特許第6449345号(P6449345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6449345-熱機関のシャットダウンを制御する方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449345
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】熱機関のシャットダウンを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20181220BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20181220BHJP
   B60W 20/10 20160101ALI20181220BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20181220BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20181220BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20181220BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20181220BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20181220BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   F02D29/02 321C
   B60W10/06 900
   B60W20/10ZHV
   B60K6/54
   B60W10/10 900
   F02D29/00 G
   B60W10/00 102
   B60W10/02
   B60W10/06
   B60W10/08
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-574497(P2016-574497)
(86)(22)【出願日】2015年2月4日
(65)【公表番号】特表2017-511442(P2017-511442A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】FR2015050270
(87)【国際公開番号】WO2015136167
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】1452141
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ペティヨン, ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ノディン, ベルトラン
【審査官】 比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−284428(JP,A)
【文献】 特開平03−224834(JP,A)
【文献】 特開昭61−287828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D29/00−29/02
F02D17/00
F02D45/00
B60W10/00−50/16
B60K 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱機関のコンピュータ(ECU)と情報交換する変速装置のコンピュータ(ATCU)によって、前記変速装置の開放位置と閉鎖位置との間で制御されるクラッチで、車両の前記変速装置に接続された熱機関を備える、前記車両のパワートレインの制御方法であって、
前記機関を停止するため、前記クラッチが閉鎖され燃料噴射が中断されている状態で、前記車両の走行中に前記クラッチが開放されるよりも前であって、第1の瞬間(t1)よりも後の第2の瞬間(t2)に前記クラッチ開放すること前記機関のエアフラップ(V)閉鎖することとが同期するように、前記変速装置の前記コンピュータ(ATCU)が、前記第1の瞬間(t1)に前記機関の前記コンピュータ(ECU)に対して前記クラッチを開放するための指示を含むメッセージを送信することを特徴とする、制御方法。
【請求項2】
前記変速装置の前記コンピュータ(ATCU)が、前記第1の瞬間(t1)と前記第2の瞬間(t2)の間に、前記クラッチ(E)に対して開放要求送信ることを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
もはや駆動力が必要でない場合に、前記機関を停止すること前記変速装置が前記機関から切断されることとが前記車両の走行中に自動的に引き起こされることを特徴とする、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記車両が、前記クラッチが開放され燃料噴射(Qinj)がアイドリングスピードを維持するように設定された状態で停止しており、前記燃料噴射中断することを前記エアフラップ(V)閉鎖することと同時に発生させるべく、前記燃料射が前記エアフラップの閉鎖要求の後も継続されているときに、前記機関を停止する準備を行うことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワートレイン(PT)の制御に関し、具体的には、自動式または自動化された変速装置と、場合によっては電気駆動力機構に付随する少なくとも1つの熱機関によって形成された、車両のパワートレインに関する。
【0002】
より正確には、本発明は、車両の走行中に機関のエアフラップを閉じて機関を変速装置から切断するように、熱機関のコンピュータと情報交換する変速装置のコンピュータによって、変速装置の開放位置と閉鎖位置との間で制御されるクラッチで、車両の変速装置に接続された熱機関を備える、車両のパワートレインを制御する方法に関する。
【0003】
好ましくは、だが排他的にではなく、本発明は、停止(アイドリングストップ)時の、機関の自動停止及び自動再始動機能、及び車両の走行中に変速装置を切断する機能(コーストストップまたはセイリング)が設けられた、任意の車両に適用される。有利には、この車両には、ハイブリッドPTに組み込まれた自動式または自動化された変速装置が設けられていることができる。
【背景技術】
【0004】
多くの車両に存在するアイドリングストップ(stop and start、S&S)システムによって、行程中に熱機関が停止及び再始動される回数は、顕著に増大する。「マイクロハイブリッド」と称されるある用途においては、目標電力機構を追加することで、車両の走行中を含め、もはや駆動力が必要でなくなったときには直ちに機関を停止することによって、燃料消費をさらに削減することを意図した新機能を、追加で導入することが可能になる。これらの新しい制御方策によってもまた、機関のシャットダウンと再始動の回数は顕著に増加する結果となり、この場合にはほぼ3倍増となる。こうした車両の場合には、熱機関のシャットダウン段階及び再始動段階が、車両のユーザー(即ち運転者及び同乗者)にとってほぼ知覚できない程度であることが、最重要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、アイドリングストップ機能が設けられ、車両走行中に変速装置が切断されるコーストストップまたはセイリング機能から受益する車両の、機関のシャットダウンの質を向上することである。
【0006】
この目的で、本発明は、機関のエアフラップが閉鎖するのと同時にクラッチが開放されるように、車両の走行中の熱機関のシャットダウンが、クラッチの開放よりも前に発生することを提案する。
【0007】
好ましくは、変速装置のコンピュータは、第1の瞬間よりも後である第2の瞬間においてクラッチの開放とエンジンフラップの閉鎖とが同期するように、第1の瞬間に機関のコンピュータに対してメッセージを送信する。
【0008】
本発明は、添付の図面に関連して提供される下記の非限定的な実施形態の説明を読むことで、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両の停車中に、機関がシャットダウンするための準備のシーケンスを示す。
図2】車両の走行中に、機関がシャットダウンするための準備のシーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
運転者に感知される振動が顕著に減少する、高品質の機関シャットダウンを提供するためには、エアフラップの閉鎖と噴射の中断とが、同時に実施される必要がある。しかし、これら2つの作動装置の動態は、同じではない。エアフラップの場合には閉鎖の指示と実際の閉鎖との間に300ミリ秒ある一方、噴射の中断は、ほぼ即時である。したがって、噴射を中断する指示よりも前に、フラップを閉鎖する指示を出す必要がある。
【0011】
運動伝達機構が開放(クラッチが開放)され、且つ燃料の噴射がアイドリングスピードを維持するように設定されている、車両の停車中に機関のシャットダウンの準備をするための各操作のシーケンスは、図1のものに合致し得る。図1は(上から下に)、時間、機関の速度ω、クラッチEの状態、機関のエアフラップの制御CV、エアフラップVの状態、噴射された燃料の量Qinjに応じた変化を示している。
【0012】
この操作の間、クラッチは開放のままであり、エアフラップの閉鎖は前もって時点tで指示されており、燃料の噴射Qinjは、機関のエアフラップが閉鎖される時点(であり、tよりも後)である時点tまでアイドル水準に維持されているため、クラッチの状態は変化しない。こうして、機関の停止がほとんど知覚不能になるように、これらの2つの事象は同時に発生させられる。エアフラップの閉鎖要求後も燃料の噴射は維持されるが、これは前記噴射がエアフラップの実際の閉鎖と同時に発生するようにである。
【0013】
上記のように、もはや駆動力が必要でない場合には、コーストストップまたはセイリング機能によって、機関の停止と変速装置の開放とが車両の走行中に自動的に引き起こされ得る。こうして、車両の走行中に、運動伝達機構が閉鎖され噴射が中断された状態で、エンジンは停止され得る。クラッチEが閉鎖されているため、機関の回転は車両の慣性によって、引き続き確保されている。機関を運動伝達機構から解放するためには、クラッチEは開放されなければならない。(噴射は中断されたまま、)エアフラップVの閉鎖をクラッチEの開放と同時に発生させる必要がある。クラッチの開放の動態(〜100ミリ秒)もまた、エアフラップVの閉鎖よりも迅速である。この閉鎖は、前もって指示される必要がある。2つのコンピュータ間で、変速装置の緊急開放に関する新たな情報交換が行われる。2つのコンピュータ間で送信される信号は、クラッチEの状態(開放/閉鎖)に関する情報に加えて、変速装置の緊急開放に関する情報を含む。
【0014】
熱機関のコンピュータECUと情報交換する変速装置のコンピュータATCUによって、変速装置の開放位置と閉鎖位置との間で制御されるクラッチで、車両の変速装置に接続された熱機関を備えるPTの制御のシャットダウンを準備するシーケンスが、図2に示される。
【0015】
このシーケンスは、車両の走行中に、噴射Qinjを中止し、エアフラップVを閉鎖し、機関を変速装置から切断することができるように、構築される。時点tでは、車両は走行中で、運動伝達機構は閉鎖され、噴射は既に中断されている。クラッチの開放とフラップVの閉鎖とが時点tで同期するように、ACTUは時点tにおいてECUに対してメッセージを送信する。ECUに対してクラッチの緊急開放を警告し、即座にエアフラップの閉鎖を引き起こすことによって機関のシャットダウンを準備するように、時点tにおいて、ATCUからECUに対してクラッチの開放に先立つ制御信号が送信される。このとき、ACTUによってクラッチの開放が指示される。最後に、時点tにおいて、エアフラップの閉鎖と同時に、クラッチEの状態を表す信号によってその開放が印される。要約すると、時点tにおいて、エアフラップの閉鎖と、クラッチの開放とエアフラップの閉鎖を同期するためのACTUによるECUへの警告とが引き起こされたことが印される。時点tにおいては、エアフラップの閉鎖とクラッチの開放が印される。クラッチを開放する要求は、tとtの間に、ACTUによってクラッチに送信される。
【0016】
クラッチの開放と機関のエアフラップの閉鎖とが同時に発生するように、熱機関のシャットダウンは、クラッチの開放よりも前に実行される。時点tにおいて、変速装置は機関から切断される。機関は、徐々にシャットダウンする。本シーケンスの開始にあたって機関の速度がアイドリングスピードであった場合、機関の速度は、変速装置と機関との切断を印す時点tから、徐々に低下してゼロに至る。
【0017】
結論として、本発明は、噴射が既に中断されているときに、変速装置がほとんど振動または音をさせることなく車両の走行中に切断される、変速装置の高品質なコーストストップまたはセイリング機能を提供するように、クラッチを開放する前に機関をシャットダウンすることを提案する。これに対して、車両が変速装置が開放の状態で既に停車しているときに機関のシャットダウンが引き起こされた場合(アイドリングストップ機能の場合)、噴射の中断がフラップの閉鎖と同時に発生するように、エアフラップの閉鎖要求の後も燃料の前記噴射は継続される。
図1
図2