【文献】
Noninvasive Analysis of Paintings by Mid-Infrared Hyperspectral Imaging,Angewande Chemie,ドイツ,WILEY,2013年 4月15日,Volume 52, Issue 20,pp. 5258-5261,doi: 10.1002/anie.201209929
【文献】
Hyperspectral microscopy of explosives particle using an external cavity quantum cascade laser,Optical Engineering,SPIE,2012年12月26日,Vol. 52, No. 6,061302,doi: 10.1117/1.OE.52.6.0611302
【文献】
Remote mid-infrared sensing using Chirped Laser Dispersion Spectroscopy,Proceedings of SPIE,SPIE,2011年 5月26日,Vol. 8024,80240F,doi: 10.1117/12.883598
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aは、サンプル10と、本発明の特徴を有するスペクトル画像化デバイス12、例えばスペクトル画像化顕微鏡の一実施例の簡単化した概略図である。特に、スペクトル画像化デバイス12は、サンプル10の様々な性質を分析し評価するために使用することができるサンプル10のスペクトル・キューブ13(ボックスとして示されている)を迅速に正確に取得するために使用することができる。本明細書に定められるように、ある実施例では、スペクトル画像化デバイス12は、サンプル10のスペクトル・キューブ13を作り出すために使用されるサンプル10の複数の高解像度2次元出力画像13A、13B、13C(3つのみがボックスとして示されている)を発生させるように独自に設計される。本明細書で使用する「画像」という用語は、2次元写真若しくは画面表示、又は2次元写真若しくは画面表示を発生させるために使用され得るデータの2次元配列を意味し含むものとする。
【0017】
概要として、本明細書において以下でさらに詳細に論じるように、スペクトル画像化デバイス12は、フーリエ空間測定通過帯域(スペクトル分解能の逆数によって定義され、本明細書では簡単に「通過帯域」と呼ぶ)を含み、スペクトル画像化デバイス12は、いくつかのノイズ源が測定通過帯域から外れるようにするいくつかの構造的特徴を含むことができる。この設計により、スペクトル画像化デバイス12は、ノイズ源が各出力画像13A、13B、13Cのスペクトル分解能及び画像品質に悪影響を与えるのを効果的に阻止することができる。追加として及び/又は代替として、スペクトル画像化デバイス12は、ノイズ源が各出力画像13A、13B、13Cの分解能及び画像品質に悪影響を与えるのをさらに阻止するアルゴリズム及び/又は手法を利用することができる。
【0018】
本明細書において定められるように、サンプル10は、静的な意味で、すなわち、サンプル10の性質が測定期間にわたって実質的に変化しない状態で、及び/又は動的な意味で、すなわち、サンプル10の性質が測定期間にわたって漸進的に変化している状態で、分析し評価することができる。静的な場合、1次元スペクトルが2次元出力画像13A、13B、13Cの画素位置ごとに生成されて、3次元スペクトル・キューブ13がもたらされる。動的な場合、時間という第4次元が加えられて、4次元スペクトル・マトリクス13がもたらされる。
【0019】
スペクトル・キューブ13のデータの忠実度(fidelity)は、多数の試行にわたる画素場所ごとのスペクトル・データの再現性によって特性評価することができる。各試行は、独自のデータ収集開始時刻を有する。光源強度は、注目する光周波数帯にわたってのみならず、サンプル10にわたっても強く変化することがあるので、1つ又は複数の特徴のないバックグラウンド・スペクトル・キューブ(サンプルなしの)を発生させ使用して、バックグラウンド・スペクトル・キューブに対する信号スペクトル・キューブの比を取ることによって、信号スペクトル・キューブを規格化することができる。順序づけられたアレイで周波数が収集される場合、その比は画像透過率と呼ばれる。
【0020】
本明細書において定められるように、サンプル10なしで異なる時間に取られた2つのバックグラウンド・スペクトル・キューブの比を使用して、システム透過率スペクトル・キューブ(図示せず)を生成することができる。多くの試行にわたり及び複数の光周波数にわたり画素ごとの透過率を比較することは、スペクトル画像化デバイス12の固有の信号対ノイズ比(SNR)を特性評価するための好適な手段である。固有のシステムSNRの許容尺度の排他的でない実例は、異なる時間に取られた2つのランダムに選択されたスペクトル・キューブ収集の試行での特定のスペクトル範囲にわたる透過率の変動の逆数である。
【0021】
サンプル10は、様々なものとすることができ、それには、哺乳動物の血液、哺乳動物の血清、哺乳動物の細胞、哺乳動物の組織、哺乳動物の生体液、及びそれらの動物相当物、植物、バクテリア、ポリマー、髪、繊維、爆発性残留物、粉末、液体、固形物、インク、並びに分光法及び顕微鏡検査を使用して一般に分析される他の材料が含まれる。より詳細には、いくつかの排他的でない用途では、サンプル10はヒト血清とすることができ、スペクトル画像化顕微鏡12は、疾病の存在及び/又は他の健康に関連する状態についての血清サンプル10の迅速なスクリーニングのために利用することができ、及び/又はスペクトル画像化顕微鏡12は、爆発性残留物及び/又は他の危険物の存在についてのサンプル10の迅速なスクリーニングなどのいくつかの科学捜査用途で利用することができる。追加として、サンプル10は、分析のためにスペクトル画像化顕微鏡12内に十分に位置づけられるとき、単独で存在することができ、又はサンプル10は、1つ又は複数のスライド(図示せず)、例えば、赤外線透過スライドを使用して所定位置に保持することができる。
【0022】
さらに、サンプル10は、サンプル10を通る照明ビーム、例えば赤外線照明ビームの透過によって(すなわち、透過モードで)調査できるように十分に薄くすることができ、又はサンプル10は、サンプル10による照明ビーム、例えば赤外線照明ビームの反射によって(すなわち、反射モードで)分析される光学的に不透明なサンプルとすることができる。さらに、サンプル10は、照明ビームの半透過により調査できる、例えば、赤外線照明ビームがサンプルを通過し、反射性基板の表面で反射し、再びサンプル10を通過して、照明ビームが二重に減衰されるように十分に薄くすることができる。例えば、
図1Aに示す実施例では、スペクトル画像化顕微鏡12は、透過モード及び/又は反射モードで利用することができ、データは、透過、反射、又は半透過の手法を使用して取得することができる。
【0023】
スペクトル画像化デバイス12は様々な潜在的用途で利用できることが十分に理解されるべきである。例えば、そのような用途は、限定はしないが、スペクトル組織病理学及び細胞病理学、血液学、医薬品開発及び工程制御、生物兵器剤及び他の危険物質の検出、材料科学、並びに高分子科学開発を含むことができる。
【0024】
スペクトル画像化デバイス12の構成要素の設計は、スペクトル画像化デバイス12の所望の特性を達成するように変更することができる。1つの実施例では、スペクトル画像化デバイス12は、サンプル10を精査する(interrogate)ために可変(tunable)レーザ放射を使用する赤外線スペクトル画像化顕微鏡である。
【0025】
図1Aに示した排他的でない実施例では、スペクトル画像化顕微鏡12は、(i)光照明ビーム16を発生させ及び/又は放出する可変光源14と、(ii)照明光学アセンブリ18と画像化光学アセンブリ24とを含む光学アセンブリ17と、(iii)所望のビーム経路に沿って照明ビーム16の方向を制御するビーム方向制御アセンブリ20と、(iv)照明ビーム16を二者択一で透過モード又は反射モードでサンプル10に向けることができるようにユーザ(図示せず)によって制御される照明スイッチ22と、(v)ビーム・スプリッタ26と、(vi)サンプル10の出力画像13A、13B、13C及びスペクトル・キューブ13を生成するために情報を獲得する画像センサ28と、(vii)スペクトル画像化デバイス12の構成要素の多くに電気的に接続され、それらを制御する制御システム30とを含む。これらのデバイスのうちの1つ又は複数は、構成要素と呼ぶことがある。
【0026】
スペクトル画像化顕微鏡12は、
図1Aで示したものよりも多い又は少ない構成要素で設計することができ、及び/又は構成要素は、
図1Aに示したもの以外の別の仕方で組織できることに留意されたい。例えば、スペクトル画像化顕微鏡12は、異なる特性をもつ1つ又は複数の中赤外線対物レンズ・アセンブリ及び/又は中赤外線スペクトル範囲の外で働く1つ又は複数の対物レンズ・アセンブリを含む多位置レンズ・ターレット(図示せず)を含むことができる。追加として、例えば、光学アセンブリ17は、照明光学アセンブリ18なしで設計され得る。
【0027】
その上、スペクトル画像化デバイス12は、出力画像13A、13B、13Cのうちの1つ又は複数を実時間で表示し、及び/又は続いてスペクトル・キューブ13を表示する画像ディスプレイ31(ボックスとして示されている)、例えばLEDディスプレイを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施例では、スペクトル画像化顕微鏡12は、比較的高い解像度と、高い開口数(「NA」)と、比較的大きい視野(「FOV」)とを有する。これは、比較的大きいサンプルからのデータの収集を見越している。これにより、サンプルが分析される速度が改善されることになる。1つの排他的でない実例として、スペクトル画像化顕微鏡12は、1.36μmのサンプル参照画素サイズで、0.7のNAと、12.5倍の倍率と、約650μm×650μmのFOVとを有することができる。
【0029】
いくつかの実施例では、可変光源14は、サンプル10を透過モード及び/又は反射モードで照明し分析するために使用することができる実質的に時間的にコヒーレントな照明ビーム16(例えば、レーザ・ビーム)を放出するレーザ源を含む。照明ビーム16は、光源14からサンプル10まで及びサンプル10から画像センサ28までのビーム経路に従う複数の照明光線16Aから構成される。さらに、照明光線16Aは、光源14の所望の調整範囲内にある単一の離散的な中心光周波数を有することができる。代替として、光源14は、所望の調整範囲内で照明光線16Aの離散的な中心光周波数を時間とともに変化させるように制御システム30で制御することができる。
【0030】
いくつかの実施例では、光照明ビーム16は、スペクトル画像化デバイス12の所望のスペクトル分解能(デルタv、「Δv」で表される)以下のスペクトル幅を有する。スペクトル画像化デバイス12の構築者は、所望のスペクトル分解能を選択し、それに応じてシステムを構築する。例えば、スペクトル画像化デバイス12の所望のスペクトル分解能は、4cm
−1の波数(Δv=4cm
−1)とすることができる。代替として、例えば、所望のスペクトル分解能は、波数2、3、4、4.1、5、5.25、6、7、8、9、10、又は16cm
−1とすることができる。しかしながら、他の所望のスペクトル分解能を利用することができる。
【0031】
いくつかの排他的でない実施例では、可変光源14は、中心光周波数が中赤外線(「MIR」)範囲にある照明ビーム16を直接発生させ放出する可変中赤外線光源である。この実例では、所望の調整範囲は、MIR範囲である。さらに、本明細書で使用する「MIR範囲」という用語は、波長が約2マイクロメートルと20マイクロメートルとの間(2〜20μm)、又は波数5000から波数500の間(5000〜500cm
−1)のスペクトル領域又はスペクトル帯を意味し含むものとする。中赤外線範囲は、サンプル10を分光的に精査するのに特に有用であり、その理由は、MIR範囲に基本振動モードを有し、したがって、MIR範囲内に強力な独自の吸収サインを示す分子又は分子の群から多くのサンプル10が構成されるからである。代替として、可変光源14は、20マイクロメートルを超えるか又は2マイクロメートル未満の中心光周波数を有する照明ビーム16を発生させるように設計することができる。
【0032】
その上、代替の実施例では、可変光源14は、パルスレーザ又は連続波(CW)レーザのいずれかとすることができる。パルス光源14では、照明ビーム16は、可変光源14からサンプル10まで及びサンプル10から画像センサ28までのビーム経路に従う照明光線16Aの複数のパルスを含むことになる。さらに、照明光線16Aのパルスは、MIR範囲内にある離散的な中心光周波数を有することができる。
【0033】
いくつかの実施例では、光照明源16Aの離散的な中心光周波数は、所望のスペクトル範囲にわたってサンプル10を分析するために、時間とともにMIR範囲の全体又は一部にわたり変化することができる。例えば、パルス光源14では、光源14は、MIR範囲の全体又はほんの一部にわたる異なる離散的な中心光周波数を有する1組の連続する特定の光出力パルスからなる光照明ビーム16を発生させるように調整することができる。例えば、光源14は第1の位置に調整され、ほぼ同じ第1の中心光周波数(「第1の目標光周波数」)を有する1つ又は複数のパルスを発生させ得る。続いて、光源14は第2の位置に調整され、第1の中心光周波数と異なる、およそ同一の第2の中心光周波数(「第2の目標光周波数」)を有する1つ又は複数のパルスを発生させ得る。次に、光源14は第3の位置に調整され、第1及び第2の中心光周波数と異なる、およそ同一の第3の中心光周波数(「第3の目標光周波数」)を有する1つ又は複数のパルスを発生させ得る。このプロセスは、MIR範囲の一部又は全体の至るところで複数の追加の目標光周波数に対して繰り返すことができる。排他的でない実例として、離散的な光周波数ごとのパルスの数は、1、5、10、50、100、200、500、1000、10000、あるいはそれ以上とすることができる。代替として、可変光源14は、目標光周波数ごとに連続波方式で動作することができる。
【0034】
スペクトル・キューブ13を取得するために使用される1組における離散的な目標光周波数の数は、サンプル10に応じて変わることもできる。排他的でない実例として、スペクトル・キューブ13を取得するために利用される中赤外線範囲における離散的な目標光周波数の数は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、40、200、226、400、552、又は4000とすることができる。本明細書において定められる「目標光周波数ステップ」という用語は、隣接する目標光周波数間の許容最小差を意味するものとする。代替の排他的でない実施例では、目標光周波数ステップは、波数約0.1、0.2、0.25、0.33、0.5、0.67、0.7、1.0、2.0、4.0、8.0、又は16とすることができる。
【0035】
いくつかの排他的でない実施例では、MIR光源14からの照明ビーム16は、約0.01、0.05、0.1、0.25、0.5、1.0、2.0、又は4cm
−1未満の光スペクトル半値幅(FWHM)を有する。
【0036】
いくつかの実施例では、制御システム30は、照明ビーム16が第1の目標光周波数を有するように調整されるように光源14を制御することができ、制御システム30は、サンプル10が第1の目標光周波数で照明されている状態で第1の画像13Aを獲得するように画像センサ28を制御することができる。続いて、制御システム30は、照明ビーム16が第2の目標光周波数を有するように調整されるように光源14を制御することができ、制御システム30は、サンプル10が第2の目標光周波数で照明されている状態で第2の画像13Bを獲得するように画像センサ28を制御することができる。このプロセスは、目標光周波数ごとに、複数の画像13A、13B、13Cが、注目する光周波数範囲にわたって収集されるまで繰り返され、それにより、スペクトル・キューブ13が生成する。
【0037】
追加として、
図1Aの光源14は、所望の中赤外線スペクトル範囲の一部又はすべてにわたる多数の個別のレーザを含むことができる。多数の個別のレーザを含む光源14の説明は、2013年7月23日に出願された「Laser Source With A Large Spectral Range」と題する米国特許出願第13/949,159号に説明されている。許容される限り、米国特許出願第13/949,159号の内容は参照により本明細書に組み込まれる。光源14は、目標光周波数間を迅速に切り替えるために様々な方法を利用することができる。これらには、迅速な調整機構、異なるレーザ・モジュール間を切り替えるガルボ制御(galvo-controlled)ミラー、又は多数のレーザ・モジュールのスペクトル・ビーム組合せ技法及びそれに続くレーザ照明の時分割多重化などの技法が含まれる。
【0038】
1つの排他的でない実施例では、光源14は、強固なレーザ・フレーム32と、利得媒体34と、キャビティ光学アセンブリ36と、出力光学アセンブリ38と、波長選択(「WS」)フィードバック・アセンブリ40(例えば、可動回折格子)とを含む外部キャビティ・レーザである。
【0039】
利得媒体34の設計は、本明細書で提供する教示に応じて変わり得る。1つの排他的でない実施例では、利得媒体34は、周波数変換なしに照明ビーム16を直接放出する。排他的でない実例として、利得媒体34は半導体型レーザとすることができる。本明細書で使用する半導体という用語は、絶縁体よりも大きいが良導体よりも小さい導電率を有する任意の固体結晶性物質を含むものとする。より詳細には、いくつかの実施例では、利得媒体34は、量子カスケード(QC)利得媒体、インターバンド・カスケード(IC)利得媒体、又は中赤外線ダイオードである。代替として、別のタイプの利得媒体34を利用することができる。
【0040】
図1Aにおいて、利得媒体34は、(i)キャビティ光学アセンブリ36及びWSフィードバック・アセンブリ40に面する第1のファセットと、(ii)出力光学アセンブリ38に面する第2のファセットとを含む。この実施例では、利得媒体34は両方のファセットから放出する。1つの実施例では、第1のファセットは反射防止(「AR」)コーティングで被覆され、第2のファセットは反射コーティングで被覆される。ARコーティングにより、利得媒体34から第1のファセットに向けられた光は、WSフィードバック・アセンブリ40に向けられた照明ビームとして利得媒体34を容易に出ていくことができ、WSフィードバック・アセンブリ40から反射された照明ビームは、利得媒体34に容易に入ることができる。
【0041】
照明ビーム16は、第2のファセットから出ていく。第2のファセットの反射コーティングは、利得媒体34から第2のファセットに向けられた光の少なくとも一部を反射して利得媒体34に戻す。1つの排他的でない実施例では、ARコーティングは、約2パーセント未満の反射率を有することができ、反射コーティングは、約2〜95パーセントの間の反射率を有することができる。この実施例では、反射コーティングは、外部キャビティの出力カプラ(例えば、第1の端部)として働く。
【0042】
キャビティ光学アセンブリ36は、利得媒体34とWSフィードバック・アセンブリ40との間にレージング軸に沿って位置づけられ、これらの構成要素間を進む光をコリメートし集束する。例えば、キャビティ光学アセンブリ36は、単一のレンズ又は複数のレンズを含むことができる。例えば、レンズは、レージング軸に位置合わせされた光軸を有する非球面レンズとすることができる。1つの実施例では、所望の小さいサイズ及び可搬性を達成するために、レンズは比較的小さい直径を有する。レンズは、Ge、ZnSe、ZnS、Si、CaF
2、BaF
2、又はカルコゲナイド・ガラスの群から選択された材料を含むことができる。しかしながら、他の材料を利用することもできる。
【0043】
出力光学アセンブリ38は、レージング軸に沿って位置づけられる。この設計では、出力光学アセンブリ38は、利得媒体34の第2のファセットを出ていく照明ビーム16をコリメートし集束する。例えば、出力光学アセンブリ38は、キャビティ光学アセンブリ36のレンズと設計がやや類似している単一のレンズ又は複数のレンズを含むことができる。
【0044】
WSフィードバック・アセンブリ40は、光を反射して利得媒体34に戻し、外部キャビティのレージング周波数(波長)及び照明ビーム16の中心光周波数を正確に選択し調節するために使用される。別の言い方をすれば、WSフィードバック・アセンブリ40を使用して、次いで利得媒体34において増幅される比較的狭い帯域の光周波数を利得媒体34にフィード・バックする。このようにして、照明ビーム16は、利得媒体34を調節することなくWSフィードバック・アセンブリ40により調整することができる。したがって、本明細書で開示される外部キャビティ構成によって、WSフィードバック・アセンブリ40は、どの光周波数が最大の利得を経験し、それにより、照明ビーム16の光周波数を支配することになるかを決定する。
【0045】
WSフィードバック・アセンブリ40のいくつかの代替の実施例を利用することができる。
図1Aにおいて、WSフィードバック・アセンブリ40は、利得媒体34から離間され、外部キャビティの第2の端部を規定する。この実施例では、外部キャビティは、第2のファセットの出力カプラ(反射コーティング)からWSフィードバック・アセンブリ40まで延びている。外部キャビティという用語は、WSフィードバック・アセンブリ40が利得媒体34の外に位置づけられていることを示すために利用される。
【0046】
いくつかの実施例では、WSフィードバック・アセンブリ40は、回折格子40Aと、利得媒体34のレージング周波数及び照明ビーム16の光周波数を調節するために回折格子40Aを選択的に移動させる(例えば、回転させる)回折格子ムーバ(grating mover)40Bとを含む。回折格子40Aは、回折格子ムーバ40Bの閉ループ制御を与えるエンコーダ40Cで連続的にモニタすることができる。この設計により、照明ビーム16の光周波数は、閉ループ方式で選択的に調節することができ、その結果、サンプル10は、MIR範囲の一部又は全体の至るところの、多くの異なる、正確な、選択的に調節可能な光周波数で画像化することができる。
【0047】
制御システム30は、回折格子ムーバ40Bへの電力と、利得媒体34に向けられる電力(例えば、電子注入電流を制御することによって利得媒体34を制御する)とを含む可変光源14の動作を制御する。さらに、制御システム30は、画像センサ28を制御して、画像13A、13B、13Cの獲得のタイミングを制御することができる。例えば、制御システム30は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は記憶デバイスを含むことができる。
【0048】
正確なスペクトル・キューブ13を収集するのに、レーザが調整されるとき光照明ビームの光周波数を正確に知ることを必要とされる。いくつかの実施例では、制御システム30は、エンコーダ40Cから受け取った位置信号に基づいて利得媒体34に電力のパルスを導く。別の言い方をすれば、制御システム30は、複数の代替デバイスの位置の各々の利得媒体34に1つ又は複数の電力パルスを導くことができ、その結果、レーザは、離散的な目標光周波数の組を発生させる。この実施例では、制御システム30は、各々の新しい位置信号を受け取った際、利得媒体34に1つ又は複数の電力パルスを導くことができる。その結果として、パルスの特定の光周波数は、回折格子ムーバ40Bの速度の変動による影響を受けないことになる。
【0049】
制御システム30によって利得媒体34に向けられる各電力パルスの期間を変えることもできる。代替の排他的でない実施例では、制御システム30は、約10、25、50、75、100、150、200、300、400、500、600、又は700ナノ秒の期間を有するように各電力パルスを制御することができる。
【0050】
ひとたび可変光源14が照明ビーム16を放出すると、照明ビーム16は、サンプル10の方に向けられ、サンプル10は、照明ビーム16によって適切に効果的に照明され得る。例えば、スペクトル画像化顕微鏡12が透過モードで動作しているとき、照明ビーム16は、サンプル10を適切に効果的に照明するために、サンプル10の方に向けられる。この実例では、サンプル10を透過する照明光線16Aは、透過光線16Tと呼ぶ(さらに、より明確に
図1Bに示されている)。本明細書において以下でさらに詳細に論じるように、
図1Bは、
図1Aのスペクトル画像化顕微鏡12の光源14から画像センサ28までの照明ビーム16の透過ビーム経路の簡単化した概略図であり、サンプル10は、サンプル10を通る照明ビーム16の透過を介して精査される。
【0051】
別の実例では、スペクトル画像化顕微鏡12が反射モードで動作しているとき、照明ビーム16は、サンプル10を適切に効果的に照明するために、サンプル10の方に向けられる。この実例では、サンプル10から反射された照明光線16Aは、反射光線16Rと呼ぶ(さらに、
図1Cにより明確に示されている)。本明細書において以下でさらに詳細に論じるように、
図1Cは、
図1Aのスペクトル画像化顕微鏡12の可変光源14から画像センサ28までの照明ビーム16の代替の反射ビーム経路の簡単化した概略図であり、サンプル10は、サンプル10からの照明ビーム16の反射を介して精査される。
【0052】
図1Aに示した実施例において、透過モードで動作するとき、可変光源14を出ていく照明ビーム16は、照明光学アセンブリ18の一部分、すなわち、透過照明光学アセンブリ18T(
図1Bにより明確に示されている)によりサンプル10の方に向けられて、サンプル10に当たる。1つの実施例では、透過照明光学アセンブリ18Tは、照明ビーム16をサンプル10に向ける1つ又は複数の光学屈折要素、例えば、レンズ及び/又は窓(
図1Aには3つのそのような屈折要素が示されている)を含むことができる。さらに、いくつかの実施例では、屈折要素は、MIRの範囲で動作可能である。その上、本明細書において以下でさらに詳細に説明するように、本発明の教示に応じて、屈折要素は、波長依存ノイズ、例えば、寄生エタロン変調が、生成されつつあるサンプル10の波長依存スペクトル画像13A、13B、13Cの組から生じる画像品質及びスペクトルの光スペクトル分解能に悪影響を与えないようにする厚さ及び間隔(すなわち、分離)を有することができる。
【0053】
透過光学アセンブリ18Tの光学要素間の間隔を満たす流体、例えば、空気又は別の好適な流体も、MIRの範囲で屈折性であり得る光学要素としても機能することが理解されるべきである。
【0054】
いくつかの実施例では、透過照明光学アセンブリ18Tは、照明ビーム16のサイズ及びプロファイルを変換して、すなわち、増大させて(拡大させて)又は減少させて、サンプル10上の所望の透過照明区域に一致し、一斉に照明するように使用され得る。別の言い方をすれば、透過照明光学アセンブリ18Tは、照明ビーム16が、サンプル10上で正しい又は所望のサイズ及びビーム・プロファイルを有するように照明ビーム16を調整し集束させるのに使用され得る。いくつかの実施例では、サンプル10の透過照明区域のサイズは、画像センサ28及び画像化光学アセンブリ24の設計に対応するように適合される。排他的でない実例として、所望の透過照明円形区域は、約50、100、200、250、500、600、650、700、1000、又は2000μmの直径によって境界を定められる。
【0055】
図1Aに示した実施例では、スペクトル画像化顕微鏡12及び/又は照明光学アセンブリ18は、反射モードで動作するとき、照明ビーム16をサンプル10に向けるための反射照明光学アセンブリ18R(より明確に
図1Cに示されている)も含むことができる。1つの実施例では、反射照明光学アセンブリ18Rは、照明ビーム16をサンプル10に向ける1つ又は複数の光学屈折要素、例えば、レンズ及び/又は窓を含む。この実施例では、屈折要素は、MIRの範囲で動作可能とすることができる。その上、本明細書において以下でさらに詳細に説明するように、本発明の教示に応じて、屈折要素は、波長依存ノイズ、例えば、寄生エタロン変調が、生成されつつあるサンプル10の波長依存スペクトル画像13A、13B、13Cの組から生じる画像品質及びスペクトルの光スペクトル分解能に悪影響を与えないようにする厚さ及び間隔(すなわち、分離)を有することができる。
【0056】
追加として、いくつかの実施例では、反射照明光学アセンブリ18Rは、照明ビーム16のサイズ及びプロファイルを変換して、すなわち、増大させて(拡大させて)又は減少させて、サンプル10上の所望の反射照明区域に一致するために使用され得る。別の言い方をすれば、反射照明光学アセンブリ18Rは、照明ビーム16が、サンプル10上で所望のビーム・プロファイルを有するように照明ビーム16を調整し集束させるのに使用され得る。排他的でない実例として、所望の反射照明区域は、近似的に、約50、100、200、250、500、600、650、700、1000、又は2000μmの直径によって境界を定められた円形区域である。
【0057】
上記のように、ビーム方向制御アセンブリ20は、照明ビーム16が二者択一で透過モード又は反射モードで利用できるように照明ビーム16の方向を制御するために利用される。ビーム方向制御アセンブリ20の設計は変更することができる。1つの実施例では、ビーム方向制御アセンブリ20は、照明ビーム16の経路の向きを約90度変えるように位置づけられる、複数のビーム方向制御部20T、20R1、20R2、例えば、ミラー(所望の光周波数スペクトルで反射性の)を含む。代替として、ビーム方向制御アセンブリ20は、異なる設計を有することができ、及び/又はビーム方向制御部20T、20R1、20R2は、照明ビーム16の経路の向きを約90度よりも大きい又は小さい量だけ変えるように位置づけることができる。さらなる代替として、ビーム方向制御部20T、20R1、20R2は、(i)照明光学アセンブリ18を補完するために、又は(ii)照明光学アセンブリ18の一部又はすべてをなくすことを念頭に入れるために、照明ビーム16を調整する湾曲ミラーを含むことができる。その上、ビーム方向制御アセンブリは、1つ又は複数の電気的に制御可能な角度調節器をさらに含むことができる。
【0058】
例えば、
図1Aに示した実施例において、透過モードで利用されるとき、照明ビーム16は、サンプル10の方に向けられる前は、単一の透過ビーム方向制御部20Tにのみ当たる。追加として及び/又は代替として、この実施例において、反射モードで利用されるとき、照明ビームは、サンプル10の方に向けられる前は、2つの反射ビーム方向制御部、すなわち、第1の反射ビーム方向制御部20R1及び第2の反射ビーム方向制御部20R2に当たる。
【0059】
この実施例において、光源14と透過ビーム方向制御部20Tとの間に位置づけられる第1の反射ビーム方向制御部20R1は、第1の反射ビーム方向制御部20R1を照明ビーム16の道筋から外に選択的に移動させるように制御することができる方向制御ムーバ20Mを含むことが理解されるべきである。そのような設計により、スペクトル画像化デバイス12が透過モードで使用されているとき、第1の反射ビーム方向制御部20R1は、照明ビーム16が第1の反射ビーム方向制御部20R1に当たらないようにビーム経路の外に選択的に移動され得る。
【0060】
照明スイッチ22により、スペクトル画像化顕微鏡12を透過モードと反射モードとの間で選択的に切り替えることができる。特に、この実施例では、照明スイッチ22は、第1の反射ビーム方向制御部20R1を照明ビーム16の経路外に、すなわち、スペクトル画像化顕微鏡12が透過モードで利用されているときに、移動させるために、又は第1の反射ビーム方向制御部20R1を照明ビーム16の経路中に、すなわち、スペクトル画像化顕微鏡12が反射モードで利用されているときに、移動させるために、方向制御ムーバ20Mを選択的に作動させるために利用され得る。
【0061】
さらに、反射モードでは、
図1Aに示すように、照明ビーム16は、ビーム・スプリッタ26によりサンプル10に向けられる。ビーム・スプリッタ26の設計は、スペクトル画像化顕微鏡12の特定の要件に適するように変更され得る。いくつかの実施例では、ビーム・スプリッタ26、例えば、50パーセント(50%)ビーム・スプリッタは、照明ビーム16の第1の部分の向きをサンプル10の方に変え、照明ビーム16の照明光線16Aの第2の部分(図示せず)を透過させることができる。照明ビーム16の第2の部分は、その後、システムから離れるように向けられ、スペクトル画像化顕微鏡12によって使用されない。ビーム・スプリッタ26を通るこの第1のパスで発生する照明ビーム16の第2の(又は廃棄される)部分は、見やすいようにするために
図1Aには示されていないことに留意されたい。
【0062】
いくつかの実施例では、ビーム・スプリッタ26は、ZnSe若しくはGeなどの様々な赤外線透過材料、又は他の材料から製作することができる。さらに、ビーム・スプリッタ26は、一方の側が反射防止(AR)被覆されており、他方の側が部分的な反射のために被覆されているか又は被覆されていない両平面(plano-plano)ビーム・スプリッタとすることができる。ビーム・スプリッタ26は、所望に応じて照明ビーム16を変換するためにレンズ作用を備えることもできる。ビーム・スプリッタ26は、照明ビーム16のコヒーレントの性質に起因する第1及び第2の表面の干渉の効果を除去するように設計要素を組み込むこともできる。排他的でない実例として、表面干渉の効果を低減する設計要素には、(ビームの光周波数についての)反射防止コーティング、くさび型要素、及び/又は湾曲光学表面が含まれる。
【0063】
画像化光学アセンブリ24は、スペクトル画像化顕微鏡12の特定の要件に応じて任意の好適な設計を有することができる。照明ビーム16の照明光線16Aがサンプル10を透過モードで照明しているとき、サンプル10を透過した透過光線16Tの少なくとも一部分が、画像化光学アセンブリ24によって受け取られ、画像センサ28上に結像される。やや類似して、照明ビーム16の照明光線16Aがサンプル10を反射モードで照明しているとき、サンプル10から反射された反射光線16Rの少なくとも一部分が、画像化光学アセンブリ24によって受け取られ、画像センサ28上に結像される。別の言い方をすれば、画像化光学アセンブリ24は、サンプル10を透過した透過光線16Tの少なくとも一部分又はサンプル10から反射された反射光線16Rの少なくとも一部分を受け取り、画像センサ28上で画像を形成する。
【0064】
本明細書で用いるとき、「画像化光線(imaged rays)」16Iという用語は、画像化光学アセンブリ24によって集められ、画像センサ28上に結像される透過光線16T又は反射光線16Rを意味するものとする。本明細書において定められるように、画像化光学アセンブリ24は、サンプル10の複数の点からの画像化光線16Iを受け取り、画像センサ28上に画像を形成する。
【0065】
1つの実施例では、画像化光学アセンブリ24は、サンプル10の画像を画像センサ28上で形成するように協働する第1の屈折要素24A及び第2の屈折要素24Bを含むことができる。代替として、画像化光学アセンブリ24は、2つを超える屈折要素又は1つの屈折要素のみを含むことができる。
【0066】
1つの実施例では、第1の屈折要素24Aは、画像化光線16Iを集め、画像化光線16Iを画像センサ28上に集束する対物レンズとすることができる。その上、図示のように、第1の屈折要素24Aは、サンプル10と第2の屈折要素24Bとの間に実質的に位置づけられる。追加的に、1つの実施例では、第2の屈折要素24Bは、画像化光線16Iを画像センサ28に向けて投影する投影レンズとすることができる。その上、図示のように、第2の屈折要素24Bは、第1の屈折要素24Aと画像センサ28との間に実質的に位置づけられる。さらに、いくつかの実施例では、屈折要素24A、24Bの各々は、MIRの範囲及び/又は照明ビーム16の光周波数において屈折性とすることができる。さらに、屈折要素24A、24Bの一方又は両方は、複合レンズとすることができる。その上、本明細書において以下でさらに詳細に説明するように、本発明の教示に応じて、屈折要素24A、24Bは、波長依存ノイズ、例えば、寄生エタロン変調が、生成されつつあるサンプル10の波長依存スペクトル画像13A、13B、13Cの組から生じる画像品質及びスペクトルの光スペクトル分解能に悪影響を与えないようにする厚さ及び間隔(すなわち、分離)を有することができる。
【0067】
1つの実施例では、スペクトル画像化デバイス12の各屈折要素は、t≧1/(2nΔv)又はt≦1/(2n(v
2−v
1))のいずれかによって規定される要素光学厚さtを有し、隣接する屈折要素間の間隔(分離距離d)は、d≧1/(2nΔv)又はd≦1/(2n(v
2−v
1))のいずれかによって規定され、ここで、nはそれぞれの屈折要素の屈折率であり、Δvは所望のスペクトル分解能であり、v
1は所望の調整範囲の下限であり、v
2は所望の調整範囲の上限である。代替として、各屈折要素は、t≧1/(2nΔv)又はt≦1/(2n(v
2−v
1))の両方によって規定され、間隔(分離距離d)は、d≧1/(2nΔv)又はd≦1/(2n(v
2−v
1))の両方によって規定される。
【0068】
屈折要素24Aと24Bとの間の間隔と、屈折要素24A、24Bと画像センサ28との間の間隔とを満たす流体、例えば、空気又は別の好適な流体は、MIRの範囲で屈折性であり得る光学要素としても機能することが理解されるべきである。
【0069】
スペクトル画像化デバイス12の屈折要素24A、24Bの各々は、スペクトル画像化デバイス12の所望の調整範囲において動作し、平凸、平凹、メニスカス、及び非球面などのタイプ、並びに他のタイプとすることができる。MIRの範囲の屈折レンズには、Ge、ZnSe、ZnS、Si、CaF、BaF、又はカルコゲナイド・ガラスなどの材料、及び他の材料を採用することができる。反射レンズは、楕円、放物面、又は他の形状とすることができる。反射表面は、二色コーティング、Au、Ag、又は他の表面タイプとすることができる。
【0070】
さらに、
図1Aに示した実施例に示すように、画像化光学アセンブリ24の第1の屈折要素24A及び第2の屈折要素24Bによって集められ集束される画像化光線16I、すなわち、透過光線16T又は反射光線16Rは、ビーム・スプリッタ26に向けられる。この実施例では、ビーム・スプリッタ26が50パーセント(50%)ビーム・スプリッタである場合、透過光線16T又は反射光線16Rは、(i)画像センサ28上で画像化される画像化光線16Iと、(ii)画像センサ28から離れて向けられる廃棄光線とに分割され得る。
【0071】
スペクトル画像化デバイス12が透過モードで利用されているとき、照明スイッチ22は、照明ビーム16をサンプル10の方に向けるのに、ビーム・スプリッタ26を(この実施例において反射モードで必要とされるようには)必要としないので、透過光線16Tの道筋の外に(ビーム経路外に)ビーム・スプリッタ26を移動させるスプリッタ・ムーバ26Mをさらに作動させ得ることがさらに理解されるべきである。
【0072】
様々な実施例において、画像センサ28は、データ(画素ごとのデータ)の2次元配列を含む2次元画像を構築するために使用されるセンサの2次元アレイを含むことができる。加えて、画像センサ28の設計は、照明ビーム16、すなわち、画像化光線16Iの光周波数範囲に対応するように変更することができる。例えば、MIRビーム16では、画像センサ28は、赤外光を感知し、その赤外光を、サンプルの画像を表す電子信号の配列に変換する画像センサを含む、赤外線カメラとすることができる。別の言い方をすれば、照明ビーム16がMIRの範囲にある場合、画像センサ28はMIRイメージャとすることができる。より具体的には、照明ビーム16が2μmから20μmの赤外線スペクトル領域にある場合、画像センサ28は、2μmから20μmの赤外線スペクトル領域に感度がある。
【0073】
好適な赤外線画像センサ28の排他的でない実例には、(i)一般に7μm〜14μmのスペクトル範囲に感受性がある、FLIR Tau 640赤外線カメラのFPAなどの酸化バナジウム(VO
x)及びアモルファス・シリコン・マイクロボロメータ・アレイ、(ii)7.7μm〜11.5μmのスペクトル範囲に感受性がある、FLIR Orion SC7000 Seriesカメラのものなどの水銀カドミウム・テルル(HgCdTe又はMCT)アレイ、(iii)1.5μm〜5.5μmのスペクトル範囲に感受性がある、FLIR Orion SC7000 Seriesカメラのものなどのインジウム・アンチモン(InSb)アレイ、(iv)インジウム・ガリウム・ヒ化物(InGaAs)、(v)2μm〜20μmのスペクトル範囲に感受性があるDRSからのVO
x及び他の材料を含む非冷却ハイブリッド・アレイ、又は(vi)2μm〜20μmの範囲の赤外光に感度があるように設計され、画像情報(データ)の2次元配列を生成するために各要素の信号レベルからの読み出しを可能にする電子機器回路を有する任意の他のタイプの画像センサが含まれる。
【0074】
1つの特定の実施例では、画像センサ28は、照明ビーム16の光周波数に感度がある光感受性要素(画素)の2次元アレイを含むマイクロボロメータである。別の言い方をすれば、1つの実施例では、画像センサ28は、下にある基板から熱的に分離されている複数の小さいボロメータ画素要素を作り出すように製作された微小電気機械システム(MEMS)デバイスである。画素要素間の間隔は、アレイのピッチと呼ばれる。排他的でない実例として、2次元アレイは、約640×480、320×240、480×480、80×60、1080×720、120×120、240×240、又は480×640画素を含むことができる。画素からの情報は出力画像13A、13B、13C、及び/又はスペクトル・キューブ13を発生させるために使用することができることに留意されたい。
【0075】
スペクトル画像化デバイス12の使用の間、サンプル10とスペクトル・キューブとの画像の2次元データのスペクトル分解能及び品質を改善することが望まれる。より詳細には、様々な用途において、様々なノイズ源が、生成されつつあるサンプル10の画像13A、13B、13Cの2次元データの品質に悪影響を与えないようにすることが望ましい。別の言い方をすれば、そのような用途では、サンプル10の比例的に変更された画像の信号対ノイズ比(SNR)を改善することが望ましい。
【0076】
残念ながら、実システムでは、様々なランダムな及び系統的なノイズ源が存在し、減少した及び/又は望ましくないSNRを引き起こすことがある。ランダムなノイズ源の実例には、限定はしないが、画像センサ28の量子(ショット)及び熱(ジョンソン)ノイズと、照明源の振幅及び周波数揺らぎと、スペクトル画像化デバイス12内に含まれる構成要素の透過率のランダムな揺らぎとが含まれる。系統的なノイズ源の実例には、限定はしないが、試行の間の光源の照明強度、周波数、及び方向指向のドリフトが含まれる。
【0077】
分光画像化システムにおける追加の波長依存ノイズ源は、スペクトル画像化デバイス12内の屈折要素の表面及び縁部からの多重反射からの結果として生じ得る。レーザ又は光学的フィルタ処理された広帯域光源などの時間的にコヒーレントな光源14を採用するスペクトル画像化デバイス12では、多重反射ビームの複雑な電界がコヒーレント的に加算されて、強め合う干渉及び弱め合う干渉の結果として光周波数依存透過率が生じることになる。
【0078】
図2は、そのような多重反射が、画像センサ228により生成されるサンプル10の画像(
図2に図示せず)の品質に悪影響を与えることがある状況の実例を論じやすくする簡単化したスペクトル画像化デバイス212の図である。より詳細には、
図2は、光源214からの照明ビーム216が屈折要素を透過するときに発生する反射215の簡単化した概略図である。1つの実例として、ビーム経路に沿った「t」の物理的厚さと、各々が小さいが有限の反射率Rを有する2つの表面とを有する透明窓242がある。一般に、これらの表面は、機器の測定帯域内に含まれるすべての光周波数に対して反射率の大きさを最小にするように設計された反射防止コーティングで被覆される。しかしながら、システムのコストをかなり増加させることなく、光源の調整範囲の全体にわたって十分に低い表面の反射率値を達成することは実際には困難であり、それゆえに、若干の量の反射率は許容されなければならない。構成要素表面の小さいが有限の残留反射率の結果として、多重反射が画像感知デバイス228の像平面で合算されて、光周波数依存強度変調が生じることになる。この場合、窓242、例えば、屈折要素は、寄生ファブリ・ペロー・エタロン(FPE)として働く。
【0079】
別の実例では、湾曲面と有限の厚さとを有するレンズ244、及び要素間の分離距離が、多重反射215の発生源としても働き、結果として望ましくない光周波数依存強度変調を生成することがある。レンズ244についての正確な光周波数依存強度変調特性は、ファブリ・ペロー・エタロンのものとは異なるが、ファブリ・ペロー・エタロンの一般的な原理は、物理的な原理の本質を捕らえている。
【0080】
図2に示した実例は非排他的であり、反射は、屈折要素間の空隙間隔を含む照明ビーム16の経路中の屈折要素のうちのいずれかの結果として生じることがあることが理解されるべきである。
【0081】
図2に示した実施例では、エタロンの透過率は、照明ビーム216の光周波数(又は波長)と、屈折要素242の材料の屈折率(n)と、屈折要素242への照明ビーム216の入射角(θ)と、屈折要素242の表面反射率(R)と、ビーム経路に沿った屈折要素242の物理的厚さ(t)とに依存する。厚さ及び屈折率は温度依存があるので、それゆえに、透過率も周囲温度に依存する。
【0082】
ファブリ・ペロー・エタロンの光周波数依存性は、次のようなエアリー関数を使用して記述することができる。
【0084】
式(1)などにおいて、(i)Tは透過率であり、(ii)T
maxは最大透過率であり、(iii)Fはフィネスであり、(iv)δはエアリー関数引数である。T
maxは、以下で与えられるように計算することができる。
【0086】
式(2)などにおいて、(i)Aは屈折要素の吸収率であり、(ii)Rは表面反射率である。
【0087】
フィネスFは、以下のように計算することができる。
【0089】
さらに、エアリー関数引数δは、以下のように計算することができる。
δ=2β 式(4)
【0090】
式(4)などにおいて、βは、以下のように計算することができるパラメータである。
【0092】
式(5)などにおいて、λは照明ビームの光周波数であり、Λは屈折要素の光学厚さである。光学厚さΛは、以下のように計算することができる。
Λ=n・t 式(6)
【0093】
式(6)などにおいて、nは屈折要素の屈折率であり、tは屈折要素の物理的厚さである。したがって、材料の光学厚さΛ(要素を通る光路長)は、屈折要素の屈折率nと透明材料の物理的厚さtとの積によって計算される。
【0094】
さらに、透過率関数の変調の光周波数周期Δν
modは、波数の単位(cm
−1)で以下のように表すことができる。
【0096】
したがって、透過率の変調は、光周波数空間において周期的であり、材料の光学厚さΛの2倍の逆数によって与えられる。さらに、変調の強度は、表面の反射率Rによって決まり、Rの小さい値(<5%)の範囲では、ピーク・ツー・ピーク変調は、表面反射率の値のそれの約4倍である。それゆえに、2.5%の反射率を有する屈折要素、例えば窓では、ピーク・ツー・ピーク変調は、約10%になり、SNRを約10:1に制限することになる。近似として、屈折要素の変調は、その中心厚さによって与えられる等価厚さ(t)をもつファブリ・ペロー・エタロンとしてそれを扱うことによって推定することができる。
【0097】
図3は、3つの別の反射率Rを有する屈折要素について透過率対波数を示す簡単化したグラフである。曲線302(短い破線)は0.1の反射率(R=0.1)を有する屈折要素についての透過率対波数をプロットしており、曲線304(長い破線)は0.4の反射率(R=0.4)を有する屈折要素についての透過率対波数をプロットしており、曲線306(実線)は0.9の反射率(R=0.9)を有する屈折要素についての透過率対波数をプロットしている。
【0098】
図3において、透過率の変調の光周波数周期Δν
modは、波数10cm
−1に等しい。しかしながら、透過率の変化の量は、反射率Rに基づいて著しく変化している。
【0099】
本明細書において定められるように、バックグラウンド規格化が実行されない場合、この屈折要素に関連する透過率変調は、スペクトル・データのSNRを直接に損ない、画像に望ましくない人為的結果を生成することになる。この影響を緩和する1つの方法は、スペクトル・キューブのバックグラウンド・スペクトル・キューブとの比をとることである。この手法は、光周波数依存成分変調及び光源光周波数が実施ごとに高度に反復的である場合、効果的である。しかしながら、実際には、システムの寄生エタロンの光学厚さは、システムの環境温度、圧力、又は応力の変化に起因してわずかな量だけ変化することになり、それは、時間への正確な依存性が先験的に分かっていない透過率関数に小さいが重要な変化を引き起こす。また、コヒーレント光源の光周波数は、確率的なレーザ動力学又は調整機構の不完全性のために実施ごとに変化する可能性がある。光源光周波数又は寄生エタロン変調関数のいずれかにおけるこれらの小さい差が、透過率値に変化をもたらし、それゆえに、システムによって獲得される比例的に変更された画像のSNRを制限することになる。したがって、さらなる技法が、システムのSNRを改善するために必要とされる。
【0100】
図4Aは、ノイズのすべてがスペクトル画像化デバイスから排除された場合に画像センサによって獲得されることになるサンプルの理想的な画像402を示す。しかしながら、各屈折要素は、獲得画像にノイズを作り出すことになる。本明細書において定められるように、所与の材料、反射率、及び光周波数に対して、より厚い屈折要素は、画像キューブに高いフーリエ空間周波数のスペクトルの人為的結果を生成し、一方、より薄い屈折要素は、画像に、低いフーリエ空間周波数のスペクトルの人為的結果を生成する。
図4Bは、薄い屈折要素が光路中に存在する場合に画像センサによって獲得されることになる、サンプルの第1の理想的でない画像404(
図4Aからの画像にノイズを表す「N」が加えられたもの)を示す。
図4Bは、薄い要素がシステムに使用されている場合、結果として生じる第1の理想的でない画像404は、理想的な画像402に、薄い屈折要素(薄い寄生エタロン)の結果として導入されるスペクトル・ノイズを加えたものとある程度等価になることになる概念を示す。
【0101】
図4Cは、厚い屈折要素が光路中に存在する場合に画像センサによって獲得されることになる、サンプルの第2の理想的でない画像406(
図4Aからの画像にノイズを表す「N」が加えられたもの)を示す。
図4Cは、厚い要素がシステムに使用されている場合、結果として生じる第2の理想的でない画像406は、理想的な画像402に、厚い屈折要素(厚い寄生エタロン)の結果として導入されるスペクトル・ノイズを加えたものとある程度等価になることになる概念を示す。
【0102】
図5Aは、0.5ミリメートルの光学厚さ(Λ=0.5mm)を有する屈折要素の透過率変調を示す第1の曲線500(実線)と、4ミリメートルの光学厚さ(Λ=4mm)を有する屈折要素の透過率変調を示す第2の曲線502(短いダッシュ)とを含む、光周波数空間における透過率対波数のグラフである。この実例では、反射率(2.5%)及び材料は、両方の屈折要素について同じである。唯一の差は光学厚さである。曲線500を曲線502と比較すると、光周波数空間において、透過率変調は、より厚い要素よりもより薄い要素で最大値間の周期がより長い。
【0103】
スペクトル画像化デバイスの屈折要素(例えば、光路中のレンズ及び他の要素)によって引き起こされる寄生エタロンの影響を分析する有用な方法は、センチメートル(cm)という逆波数の単位を有する逆フーリエ周波数空間において光周波数変調関数を検討することである。これは、
図5Aからのエタロンの変調伝達関数にフーリエ変換を適用することによって達成することができる。より具体的には、
図5Bは、0.5ミリメートルの光学厚さ(Λ=0.5mm)を有する屈折要素の透過率変調を示す第1の曲線504(実線)と、4ミリメートルの光学厚さ(Λ=4mm)を有する屈折要素の透過率変調を示す第2の曲線506(短いダッシュ)とを含む、フーリエ空間におけるフーリエ空間パワー・スペクトル密度(「PSD」)対フーリエ空間周波数を示すグラフである。再び、この実例では、反射率(2.5%)及び材料は、両方の屈折要素について同じである。唯一の差は光学厚さである。
【0104】
曲線504を曲線506と比較すると、フーリエ空間周波数において、より薄い屈折要素の透過率変調は、0センチメートルの近くに集中しており、より厚い屈折要素の透過率変調は、フーリエ空間に沿って広がって、0センチメートルの近くに集中していない。さらに、屈折要素が光学的により薄い(0.5mm対4mm)場合、寄生エタロンのフーリエ周波数空間成分はより小さい。
【0105】
上で与えられたように、スペクトル画像化デバイス12は、所望のスペクトル分解能の逆数であるフーリエ空間測定通過帯域508(「通過帯域」とも呼ばれる)を含む。1つの実施例では、通過帯域508の上限A及び下限Bは、A=1/(2Δv)及びB=−1/(2Δv)によって与えられ、ここで、Δvは、スペクトル画像化デバイスが達成するように設計された所望のスペクトル分解能である。例えば、この排他的でない実例では、所望のスペクトル分解能は、4cm
−1である(Δv=4cm
−1)。それゆえに、この排他的でない実施例のフーリエ測定通過帯域は、それぞれ、フーリエ空間0.125cm(2cm
−1)及び−0.125cm(−2cm
−1)に通過帯域508の上限A及び下限Bを有することになる。
【0106】
図5Bに示すように、変調のフーリエ空間表示は、より薄いエタロンは0.25cmの一般的な測定通過帯域内に非dc成分を生成することを示している。
【0107】
図5A及び
図5Bの両方を参照すると、より薄い屈折要素(Λ=0.5mm)は、通過帯域508内にきっちりと入るフーリエ成分(曲線504)を有し、一方、より厚い屈折要素(Λ=4mm)のフーリエ成分(曲線506)の多くは、通過帯域508の外になっている。
【0108】
図6Aは、スペクトル画像化デバイスについての光周波数空間600の簡単化した図である。
図6Aは、スペクトルの測定範囲607、所望のスペクトル分解能Δv、スペクトル帯の下限v
1、及びスペクトル帯の上限v
2も示す。
【0109】
図6Bは、通過帯域608を含む、スペクトル画像化デバイスの対応するフーリエ空間602の簡単化した図である。本明細書において定められるように、通過帯域608は、スペクトル画像化システムの有限の光周波数範囲に起因してフーリエ空間602の原点の近くに存在する、通過帯域608中の間隙610を含む。間隙610のために、通過帯域608は、離間して、間隙610によって分離されている、負のフーリエ空間区画612と正のフーリエ空間区画614とを含む。
【0110】
この間隙610は、式C=1/(2(v
2−v
1))により決定される上限Cと、式D=−1/(2(v
2−v
1))により決定される下限Dとを有し、ここで、v
2及びv
1は、分光画像化システムによって扱われる光周波数範囲の上限及び下限である。さらに、上述で与えられたように、通過帯域508の上限A及び下限Bは、A=1/(2Δv)及びB=−1/(2Δv)によって与えられる。
【0111】
1つの排他的でない実施例において、900〜1800cm
−1のスペクトル範囲を扱い、4cm
−1のスペクトル分解能を有するIR画像化システムでは、通過帯域は、4つの以下の値、すなわち、A=1.25mm、B=−0.125mm、C=+5.55μm、及びD=−5.5μmを有することになる。
【0112】
本明細書において定められるように、スペクトル画像化デバイスの構成は、寄生エタロン変調フーリエ空間成分が、測定通過帯域608の負のフーリエ空間区画612及び正のフーリエ空間区画614の外になるように調節し設計されることができる。これは、寄生エタロンの光学厚さが、負のフーリエ空間区画612及び正のフーリエ空間区画614の外にあるように、スペクトル画像化デバイスの屈折要素を設計し位置づけることによって達成することができる。
【0113】
図6Bは、(i)第1の寄生エタロン成分620のフーリエ空間成分(破線の矢印で示されている)、(ii)第2の寄生エタロン成分622のフーリエ空間成分(破線の矢印で示されている)、(iii)第3の寄生エタロン成分624のフーリエ空間成分(破線の矢印で示されている)、及び(iv)第4の寄生エタロン成分626のフーリエ空間成分(破線の矢印で示されている)を含む最適化されていない設計を示す。この最適化されていない設計では、(i)第1及び第2のエタロン成分620、622は、通過帯域608の負のフーリエ空間区画612にあり、(ii)第3及び第4のエタロン成分624、626は、通過帯域608の正のフーリエ空間区画614にある。
【0114】
本明細書において定められるように、スペクトル画像化デバイスの構成は、(i)第1及び第2のエタロン成分620、622を通過帯域608の負のフーリエ空間区画612から外に、及び(ii)第3及び第4のエタロン成分624、626を通過帯域608の正のフーリエ空間区画614から外に移動させるように調節し設計することができる。より詳細には、スペクトル画像化デバイスの構成は、(i)第1のエタロン成分620を実線矢印630で示すように通過帯域608の負のフーリエ空間区画612の外に、(ii)第2のエタロン成分622を実線矢印632で示すように通過帯域608の負のフーリエ空間区画612の外で間隙610の中に、(iii)第3のエタロン成分624を実線矢印634で示すように通過帯域608の正のフーリエ空間区画614の外で間隙610の中に、及び(iv)第4のエタロン成分626を実線矢印636で示すように通過帯域608の正のフーリエ空間区画614の外にシフトさせ移動させるように調節することができる。
【0115】
別の言い方をすれば、スペクトル画像化デバイスの屈折要素の構成は、(i)第1及び第4の寄生エタロン成分620、626のフーリエ空間成分を通過帯域上限及び下限よりも高くに移動させるのに十分な厚さであるか、又は(ii)第2及び第3の寄生エタロン成分622、624のフーリエ空間成分を正及び負の通過帯域領域の間に押すのに十分な薄さである。
図6Bにおいて、破線矢印620、622、624、626は、シフト前の寄生エタロン成分を示し、一方、実線矢印はシフト後の寄生エタロン成分630、632、634、636を示している。
【0116】
したがって、いくつかの実施例において、システムを適切に設計することによって、寄生エタロン成分620、622、624、626は、寄生エタロンの光経路長を1/2Δvよりも大きくさせることによって動作通過帯域の外にシフトされる。中赤外線分光画像化システムの典型的なパラメータ値の排他的でない実例は、Δv=4cm
−1、v
1=900cm
−1、v
2=1800cm
−1である。この実例では、フーリエ空間において、これらのパラメータは、それぞれ、+5.56μmから+1250μm及び−5.56μmから−1250μmの正及び負の通過帯域範囲を作り出す。
【0117】
図1Bに戻ると、上記のように、
図1Bは、スペクトル画像化顕微鏡12の光源14からの照明ビーム16の透過ビーム経路50の簡単化した概略図であり、サンプル10は、サンプル10を通る照明ビーム16の透過を介して精査される。特に、
図1Bは、サンプル10が透過モードで精査されているときに利用されるスペクトル画像化顕微鏡12の様々な構成要素を示す。サンプル10が反射モードで精査されているときに利用されるだけのスペクトル画像化顕微鏡12の追加の構成要素は、見やすいようにし説明を容易にするために
図1Bから省略されていることが理解されるべきである。
【0118】
図1Bに示すように、透過モードで利用される場合、スペクトル画像化顕微鏡12の構成要素は、照明ビーム16を発生させ及び/又は放出する光源14と、透過ビーム方向制御部20Tと、画像センサ28と、透過照明光学アセンブリ18T及び画像化光学アセンブリ24を構成するような屈折要素を含む様々な光学要素、例えば、屈折要素とを含む。本明細書で利用するとき、透過照明光学アセンブリ18T及び画像化光学アセンブリ24を構成する屈折要素を含むそのような光学要素は、全体的に、「透過光学アセンブリ」と呼ぶことができる。
【0119】
より詳細には、図示のように、透過光学アセンブリは、(i)第1の屈折要素46A、例えば、窓、(ii)第2の屈折要素46B、例えば、屈折レンズ、(iii)第3の屈折要素46C、例えば、窓、(iv)例えば、サンプル10、及び/又はサンプル10のために利用できる任意のスライドを含む第4の屈折要素46D、(v)第5の屈折要素46E、例えば、画像化光学アセンブリ24の第1の屈折レンズ24A、(vi)第6の屈折要素46F、例えば、画像化光学アセンブリ24の第2の屈折レンズ24B、及び(vii)第7の屈折要素46G、例えば、画像センサ28の近くに及び/又は前に位置づけられた窓を含むことができる。その上、屈折要素46A〜46Gの各々は、互いに離間され、並びに光源14及び透過ビーム方向制御部20Tから離間される。
【0120】
この実施例に示すように、透過モードで使用される場合、照明ビーム16の透過ビーム経路50は、光源14から、第1の屈折要素46Aへ、第2の屈折要素46Bへ、透過ビーム方向制御部20Tへ、第3の屈折要素46Cへ、第4の屈折要素46D(サンプル10を含む)へ、第5の屈折要素46Eへ、第6の屈折要素46Fへ、第7の屈折要素46Gへ、そして最後に画像センサ28へと続く。
【0121】
追加として、本明細書において定められるように、屈折要素46A〜46Gの各々の厚さ、並びに構成要素の各々の間の間隔(本明細書では「分離距離」とも呼ぶ)は、屈折要素46A〜46Gの各々及び分離距離の各々についての透過率関数のフーリエ空間成分が測定通過帯域から外れるように具体的に設計される。例えば、(i)第1の屈折要素46Aは第1の要素光学厚さt
1を有し、(ii)第2の屈折要素46Bは第2の要素光学厚さt
2を有し、(iii)第3の屈折要素46Cは第3の要素光学厚さt
3を有し、(iv)第4の屈折要素46Dは第4の要素光学厚さt
4を有し、(v)第5の屈折要素46Eは第5の要素光学厚さt
5を有し、(vi)第6の屈折要素46Fは第6の要素光学厚さt
6を有し、(vii)第7の屈折要素46Gは第7の要素光学厚さt
7を有し、それらは各々測定通過帯域から外れている透過率関数のフーリエ空間成分を有するように設計される。
【0122】
さらに、(i)光源14と第1の屈折要素46Aとの間の第1の分離距離d
1、(ii)第1の屈折要素46Aと第2の屈折要素46Bとの間の第2の分離距離d
2、(iii)第2の屈折要素46Bと透過ビーム方向制御部20Tとの間の第3の分離距離d
3、(iv)透過ビーム方向制御部20Tと第3の屈折要素46Cとの間の第4の分離距離d
4、(v)第3の屈折要素46Cと第4の屈折要素46Dとの間の第5の分離距離d
5、(vi)第4の屈折要素46Dと第5の屈折要素46Eとの間の第6の分離距離d
6、(vii)第5の屈折要素46Eと第6の屈折要素46Fとの間の第7の分離距離d
7、及び(viii)第6の屈折要素46Fと第7の屈折要素46Gとの間の第8の分離距離d
8は、また、各々、測定通過帯域から外れている透過率関数のフーリエ空間成分を有するように設計される。
【0123】
追加として、上記のように、
図1Cは、スペクトル画像化顕微鏡12の光源14からの照明ビーム16の反射ビーム経路52の簡単化した概略図であり、サンプル10は、サンプル10からの照明ビーム16の反射を介して精査される。特に、
図1Cは、サンプル10が反射モードで精査されているとき利用されるスペクトル画像化顕微鏡12の様々な構成要素を示す。サンプル10が透過モードで精査されているときに利用されるだけのスペクトル画像化顕微鏡12の追加の構成要素は、見やすいようにし説明を容易にするために
図1Cから省略されていることが理解されるべきである。
【0124】
図1Cに示すように、反射モードで利用されるとき、スペクトル画像化顕微鏡12の構成要素は、照明ビーム16を発生させ及び/又は放出する光源14と、反射ビーム方向制御部20R1、20R2と、画像センサ28と、ビーム・スプリッタ26並びに反射照明光学アセンブリ18R及び画像化光学アセンブリ24を構成するような屈折要素を含む様々な光学要素、例えば、屈折要素とを含む。本明細書で利用するとき、ビーム・スプリッタ26、並びに反射照明光学アセンブリ18R及び画像化光学アセンブリ24を構成する屈折要素を含むそのような光学要素は、全体的に、「反射光学アセンブリ」と呼ぶことができる。
【0125】
より詳細には、図示のように、反射光学アセンブリは、(i)第1の屈折要素46A、例えば、窓、(ii)第8の屈折要素46H、例えば、屈折レンズ、(iii)第9の屈折要素46I、例えば、ビーム・スプリッタ26、(iv)例えば、サンプル10、及び/又はサンプル10のために利用できる任意のスライドを含む第4の屈折要素46D、(v)第5の屈折要素46E、例えば、画像化光学アセンブリ24の第1の屈折レンズ24A、(vi)第6の屈折要素46F、例えば、画像化光学アセンブリ24の第2の屈折レンズ24B、及び(vii)第7の屈折要素46G、例えば、画像センサ28の近くに及び/又は前に位置づけられた窓を含むことができる。その上、屈折要素46A、46D〜46Iの各々は、互いに離間され、並びに光源14及び反射ビーム方向制御部20R1、20R2から離間される。
【0126】
この実施例に示すように、反射モードで使用される場合、照明ビーム16の反射ビーム経路52は、光源14から、第1の屈折要素46Aへ、第1の反射ビーム方向制御部20R1へ、第2の反射ビーム方向制御部20R2へ、第8の屈折要素46Hへ、第9の屈折要素46I(ビーム・スプリッタ26)へ、第6の屈折要素46Fへ、第5の屈折要素46Eへ、第4の屈折要素46D(サンプル10を含む)へ、戻って第5の屈折要素46Eへ、第6の屈折要素46Fへ、第9の屈折要素46I(ビーム・スプリッタ26)へ、第7の屈折要素46Gへ、そして最後に画像センサ28へと続く。
【0127】
追加として、本明細書において定められるように、屈折要素46A、46D〜46Iの各々の厚さ、並びに構成要素の各々の間の間隔(すなわち、「分離距離」)は、屈折要素46A、46D〜46Iの各々及び分離距離の各々についての透過率関数のフーリエ空間成分が測定通過帯域から外れるように具体的に設計される。例えば、(i)第1の屈折要素46Aは第1の要素光学厚さt
1を有し、(ii)第4の屈折要素46Dは第4の要素光学厚さt
4を有し、(iii)第5の屈折要素46Eは第5の要素光学厚さt
5を有し、(iv)第6の屈折要素46Fは第6の要素光学厚さt
6を有し、(v)第7の屈折要素46Gは第7の要素光学厚さt
7を有し、(vi)第8の屈折要素46Hは第8の要素光学厚さt
8を有し、(vii)第9の屈折要素46Iは第9の要素光学厚さt
9を有し、それらは各々測定通過帯域から外れている透過率関数のフーリエ空間成分を有するように設計される。
【0128】
さらに、(i)光源14と第1の屈折要素46Aとの間の第1の分離距離d
1、(ii)第1の屈折要素46Aと第1の反射ビーム方向制御部20R1との間の第9の分離距離d
9、(iii)第1の反射ビーム方向制御部20R1と第2の反射ビーム方向制御部20R2との間の第10の分離距離d
10、(iv)第2の反射ビーム方向制御部20R2と第8の屈折要素46Hとの間の第11の分離距離d
11、(v)第8の屈折要素46Hと第9の屈折要素46Iとの間の第12の分離距離d
12、(vi)第4の屈折要素46Dと第5の屈折要素46Eとの間の第6の分離距離d
6、(vii)第5の屈折要素46Eと第6の屈折要素46Fとの間の第7の分離距離d
7、及び(viii)第9の屈折要素46Iと第7の屈折要素46Gとの間の第13の分離距離d
13は、また、各々、測定通過帯域から外れている透過率関数のフーリエ空間成分を有するように設計される。
【0129】
追加として、本明細書において定められるように、いくつかの実施例では、スペクトル画像化デバイス12における構成要素の位置(すなわち、間隔)及び様々な構成要素の設計(すなわち、厚さ)は、寄生エタロン変調が通過帯域の外で生じるのを保証するように調節し設計することができる。
【0130】
以下に示す表1は、スペクトル画像化顕微鏡12のための設計基準に適合する実現可能な要素間分離距離(「d
1」から「d
14」)及び要素光学厚さ(「t
1」から「t
9」)の1つの排他的でない実例を提供する。表1の数値は、実施例の各々において、すなわち、透過モード及び反射モードの各々において4cm
−1のスペクトル分解能を与えるように設計されているスペクトル画像化顕微鏡12に基づいていることに留意されたい。追加として、分離距離及び要素光学厚さは、スペクトル画像化顕微鏡12の設計及び特性が変更された場合、寄生エタロン成分を望ましく管理するために表1に具体的に与えられたものと異なる必要がある場合があることに留意されたい。
【0132】
追加として、本明細書において定められるように、寄生エタロン成分の影響は、他の独特な方法で低減し管理することができる。例えば、
図1Aを参照すると、上で与えられたように、スペクトル画像化デバイス12は、複数の異なる目標光周波数において別個の出力画像13A、13B、13Cを生成するように制御され得る。この設計により、各目標光周波数は、対応する出力画像13A、13B、13Cを含む。続いて、制御システム30は出力画像13A、13B、13Cを使用して、スペクトル・キューブ13を生成する。
【0133】
ノイズは光周波数に依存するので、本明細書において定められるように、目標光周波数ごとに、スペクトル画像化デバイス12は、目標光周波数に近いか又は等しい光周波数で複数の予備画像を獲得することができる。続いて、目標光周波数ごとに、対応する複数の予備画像を使用して、その目標光周波数でのノイズを低減した対応する出力画像を生成することができる。
【0134】
図7Aは、光周波数対時間を示すグラフである。本明細書において定められるように、制御システム30(
図1Aに示されている)は可変光源14(
図1Aに示されている)を制御して、時間とともに第1の光周波数から第11の光周波数まで階段状パターンで変化する中心光周波数を有する照明ビーム16(
図1Aに示されている)を発生させることができる。やや類似して、
図7Bは、光周波数対時間を示すグラフである。この実例では、制御システム30(
図1Aに示されている)は可変光源14(
図1Aに示されている)を制御して、時間とともに第1の光周波数から第11の光周波数まで直線的に変化する中心光周波数を有する照明ビーム16(
図1Aに示されている)を発生させる。光周波数は、
図7A及び
図7Bに示したもの以外の別の方法で調節できることに留意されたい。
【0135】
これらの実例では、第1から第11の光周波数は、各々、スペクトル画像化デバイス12(
図1Aに示されている)の所望の調整範囲内にある。さらに、これらの簡単化した実例では、(i)時間1において、照明ビーム16は、1の中心光周波数を有し、(ii)時間2において、照明ビーム16は、2の中心光周波数を有し、(iii)時間3において、照明ビーム16は、3の中心光周波数を有し、(iv)時間4において、照明ビーム16は、4の中心光周波数を有し、(v)時間5において、照明ビーム16は、5の中心光周波数を有し、(vi)時間6において、照明ビーム16は、6の中心光周波数を有し、(vii)時間7において、照明ビーム16は、7の中心光周波数を有し、(viii)時間8において、照明ビーム16は、8の中心光周波数を有し、(ix)時間9において、照明ビーム16は、9の中心光周波数を有し、(x)時間10において、照明ビーム16は、10の中心光周波数を有し、(xi)時間11において、照明ビーム16は、11の中心光周波数を有する。
【0136】
光周波数のうちの1つ又は複数は、目標光周波数753A、753B、753Cであることができることに留意されたい。この排他的でない実例では、光周波数3、6、及び9が目標光周波数753A、753B、753Cである。
【0137】
図7Cは、目標光周波数753A、753B、753C(
図7A及び
図7Bに示されている)ごとに別個の出力画像713A、713B、713Cを発生させるのに使用することができる複数の予備画像751A、751B、751C、751D、751E、751F、751G、752H、751I、751J、751Kを示す。
【0138】
この簡単化した実例において、
図7A〜
図7Cを参照すると、スペクトル画像化デバイス12(
図1Aに示されている)は、(i)(時間=1において)第1の中心光周波数を有する照明ビーム16(
図1Aに示されている)でサンプル10(
図1Aに示されている)を照明している間に第1の予備(「サンプリング」)画像751Aを獲得し、(ii)(時間=2において)第2の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第2の予備画像751Bを獲得し、(iii)(時間=3において)第3の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第3の予備画像751Cを獲得し、(iv)(時間=4において)第4の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第4の予備画像751Dを獲得し、(v)(時間=5において)第5の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第5の予備画像751Eを獲得し、(vi)(時間=6において)第6の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第6の予備画像751Fを獲得し、(vii)(時間=7において)第7の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第7の予備画像751Gを獲得し、(viii)(時間=8において)第8の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第8の予備画像751Hを獲得し、(ix)(時間=9において)第9の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第9の予備画像751Iを獲得し、(x)(時間=10において)第10の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第10の予備画像751Jを獲得し、(xi)(時間=11において)第11の中心光周波数を有する照明ビーム16でサンプル10を照明している間に第11の予備画像751Kを獲得するように制御される。
【0139】
続いて、スペクトル画像化デバイス12は、予備(「サンプリング」)画像751A〜751Kのうちの1つ又は複数を使用して、目標光周波数753A、753B、753Cごとの別個の目標出力画像713A、713B、713Cを発生させる。別個の出力画像713A、713B、713Cを発生させるのに使用される予備画像751A〜751Kの数は変わり得る。排他的でない実例として、2、3、4、5、6、7、又は8個の予備画像751A〜751Kを使用して、出力画像713A、713B、713Cの各々を発生させることができる。一般に、利用される予備画像751A〜751Kは、目標光周波数の近くで、又は目標光周波数で獲得される。
【0140】
1つの実例において、5つの予備画像751A〜751Kが使用される場合、(i)第1から第5の予備画像751A〜751Eを使用して、光周波数3の目標光周波数753Aについての出力画像713Aを発生させ、(ii)第4から第8の予備画像751D〜751Hを使用して、光周波数6の目標光周波数753Bについての出力画像713Bを発生させ、(iii)第7から第11の予備画像751G〜751Kを使用して、光周波数9の目標光周波数753Cについての出力画像713Cを発生させる。
【0141】
多数の予備画像を組み合わせてそれぞれの出力画像を発生させるために使用される方法は変わり得る。1つの排他的でない実施例では、対応する多数の予備画像は、低域通過フィルタを通過させられて、それぞれの出力画像を発生させる。別の言い方をすれば、それぞれの予備画像の各画素のスペクトル応答に低域通過フィルタをその後適用して、ノイズがより少ない、スペクトル分解能のより低い出力スペクトル画像を生成する。この実例では、(i)第1から第5の予備画像751A〜751Eを低域通過フィルタを通過させて、光周波数3の目標光周波数753Aについての出力画像713Aを発生させ、(ii)第4から第8の予備画像751D〜751Hを低域通過フィルタを通過させて、光周波数6の目標光周波数753Bについての出力画像713Bを発生させ、(iii)第7から第11の予備画像751G〜751Kを低域通過フィルタを通過させて、光周波数9の目標光周波数753Cについての出力画像713Cを発生させる。
【0142】
排他的でない実例として、低域通過フィルタは、移動平均又はガウス・フィルタのいずれかと、オプションとして、引き続いて、間引き(decimation)によるサブサンプリングとを利用することができる。1つのそのような方法は、収集されたデータ点の単純平均を実行することである。別の方法は、データ・セットから極値を除去した後、データ点の単純平均を実行することである。極値は、例えば、集合の二乗平均平方根の、事前定義された倍数の外に入るものとして定義することができる。別の方法は、データ・セットにわたってチェビシェフ・フィルタなどの低域通過フィルタを通すことである。低域通過フィルタは、光周波数空間又はフーリエ周波数空間において適用されることができ、データ集合とバックグラウンド・データ集合との間で任意の比を取る前又はその後で実行することができる。
【0143】
予備画像が獲得される第1から第11の光周波数の各々の間のサンプリング光周波数のサンプリング周期(又は光周波数サンプリング・レートの逆数)は、本明細書で提供する教示に応じて変わり得ることに留意されたい。いくつかの実施例では、光周波数ステップのサイズは、サンプリング・レートの逆数である。1つの実施例では、光周波数ステップのサイズは、ビーム経路に沿って含まれる寄生エタロンの光周波数依存透過率関数のフーリエ周波数成分のエイリアシングを測定通過帯域に生じさせないように十分に小さい。例えば、光周波数ステップのサイズは、スペクトル画像化デバイス12において、ビーム経路中の屈折要素の最短の自由スペクトル領域を有する屈折要素の自由スペクトル領域(FSR)を2で除算したもの以下とすべきである。
【0144】
別の言い方をすれば、いくつかの実施例において、この方法が効果的であるためには、測定通過帯域への偽スペクトル信号のエイリアシングを阻止するために、サンプリング・レートは十分に高く、サンプリング周期Δv
samplingは十分に小さくなければならない。本明細書で使用する「サンプリング・レート」という用語は、光周波数サンプリング周期の逆数を意味するものとし、「サンプリング周期」という用語は、光周波数サンプリング周期Δv
samplingを意味するものとする。エイリアシングは、偽スペクトル信号のフーリエ周波数成分を通過帯域の外から測定通過帯域中にシフトさせることがある。そのような場合には、フィルタ処理による偽信号の除去を達成することができるが、システムのスペクトル分解能を犠牲にしており、それは望ましくない。排他的でない実例として、光周波数サンプリング周期は、近似的に、0.1〜10cm
−1の範囲内であり得、0.1、0.25、0.33、0.5、0.67、0.7、1.0、1.5、2.0、2.5、3.33、5.0、及び10cm
−1の特定の値とすることができる。
【0145】
本明細書において与えられるように、寄生エタロンは、その自由スペクトル領域(FSR)の整数倍で繰り返すフーリエ成分を有し、波数単位で1/2nLによって与えられる。各偽成分が通過帯域の外に確実に入るようにするために、測定サンプルは、寄生エタロンに関連するFSRの少なくとも半分ほどの光学的間隔Δv
samplingの隔たりで収集されるべきである。FSRは、また、スペクトル分解能が偽信号のフィルタ処理によって損なわれないようにシステムの最小スペクトル分解能Δvよりも小さくすべきである。
【0146】
Δv
sampling≦FSR/2≦Δv 式(8)
【0147】
さらに別の言い方をすれば、制御システム30は、目標光周波数の近くで、その隣接するサンプリング光周波数が光周波数のステップだけ離間され、サンプリング光周波数のステップは、ビーム経路に沿って含まれる寄生エタロンの光周波数依存透過率関数のフーリエ成分のエイリアシングを測定通過帯域に生じさせないように十分小さい、1組の離散的サンプリング光周波数を発生させるように可変光源14を制御する。さらに、制御システムは、離散的サンプリング光周波数ごとに別個の2次元サンプリング画像を獲得するか又は構築するように画像センサを制御し、制御システムは、離散的サンプリング光周波数ごとの別個の2次元サンプリング画像を使用して、目標光周波数についてのサンプルの目標出力画像を構築する。
【0148】
本明細書において定める「サンプリング光周波数のステップ」という用語は、隣接するサンプリング光周波数間の許容最小差を意味するものとする。代替の排他的でない実施例では、サンプリング光周波数のステップは、約0.1、0.2、0.25、0.33、0.5、0.67、0.7、1.0、2.0、4.0、8.0、又は16の波数とすることができる。この実例では、目標光周波数のステップ(目標光周波数間の差)はサンプリング光周波数のステップよりも大きい。
【0149】
要約すれば、本明細書において与えられるように、寄生エタロン成分の影響は、離散的サンプリング、フィルタ処理、及び間引きによって低減され管理されることができる。最初に、複数の予備(「サンプリング」)画像が獲得される。続いて、予備画像をフィルタ処理して、より低いスペクトル分解能の画像を作り出し、その画像は、オプションとして、サブサンプリングされて(例えば、間引きを介して)、今はオーバーサンプリングされているものから冗長な情報を除去することができる。このように、スペクトル画像の集合が、所望の測定周波数の近くの多数の離散的な光周波数で獲得される。次に、データ点のこの集合を数学的にフィルタ処理して、単一のより高い忠実度のデータ点が生成される。
【0150】
図8A及び
図8Bは、寄生エタロンによって引き起こされたコヒーレント・ノイズを、離散的サンプリング、フィルタ処理、及び後続の間引きによってフィルタ処理する方法をさらに論じるのに有用である。光周波数サンプリング周期は、指示によって設定され、測定通過帯域へのエイリアシングに起因するスペクトル漏洩を導入しないように十分細かくなるように選ばれる。
【0151】
より具体的には、
図8Aは、(i)第1の厚さ(例えば、t=4mm)を有する第1の屈折要素にとっての第1の寄生エタロン成分の変調802(破線で示されている)と、(ii)第1の厚さよりも小さい第2の厚さ(例えば、t=0.5mm)を有する第2の屈折要素にとっての第2の寄生エタロン成分の変調804(実線で示されている)を示す、光周波数空間における透過率対波数のグラフである。この実例では、第1の要素は、第2の要素よりも長い光路を有する。
図8Aのグラフは、(i)4.1cm
−1でサンプリングされた第1の寄生エタロン成分1012の離散的サンプリングを表す円と、(ii)第2のエタロン成分の離散的サンプリングを表す黒ドットとを含む。排他的でない実例として、サンプリング間隔は4.1cm
−1である。
【0152】
図8Bは、フーリエ空間周波数におけるグラフであり、グラフは、(i)第1の屈折要素(例えば、t=4mm)の第1の寄生エタロン成分の変調806(グレーの実線で示されている)と、(ii)第2の光学要素(例えば、t=0.5mm)の第2の寄生エタロン成分の変調808(黒い実線で示されている)とを示す。また、
図8Bのグラフは、(i)4.1cm
−1でサンプリングされた第1の寄生エタロン成分の離散的サンプリング810(グレーの破線で示されている)と、(ii)4.1cm
−1でサンプリングされた第2のエタロン構成要素の離散的サンプリング812(黒い破線で示されている)を含む。
【0153】
通過帯域814(例えば、0.250cmの通過帯域)もまた、
図8Bに示されている。第1の屈折要素(t=4mm)の4.1cm
−1での不十分なサンプリングにより、第1の寄生エタロン成分のフーリエ成分が通過帯域814に漏洩することがあることに留意されたい。
【0154】
図9は、光周波数空間における、サンプリングされた未処理の信号データ902(グレーの線で示されている)と、サンプリングされフィルタ処理された信号データ904(黒い線で示されている)とのグラフである。
図9から分かるように、寄生エタロン成分によって引き起こされた信号データ902の変動は、ライン904で見られるように、サンプリング、フィルタ処理、及び後続の間引きによって大幅に低減されている。したがって、本明細書において定められるように、寄生エタロンによって生成されるコヒーレント・ノイズは、離散的サンプリング及びフィルタ処理によってフィルタ処理され得る。
【0155】
さらなる別の実施例では、本明細書において与えられるように、出力画像における偽のスペクトルの人為的結果の減少を、高速光源周波数変調及び実時間検出器平均化により達成することもできる。別の言い方をすれば、ノイズの減少は、迅速に変化する中心光周波数又は目標光周波数(光周波数)の近くの光周波数を有する照明ビーム16を発生させるように光源14を迅速に調整し、光周波数(光周波数)の変動の間、画像センサ28により出力画像をゆっくり獲得することによって達成され得る。この設計により、目標光周波数(光周波数)ごとに、スペクトル画像化デバイス12は、それぞれの出力画像を獲得する間、照明ビームの光周波数(光周波数)をディザリングすることができる。
【0156】
図10Aは、光周波数対時間を示すグラフである。本明細書において与えられるように、制御システム30(
図1Aに示されている)は可変光源14(
図1Aに示されている)を制御して、時間とともに第1の光周波数から第10の光周波数まで及び戻って第1の光周波数まで階段状パターンで変化する中心光周波数を有する照明ビーム16(
図1Aに示されている)を発生させることができる。やや類似して、
図10Bは、光周波数対時間を示すグラフである。この実例では、制御システム30(
図1Aに示されている)は可変光源14(
図1Aに示されている)を制御して、時間とともに第1の光周波数から第10の光周波数まで及び戻って第1の光周波数まで直線的に変化する中心光周波数を有する照明ビーム16(
図1Aにおいて示されている)を発生させることができる。光周波数は、
図10A及び
図10Bに示したもの以外の別の方法で調節できることに留意されたい。
【0157】
これらの実例では、第1から第10の光周波数は、各々、スペクトル画像化デバイス12(
図1Aに示されている)の所望の調整範囲内にある。さらに、これらの簡単化した実例では、(i)時間1において、照明ビーム16は、1の中心光周波数を有し、(ii)時間2において、照明ビーム16は、2の中心光周波数を有し、(iii)時間3において、照明ビーム16は、3の中心光周波数を有し、(iv)時間4において、照明ビーム16は、4の中心光周波数を有し、(v)時間5において、照明ビーム16は、5の中心光周波数を有し、(vi)時間6において、照明ビーム16は、6の中心光周波数を有し、(vii)時間7において、照明ビーム16は、7の中心光周波数を有し、(viii)時間8において、照明ビーム16は、8の中心光周波数を有し、(ix)時間9において、照明ビーム16は、9の中心光周波数を有し、(x)時間10において、照明ビーム16は、10の中心光周波数を有し、(xi)時間11において、照明ビーム16は、9の中心光周波数を有し、(xii)時間12において、照明ビーム16は、8の中心光周波数を有し、(xiii)時間13において、照明ビーム16は、7の中心光周波数を有し、(xiv)時間14において、照明ビーム16は、6の中心光周波数を有し、(xv)時間15において、照明ビーム16は、5の中心光周波数を有し、(xvi)時間16において、照明ビーム16は、4の中心光周波数を有し、(xvii)時間17において、照明ビーム16は、3の中心光周波数を有し、(xviii)時間18において、照明ビーム16は、2の中心光周波数を有し、(xiv)時間19において、照明ビーム16は、1の中心光周波数を有する。
【0158】
光周波数のうちの1つ又は複数は、目標光周波数1053とできることに留意されたい。この排他的でない実例では、光周波数5は、目標光周波数1053である。
【0159】
図10Cは、照明ビーム16(
図1Aに示されている)が、第1から第10の光周波数まで(第1のサイクル)、及び戻って第10の光周波数から第1の光周波数まで(第2のサイクル)繰り返される間に獲得された出力画像1013を示す。この簡単化した実例では、
図10A〜
図10Cを参照すると、スペクトル画像化デバイス12(
図1Aに示されている)は、照明ビーム16の中心光周波数が、1と10との光周波数の間で2度繰り返されて変えられる(ディザリングされる)間に、光周波数5の目標光周波数1053についての出力画像1013を獲得するように制御される。代替として、可変光源14は、出力画像1013を獲得する間に光周波数を1サイクルのみ又は2サイクルを超えてディザリングするように制御され得る。排他的でない実例として、サイクルの数は、画像センサによる画像の獲得時間の間に約1、2、3、4、5、10、20、40、50、100、又はそれを超えるサイクル(しかし、所望のサイクルの数は10より多い)とすることができる。
【0160】
いくつかの実施例では、制御システム30(
図1Aに示されている)は可変光源14(
図1Aに示されている)を変調して、目標光周波数の近くに1組の離散的な変調光周波数を発生させ、Δv
modulation=±ηΔv/2の規定を満たす最大光周波数変調Δv
modulationを目標光周波数設定点のまわりに生成するようにでき、ここで、ηは0.1以上で100以下の値を有する定数であり、Δvは所望のスペクトル分解能である。さらに、この実施例では、画像センサ28(
図1Aに示されている)は、周波数変調よりも大きい獲得時間の間、出力画像を獲得する。
【0161】
排他的でない実例として、獲得時間の間、変調光周波数の目標光周波数のまわりでディザリングの量は、約±0.1、0.25、0.33、0.5、1、2、3、4、5、6、7、10、又はそれを超える波数とすることができる。
【0162】
要約すれば、制御システムは、可変光源を変調して、目標光周波数のまわり及びそれを通して1組の離散的な変調光周波数を光周波数変調速度で発生させることができ、画像センサは、光周波数変調速度の逆数よりも長い獲得時間の間、目標出力画像を獲得するように制御され得る。
【0163】
図11は、(i)典型的なレーザ出力ビームの狭い光周波数分布(発明者等が無視しようとしている干渉よりも狭いライン)の概略図を有する上方のグラフ1110と、(ii)出力ビームの非常に広い光周波数分布(シルクハットに近似される理想的に広げられたレーザ・ライン)の概略図を有する中間のグラフ1112と、(iii)比較的短い期間に発生されたエネルギーの複数の狭い光周波数パルスの概略図(スペクトル帯Δvを満たす所望の時間平均光周波数分布を生成するために、中心値が時間とともに正しいペースでシフトされるレーザ・ライン)を有する下方のグラフ1114とを含む。したがって、本明細書において定められるように、レーザ・ラインの動的光周波数変調を使用して(レーザをディザリングして)、レーザ源の出力を外的に広げて、所望の時間平均光周波数分布1116(破線)を生成することができる。
【0164】
したがって、本明細書において与えられるように、寄生エタロンの変調は、レーザ源の高速光周波数変調及び実時間検出器平均化によってフィルタ処理され得る。これには、寄生エタロンを均し、結果として生じる画像品質及びスペクトル忠実度を改善するという効果がある。この実施例は、異なる光周波数で多数のフレームを取得することと、雑音を除去するためのデジタル信号処理の実施が不必要になるので、コヒーレント照明によるライブ・ビデオの離散的周波数画像化に独特の利点を有する。多くの場合、注目するフィーチャは、狭い線幅よりも広い。追加として、寄生エタロンは、注目するフィーチャよりも細くすることができる。したがって、空間ドメインにおいて縞パターンとしてそれ自体現われる不要なスペクトル雑音を、広い光周波数を使用する(例えば、時間とともに光周波数を変調する)ことによって平均することは有利であり得る。これは、CWレーザ又はパルスレーザのいずれかで行うことができる。
【0165】
図12Aは、本明細書において提供されるノイズ低減方法なしに獲得された画像1210である。この画像1210は、画像1210の品質に悪影響を及ぼす複数の縞を含んでいることに留意されたい。
【0166】
図12Bは、本明細書において提供されるスペクトル画像デバイス12を使用した獲得画像1212である。
図12Bの画像1212は、縞による影響が少ない。
【0167】
スペクトル画像化デバイス12のいくつかの異なる実施例を、本明細書で図示し説明したが、任意の1つの実施例の1つ又は複数の特徴は、そのような組合せが本発明の意図を満たすならば、他の実施例のうちの1つ又は複数の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることが理解されよう。
【0168】
本明細書で詳細に図示し開示したような特定のスペクトル画像化デバイス12は、完全に、目的を達成し、本明細書で前に述べた利点を提供することができるが、それは、本発明の現在の好ましい実施例のうちの一部の単なる例示であることと、添付の特許請求の範囲に記載されたもの以外の本明細書に示された構成又は設計の細部に限定されるものではないこととを理解されたい。