(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449304
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】極低温タンクから蒸気を回収するための装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-542354(P2016-542354)
(86)(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公表番号】特表2016-530468(P2016-530468A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】FR2014052258
(87)【国際公開番号】WO2015036708
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年8月17日
(31)【優先権主張番号】1316227.6
(32)【優先日】2013年9月12日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1455931
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】599067318
【氏名又は名称】クライオスター・ソシエテ・パール・アクシオンス・サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】ラゴット,マチアス
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−062100(JP,U)
【文献】
特表2007−529359(JP,A)
【文献】
特開平03−102153(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0056238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温タンク(2)から蒸気を回収するための装置であって、
数個の圧縮ステージを有する圧縮ユニット(4)であって、前記ユニットは前記極低温タンク(2)からガスを供給され、エンジン供給圧力でガスを送達する、圧縮ユニット(4)と、
前記極低温タンク(2)への液体の排出口を有する再液化システム(20)と、
前記ガスが前記液化システムに入る前に前記ガスを冷却し、それによって前記タンク(2)に由来する前記蒸発ガスが前記圧縮ユニット(4)に入る前に前記ガスを加熱するために、前記極低温タンク(2)と前記圧縮ユニット(4)との間に配置された交換器(10)とを備え、
前記極低温タンク(2)に由来する前記蒸発ガスは、前記圧縮ユニット(4)の内側で圧縮されたガスによって加熱されると共に、前記エンジン供給圧力以下の中間圧力まで圧縮されることと、
前記再液化システム(20)は、前記圧縮ユニット(4)の内側で前記エンジンの前記供給圧力以下の中間圧力に圧縮されたガスを供給されることと、
前記圧縮ユニット(4)は前記極低温タンク(2)からの蒸気が流入する圧縮ユニット流入口(6a)、前記エンジン供給圧力における第1の圧縮ユニット排出口(6b)、および前記中間圧力における第2の圧縮ユニット排出口(6c)を備えることと、
前記第2の圧縮ユニット排出口(6c)は、一方では前記交換器(10)に連結され、他方では三方弁(18)に連結されることとを備え、
前記三方弁(18)は、前記第2の圧縮ユニット排出口に直接連結された第1の三方弁流入口と、前記第2の圧縮ユニット排出口から来るガスが前記交換器(10)内を通過後に供給される第2の三方弁流入口と、および前記再液化システム(20)への三方弁排出口とを有することを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸発ガスを回収するための装置において、 膨張弁(22)は前記再液化システム(20)の上流に配置されることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蒸発ガスを回収するための装置において、 前記膨張弁(22)は前記交換器(10)および前記三方弁(18)によって形成されたユニットの下流に配置されることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の蒸発ガスを回収するための装置において、 前記再液化システム(20)は、前記再液化システム(20)に入る前記蒸発ガスを冷却するために、少なくとも1つの熱交換器(26および28、50、60)を供給する冷媒流体の閉ループ(24)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の蒸発ガスを回収するための装置において、 単一の交換器(60)を使用して、一方では前記タンク(2)に由来する前記蒸発ガスが前記圧縮ユニット(4)に入る前に前記ガスの加熱を実施し、また他方では冷媒流体の前記閉ループ(24)を通って前記再液化システム(20)に入る前記蒸発ガスの冷却を実施することを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の蒸発ガスを回収するための装置において、 冷媒流体の前記閉ループ(24)は基本的に窒素を含有することを特徴とする、装置。
【請求項7】
少なくとも1つの極低温タンクと、燃料として高圧天然ガスを使用するエンジンと、前記極低温タンクに由来する蒸発ガスを回収するための装置であって、蒸発ガスを回収するための前記装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の蒸発ガスを回収するための装置であることを特徴とする、装置とを備えるユニット。
【請求項8】
液化天然ガスを輸送するための船舶であって、前記船舶は請求項1〜6のいずれかに記載の蒸発ガスを回収するための装置を備えることを特徴とする、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は極低温タンクに由来する蒸発ガスを回収するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、例えば極低温液体の輸送である。輸送中、極低温液体は断熱されたタンク内に置かれるが、充分な断熱が実行されているにもかかわらず、タンクの内部と外部との間に熱交換が生じる。これらの熱交換は外部からタンクの内部にさらなるエネルギーをもたらし、タンク内の液体の一部の蒸発をもたらす。この蒸発により関連したタンク内の圧力が増加する傾向がある。この圧力の増加を制限するために、蒸発した液体がタンクからガスの形で除去される。
【0003】
極低温液体(ひいては対応するガス)の性質に依存して、タンク内に収集された蒸発ガスを様々な方法で処理することができる。したがって、例えば蒸発ガスを単に大気に放出することが考えられる。また液化し、次いでタンク内に再導入するために、回収された蒸発ガスを処理することもできる。
【0004】
極低温液体を燃料として使用できる場合に、例えば極低温液体がLNG(液体天然ガス(Liquid Natural Gas)の英語の略)である場合は、回収された蒸発ガスを輸送車両、概して船舶(メタンタンカー)の運転に使用することができる。
【0005】
本発明は、本明細書ではより詳細には極低温液体の蒸発からガスを回収するためのシステムに関し、これにより必要に応じて高圧ガスエンジンを供給する、かつ/またはこの回収された蒸発ガスを再液化することが可能になる。天然ガスで走るエンジンを供給するために、天然ガスを約10〜300バール(すなわち1〜30MPa)の圧力にさせる、中圧/高圧圧縮機が概して提供される。船舶の速度に依存して、エンジンに必要なガスは異なり、エンジンを供給するために回収された蒸発ガスのすべてまたは一部が圧縮される、またはその再液化のための装置に送出される。
【0006】
再液化装置に進む蒸発ガスは、従来少なくとも4バール(すなわち0.4MPa)の圧力であり、約−100〜+40℃の温度である。上述のように、再液化後に獲得された液体は極低温液体タンクに戻る。
【0007】
国際公開WO第2007/117148号公報は、再液化システムのタンクに由来する蒸発された液化天然ガスの流れをその圧縮前に予熱することができる方法および装置を示す。この方法は、蒸発ガス流より高温を有する第2の冷却流の流れを備える、第1の熱交換器内で熱交換を受ける蒸発ガス流を有するものであり、第2の冷却流は第1の冷却流をこの第2の冷却流および第3の冷却流に選択的に分割することによって獲得され、後者は再液化システムの保冷ボックスの第1の冷却通路の中に注入される。したがって蒸発ガスはその圧縮前にほぼ環境温度に達し、蒸発ガスに起因する低温は実質的に再液化システムに伝達される。圧縮ステップの前に、蒸発ガスをほぼ環境温度に予熱するために、低温の蒸発ガスは、熱交換前に蒸発ガスの温度より高い温度である冷却流で熱交換を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は、一方ではエンジンのための圧縮ユニットを供給し、他方では再液化システムを供給するために使用される極低温液体の蒸発ガスを回収するための装置を提供することであり、蒸発ガスを回収するための該装置は低減された電力消費を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
有利なことに、提案された装置は、圧縮ユニットを供給し、エンジンを対象とするガスの汚染を完全に防止することを可能にする。好ましくは、この装置は単純な設計を有し、生産コストが低い。
【0010】
このために本発明は、
数個の圧縮ステージを有する圧縮ユニットであって、該ユニットは極低温タンクからガスを供給され、エンジン供給圧力でガスを送達する、圧縮ユニットと、
極低温タンクへの液体の排出口を有する再液化システムと、
ガスが液化システムに入る前にそのガスを冷却し、それによってタンクに由来する蒸発ガスが圧縮ユニットに入る前にそのガスを加熱するために、極低温タンクと圧縮ユニットとの間に配置された交換器とを備える、極低温タンクに由来する蒸発ガスを回収するための装置を提案する。
【0011】
本発明によれば、極低温タンクに由来する蒸発ガスは、圧縮ユニットの内側でエンジン供給圧力以下又は同等の圧力に圧縮されたガスによって加熱され、再液化システムは、圧縮ユニットの内側でエンジンの供給圧力以下又は同等の圧力に圧縮されたガスを供給され、恣意的に圧縮ユニットを供給する蒸発ガスによって冷却される。
【0012】
この構成は電力消費に関して特に有利であることがわかった。独自の高度の手法で圧縮ユニットの技術が可能であるとき、再液化システムを供給するために圧縮された蒸発ガスが(エンジンの供給圧力に対応する)その設定点圧力に達する前に、そのガスの一部を除去することができる。加えてこの圧縮されたガスは、圧縮ユニットを供給する蒸発ガスによって冷却される。これが有利であるのは、一方では蒸発ガスが圧縮ユニットに入る前にそのガスを加熱することが好ましく、他方では再液化システムに入るガスを冷却することが好ましいからである。
【0013】
再液化システムの流入口における圧力および温度の制御を向上させるために、圧縮ユニットが流入口、エンジン供給圧力における第1の排出口、および中間圧力における第2の排出口を備えるような、また第2の排出口が一方では交換器に連結され、他方では三方弁であって、該三方弁は第2の排出口に直接連結された流入口、第2の排出口に由来するガスが交換器内を通過後に供給される流入口、および再液化システムへの排出口を有する、三方弁に連結されるような、蒸発ガスを回収するための装置が提案される。
【0014】
液化システムに入る前に圧力(および温度)を下げることを可能にするために、膨張弁は再液化システムの上流に配置されることが有利である。また装置に三方弁が備えられているときは、膨張弁は交換器および三方弁によって形成された圧縮ユニットの下流にあることが可能であるが、交換器の内側に液体を有する危険性を制限するために、膨張弁はこの圧縮ユニットの上流にあることが好ましい。
【0015】
続いて再液化される蒸発ガスの汚染の危険性を制限するために、潤滑されない圧縮ユニットが提供されることが有利である。別法としてこの圧縮ユニットは、少なくとも1つの潤滑された圧縮ステージの上流に、少なくとも1つの潤滑されない圧縮ステージを備えることが有利である。次いで潤滑された圧縮ステージの上流に、中間圧力の排出口を考慮することができる。また再液化システムに向かう油の取込みを阻止する、または少なくとも制限するために、ガスを処理するためのユニット(例えば合体フィルタまたは活性炭フィルタ)の設置も考えられる。
【0016】
一実施形態では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸発ガスを回収するための装置は、再液化システムが再液化システムに入る蒸発ガスを冷却するために、少なくとも1つの熱交換器を供給する冷媒流体の閉ループを備えることを特徴とする。
【0017】
この実施形態では、単一の交換器を使用して、一方ではタンクに由来する蒸発ガスが圧縮ユニットに入る前にそのガスの加熱を実施することができ、また他方では冷媒流体の閉ループを使用する再液化システムに入る蒸発ガスの冷却を実施することができる。
【0018】
冷媒流体の閉ループが提供されているとき、閉ループは基本的に例えば窒素を含有する。
【0019】
また本発明は、
少なくとも1つの極低温タンクと、燃料として中圧または高圧天然ガスを使用するエンジンと、該極低温タンクに由来する蒸発ガスを回収するための装置であって、蒸発ガスを回収するための装置は上に説明されたような蒸発ガスを回収するための装置である、装置とを備えるユニットに関し、
液化天然ガスを輸送するための船舶であって、該船舶は上に説明されたような蒸発ガスを回収するための装置を備えることを特徴とする、船舶に関する。
【0020】
本発明の詳細および利点は、添付の概略図を参照に提供された以下の説明でより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】極低温タンクに由来する蒸発ガスを回収するための装置の第1の実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】第1の実施形態の変形に対する
図1の図に類似した図である。
【
図3】第2の実施形態の変形の
図1および
図2の図に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は、搭載された少なくとも1つの極低温液体タンク2を有する船舶を参照になされる。通常、船舶上には、特にピッチング問題を阻止するように分割された、数個のタンク、または1つのタンクが存在する。本明細書では単一のタンクについて検討するが、この文書の教示は数個のタンクに適用されることが当業者には明白である。以下では、LNG(液体天然ガス(Liquid Natural Gas)の英語の略)、いわゆる液化天然ガスが使用されると想定される。その場合、船舶は燃料として圧縮された天然ガスで走る少なくとも1つのエンジン(図示せず)を備える。
【0023】
圧縮された天然ガスをエンジンに供給するために、LNGの蒸発によるガスはタンク2の中に回収され、次いで燃料として使用されるエンジンに供給線6によって送出されるために圧縮ユニット4内で圧縮される。この蒸発ガスは、一般に英語の略でBOG(ボイルオフガス(Boil Off Gas))と呼ばれる。BOGは、概して約−160℃の温度で保存されるLNGと外部との間で起きるタンク2の断熱に関わらず、不可避である熱交換に由来する。
【0024】
したがって蒸発ガスのための管8は、タンク2の上部を圧縮ユニット4の流入口
6aに結合させる。交換器10は圧縮ユニット4の上流でこの管上に配置される。ここでは交換器10により、タンク2に由来する低温の蒸発ガスが圧縮ユニット4の中に導入される前にそのガスを加熱することが可能になる。
【0025】
圧縮ユニット4は、エンジンに依存して概ね10〜300バール(すなわち1〜30MPa)であるエンジンのための供給圧力を有するように適しているので、圧縮ユニット4は概して数個の圧縮ステージを備える。第1の圧縮ステージは第1のステージ12によって概略的に表されている一方で、残りのステージは第2のステージ14のみにより図に概略的に表されている。供給線6は図に示された構成内で第2のステージ14の排出口
6bに連結されている。従来、圧縮ユニットの各ステージの後にガスの冷却を提供することができる。従来「中間冷却器」または「最終冷却器」と呼ばれる、対応する交換器は、図に示されていない。
【0026】
示された実施形態では、圧縮ユニット4は、ステージ14の上流にエンジンの供給圧力より低い中間圧力で第2の蒸発ガスを送達する中間排出口
6cを有する。好ましくは、液化されるガスの汚染のあらゆる危険性を防ぐために、圧縮ユニット4が潤滑された圧縮ステージおよび潤滑されない圧縮ステージを有するとき、この中間排出口
6cは潤滑された圧縮ステージの上流、すなわち蒸発ガスが潤滑油と接触する危険を冒す可能性がある前に配置される。
【0027】
次いで中間排出口は、圧縮ユニット4から延在する、より正確にはその中間排出口から三方弁18に延在する、管16を供給する。三方弁18の流入口は管16により圧縮ユニット4の中間排出口から直接供給される。三方弁18の上流には、この管16は分岐部19を形成するバイパスを有する。したがって後者は管16から始まり、タンク2に由来する低温の蒸発ガスを加熱するためにタンク2に由来する低温の蒸発ガスに対して向流的に交換器10を供給し、次いで三方弁18の第2の流入口に連結されて終わる。次いで三方弁18の排出口は再液化システム20を供給する。好ましくは、弁22は三方弁18の下流および再液化システム20の上流に提供される。しかし弁22を三方弁18の上流、すなわち管16上、例えば圧縮ユニット4の中間排出口に直接配置することも考えられる。この弁22は、その異なる位置において再液化システム20に入る蒸発ガスの圧力を低減することにより調節することを可能にする。蒸発ガスの圧力をこのように低減する間、後者の温度も低下する。
【0028】
再液化システム20は当業者に公知の型からなる。再液化システム20は例えばブレイトンサイクルに従って作動し、窒素閉ループ24を備える。後者は、従来窒素と蒸発ガスとの間の熱交換を可能にする第1の交換器26および第2の交換器28、タービン30、圧縮機32、ならびに窒素閉ループ24の窒素に熱交換をもたらすための第3の交換器34を備える。
【0029】
第1の交換器26の内側および第2の交換器28の内側で冷却され液化された蒸発ガスは、概して線29を用いてタンク2に直接返送される。蒸発ガスが大量の不活性ガス(主に窒素)を含有するとき、蒸発ガスが再液化ユニット20の内側の圧力よりわずかに低いことが可能な圧力で作動する分離器36の内側に流れるように、蒸発ガスを液化し線41を通して送出することが有利である。分離器の下部は、おそらくポンプ40を用いて戻り線38をタンク2に供給することを可能にする排出口を有する。分離器36の上部により、弁によって収集されたガス抜き管42を用いて不活性ガスを排出することが可能になる、または注入線44を通って管8の中に再注入されることにより、タンク2に直接由来する蒸発ガスに再合流させることが可能になる。
【0030】
図2の実施形態の変形は、
図1の再液化システム20の第1の交換器26および第2の交換器28の代わりに唯一の交換器50を提供する。
【0031】
図3では、同一の交換器60の内側で、一方ではタンク2に直接由来する蒸発ガスと中間圧力に圧縮された蒸発ガスとの間の交換が実施され、また他方では冷媒流体(窒素)と液化される蒸発ガスとの間の再液化システムの内側で交換が実施される。この実施形態の変形において、圧縮ユニット4の中間排出口に由来し管16を通って交換器60に流れる流れ全体を走ることが提供される。したがって表された実施形態は三方弁を備えていないが、このような弁もこの実施形態に提供することができることが当業者には明らかである。
【0032】
極低温液体を輸送する船舶においては、タンク(複数可)と外部との間の熱交換から生じる蒸発ガスの量は実質的に一定である。一方エンジンの消費は変化する。この場合、エンジンに使用されない蒸発ガスの量は再液化されることが好ましい。上に説明された蒸発ガスを回収するための装置により、エンジンの供給のため、かつエンジン(複数可)によって使用されない蒸発ガスの再液化のための、高圧ガスの生産に適合することが可能になる。
【0033】
エンジン(複数可)を供給する圧縮ユニットにおける中間圧力の蒸発ガスの量を「抽出する」ことが本明細書に提案される。タンクに直接由来する蒸発ガスと中間圧力の蒸発ガスとの間で実施される熱交換により、蒸発ガスを回収するための装置の電力消費を最適化することが可能になる。示された実施形態では、蒸発ガスが再液化システム20に入る、または再入する圧力条件を最適化するために、熱交換の上流または下流に配置された膨張弁22が使用される。中間圧力における蒸発ガスの特性に依存して、三方弁が存在可能であることにより、蒸発ガスが再液化システムに入る前にそのガスの温度をより良好に制御することが可能になる。
【0034】
したがって上に示された変形により、一方では蒸発ガスを圧縮しエンジン(複数可)を供給するために、また他方ではエンジン(複数可)によって使用されない蒸発ガスを再液化するために、電力消費の最適化が可能になる。
【0035】
実施形態の変形に示されたように、構造は比較的モジュラー型であり、必要な交換器の数を制限することが可能である。したがって本明細書に提案された解決策により、LNGもしくは別の極低温液体を回収するために船舶に搭載された、または設置部位で遭遇する様々な構成への適合が可能になる。
【0036】
本発明は上に説明された実施形態および記載された他の変形に限定されない。また本発明は、以下の特許請求の範囲に照らして当業者が到達する範囲内のあらゆる実施形態に関する。
以下は、本発明の出願当初の各種形態である。
(形態1) 極低温タンク(2)から蒸気を回収するための装置であって、
数個の圧縮ステージを有する圧縮ユニット(4)であって、前記ユニットは前記極低温タンク(2)からガスを供給され、エンジン供給圧力でガスを送達する、圧縮ユニット(4)と、
前記極低温タンク(2)への液体の排出口を有する再液化システム(20)と、
前記ガスが前記液化システムに入る前に前記ガスを冷却し、それによって前記タンク(2)に由来する前記蒸発ガスが前記圧縮ユニット(4)に入る前に前記ガスを加熱するために、前記極低温タンク(2)と前記圧縮ユニット(4)との間に配置された交換器(10)とを備え、
前記極低温タンク(2)に由来する前記蒸発ガスは、前記圧縮ユニット(4)の内側で前記エンジン供給圧力以下の圧力に圧縮されたガスによって加熱されることと、
前記再液化システム(20)は、前記圧縮ユニット(4)の内側で前記エンジンの前記供給圧力以下の圧力に圧縮されたガスを供給され、恣意的に前記圧縮ユニット(4)を供給する前記蒸発ガスによって冷却されることとを
特徴とする、装置。
(形態2) 前記圧縮(4)は流入口、前記エンジン供給圧力における第1の排出口、および中間圧力における第2の排出口を備えることと、
前記第2の排出口は、一方では前記交換器(10)に連結され、他方では三方弁(18)であって、前記三方弁(18)は、前記第2の排出口に直接連結された流入口、前記第2の排出口に由来するガスが前記交換器(10)内を通過後に供給される流入口、および前記再液化システム(20)への排出口を有する、三方弁(18)に連結されることと
を特徴とする、形態1に記載の蒸発ガスを回収するための装置。
(形態3) 膨張弁(22)は前記再液化システム(20)の上流に配置されることを特徴とする、形態1または2のいずれかに記載の蒸発ガスを回収するための装置。
(形態4) 前記膨張弁(22)は前記交換器(10)および前記三方弁(18)によって形成されたユニットの下流に配置されることを特徴とする、形態2および3に記載の蒸発ガスを回収するための装置。
(形態5) 前記再液化システム(20)は、前記再液化システム(20)に入る前記蒸発ガスを冷却するために、少なくとも1つの熱交換器(26および28、50、60)を供給する冷媒流体の閉ループ(24)を備えることを特徴とする、形態1〜4のいずれか1項に記載の蒸発ガスを回収するための装置。
(形態6) 単一の交換器(60)を使用して、一方では前記タンク(2)に由来する前記蒸発ガスが前記圧縮ユニット(4)に入る前に前記ガスの加熱を実施し、また他方では冷媒流体の前記閉ループ(24)を通って前記再液化システム(20)に入る前記蒸発ガスの冷却を実施することを特徴とする、形態5に記載の蒸発ガスを回収するための装置。
(形態7) 冷媒流体の前記閉ループ(24)は基本的に窒素を含有することを特徴とする、形態5または6のいずれかに記載の蒸発ガスを回収するための装置。
(形態8) 少なくとも1つの極低温タンクと、燃料として高圧天然ガスを使用するエンジンと、前記極低温タンクに由来する蒸発ガスを回収するための装置であって、蒸発ガスを回収するための前記装置は、形態1〜7のいずれか1項に記載の蒸発ガスを回収するための装置であることを特徴とする、装置とを備えるユニット。
(形態9) 液化天然ガスを輸送するための船舶であって、前記船舶は形態1〜7のいずれか1項に記載の蒸発ガスを回収するための装置を備えることを特徴とする、船舶。