【実施例】
【0047】
発明の詳細な説明
本発明は、以下でさらに詳細に、例としてのみ記載される:
1. 合成の方法論
本発明の化合物の合成に使用した方法を、以下の一般的なスキーム及び具体的な合成により例示する。すべての化合物及び中間体は、核磁気共鳴法(NMR)により特性評価した。これらの化合物を調製するのに使用した出発物質及び試薬は、市販品の供給元から入手可能である、又は当業者に自明の方法により調製することができる。これらの一般的なスキーム及び具体的な合成は、本発明の化合物を合成することができる方法を単に例示するだけのものであって、これらのスキーム及び合成に様々な修正を行うことは可能であり、本開示を参照した当業者に提案されることになるであろう。
【0048】
本発明の化合物は、融点及びNMRにより特性評価した。NMRスペクトルは、Bruker Avance III 600MHzスペクトロメーター上で、内部標準として使用した溶媒を用いて記録した。13Cスペクトルは、150MHzで記録し、1Hスペクトルは600MHzで記録した。データは、以下の順で報告した:近似的な化学シフト(ppm)、プロトン数、多重度(br,broad;d,doublet;m,multiplet;s,singlet;t,triplet)、及び結合定数(Hz)。
【0049】
以下のスキームにおける室温は、20℃〜25℃の範囲の温度を意味する。
【0050】
1.1. N−メチル−4−(3−(スルファモイルアミノ)フェニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(化合物1)の合成に向けた一般的スキーム
【0051】
【化2】
【0052】
4−(3−ニトロフェニル)−1H−イミダゾール−1−カルボン酸フェニル
【0053】
【化3】
【0054】
クロロギ酸フェニル(3.2mL、25.4mmol)を、4−(3−ニトロフェニル)−1H−イミダゾール(4g、21.1mmol)及びDCM(100mL)中、ピリジン(2.0mL、25.4mmol)の攪拌溶液に0℃で加えた。反応混合物を室温で2時間、攪拌放置した。水を加え、有機層を分離し、乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させてベージュ色の固体を得た。固体をその後、プロパン−2−オール及びDCMの混合物から再結晶させ、生成物をベージュ色の固体として単離した。4−(3−ニトロフェニル)−1H−イミダゾール−1−カルボン酸フェニル(2.89g、44%の収率)。
【0055】
N−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド
【0056】
【化4】
【0057】
テトラヒドロフラン(THF)(6mL)中、N−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン(2.15g、18.7mmol)の溶液を、THF(40mL)中、4−(3−ニトロフェニル)−1H−イミダゾール−1−カルボン酸フェニル(2.89g、9.3mmol)の攪拌溶液に室温で加えた。黄色の溶液を一晩、還流下で攪拌放置した。溶媒を真空で蒸発させ、生成物をプロパン−2−オールから再結晶させた。N−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.938g、30%の収率)。
【0058】
4−(3−アミノフェニル)−N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド
【0059】
【化5】
【0060】
エタノール(30.0mL)及び酢酸エチル(30mL)の混合物を、水湿潤パラジウム(0.151g、0.142mmol、活性炭素上10%)に、アルゴン雰囲気下で加えた。この混合物に、N−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.938g、2.84mmol)を加え、懸濁液を室温で一晩、水素雰囲気下で攪拌放置した。得られた灰色の懸濁液はセライトに通してろ過し、セライトはDCMを用いて洗浄した。ろ液を真空中で蒸発させて、無色の生成物を、プロパン−2−オールから再結晶させた。4−(3−アミノフェニル)−N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.695g、81%の収率)。
【0061】
N−メチル−4−(3−(スルファモイルアミノ)フェニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(化合物1)
【0062】
【化6】
【0063】
スルファモイルクロリド(0.321g、2.78mmol)を、4−(3−アミノフェニル)−N−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.695g、2.314mmol)及びDCM(12mL)中、トリエチルアミン(0.481mL、3.47mmol)の攪拌懸濁液に、室温で加えた。白色懸濁液を室温で一晩、攪拌放置した。水を加え、有機層を、DCM/プロパン−2−オール7:3の混合物を用いて希釈した。有機層を分離し、水層を再抽出した。一つに集めた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて透明な油を得た。生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM/MeOH 2%、5%、10%)により分離し、無色の固体として単離した。固体を、プロパン−2−オール/DCM混合物を用いて粉砕した。固体をEtOHから2回、再結晶させ、生成物を一晩、60℃、高真空中で乾燥させた。N−メチル−4−(3−(スルファモイルアミノ)フェニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.160g、18%の収率)。融点:128℃。
【0064】
NMR (DMSO-d
6):
1H : 9.54 (1H, s), 8.14 (1H, s), 7.94 (1H, s), 7.64 (1H, s), 7.44 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.27 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.15 (2H, s), 7.05 (1H, d, J = 8.2 Hz), 4.10 (1H, m), 3.93 (2H, dd, J = 4.0, 11.3 Hz), 3.36 (2H, m), 2.95 (3H, s), 1.86 (2H, dq, J = 4.1, 12.3 Hz), 1.70 (2H, d, J = 12.0 Hz).
13C : 151, 140.6, 139.9, 137.5, 134, 129, 118.6, 116.9, 114.6, 114.4, 66.3, 54.2, 31.6, 29.1.
【0065】
1.2. 4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(ピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド塩酸塩(中間体1)の合成に向けた一般的スキーム
【0066】
【化7】
【0067】
1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エタノン
【0068】
【化8】
【0069】
硫酸ジメチル(17.50mL、183mmol)を、1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタノン(25g、166mmol)及びアセトン(277mL)中、炭酸カリウム(28.8g、208mmol)の攪拌懸濁液に室温で加えた。懸濁液を一晩、還流下で攪拌放置した。固体をろ過により分離し、アセトンを用いて洗浄し、ろ液を真空中で蒸発させた。有機残渣をEtOAcに溶解させ、水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて黄色油を得た。さらなる精製無しに使用した。1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エタノン(28.7g)。
【0070】
2−ブロモ−1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エタノン
【0071】
【化9】
【0072】
THF(122mL)中、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(30.2g、80mmol)の溶液を滴下して、THF(122mL)中、1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エタノン(12g、73.1mmol)の攪拌溶液に室温で加えた。黄色の懸濁液を室温で1時間、攪拌放置した。固体をろ過により分離し、THFを用いて洗浄した。ろ液を真空中で蒸発させて、有機残渣をEtOAcに溶解させ、水で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて、紫色の油を得た。さらなる精製無しに使用した。2−ブロモ−1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エタノン(27.9g)。
【0073】
4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−1H−イミダゾール
【化10】
【0074】
水(4mL)を、2−ブロモ−1−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エタノン(27.9g、115mmol)及びホルムアミド(56.7mL、1423mmol)の攪拌懸濁液に室温で加えた。懸濁液を140℃で5時間、攪拌放置した。混合物を200mLの水に注ぎ、暗濃褐色の油を得た。油をろ過により分離し、1NのHClを用いて洗浄し、ろ液を50%のNaOHを用いて塩基性にして、ベージュ色の固体を得た。固体をろ過により分離し、ジエチルエーテル(5×)を用いて洗浄して、純白でない固体を得た。4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−1H−イミダゾール(5.2g、24%の収率)。
【0075】
4−(メチルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0076】
【化11】
【0077】
メタノール(100mL)中、メタンアミン(38.0mL、442mmol、40%水溶液)の溶液を、水湿潤パラジウム(1.602g、1.506mmol、活性炭素上10%)に、室温、アルゴン雰囲気下で加えた。この混合物に、4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(20g、100mmol)を分割して加え、混合物を50℃、20バールで、1時間にわたり攪拌放置した。懸濁液をアルゴンフラッシュし、セライトに通してろ過し、セライトはDCMを用いて洗浄した。ろ液を真空中で蒸発させて、透明な油として生成物を得た。油をEtOAcに溶解させ、水で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて透明な油を得た。さらなる精製無しに使用した。4−(メチルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(20g、93%の収率)。
【0078】
4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0079】
【化12】
【0080】
4−(メチルアミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(20g、93mmol)及びTHF(133mL)中、ヒューニッヒ塩基(35.9mL、205mmol)の溶液を滴下して、攪拌されたホスゲン(53.3mL、112mmol、トルエン中20%溶液)に0℃で加えて、白色懸濁液を得た。混合物を、0℃で10分間、室温で2時間、攪拌放置した。懸濁液を氷/水に注ぎ、有機残渣をEtOAcを用いて抽出した。有機層を分離し、1NのHCl溶液を用いて洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて、黄色油を得た。油を、PE及び数滴のジエチルエーテルの混合物を用いて粉砕して、無色の固体を得た。固体をろ過により分離し、石油エーテルを用いて洗浄した。4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(17.4g、67%の収率)。
【0081】
4−(4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0082】
【化13】
【0083】
水素化ナトリウム(1.313g、32.8mmol、60%油中分散体)を、THF(137mL)中、4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−1H−イミダゾール(5.15g、27.4mmol)の攪拌懸濁液に、0℃で分割して加えた。暗青色の溶液を室温で30分間、攪拌放置し、その後、4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(11.36g、41.0mmol)を0℃で加えて、暗色の溶液を得た。混合物を室温で2時間、攪拌放置した。水を0℃で加え、有機層を、DCM/プロパン−2−オール7:3の混合物を用いて希釈した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて、ベージュ色の固体を得た。固体をプロパン−2−オールから再結晶させた。4−(4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(9.39g、80%の収率)。
【0084】
4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(ピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド塩酸塩
【0085】
【化14】
【0086】
TFA(30mL)を、4−(4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル残渣(9.39g、21.91mmol)に、室温で注意深く加えた。黄色の溶液を室温で1.5時間、攪拌放置した。TFAを真空中で蒸発させ、その後、トルエンで2回共沸した。黄色の残渣をその後、酢酸エチル(30mL)に溶解させ、ジエチルエーテル中、2Mの塩化水素の溶液(32.9mL、65.7mmol)を滴下して0℃で加えて、白色懸濁液を得た。混合物を室温で30分間、攪拌放置し、その後、固体をろ過により分離し、EtOAcを用いて洗浄した。4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(ピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド塩酸塩(11.06g)。
【0087】
1.3. 4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(1−プロピオニルピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(化合物2)の合成に向けた一般的スキーム
【0088】
【化15】
【0089】
4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(1−プロピオニルピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド
【0090】
【化16】
【0091】
プロピオニルクロリド(0.287mL、3.29mmol)を、4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(ピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド塩酸塩(中間体1)(1g、2.74mmol)及びDCM(14mL)中、ヒューニッヒ塩基(0.957mL、5.48mmol)の攪拌懸濁液に、室温で加えた。ピンク色の溶液を室温で一晩、攪拌放置した。水を加え、有機層をDCMを用いて希釈した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて、純白でない固体を得た。固体をプロパン−2−オールから再結晶させた。4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(1−プロピオニルピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.496g、45%の収率)。
【0092】
4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(1−プロピオニルピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(化合物2)
【0093】
【化17】
【0094】
三臭化ホウ素(0.354mL、3.75mmol)を、無水DCM(4mL)中、4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(1−プロピオニルピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.480g、1.248mmol)の攪拌懸濁液に、−78℃で加えた。懸濁液を−78℃で15分間、室温で2時間、攪拌放置した。水を−50℃で加え、その後、有機層を、DCM/プロパン−2−オール7:3の混合物を用いて希釈した。有機層を分離し;水層をNaClで飽和させ、再抽出した。一つに集めた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて、透明な油を得た。生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM/MeOH 2%、5%、10%)により分離し、無色の固体として単離した。固体をプロパン−2−オールから再結晶させた。4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(1−プロピオニルピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.22g、45%の収率)。融点:232℃。
【0095】
NMR (DMSO-d
6):
1H : 9.34 (1H, s), 8.06 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.77 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.55 (1H, d, J = 1.6 Hz), 7.47 (1H, dd, J = 2, 8.3 Hz), 6.77 (1H, d, J = 8.3 Hz), 4.53 (1H, d, J = 12.5 Hz), 4.10 (1H, m), 3.95 (1H, d, J = 13.5 Hz), 3.06 (1H, mt, J = 13.0 Hz), 2.91 (3H, s), 2.56 (1H, mt, J = 12.8 Hz), 2.34 (2H, q, J = 7.5 Hz), 2.14 (3H, s), 1.76 (3H, m), 1.60 (1H, dq, J = 4.3, 12.3 Hz), 0.98 (3H, t, J = 7.5 Hz).
13C : 171.1, 154.8, 151.1, 141.1, 137.3, 127.3, 124.2, 123.8, 123.4, 114.6, 112.3, 55.1, 43.9, 40.3, 31.6, 28.6, 28, 25.5, 16.1, 9.5.
【0096】
1.4 N−(1−(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン−4−イル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(化合物3)の合成に向けた一般的スキーム
【0097】
【化18】
【0098】
N−(1−(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン−4−イル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド
【0099】
【化19】
【0100】
シクロプロパンカルボニルクロリド(1.5mL、16.44mmol)を、4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(ピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド塩酸塩(中間体1)(5g、13.70mmol)及びDCM(70mL)中、ヒューニッヒ塩基(4.8mL、27.4mmol)の攪拌懸濁液に、室温で加えた。ピンク色の溶液を室温で一晩、攪拌放置して、ピンク色の懸濁液を得た。水を加え、有機層をDCMを用いて希釈した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて、透明な油を得たが、これは純白でない固体に固化した。固体をプロパン−2−オールから再結晶させた。N−(1−(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン−4−イル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(2.96g、55%の収率)。
【0101】
N−(1−(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン−4−イル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(化合物3)
【0102】
【化20】
【0103】
三臭化ホウ素(0.358mL、3.78mmol)を、無水DCM(4.20mL)中、N−(1−(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン−4−イル)−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.500g、1.261mmol)の攪拌懸濁液に、−78℃で加えた。懸濁液を−78℃で15分間、室温で2時間、攪拌放置した。水を−50℃で加え、その後、有機層を、DCM/プロパン−2−オール7:3の混合物を用いて希釈した。有機層を分離し;水層をNaClで飽和させ、再抽出した。一つに集めた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、真空中で蒸発させて、透明な油を得た。生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM/MeOH 2%、5%、10%)により分離し、無色の固体として単離した。固体を、プロパン−2−オール及びDCMの混合物から再結晶させた。N−(1−(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン−4−イル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.289g、57%の収率)。融点:204℃。
【0104】
NMR (DMSO-d
6):
1H : 9.32 (1H, s), 8.06 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.76 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.55 (1H, d, J = 1.6 Hz), 7.47 (1H, dd, J = 2, 8.2 Hz), 6.77 (1H, d, J = 8.2 Hz), 4.51 (1H, d, J = 12.0 Hz), 4.37 (1H, d, J = 13.0 Hz), 4.13 (1H, m), 3.15 (1H, t, J = 13.0 Hz), 2.92 (3H, s), 2.61 (1H, mt, J = 13.0 Hz), 2.14 (3H, s), 2.0 (1H, m), 1.85 (1H, md), 1.77 (2H, m), 1.63 (1H, mq), 0.8-0.66 (4H, m).
13C : 170.8, 154.8, 151.2, 141.1, 137.3, 127.3, 124.2, 123.8, 123.4, 114.6, 112.4, 55.2, 44, 40.8, 31.7, 28.9, 28, 16.1, 10.3, 7, 6.9.
【0105】
2. 生物学的有効性
すべての動物手順は、実験及びその他の科学的目的に使用される脊椎動物の保護に向けた欧州の指導(European Directive for Protection of Vertebrate Animals Used for Experimental and Other Scientific Purposes(86/609CEE)、及びポルトガルの立法(Decreto-Lei 129/92, Portarias 1005/92 e 1131/97)に厳密に沿って実行した。使用した動物の数は、現状の規制及び科学的完全性に従って、最小限とした。
【0106】
イン・ビボでの試験を、以下に記載されるプロトコルに従って実行した。BRh(脳ホモジネート)は、中枢神経組織、この場合には、脳における阻害を示し、LVh(肝ホモジネート)は、末梢組織、この場合には、肝臓における阻害を示した。対照は、反応混合物から試験化合物を差し引いたものであった。従って、試験化合物に対して低い値は、強い阻害を示す。100の値は、測定可能な阻害が生じなかったことを示す。
【0107】
イン・ビボでのプロトコル
マウスにおける実験
動物の処置
実験に使用した動物は、インテルファウナ・イベリカ(Interfauna Iberica(スペイン))から入手した雄のNMRIマウス(体重27〜44g)であった。マウスは、管理された環境条件(12時間の明/暗周期、及び室温22±1℃)下、1ケージ当たり5匹を維持した。餌及び水道水は不断に与え、実験すべて日中の時間に実行した。
【0108】
動物は、化合物の投与前には常に、一晩、絶食させた。
【0109】
動物には、適切な投与量の本発明の化合物を、経口経路を通じて(8ml/kg;0.5%のカルボキシメチルセルロース(CMC)に懸濁させた、又は水に可溶化させた化合物)、又はビヒクル(対照)を、動物用の給餌ステンレス湾曲針(feeding stainless steel curve needles)(パーフェクタム(Perfectum)、U.S.A.)を用いて投与した。動物は、屠殺する15分前に、ペントバルビタール60mg/kgを腹腔内に投与して麻酔した。肝臓及び小脳を除いた脳の断片を除去し、膜緩衝液(3mMのMgCl
2、1mMのEDTA、50mMのTris HCl pH7.4)を含有するプラスチック製のバイアルに入れた。組織は、−30℃で分析まで保存した。
【0110】
試薬及び溶液
アナンダミド[エタノールアミン−1−
3H−](40〜60Ci/mmol)を、アメリカンラジオケミカルズ社(American Radiochemicals)から入手した。その他すべての試薬は、シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich)から入手した。Optiphase Supermixをパーキンエルマー社(Perkin Elmer)から入手し、活性炭をシグマアルドリッチ社から入手した。
【0111】
組織の準備
組織を氷上で解凍し、10体積量の膜緩衝液(3mMのMgCl
2、1mMのEDTA、50mMのTris HCl pH7.4)中で、Potter−Elvejhem(脳−500rpmで8ストローク)、又はHeidolph Diax(肝臓−30秒の休止を入れて20秒間、5の位置で2ストローク)のいずれかを用いてホモジネートした。
【0112】
組織中の全タンパク質を、BioRadタンパク質アッセイ(BioRad)を用い、BSA(50〜250μg/ml)の標準曲線を使用して定量した。
【0113】
酵素アッセイ
反応混合物(200μlの全体積)は:1mMのEDTA、10mMのTris pH7.6中、2μMのAEA(2μMのAEA+5nMの
3H−AEA)、脂肪酸を含まない0.1%のBSA、15μg(脳)又は5μg(肝臓)のタンパク質を含有していた。37℃での15分のプレインキュベーション期の後、基質溶液(冷AEA+放射標識されたAEA+BSA)の添加により反応が開始した。反応は、10分間(脳)、又は7分間(肝臓)実行したのち、400μlの活性炭懸濁液(連続して強く攪拌した状態で32ml、0.5MのHCl中、8gの炭)の添加により停止させた。室温で強く攪拌して30分のインキュベーション時間の後、炭を、微量遠心管中で遠心分離(13000rpmで10分)により沈降させた。200μlの上清を、24ウェルプレートに事前に分配されたOptiphase Supermixシンチレーション反応混液800μlに加えた。カウント毎分(cpm)を、MicrobetaTriLuxシンチレーションカウンター中で定量した。
【0114】
各アッセイにおいて、ブランク(タンパク質無し)を準備した。
【0115】
残った酵素活性の百分率を、対照に関して、そしてブランクを差し引いた後に計算した。
【0116】
ラットにおける実験
動物の処置
雄のウィスターラット(体重範囲:190〜230g)は、ハーラン(Harlan(スペイン))から入手した。ラットは、管理された環境条件(12時間の明/暗周期、及び室温22±1℃)下、1ケージ当たり5匹を維持した。餌及び水道水は不断に与え、実験すべて日中の時間に実行した。
【0117】
ラットに、適切な投与量の本発明の化合物を、強制経口投与を通じて(投与容量=4mL/kg体重)、動物用の給餌ステンレス湾曲針(パーフェクタム、U.S.A.)を用いて投与した。ビヒクルはミリQ水中、0.5%のCMCであった。ラットは実験前に少なくとも15時間、絶食させた。
【0118】
動物は、屠殺する15分前に、ペントバルビタール60mg/kg体重の腹腔内投与で麻酔した。肝生検及び脳試料(小脳を除く)を集め、膜緩衝液(3mMのMgCl
2、1mMのEDTA、50mMのTris HCl pH7.4)及び、肝臓試料については、ガラスビーズ(2.5mmバイオスペックプロダクツ(BioSpec Products))、を含有するプラスチック製のバイアルに入れた。組織は、−20℃で分析まで保存した。
【0119】
試薬及び溶液
アナンダミド[エタノールアミン−1−
3H−]を、アメリカンラジオケミカルズ社から入手した(60Ci/mmolの比放射能)。その他すべての試薬は、シグマアルドリッチ社から入手した。Optiphase Supermixをパーキンエルマー社から入手した。
【0120】
組織の準備
組織を氷上で解凍し; 肝臓をPrecellys 24 Dual Tissue Homogenizer(バーティンテクノロジーズ(Bertin Technologies))によって、氷中、5分のインターバルで5秒の2サイクル、ホモジネートし、脳を、Heidolph Silent Crusher M(probe 8F/M)を用いて、約45秒間、最高速度でホモジネートした。ホモジネート中の全タンパク質を、BioRadタンパク質アッセイ(BioRad)を用い、BSA(50〜250μg/ml)の標準曲線を使用して定量した。
【0121】
酵素アッセイ
反応混合物(200μlの全体積)は:1mMのEDTA、10mMのTris pH7.6中、2μMのAEA(2μMのAEA+5nMの
3H−AEA)、脂肪酸を含まない0.1%のBSA、15μg(脳)又は1.5μg(肝臓)のタンパク質を含有していた。37℃での15分のプレインキュベーション期の後、基質溶液(冷AEA+放射標識されたAEA+BSA)の添加により反応が開始した。反応は、肝臓試料については7分間、脳試料については10分間実行し、400μLのクロロホルム:メタノール(1:1、v/v)溶液の添加により停止させた。反応試料を二回ボルテックスし、5分間氷上に放置し、その後、微量遠心管中で遠心分離した(7分、7000rpm)。200μlの上清を、24ウェルプレートに事前に分配されたOptiphase Supermixシンチレーション反応混液800μlに加えた。カウント毎分(cpm)を、MicrobetaTriLuxシンチレーションカウンター中で定量した。各アッセイにおいて、ブランク試料(タンパク質無し)を準備した。残った酵素活性の百分率を、対照に関して、そしてブランクを差し引いた後に計算した。
【0122】
CYPの代謝安定性アッセイ
試験化合物の安定性を、NADPHの存在下、及び非存在下で、MLM(マウスの肝臓のミクロソーム)、又はHLM(ヒトの肝臓のミクロソーム)中で実行した。
【0123】
安定性は、1mg/mlの全タンパク質、5mMのMgCl
2、及び50mMのK−リン酸緩衝液を含有するインキュベーション混合物(100μlの全体積)を使用して測定した。試料を、1mMのNADPHの存在下、及び非存在下で、インキュベートした。反応物を5分間、プレインキュベートし、試験下にある化合物(HLMについては5μM、そしてMLMについては50μM)を用いて反応を開始させた。試料を、37℃で振とうさせた水浴中、60分間、インキュベートした。反応を、100μlのアセトニトリルの添加により停止させた。その後、試料を遠心分離し、ろ過して、上清をHLPC−MSDに注入した。試験化合物をDMSOに溶解させ、反応物中のDMSOの最終濃度は0.5%(v/v)未満であった。T0で、アセトニトリルを、化合物の添加前に加えた。すべての実験は、2通りの試料を用いて実行した。
【0124】
試験された化合物:
化合物1=(N−メチル−4−(3−(スルファモイルアミノ)フェニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド)。
化合物2=((4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−N−(1−プロピオニルピペリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド)。
化合物3=((N−(1−(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン−4−イル)−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド)。
【0125】
【表1】
【0126】
上の表からわかる通り、化合物1、2、及び3は、肝臓におけるFAAH阻害の観点ですべて比較的強力な化合物である。
【0127】
末梢選択性は、肝臓におけるFAAH活性を、脳におけるFAAH活性によって除算するにより計算することができる。これを行う場合、値が低いほど、化合物は末梢選択的であることを示している。結果を以下の表に示す:
【0128】
【表2】
【0129】
これらの結果は、化合物2及び3が最も末梢選択性的な化合物であるが、すべての化合物が比較的高い末梢選択性を示すことを示している。
【0130】
化合物についての、様々な濃度でのFAAH活性に関連する追加データを、以下の表に示す:
【0131】
【表3】
【0132】
上記からわかる通り、化合物2及び3は、それらが比較的低い投与量であってもFAAH活性を阻害するため、最も強力である。しかしながら、すべての化合物は比較的強力である。
【0133】
さらに、同様の実験がラットにおいて実行され、以下の結果を得た:
【0134】
【表4】
【0135】
上記からわかる通り、すべての化合物はラットの肝臓において比較的良好な阻害を示し、比較的強力であった。
【0136】
代謝安定性
以下の表に、化合物の代謝安定性を示す。安定性データは、MLM又はHLMに1時間、曝露した後の残留化合物の%として与えられている。100%は、代謝反応が全くないことを意味しており、0%は完全な酵素分解に対応している。「CYP−」は、CYP代謝反応に基本的に重要である補助因子(NADPH)の非存在を指す。従って「CYP−」は、対照値と見なすことができる。「CYP+」は、補助因子の存在を指し、試験化合物の安定性に応じて酵素分解が生じることがある。見てわかる通り、すべての化合物は、代謝的に安定である。
【0137】
【表5】