(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マイクロエレクトロニクス製作用の、感光性、現像液可溶性の反射防止組成物であって、前記組成物は、溶剤系中に分散または溶解された、ポリマー性の多官能性エポキシ化合物およびビニルエーテル架橋剤を含み、前記ポリマー性の多官能性エポキシ化合物は、それに結合する少なくとも1つの架橋可能な発色団と、閉じたエポキシド環および/または開環したエポキシ基であるエポキシ部分と、を含み、前記架橋可能な発色団は2〜10の架橋可能な基を有することを特徴とする組成物。
少なくとも1つの前記架橋可能な発色団は、置換または非置換の芳香族化合物、脂肪族化合物、硫黄含有化合物、ならびにハロゲン含有化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
前記組成物は、溶剤系に分散または溶解された、前記ポリマー性の多官能性エポキシ化合物と、前記ビニルエーテル架橋剤と、随意的に光酸発生剤とから本質的になる、請求項1に記載の組成物。
前記方法はさらに、前記形成(b)の後に前記反射防止層を熱的に架橋することを含み、前記架橋によりフォトレジスト溶剤に実質的に不溶である反射防止層が得られる、請求項14に記載の方法。
前記反射防止層はアルカリ性現像液において初期溶解度を有し、前記露光(d)の後、前記反射防止層の前記露光部分はアルカリ性現像液において最終溶解度を有し、前記最終溶解度は前記初期溶解度よりも大きい、請求項17に記載の方法。
前記接触(e)後、前記画像形成層と前記反射防止層は、そこに形成された各開口部を有し、前記開口部は、前記基板表面が見えるように実質的に位置合わせされる、請求項17に記載の方法。
前記構造にイオンを注いで、少なくともいくらかのイオンが基板内に注入され、基板中にイオン注入領域を形成し、前記イオン注入領域は前記開口部より下に形成されることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
前記反射防止組成物は、0.01質量%未満の酸発生剤を含み、前記画像形成層は、前記露光(d)の間に酸を発生し、それによって、前記反射防止層の前記露光部分を脱架橋する、請求項17に記載の方法。
前記反射防止層の、193nm、248nmまたは365nmの波長おけるn値が少なくとも1.3、および193nm、248nmまたは365nmの波長おけるk値が少なくとも0.2である、請求項26に記載のマイクロエレクトロニクス構造。
前記反射防止組成物の総質量を100質量%とした場合を基準として、前記反射防止組成物が0.01質量%未満の酸発生剤を含む、請求項26に記載のマイクロエレクトロニクス構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、反射防止膜として有用な組成物と、それを用いる方法と、マイクロエレクトロニクス構造とに関する。該反射防止膜は、半導体産業における多数の新興技術に有用な、信頼性のある感光性および現像液可溶性の材料である。例えば、該反射防止膜は、KrFおよびArFリソグラフィに用いることができ、注入層および画像形成層に組み込むこともできる。それらは特に、反射防止膜およびフォトレジストの下の基板がドライ(プラズマ)エッチングに敏感であるためにウェット(アルカリ性現像液)エッチングが用いられる場合、注入用途に特に有用である。これらの材料はまた、現像液可溶性の膜の使用を必要とするあらゆる分野で用いることができる。
【0011】
組成物は、硬化した場合、好ましくは、有機溶剤およびフォトレジスト現像液の両方に不溶であるが、酸の存在下で脱架橋可能であり、水性アルカリ性現像液で除去することができる。ある態様では、硬化した(すなわち架橋した)反射防止膜組成物は、露光(193nm〜365nm)を行い、その後露光後ベークを行うことで、脱架橋する。つまり、組成物は本質的に感光性であり、少なくとも2mJ/cm
2の光に露光することでパターン形成され得る。別の態様では、組成物は、露光中、他の層(フォトレジスト等)からの酸の拡散に依存して、硬化した組成物を脱架橋する。いずれの場合でも、これにより、反射防止膜に、溶解速度の異なる、露光された部分と露光されない部分ができ、それによって露光されていない部分を除去することなく、露光された部分を選択的に除去することが可能になる。よって、両態様において、本発明の底面反射防止膜組成物は湿式現像可能である。「現像液可溶性」または「湿式現像可能」という用語は、本明細書中では同義的に用いられ、ここで記載するように、組成物が、脱架橋により塩基性現像液に可溶となることを可能とし、その結果通常のアルカリ性現像液で実質的に除去されることができることを意味する。
【0012】
組成物は、溶剤系に分散または溶解された多官能性エポキシ化合物を含む。「多官能性エポキシ化合物」という用語は、コアユニットの側鎖に少なくとも2つのエポキシ部分を有する化合物を意味する。「エポキシ部分(エポキシ部分または複数のエポキシ部分)」という用語は、ここでは反応または未反応のグリシジル基、グリシジルエーテル基等の、閉じたエポキシド環および開環した(反応した)エポキシ基の両方、ならびにその誘導体を意味する。化合物は、中心のコアユニットから放射状に広がる複数のエポキシ部分を有する非ポリマー性化合物になることができ、またはポリマー性コアユニット(すなわちポリマー主鎖)の側鎖に複数のエポキシ部分を有するポリマー性化合物になることができる。「非ポリマー性」という用語は、化合物が一般に重合により生成される繰り返し単位からなるポリマー(またはオリゴマー)主鎖を有さないことを意味する。「ポリマー」という用語は、ここでは「オリゴマー」と同義的に用いられ、モノマーの繰り返し単位を含む主鎖を有する化合物を意味するものとして定義される。いずれにしても、多官能性エポキシ化合物の平均分子量は、少なくとも約800ダルトン、好ましくは約800〜約50,000ダルトン、より好ましくは約800ダルトン〜約15,000ダルトンである。
【0013】
上述したように、多官能性エポキシ化合物は、非ポリマー性化合物の中心のコア、またはポリマー性化合物の主鎖になることができる、コアユニットを含み、いずれの場合でも、それに結合する複数のエポキシ部分を有する。該コアユニットは、側鎖にエポキシ基を有して、単一の芳香族化合物、線状または分岐分子、および/またはアクリル、ポリエステル、エポキシ/クレゾールノボラック、ポリエーテル、多糖類、および/またはポリイミド/ポリアミドのモノマーの繰り返し単位を含む(から本質的になる、またはからなるに等しい)。1以上の実施態様において、コアユニットは、約1〜約10,000のエポキシ部分、好ましくは約2〜約2,000のエポキシ部分、より好ましくは約3〜約2,000のエポキシ部分を含む。コアユニットはまた、関心波長(193nm〜365nm)において光吸収特性を有するように選択されて、組成物の反射防止特性をさらに高めることができる。
【0014】
適切なコアユニットの前駆体には、トリス(2,3‐エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(4‐ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、トリメチロプロパントリグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ビス[4‐(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,4‐ブタンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、4‐ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、4,4’‐メチレンビス(N,N‐ジグリシジルアニリン)、モノアリールジグリシジルイソシアヌレート、テトラキス(オキシラニルメチル)ベンゼン‐1,2,4,5‐テトラカルボキシレート、ビス(2,3‐エポキシプロピル)テレフタレート、およびトリス(オキシラニルメチル)ベンゼン‐1,2,4‐トリカルボキシレート等の多官能性グリシジルを含む材料が含まれる。その他の適切なコアユニットの前駆体には、1,3‐ビス(2,4‐ビス(グリシジルオキシ)フェニル)アダマンタン、1,3‐ビス(1‐アダマンチル)‐4,6‐ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン、1‐(2’,4’‐ビス(グリシジルオキシ)フェニル)アダマンタン、および1,3‐ビス(4’‐グリシジルオキシフェニル)アダマンタンが含まれる。ポリマー性コアユニットには、ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)‐co‐ホルムアルデヒド]、ポリ[(o‐クレシルグリシジルエーテル)‐co‐ホルムアルデヒド]、ポリ(グリシジルメタクリレート)、ポリ(ビスフェノールA‐co‐エピクロロヒドリン)‐グリシジルエンドキャップ、ポリ(スチレン‐co‐グリシジルメタクリレート)、およびポリ(tert‐ブチルメタクリレート‐co‐グリシジルメタクリレート)が含まれ得る。
【0015】
1以上の実施態様において、多官能性エポキシ化合物はさらに、それに結合する架橋可能な発色団を1以上、より好ましくは、それに結合する架橋可能な発色団を少なくとも2つ、さらに好ましくは、それに結合する架橋可能な発色団を少なくとも3つ含む。適切な架橋可能な発色団には、芳香族化合物、脂肪族化合物、硫黄および/またはハロゲン含有化合物等の、置換または非置換光減衰部分が含まれる。「架橋可能な発色団」という用語は、発色団が多官能性エポキシ化合物に結合した後で、遊離状態にある(すなわち未反応の)架橋可能な基を有する光減衰部分を意味する。よって、そのような架橋可能な基は多官能性化合物のエポキシ部分と反応しないはずであり、その結果、得られる化合物中で遊離状態のままであることが理解されるであろう。1以上の実施態様において、架橋可能な発色団は、約1〜10の架橋可能な基、好ましくは約2〜10の架橋可能な基を有する。1以上の実施態様において、各多官能性エポキシ化合物は、それに結合する少なくとも3つの発色団を含み、各発色団が少なくとも1つの架橋可能な基を含んでいる。言い換えると、好ましい実施態様において、多官能性エポキシ化合物は、少なくとも3つの架橋可能な部位を含む。特に好ましい架橋可能な基には、ビニルエーテル架橋剤と反応性があり架橋可能なものが含まれる。架橋可能な基の例には、水酸基(‐OH)、フェノール類(Ar‐OH)、および/またはカルボン酸(‐COOH)が含まれる。
【0016】
1以上の実施態様において、架橋可能な発色団は、多官能性エポキシ化合物に各エポキシ部分を介して結合する。よって、架橋可能な基に加えて、そのような発色団はさらに、カルボン酸、フェノール、アルコール、チオール、および/またはアミン部分等のエポキシ反応性部位の少なくとも1つと、(多官能性エポキシ化合物との結合前に)置換することになる。1以上の実施態様において、適切な発色団は2つのエポキシ反応性部位しか有さない。発色団は、開環反応の一部としてエポキシ部分に結合することができると理解されるであろう。あるいは、発色団はその後、開環部分(すなわち開環後)において遊離した水酸基を介して、エポキシ部分に結合することができる。よって、いくつかの実施態様において、2つの発色団が、同じエポキシ部分を介して多官能性エポキシ化合物に結合しても良い。
【0017】
多官能性エポキシ化合物と結合するための発色団前駆体の例には、1‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、2‐ヒドロキシ‐1‐ナフトエ酸、6‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、3‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、1,4‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、3,5‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、1,1’‐メチレン‐ビス(2‐ヒドロキシ‐3‐ナフトエ酸)、2,3‐ジヒドロキシ安息香酸、2,4‐ジヒドロキシ安息香酸、2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3,4‐ジヒドロキシ安息香酸、3,5‐ジヒドロキシ安息香酸、3,5‐ジヒドロキシ‐4‐メチル安息香酸、3‐ヒドロキシ‐2‐アントラセンカルボン酸、1‐ヒドロキシ‐2‐アントラセンカルボン酸、3‐ヒドロキシ‐4‐メトキシマンデル酸、没食子酸、および4‐ヒドロキシ安息香酸が含まれる。
【0018】
発色団前駆体は、触媒存在下で、選択されたコアユニット前駆体と反応して、多官能性エポキシ化合物を形成する。適切な触媒には、塩基(有機/無機)、酸(有機/無機)、第4級アンモニウム塩、および金属触媒、ならびにアンモニウム塩(例えば、ベニジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベニジルトリメチルアンモニウムクロリド)、ホスホニウム塩等の相間移動剤が含まれる。好ましくは、該前駆体は、約5〜約30時間(好ましくは約15〜約24時間)の間、約100〜約150℃(好ましくは約115〜約125℃)の温度に加熱しながら、適切な溶剤中で触媒と反応する。1以上の実施態様において、反応混合物は次に、イオン交換樹脂でろ過され、触媒残渣を除去する。好ましくは、反応混合物は、約1〜約10時間(および好ましくは約2〜約6時間)の間、イオン交換樹脂と混合される。次にイオン交換樹脂が、ろ過により反応混合物から除去される。その結果得られた多官能性エポキシ化合物は次に、沈殿および/または乾燥することができる、もしくは母液を、反射防止組成物を調製するのに直接用いることができ、詳細は以下に記載する。いずれにせよ、多官能性エポキシ化合物から触媒残渣を除去することで、マイクロエレクトロニクス製作において反射防止組成物を用いる際、最終装置における欠陥を有利に減らすことになる。
【0019】
1以上の実施態様において、多官能性エポキシ化合物は、下記式のエポキシ部分を少なくとも1つ含む:
【0021】
式中、*は、化合物との結合部分であり、各yは0または1、各Xは架橋可能な発色団(上述)、各Lはそれぞれ、アミノ結合、エーテル結合、チオ(チオエーテル)結合、ヒドラジン結合、スルフィナート結合、スルホン結合、スルホンアミド結合、エステル結合、カーボネート結合、カルバメート結合、アミド結合または尿素結合であり、各Rは、存在する場合、それぞれ酸素原子または‐CH
2‐であり、ならびに各R
1はそれぞれ、‐H、アルキル、スルホネート、エステル、カーボネート、カルバメート、またはそれらの官能基化誘導体である。1以上の実施態様において、Lはエステル結合であるのが好ましい。1以上の実施態様において、Rは、存在する場合、‐O‐である。
【0022】
多官能性エポキシ化合物の全てのエポキシ部分が反応(開環)することになるわけではないことが理解されるであろう。しかしながら、大部分(より好ましくは、実質的に全て)のエポキシ部分が反応することが好ましく、「大部分」とは約50%超が反応することを意味し、それに対して「実質的に全て」は約95%超のエポキシ部分が反応することを意味する。エポキシ部分は発色団、好ましくは架橋可能な発色団と反応するのが、特に好ましい。例えば、1以上の実施態様において、組成物中の多官能性エポキシ化合物全てのエポキシ部分の総数を100%とした場合、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約95%のエポキシ部分が発色団で占有されている(と反応している)。いくつかの実施態様において、少なくとも約98%のエポキシ部分が発色団と反応している。いくつかの実施態様において、多官能性エポキシ化合物は、少なくとも2つのエポキシ部分と、それに結合する少なくとも1つの架橋可能な発色団とを有するコアユニットから本質的になる、または、からなるに等しい。言い換えると、特に好ましい実施態様において、1つのモノマーまたは化合物の架橋可能な部位と、別のモノマーまたは化合物の発色団とを含む、先行技術の化合物とは対照的に、光吸収化合物および架橋可能な部位は、化合物中の同じユニットに存在するのが好ましい。
【0023】
上で示したように、エポキシ部分はコアユニットの側鎖であり、そのコアユニットはポリマー性または非ポリマー性とすることができる。1以上の実施態様において、コアユニットは、下記式の繰り返しモノマーを含み(から本質的になり、または、からなるに等しく):
【0025】
各R
2はそれぞれ、エポキシ部分、ならびにいくつかの実施態様においては、各R
2はそれぞれ、上で定義した開環したエポキシ部分である。ポリマー性化合物はホモポリマーとすることができ、もしくは、脱保護の後に塩基可溶性部分を生成することが可能な酸不安定基を含む、スチレン、アクリレート(例えばt‐ブチルメタクリレート)、t‐ブトキシカルボニル、アダマンチルメタクリレート、それらの組み合わせ、および/または、それらの誘導体のコモノマーをさらに含むことができる。
【0026】
1以上の実施態様において、コアユニットは、下記式の繰り返しモノマーを含み(から本質的になり、または、からなるに等しく):
【0028】
各yは0または1;各Arは重合アリール基(例えばフェニル)、各R
2はそれぞれ、エポキシ部分、ならびにいくつかの実施態様においては;各R
2はそれぞれ上で定義した、開環したエポキシ部分であり;各R
3は、存在する場合、‐CH
2‐である。
【0029】
1以上の実施態様において、コアユニットは、下記式の中心の非ポリマー性コアを含み(から本質的になり、または、からなるに等しく):
【0031】
各nは1〜10,000(好ましくは2〜2,000)、各R
2はそれぞれ、エポキシ部分、ならびにいくつかの実施態様においては;各R
2はそれぞれ上で定義した、開環したエポキシ部分であり;円構造で表される中心のコアは、環状化合物、鎖状化合物、脂肪族化合物、および芳香族化合物、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択され、好ましくは下記式からなる群から選択される。
【0033】
1以上の実施態様において、多官能性エポキシ化合物は、非ポリマー性低分子、ホモポリマー、および2種のコモノマーだけのコポリマーからなる群から選択される。言い換えると、いくつかの実施態様において、ターポリマー、クーオーターポリマー等は、本発明で用いるものから除外するのが好ましい。
【0034】
実施態様に関わらず、多官能性エポキシ化合物は、反射防止膜等のマイクロリソグラフィプロセスに用いる組成物を生成するのに利用することができる。該組成物は、多官能性エポキシ化合物を適切な溶剤系中に、好ましくは実質的に均質な分散をするための周囲条件および十分な時間で、単に分散または溶解することにより形成される。好適な組成物は、組成物の総質量を100質量%とした場合、約0.2〜約50質量%の多官能性エポキシ化合物、好ましくは約0.2〜約10質量%の多官能性エポキシ化合物、より好ましくは約0.2〜約4質量%の多官能性エポキシ化合物を含む。上で示したように、多官能性エポキシ化合物は、反射防止組成物において用いられる前に、ろ過するのが好ましい。よって、組成物中の未反応の触媒の程度は、実質的に減少する。1以上の実施態様において、反射防止組成物は、組成物の総質量を100質量%とした場合、約0.01質量%
未満の触媒残渣、より好ましくは約0.001質量%
未満の触媒残渣を含むことになる。
【0035】
溶剤系にはマイクロエレクトロニクス製造に用いるのに適したあらゆる溶剤を含めることができる。好ましくは、溶剤系の沸点は約100℃〜約200℃である。1以上の実施態様において、溶剤系には、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル(PnP)、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン(GBL)、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶剤が含まれる。溶剤系は、組成物において、組成物の総質量を100質量%とした場合、約75〜約99.8質量%、好ましくは約95〜約99.5質量%のレベルで用いられるのが好ましい。組成物中の総固形分量は、組成物の総質量を100質量%とした場合、約0.2〜約25質量%、好ましくは約0.5〜約5質量%の範囲内にあるべきである。
【0036】
組成物はまた、架橋剤を含むことが好ましい。いくつかの実施態様において、組成物は、架橋剤と共に溶剤系に分散または溶解された多官能性エポキシ化合物から本質的になる、または、からなるに等しい。特に好ましい架橋剤は、ビニルエーテル架橋剤である。架橋剤は多官能性(例えば、二官能性、三官能性、および四官能性)であることが特に好ましい。架橋剤は、組成物中に、組成物の総質量を100質量%とした場合、約0.1質量%〜約10質量%、好ましくは約0.2質量%〜約1質量%のレベルで存在するのが好ましい。
【0037】
より好ましくは、ビニルエーテル架橋剤の例は以下の式を有し、
【0039】
R’はアリール基(好ましくはC
6〜C
14)およびアルキル基(好ましくはC
1〜C
18、より好ましくはC
1〜C
10)からなる群から選択され、各R
4はそれぞれ、アルキル基(好ましくはC
1〜C
18、より好ましくはC
1〜C
10)、アルコキシ基(好ましくはC
1〜C
18、より好ましくはC
1〜C
10)、カルボニル基、およびそれら2以上の組み合わせからなる群から選択され、ならびにnは少なくとも2、好ましくは2〜6である。最も好ましいビニルエーテルには、エチレングリコールビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、1,4‐シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。その他の好ましいビニルエーテルは、下記からなる群から選択される式を有する。
【0041】
反射防止組成物はまた、酸発生剤(例えば、光酸発生剤(「PAGs」)、熱酸発生剤(「TAGs」))、塩基性消光剤、界面活性剤、拡散促進剤、緩衝剤等の追加の随意的な成分をさらに含むことができる。例えば、193nmおよび/または248nmおよび/または365nmの照射に感光性があれば、PAGsにはイオン性または非イオン性のものを選択することができる。イオン性のPAGsは、スルホニウムおよび/またはヨードニウム塩を含有する物から選択することができる。対イオンは、トリフラート、ノナフラート、メチド、イミド、カンファースルホナート、または露光により強酸を発生することができるその他のものから選択することができる。非イオン性PAGsには、トリアジン、ナフチルイミド、ジアゾメタン、ジスルホン、および/またはスルホネートが含まれる。PAGを含む場合には、PAGは組成物において、組成物の総質量を100質量%とした場合、約0.01質量%〜約0.5質量%のレベルで使用されるべきである。いくつかの実施態様において、反射防止組成物は、架橋剤およびPAGと共に溶剤系に分散または溶解された多官能性エポキシ化合物から、本質的になる、または、からなるに等しい。いくつかの実施態様において、反射防止組成物は酸発生剤(PAGsおよび/またはTAGs)を実質的に含まないことが好ましい。つまり、反射防止組成物は、好ましくは約0.01質量%未満の酸発生剤、より好ましくは約0.005質量%未満の酸発生剤、さらに好ましくは約0質量%の酸発生剤を含む。そのような実施態様において、上で示したように、反射防止膜は、積層中の他の層からの酸拡散に依存して、脱架橋反応を起こして組成物を現像液可溶性にする。
【0042】
本発明で用いる消光剤は、トリエタノールアミンまたはトリオクチルアミン等の基を含むアミンから選択することができる。別の消光剤は、t‐boc保護された、アミノ酸、光塩基発生剤、または光分解性塩基等、t‐boc保護することができる。消光剤を含む場合には、消光剤は、組成物において、組成物の総質量を100質量%とした場合、約0.001質量%〜約2質量%、好ましくは約0.01質量%〜約0.5質量%のレベルで使用されるべきである。反射防止組成物はまた、消光剤を実質的に含まないこともできる。そのような実施態様において、組成物は、組成物の総質量を100質量%とした場合、好ましくは約0.0001質量%未満の消光剤、より好ましくは0.00005質量%の消光剤、さらに好ましくは約0質量%の消光剤を含む。
【0043】
反射防止組成物から除去するのが好ましい余分な成分には、多官能性エポキシ化合物、バインダ樹脂等以外のポリマーまたはオリゴマーが含まれる。
【0044】
前述のように、組成物は、マイクロエレクトロニクス製作における現像液可溶性反射防止膜として特に有用である。例えば、一定量の反射防止組成物をマイクロエレクトロニクス基板に塗布し、基板表面上に組成物の層を形成することにより、反射防止膜を形成することができる。組成物は、基板表面、または、基板表面上に形成された1以上の随意的な中間下位層の最上層に、直接塗布しても良い。適切な中間下位層には、カーボンリッチな層(例えば、スピンオンカーボン層(SOC)、アモルファスカーボン層)、平坦化層、シリコンハードマスク層、ギャップ充填層、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものが含まれる。ここで用いる「カーボンリッチ」という用語は、組成物の総固形分量を100質量%とした場合、約50質量%超の炭素、好ましくは約70質量%超の炭素、より好ましくは約75〜約80質量%の炭素を含む組成物を意味する。
【0045】
本発明では、任意のマイクロエレクトロニクス基板を使用することができる。好ましい基板には、ケイ素、SiGe、SiO
2、Si
3N
4、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、サンゴ、ブラックダイヤ、リンまたはホウ素ドープガラス、イオン注入層、窒化チタン、酸化ハフニウム、酸窒化ケイ素、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。組成物は、任意の公知の塗布方法によって塗布することができるが、好ましい方法の1つは、組成物を、約750rpm〜約5,000rpm(好ましくは約750rpm〜約4,000rpm、より好ましくは約1,000rpm〜約3.500rpm)の速度で、約20秒〜約90秒(好ましくは約30秒〜約60秒)の間スピンコートすることである。基板は、平坦な表面を備えることもあり、あるいはトポグラフィー特徴(ビア孔、トレンチ、コンタクトホール、隆起構造的特徴、線など)を備えることもある。本明細書中「トポグラフィー」とは、基板表面の中あるいは上にある構造の高さまたは深さを指す。例えば、基板は、ホールと定義される構造を備えることができ、それは側壁と底面壁とを持つ。このように、反射防止組成物を基板に塗布する方法は、組成物を、これらホールの側壁と底面壁の一部分以上に、塗布することを含むのが好ましい。
【0046】
所望の被覆を達成した後、続いて組成物を加熱して熱架橋を誘発し、硬化した反射防止膜を形成する。層は、少なくとも約80℃、好ましくは約125℃〜約230℃、より好ましくは約130℃〜約205℃の温度で、約5秒〜約90秒(好ましくは約30秒〜約60秒)の間加熱されるのが好ましい。有利なことに、反射防止層の硬化は、組成物中の多官能性エポキシ化合物の架橋を伴う。多官能性エポキシ化合物の架橋は、化合物中の発色団の架橋可能な基、ならびに開環したエポキシ部分の遊離した‐OH基を介して起こることが理解されるであろう。本発明は熱架橋を伴い、化合物の架橋を起こすための酸またはTAGを必要としない。酸発生剤が組成物中に存在するならば、以下に詳細を述べるように、化合物の脱架橋に関わるだけになる。
【0047】
ベーク後の反射防止層の平均厚さは、好ましくは約20nm〜約100nm、より好ましくは約20nm〜約75nm、さらに好ましくは約20nm〜約60nmである。基板がトポグラフィーを備える場合、反射防止膜は、これらの厚さで基板のトポグラフィーを実質的に覆うほど十分な厚さで塗布するのが好ましい。平均厚さは、基板の端から端までの5箇所をエリプソメータで測定した平均値と定義する。
【0048】
本発明に係る硬化層は、フォトレジストに一般的に利用される溶剤(例えば乳酸エチル、PGME)に実質的に不溶である。よって、剥離試験にかけた場合、本発明のコーティングの剥離率は約5%未満、好ましくは約1%未満、さらに好ましくは約0%となる。剥離試験では、まず硬化層の(異なる5箇所の測定値の平均を取ることによって)平均厚さを決定する。これが初期平均フィルム厚である。次に、溶剤(例えば、PGME)を硬化したフィルムに約20秒間塗り付け、その後約3,000rpmで約30秒間スピンドライを行い溶剤を除去する。偏光解析法を用いてウエハ上の異なる5箇所の厚さを再度測定し、これらの測定値の平均を算出する。これが最終平均フィルム厚である。初期と最終の平均フィルム厚の差が剥離量である。剥離率は、下記式で求められる。
%剥離率=(剥離量/初期の平均フィルム厚)×100
【0049】
また、硬化した反射防止膜は、一般的なフォトレジスト現像液(例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH))に、実質的に不溶であるのが好ましい。現像液における本発明のフィルムの溶解度は、上述の剥離試験と同じ手順と計算を用いて評価するが、フォトレジスト溶剤の代わりにアルカリ性現像液を用いる。架橋した層に、また、110℃で60秒間のPEBを行う。次に、0.26NのTMAH現像液を、層の上に、45秒間塗り付け、その後、5秒間脱イオン水のすすぎ洗いを行い、スピンドライを行う。硬化した層における厚さのいかなる損失も、「暗損失」として定義する。硬化した層の暗損失は、約5%未満、好ましくは約1.5%未満、より好ましくは約1%未満、さらに好ましくは約0.8%未満、最も好ましくは約0%である。
【0050】
また、フィルムの湿式現像は、剥離試験と同様の手順と計算を用いて評価することができる。硬化した層を、最初にOriel
(TM)DUV広帯域露光装置上で、広帯域光を用いて、20mJ/cm
2で露光する。次いで露光された層に、130℃で90秒間PEBを行う。次に、フォトレジスト現像液(0.26N TMAH)をフィルムの上に60秒間塗り付け、その後、300rpmで回転させながら、5秒間の脱イオン水すすぎ洗いを行い、次いで約3,000rpmで約30秒間スピンドライを行って、現像液を除去する。再び層の厚みを測定し、%現像率を算出する。感光性、現像液可溶性の反射防止膜(PAGを有する)の、%現像率は、好ましくは、約95%〜約100%、より好ましくは約99%〜約100%になる。
【0051】
硬化した反射防止膜のn値(複素屈折率の実部)は、少なくとも約1.3、好ましくは約1.4〜約2、より好ましくは約1.45〜約1.8、さらに好ましくは約1.5〜約1.75になる。また好ましくは反射防止膜のk値(複素屈折率の虚部)が、使用波長(例えば、193nm、248nm、または365nm)において、少なくとも0.2、好ましくは約0.25〜約0.65、より好ましくは約0.3〜約0.6である。
【0052】
感光性組成物は、続いて本発明の層に塗布され、次に塗布後ベーク(PAB)を行い、画像形成層を形成することができる。画像形成層の厚さは、一般に約50nm〜約2,000nmの範囲である。適切な画像形成組成物には、市販されているフォトレジスト(例えば、TarF−Pi6−001、TOK社、神奈川県川崎市(日本)から販売;ARX3001JN、ARX3340JおよびAM2073J、JSR Micro社、Sunnyvale、CA州;SAIL−X−181、Shin−Etsu社、東京(日本))、またはその他の感光性組成物が含まれる。以下で詳細に説明するように、反射防止膜組成物が本質的に感光性ではない(すなわち、PAG−無しの反射防止膜)場合、適切な感光性組成物は、酸発生剤(好ましくはPAG)を含有することが好ましく、また、隣接する反射防止膜を、脱架橋および脱保護し、それによって現像液可溶性にするのに十分な酸を発生可能であることが好ましい。有利なことに、本発明による反射防止膜は、隣接するフォトレジストからの酸拡散が、反射防止膜の厚さ全体中に拡散できるような、パターンを基板、またはあれば中間層まではっきりさせることができるような、薄層を形成するのに用いることができる。
【0053】
画像形成層は、マスクを通じて適切な波長(193nm〜365nm)の光に露光し、その後、露光後ベーク(PEB)、およびパターンの現像をすることによってパターン形成することができる。適切な現像液は、水酸化カリウム(KOH)、TMAH等の、有機または無機のアルカリ性溶液であり、好ましくは、濃度0.26N以下のTMAHの水溶液を含む。これらの現像液のいくつかは、PD523AD(Moses Lake Industries、Inc社、Moses Lake、WA州、から入手可能)、MF−319(Dow Chemical社から入手可能)、MF−320(Shipley社から入手可能)およびNMD3(TOK社、日本、から入手可能)の商品名で市販されている。
【0054】
別の実施態様において、画像形成層にパターン形成するのに、ArF浸漬リソグラフィを用いることができる。空気(従来のリソグラフィの場合)の代わりに、露光中放射線が通過する媒体は、液体である。リソグラフ系の光学投影要素(すなわち、レンズ)を介して、少なくとも、そのリソグラフ系の光学要素の一部分と、構造の一部分(すなわち、積層)に、浸漬液を接触させながら、画像形成層を放射線に露光する。さらに好ましくは、リソグラフ系における最後の光学要素と、画像形成層との間の空間に、浸漬液を満たして、その光学要素が液中に浸漬するようにする。適切な浸漬液は、好ましくは、その屈折率が、1より大きく(好ましくは、約1〜約2、より好ましくは約1.3〜約1.4)、そして、水(好ましくは純水)または有機溶剤からなる群から選択される。当該分野において公知である浸漬リソグラフィ系には、Amphibian
(TM) Systems社(Rochester、NY州)製のAmphibian干渉計およびASML社(Veldhoven、オランダ)製の1900iが含まれる。
【0055】
いずれにせよ、画像形成層は、適切な波長の光で露光し、その後画像形成層の露光部分の現像および選択的除去を行うことにより(ポジ型画像形成層の場合)、パターン形成することができる。有利なことに、画像形成層が露光されると、本発明の反射防止膜も露光される。露光されると、(反射防止膜自身における、または画像形成層からの)酸発生剤から、酸が発生し、この酸が、反射防止膜層において、多官能性エポキシ化合物とビニルエーテル架橋剤を「脱架橋」する。すなわち、たとえ反射防止膜が本質的に感光性ではなくても、画像形成層の露光部分から画像形成層に隣接する反射防止膜の対応部分へ酸が拡散することによって、反射防止膜の露光部分はなお、露光により現像液可溶性となる。酸は(画像形成層からであろうと、反射防止膜からであろうと)、熱架橋により、反射防止膜において多官能性エポキシ化合物と架橋剤との間、特に架橋可能な発色団と架橋剤との間に形成された結合を切る。脱架橋は、発色団上の架橋可能な基を備える多官能性エポキシ化合物を再生成して、組成物を現像液可溶性にする。
【0056】
次に、上記プロセスによって可溶性となった、画像形成層および反射防止層の露光部分を現像液に接触させて、露光部分を除去する。画像形成層の露光部分の下側の、反射防止膜の露光部分は、画像形成層が除去される際に、現像液によって除去され、画像形成層および反射防止膜層に所望のパターンが同時に形成される。パターンは、ウェットエッチおよび/またはドライエッチおよび/またはイオン注入プロセスを用いて、最終的に基板へ転写される、ビア孔、トレンチ、線、スペース等になることができる。好ましくは、反射防止膜の露光部分の少なくも約95%が現像液によって除去され、より好ましくは少なくとも約99%、さらに好ましくは約100%が除去される。露光およびベークにより実質的に完全に脱架橋されて、結果として得られるパターンが、基板、またはあれば中間層まで完全にはっきりするという点で、本発明の膜は明確な利点を示す。言い換えれば、反射防止膜の露光部分は、パターン形成された形状中に反射防止組成物残渣をほとんど残さずに、完全に除去するのが好ましい。特に、露光部分に残る反射防止膜の厚さが約5nm未満、好ましくは1nm未満、さらに好ましくは露光部分に残る反射防止膜の厚さが0.5nm未満である。
【0057】
1以上の実施態様において、反射防止層の露光部分は、上述したように露光後現像液可溶性となるので、画像形成層の現像中に反射防止層に開口部が形成される。よって、画像形成層のリソグラフィパターニングは、画像形成層および反射防止層の両方に、開口部(コンタクトホール、ビア孔、トレンチ等)を形成する。開口部は互いに連絡している(すなわち、基板、またはあれば中間層が、見えるように、または露呈されるように、少なくともある程度まで位置合わせされる)。さらに続いて、基板または中間層の露光部分に処理を行うか、または基板表面中までパターンを転送することができる。
【0058】
例えば、露光された基板にイオンを注入することができる。イオン注入について、イオンは、公知の方法を用いてイオン源によってドープ剤から、生成される。本発明に用いるいくつかの好適なイオンは、周期表のIII‐V族のイオン元素からなる群から選択され、ホウ素、窒素、リン、砒素、二フッ化ホウ素、インジウム、アンチモン、ゲルマニウム、ケイ素、炭素、およびガリウムのイオンが特に好ましい。その他の好ましいイオンは、水素、アルゴン、ベリリウム、フッ素、酸素、およびヘリウムからなる群から選択される。イオンが基板に進入するほど十分に高いエネルギーレベルで、生成されたイオンが加速される。好適なエネルギーレベルは、約1eV〜約20MeV、好ましくは約5KeV〜約2,000KeV、より好ましくは約20KeV〜約500KeVである。一般的なイオン線量は約10atoms/cm
2〜約10e
30atoms/cm
2、好ましくは約1e
12atoms/cm
2〜約1e
16atoms/cm
2である。加速されたイオンは、公知の方法で集束される。そのような方法の1つは、ビームが所望の直径に達するまで、一連の静電性および磁性レンズを用いることを伴う。次に、ビームが基板に向けられる。当業者に理解されるように、ビーム角度を調節して、基板中のイオン深度を制御することができる。現像後に残る画像形成層および反射防止層の非露光部分は、イオンが求められない基板領域を保護するのに役立ち、その一方で、パターンの開口部は、イオンによる基板への進入を提供する。その結果、注入領域は、パターンに対応する基板に形成することができる。開口部の数、サイズ、および形は、必要に応じて調節され、基板中の最終用途に適した位置にイオンを注入することができると理解されるであろう。
【0059】
本開示の種々の実施態様の付加的な利点は、本明細書中の開示と以下の実施例を検討すれば、当業者には明らかである。ここで記載される種々の実施態様は、ここで特に指示がない限り、必ずしも相互排他的ではないということは、理解されるであろう。例えば、一実施態様において記載または描写されている特徴は、他の実施態様に含まれても良いが、必ずしも含まなくても良い。よって、本発明は、本明細書中に記載される特定の実施態様の、様々な組み合わせおよび/または統合を包含する。さらに、一定の好適な実施態様を、図面で示し、明細書に記載しているが、そのような開示は、例として挙げているだけであることを理解されたい。
【0060】
ここで用いられる、「および/または」という表現は、2以上の項目の列挙に用いる場合、列挙された項目のいずれかを単独で使用することができる、または、列挙された項目の2以上の組み合わせのいずれかを使用することができることを意味する。例えば、組成物が、成分A、Bおよび/またはCを、含むまたは除くとして記載されていた場合、その組成物は、Aのみ;Bのみ;Cのみ;AおよびBの組み合わせ;AおよびCの組み合わせ;BおよびCの組み合わせ;または、A、BおよびCの組み合わせを、含むまたは除くことができる。
【0061】
本記述はまた、数値範囲を用いて、発明の種々の実施態様に関する一定のパラメータを定量化する。数値範囲が与えられた場合、そのような範囲は、範囲のうち低い方の値を記載するのみのクレームの限定と、同様に範囲のうち高い方の値を記載するのみのクレームの限定との正確な裏付けを示すものとして解釈されると理解されたい。例えば、開示された数値範囲の約10〜約100は、「約10超」(上限なし)と記載するクレームおよび、「約100未満」(下限なし)と記載するクレームの、正確な裏付けを示す。
【実施例】
【0062】
以下の実施例では、本発明に従った方法を記載する。しかしながら、これらの実施例は、説明のために提供されるものであり、本発明の全体の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
【実施例1】
【0063】
(2,3‐トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレートと3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸の反応)
【化8】
【0064】
500mlの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに、236.26gのシクロヘキサノン(Harcros Chemical、St.Louis、MO州)、65.0625gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)、34.3125gの2,3‐トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート(日産化学工業株式会社、東京、日本)、および1.8908gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(BTEAC;Lancaster Synthesis、Ward Hill、MA州)を充填した。反応は120℃まで加熱し、24時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、反応生成物を50.625gのAMBERSEP200H樹脂(Rohm and Haas、Philadelphia、PA州)と混合し、4時間回転させた。4時間後、ろ過により200H樹脂を除去した。
【実施例2】
【0065】
(実施例1の化合物を用いる現像液可溶性底面反射防止膜の形成)
実施例1の化合物を用いて感光性底面反射防止膜の調合物を作製した。125mLの琥珀色ナルゲンボトルに、3.5587gの実施例1の反応生成物、0.4270gのビニルエーテル架橋剤LIVELink
(TM)(Brewer Science,Inc、Rolla、MO州)、0.0053gのトリエタノールアミン(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)、94.56gのPGME(Harcros Chemical、St.Louis、MO州)、および1.4489gのシクロヘキサノンを充填することにより、調合物を調製した。混合物を一晩混転し、次に0.1μmのエンドポイントフィルターを通してろ過し、新しい125mLの琥珀色ナルゲンボトルに入れた。
【0066】
その感光性底面反射防止膜材料をシリコンウエハ上に1,500rpmでスピンコートし、次に160℃で60秒間ベークした。フィルムを乳酸エチル(Harcros、St.Louis、MO州)ですすぎ洗いしてフィルムの耐溶剤性を試験し、次に露光せずにフォトレジスト現像液、PD523AD(JSR Micro,Sunnyvale、CA州)に浸漬して、暗損失を評価した。もう一つの準備したウエハについて、Oriel DUV広帯域露光装置および248‐nmのバンドパスフィルタを用いて対比曲線を試験した。対比の露光の後、125℃で90秒間PEBを行い、PD523ADを用いて45秒間、ウエハを現像し、その後、DI水で5秒間すすぎ洗いし、スピンドライを行った。表1は、その結果をまとめたものである。
【0067】
【表1】
【0068】
これらの結果は、この材料が、依然として露光後にはアルカリ性現像液中で完全に除去可能でありながら、優れた耐溶剤性と最小限の暗損失を有することを示している。
【0069】
次に、上記調合物をシリコンウエハ上にスピンコートし、160℃で60秒間ベークした。続いて反射防止膜を248‐nmリソグラフィ用フォトレジスト(JSR M529Yレジスト)でコートし、130℃で90秒間のPAB、ならびに125℃で90秒間のPEBを行った。
図1は、リソグラフィの結果を示す。
【実施例3】
【0070】
(3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸とポリ(フェニルグリシジルエーテル‐co‐ホルムアルデヒド)の反応)
【化9】
【0071】
1,000mLの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに387.89gのシクロヘキサノン、87.11gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、76.75gのポリ(フェニルグリシジルエーテル‐co‐ホルムアルデヒド)(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)、および2.38gのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC;Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)を充填した。反応は120℃まで加熱し、24時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、反応生成物を83.1195gのAMBERSEP200H樹脂および83.1195gのDowex550A樹脂(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)と混合し、24時間回転させた。24時間後、ろ過により各樹脂を除去した。
【実施例4】
【0072】
(実施例3のポリマーを用いる現像液可溶性底面反射防止膜の形成)
実施例3のポリマーを用いて感光性底面反射防止膜の調合物を作製した。125mLの琥珀色ナルゲンボトルに、3.5638gの実施例3の反応生成物、0.4277gのビニルエーテル架橋剤LIVELink
(TM)、0.0032gのトリエタノールアミン、94.56gのPGME、および1.4489gのシクロヘキサノンを充填することにより、調合物を調製した。混合物を一晩混転し、次に0.1μmのエンドポイントフィルターを通してろ過し、新しい125mLの琥珀色ナルゲンボトルに入れた。
【0073】
感光性底面反射防止膜をシリコンウエハ上に1,500rpmでスピンコートし、次に160℃で60秒間ベークした。フィルムを乳酸エチルですすぎ洗いしてフィルムの耐溶剤性を試験し、次に露光せずにフォトレジスト現像液、PD523ADに浸漬して、暗損失を評価した。もう一つの準備したウエハについて、フォトレジスト、JSRM529Yを1,500rpmで感光性底面反射防止膜の上部にスピンコートし、次に130℃で90秒間ベークした。Oriel DUV広帯域露光装置および248‐nmのバンドパスフィルタを用いて対比曲線を試験した。対比の露光の後、125℃で90秒間PEBを行い、PD523ADを用いて45秒間、ウエハを現像し、その後、DI水で5秒間すすぎ洗いし、スピンドライを行った。表2は、その結果をまとめたものである。
【0074】
【表2】
【0075】
これらの結果は、この材料が、依然として露光後にはアルカリ性現像液中で完全に除去可能でありながら、優れた耐溶剤性と最小限の暗損失を有することを示している。
【0076】
次に、上記調合物をシリコンウエハ上にスピンコートし、160℃で60秒間ベークした。続いて反射防止膜を248‐nmリソグラフィ用フォトレジスト(JSR M529Yレジスト)でコートし、130℃で90秒間のPAB、ならびに125℃で90秒間のPEBを行った。
図2は、リソグラフィの結果を示す。
【実施例5】
【0077】
(グリシジルメタクリレートとスチレンの重合、続く3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸の結合)
【化10】
【0078】
250mLの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに115.00gのシクロヘキサノン、25.0gのスチレン(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)、50.0gのグリシジルメタクリレート(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)、1.875gの1‐ドデカンチオール、および3.75gの2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)を充填することにより、ポリ(グリシジルメタクリレート‐co‐スチレン)を調製した。反応は75℃まで加熱し、18時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、ポリマーを、50/50のエタノールおよびn‐ヘキサン(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)混合液に沈殿させ、次に40℃で48時間、減圧乾燥器で乾燥した。
【0079】
次に、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した、別の250mL三口フラスコに、23.50gの乾燥、調製したポリ(グリシジルメタクリレート‐co‐スチレン)、20.23gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、0.146gのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)、および102.0gのシクロヘキサノンを充填した。反応は120℃まで加熱し、16時間撹拌して行われた。一度冷却を行い、100.0gの反応生成物を20.0gのシクロヘキサノンで希釈した。希釈した溶液を、18.0gのAMBERSEP200H樹脂および18.0gのDowex550A樹脂(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)と、24時間混合した。24時間後、各樹脂をろ過により除去した。
【実施例6】
【0080】
(実施例5のポリマーを用いる現像液可溶性底面反射防止膜の形成)
実施例5のポリマーを用いて感光性底面反射防止膜の調合物を作製した。60mLの琥珀色ナルゲンボトルに、2.2956gの実施例5の反応生成物、0.1722gのビニルエーテル架橋剤LIVELink
(TM)、0.0172gのTPS−C1(Daychem Laboratories,Inc.、Vandalia、OH州)、0.0017gのトリエタノールアミン、41.5809gのPGME、および0.9324gのシクロヘキサノンを充填することにより、調合物を調製した。混合物を一晩混転し、次に0.1μmのエンドポイントフィルターを通してろ過し、新しい60mLの琥珀色ナルゲンボトルに入れた。
【0081】
感光性底面反射防止膜をシリコンウエハ上に1,500rpmでスピンコートし、次に160℃で60秒間ベークした。フィルムを乳酸エチルですすぎ洗いしてフィルムの耐溶剤性を試験し、次に露光せずにフォトレジスト現像液、PD523ADに浸漬して、暗損失を評価した。もう一つの準備したウエハについて、Oriel DUV広帯域露光装置および248nmのバンドパスフィルタを用いて対比曲線を試験した。対比の露光の後、125℃で90秒間PEBを行い、PD523ADを用いて45秒間、ウエハを現像し、その後、DI水で5秒間すすぎ洗いし、スピンドライを行った。表3は、その結果をまとめたものである。
【0082】
【表3】
【0083】
この結果は、この材料が、依然として露光後にはアルカリ性現像液中で完全に除去可能でありながら、優れた耐溶剤性と最小限の暗損失を有することを示している。
【0084】
感光性底面反射防止膜の調合物をシリコンウエハ上にスピンコートし、160℃で60秒間ベークした。続いて反射防止膜を248‐nmリソグラフィ用フォトレジスト(JSR M529Yレジスト)でコートし、130℃で90秒間のPAB、ならびに125℃で90秒間のPEBを行った。
図3は、リソグラフィの結果を示す。
【実施例7】
【0085】
(グリシジルメタクリレートとスチレンの重合、および3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸の結合)
250mLの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに120gのシクロヘキサノン、17.78gのスチレン、56.64gのグリシジルメタクリレート、1.86gの1‐ドデカンチオール、および3.72gの2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)を充填した。反応は75℃まで加熱し、18時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、ポリマー母液を、それ以上の処理を行わずにボトルに入れた。
【0086】
次に、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した、別の250mL三口フラスコに、64.73gの調製したポリ(グリシジルメタクリレート‐co‐スチレン)母液、20.68gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、0.43gのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、および111.16gのシクロヘキサノンを充填した。反応は120℃まで加熱し、16時間撹拌して行われた。一度冷却を行い、溶液を、16.0gのAMBERSEP200H樹脂および16.0gのDowex550A樹脂(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)と、24時間混合した。24時間後、各樹脂をろ過により除去した。
【実施例8】
【0087】
(グリシジルメタクリレートとスチレンの重合、続く3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸の結合)
250mLの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに120gのシクロヘキサノン、11.52gのスチレン、62.90gのグリシジルメタクリレート、1.86gの1‐ドデカンチオール、および3.72gの2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)を充填した。反応は75℃まで加熱し、18時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、ポリマー母液を、それ以上の処理を行わずにボトルに入れた。
【0088】
次に、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した、別の250mL三口フラスコに、61.46gの調製したポリ(グリシジルメタクリレート‐co‐スチレン)母液、24.96gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、0.45gのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、および113.13gのシクロヘキサノンを充填した。反応は120℃まで加熱し、16時間撹拌して行われた。一度冷却を行い、溶液を、16.0gのAMBERSEP200H樹脂および16.0gのDowex550A樹脂(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)と、24時間混合した。24時間後、各樹脂をろ過により除去した。
【実施例9】
【0089】
(グリシジルメタクリレートホモポリマーの重合、続く3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸の結合)
【化11】
【0090】
250mLの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに120gのシクロヘキサノン、74.42gのグリシジルメタクリレート、1.86gの1‐ドデカンチオール、および3.72gの2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)を充填した。反応は75℃まで加熱し、18時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、ポリマー母液を、それ以上の処理を行わずにボトルに入れた。
【0091】
次に、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した、別の250mL三口フラスコに、56.22gの調製したポリ(グリシジルメタクリレート‐co‐スチレン)母液、27.02gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、0.49gのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、および116.27gのシクロヘキサノンを充填した。反応は120℃まで加熱し、16時間撹拌して行われた。一度冷却を行い、93.0gのシクロヘキサノンを母液に添加し、溶液の粘度を下げた。次に、希釈した溶液を、16.0gのAMBERSEP200H樹脂および16.0gのDowex550A樹脂(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)と、24時間混合した。24時間後、各樹脂をろ過により除去した。
【実施例10】
【0092】
(グリシジルメタクリレートおよびt‐ブチルメタクリレートの重合、続く3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸の結合)
【化12】
【0093】
250mLの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに120gのシクロヘキサノン、30.0gのt‐ブチルメタクリレート(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)、44.98gのグリシジルメタクリレート、1.67gの1‐ドデカンチオール、および3.35gの2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)を充填した。反応は75℃まで加熱し、18時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、ポリマー母液を、それ以上の処理を行わずにボトルに入れた。
【0094】
次に、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した、別の250mL三口フラスコに、71.84gの調製したポリ(グリシジルメタクリレート‐co‐t‐ブチルメタクリレート)母液、20.89gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、0.38gのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、および106.89gのシクロヘキサノンを充填した。反応は120℃まで加熱し、16時間撹拌して行われた。一度冷却を行い、溶液を、16.0gのAMBERSEP200H樹脂および16.0gのDowex550A樹脂(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)と、24時間混合した。24時間後、各樹脂をろ過により除去した。
【0095】
次に、調製したポリマーを用いて、実施例6と同じ手順で感光性、現像液可溶性底面反射防止膜を形成した。反射防止組成物をシリコンウエハ上にスピンコートし、160℃で60秒間ベークし、その後JSR M529Yレジストを用いる248‐nmリソグラフィ、130℃で90秒間のPAB、および125℃で90秒間のPEBを行った。
図4はリソグラフィの結果を示す。
【実施例11】
【0096】
(グリシジルメタクリレートとp‐tert‐ブトキシカルボニルオキシスチレンの重合、続く3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸の結合)
【化13】
【0097】
250mLの三口フラスコに、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した。該フラスコに120gのシクロヘキサノン、38.54gのp‐tert‐ブトキシカルボニルオキシスチレン(Dupont、Wilmington、DE州)、37.30gのグリシジルメタクリレート、1.39gの1‐ドデカンチオール、および2.78gの2,2’‐アゾビス(2‐メチルプロピオニトリル)を充填した。反応は75℃まで加熱し、18時間撹拌した後、周囲条件まで冷却して行われた。冷却後、ポリマー母液を、それ以上の処理を行わずにボトルに入れた。
【0098】
次に、マグネチックスターラーバー、窒素流入口、窒素流出口を備えた冷却器、および温度計を装備した、別の250mL三口フラスコに、77.47gの調製したポリ(グリシジルメタクリレート‐co‐p‐tert‐ブトキシカルボニルオキシスチレン)母液、18.68gの3,7‐ジヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、0.34gのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、および103.52gのシクロヘキサノンを充填した。反応は120℃まで加熱し、16時間撹拌して行われた。一度冷却を行い、溶液を、16.0gのAMBERSEP200H樹脂および16.0gのDowex550A樹脂(Sigma Aldrich、St.Louis、MO州)と、24時間混合した。24時間後、各樹脂をろ過により除去した。
【実施例12】
【0099】
(実施例11のポリマーを用いる感光性、現像液可溶性底面反射防止膜の形成)
実施例11のポリマーを用いて感光性底面反射防止膜の調合物を作製した。60mLの琥珀色ナルゲンボトルに、2.2472gの実施例11の反応生成物、0.1685gのビニルエーテル架橋剤LIVELink
(TM)、0.0169gのTPS−C1(Daychem Laboratories,Inc.、Vandalia、OH州)、0.0028gのトリエタノールアミン、46.2950gのPGME、および1.2696gのシクロヘキサノンを充填することにより、調合物を調製した。混合物を一晩混転し、次に0.1μmのエンドポイントフィルターを通してろ過し、新しい60mLの琥珀色ナルゲンボトルに入れた。
【0100】
感光性底面反射防止膜をシリコンウエハ上に1,500rpmでスピンコートし、次に160℃で60秒間ベークした。フィルムを乳酸エチルですすぎ洗いしてフィルムの耐溶剤性を試験し、次に露光せずにフォトレジスト現像液、PD523ADに浸漬して、暗損失を評価した。もう一つの準備したウエハについて、Oriel DUV広帯域露光装置および248nmのバンドパスフィルタを用いて対比曲線を試験した。対比の露光の後、125℃で90秒間PEBを行い、PD523ADを用いて45秒間、ウエハを現像し、その後、DI水で5秒間すすぎ洗いし、スピンドライを行った。表4は、その結果をまとめたものである。
【0101】
【表4】
【0102】
この結果は、この材料が、依然として露光後にはアルカリ性現像液中で完全に除去可能でありながら、優れた耐溶剤性と最小限の暗損失を有することを示している。
【0103】
感光性底面反射防止膜の調合物をシリコンウエハ上にスピンコートし、160℃で60秒間ベークした。続いて反射防止膜を248‐nmリソグラフィ用フォトレジスト(JSR M529Yレジスト)でコートし、130℃で90秒間のPAB、ならびに125℃で90秒間のPEBを行った。
図5は、リソグラフィの結果を示す。