【実施例1】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
表1に示すように、炭化水素系アニオン界面活性剤であるアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(商品名「リポランLB-440」、ライオン(株)製:RCH=CH(CH
2)
nSO
3Na(Rの炭素数14)と、炭化水素系両性界面活性剤であるラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名「アンヒトール20BS」、花王(株)製:
C12H25N+(CH3)2CH2COO−を用い、50%硫酸(試薬1級)にてpHを調整して、環境配慮型泡消火薬剤を作成した。
【0033】
【表1】
【0034】
50%硫酸の調整は、水20ml:硫酸20mlを混合して作製した。
このようにして得られた環境配慮型泡消火薬剤3mlを、水97mlに希釈調整して、以下の試験を行った。
【0035】
<下水の排除基準>
昭和34年4月22日政令第147号;下水道法令施行令に基づき、下水の排除基準の試験を行なった。表2はその結果を示すものである。
【0036】
【表2】
【0037】
表2に見られるように、本発明に係る環境配慮型泡消火薬剤によれば、下水道法令施行令、下水の排除基準の基準値を満足していることが判る。
【0038】
次いで、表1に示した環境配慮型泡消火薬剤を用いて、泡消火薬剤の技術上の規格を定める省令に準じた標準発泡ノズルを使用して泡消火薬剤としての発泡試験および消火試験を実施した。
【0039】
<泡消火薬剤発泡試験>
試験条件
標準発泡ノズル:合成界面活性剤泡消火薬剤試験用
泡採取容器:泡試料コンテナ(容量:1400ml)
放水量:10.0L/分
放水圧力:0.7MPa
水温・気温:20±2℃
【0040】
発泡は、3%に希釈した環境配慮型泡消火薬剤を合成界面活性剤泡消火薬剤試験用標準発泡ノズルで放出し、気泡を泡試料コンテナ(容量:1400ml)に採りその質量(g)を測定し、次式により発泡倍率を算出した。
発泡倍率(倍)=1400/気泡の質量(g)
【0041】
25%還元時間は、上記の方法により採取した泡沫が全体容量の25%の水溶液に戻るまでの時間を測定する。ここで、泡沫が全体容量の25%になるまでの還元量は次式により求めた。
25%還元量(g)= 泡沫の質量(g)×25%
(判定基準)発泡倍率6倍以上、25%還元時間1分以上
【0042】
<泡消火薬剤消火試験>
消火試験は、3%に希釈した環境配慮型泡消火薬剤を合成界面活性剤泡消火薬剤試験用標準発泡ノズルで8分間放出し、消火するまでの時間を計測した。
試験条件
標準発泡ノズル:合成界面活性剤泡消火薬剤試験用
放水量:10.0L/分
放水圧力:0.7MPa
水温・気温:20±2℃
試験装置:鉄製燃焼皿(長さ:200cm、幅:200cm、深さ:30cm)
(判定基準)8分間放射し、5分以内に消火するものであること。
表3は、これらの結果を示すものである。
【0043】
【表3】
【0044】
表3から、本発明に係る環境配慮型泡消火薬剤は、泡消火薬剤の技術上の規格を定める省令において定められた、発泡倍率6倍以上、25%還元時間1分以上、消火時間5分以内とされる規格を満足していることが判る。
【0045】
そこで次に、本発明に係る環境配慮型泡消火薬剤と、他の泡消火薬剤とを対比するために、以下の試験を行った。
先ず、上述したアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(商品名「リポランLB-440」、ライオン(株)製:RCH=CH(CH
2)
nSO
3Naと、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名「アンヒトール20BS」、花王(株)製:
C12H25N+(CH3)2CH2COO−を使用して、表4
に示す配合によって実施例1〜4および比較例1、2の泡消火薬剤を作製した。
【0046】
そして、50%硫酸(試薬1級、和光純薬工業(株)製)にてpHを調整した泡消火薬剤3mlと水97mlについて、生物化学的酸素要求量(BOD)およびフォームヘッドと組み合わせた発泡試験と消火試験を実施した。
【0047】
【表4】
【0048】
発泡試験および消火試験は、上記非特許文献1に記載された試験方法によるフォームヘッドの性能評定に準じ、フォームヘッドと泡消火薬剤を組み合わせて試験をした。
【0049】
<発泡試験>
試験条件
泡放出口:フォームヘッド(一般財団法人日本消防設備安全センター性能評定品)
ヘッド個数:1個
試験装置:泡試料コレクター(合成界面泡消火薬剤)
泡採取容器:メスシリンダー(1000ml)
放水量:35l/min
放水圧力:0.25MPa
水温・気温:20±2℃
【0050】
発泡は、3%希釈した泡消火薬剤を加圧装置にて圧送し、フォームヘッドを用いて放出し発泡させ、発泡した泡沫を泡試料コレクターにて清流したものをメスシリンダー(容量:1000ml)にて採取しその質量(g)を測定し、次式により発泡倍率を算出した。
発泡倍率(倍)=1000(ml)/泡沫の質量(g)
【0051】
25%還元時間は、上記の方法により採取した泡沫が全体容量の25%の水溶液に戻るまでの時間を測定する。泡沫が全体容量の25%になるまでの還元量は次式により求めた。
25%還元量(g)= 泡沫の質量(g)×25%
(判定基準)発泡倍率5倍以上、25%還元時間30秒以上
【0052】
<消火試験>
試験条件
消火試験はヘッドを4個正方形に配置し、予燃焼時間1分経過後に3%に希釈した環境配慮型泡消火薬剤を1分間放射して試験した。
泡放出口:フォームヘッド(一般財団法人日本消防設備安全センター性能評定品)
ヘッド個数:4個(正方形配置)
放水量:35l/min
放水圧力:0.25MPa
水温・気温:20±2℃
試験装置:鉄製燃焼皿(長さ:200cm、幅:100cm、深さ:20cm)
(判定基準)1分間放射したとき消火するものであること。
【0053】
<生物化学的酸素要求量(BOD)>
生物化学的酸素要求量(BOD)は、JIS K0102−21に準じて試験を行った。
希釈水の調整:ばっ気した水1lにA液、B液、C液、D液、を各1ml加える。
A液:リン酸水素二カリウム21.75g、リン酸二水素カリウム8.5g、リン酸水素ナトリウム・12水44.6g、塩化アンモニウム1.7gを水に溶かした1000mlとする。
B液:硫酸マグネシウム七水和物22.5gを水に溶かした1000mlとする。
C液:塩化カルシウム27.5gを水に溶かした1000mlとする。
D液:塩化鉄(III)六水和物1.6gを水に溶かした1000mlとする。
【0054】
<希釈試料の調整>
有栓形メスシリンダー1000mlに希釈液を約半分入れ、前処理した試料を加え、希釈水で1000mlとする。栓をして静かに混合する。同様に希釈倍率の異なる物を調整する。培養瓶に希釈試料を入れ、1本は培養前の試料とし他は20±1℃に調整した恒温槽に入れて5日間培養する。
【0055】
希釈試料は、調整後15分間放置したものと、恒温槽で5日間培養したものについて、溶存酸素を隔膜電極法にて測定し、次式により生物化学的酸素要求量(BOD)を算出する。
BOD=(D
1−D
2)/P
ここで、BOD:生物化学的酸素要求量(mgO/l)
D
1:希釈試料を調整してから15分間後の溶存酸素(mgO/l)
D
2:培養後の希釈試料の溶存酸素(mgO/l)
P:希釈資料中の試料の占める割合(試料/希釈試料)である。
【0056】
<隔膜電極法>
溶存酸素測定器に亜硫酸ナトリウム(25g→500ml)を注入し、マグネットスターラーで攪拌しながら電極を挿入してゼロ調整をおこなう。次に溶存酸素飽和水を注入して「JIS K0102 表32.1水中の飽和溶存酸素」から指示値を合わせる。次に試料を注入して生物化学的酸素要求量(BOD)を測定する。
表5は、上記試験の結果を示すものである。
【0057】
【表5】
【0058】
表5に示す結果から、実施例1〜4は、下水道法令施行令、下水の排除基準の生物化学的酸素要求量、600mg/l未満の基準値を満足し、かつ上記非特許文献1に記載された試験方法による、フォームヘッドで用いる泡消火薬剤の基準である発泡倍率5倍以上、25%還元時間30秒以上、1分間泡放射後に消火できる性能を満足していることが判る。
【0059】
これに対して比較例1は、消火時間が1分以上であり、比較例2は、生物化学的酸素要求量が600mg/l以上となっているので、いずれも上記の条件を満たしていない。