特許第6449050号(P6449050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449050
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】高硬度クリアコーティング材
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20181220BHJP
   C09D 161/28 20060101ALI20181220BHJP
   C09D 161/04 20060101ALI20181220BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20181220BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20181220BHJP
   C09D 5/08 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   C09D133/00
   C09D161/28
   C09D161/04
   C09D7/20
   C09D7/61
   C09D5/08
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-37162(P2015-37162)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-121319(P2016-121319A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年9月29日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0188010
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】ユ、チャン、ヨル
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−275648(JP,A)
【文献】 特開平09−003392(JP,A)
【文献】 特開2004−300238(JP,A)
【文献】 特開平10−298451(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/199653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−10/00
C09D 101/00−201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム素材表面の硬度及び耐蝕性を向上させることができる高硬度クリアコーティング材において、
重量%でメラミン硬化剤10〜20%、シリカ10〜15%、フェノール樹脂1〜5%、クリル樹脂40〜50%、シクロヘキサノン溶剤10〜15%、芳香族溶剤5〜10%、および微粉シリカ消光剤1〜5%を含む、高硬度クリアコーティング材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高硬度クリアコーティング材に関するものであり、より詳細には、アルミニウムの硬度と光沢を向上させることができる高硬度クリアコーティング材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、アルミニウム素材1の硬度と光沢を向上させるため、アノダイジング層2と耐蝕コーティング層3を形成させる技術が活用されている。これはアノダイジング処理によって硬度の高いアノダイジング層2を形成し、光沢と耐蝕性を向上させるために透明な耐蝕コーティング層3を形成させる技術である。
【0003】
耐蝕コーティング層3を形成させる素材は、重量%でポリエステル樹脂30〜40%、イソシアネート硬化剤20〜30%、芳香族溶剤15〜20%、シクロヘキサノン溶剤15〜20%、微粉シリカ消光剤4〜8%を含む。
【0004】
上記技術によるクリアコーティング層の形状が図1に図示されている。
【0005】
しかし、このようなクリアコーティング層は、成形時、アノダイジング層2に脆性破壊が起こりながら耐蝕コーティング層3まで共に壊される問題点があった。このように、アノダイジング層2と耐蝕コーティング層3が壊されると、外観上割れ、はげなどの問題が生じ、壊された部位を中心に腐食が深まるようになる。
【0006】
アノダイジング層2を削除すればアノダイジング層2の脆性破壊による耐蝕コーティング層3の破損は防止することができるが、耐蝕コーティング層3だけでは求められる硬度を満足させることができないので、容易に表面に傷が生じた。また、硬度が高い耐蝕コーティング層3を製造しても成形性が落ちる短所があり、成形後、端部の破れ、割れの問題が生じる。このような問題は、耐蝕コーティング層3の主な素材として使われるポリエステル樹脂の硬度が低いためである。
【0007】
したがって、このような問題を解決できる硬度と耐蝕性が同時に向上しされたコーティング材が求められる状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、アノダイジング層を削除して成形性を向上した高硬度クリアコーティング材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を果たすために、本発明の一実施例による高硬度クリアコーティング材は、アルミニウム素材表面の硬度及び耐蝕性を向上させることができる高硬度クリアコーティング材において、重量%でメラミン硬化剤10〜20%、シリカ10〜15%、フェノール樹脂1〜5%、残部アクリル樹脂及びその他の不可避な不純物を含む。
【0010】
重量%でシクロヘキサノン溶剤10〜15%、芳香族溶剤5〜10%、微粉シリカ消光剤1〜5%をさらに含み、上記アクリル樹脂の含量は40〜50%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による高硬度クリアコーティング材によると、次のような效果がある。
第一、アノダイジング層を削除して工程時間を減らすことができる。
第二、成形性が増加してプレス作業時、端部割れを防止することができる。
第三、より薄いコーティング層の具現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来のアノダイジング層が含まれたコーティング層を示した簡略図。
図2】本発明の一実施例によるアノダイジング層が削除されたコーティング層を示した簡略図。
図3】アノダイジング処理の有無とコーティング層の成分によるクラック発生の可否、成形性、耐スクラッチ性を比較した表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで使われる専門用語は、単に特定の実施例を言及するためのものであって、本発明を限定することを意図しない。ここで使われる単数形は、文句がこれと明白に反対の意味を示さない限り、複数形も含む。明細書で使われる "含む"の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素及び/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分及び/または群の存在や付加を除くものではない。
【0014】
別途に定義はしなかったが、ここで使われる技術用語及び科学用語を含む全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者が一般的に理解している意味と同一の意味を有する。普段使われる辞書に定義されている用語は、関連技術文献と現在開示されている内容に符合する意味を持つものとして追加解釈されるし、定義されない限り、理想的または公式的意味としては解釈されない。
【0015】
以下、添付された図面を参照にして本発明の好ましい実施例による高硬度クリアコーティング材について説明する。
【0016】
図1及び図2に図示されたように、本発明はアノダイジング層2を削除し、アルミニウム素材1のすぐ上にクリアコーティング層100を形成するものである。従来の耐蝕コーティング層3に足りなかった硬度と成形性を補うため、本発明のクリアコーティング層100の成分を次のように調節した。
【0017】
重量%でメラミン硬化剤10〜20%、シリカ10〜15%、フェノール樹脂1〜5%、残部アクリル樹脂及びその他の不可避な不純物を含む。
【0018】
アクリル樹脂は、成形性と硬度が共に高い素材として、ポリエステル樹脂に比べて成形性は少し不足しているが、硬度はより優秀である。しかし、アルミニウム素材1に対する付着性が足りない短所があるため、メラミン硬化剤とフェノール樹脂を通じてアルミニウム素材に対する付着性を向上させ、シリカを通じて硬度を向上させることができる。メラミン硬化剤は、成形性と付着性に優れた素材として、イソシアネート硬化剤に比べて成形性が優秀であるため、本発明に適用することができる。メラミン硬化剤を通じて付着性向上の效果を得るためには、10%以上の含量が必要となり、20%を超えて添加する場合、成形性が低下するので20%以下と制限した。シリカは10%以上添加してから硬度向上の效果を期待することができ、含量が多くなるほど硬度向上の效果が高くなるが、付着性が低下するため、最大の含量を15%と制限した。フェノール樹脂は1%以上添加してから付着性の向上を期待することができ、5%を超えて添加すると黄色の発色現象が現われながら成形性が低下する問題が生じるので、最大の含量を5%と制限した。
【0019】
重量%でシクロヘキサノン溶剤10〜15%、芳香族溶剤5〜10%、微粉シリカ消光剤1〜5%をさらに含み、上記アクリル樹脂の含量は40〜50%であることが好ましい。
【0020】
アクリル樹脂は、成形性を維持するために少なくとも40%以上の含量が必要であるが、過量を添加する時は付着性が低下するので、最大含量を50%と制限した。シクロヘキサノン溶剤は、メラミン硬化剤を溶解させるための溶剤であり、芳香族溶剤はアクリル樹脂を溶解するための溶剤であって、硬化剤と樹脂を溶解するために上述の含量範囲が要求される。微分シリカ消光剤は半光を抑制するために適量を添加することが好ましい。
【0021】
アルミニウム素材1に本発明のコーティング材をコーティングする方法は特に制限はないが、より平たいコーティング面を得て大量生産に適合するロールコーティング方法を適用することが好ましい。
【0022】
コーティング材の成分とアノダイジング処理の有無によって成形性と硬度、すなわち耐スクラッチ性がどのように変化するのかは図3に図示されている。
【0023】
図3に図示されたように、アノダイジング処理を行った場合、成形性が不足しており、クリア層の素材としてポリエステルを使用しながらアノダイジングを省略する場合、耐スクラッチ性が基準に達しないことが分かる。
【0024】
成形性の評価はV字の切込みベンディング試験機を用いて90度ベンディング試験の後、クラックや破断発生の可否を持って評価し、耐スクラッチ性の評価は直径1mmの硬度測定用ボールで表面を掻いた後、表示された痕跡の太さ、深さなどの外観を上、中、下の等級に分けた。アクリルコーティング層は、アクリル樹脂をベースとして使った本発明であり、ポリエステルコーティング層は、ポリエステルをベースとして使った従来のクリアコーティング材である。
【0025】
以上、添付された図面を参照にして本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施されることができるということを理解できるであろう。
【0026】
したがって、上記の実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものではないものと理解しなければならない。本発明の範囲は、上記の詳細な説明より、後述の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等な概念から導出されるすべての変更または変更された形態が本発明の範囲に含まれるものとして解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0027】
1: アルミニウム素材 2: アノダイジング層
3: 耐蝕コーティング層 100: コーティング層
図1
図2
図3