(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6449400
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】太陽光パネルの太陽光モジュールストリング用スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20181220BHJP
H02S 40/34 20140101ALI20181220BHJP
H02S 40/36 20140101ALI20181220BHJP
H02S 10/00 20140101ALI20181220BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20181220BHJP
G05F 1/67 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
H02M3/155 Y
H02S40/34
H02S40/36
H02S10/00
H02J1/00 306H
G05F1/67 A
H02M3/155 H
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-182398(P2017-182398)
(22)【出願日】2017年9月22日
【審査請求日】2017年9月25日
(31)【優先権主張番号】201710532529.1
(32)【優先日】2017年7月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517334067
【氏名又は名称】北京信邦同安電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】方正
(72)【発明者】
【氏名】顧靜軍
(72)【発明者】
【氏名】王智
(72)【発明者】
【氏名】張雪峰
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼建彬
【審査官】
柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−198484(JP,A)
【文献】
特開2013−252046(JP,A)
【文献】
特開2011−238088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00 − 11/00
G05F 1/67
H02J 1/00
H02S 10/00
H02S 40/34
H02S 40/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線ボックスを備える、太陽光パネルの複数の太陽光モジュールストリング用スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリであって、各配線ボックスは、筐体、および前記筐体の内部に装着された電力最適化モジュールブロックを有し、前記電力最適化モジュールブロックは、
前記太陽光パネルの対応する太陽光モジュールストリングの電力出力端子に接続されたストリング接続ポートと、
正の出力端子および負の出力端子を有する電力出力ポートと、
前記ストリング接続ポートおよび前記電力出力ポートに接続され、前記対応する太陽光モジュールストリングに対して最大電力点追従(MPPT)を行うシングル・チップ・プロセッサと、
前記電力出力ポートの前記正の出力端子と前記負の出力端子の間に接続されたバイパススイッチと、を備えることを特徴とする、
スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【請求項2】
前記電力最適化モジュールブロックは、回路基板を貫いて形成された複数のビアを有する前記回路基板上に装着され、前記筐体は、前記回路基板の前記それぞれのビアに対応するように長方形の底部を貫いて形成された複数のスルーホールを有する前記長方形の底部と、前記長方形の底部の周囲上に形成され、前記周囲から上方に垂直に突出する外周壁と、前記外周壁と前記長方形の底部の間に画成された空間と、前記筐体の前記長方形の底部の反対側にあり、前記空間につながる開口部とを有することを特徴とする、請求項1に記載のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【請求項3】
前記筐体は、前記長方形の底部の側面に近接する、前記筐体の前記長方形の底部の一部を貫いて形成された装着スロットと、電気ケーブルが前記筐体の前記空間を貫通し、前記空間の中に入るように、前記長方形の底部の前記側面に近接する前記外周壁の一部を貫いて形成されたコード用孔であって、前記コード用孔を備える前記外周壁の前記一部は、前記コード用孔の内壁上に形成され、かつ前記内壁から前記筐体の前記長方形の底部に平行な方向に突出し、かつ前記装着スロットと対向する位置決め部分をさらに有するコード用孔と、前記装着スロットを覆うために前記装着スロット上に装着された位置決め蓋であって、前記位置決め蓋の内壁および前記位置決め部分は、前記電気ケーブルが前記位置決め蓋と前記位置決め部分の間に保持されるように、前記コード用孔を通過する前記電気ケーブルの周囲と形状がぴったり合う位置決め蓋とをさらに有することを特徴とする、請求項2に記載のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【請求項4】
前記筐体は、前記筐体の内部にある前記空間を覆うために前記筐体の前記開口部上に装着されたボックスカバーと、前記筐体の前記開口部と前記ボックスカバーの間に装着された防水Oリングとをさらに有することを特徴とする、請求項2に記載のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【請求項5】
前記シングル・チップ・プロセッサは、MPPTコントローラと、前記MPPTコントローラに接続され、前記対応する太陽光モジュールストリングの出力電圧を検出するために前記対応する太陽光モジュールストリングの前記電力出力端子の正の端子に接続された入力端子を有する電圧検知ユニットと、出力端子を有するバックコンバータと、前記MPPTコントローラに接続され、前記対応する太陽光モジュールストリングの平均出力電流を取得するために前記バックコンバータの前記出力端子に接続された電流検知ユニットと、パルス幅変調(PWM)回路と、電圧安定装置とを含み、前記MPPTコントローラは、前記対応する太陽光モジュールストリングの前記出力電圧および前記平均出力電流に従って、前記対応する太陽光モジュールストリングに対してMPPTを行い、前記PWM回路を使用して前記バックコンバータへの制御信号を調節することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【請求項6】
前記PWM回路は、前記MPPTコントローラから得られる、MPPTに関する計算結果に従って基準電圧値を生成する基準電圧ユニットと、ランプ波発生器と、前記ランプ波発生器により生成された信号を前記基準電圧値と比較して、比較結果を生成するコンパレータと、前記比較結果に従って前記バックコンバータへの前記制御信号を調節するPWM論理ユニットと、発振器とを含むことを特徴とする、請求項5に記載のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【請求項7】
前記シングル・チップ・プロセッサは、前記シングル・チップ・プロセッサの温度を検出する温度過昇防止ユニットをさらに含み、前記検出された温度が設定値を超えるとき、前記温度過昇防止ユニットは、前記シングル・チップ・プロセッサが保護状態に入るように、前記バックコンバータをオフに切り替えることを特徴とする、請求項5に記載のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【請求項8】
前記電圧安定装置は、前記対応する太陽光モジュールストリングから出力される電力を取得し、かつ前記電力を安定したDC(直流)動作電力に変換するために、前記ストリング接続ポートを通って前記対応する太陽光モジュールストリングの前記電力出力端子の正の端子に接続されることを特徴とする、請求項5に記載のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力最適化配線ボックスに関し、より詳細には、個々のソーラーストリングに基づく最大電力点追従(MPPT)を行うことができ、フェイルセーフなバイパス機能を提供できる太陽光パネルの太陽光モジュールストリング用スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネルの電力伝送効率は太陽放射に依存し、負荷をかけた状態での電気的特性とも関連がある。太陽光パネル上の太陽放射が変わるとき、最大電力伝送効率を提供するための負荷曲線もまた変化する。最大電力伝送効率に関連する負荷曲線に従って負荷を調節できる場合、太陽エネルギーシステムの最適化効率を確保できる。最大電力伝送効率に関連する負荷特性は、最大電力点と関係がある。いわゆるMPPTは、最大電力点を見いだして負荷特性を最大電力点にとどまるように保つ処理であり、電力最適化処理に関連する。
【0003】
電力最適化の特徴を有する従来型太陽光パネルの市場占有率は高くなく、市場にあるこれらの従来型太陽光パネルは、基本的に太陽電池モジュール全体に基づきこれらの電力最適化を行う。
各太陽光パネルは、典型的には太陽電池モジュールの3つのストリングを含むので、太陽電池モジュールの3つのストリングは、木の葉、建築物、および形が異なる同種のものにより影を投げかけられたとき、異なる太陽放射を受ける場合がある。このような状況では、パネルレベルの電力効率最適化を達成できるが、ストリングレベルの電力効率最適化が無視される場合がある。換言すれば、従来型太陽光パネルでは、ソーラーストリングのレベルの観点から、太陽光パネルの最大電力効率最適化および最適化効力が行われない場合がある。
【0004】
パネルレベルの電力効率最適化に関する限り、太陽光パネル上で太陽電池モジュールの各ストリングの電力最適化を個々に行うために、電力最適化モジュールは一体化して形成される。このような状況では、一体化して形成された電力最適化モジュールはかなり大きくなり、太陽光パネルの電力発生効率を低下させる遮断を引き起こす場合があり、したがって、太陽光パネルはその最大電力最適化および最適化効率を達成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、個々のソーラーストリングに基づく最大電力点追従(MPPT)を行い、かつフェイルセーフなバイパス機能を提供できる太陽光パネルの太陽光モジュールストリング用スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するための太陽光パネルの複数の太陽光モジュールストリング用スプリット式電力最適化配線ボックスは、複数の配線ボックスを含む。各配線ボックスは筐体を有し、電力最適化モジュールブロックは筐体の内部に装着される。電力最適化モジュールブロックは、ストリング接続ポート、電力出力ポート、シングル・チップ・プロセッサ、およびバイパススイッチを有する。
【0007】
ストリング接続ポートは、太陽光パネルの対応する太陽光モジュールストリングの電力出力端子に接続される。
【0008】
電力出力ポートは、正の出力端子および負の出力端子を有する。
【0009】
シングル・チップ・プロセッサは、ストリング接続ポートおよび電力出力ポートに接続され、対応する太陽光モジュールストリングに対して最大電力点追従(MPPT)を行う。
【0010】
バイパススイッチは、電力出力ポートの正の出力端子と負の出力端子の間に接続される。
【0011】
以上の構成によれば、太陽光パネルの最大電力最適化および最適化効率を達成するために、対応する太陽光モジュールストリングに対してMPPTを行うように、各配線ボックスは太陽光パネル上に装着され、配線ボックスの内部に装着された電力最適化モジュールブロックは、対応する太陽光モジュールストリングに配線ボックスを通して接続される。
さらに、これらの正常な太陽光モジュールストリングの動作が中断されないことを確実にするために、各配線ボックスの内部にある電力最適化モジュールブロックは、故障している太陽光モジュールストリングをすべての他の太陽光モジュールストリングから分離するようにバイパススイッチを活動化させる。
さらに、配線ボックスは小型の寸法であり、構造的に精巧に設計され、太陽光モジュールストリングに遮断を全く引き起こさないだけでなく、電力最適化も行い、太陽光パネルの効力も最大限実現する。
【0012】
本発明の他の目的、利点、および新規な特徴は、添付の図面と併せて解釈されたとき、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による、太陽光パネルの太陽光モジュールストリング用スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリの概略の平面図である。
【
図2A】スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリが取り除かれた、
図1の太陽光パネルの拡大平面図である。
【
図2B】スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリが取り除かれた、
図1の太陽光パネルの拡大平面図である。
【
図2C】スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリが取り除かれた、
図1の太陽光パネルの拡大平面図である。
【
図2D】スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリが取り除かれた、
図1の太陽光パネルの拡大平面図である。
【
図3】複数の太陽光パネルの太陽光モジュールストリング用の、
図1の複数のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ、およびスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリ間の相互接続を示す概略の平面図である。
【
図4】
図1のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリの斜視図である。
【
図5】
図4のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリの配線ボックスの分解斜視図である。
【
図7】
図4のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリの他の配線ボックスの分解斜視図である。
【
図8A】
図1のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリの1つの配線ボックスに含まれる電力最適化モジュールブロックの分割した回路図である。
【
図8B】
図1のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリの1つの配線ボックスに含まれる電力最適化モジュールブロックの分割した回路図である。
【
図8C】
図1のスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリの1つの配線ボックスに含まれる電力最適化モジュールブロックの分割した回路図である。
【
図9】
図8の電力最適化モジュールブロックに組み込まれるシングル・チップ・プロセッサの機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、太陽光パネルの複数の太陽光モジュールストリング、および太陽光パネル上に装着されたスプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリを主に提示する。さらに、スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリは複数の配線ボックスを含み、各配線ボックスはその中に電力最適化モジュールブロックを収容する。
【0015】
図1を参照する。スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリは、太陽光パネル100上に装着された複数の配線ボックス10A、10B、10Cを含む。複数の配線ボックス10A、10B、10Cの数は、太陽光パネル100上の太陽光モジュールストリングの数に従って決定される。本実施形態では、太陽光パネル100は太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の3つのストリングを有するので、3つの配線ボックス10A、10B、10Cが太陽光パネル100上に装着される。
【0016】
図2A〜
図2Dを参照する。太陽光パネル100上の太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の各ストリングは、電力出力端子101、102、103を有する。太陽電池モジュールPV1のストリングの電力出力端子101は、正の端子PV1+および負の端子PV1−を有し、太陽電池モジュールPV2のストリングの電力出力端子102は、正の端子PV2+および負の端子PV2−を有し、太陽電池モジュールPV3のストリングの電力出力端子103は、正の端子PV3+および負の端子PV3−を有する。電力出力端子101、102、103は、配線ボックス10A、10B、10Cを通って直列に接続される。各配線ボックス10A、10B、10Cは、太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングに対して電力最適化を行う。
【0017】
図3を参照する。配線ボックス10A、10B、10Cを使用して太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の3つのストリングと直列に接続するだけでなく、複数の電気ケーブル1010、1020、1030を使用して太陽光パネル100に近接する他の太陽光パネル100A、100Bと直列に接続できる。
【0018】
図4を参照する。配線ボックス10A、10B、10Cは、直列ループを間接的に形成するために、互いに直接接続されるのではなく、太陽光パネル100上に装着された太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3のストリングの電力出力端子に接続される。
配線ボックス10A、10B、10Cは、いくつかの末梢的な細部を除き構造的に類似する。たとえば、直列ループの両端に近接する配線ボックス10A、10Cは、類似の構造を有するにもかかわらず、2つの配線ボックス10A、10Cは、設置時に反対側に配置され、電気ケーブル1010、1020を接続し、かつ固定するための要件に基づき、対応する位置決め構造を必要とする。位置決め構造に関する細部については、後で詳細に説明する。
【0019】
直列ループの両端に近接する配線ボックス10A、10Cに関して、直列ループの一端に位置決めされた配線ボックス10Cの詳細な構造を一例として示す。
図5を参照する。配線ボックス10Cは筐体11を含み、筐体11は、その中に装着された電力最適化モジュールブロックを含有する。本実施形態では、電力最適化モジュールブロックは回路基板20上に構築される。
【0020】
筐体11は、長方形の底部、および長方形の底部の周囲上に形成され、この周囲から上方に垂直に突出する外周壁を有する。回路基板20を中に適合するために、外周壁と長方形の底部の間に空間が画成される。筐体11は、筐体11の長方形の底部の反対側にあり、筐体11の空間につながる開口部を有する。
回路基板20上の電力最適化モジュールブロックが筐体11の外部にある太陽電池モジュールPV3のストリングに電気的に接続できるようにするために、筐体11の長方形の底部は、長方形の底部を貫いて形成された複数のスルーホール111、112を有する。回路基板20はまた、電気的接続部の銅ストリップがスルーホール111、112およびビア201、202を通過して回路基板20および太陽電池モジュールPV3のストリングを電気的に接続するための、筐体11のそれぞれのスルーホール111、112に対応するように回路基板20を貫いて形成された複数のビア201、202を有する。
筐体11は、装着スロット113、およびコード用孔114を有する。装着スロット113は、長方形の底部の側面に近接する、筐体11の長方形の底部の一部を貫いて形成される。コード用孔114は、電気ケーブル1020が回路基板20と電気的に接続するために筐体11の空間を貫通して筐体11の空間に入るように、長方形の底部の側面に近接する外周壁の一部を貫いて形成される。コード用孔114を備える外周壁の一部は、コード用孔114の内壁上に形成され、コード用孔114の内壁から筐体11の長方形の底部に平行な方向に突出し、装着スロット113と対向する位置決め部分115をさらに有する。
位置決め蓋116は、装着スロット113を覆うために装着スロット113上に装着される。位置決め蓋116の内壁および位置決め部分115は、
図6に示すように、電気ケーブル1020が位置決め蓋116と位置決め部分115の間に保持されるように、コード用孔114を通過する電気ケーブル1020の周囲と形がぴったり合い、それにより、電気ケーブル1020が筐体11から容易に外れないようにする。
【0021】
本実施形態では、筐体11は、筐体11の内部の空間を覆うために、筐体11の開口部上にボックスカバー12が装着される。配線ボックス10Cの耐候性を強化するために、筐体11の開口部とボックスカバー12の間に防水Oリング13が装着される。
【0022】
配線ボックス10Bの直列ループの両端間に位置する配線ボックス10Bの詳細な構造に関して
図7を参照する。配線ボックス10Bは直流ループの中央に位置し、かつ直流ループの中央には電気ケーブルが接続されないので、その結果、電気ケーブルを固定するために必要な構造が無視される。配線ボックス10Bは、その他の2つの配線ボックス10A、10Cと構造的に類似し、筐体11B、筐体11Bに装着された電力最適化モジュールブロックを有する回路基板20B、およびボックスカバー12Bを有する。
【0023】
筐体11Bは、長方形の底部、および長方形の底部の周囲上に形成され、この周囲から上方に垂直に突出する外周壁を有する。回路基板20Bが中に適合されるように、外周壁と長方形の底部の間に空間が画成される。筐体11Bは、筐体11Bの長方形の底部の反対側にあり、筐体11Bの空間につながる開口部を有する。筐体11Bは、筐体11Bの内部の空間を覆うために、筐体11Bの開口部上にボックスカバー12Bが装着される。配線ボックス10Bの耐候性を強化するために、筐体11Bの開口部とボックスカバー12Bの間に防水Oリング13Bが装着される。
【0024】
電力最適化モジュールブロック10A、10B、10Cの回路を例示するために
図8A〜
図8Cを参照する。電力最適化モジュールブロック10A、10B、10Cはそれぞれ、ストリング接続ポート21、電力出力ポート22、シングル・チップ・プロセッサ23、およびバイパススイッチ24を含む。
【0025】
ストリング接続ポート21は、太陽光パネル上の太陽電池モジュールのストリングの電力出力端子に接続される。一例として、配線ボックス10A、および配線ボックス10Aと接続された太陽電池モジュールのストリングの場合、ストリング接続ポート21は、太陽電池モジュールPV1のストリングの電力出力端子101の正の端子PV1+および負の端子PV1−に接続される。換言すれば、ストリング接続ポート21は、太陽電池モジュールPV1のストリングから送られた電力を受け取るための電力入力端子として取り扱われる。
同様に、配線ボックス10B、および配線ボックス10Bと接続された太陽電池モジュールPV2のストリングの場合、ストリング接続ポート21は、太陽電池モジュールPV2のストリングの電力出力端子102の正の端子PV2+および負の端子PV2−に接続される。さらに、配線ボックス10C、および配線ボックス10Cと接続された太陽電池モジュールPV3のストリングの場合、ストリング接続ポート21は、太陽電池モジュールPV3のストリングの電力出力端子103の正の端子PV3+および負の端子PV3−に接続される。
【0026】
電力出力ポート22は、他の配線ボックスの内部にある電力最適化モジュールブロックと接続するための正の出力端子および負の出力端子を含む。バイパススイッチ24は、太陽電池モジュールのストリングが故障に遭遇したときに、太陽電池モジュールの接続されたストリングを直列ループから分離するように、正の出力端子と負の出力端子の間に接続される。
【0027】
シングル・チップ・プロセッサ23は、ストリング接続ポート21および電力出力ポート22に接続され、太陽電池モジュールの接続されたストリングに関係するMPPTを行う。
【0028】
図9を参照する。各電力のシングル・チップ・プロセッサは、MPPTコントローラ231、電圧検知ユニット232、電流検知ユニット233、パルス幅変調(PWM)回路234、バックコンバータ235、および電圧安定装置236を含む。
【0029】
MPPTコントローラ231は、電圧検知ユニット232および電流検知ユニット233に接続される。電圧検知ユニット232の入力端子は、太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングの出力電圧を検出するために、太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングの電力出力端子101、102、103の正の端子PV1+、PV2+、PV3+に接続される。
電流検知ユニット233は、太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングの平均出力電流を取得するために、バックコンバータ235の出力端子SWに接続される。MPPTコントローラ231は、太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングの出力電圧および平均出力電流に従って計算し、PWM回路234を使用してバックコンバータ235への制御信号を調節して、太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングに対してMPPTの計算を行う。
【0030】
電圧安定装置236は、太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングから出力される電力を取得するために、ストリング接続ポート21を通して太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングの正の端子PV1+、PV2+、PV3+に接続され、シングル・チップ・プロセッサ23への動作電力として、電力を安定したDC(直流)電力に変換する。
【0031】
PWM回路234は、コンパレータ2341、PWM論理ユニット2342、基準電圧ユニット2343、ランプ波発生器2344、および発振器OSCを含む。基準電圧ユニット2343は、MPPTコントローラ231から得られる、MPPTに関する計算結果に従って基準電圧値を生成する。コンパレータ2341は、ランプ波発生器2344により生成された信号を基準電圧値と比較して、比較結果を生成する。PWM論理ユニット2342は、比較結果に従ってバックコンバータ235への制御信号を調節する。
【0032】
本実施形態では、シングル・チップ・プロセッサ23は、温度過昇防止ユニット237、およびイネーブルコンパレータ238をさらに含む。温度過昇防止ユニット237は、温度検知機能を有する。温度過昇防止ユニット237により検出されたシングル・チップ・プロセッサ23の温度が設定値を超えるとき、温度過昇防止ユニット237は、シングル・チップ・プロセッサ23が保護状態に入るように、バックコンバータ235をオフに切り替える。
【0033】
イネーブルコンパレータ238は、2つの入力端子および1つの出力端子を有する。イネーブルコンパレータ238の2つの入力端子は、シングル・チップ・プロセッサ23のイネーブル(EN)ピンおよび内部電圧AVDD(5V)にそれぞれ接続される。ENピンは、外部回路がENピンの電圧レベルを変更するように、シングル・チップ・プロセッサ23の外側にある外部回路と接続するために使用される。イネーブルコンパレータ238の出力端子は、バックコンバータ235に接続される。
【0034】
イネーブルコンパレータ238は、ENピンの電圧レベルをシングル・チップ・プロセッサ23の内部電圧AVDD(5V)と比較する。正常状態の場合、ENピンは高い電圧レベルにとどまり、イネーブルコンパレータ238はディスエーブルになる。
ENピンの電圧レベルが外部回路により、低い電圧レベルに引き込まれたとき、イネーブルコンパレータ238はバックコンバータ235をオフに切り替え、バイパススイッチ24を通して太陽電池モジュールPV1、PV2、PV3の対応するストリングをバイパスして、太陽光パネル100の太陽電池モジュールの他のストリングが正常に動作することを確実にする。
【0035】
前述の説明からわかるように、太陽光パネルの太陽光モジュールストリング用スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリは、温度過昇、過電圧、不足電圧、および過電流の状態を防止でき、太陽電池モジュールの故障しているストリングをバイパスすることにより太陽電池モジュールの各ストリングを保護でき、それにより、太陽光パネルのライフサイクルを通して性能低下を低減する。
【0036】
スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリは、各配線ボックスの内部にある電力最適化モジュールブロックが太陽電池モジュールの対応するストリングに接続され、太陽電池モジュールの対応するストリングに対して電力最適化を行うように、太陽光パネル上に装着される。
太陽光パネル上の太陽電池モジュールの複数のストリングが、建築物、木々などにより影を投げかけられ異なる放射を受けるとき、電力最適化モジュールブロックは、太陽放射の異なる状態に基づきMPPT処理を行って、太陽光パネルの最大電力最適化および最適化効力を達成できる。さらに、スプリット式電力最適化配線ボックスアセンブリは、太陽エネルギー配線ボックスの機能を組み合わせて、設置する際に、要素の形状のタイプ、および配線ボックスの設置位置とは無関係に、太陽光パネル上に柔軟に設置できる。
【0037】
本発明の数多くの特性および利点が、本発明の構造および機能の詳細と共に前述の説明で示されたとしても、本開示は例示でしかない。添付の特許請求の範囲が表現する用語の広い一般的な意味により示される最大限の範囲まで、本発明の原理の範囲内で特に部品の形状、サイズ、および配置に関して詳細に変更を行ってもよい。
【要約】 (修正有)
【課題】電力最適化配線ボックスアセンブリを提供する。
【解決手段】太陽光パネル100は、複数の太陽光モジュールストリングPV1−PV3を有し、複数の太陽光モジュールストリングの近接する2つがそれぞれ、対応する配線ボックス10A−10Cを通って接続される。複数の太陽光モジュールストリングを直列に接続できるように、各太陽光モジュールストリングの電力出力端子は、対応する配線ボックスの内部にある電力最適化モジュールブロックに接続される。各配線ボックスの内部にある電力最適化モジュールブロックは、個々の太陽光モジュールストリングに基づく電力最適化を実行するために、接続された太陽光モジュールストリングに対してMPPT(最大電力点追従)を行う。それにより、太陽光モジュールストリングの電力損失を低減して、太陽光パネルの最大電力最適化を達成する。
【選択図】
図1