特許第6449360号(P6449360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449360
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】プロテクター
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/12 20060101AFI20181220BHJP
【FI】
   A63B71/12 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-31742(P2017-31742)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-134291(P2018-134291A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2017年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040165
【氏名又は名称】株式会社二子商事
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】西本 充晶
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−100077(JP,U)
【文献】 米国特許第06678899(US,B2)
【文献】 実開平03−016975(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/08−71/12
A45D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテクター本体(3)と、該プロテクター本体(3)を身体に装着する保持部材(4)とを、備えた野球・ソフトボールのキャッチャー着用のプロテクターに於て、
上記プロテクター本体(3)は、表て面側の第1積層体(1)と、裏面側の第2積層体(2)とを、重ね合せ状として外周端縁(5)を相互に縫着し、
かつ、上記第2積層体(2)は、上記第1積層体(1)の裏面に当接する面(6)に複数の突隆部(7)が形成されていると共に、上記第1積層体(1)の表て面(8)は、凹凸を有さない平滑面状とし
さらに、上記第1積層体(1)は、表皮(9)と低反発発泡材(10)とが積層して一体化され、
上記第2積層体(2)の上記突隆部(7)は、内部に、少なくとも低反発発泡材(11)と衝撃吸収材(13)とを有していることを特徴とするプロテクター。
【請求項2】
プロテクター本体(3)と、該プロテクター本体(3)を身体に装着する保持部材(4)とを、備えた野球・ソフトボールのキャッチャー着用のプロテクターに於て、
上記プロテクター本体(3)は、表て面側の第1積層体(1)と、裏面側の第2積層体(2)とを、重ね合せ状として外周端縁(5)を相互に縫着し、
かつ、上記第2積層体(2)は、上記第1積層体(1)の裏面に当接する面(6)に複数の突隆部(7)が形成されていると共に、該突隆部(7)の内部は中実であって、上記第1積層体(1)の表て面(8)は、凹凸を有さない平滑面状とし、上記第2積層体(2)の上記突隆部(7)相互間の凹溝(17)内に存在するエアーは、上記第1積層体(1)にて半密封状に閉じ込められて、ボール衝突時の緩衝機能を発揮するよう構成したことを特徴とするプロテクター。
【請求項3】
上記第1積層体(1)と第2積層体(2)とは、外周端縁(5)のみが相互に縫着されており、内部領域(Z)では、縫着も接着もされていない非固着状態である請求項1又は2記載のプロテクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球やソフトボールのキャッチャーが着用するプロテクターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野球やソフトボールのキャッチャーが着用するプロテクターは、ボールが当たった衝撃を吸収・緩和するために、表て面に複数の突隆部を有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、図5に示すように、突隆部aの外縁角部eに(矢印V3 方向に)ボールが当たると、ボールが前方や下方へ落下せず、思わぬ方向へ(矢印V4 方向へ)跳ね飛ばされるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−16528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、突隆部の外縁部にボールが当たると、ボールが前方や下方へ落下せず、思わぬ方向へ跳ね飛ばされる点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係るプロテクターは、プロテクター本体と、該プロテクター本体を身体に装着する保持部材とを、備えた野球・ソフトボールのキャッチャー着用のプロテクターに於て、上記プロテクター本体は、表て面側の第1積層体と、裏面側の第2積層体とを、重ね合せ状として外周端縁を相互に縫着し、かつ、上記第2積層体は、上記第1積層体の裏面に当接する面に複数の突隆部が形成されていると共に、上記第1積層体の表て面は、凹凸を有さない平滑面状とし、さらに、上記第1積層体は、表皮と低反発発泡材とが積層して一体化され、上記第2積層体の上記突隆部は、内部に、少なくとも低反発発泡材と衝撃吸収材とを有しているものである。
【0007】
また、プロテクター本体と、該プロテクター本体を身体に装着する保持部材とを、備えた野球・ソフトボールのキャッチャー着用のプロテクターに於て、上記プロテクター本体は、表て面側の第1積層体と、裏面側の第2積層体とを、重ね合せ状として外周端縁を相互に縫着し、かつ、上記第2積層体は、上記第1積層体の裏面に当接する面に複数の突隆部が形成されていると共に、該突隆部の内部は中実であって、上記第1積層体の表て面は、凹凸を有さない平滑面状とし、上記第2積層体の上記突隆部相互間の凹溝内に存在するエアーは、上記第1積層体にて半密封状に閉じ込められて、ボール衝突時の緩衝機能を発揮するよう構成したものである。
【0008】
また、上記第1積層体と第2積層体とは、外周端縁のみが相互に縫着されており、内部領域では、縫着も接着もされていない非固着状態である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプロテクターによれば、ボールが思わぬ方向へ反発してしまうことがない。即ち、プロテクターの内部領域のどこにボールが当たっても、ボールが常に予測通りの方向(前方)へ落下して、キャッチャーが容易にボールを拾うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の一形態を示す正面図である。
図2】組付前の構成部材の正面図であって、(A)は第1積層体を示す正面図、(B)は第2積層体を示す正面図である。
図3】プロテクター本体を示す図であって、(A)は要部拡大断面図、(B)は図1のY−Y拡大端面図である。
図4】作用説明図である。
図5】従来例の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1は、本発明の実施の一形態を示す。プロテクター本体3と、プロテクター本体3を身体に装着する保持部材4とを、備える。図例では、保持部材4は肩に掛ける形状・構造であるが、これ以外にベルト構造等がある。プロテクター本体3は、図2(A)に示す表て面側の第1積層体1と、図2(B)に示す裏面側の第2積層体2とを、重ね合せ状として外周端縁5を相互に縫着する。第1積層体1と第2積層体2とは、外周端縁5のみが相互に縫着されており、内部領域Zでは、縫着も接着もされていない非固着状態とするのが望ましい。第2積層体2は、第1積層体1の裏面に当接する面6に複数の突隆部7が形成されている。図1に示すように、第1積層体1の表て面8は、上記突隆部7が省略され、凹凸が無い平滑面状である。
【0012】
図3(A)に示すように、第1積層体1は、表皮9と低反発発泡材10とが積層して(例えば接着により)一体化される。表皮9は、例えば、人工皮革、合成皮革、生地、ポリエステル、ナイロンから成る。低反発発泡材10は、例えば、発泡ポリウレタンから成る。第2積層体2の突隆部7は、内部に、少なくとも低反発発泡材11と衝撃吸収材13とを有している。具体的には、表て面側から順に、低反発発泡材11、発泡材12、衝撃吸収材13が、積層され、被覆シート材14にて被覆されて、被覆シート材14がベース体15に縫着されている。低反発発泡材11は、例えば、低反発ポリウレタン発泡材から成る。発泡材12は、例えば、ポリウレタン発泡材から成る。衝撃吸収材13は、例えば、発泡ウレタンから成る。各発泡材の圧縮率を大きくすることにより、衝撃吸収力を大きくすることができる。低反発発泡材11、発泡材12、衝撃吸収材13、ベース体15が相互に接触する面は、接着により一体化されている。
【0013】
図3(B)に示すように、外周端縁5に於て、第1積層体1と第2積層体2が、縁取帯部材16にて挟持状に、縫着Xされる。第2積層体2の突隆部7相互間の凹溝17(図2(B),図3(A)参照)内に存在するエアーは、第1積層体1にて半密封状に閉じ込められて、ボール衝突時の緩衝機能を発揮するよう構成される。「半密封状」とは、縫着部X1 等からエアーが少しは漏れるので完全な密封ではないが、ボール衝突時には、密封されているのと同様の緩衝機能を発揮する程度の密封状態を言う。
【0014】
次に、ボールが当たった際の作用について説明する。キャッチャーがボールを受け損ねてボールがプロテクター本体3に当った際、第1積層体1の表て面8が平滑面状なので、図4に示すように、突隆部7の角部に対応する位置に矢印V1 のようにボールが当たっても、矢印V2 に示すように、キャッチャーの予測通りに常に反発し、キャッチャーがボールを容易に拾うことができる。
【0015】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、突隆部7の形状は、図2(B)に示したもの以外の種々の形状であっても良い。
【0016】
以上のように、本発明は、プロテクター本体3と、該プロテクター本体3を身体に装着する保持部材4とを、備えたプロテクターに於て、上記プロテクター本体3は、表て面側の第1積層体1と、裏面側の第2積層体2とを、重ね合せ状として外周端縁5を相互に縫着し、かつ、上記第2積層体2は、上記第1積層体1の裏面に当接する面6に複数の突隆部7が形成されていると共に、上記第1積層体1の表て面8は、凹凸を有さない平滑面状としたので、プロテクターの内部領域Zのどこにボールが当たっても、ボールが常に予測通りの方向(前方)へ落下して、キャッチャーが容易にボールを拾うことができる。
【0017】
また、上記第1積層体1は、表皮9と低反発発泡材10とが積層して一体化され、上記第2積層体2の上記突隆部7は、内部に、少なくとも低反発発泡材11と衝撃吸収材13とを有しているので、高速のボールが当たっても、ボールのエネルギーを吸収して、ポトンと前方へボールを落下させることができる。また、高速のボールが当たっても、身体に与える衝撃を小さくすることができる。
【0018】
また、上記第2積層体2の上記突隆部7相互間の凹溝17内に存在するエアーは、上記第1積層体1にて半密封状に閉じ込められて、ボール衝突時の緩衝機能を発揮するよう構成したので、突隆部7等の緩衝機能を強化でき、プロテクターで跳ね返ったボールは、キャッチャーの前方下方の近傍に落ちてボールの処理を迅速に行ない得る。
【0019】
また、上記第1積層体1と第2積層体2とは、外周端縁5のみが相互に縫着されており、内部領域Zでは、縫着も接着もされていない非固着状態であるので、ボールは常に安定して予測した方向にポトンと落ちる。
【符号の説明】
【0020】
1 第1積層体
2 第2積層体
3 プロテクター本体
4 保持部材
5 外周端縁
6 面
7 突隆部
8 表て面
9 表皮
10 低反発発泡材
11 低反発発泡材
13 衝撃吸収材
Z 内部領域
図1
図2
図3
図4
図5