特許第6449076号(P6449076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449076
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】殺菌装置、殺菌方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/08 20060101AFI20181220BHJP
   B65B 55/10 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   B65B55/08 B
   B65B55/10 A
   B65B55/10 E
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-65395(P2015-65395)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-182987(P2016-182987A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】竹内 靖恵
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】青木 浩一
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−502563(JP,A)
【文献】 米国特許第6028315(US,A)
【文献】 特開平10−057465(JP,A)
【文献】 特開2004−159703(JP,A)
【文献】 特開2007−311259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 55/00−55/24
A61L 2/00− 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波が照射されると紫外線を発光する発光体を保持し、殺菌対象である容器の収容空隙に挿入された状態で前記容器の内周面に対向する光源と、
前記光源の外表面に付着させるための液体を前記光源に供給する液体供給源と、
前記液体が付着した状態で前記容器の前記内周面に対向する前記光源に向けて、前記電磁波を照射する電磁波発生部と、
を備え、
前記光源が前記収容空隙に挿入された状態であって、かつ前記液体が付着した状態で、前記光源に前記電磁波が照射されると、前記液体は、オゾンまたはラジカルを発生させることを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
前記液体は、水、過酸化水素、過酢酸の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記ラジカルは、ヒドロキシラジカルである、
請求項1または2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記光源は、前記発光体が内部に封入される無電極光源である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記光源は、前記発光体と、前記発光体を封入する封入体と、からなり、
前記封入体は石英ガラスからなる、
請求項4に記載の殺菌装置。
【請求項6】
前記光源は、管状の形態を有する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項7】
前記光源は、前記容器に追従して移動し、
定位置に置かれる前記電磁波発生部の前記電磁波の照射領域を通過する過程で、前記光源は前記電磁波の照射を受けて前記紫外線を前記容器に向けて出射する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項8】
前記光源が前記容器の前記収容空隙に挿入された状態で、前記液体が、前記光源を吊り下げる索体を伝って前記光源の前記外表面に供給される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項9】
前記光源が前記容器の前記収容空隙に挿入される前に、前記液体供給源は、前記光源の前記外表面に向けて前記液体をミスト状に噴霧する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項10】
前記光源が前記容器の前記収容空隙に挿入される前に、前記光源が前記液体供給源としての液体槽に浸漬される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項11】
前記光源の外表面に、前記液体を保持する保液部が形成されている、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項12】
前記容器は、飲料用のプラスチックボトル、または、前記プラスチックボトルの前駆体であるプリフォームである、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項13】
電磁波が照射されると紫外線を発光する発光体を封入した光源の外表面に、液体を供給し付着させる第1ステップと、
前記液体が付着した状態で殺菌対象に対向する前記光源に向けて、電磁波を照射する第2ステップと、を備え、
前記第2ステップの過程で、前記液体が気化して蒸気が発生するとともにオゾンまたはラジカルが発生する、
ことを特徴とする殺菌方法。
【請求項14】
前記液体は、水、過酸化水素、過酢酸の少なくともいずれかである、
請求項13に記載の殺菌方法。
【請求項15】
前記殺菌対象は、飲料用のプラスチックボトル、または、前記プラスチックボトルの前駆体であるプリフォームである、
請求項13または請求項14に記載の殺菌方法。
【請求項16】
前記第2ステップに先立ち、前記光源を、前記プラスチックボトルまたは前記プリフォームの収容空隙に挿入する、
請求項15に記載の殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料や医療用液体が充填される容器、例えばPETボトルのようなプラスチックボトルあるいはボトルの前駆体であるプリフォームの内周面を殺菌するのに好適な殺菌装置および殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックボトルあるいはプリフォーム等の容器を殺菌する装置として、紫外線を照射するものが知られている(例えば、特許文献1,2,3)。
特許文献1は、容器が搬送される領域に紫外線を照射するものであり、容器にはその外側から紫外線が照射される。
また、特許文献2および特許文献3は、紫外線発生器から発光された紫外線を光ファイバーと光照射本体から成る光照射部とによって容器の口部の外面または充填機の充填ノズル口へ照射して、容器の口部の外面または充填ノズル口を殺菌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−252312号公報(図1
【特許文献2】特開平4−72195号公報(図1
【特許文献3】特開平11−334793号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、紫外線は容器を構成する壁を透過する透過性に劣る。したがって、特許文献1のように、容器の外側から照射したのでは、容器の内周面まで殺菌に足りる紫外線が届きにくい。
また、特許文献2および特許文献3においては、紫外線が照射されるのは容器口部の外面であるから、容器の内周面、特に口部に連なる胴部の内周面を十分に殺菌することはできない。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑み、容器の内周面を効果的に殺菌できる殺菌装置および殺菌方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明の殺菌装置は、容器内部に配置される紫外線発光源としての光源に、所定の液体を付着させた状態で電磁波を照射することで容器の内周面を殺菌することを要旨とするものである。この殺菌装置は、基本的な構成としては、電磁波が照射されると紫外線を発光する発光体を保持し、殺菌対象である容器の収容空隙に挿入された状態で容器の内周面に対向する光源と、光源の外表面に付着させるための液体を光源に供給する液体供給源と、液体が付着した状態で容器の内周面に対向する光源に向けて、電磁波を照射する電磁波発生部と、を備える。そして、光源が収容空隙に挿入された状態であって、かつ液体が付着した状態で、光源に向けて電磁波が照射されると、液体が、オゾンまたはラジカルを発生させることを特徴とする。
光源に液体を付着させた状態で電磁波を照射することにより、この液体が気化し、容器内部に蒸気が充満すると同時に、オゾンまたはラジカルを発生させることができる。これにより、光源が保持する発光体によって発生する紫外線殺菌効果が向上する。
【0007】
オゾンまたはラジカルの発生に寄与する上記液体としては、例えば水(HO)、過酸化水素(H)、過酢酸(CHCOOOH)が例示される。
また、ラジカルとしては、ヒドロキシラジカルが挙げられる。ヒドロキシラジカルは高い殺菌力を発現する。
【0008】
本発明の殺菌装置において、上記光源として、発光体が内部に封入される無電極光源を用いることができる。このような無電極光源は、配線や電源を繋げる必要がなく小型化することができるため、口部が狭い容器や、小型容器の内部にも挿入しやすいという利点がある。また、このような無電極光源は、液体を付着させても腐食しにくいため、本発明の殺菌装置における光源として好適である。なお、電極を有する光源は、腐食性の高い液体がその外面に付着すると電極部分が腐食しやすい。
上記の無電極光源は、発光体と、発光体を封入する封入体とからなり、この封入体が石英ガラスからなることが好ましい。石英ガラスは紫外線透過率に優れるとともに、通常のガラスと比較して耐腐食性が高く、温度変化にも強い。
光源は容器内部に挿入可能であればその形状は問わないが、例えば管状の形態とすることができる。PETボトルの前駆体であるプリフォームの口径は約24mm程度と狭いが、このように口部が狭い容器を殺菌する場合には管状の光源が好適である。
【0009】
本発明の殺菌装置において、光源は容器に追従して移動させる一方で、電磁波発生部は定位置に固定して設置することができる。この場合、光源が挿入された容器が電磁波発生部の電磁波照射領域を通過する過程で、光源が電磁波の照射を受けると、紫外線が光源から容器内周面に向けて出射される。よって、容器内周面を効果的に殺菌することができる。
【0010】
液体を光源外表面に付着させる形態としては、2つの形態、すなわち、光源が容器の収容空隙に挿入された状態で液体を付着させる第1の形態と、光源が容器内部に挿入される前に光源外表面に液体を付着させて、その直後に光源を容器内部に挿入する第2の形態と、が挙げられる。1つの回転テーブルを用いて複数の容器を順次殺菌処理する場合には、第1の形態が好ましい。一方、第2の形態によれば、光源外表面に液体を均一に付着させやすい。
第1の形態の一例として、光源を吊り下げる索体を伝って光源の外表面に液体を供給することができる。
第2の形態の一例として、液体供給源が光源の外表面に向けて液体をミスト状に噴霧し、その直後に光源を容器内部に挿入するようにしてもよい。また、第2の形態の他の例として、光源を液体供給源としての液体槽に浸漬し、その直後に光源を容器内部に挿入することもできる。
【0011】
一旦供給した液体が、電磁波照射前に光源の外表面から流れ落ちる量を減らすために、換言すると、必要な量の液体の付着状態が電磁波照射時にできるだけ維持されるように、光源の外表面に、液体を保持する保液部、例えば突起や微小凹凸を形成することができる。保液部を設けることにより、液体が光源の外表面に滞留する時間を長くすることができる。このような保液部は、上記した第1の形態および第2の形態のいずれにも適用することができる。
【0012】
殺菌対象となる容器としては、飲料用のプラスチックボトル、または、プラスチックボトルの前駆体であるプリフォームが挙げられるが、本発明の殺菌装置はその他の容器を殺菌する際にも好適である。
【0013】
本発明は、以下の第1ステップおよび第2ステップを備える殺菌方法も提供する。すなわち、本発明の殺菌方法では、第1ステップとして、電磁波が照射されると紫外線を発光する発光体を封入した光源の外表面に、液体を供給し付着させる。続く第2ステップでは、液体が付着した状態で殺菌対象に対向する光源に向けて、電磁波を照射する。この第2ステップの過程で、液体が気化して蒸気が発生するとともにオゾンまたはラジカルが発生することにより、殺菌効果が高まるのである。
殺菌対象としては、飲料用のプラスチックボトル、または、その前駆体であるプリフォームが挙げられる。この場合には、第2ステップに先立ち、光源を、プラスチックボトルまたはプリフォームの収容空隙に挿入すればよい。
液体としては、水、過酸化水素、過酢酸の少なくともいずれかが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の殺菌装置は、殺菌対象としての容器の内部に光源を挿入し、光源から容器の内周面に向けて紫外線を出射するため、容器の内周面を紫外線により直接的に殺菌することができる。よって、本発明によると、容器の外周面に紫外線を照射するのに比べて、高い殺菌効果が得られる。
しかも、光源が容器の内部に挿入された状態であって、かつ液体が付着した状態で、光源に電磁波が照射されると、液体が、オゾンまたはラジカルを発生させるため、殺菌効果がさらに高まる。
また、本発明は、紫外線の光源として紫外線を発光する発光体が保持された光源を用いるが、この光源は水銀や、キセノンガス、アルゴンガス等の発光体を保持すれば足りるので、寸法的な制約が小さい。したがって、殺菌対象がプリフォームのように径方向の寸法が小さい容器であっても、その内周面を殺菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る容器殺菌装置を組み込んだラインを模式的に示した平面図である。
図2図1の殺菌部の構成を示し、図1の断面II−IIを示している。
図3】光源の表面に液体を付着させる手法を説明するための図である。
図4】外表面に突起を設けた光源の外観を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る殺菌処理ライン10について、図1図2を参照して説明する。殺菌処理ライン10は、上流から連続的に搬送される容器Pの特に内周面に、殺菌光である紫外線、及び、オゾンまたはラジカルの発生に寄与する液体Lを用いて殺菌処理を施してから、下流に向けて搬送するものである。
図1に示すように、殺菌処理ライン10は、上流から搬送されてくる容器Pに殺菌処理を施す処理部20と、上流から搬送される容器Pを処理部20に受け渡す上流側ホイール12と、処理部20で殺菌された容器Pを受け取り、下流に向けて搬送する下流側ホイール14と、を備える。
容器Pとしては、PETボトルまたはPETボトルの前駆体であるプリフォームを例示することができる。これらはいずれも外周面と内周面を有するとともに、胴部の内周面よりも内側に、内容物を収容する空隙(収容空隙)が設けられる。
【0017】
処理部20は、上流側ホイール12から受け渡される容器Pを受け取り、かつ支持しながら回転する回転テーブル21と、回転テーブル21に支持されているそれぞれの容器Pに挿入される、紫外線発生源としての光源23と、光源23の外表面に付着させるための液体Lを供給する液体供給源40と、を備えている。
光源23は、発光体Vを内部に封入する封入体231と、封入体231に封入されて保持される発光体Vとを含む。電磁波Wが照射されると、発光体Vが紫外線を発光する。
また、処理部20は、光源23が挿入されかつ液体Lが付着された状態の容器Pに向けて電磁波Wを照射する電磁波発生器27を備えている。なお、上流側ホイール12、下流側ホイール14及び回転テーブル21は、その外周に容器Pを把持する手段を備えているものとする。
【0018】
殺菌処理ライン10は、上流側ホイール12により連続的に搬送される容器Pを回転テーブル21で受け取り、回転テーブル21は容器Pを把持しながら回転する。
なお、図1において、上流側ホイール12、下流側ホイール14、回転テーブル21が回転する向き、容器Pが搬送される向きを実線の矢印で示している。また、上流側ホイール12、下流側ホイール14及び回転テーブル21は、同期して回転されるようになっている。
【0019】
容器Pは、回転テーブル21の回転に伴って搬送される過程で、区間R1、区間R2及び区間R3を通過する。
区間R1または区間R2において、容器Pの内部に管状の光源23が挿入され、光源23に向けて電磁波発生器27から電磁波Wを照射して、殺菌処理がなされる。光源23を、区間R1または区間R2のいずれで挿入するかは、液体Lの供給方法に応じて決定されるが、これについては後述する。
区間R3では、区間R1または区間R2で挿入された光源23が容器Pから抜き取られ、その後、下流側ホイール14へ受け渡され、下流側ホイール14から下流に向けて搬出されるようになっている。
【0020】
光源23に向けて電磁波発生器27が出力する電磁波Wとしては、マイクロ波が例示される。マイクロ波の波長としては、300MHz〜3THzの範囲、望ましくは1〜100GHzの範囲が好ましい。
本実施形態では、容器Pの内部に挿入された光源23から、殺菌光である紫外線を容器Pの内周面に向けて照射するため、この紫外線は容器Pを透過する必要はない。換言すると、低エネルギーで容器Pの内部を殺菌することができる。
【0021】
<光源23>
光源23は、上述した通り、発光体Vを封入する封入体231と、封入体231に封入されて保持される発光体Vとを含む。本実施形態の封入体231は管状の形態をなすが、管状に限らず、発光体Vを封入できてかつ容器Pに挿入可能な他の形態であってもよい。また、封入体231の形態は容器Pの形状に応じて適宜設定することができる。
光源23は、図示しない昇降機構によって、図2に示したY方向、つまり鉛直方向、およびY方向と直交する水平方向にも移動可能である。
光源23は無電極光源であり、配線や電極を有しておらず、殺菌処理が行われる過程においては、容器Pの内部に挿入された状態で容器Pと追随して移動可能である。一方、殺菌処理後に通過する区間R3では、上述の通り、光源23は容器Pから抜き取られる。
【0022】
光源23を構成する封入体231としては、例えば石英ガラス管を用いることができる。封入体231に要求される特性の一つとして、電磁波Wが照射されることで発光体Vが発光する紫外線を透過させることが挙げられるが、石英ガラスは紫外線透過率に優れている。また、石英ガラスは、通常のガラスに比べて化学的に極めて安定であり、温度変化にも強く、優れた耐薬品性を有するため、腐食性の高い液体Lを使用する場合においても好適に用いられる。
【0023】
光源23に封入される発光体Vとしては、水銀や、キセノンガス、アルゴンガス等の希ガスを用いることができる。これらの発光体Vは、外気から遮断された状態で封入体231内に封入されるため、その特性は封入状態が維持される限りは劣化しない。キセノンガス、アルゴンガス以外の希ガスで、発光体Vとして使用可能なガスは、ヘリウムガス,ネオンガス,クリプトンガス,ラドンガスである。
ここで、光源23内に封入された発光体Vから発光する紫外線は、波長が100〜280nmであると、殺菌力が強く、殺菌が効果的に行われる。
【0024】
<液体L>
本発明は、殺菌光である紫外線に加えて、オゾンまたはラジカルの発生に寄与する液体Lを用いて殺菌処理を施すことを主たる特徴とする。
液体Lとしては、例えば水(HO)、過酸化水素(H)、過酢酸(CHCOOOH)が例示される。但し、元素としてOおよびHを含む液体であって、電磁波Wが照射されることによりオゾンまたはラジカルを発生させる液体であれば、水、過酸化水素、過酢酸以外の液体を用いてもよい。
【0025】
液体Lは、電磁波発生器27から電磁波Wが光源23に向けて照射される前に、光源23の外表面に付着している。
液体Lとして水(HO)を用いた場合には、電磁波Wの照射により水が気化し、容器P内に蒸気が充満するが、その過程で水に含まれる少なくとも一部のOがオゾンOに変化し、殺菌力を発現する。オゾンOの少なくとも一部がヒドロキシラジカルを発生させるが、ヒドロキシラジカルも、高い殺菌力を発現する。
液体Lとして過酸化水素(H)や過酢酸(CHCOOOH)を用いた場合には、電磁波Wの照射によりこれらが気化する過程で、ヒドロキシラジカルや有機ラジカルが発生し、特にヒドロキシラジカルが高い殺菌力を発現する。
液体Lとして水を用いる場合よりも、過酸化水素または過酢酸を用いた場合の方が高い殺菌力を得ることができるため、高い殺菌力を得たい場合には液体Lとして過酸化水素または過酢酸を用いればよい。
一方、オゾンには脱臭効果もあるため、液体Lとして水を用いる場合には、容器P内に殺菌剤特有の匂いが残留しにくいという利点がある。また、水、過酸化水素、過酢酸の中では水の沸点が最も低いため、液体Lとして水を用いる場合には短時間で気化させやすく、効率よくオゾンまたはラジカルを発生させることができるという利点がある。その他、液体Lとして水を用いる利点としては、安価、入手しやすさ、残留物がない、残留臭がない等がある。
なお、殺菌に寄与するラジカルとしては、上記したもの以外に、スーパーオキシドアニオンラジカル,ヒドロペルオキシルラジカル等が挙げられる。
また、液体Lとして、複数種類の液体を混合して用いてもよい。
【0026】
液体供給源40が光源23に向けて供給する液体Lの量は、光源23の形状,表面積や殺菌対象である容器Pの容積、液体Lの供給方法、電磁波Wの照射時間等に応じて適宜設定される。大量のオゾンまたはラジカルを発生させるためには液体Lを光源23の外表面に均一に付着させることが好ましいが、光源23の外表面の一部に液体Lが付着していない形態を本発明は包含する。この形態であっても、液体Lを用いずに殺菌光である紫外線のみを用いる場合と比較して殺菌力が向上するためである。
殺菌処理の過程で一部の液体Lが気化しきれずに容器P内に残留することは望ましくないため、この点も考慮して液体Lの供給量は設定される。
ここで、容器P内に直接、液体Lを供給する手法も考えられる。但し、電磁波Wが照射される光源23は容器Pよりも熱をもっているため、光源23の外表面に液体Lを供給し付着させる手法の方が、容器P内に直接、液体Lを供給する手法よりも液体Lが気化,活性化しやすいためにオゾンまたはラジカルを大量発生させる上で有利であるとともに、液体Lの残留を回避する上でも有利である。
【0027】
本実施形態においては、殺菌処理の際、光源23は容器Pの収容空隙内に挿入された状態で容器Pに追従して移動する。そして、定位置に置かれる電磁波発生器27の電磁波Wの照射領域を通過する過程で、つまり、図1に示した区間R2の通過直後の所定時間内に、光源23は電磁波Wの照射を受けて紫外線を容器Pの内周面に向けて出射する。
また、光源23が電磁波Wの照射を受けることにより、光源23の外表面に付着していた液体Lが気化し、容器P内に蒸気が充満すると同時に、液体Lからオゾンまたはラジカルが発生することにより、殺菌力が相乗的に向上する。
【0028】
次に、図1および図2を参照して、処理部20にて行われる電磁波Wの照射による殺菌処理、および殺菌処理に先立って行われる光源23の外表面への液体Lの付着方法、光源23を容器P内に挿入するタイミングについて順次説明する。
【0029】
<処理部20にて行われる電磁波Wの照射による殺菌処理>
電磁波Wの照射による殺菌処理は、容器Pの内部に管状の光源23を挿入し、光源23を殺菌対象である容器Pの内周面に対向させたままで行われる。光源23は、Y方向に昇降が可能とされた棒状の把持具(索体)29に把持されており、この把持具29を介して容器Pの内部の所定の深さまで挿入される。
この状態のままで容器Pは電磁波発生器27の前を通過する。電磁波発生器27は、図示しない電磁波スクリーンからマイクロ波等の電磁波Wを容器Pが搬送される領域に向けて出射しており、搬送される容器Pはこの電磁波Wの照射を受ける。容器Pの中に挿入された光源23が電磁波Wの照射を受けると、光源23内に封入されている発光体Vが紫外線を発光し、この紫外線は容器Pの内周面に照射されることで、容器Pの内周面を殺菌することができる。
【0030】
<光源23の外表面への液体Lの付着方法、および光源23を容器P内に挿入するタイミング>
上述した通り、図1に示した区間R1または区間R2において、容器Pの内部に光源23が挿入される。
光源23を、区間R1または区間R2のいずれで挿入するかは、光源23の外表面への液体Lの付着方法に応じて決定される。ここで、液体Lを光源23の外表面に付着させる形態としては、2つの形態、すなわち、光源23が容器Pの内部に挿入された状態で液体Lを付着させる第1の形態と、光源23が容器Pの内部に挿入される前に光源23の外表面に液体を付着させて、その直後に光源23を容器Pの内部に挿入する第2の形態と、がある。
【0031】
第1の形態の一例を、図2を参照して説明する。
図2に示すように、棒状の把持具29は鉛直方向に延びて、その一端側が光源23の上端部を把持して光源23を吊り下げている。把持具29の他端側は、液体供給源40から供給される液体Lが流れ出す液体供給口40Nに近接して配置される。液体供給口40Nの位置、および液体Lの流量,流速を適宜設定することにより、把持具29の軸方向に沿って液体Lを重力により伝わせて、把持具29に把持される光源23の外表面に液体Lを付着させることができる。
図1に示したように、1つの回転テーブル21を用いて複数の容器Pを順次殺菌処理する場合には、光源23が容器Pの内部に挿入された状態で液体Lを付着させる第1の形態が好ましい。また、図2に示した方法によれば、簡素な装置構成にて光源23の外表面に効率よく液体Lを供給、付着させることができる。
【0032】
次に、第2の形態の具体例を、図3(a)、(b)を参照して説明する。
図3(a)に示すように、ノズルである液体供給口40Nを光源23の側面に対向配置して、液体供給口40Nからミスト状に液体Lを噴霧することにより、光源23の外表面ほぼ全域に液体Lを付着させてもよい。
なお、容器Pが比較的大きい場合には、例えば光源23を軸心まわりに回転させながら液体Lを噴霧することにより、光源23の外表面に均一に液体Lを付着させてもよい。容器Pがプリフォームのように小型である場合には、光源23を回転させることなく、光源23の外表面ほぼ全域に液体Lを付着させることができる。
もしくは、図3(b)に示すように、液体供給源40としての液体槽を区間R1または区間R1の近傍に設置し、この液体槽に、把持具29に把持された状態の光源23を浸漬させることによって光源23の外表面に液体Lを付着させてもよい。
【0033】
図3(a)、図3(b)に示したような第2の形態を採用する場合には、図1に示した区間R1にて液体Lを光源23に供給,付着させ、続く区間R2において液体Lが付着した状態の光源23を直ちに容器Pの内部に挿入する。液体Lが光源23の外表面から流れ落ちることを、できるだけ回避するためである。
【0034】
第2の形態、すなわち、光源23が容器Pの内部に挿入される前に光源23の外表面に液体を付着させて、その直後に光源23を容器Pの内部に挿入する手法によれば、光源23の外表面に液体Lを均一に付着させやすい。光源23の外表面に液体Lを均一に付着させることにより、電磁波Wの照射段階で容器Pの内部に発生するオゾンまたはラジカルの発生量を多くすることができ、これにより殺菌効果の向上が期待できる。
【0035】
液体Lの付着状態が電磁波Wの照射時にできるだけ維持されるように、図4に示すように、光源23の外表面に1以上の突起(保液部)23Pを設けることが好ましい。突起23Pを設けることにより、一旦供給した液体Lが、電磁波Wの照射前に光源23の外表面から流れ落ちる量を減らすことができる。
突起23Pの形状としては、光源23の周方向に連続したリング状のものや、光源23の上端近傍から下端近傍に連なるらせん状のものが例示される。突起23Pに限らず、光源23の外表面に微小な凹凸を形成することにより、液体Lが光源23の外表面に滞留する時間を長くしてもよい。
保液部として機能する突起23P等は、上記した第1の形態および第2の形態のいずれにも適用することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によると、容器Pの内部に光源23を挿入し、光源23から容器Pの内周面に向けて紫外線を出射するので、容器Pの内周面を紫外線により直接的に殺菌することができる。よって、本実施形態によると、容器Pの外周面に向けて紫外線を照射する従来の手法に比べて、高い殺菌効果が得られる。
また、光源23の外表面に液体Lを付着させた状態で電磁波Wを照射することにより、殺菌に寄与するオゾンまたはラジカルが発生するため、液体Lを付着させることなく電磁波Wを照射した場合と比較して、より高い殺菌効果を得ることができる。
また、本実施形態は、紫外線の光源として紫外線を発光する発光体Vが封入された光源23を用いるが、この光源23は水銀や希ガス等の発光体Vを封入できれば足りるので、寸法的な制約が小さい。したがって、プリフォームのように径方向の寸法が小さい容器Pにも無理なく適用することができる。
【0037】
本実施形態では、配線や電極を有していない無電極光源である光源23を用い、この光源23を容器Pに追随して移動させる。このため、配線や電源との接続を必要とする光源を用いる場合と比較して、より簡素な装置構成とすることができ、プリフォームのような小型容器の内周面を殺菌する際にも好適に用いることができる。
また、電磁波発生器27は光源23と配線する必要はなく、電磁波発生器27自体は定位置に固定されている。よって、電磁波発生器への配線や電磁波発生器の移動手段を必要とする装置構成と比較して、容器Pに殺菌処理を施す処理部20の構成を簡素化することができる。
【0038】
上記では、光源23の外表面に液体Lを付着させる例を示したが、液体Lをガス化した上で、容器Pの内部に供給してもよい。この場合には、光源23を容器Pの内部に挿入する前に容器P内にガスを供給し、光源23を容器Pの内部に挿入した後に電磁波Wが光源23に照射されるようにすればよい。または、光源23を容器Pの内部に挿入した状態で、ガス化した液体Lを容器Pの内部に供給してもよい。このように、液体Lをガス化した上で、容器Pの内部に供給した場合でも、オゾンまたはラジカル発生による殺菌力向上効果が期待できる。
【0039】
上記実施形態では容器Pの内周面を殺菌する例を示したが、本発明の殺菌方法は容器Pの内周面の殺菌に限らず、外周面の殺菌にも適用可能である。
【0040】
また、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 殺菌処理ライン
12 上流側ホイール
14 下流側ホイール
20 処理部
21 回転テーブル
23 光源
231 ガス封入体
23P 突起(保液部)
27 電磁波発生器
29 把持具(索体)
40 液体供給源
40N 液体供給口
L オゾンまたはラジカルの発生に寄与する液体
P 容器
V 発光体
W 電磁波
図1
図2
図3
図4