子台車(3)を移動させてから、第一昇降ガイド(4)に装着された昇降装置(6)を第二昇降ガイド(5)へと乗り移らせる移動制御が行われることを特徴とする自動格納・取出し式の資材収容庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫等における資材の運搬格納装置の改良、詳しくは、収納棚の収容率を向上させることができるだけでなく、収納棚に対する資材の出し入れも効率的に、かつ、安定した状態で行うことができ、しかも、収納棚の保守・管理・修理等も容易に行えるオーバーヘッド式運搬格納装置、及びそれを用いた自動格納・取出し式の資材収容庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、資材倉庫の保管方式としては、資材を単純に積み上げて保管する方法が昔から知られているが、このような保管方式の下では、資材の積み卸しをフォークリフトや吊り下げフックを有する天井クレーン等を使って行う必要があるため、どうしても人力による作業が増えて資材の格納や取出しを効率的に行うことが難しい。
【0003】
そこで、従来においては、倉庫内に並設された収納棚、収納棚の上方に設置された走行レール、走行レール上を走行する親台車、親台車上を横行する子台車、子台車に設けられた箱状の昇降ガイド、及び昇降ガイドに装着された移載装置によって資材の格納と取出しを自動的に行えるようにした天井クレーン型のスタッカークレーンが開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上記従来のスタッカークレーンに関しては、子台車と昇降ガイドが一体に設けられていたため、昇降ガイドに装着された移載装置を異なる列の収納棚間に移動させる際に、わざわざ親台車を収納棚の外側まで一旦出してから、子台車の移動を行い、もう一度親台車を収納棚側に戻す必要があった。そのため、資材の格納・取出し作業が非効率になり易かった。
【0005】
また、従来においては、子台車の下方に移載装置をワイヤーで吊り下げ、このワイヤーの長さを調節して、移載装置の昇降を行えるようにしたものも知られているが(特許文献2参照)、この技術に関しては、親台車や子台車が始動停止した際にワイヤーで吊った移載装置が前後左右に揺れて、運搬が不安定になり資材が落下する危険があった。
【0006】
一方、従来においては、親台車が移動する走行レール及び隣り合う収納棚の各段を水平に繋ぐ連結フレームを所定間隔で設け、更に走行レール及び連結フレームの固定棚間の位置に移載装置を昇降させるためのガイド支柱をそれぞれ固定して、このガイド支柱上を移載装置が移動できるようにした運搬格納装置も開発されている(特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、上記従来技術に関しては、走行レールや連結フレーム、ガイド支柱を多数設ける必要があったため、設備コストが高く付き易く、また収納する資材を変更する場合にも、走行レールやガイド支柱等を固定棚と一緒に設計変更する必要があったため、コスト負担が大きかった。また、多数設けられた連結フレームやガイド支柱によって、固定棚間のスペースに人が入り難くなって固定棚の保守・管理が難しくなる問題もあった。
【0008】
また更に、上記従来技術に関しては、固定棚に幅を区切って設けられた各収納部の横幅(縦枠間の幅)を、ガイド支柱の幅と一致させる必要があったが、資材の幅が小さい場合でも昇降装置については一定のサイズ以下に縮小化することが困難であったため、結果的に昇降装置のサイズに合わせて各収納部の横幅を決めなければならなかった。
【0009】
そのため、固定棚の各収納部の横幅が資材の幅よりもかなり大きくなって余剰なスペースが生じることで、固定棚の収容率が低下する問題があった(例えば、両端を支持した状態で収納するロール資材の場合には、支持部材を各収納部の両側から内側に大きく持ち出して配置する必要があるため、その持ち出し分だけ収納スペースが減少してしまう)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5―43018号公報
【特許文献2】特開2000―203703号公報
【特許文献3】特許第2896475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、収納棚の収容率を向上させることができるだけでなく、収納棚に対する資材の出し入れも効率的に、かつ、安定した状態で行うことができ、しかも、収納棚の保守・管理・修理等も容易に行えるオーバーヘッド式運搬格納装置、及びそれを用いた自動格納・取出し式の資材収容庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0013】
即ち、本発明は、固定棚(C)(C)…が奥行方向に間隔を空けて3台以上並設された倉庫内において、各固定棚C・C…に資材Rを出し入れするために使用されるオーバーヘッド式運搬格納装置において、
前記複数並んだ固定棚C・C…の上方に、固定棚Cの幅方向に沿って平行に設けられた複数の走行レール1・1と;これらの走行レール1・1に懸架した状態で装着され、かつ、両サイドに走行レール1・1上を移動させるための移動手段を備えた親台車2と;
この親台車2上に装着され、かつ、親台車2上を横行させるための移動手段を備えた子台車3と;この子台車3に鉛直方向に付設された棒状の第一昇降ガイド4と;前記親台車2における固定棚C・C…間の各スペースに対応する複数の位置に、それぞれ鉛直方向に下設され、かつ、親台車2の高さから固定棚C下部の高さまで到達する長さを有する棒状の第二昇降ガイド5・5…と;前記第一昇降ガイド4及び第二昇降ガイド5・5…に装着可能で、かつ、各昇降ガイド上を移動させるための移動手段を備えた昇降装置6と;この昇降装置6に設けられた、固定棚Cに対する資材Rの積み込みと積み降ろしを行うための移載機構7と;前記親台車2、子台車3及び昇降装置6の移動制御、並びに移載機構7の駆動制御を行うための制御装置8とを含んで構成し、
更に前記昇降装置6を制御装置8によって所定の固定棚C・C間のスペースに降下させる際、第一昇降ガイド4が所定の第二昇降ガイド5の真上にくるまで子台車3を移動させてから、第一昇降ガイド4に装着された昇降装置6を第二昇降ガイド5へと乗り移らせる移動制御が行われるようにした点に特徴がある。
【0014】
また、上記子台車3に対して第一昇降ガイド4を、また親台車2に対して第二昇降ガイド5を固定棚Cの幅方向にそれぞれ一対ずつ設けると共に、これら一対の第一昇降ガイド4・4’または第二昇降ガイド5・5’間に昇降装置6を配置して、一対の昇降ガイドで両側が支持された状態で昇降装置6の上下動が行われるようにすることで、資材の運搬をより安定的に行うことができる。
【0015】
また更に、上記第二昇降ガイド5・5’を一対ずつ設ける場合には、一対の第二昇降ガイド5・5’間に横桟51を配設して剛性を高めることによって、親台車2移動時における第二昇降ガイド5・5’の横ブレを抑えることができる。
【0016】
また、上記オーバーヘッド式運搬格納装置を、固定棚C・C間の床F上に棚の幅方向に沿って設置する床上ガイドGを含んで構成する一方、第二昇降ガイド5の下端に一対のガイドローラ52・52を設けて、当該ガイドローラ52・52間に前記床上ガイドGを挟み込んだ状態で第二昇降ガイド5を設置することにより、親台車2の移動時における第二昇降ガイド5・5…の横ブレを抑えることもできる。
【0017】
他方また、本発明においては、上記オーバーヘッド式運搬格納装置を用いた自動格納・取出し式の資材収容庫を、倉庫内において奥行方向に間隔を空けて3台以上並設された固定棚C・C…と;これら複数並んだ固定棚C・C…の上方に、固定棚Cの幅方向に沿って平行に設けられた複数の走行レール1・1と;これらの走行レール1・1に懸架した状態で装着され、かつ、両サイドに走行レール1・1上を移動させるための移動手段を備えた親台車2と;この親台車2上に装着され、かつ、親台車2上を横行させるための移動手段を備えた子台車3と;この子台車3に鉛直方向に付設された棒状の第一昇降ガイド4と;前記親台車2における固定棚C・C…間の各スペースに対応する複数の位置に、それぞれ鉛直方向に下設され、かつ、親台車2の高さから固定棚C下部の高さまで到達する長さを有する棒状の第二昇降ガイド5・5…と;前記第一昇降ガイド4及び第二昇降ガイド5・5…に装着可能で、かつ、各昇降ガイド上を移動させるための移動手段を備えた昇降装置6と;この昇降装置6に設けられた、固定棚Cに対する資材Rの積み込みと積み降ろしを行うための移載機構7と;前記親台車2、子台車3及び昇降装置6の移動制御、並びに移載機構7の駆動制御を行うための制御装置8とから構成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、オーバーヘッド式運搬格納装置において、親台車の収納棚間の位置にそれぞれ長尺棒状の昇降ガイドを下設し、更にこれらの昇降ガイド上と子台車に設けた短尺棒状の昇降ガイド上を移載装置が乗り移りながら移動できるように構成したことにより、親台車を収納棚の外側まで移動させなくても子台車を移動させるだけで、移載装置を異なる収納棚間に移動させることができるため、資材の格納・取出し作業を効率化できる。
【0019】
しかも、本発明では、親台車に昇降ガイドを設けたことによって、収納棚を仕切って設けられる各収納部の横幅を、昇降ガイドの間隔に一致させる必要もなくなるため、資材のサイズに合わせて収納部の横幅を決定することができる。またこれにより、収納部に無駄なスペースが生じることも防止できるため、収納棚の収容率を一層向上できる。
【0020】
また、本発明においては、上記構成を採用したことによって走行レールや昇降ガイドを多数設ける必要もなくなるため、運搬格納装置や収納棚の初期の設置コストも低廉に抑えることができ、加えて、収納する資材を変更する場合でも、固定棚のみの設計変更で対応できるため、設計変更に伴うコスト負担も大幅に軽減できる。
【0021】
そしてまた、本発明では、収納棚間に配置される昇降ガイドの数を減らすことで、収納棚間のスペースに人が入って作業することも容易になるため、収納棚の保守・管理も容易に行える。また本発明では、親台車や子台車を始動停止した際に、移載装置が大きく揺れることもないため、資材を安定した状態で移送することができる。
【0022】
したがって、本発明により、より多くの資材を効率的に収納できるだけでなく、資材の収納や取出しにかかる時間も短縮でき、しかも、作業の安全面でも資材の落下等の危険がなく、設置コストの面でも有利なオーバーヘッド式運搬格納装置、及びそれを用いた資材収容庫を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1における資材収容庫を表わす全体斜視図である。
図2】本発明の実施例1における固定棚の構造を表わす正面図及び側面図である。
図3】本発明の実施例1における運搬格納装置の構造を表わす側面図である。
図4】本発明の実施例1における運搬格納装置の構造を表わす上面図である。
図5】本発明の実施例1における運搬格納装置の構造を簡略化して表わした側面図及び正面図である。
図6】本発明の実施例1における運搬格納装置を表わす拡大斜視図である。
図7】本発明の実施例1における運搬格納装置の構造を表わす正面図である。
図8】本発明の実施例1における固定棚と従来の固定棚を比較した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
『実施例1』
まず本発明の実施例1について、図1から図4に基いて説明する。なお同図において、符号1で指示するものは、走行レールである。また符号2で指示するものは、親台車であり、符号3で指示するものは、子台車である。また符号4で指示するものは、第一昇降ガイドであり、符号5で指示するものは、第二昇降ガイドである。また符号6で指示するものは、昇降装置であり、符号7で指示するものは、移載機構である。また符号8で指示するものは、制御装置である。
【0025】
この実施例1では、倉庫内に資材Rを収容するための固定棚C・C…を、奥行方向に所定間隔で複数並べて設置すると共に、各固定棚C・C…に資材Rを自動で出し入れするためのオーバーヘッド式運搬格納装置Hを固定棚C・C…上に設置して自動格納・取出し式の資材収容庫を構成している(図1参照)。
【0026】
なお本実施例では、幅方向及び上下方向に収納スペースが区切られた複数列及び複数段の固定棚Cを使用している。また本実施例では、固定棚Cの各収納スペースの両側に、図2(a)及び(b)に示すように、ロール資材Rの軸部A両端を載せて収納スペース内にロール資材Rを保持する支持部材S・Sを設けている。
【0027】
また、上記オーバーヘッド式運搬格納装置Hについては、まず複数並んだ固定棚C・C…の上方に、固定棚Cの幅方向に沿って複数の走行レール1・1…を平行に設置すると共に、これらの走行レール1・1…上に、平面視で固定棚Cの奥行方向に長い矩形型の枠体を本体とする親台車2を懸架して装着している(図3図4参照)。
【0028】
なお本実施例では、上記走行レール1・1…を全ての固定棚C・C…の最上部に設置することで、レール間の間隔を狭めて親台車2の撓み変形を起き難くしているが、少なくとも一番外側の固定棚C・C上に一対の走行レール1・1を設けて、全ての固定棚C・C…を跨ぐように親台車2が装着されていればよい。
【0029】
また更に、上記親台車2の底部には、各走行レール1・1…と接する位置に車輪21・21…を移動手段として設けている。そして、この車輪21・21…を駆動源22から伝達させた動力によって回転させることにより、親台車2を走行レール1上で固定棚Cの幅方向に自在に移動できるようにしている。
【0030】
一方、上記親台車2上には、親台車2よりも固定棚Cの奥行き方向の幅が小さい矩形枠体を本体とする子台車3を装着している。また、この子台車3の底部には、親台車2の長手方向の枠に沿って設けられた一対のガイドレール23・23と接する部分に、車輪31・31…を移動手段として設けている。そして、上記車輪31・31…に駆動源31からの動力を伝達させて、子台車3を親台車2上で固定棚Cの奥行方向に自在に横行できるようにしている。
【0031】
そしてまた、上記親台車2及び子台車3に対しては、図3及び図5に示すように、棒状の第一昇降ガイド4・4を鉛直方向に子台車3に付設すると共に、親台車2の高さから固定棚C下部の高さまで到達する長さを有する棒状の第二昇降ガイド5・5…を、親台車2の固定棚C・C…間の各スペースに対応する位置に鉛直方向に下設している。
【0032】
なお、図5(a)及び(b)に関しては、上記走行レール1と親台車2の関係、親台車2と子台車3の関係、子台車3と第一昇降ガイド4の関係、親台車2と第二昇降ガイド5の関係を把握し易くするために作成した簡略図であり、一体化された子台車3と第一昇降ガイド4、及び親台車2と第二昇降ガイド5にそれぞれ同じ色を付している。
【0033】
また本実施例では、上記親台車2と子台車3の走行部材21・31において、走行時の横ブレを抑えるために補助部材として一対のガイドローラ21a・31aをそれぞれ設けており、これらのガイドローラ21a・31a間に走行レール1や親台車2のガイドレール23を挟み込んだ状態で親台車2や子台車3の走行を行えるようにしている。
【0034】
そして、上記子台車3に固定した第一昇降ガイド4、または親台車2に固定した第二昇降ガイド5には、昇降装置6を装着している。また、この昇降装置6の側面には、第一昇降ガイド4及び第二昇降ガイド5上を移動させるためのガイドローラ61・61を上下に一対ずつ設けている。そして、駆動源62の動力を利用して昇降装置6が昇降ガイド上を自在に上下動できるようにしている。
【0035】
なお本実施例では、図6に示すように、子台車3に両端が固定された一対の吊り線63・63(ワイヤロープ)を、昇降装置6の両側に一対ずつ設けられたプーリ64・64に巻き付けて昇降装置6を子台車3に吊り下げ、更に子台車3上に設けられた駆動源62によって吊り線63の一端が固定されているリール65を回転させて、吊り線63の巻き取り又は引き出し行うことにより、昇降装置6を上下動させている。
【0036】
また本実施例では、図7に示すように、子台車3に対して第一昇降ガイド4を、また親台車2に対して第二昇降ガイド5を固定棚Cの幅方向にそれぞれ一対ずつ設け、これら一対の第一昇降ガイド4・4’または第二昇降ガイド5・5’間に昇降装置6を配置している。これにより、一対の昇降ガイドで両側を支持した状態で昇降装置6の上下動を行うことができるため、資材の運搬をより安定した状態で行うことができる。
【0037】
また更に、本実施例では、上記一対の第二昇降ガイド5・5’の下端同士を繋ぐように横桟51を配設している。これにより、棒状の第二昇降ガイド5・5’を連結して剛性を高めることができるため、親台車2を移動させる際における各第二昇降ガイド5・5’の横ブレを抑制することが可能となる。
【0038】
そしてまた、本実施例においては、固定棚C・C間の床F上に棚の幅方向に沿って床上ガイドGを設置すると共に、第二昇降ガイド5の下端部に一対のガイドローラ52・52を設け、更にこのガイドローラ52・52間に床上ガイドGを挟み込んだ状態で第二昇降ガイド5を設置しているため、第二昇降ガイド5・5…の横ブレが一層抑制される。
【0039】
また、本実施例においては、図5(b)及び図7に示すように、第二昇降ガイド5・5'の上端部に切欠溝53・53を形成して、この切欠溝53・53内に第一昇降ガイド4・4'の下端部を配置することにより、第一昇降ガイド4・4'の下端部の位置ズレを防止して、第一昇降ガイド4・4’と第二昇降ガイド5・5’が直線状に並ぶようにしている。
【0040】
また更に、本実施例では、図5(a)の部分拡大図に示すように、第一昇降ガイド4の下端部と第二昇降ガイド5の上端部に、それぞれ先端に向かって幅が狭まるテーパ部41・54を形成して遊び(クリアランス)を設けているため、一方の昇降ガイドの位置が、他方の昇降ガイドの延長上の位置から多少ズレた場合でも、この遊びを利用して昇降装置6のガイドローラ61・61の移動を円滑に行うことができる。
【0041】
他方また、上記昇降装置6には、図6に示すように固定棚Cに対する資材Rの積み込みと積み降ろしを行うための移載機構7を搭載している。なお本実施例では、水平方向にスライド自在に設けられたフォーク71と、このフォーク71を動かすための駆動源72とを有するフォーク機構を移載機構7として採用している。
【0042】
また本実施例では、上記フォーク機構に関して、駆動源72から動力を伝達して固定棚Cの奥行方向にフォーク71を出し入れできるようにするだけでなく、このフォーク71の出し入れを、対向する固定棚C・Cの両方に対して行えるようにしている。
【0043】
そして上記のように構成したことにより、図8(a)に示すように、資材Rの横幅が昇降装置6の幅よりも小さい場合でも、固定棚Cの各収納スペースの幅を資材Rの横幅に合わせて設計することができるため、図8(b)に示す従来の固定棚Cよりも、支持部材S・Sの持出し幅を小さくして収納効率を向上させることができる。
【0044】
そして更に、上記オーバーヘッド式運搬格納装置Hには、資材Rの収納と取出しを自動で行うために、図4及び図6に示すように、走行レール1・1上を走行する親台車2の移動制御、親台車2上を走行する子台車3の移動制御、及び第一昇降ガイド4及び第二昇降ガイド5上を上下動する昇降装置6の移動制御、並びに移載機構7の駆動制御を行うための制御装置8を適宜箇所に設けている。
【0045】
[制御プログラムについて]
次に、上記オーバーヘッド式運搬格納装置Hを制御装置8によって自動で駆動させるための制御プラグラムについて以下に説明する。まず、資材Rを入出庫棚から固定棚Cに収納する際には、ロール資材Rを移載装置7によって入出庫棚から昇降装置6に移し変えた後、ロール資材Rを載せた状態で昇降装置6を第二昇降ガイド5・5’から第一昇降ガイド4・4’まで上昇させて親台車2及び子台車3の移動を開始する。
【0046】
次いで、上記親台車2を、資材Rを収納する固定棚C・C…の収納位置まで移動させつつ、同時に子台車3を第一昇降ガイド4が所定の第二昇降ガイド5の真上にくるまで移動させる。そして、所定の固定棚C・C間のスペースで、昇降装置6を第一昇降ガイド4・4'から第二昇降ガイド5・5'に乗り移らせて、収納スペースの高さまで降下させる。なお、上記親台車2と子台車3の移動方法については、作業効率的に同時並行が好ましいが、一方を先に移動させてからもう一方を移動させてもよい。
【0047】
その後、移載装置7のフォーク71を駆動して固定棚C側にスライドさせ、更にその状態で昇降装置6を少し降下させることで、ロール資材Rをフォーク71上から固定棚Cの支持部材S・S上に移し変える。そして、フォーク71を逆方向にスライドさせて昇降装置6内に戻すことにより、ロール資材Rの収納が完了する。
【0048】
一方、この状態から固定棚C・C…の所定位置に収納されたロール資材Rを入出庫棚に取り出す場合には、まず、昇降装置6を上昇させて第二昇降ガイド5・5’から第一昇降ガイド4・4'に乗り移らせた後、親台車2を所定位置まで移動させると共に、子台車3を第一昇降ガイド4が所定の第二昇降ガイド5の真上にくるまで移動させる。
【0049】
そして、所定の固定棚C・C間のスペースで、昇降装置6を第一昇降ガイド4・4'から第二昇降ガイド5・5'に乗り移らせて、取り出す対象となるロール資材Rが収納されている棚の高さまで降下させる。その後、ロール資材Rの軸部A両端の下側に移載装置7のフォーク71を差し込み、その状態で昇降装置6を少し上昇させて、ロール資材Rを固定棚Cの支持部材S・S上からフォーク71上に移し変える。
【0050】
そして更に、上記ロール資材Rを載せた昇降装置6を上昇させて第二昇降ガイド5・5'から第一昇降ガイド4・4’に戻し、更に親台車2と子台車3を入出庫棚の位置まで移動させて昇降装置6を降下させた後、移載装置7でロール資材Rをフォーク71上から入出庫棚に移し変えて、ロール資材Rの取り出しが完了する。
【0051】
上記の制御方法を採用することによって、昇降装置6を異なる固定棚C・C間のスペースに移動させる場合でも、親台車2を固定棚C・C…の外側まで移動させてから子台車3を移動させる必要がなく、親台車2及び子台車3の移動を最短距離に抑えることができるため、効率的に資材Rの格納・取出し作業を行うことができる。
【0052】
また、上記昇降装置6を同列の固定棚C・C間で移動させる場合においても、固定棚と昇降ガイドが一体となった従来の運搬格納装置のように、昇降装置6を固定棚Cの上まで一旦動かしてから、親台車2の移動を行う必要がないため、昇降装置6の移動時間を短縮して作業効率を高めることができる。
【0053】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、移載装置7に関しては、資材Rの受取り及び受渡しを行える機構であれば、フォーク機構以外のコンベア等を採用することもできる。
【0054】
また、本発明で格納・取出しを行う資材Rの種類に関しても、ロール資材以外の長尺の資材や小型の資材Rを多数収容した箱状の資材容器を資材Rとして扱うこともでき、その場合には、収納する資材Rの形状や大きさに合わせて固定棚Cの収納スペースや支持部材を適宜変更することができる。
【0055】
また、上記走行レール1・1の設置場所に関しても、固定棚Cの最上部でなくとも固定棚C・C…の上方に配置されていれば倉庫の側壁等に固定して設置することもできる。また、親台車2や子台車3、昇降装置6の移動手段や停止手段に関しても、任意のスライド機構やブレーキ手段を選択することができ、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
近年、製造業や土木建築業等に用いられる産業資材の流通を円滑に行うために、資材を限られた倉庫内のスペースに効率的に収容でき、更に資材の収納と取り出しも高速に行える自動倉庫の需要が高まっている。そのような中で、本発明は、倉庫における資材の収容効率および格納・取出しの作業効率を改善できる有用な技術であることから、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0057】
1 走行レール
2 親台車
21 走行部材
21a ガイドローラ
22 駆動源
23 ガイドレール
3 子台車
31 走行部材
31a ガイドローラ
32 駆動源
4 第一昇降ガイド
41 テーパ部
5 第二昇降ガイド
51 横桟
52 ガイドローラ
53 切欠溝
54 テーパ部
6 昇降装置
61 走行部材
62 駆動源
63 吊り線
64 プーリ
65 リール
7 移載機構
71 フォーク
72 駆動源
8 制御装置
C 固定棚
S 支持部材
R 資材
A 軸部
F 床
H オーバーヘッド式運搬格納装置
G 床上ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8