(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチング電源回路は、前記バッテリの充電電圧を検出する電圧検出部または前記電流検出部のいずれか一方または双方の制御情報を受け、前記バッテリに付与される前記電圧および前記電流が前記制御情報によって制御される制御電源部を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のバッテリ充電回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バッテリを充電するバッテリ充電回路には電圧制御方式が用いられる。この電圧制御方式では、充電電圧に応じてバッテリに流す充電電流を制御する。充電電圧が低い段階では充電に必要な大きな充電電流を供給すればよいが、バッテリの充電が進み、充電電圧が高くなれば、バッテリに流す充電電流を減少させればよい。しかし、充電電圧の検出に応じた充電電流の制御では、弱電流での充電が困難であり、バッテリ充電の安全性が低下するといった課題がある。しかも、バッテリや充電回路の耐久性を低下させ、充電回路の構成部品を小型化できないという課題もある。また、充電電圧が高くなった段階でバッテリに大電流を流すと、バッテリの負担が大きく、バッテリ寿命を低下させるという課題もある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、バッテリに対する負担を軽減し、バッテリ充電の適正化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のバッテリ充電回路の一側面によれば、バッテリを充電するバッテリ充電回路であって、
前記バッテリの側路に備えられて、前記バッテリの充電電圧を検出
する電圧検出部と、前記バッテリの側路に備えられて、第1の制御電流素子を含み、前記電圧検出部での検出電圧
に応じて前記バッテリの充電電流の一部を前記第1の制御電流素子に分流することによって前記バッテリへの印加電圧を制御する電圧制御部と、
前記バッテリに直列に接続されて、前記充電電流を検出
する電流検出部と、前記電圧制御部と接続されて、第2の制御電流素子を有し、該検出電流
に応じて前記第1の制御電流素子に分流した電流の一部を引き込むことによって前記充電電流を制御する電流制御部
とを備え
る。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のバッテリ充電回路の一側面によれば、バッテリを充電するバッテリ充電回路であって、
前記バッテリの側路に備えられて、前記バッテリの充電電圧を検出する電圧検出部と、前記バッテリの側路に備えられて、第1の制御電流素子を含み、前記電圧検出部での検出電圧に応じて前記バッテリの充電電流の一部を前記第1の制御電流素子に分流することによって前記バッテリへの印加電圧を制御する電圧制御部と、前記第1の制御電流素子に分流された電流を検出し、この検出電流に応じて前記バッテリに対する給電出力が制御されるスイッチング電源回路と、前記バッテリに
直列に接続されて、前記充電電流を検出する電流検出部と、
前記電圧制御部と接続されて、第2の制御電流素子を有し、前記電流検出部の検出電流
に応じて前記第1の制御電流素子に分流された電流の一部を引き込むことにより前記スイッチング電源回路の前記給電出力を制御する電流制御部
とを備え
る。
【0012】
上記バッテリ充電回路において、前記電流検出部は、電流検出抵抗を備え、前記バッテリに流れる電流を電圧に変換して検出してもよい。
【0013】
上記バッテリ充電回路において、前記スイッチング電源
回路は、
前記バッテリの充電電圧を検出する電圧検出部または前記電流検出部のいずれか一方または双方の制御情報を受け、前記バッテリに付与される前記電圧および前記電流が前記制御情報によって制御される制御電源部を備えてもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の電源装置の一側面によれば、バッテリを備えまたは前記バッテリに接続された電源装置であって、前記バッテリに充電電流を流し、前記バッテリを充電するバッテリ充電回路を備え、前記バッテリ充電回路が、
前記バッテリの側路に備えられて、前記バッテリの充電電圧を検出
する電圧検出部と、前記バッテリの側路に備えられて、第1の制御電流素子を含み、前記電圧検出部での検出電圧
に応じて前記バッテリの充電電流の一部を前記第1の制御電流素子に分流することによって前記バッテリへの印加電圧を制御する電圧制御部と、
前記バッテリに直列に接続されて、前記充電電流を検出
する電流検出部と、前記電圧制御部と接続されて、第2の制御電流素子を有し、該検出電流
に応じて前記第1の制御電流素子に分流した電流の一部を引き込むことによって前記充電電流を制御する電流制御部
とを備え
る。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の電源装置の一側面によれば、バッテリを備えまたは前記バッテリに接続された電源装置であって、前記バッテリに充電電流を流し、前記バッテリを充電するバッテリ充電回路を備え、前記バッテリ充電回路が、
前記バッテリの側路に備えられて、前記バッテリの充電電圧を検出する電圧検出部と、前記バッテリの側路に備えられて、第1の制御電流素子を含み、前記電圧検出部での検出電圧に応じて前記バッテリの充電電流の一部を前記第1の制御電流素子に分流することによって前記バッテリへの印加電圧を制御する電圧制御部と、前記第1の制御電流素子に分流された電流を検出し、この検出電流に応じて前記バッテリに対する給電出力が制御されるスイッチング電源回路と、前記バッテリに
直列に接続されて、前記充電電流を検出する電流検出部と、
前記電圧制御部と接続されて、第2の制御電流素子を有し、前記電流検出部の検出電流
に応じて前記第1の制御電流素子に分流された電流の一部を引き込むことにより前記スイッチング電源回路の前記給電出力を制御する電流制御部
とを備え
る。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のコージェネレーションシステムの一側面によれば、系統電源の停電時、負荷に給電するバッテリと、前記系統電源の正常時、バッテリに充電電流を流し、前記バッテリを充電するバッテリ充電回路とを備え、前記バッテリ充電回路が、
前記バッテリの側路に備えられて、前記バッテリの充電電圧を検出
する電圧検出部と、前記バッテリの側路に備えられて、第1の制御電流素子を含み、前記電圧検出部での検出電圧
に応じて前記バッテリの充電電流の一部を前記第1の制御電流素子に分流することによって前記バッテリへの印加電圧を制御する電圧制御部と、
前記バッテリに直列に接続されて、前記充電電流を検出
する電流検出部と、前記電圧制御部と接続されて、第2の制御電流素子を有し、該検出電流
に応じて前記第1の制御電流素子に分流した電流の一部を引き込むことによって前記充電電流を制御する電流制御部
とを備え
る。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明のコージェネレーションシステムの一側面によれば、系統電源の停電時、負荷に給電するバッテリと、前記系統電源の正常時、バッテリに充電電流を流し、前記バッテリを充電するバッテリ充電回路とを備え、前記バッテリ充電回路が、
前記バッテリの側路に備えられて、前記バッテリの充電電圧を検出する電圧検出部と、前記バッテリの側路に備えられて、第1の制御電流素子を含み、前記電圧検出部での検出電圧に応じて前記バッテリの充電電流の一部を前記第1の制御電流素子に分流することによって前記バッテリへの印加電圧を制御する電圧制御部と、前記第1の制御電流素子に分流された電流を検出し、この検出電流に応じて前記バッテリに対する給電出力が制御されるスイッチング電源回路と、前記バッテリに
直列に接続されて、前記充電電流を検出する電流検出部と、
前記電圧制御部と接続されて、第2の制御電流素子を有し、前記電流検出部の検出電流
に応じて前記第1の制御電流素子に分流された電流の一部を引き込むことにより前記スイッチング電源回路の前記給電出力を制御する電流制御部
とを備え
る。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明のバッテリ充電方法の一側面によれば、充電するバッテリに
第1の制御電流素子を含む側路を形成し、前記バッテリの充電電圧
および充電電
流を検出し、前記充電電圧
に応じて、前記バッテリの充電電流の一部を前記第1の制御電流素子に
分流させることによって前記バッテリへの印加電圧を制御し、
前記充電電流に応じて、前記側路と接続された第2の制御電流素子に、前記第1の制御電流素子に分流した電流の一部を引き込むことによって、前記充電電
流を制御する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0020】
(1) バッテリの充電電圧が低ければ、電流制御により充電し、充電電圧が所定電圧に到達すれば、電圧制御により適正に充電することができる。
【0021】
(2) 弱電流の回路での充電が可能となり、バッテリ充電の安全性を高めることができる。
【0022】
(3) 充電回路の耐久性が高くなり、充電回路の構成部品を小型化できる。
【0023】
(4) バッテリの負担を低減でき、バッテリの長時間に亘る使用が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、第1の実施の形態に係るバッテリ充電回路、およびバッテリの充電方法を示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
【0027】
このバッテリ充電回路2はバッテリ4を充電する。バッテリ4にはたとえば、小型制御弁式鉛蓄電池が用いられる。このバッテリ充電回路2の充電対象は、他の鉛蓄電池、リチウムイオン電池などの充放電が可能な二次電池であってもよい。
【0028】
このバッテリ充電回路2には電圧制御機能を備えるスイッチング電源回路5が備えられ、このスイッチング電源回路5には制御電源部6が備えられる。このスイッチング電源回路5では制御電源部6からバッテリ4に対し、充電に必要な電圧Vcおよび電流Icが付与される。制御電源部6はたとえば、DC−DCコンバータで構成すればよく、系統電源7からの給電を整流してバッテリ4の充電に供する直流出力を生成するとともに、制御情報8によって電圧Vcまたは電流Icのいずれか一方、または双方が制御可能である。
【0029】
このバッテリ充電回路2にはバッテリ4の充電を制御する電圧制御回路10および電流制御回路12が備えられる。バッテリ4には並列に電圧制御回路10の電圧検出部10−1が備えられ、この電圧検出部10−1でバッテリ4の端子間電圧に現れる充電電圧が検出される。この電圧検出部10−1は、バッテリ4の端子間電圧を分圧して検出してもよいし、非分圧で端子間電圧を検出してもよい。
【0030】
この電圧検出部10−1の検出電圧が電圧制御部10−2に提供される。この電圧制御部10−2は、該検出電圧に応じてバッテリ4の印加電圧である電圧Vcを制御する。つまり、電圧制御部10−2が該検出電圧に応じて電圧制御情報8−1を出力し、制御電源部6に提供する。これにより、バッテリ4の印加電圧である電圧Vcが制御される。
【0031】
バッテリ4にはその負極側に直列に電流検出部12−1が接続され、この電流検出部12−1でバッテリ4の充電電流を検出する。この電流検出部12−1は、バッテリ4の負極側から流れる電流を直接検出してもよいし、カレントトランスなどで間接的に検出してもよい。
【0032】
この電流検出部12−1の検出電流が電流制御部12−2に提供される。この電流制御部12−2は、該検出電流に応じてバッテリ4の充電電流を制御する。つまり、電流制御部12−2が該検出電流に応じて電流制御情報8−2を出力し、制御電源部6に提供する。これにより、バッテリ4の充電電流である電流Icが制御される。
【0033】
図2は、バッテリ充電回路2の動作の一例を示している。
図2において、Aは充電電圧の推移、Bは充電電圧に対応した充電電流の推移を示している。
【0034】
この動作例では、図示しない充電リレーを備えることにより、バッテリ4の充電の開始および終了が一定時間Tmに規制されている。一定時間Tmはバッテリ4の容量などを考慮したとえば、24〔時間〕に設定される。
【0035】
時点t1で充電リレーを導通させ、バッテリ4の充電が開始される。この時点t1では充電電圧はバッテリ4の最低電圧Vmin〔V〕の状態であり、時点t1の直前まで充電電流IcはIc=0〔A〕の状態である。この時点t1から充電を開始、つまり、制御電源部6からバッテリ4に電圧Vcおよび電流Icが付与される。これにより、充電が開始され、時点t1から充電終了の時点t2の間の時点tnを境に、t1ないしtn:定電流制御期間T1、tnないしt2:定電圧制御期間T2が設定される。
【0036】
バッテリ4の端子間電圧は、時点t1において、Vmin〔V〕からVn〔V〕に僅かに上昇し、このVn〔V〕から定電流制御期間T1の定電流制御を経て時点tnで最大電圧Vmax〔V〕に到達する。この最大電圧Vmax〔V〕は、時点tnから時点t2の間の定電圧制御期間T2で一定に維持される。
【0037】
バッテリ4の充電電流Icは、時点t1からIc=0〔A〕から定電流Imaxに立ち上がり、この定電流Imaxが定電流制御により一定に維持され、定電流制御期間T1を経て時点tnで徐々に下降し、時点t2で最低電流Imin〔A〕となる。
【0038】
このようにバッテリ4は電圧制御回路10による電圧制御と電流制御回路12による電流制御により、所定の充電電圧に充電される。
【0040】
以上説明したバッテリ充電回路2、バッテリ充電方法には次のような機能および効果が得られる。
【0041】
(1) 制御電源部6にはたとえば、小型のスイッチング電源を使用すればよく、電圧制御回路10の電圧制御機能および電流制御回路12の電流制御機能の併用により、定電圧制御および定電流制御でバッテリ4を充電することができる。
【0042】
(2) 充電電圧が低い場合には、電流制御によりバッテリ4を充電し、充電電圧が所定電圧に到達すれば、電圧制御によりバッテリ4を充電することができる。
【0043】
(3) このようなバッテリ充電回路2によれば、弱電流の回路での充電が可能となり、バッテリ充電の安全性を高められる。
【0044】
(4) バッテリ4やバッテリ充電回路2の耐久性を高めることができ、バッテリ充電回路2の構成部品の小型化が可能となる。
【0045】
(5) バッテリ4の負担を低減でき、バッテリ4の長寿命化に資する。
【0047】
図3は、第2の実施の形態に係る電源装置20を示している。この電源装置20は、本発明の電源装置の一例であり、既述のバッテリ充電回路2を包含している。
図3において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0048】
バッテリ4にはバッテリ充電回路2が接続され、このバッテリ充電回路2には充電リレー21が含まれる。バッテリ4の充電時、充電リレー21が導通し、バッテリ充電回路2の出力がバッテリ4に付与される。
【0049】
バッテリ充電回路2には、直流をスイッチングによって交流に変換するスイッチング(SW)電源部22が含まれる。このSW電源部22は制御電源部6の一例である。このSW電源部22の交流出力はトランス24を介して整流部26に加えられて整流される。この整流部26の整流出力は平滑部28により平滑され、電圧制御回路10および電流制御回路12に加えられる。整流部26はたとえば、ダイオード整流回路を用いればよい。この場合、一例として電圧制御回路10はバッテリ4に一定の充電電圧を印加する定電圧制御回路であり、同様に電流制御回路12はバッテリ4に一定電流を流す定電流制御回路である。
【0050】
これら電圧制御回路10および電流制御回路12で得られる制御情報8は、フォトカプラ30を介してSW電源部22に加えられている。
【0051】
SW電源部22の入力側には系統電源7またはインバータ電源34が備えられ、これらの整流出力のいずれかが加えられている。系統電源7はたとえば、商用交流電源AC100〔V〕であればよい。インバータ電源34はたとえば、系統電源7に代えて用いられるAC100〔V〕の電源であればよい。これら系統電源7またはインバータ電源34は、切替手段の一例であるAC切替リレー36によって切り替えられる。AC切替リレー36で選択された系統電源7またはインバータ電源34は、整流部38により整流された後、SW電源部22に給電される。
【0052】
図4は、この電源装置20の回路構成例を示している。
図4において、
図1および
図3と同一部分には同一符号を付してある。
図4の電源回路20では、既述の充電リレー21およびAC切替リレー36が省略されて記載されている。
【0053】
バッテリ4の充電電圧を検出する電圧検出部10−1は抵抗40、42からなる直列抵抗回路で構成し、この直列抵抗回路をバッテリ4に並列に接続している。バッテリ4の充電電圧が抵抗40、42の抵抗比によって分圧されて検出される。この検出電圧は三端子レギュレータ44の制御入力となっている。三端子レギュレータ44は電圧制御部10−2の一例である電圧制御素子を構成する。この三端子レギュレータ44は、抵抗46およびフォトカプラ30のフォトダイオード30−1と直列に接続され、これら直列回路がバッテリ4と並列に接続されている。このため、三端子レギュレータ44を含む直列回路がバッテリ4に並列に接続されて充電電流を分流する側路を構成する。したがって、バッテリ4の検出電圧に応じた電流が三端子レギュレータ44に流れ、この電流がフォトダイオード30−1および抵抗46に流れる。これにより、フォトダイオード30−1は発光し、抵抗46に電圧降下を生ずる。
【0054】
バッテリ4の充電電流を検出する電流検出部12−1には抵抗48が用いられる。この抵抗48はバッテリ4の負極側に直列に接続されている。抵抗48には充電電流が流れ、電圧降下を生ずる。この電圧降下の値は抵抗48の抵抗値と充電電流の積に比例する。したがって、抵抗値をたとえば、1〔Ω〕とすれば、その電圧降下の値が検出電流値となる。
【0055】
この抵抗48で検出された検出電流を表す電圧は、電流制御部12−2に提供される。この電流制御部12−2には、演算増幅器50および三端子レギュレータ52が備えられている。演算増幅器50は電圧比較器の一例である。この演算増幅器50の非反転入力端子(+)には、抵抗48のバッテリ負極側電圧が抵抗54を介して入力されているとともに、基準電源56の基準電圧Vrefが抵抗58を介して入力されている。この演算増幅器50の反転入力端子(−)には、抵抗48のトランス側電圧が抵抗60を介して入力されているとともに、出力が抵抗62を介して帰還されている。したがって、演算増幅器50の出力側には抵抗48に生じる電圧の多寡に応じて出力電流が得られる。
【0056】
演算増幅器50の出力側には抵抗64、66の直列回路が接続されている。抵抗64、66の接続点には演算増幅器50の出力電流に応じた出力電圧が得られる。この出力電圧が三端子レギュレータ52の制御電圧となっている。この三端子レギュレータ52はフォトダイオード30−1と三端子レギュレータ44の接続点と、基準電位点(接地)との間に接続され、この三端子レギュレータ52には抵抗48の検出電流に応じた電流がフォトダイオード30−1から引き込まれる。これによってフォトダイオード30−1の電流が制御される。
【0057】
SW電源部22にはスイッチング(SW)IC(Integrated Circuit:集積回路)68およびスイッチング(SW)素子70が含まれる。SWIC68は、SW素子70のスイッチングを制御する。SW素子70にはたとえば、FET(Field Effect Transister:電界効果トランジスタ)を用いればよい。SW素子70はSWIC68のスイッチング出力によってスイッチングする。
【0058】
SWIC68にはフォトカプラ30のフォトトランジスタ30−2で検出された電流が制御情報8として加えられ、これにより、SWIC68のスイッチングバルスのデューティが制御される。これにより、SW素子70のスイッチングが制御される。
【0059】
SWIC68は、トランス24の二次コイル24−3の出力によりスイッチング動作を生じる。トランス24の二次コイル24−3の出力は抵抗72を介してダイオード74−1、74−2によって整流され、ダイオード74−1の整流出力はキャパシタ76で平滑された後、SWIC68に加えられている。また、ダイオード74−2の出力は抵抗78、80で分圧された後、SWIC68に加えられている。
【0060】
この実施の形態では、系統電源7からの交流入力が整流部38により全波整流され、キャパシタ82により平滑されてトランス24の一次コイル24−1を介してSW素子70に加えられている。整流部38にはたとえば、ダイオードブリッジ回路を用いればよい。
【0061】
トランス24の一次コイル24−1には、SW素子70および抵抗84を介して整流部38の出力が接続されている。SW素子70のスイッチングにより、一次コイル24−1には断続電流が流れる。したがって、二次コイル24−2、24−3には一次コイル24−1との巻数比に応じた誘起電圧および誘起電流が流れる。二次コイル24−2に発生した電圧および電流は、整流部26のダイオード86により整流され、平滑部28のキャパシタ88により平滑されてバッテリ4に供給される。
【0062】
図5は、電源装置20によるバッテリ4の充電動作を示している。
【0063】
図5のAは、バッテリ4の充電電圧の推移を示している。時点t1で充電リレー21が導通し、バッテリ4の充電が開始され、定電流制御期間T1に入る。時点t1から定電流制御の開始により、
図5のBに示すように、一定の定電流Iccが流れる。
【0064】
充電が時点tnで定電圧制御に移行すると、定電流Iccは下降し、バッテリ4の充電電圧が所定の最大電圧Vmaxに到達した時点からIcc=0〔A〕になっている。
【0065】
このように、定電流制御期間T1では定電流Iccの一定電流で充電し、定電圧制御期間T2では充電電流を下降させ、所定の充電電圧Vmaxに到達した時点で充電電流が解除される。
【0066】
これに対し、電流制御回路12による定電流制御を行わない場合には、
図5のCに示すように、充電開始時点から大電流が流れる結果となり、バッテリ4に対する負担が大きくなる。このような充電形態を取れば、バッテリ4に悪影響を及ぼすばかりか、充電回路の安全性などに問題が生じることは既述の通りである。
【0068】
以上説明したバッテリ充電方法およびバッテリ充電回路2を備える電源装置20には次のような機能および効果が得られる。
【0069】
(1) バッテリ4の充電を電圧制御回路10による電圧制御と、電流制御回路12による電流制御とを併用して行うことができる。
【0070】
図6に示すように、バッテリ充電回路2および電源装置20では、バッテリ4の側路に三端子レギュレータ44、フォトカプラ30のフォトダイオード30−1および抵抗46の直列回路が並列に接続され、この側路に電流制御素子である三端子レギュレータ44が含まれている。バッテリ4の充電電圧が電圧検出部10−1で検出され、この検出電圧で三端子レギュレータ44に流れる電流が制御される。これにより、バッテリ4の充電電流の一部が側路に流れることにより、バッテリ4の充電電流が制御され、充電電圧が制御される。
【0071】
バッテリ4の側路には三端子レギュレータ44が接続され、側路を流れる電流Ibは、三端子レギュレータ44に流れる電流Ib1と、三端子レギュレータ52に流れる電流Ib2に分流される。この場合、バッテリ4の充電電流Icが電流検出部12−1で検出され、電流検出抵抗48に発生した電圧が電圧変換部90で変換され、その出力電圧が三端子レギュレータ52の制御電圧となっている。したがって、バッテリ4の充電電流に応じて三端子レギュレータ52に流れる電流Ib2が制御され、フォトダイオード30−1に流れる電流Ibの一部が三端子レギュレータ52に引き込まれる。この結果、SW電源部22からバッテリ4に付与される充電電流が制御される。上記実施の形態では、電圧変換部90が演算増幅器50を用いて構成したが、これは一例であって、電流検出用の抵抗48で検出された電圧を三端子レギュレータ52の制御電圧に変換する回路であればよい。
【0072】
(2) 上記実施の形態では、バッテリ4の充電開始から所定時間を定電流制御期間T1によって定電流制御を行い、定電流制御期間T1の後、定電圧制御期間T2によって定電圧制御を行うことにより、バッテリ4の充電を所定の充電電圧に充電することができる。
【0073】
(3) バッテリ4の充電電圧が定電流制御によって所定電圧に到達した後、定電圧制御によって弱電流により、バッテリ4の充電が行えるので、バッテリ4に対する充電の負担を軽減でき、バッテリ充電の安全性を高められる。
【0074】
(4) バッテリ4やバッテリ充電回路2の耐久性を高めることができ、バッテリ充電回路2の構成部品の小型化が可能となる。
【0075】
(5) バッテリ4の負担低減により、バッテリ4の耐久性が維持され、長寿命化に寄与する。
【0077】
図7は第3の実施の形態に係るコージェネレーションシステムを示している。このコージェネレーションシステム100は、本発明のバッテリ充電回路、電源装置またはコージェネレーションシステムの一例であり、既述のバッテリ充電回路2を包含している。
図7において、
図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0078】
このコージェネレーションシステム(以下単に「システム」と称する)100は既述の電源装置20の一例である。
【0079】
このシステム100には、分電盤102、発電ユニット104、ブラックアウトユニット106および貯湯ユニット108が備えられる。分電盤102は、系統電源7を発電ユニット104などに分電し給電する。発電ユニット104は、系統電源7またはブラックアウトユニット106からの給電により発電する。ブラックアウトユニット106は系統電源7の停電時、非常用電源出力を生ずる。貯湯ユニット108は、発電ユニット104の排熱で加熱された湯を貯湯する。
【0080】
分電盤102に接続された系統電源7にはたとえば、商用電源の単相3線式100〔V〕または200〔V〕などの交流を用いればよい。この分電盤102から一般負荷110に給電されるとともに、コージェネ専用ブレーカ112を介して発電ユニット104や、ブラックアウトユニット106に給電される。
【0081】
発電ユニット104には電力制御部(Power Control Unit、以下「PCU」と称する)114、発電制御部(Electricity generation Control Unit 、以下「ECU」と称する)116−1、発電機118、余剰電力ヒータ120が備えられる。PCU114は発電ユニット104の発電、系統電源7の停電時の給電切替え、系統電源7の停電時に備えるバッテリチェックなどを実行し、ECU116−1がこれらの制御を実行する。
【0082】
系統電源7の正常時、PCU114には漏電リレー122およびフィルタ124を介して系統電源7が給電される。漏電リレー122は、系統電源7に接続された主幹回路の漏電を検知し、漏電時、系統電源7の給電を解除する。フィルタ124は交流入力に含まれるたとえば、高周波ノイズや歪波を除く。
【0083】
PCU114には、昇圧回路126、ブリッジ回路128、系統連系リレー130、電源リレー132、モータインバータ回路134、ヒータ制御回路136が含まれる。系統連系リレー130は、給電切替部の一例であり、系統電源7が正常時、主幹回路側にブリッジ回路128を接続する。系統電源7が停電時、ブリッジ回路128が主幹回路側から切り離される。ブリッジ回路128は交流を直流に変換する整流回路の一例であり、複数の整流素子をブリッジ接続して構成すればよい。このブリッジ回路128の整流出力は昇圧回路126で昇圧されてモータインバータ回路134およびヒータ制御回路136に加えられる。
【0084】
電源リレー132は給電切替部の一例である。この電源リレー132では系統電源7の給電により出力を生じる。系統電源7の正常時、この電源リレー132がON状態となり、系統電源7からPCU114に給電され、PCU114が動作状態となる。
【0085】
モータインバータ回路134は、発電機118にインバータ出力を供給する。発電機118は、エンジン138の回転により駆動され、発電する。ヒータ制御回路136には余剰電力ヒータ120に余剰電力を供給する。バッテリチェック時、バッテリ4によりモータインバータ回路134を駆動し、このモータインバータ回路134の出力を発電機118に供給し、この発電機118をエンジン138のスターターとして使用する。つまり、エンジン138の起動後、発電機118が本来の機能である発電機として動作する。
【0086】
ブラックアウトユニット106にはバッテリ4、既述のバッテリ充電回路2、連系リレー140、系統電圧検出部142、ブラックアウト制御部(Blackout Control Unit:以下「BCU」と称する)116−2などの複数の機能部が含まれる。
【0087】
バッテリ4は二次電池の一例である。バッテリ充電回路2は系統電源7の正常時、系統電源7の整流出力によりバッテリ4を充電する。連系リレー140は、系統側接点a、バッテリ側接点bおよび可動接点を備え、系統電源7の正常時、系統側接点aを閉じ、系統電源7の停電時、バッテリ側接点bを閉じる。系統電圧検出部142は、系統電源7の監視手段の一例であり、系統電圧の電圧値を検出し、その検出出力がBCU116−2に取り込まれる。
【0088】
BCU116−2は制御部の一例であり、ブラックアウトユニット106の制御やシステム通信部144を通じて他のユニットとの連係動作を実行する。
【0089】
このブラックアウトユニット106には次のような機能が含まれる。
【0090】
a)系統電源7の正常時、バッテリ4が充電状態となる。
【0091】
b)系統電源7の停電時、バッテリ4の出力が発電ユニット104および貯湯ユニット108側に給電される。つまり、発電機118の発電出力が昇圧回路126、ブリッジ回路128および系統連系リレー130より出力される。
【0092】
c)バッテリチェックなどの基準時点からの一定時間Tの経過後、たとえば、30日経過後、系統電源7が正常であって、発電機118の起動時、バッテリチェックのため、バッテリ4の出力が発電ユニット104に給電される。これにより、動作チェックが行われる。
【0093】
系統電源7の正常時、バッテリ4には系統電源7の整流出力が加えられる。系統電源7の系統電圧は系統電圧検出部142によって検出される。この系統電圧は整流回路の一例であるダイオード146によって整流され、この整流出力が基板電源148およびバッテリ充電回路2に加えられる。バッテリ充電回路2の出力は既述の充電リレー21を介してバッテリ4に供給される。充電リレー21は充電時にON状態となる。
【0094】
系統電源7の停電時、連系リレー140は系統側接点aからバッテリ側接点bに切り替えられ、バッテリ4が放電状態となる。バッテリ4の出力はヒューズ150を介して昇圧回路152に加えられる。この昇圧回路152の出力はブリッジ回路154から連系リレー140のバッテリ側接点b側より貯湯ユニット108に出力されるとともに、コンセントリレー156を介して非常用コンセント158に出力される。コンセントリレー156は、ブリッジ回路154の出力時、非常用コンセント158側に閉じられる。
【0096】
以上説明したバッテリ充電回路2を含むシステム100には次のような機能および効果が得られる。
【0097】
(1) システム100のバッテリ充電に既述のバッテリ充電回路2または電源装置20を利用でき、バッテリ充電回路2または電源装置20が有する既述の利点をシステム100に活用することができる。
【0098】
(2) バッテリ充電回路2または電源装置20が小型化できるので、システム100の装備の軽量化や小型化に寄与する。
【0099】
(3) システム100におけるバッテリ4の充電の負担を軽減でき、耐久性を高めることができるので、システム100の信頼性が高められる。
【0101】
既述の電源装置20におけるバッテリ充電回路2によるバッテリ4の充電試験の結果を
図8に示す。
【0102】
この充電試験では、充電リレー21をONして充電を開始し、充電開始直後の電圧および電流波形を観測した。電流の異常は観測されなかったので、
図8のAは、充電開始直後の電圧波形のみ示している。この電圧波形について、波形形態を観測するため、
図8のBは、時点ta〜tb間を拡大して示している。
【0103】
この試験結果から、充電開始時点で、電圧の上昇があるものの、その電圧レベルは小さいことが確認された。しかも、電流異常は観測されなかった。
【0104】
また、バッテリ4の充電を30時間継続した場合の充電結果を
図8のCに示す。
図8のCにおいて、電流Iは、充電開始の時点t1から5時間経過の時点t2で所定の充電電流が維持された後、30時間経過の時点t3に指数関数的な下降が生じている。これに対し、電圧Vは時点t1から10時間経過まで指数関数的な増加傾向を呈し、その後、時点t3に到達するまで、安定したほぼ一定値となっている。
【0105】
このような実験結果から、上記バッテリ充電回路2ないし電源装置20では、安定したバッテリ充電が行え、信頼性の高い充電特性が得られることが確認された。
【0107】
(1) 上記実施の形態では、バッテリ充電回路2の利用形態として電源装置20やコージェネレーションシステム100を例示したが、これらに限定されない。リチウムイオン電池など、充電可能なバッテリを備える各種の電源におけるバッテリの充電に広く用いることができる。
【0108】
(2) 上記の実施の形態では、電流制御回路12で電圧制御回路10の電流制御を行う回路形態を例示したが、電圧制御回路10で電流制御回路12の電圧制御を行う形式で、制御電源部6を制御する構成としてもよい。
【0109】
(3) 上記実施の形態では、単一のフォトカプラ30を備えて、電圧制御回路10および電流制御回路12の制御情報8を制御電源部6に通知する形態を採用しているが、電圧制御回路10および電流制御回路12のそれぞれの制御情報を個別にたとえば、フォトカプラ30で制御電源部6に伝達して制御電源部6の出力を制御してもよい。
【0110】
(4) 上記実施の形態では、充電電流の検出素子に抵抗48を用いたが、電流検出可能なトランジスタやダイオードなどの能動素子を用いてもよく、能動素子で検出された電流を直接制御情報として充電電流を制御してもよい。
【0111】
(5) 上記実施の形態では、電圧制御部10−2にある三端子レギュレータ44に流れる電流を電流制御部12−2で制御する構成としたが、電流制御部12−2と三端子レギュレータ44とに別個に電流を流すように三端子レギュレータを備えて、バッテリ4の充電電流を制御してもよい。上記実施の形態のように三端子レギュレータを共用させれば、構成部品を省略でき、構成の簡略化に資する。
【0112】
以上説明したように、本発明の技術の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。