特許第6449443号(P6449443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6449443パケット交換網を通じた音声における、オーディオ・タスクとネットワーク・タスクの同期の最適化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449443
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】パケット交換網を通じた音声における、オーディオ・タスクとネットワーク・タスクの同期の最適化
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20181220BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20181220BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20181220BHJP
   H04L 29/10 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   H04W88/02 120
   H04M11/00 302
   H04L13/00 309A
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-512033(P2017-512033)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公表番号】特表2017-535100(P2017-535100A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】US2015050500
(87)【国際公開番号】WO2016053630
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】14/500,119
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ドルトムント,スフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジゲ,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ギョーモン,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ワインゲルトナー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】パロン,ジェローム
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0343265(US,A1)
【文献】 特開2014−107614(JP,A)
【文献】 特表2014−523723(JP,A)
【文献】 特表2014−509811(JP,A)
【文献】 特表2013−530570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04L 13/00−13/18
29/00−29/12
H04M 1/00
1/24− 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
99/00
H04W 4/00− 8/24
8/26−16/32
24/00−28/00
28/02−72/02
72/04−74/02
74/04−74/06
74/08−84/10
84/12−88/06
88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー装置(UE)であって:
電波アクセス・ネットワークの一つまたは複数のノードとの間で電波周波数電気信号を送受信するよう構成された物理層回路と;
オーディオ・データのフレームを生成するよう構成されたオーディオ・サブシステムと;
処理回路を有しており、前記処理回路は:
音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、当該UEの前記オーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記物理層回路によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算し;
オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を、前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう前記物理層回路への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで減少させるよう、前記音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを破棄するよう構成されており
前記処理回路がさらに、前記音声通話中の指定されたタイムアウト期間を計時し、該タイムアウト期間の満了の際に発話活動に対応しないPCMサンプルが検出されていないときは発話活動に対応する指定された数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成されている、
UE。
【請求項2】
前記処理回路が、発話活動に対応しない一つまたは複数のPCMサンプルを検出し、検出されたPCMサンプルの一つまたは複数の破棄を開始するよう構成されている、請求項記載のUE。
【請求項3】
ユーザー装置(UE)であって:
電波アクセス・ネットワークの一つまたは複数のノードとの間で電波周波数電気信号を送受信するよう構成された物理層回路と;
オーディオ・データのフレームを生成するよう構成されたオーディオ・サブシステムと;
処理回路を有しており、前記処理回路は:
音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、当該UEの前記オーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記物理層回路によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算し;
オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を、前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう前記物理層回路への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで減少させるよう、前記音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを破棄するよう構成されており、
前記処理回路がさらに、計算された前記時間遅延を使って目標同期値を計算し、前記時間遅延を減少させるために前記目標同期値に等しいある数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成されている、
UE。
【請求項4】
前記処理回路が、前記オーディオ・サブシステムによってオーディオ・データ・フレームが生成される時間周期を判別し、前記時間周期を使って前記目標同期値を計算するよう構成されている、請求項記載のUE。
【請求項5】
前記処理回路が、前記オーディオ・データ・フレームの生成と前記オーディオ・データ・フレームの送信のためにスケジュールされた時間スロットとの間の時間期間を減少させるよう構成されている、請求項1記載のUE。
【請求項6】
前記時間スロットが、動的なスケジューリングを用いて、接続された不連続受信モード(C-DRX)に従ってスケジュールされ、前記時間スロットは期待される上りリンク承認時間に対応する、請求項記載のUE。
【請求項7】
前記時間スロットが、半持続的スケジューリング(SPS)パターンに従ってスケジュールされる、請求項記載のUE。
【請求項8】
MAC層回路を含んでおり、前記MAC層回路は、前記MAC層回路が前記オーディオ・サブシステムから前記オーディオ・データ・フレームを受け取る前に、前記オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするためのスケジューリング要求を送信するよう前記物理層回路に指示を送るよう構成されている、請求項記載のUE。
【請求項9】
MAC層回路を含んでおり、前記MAC層回路は、前記オーディオ・サブシステムが前記オーディオ・データ・フレームを生成する前に、前記オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするためのスケジューリング要求を送信するよう前記物理層回路に指示を送るよう構成されている、請求項5ないし8のうちいずれか一項記載のUE。
【請求項10】
前記電波アクセス・ネットワークがセルラー電話ネットワークを含む、請求項1記載のUE。
【請求項11】
当該UEが、ロングタームエボリューションを通じた音声(VoLTE)プロトコルまたは高速下りリンク/上りリンク・アクセス(HSDPA/HSUPA)プロトコルのうちの少なくとも一方を使ってデータを通信するよう構成されている、請求項10記載のUE。
【請求項12】
エンドツーエンド通信ネットワークのユーザー装置(UEの動作方法であって、当該方法は
音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、前記UEのオーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記UEの物理層によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算する段階と;
オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を、前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう物理層への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで減少させるよう、前記音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを破棄する段階とを含
当該方法はさらに:
前記音声通話中の指定されたタイムアウト期間を計時し、該タイムアウト期間の満了の際に発話活動に対応しないPCMサンプルが検出されていないときは発話活動に対応する指定された数のPCMサンプルの破棄を開始することを含む、
方法。
【請求項13】
発話活動に対応しない一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを検出する段階を含み、前記装置遅延を減少させる段階が、オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を減少させるために、音声通話中の前記検出された一つまたは複数のPCMサンプルを破棄することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記時間遅延を減少させる段階が、前記オーディオ・データ・フレームの生成と上りリンク(UL)承認の受領との間の時間期間を減少させることを含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記時間遅延を減少させる段階が、前記オーディオ・データ・フレームの生成と、指定された電波パターンのスケジュールされたUL承認に対応する時間スロットとの間の時間期間を減少させることを含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記時間遅延を減少させる段階が、要求されたUL承認を受領した後に送信されるべきオーディオ・データ・フレームを前記オーディオ・サブシステムが生成するのに先だって、スケジューリング要求を送信することを含む、請求項12ないし15のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
無線通信システムであって:
電波アクセス・ネットワークの一つまたは複数のノードとの間で電波周波数電気信号を送受信するよう構成された物理層回路と;
前記物理層回路に電気的に結合された一つまたは複数のアンテナと;
オーディオ・データのフレームを生成するよう構成されたオーディオ・サブシステムと;
処理回路を有しており、前記処理回路は:
音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、前記オーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記物理層回路によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算し;
オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を、前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう前記物理層回路への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで減少させるよう、前記音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを破棄するよう構成されており
前記処理回路がさらに、前記音声通話中の指定されたタイムアウト期間を計時し、該タイムアウト期間の満了の際に発話活動に対応しないPCMサンプルが検出されていないときは発話活動に対応する指定された数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成されている、
無線通信システム。
【請求項18】
無線通信システムであって:
電波アクセス・ネットワークの一つまたは複数のノードとの間で電波周波数電気信号を送受信するよう構成された物理層回路と;
前記物理層回路に電気的に結合された一つまたは複数のアンテナと;
オーディオ・データのフレームを生成するよう構成されたオーディオ・サブシステムと;
処理回路を有しており、前記処理回路は:
音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、前記オーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記物理層回路によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算し;
話活動に対応しない一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを検出し
オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を、前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう前記物理層回路への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで減少させるために、音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる前記検出された一つまたは複数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成されており、
前記処理回路がさらに、計算された前記時間遅延を使って目標同期値を計算し、前記目標同期値に等しいある数の前記検出されたPCMサンプルの破棄を開始するよう構成されている、
線通信システム。
【請求項19】
前記処理回路が、一つまたは複数のオーディオ・データ・フレームの生成と前記物理層回路からのユーザー装置上りリンク(UL)承認の受領との間の時間期間を減少させるとともに、前記オーディオ・データ・フレームを前記オーディオ・サブシステムが生成する前に、前記オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするよう前記物理層回路によってスケジューリング要求を送ることを開始するよう構成されている、請求項17ないし18のうちいずれか一項記載の無線通信システム。
【請求項20】
無線通信装置に、
音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、前記無線通信装置のオーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記無線通信装置の物理層によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算することと;
オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を、前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう物理層への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで減少させるよう、前記音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを破棄すること
前記音声通話中の指定されたタイムアウト期間を計時し、該タイムアウト期間の満了の際に発話活動に対応しないPCMサンプルが検出されていないときは発話活動に対応する指定された数のPCMサンプルの破棄を開始することとを実行させるための、
コンピュータ・プログラム。
【請求項21】
前記無線通信装置に、発話活動に対応しない一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを検出し、オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記装置遅延を減少させるために、音声通話中の前記検出された一つまたは複数のPCMサンプルを破棄することを実行させるための命令を含む、請求項20記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項22】
前記無線通信装置に、前記オーディオ・データ・フレームを前記オーディオ・サブシステムが生成するのに先立って、オーディオ・データ・フレームを送信するためにスケジューリング要求を物理層へと送らせるための命令を含む、請求項20または21記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項23】
請求項20ないし22のうちいずれか一項記載のコンピュータ・プログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は2014年9月29日に出願された米国出願第14/500,199号の利益を主張するものである。同出願の内容はここに参照によってその全体において組み込まれる。
【0002】
技術分野
実施形態は、電波アクセス・ネットワークを使った、パケット化された音声データの伝送に関する。いくつかの実施形態は、インターネット・プロトコルを通じた音声(VoIP: voice over internet protocol)またはロングタームエボリューション・プロトコルを通じた音声(VoLTE: voice over long term evolution protocol)に関する。
【背景技術】
【0003】
電波アクセス・ネットワークは、携帯電話またはスマートフォンのようなユーザー装置に音声通信を送達するために使われる。そのような電波ネットワークはパケット交換ネットワークであり、ネットワークを通じて送られるときに音声データをパケット化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音声情報をパケット化して、パケット化された音声データをルーティングすることは、音声通信にレイテンシーを導入することがあり、このことはネットワークによって提供される通信の品質に影響する。レイテンシーとは、電話通話の間に音声データを収集したときから該音声データが宛先に到達するときまでの間の時間を指す。このレイテンシーは遅延につながることがあり、音声通話の会話品質に影響することがある。よって、ユーザー装置との通信のための堅牢なプロトコルを提供し、それでいてエンドツーエンドの音声通信における遅延を最小にする装置、システムおよび方法が一般に必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】いくつかの実施形態に基づく、LTEネットワークのエンドツーエンド・ネットワーク・アーキテクチャーの一部の例を、該ネットワークのさまざまな構成要素とともに示す図である。
図2】いくつかの実装に基づく、電波アクセス・ネットワークにおける音声情報の上りリンクにおける遅延を短縮する方法の例の流れ図である。
図3】AおよびBは、いくつかの実装に基づく、電波アクセス・ネットワークにおける音声情報の上りリンクにおける遅延を判別することおよび短縮することの例の流れ図である。
図4】いくつかの実装に基づく、UEの例の機能的なブロック図である。
図5】いくつかの実装に基づく、電波アクセス・ネットワークにおける音声情報の上りリンクにおける遅延を短縮するもう一つの例を示す図である。
図6】いくつかの実装に基づく、電波アクセス・ネットワークにおける音声情報の上りリンクにおける遅延を短縮するさらにもう一つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の記述および図面は、個別的な実施形態を、当業者が実施できるよう十分に例解する。他の実施形態は、構造的、論理的、電気的、プロセス的およびその他の変更を組み込んでもよい。いくつかの実施形態の諸部分および諸特徴が、他の実施形態のものに含められてもよく、あるいはその代用とされてもよい。請求項に記載される実施形態は、そうした請求項のすべての利用可能な等価物を包含する。
【0007】
図1は、いくつかの実施形態に基づく、LTEネットワークのエンドツーエンド・ネットワーク・アーキテクチャーの一部の例を、該ネットワークのさまざまな構成要素とともに示している。ネットワーク100は電波アクセス・ネットワーク(RAN)(たとえば、描かれているように、E-UTRANすなわち進化型万国地上波電波アクセス・ネットワーク)100およびコア・ネットワーク120(たとえば、示されているように、進化型パケット・コア(EPC))がS1インターフェース115を通じて一緒に結合されたものを有する。簡便のため、この例では、コア・ネットワークの一部およびRAN 100のみを示している。
【0008】
コア・ネットワーク120は移動性管理エンティティ(MME: mobility management entity)122、サービス・ゲートウェイ(サービスGW)124およびパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ(PDN GW)126を含む。RANは、ユーザー装置(UE)102と通信するための向上ノードB(eNB)104(これは基地局として動作してもよい)を含む。eNB 104はマクロeNBおよび低電力(LP)eNBを含んでいてもよい。
【0009】
MMEは、機能において、レガシーのサービスGPRSサポート・ノード(SGSN)の制御プレーンに似ている。MMEは、ゲートウェイ選択および追跡エリア・リスト管理といった、アクセスにおける移動性側面を管理する。サービスGW 124はRAN 100に向かってインターフェースを終端し、RAN 100とコア・ネットワーク120の間でデータ・パケットをルーティングする。さらに、eNB間ハンドオーバーのためのローカルな移動性アンカー点であってもよく、3GPP間移動性(inter-3GPP mobility)のためのアンカーをも提供してもよい。他の役割は、合法傍受、課金および何らかのポリシー施行を含みうる。サービスGW 124およびMME 122は一つの物理的ノードまたは別個の物理的ノードにおいて実装されうる。PDN GW 126はパケット・データ・ネットワーク(PDN)に対してSGiインターフェースを終端する。PDN GW 126はEPC 120と外部PDNとの間でデータ・パケットをルーティングし、ポリシー施行および課金データ収集のためのキーとなるノードでありうる。PDN GW 126は、非LTEアクセスを用いた移動性のためのアンカー点をも提供しうる。外部PDNはいかなる種類のIPネットワークでもIPマルチメディア・サブシステム(IMS)ドメインあってもよい。PDN GW 126およびサービスGW 124は、一つの物理的ノードまたは別個の物理的ノードにおいて実装されうる。
【0010】
eNB 104(マクロおよびミクロ)は無線インターフェース・プロトコルを終端し、UE 102にとって最初の接触点となりうる。いくつかの実施形態では、eNB 104は、RAN 100のためにさまざまな論理的機能を充足してもよい。そうした機能は、これに限られないが、RNC(電波ネットワーク・コントローラ機能)、たとえば電波ベアラー管理、上りリンクおよび下りリンク動的電波資源管理およびデータ・パケット・スケジューリングならびに移動性管理を含む。諸実施形態によれば、UE 102は、OFDMA通信技法に従って、マルチキャリア通信チャネルを通じてeNB 104とOFDM通信信号を通信するよう構成されていてもよい。OFDM信号は複数の直交サブキャリアを含んでいてもよい。
【0011】
S1インターフェース115は、RAN 100とEPC 120を分離するインターフェースである。これは二つの部分に分かれている。eNB 104とサービスGW 124との間でトラフィック・データを搬送するS1-Uと、eNB 104とMME 122との間の信号伝達インターフェースであるS1-MMEとである。X2インターフェースは、諸eNB 104の間のインターフェースである。X2インターフェースは二つの部分X2-CおよびX2-Uを含む。X2-Cは諸eNB 104の間の制御プレーン・インターフェースであり、一方X2-Uは諸eNB 104の間のユーザー・プレーン・インターフェースである。
【0012】
セルラー・ネットワークでは、屋外信号がうまく届かない屋内領域にカバー範囲を拡大するため、あるいは鉄道駅のような非常に密な電話使用のある領域においてネットワーク容量を追加するために、典型的にはLPセルが使われる。本稿での用法では、低電力(LP)eNBという用語は、フェムトセル、ピコセルまたはマイクロセルなどの、比較的狭いセル(マクロ・セルより狭いもの)を実装するための任意の好適な比較的低い電力のeNBを指す。フェムトセルeNBは典型的にはモバイル・ネットワーク事業者によって、その住居または企業顧客に提供される。フェムトセルは典型的には住居ゲートウェイのサイズであるかそれより小さく、一般にはユーザーのブロードバンド線に接続する。いったんプラグインされたら、フェムトセルはモバイル事業者のモバイル・ネットワークに接続し、住居フェムトセルについては典型的には30ないし50メートルの範囲内の追加カバー範囲を提供する。このように、LP eNBは、PDN GW 126を通じて結合されるので、フェムトセルeNBであってもよい。同様に、ピコセルは、典型的には建物内(オフィス、ショッピング・モール、鉄道の駅など)、あるいはより最近では航空機内のような小さな領域をカバーする無線通信システムである。ピコセルeNBは一般に、その基地局コントローラ(BSC)機能を通じてX2リンクを通じて、マクロeNBのような別のeNBに接続することができる。このように、LP eNBは、X2インターフェースを介してマクロeNBに結合されるので、ピコセルeNBを用いて実装されてもよい。ピコセルeNBまたは他のLP eNBはマクロeNBの一部または全部の機能を組み込んでもよい。いくつかの場合には、これはアクセス・ポイント基地局または企業フェムトセルと称されることがある。
【0013】
いくつかの実施形態では、下りリンク資源グリッドが、eNBからUEへの下りリンク伝送のために使われてもよい。グリッドは、資源グリッドと呼ばれる時間‐周波数グリッドであってもよい。これは、各スロットにおける下りリンクにおける物理的な資源である。そのような時間‐周波数平面表現はOFDMシステムについての一般的な慣行であり、電波資源割り当てを直観的にしている。資源グリッドの各列および各行はそれぞれ一つのOFDMシンボルおよび一つのOFDMサブキャリアに対応する。時間領域における資源グリッドの継続時間は電波フレームにおける一スロットに対応する。資源グリッドにおける最小の時間‐周波数単位は資源要素と記される。各資源グリッドは、いくつかの資源ブロックを含み、これはある物理チャネルの資源要素へのマッピングを記述する。各資源ブロックは資源要素の集まりを含み、周波数領域では、これは現在割り当てされることのできる資源の最小量子を表わす。そのような資源ブロックを使って伝送されるいくつかの異なる物理的な下りリンク・チャネルがある。これらの物理的な下りリンク・チャネルのうちの二つは、物理下りリンク共有チャネルおよび物理下りリンク制御チャネルである。
【0014】
物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)は、ユーザー・データおよび高めの層の信号伝達をUE 102(図1)に搬送する。物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)は、トランスポート・フォーマットおよびPDSCHチャネルに関係した資源割り当てについての情報などを搬送する。PDCCHは、上りリンク共有チャネルに関係したトランスポート・フォーマット、資源割り当ておよびH-ARQ情報についてもUEに通知する。典型的には、下りリンク・スケジューリング(制御および共有チャネル資源ブロックをセル内のUEに割り当てること)は、UEからeNBにフィードバックされるチャネル品質情報に基づいてeNBにおいて実行され、次いで、下りリンク資源割り当て情報がUEに、該UEについて使われる(該UEに割り当てられた)制御チャネル(PDCCH)上で送られる。
【0015】
先に説明したように、音声情報をパケット化されたデータに形成し、パケット化された音声データをネットワークを通じてルーティングすることは、音声通信にレイテンシーを導入することがある。本発明者は、UEにおける音声情報の上りリンクがレイテンシーに対する有意な影響をもつことがあることを認識するに至った。たとえば、UEのオーディオ処理タスクと伝送スケジューリング・タスクとの間の同期の欠如はエンドツーエンド音声通信に遅延を導入することがある。この同期を改善することは、音声通信におけるレイテンシーを短縮できる。
【0016】
図2は、電波アクセス・ネットワークにおいて音声情報の上りリンクにおける遅延を短縮するための方法200の例の流れ図を示している。205では、時間遅延が計算される。時間遅延は、音声通話中の、UE装置のオーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成からUE装置の物理層によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間期間を含む。
【0017】
図3のAは、時間遅延の決定の例を示している。305において、UEのオーディオ・サブシステムが音声通話からのオーディオ・データを生成し終わっている。UEは該オーディオ・データを、音声情報をパルス符号変調(PCM)サンプルとしてデジタル化することによって生成してもよい。305では、音声通話オーディオ・データがエンコードされ、たとえばリアルタイム・プロトコル(RTP)などに基づく一つまたは複数のパケットに形成される。図3に示した例では、諸パケットの送信の間には20ミリ秒(20ms)の時間周期があり、オーディオ・データ・フレームは次のパケット送信時刻よりも12ms先に利用可能である。このように、オーディオ・データ・フレームが生成される時刻からオーディオ・データ・パケットが送信され始める時点までには12msの時間遅延がある。図3のAの例は、オーディオ・データ・パケット間の時間周期が100個の一連のオーディオ・データ・パケットにわたって同じままであり、時間遅延が該100個のオーディオ・データ・パケットにわたって12msのままであることを示している。時間遅延は、通話の始まりまたは開始を含む通話中および通話がアクティブであり進行中である間の任意の時点で計算または測定されることができる。
【0018】
図2を参照するに、210において、時間遅延は、オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう、生成されたオーディオ・データ・フレームの物理層への送達のために、指定された最小時間をとっておく遅延値まで減少させられる。この指定された最小時間は、ウォーターマーク(watermark)と称されることができる。図3のBは、時間遅延を減少させる例を示している。オーディオ・データの生成およびオーディオ・データを送信する時間は、より近接して生起するよう同期される。時間遅延または待ち時間は、オーディオ・データ・フレームの送達から最も早いこれからくる上りリンク承認までの時間である。今の例では、時間遅延は2msに短縮される。オーディオ・データ・パケットの生成と該パケットの消費の間の時間は、エンドツーエンドのレイテンシーを最小にするために、できるかぎり小さくされる。オーディオ・データ生成が送信のためのスケジュールされた時刻より遅く生起するという状況を避けるために、小さな0でない時間遅延がウォーターマークとして維持される。
【0019】
図4は、いくつかの実施形態に基づくUEの機能ブロック図を示している。UE 400は図1に示されるUE 102の任意の一つまたは複数として使うのに好適でありうる。UE 400は、一つまたは複数のアンテナ401を使ってeNB 104(図1)のような電波アクセス・ネットワークの一つまたは複数のノードとの間で電波周波数電気信号を送受信するための物理層(PHY)回路402を含んでいてもよい。PHY回路402は、変調/復調、上方変換/下方変換〔アップコンバート/ダウンコンバート〕、フィルタリング、増幅などのための回路を含んでいてもよい。UE 400は、無線媒体へのアクセスを制御し、無線媒体を通じて通信するためにフレームまたはパケットを構成するための媒体アクセス制御層(MAC)回路404をも含んでいてもよい。UE 400は、UEのさまざまな要素を本稿に記載される動作を実行するよう構成するよう構成された処理回路406およびメモリ408をも含んでいてもよい。メモリ408は、動作を実行するために処理回路406を構成するために情報を記憶するために使われてもよい。UEはオーディオ・サブシステム409を含んでいてもよい。オーディオ・サブシステムは、音声情報をデジタル化し、オーディオ情報を受信しデコードするためのオーディオ・コーデックを含んでいてもよい。オーディオ・サブシステム409は、オーディオ・コーデックによって生成されたデジタル化された音声情報を使ってオーディオ・データのフレームを生成する。
【0020】
いくつかの実施形態では、UE 400は、携帯情報端末(PDA)、無線通信機能をもつラップトップもしくはポータブル・コンピュータ、ウェブ・タブレット、無線電話、スマートフォン、無線ヘッドセット、ポケベル、インスタント・メッセージング装置、デジタルカメラ、アクセス・ポイント、テレビジョン、医療装置(たとえば心拍数モニター、血圧モニターなど)または無線で情報を受信および/または送信しうる他の装置といった、ポータブル無線通信装置の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、UE 400はキーボード、ディスプレイ、不揮発性メモリ・ポート、複数アンテナ、グラフィック・プロセッサ、アプリケーション・プロセッサ、スピーカーおよび他のモバイル装置要素のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。ディスプレイは、タッチスクリーンを含むLCD画面であってもよい。
【0021】
UE 400によって利用される一つまたは複数のアンテナ401は、たとえばダイポール・アンテナ、モノポール・アンテナ、パッチ・アンテナ、ループ・アンテナ、マイクロストリップ・アンテナまたはRF信号の送信に好適な他の型のアンテナを含め、一つまたは複数の指向性のまたは無指向性のアンテナを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、二つ以上のアンテナの代わりに、複数の開口をもつ単一のアンテナが使われてもよい。これらの実施形態においては、各開口が別個のアンテナと考えられてもよい。いくつかの複数入力複数出力(MIMO)実施形態では、アンテナは、空間的ダイバーシチを活用するために効果的に離間されてもよく、各アンテナと送信局のアンテナとの間で異なるチャネル特性が生じてもよい。いくつかのMIMO実施形態では、それらのアンテナは波長の1/10までまたはそれ以上離間されてもよい。
【0022】
UE 400はいくつかの別個の機能要素をもつものとして示されているが、機能要素の一つまたは複数が組み合わされてもよく、ソフトウェア構成された要素、たとえばデジタル信号プロセッサ(DSP)および/または他のハードウェア要素を含む処理要素の組み合わせによって実装されてもよい。たとえば、いくつかの要素は、一つまたは複数のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、電波周波数集積回路(RFIC)および少なくとも本稿に記載される機能を実行するためのさまざまなハードウェアおよび論理回路の組み合わせを有していてもよい。いくつかの実施形態では、機能要素は、一つまたは複数の処理要素の上で動作する一つまたは複数のプロセスを指してもよい。
【0023】
実施形態は、ハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアの一つまたは組み合わせにおいて実装されてもよい。実施形態は、本稿に記載される動作を実行するために少なくとも一つのプロセッサによって読まれ、実行されてもよい、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶された命令として実装されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、機械(たとえばコンピュータ)によって読み取り可能な形で情報を記憶するためのいかなる非一時的な機構をも含みうる。たとえば、コンピュータ可読記憶媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ・メモリ・デバイスおよび他の記憶デバイスおよび媒体を含みうる。これらの実施形態にいて、一つまたは複数のプロセッサが、本稿に記載される動作を実行するための命令をもって構成されてもよい。
【0024】
いくつかの実装では、UE 400は、OFDMA通信技法に従ってマルチキャリア通信チャネルを通じてOFDM通信信号を受信するよう構成されていてもよい。OFDM信号は、複数の直交サブキャリアを含んでいてもよい。いくつかのブロードバンド・マルチキャリア実施形態では、eNBはブロードバンド無線アクセス(BWA: broadband wireless access)ネットワーク通信ネットワーク、たとえばマイクロ波アクセスのための世界規模相互運用性(WiMAX)通信ネットワークまたは第三世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)万国地上波電波アクセス・ネットワーク(UTRAN)ロングタームエボリューション(LTE)またはロングタームエボリューション(LTE)通信ネットワークまたは高速下りリンク/上りリンク・アクセス(HSDPA/HSUPA)通信ネットワークの一部であってもよい。ただし、本発明の範囲はこの点に関して限定されない。
【0025】
処理回路406は、音声の始まりまたは開始を含む通話中および音声がアクティブであり進行中である間に、オーディオ・サブシステム409によるオーディオ・データ・フレームの生成から物理層回路402によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算するよう(ハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアの一つまたは組み合わせによって)構成されている。処理回路406は、前記時間遅延をある遅延値まで減少させる。該遅延値は、オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう、生成されたオーディオ・データ・フレームの物理層回路への送達のために、指定された最小時間をとっておくものである。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、処理回路406は、計算された時間遅延を使って目標同期値(たとえばms単位をもつTXALIGN値)を計算するよう構成されている。オーディオ・データ・フレームの生成とオーディオ・データ・パケットの送信との間の時間遅延は、目標同期値だけ短縮されるが、ULオーディオ活動のスケジューリングにおける何らかの遅延の結果、オーディオ・データの送達がUL送信時刻より遅くなることがないよう、小さな0でない時間遅延が保持される。図3のAおよびBに示した例を参照するに、目標同期値の値は10msであり、保持される時間遅延の値は2msである。いくつかの実施形態では、上りリンクの統計が追跡され、目標同期値の値が該統計を使って計算される。たとえば、処理回路460は、図3のAおよびBの例で示した100個のサンプルの少なくとも一部に対する、時間遅延の中心傾向(たとえば平均)を決定し、その中心傾向時間遅延を使って目標同期値を計算してもよい。ある種の変形では、時間遅延の統計は、サンプルのスライディング窓(たとえば100〜200サンプル)にわたって収集されてもよい。ある種の変形では、時間遅延は、固定したネットワーク・パラメータによって決定される。
【0027】
電話通話の始めにまたは電話通話中にいったん目標同期値の値が決定されたら、UEの停止および再開あるいはUEの再構成を要求することなく、装置の動作中に(たとえばオンザフライで)遅延を調整することが望ましい。いくつかの実施形態では、処理回路406は、時間遅延を減らすために目標同期値に等しいある数のPCMサンプルを破棄することを開始する。図3のAおよびBの例では、発話フレームの継続時間は20msであり、ある数のPCMサンプルを含む。10msぶんのPCMサンプルが落とされれば、時間遅延は12msから2msに短縮できる。オーディオ・データの上りリンク捕捉は、脱落させられるPCMサンプル数だけシフトされる。その後、通常どおり発話フレームの継続期間にわたってPCMサンプルが読まれ、同じ周期性をもつ。
【0028】
破棄されるべきPCMを特定するとき、通話中の発話活動に対応しないPCMサンプル(たとえば無音)が破棄するために選択されるPCMサンプルであることが望ましい。ある種の実施形態では、処理回路406は、PCMサンプル中のエネルギーの検出されるレベルが指定された最小エネルギー・レベル閾値未満であることを判別することによって、発話活動に対応しないPCMサンプルを検出してもよい。PCMサンプルのエネルギー・レベルが指定されたエネルギー・レベル未満であるというのは、デジタル化された値が閾値大きさ未満であるときであってもよい。ある種の実施形態では、処理回路406は、PCMサンプルにおける零交差の数が指定された零交差閾値数より多いことを判別することによって、発話活動に対応しないPCMサンプルを検出してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、発話活動に対応しないPCMサンプルが利用可能でない場合には、PCMサンプルの破棄による同期は、発話活動に対応しないPCMサンプルが利用可能にである将来の時点まで延期される。発話活動に対応しないPCMサンプルがかなりの時間にわたって利用可能でない場合には、発話活動のPCMサンプルを破棄することによって同期が強制されてもよい。いくつかの実施形態では、処理回路406は、音声通話中の指定されたタイムアウト期間を計時し、発話活動に対応しないPCMサンプルがタイムアウト期間の満了に際して未検出であるときは、発話活動に対応するPCMサンプルを指定された数破棄することを開始する。
【0030】
図5は、電波アクセス・ネットワークにおける音声情報の上りリンクにおける遅延を短縮するもう一つの例を示している。遅延は、ネットワーク上りリンクを、オーディオ・データの生成のより近くに整列させることによって短縮される。この例は、上りリンクオーディオ処理チェーンについて右から左にイベントのシーケンスを示している。PCMサンプルが生成され、PCMバッファに入れられる。図示した例では、DSPが5ms毎にオーディオ・データを取り出してもよい。実装に依存して、データ取得の粒度は1m、5ms、10msまたは20msであってもよい。より小さな粒度サイズは、オーディオ・プロセスの、ネットワーク動作との整列を改善しうる。この例におけるバッファ・サイズは40msまたは5msのサンプル8個である。上のシーケンス505は上りリンク・プロセスの通常の動作を示している。この例の発話フレームの継続時間は20msであるが、継続時間は実装に依存してもよい。上りリンク捕捉のための覚醒信号が、発話フレーム周期毎に生成される。
【0031】
下のシーケンス510は、上りリンクをオーディオ・データの生成と整列させる動作を示している。目標同期値はすでに10msであると決定されている。目的は、10msの目標値に一致するよう発話活動のない二つのサンプルを同定してそれを破棄することである。発話フレームの継続時間後、目標値に対応するある数のサンプル(この例では二つのサンプル)が、発話活動を表わしていないかどうかを判定するために解析される。サンプルが同定されたとき、上りリンク捕捉のための覚醒が、発話フレーム時間にではなく、(目標同期値の時間)10ms早く生成される。二つのPCMサンプル512および514が脱落させられる。PCMサンプルは次いで通常どおりに読まれる。結果は、上りリンクが、オーディオ・データ・パケットの送達に10msだけ、より近くに整列させられるというものである。
【0032】
エンドツーエンド音声通信におけるレイテンシーを短縮するためのさらなる機会が、電波アクセス・ネットワークによって使用される通信プロトコルによっては、利用可能であることがある。LTE型のプロトコル(たとえば、第三世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)型のプロトコル)において新たなデータが利用可能であるとき、必要とされるネットワーク資源にアクセスするために、スケジューリング要求(SR)がネットワークに送られる。次いで、不連続受信(DRX: discontinuous reception)サイクルの先頭においてある数のサブフレームに対応するオン期間(On Duration)が計時される。オン期間に続いて、可能な不活動の期間があり、その間に前記新たなデータが送信されうる。新たなデータ検出は、UEのMAC層回路によって、UEの上の諸層から(たとえば前記オーディオ・サブシステムから)データが受領されるときに、実行されてもよい。新たなオーディオ・データを受領すると、MAC層回路は、送信のためにオーディオ・データ・フレームをスケジュールするために前記SRを送信するようPHY層に指示(indication)を送る。ネットワークからの上りリンク(UL)承認の受信に続いて、オーディオ・データ・フレームの送信が行なわれる。
【0033】
上りリンク遅延は、新たなオーディオ・データの到着を予期して新たなオーディオ・データが利用可能になる前にSRを送ることによって短縮できる。オーディオ・データの周期性を判別することは、MAC層回路にオーディオ・データが実際に存在する前にSRを送ることをトリガーすることをMAC層回路に許容する。エンドツーエンド音声通信におけるレイテンシーは、SRの送付と対応する上りリンク(UL)承認の受信との間の時間の長さだけ短縮される。
【0034】
図6は、電波アクセス・ネットワークにおける音声情報の上りリンクにおける遅延を短縮するさらにもう一つの例のタイミング図600を示している。この例は、VoLTE通話の自動化された送信要求(sending request)のタイミングに関する。この図では、時間は図6の上から下に向けて流れる。図4の処理回路406が、オーディオ・サブシステム609によって生成される新たなオーディオ・フレームの周期性を判別してもよい。処理回路はオーディオ・データ・フレームの生成と該オーディオ・データ・フレームの送信のためにスケジュールされる時間スロットとの間の時間期間を減少させる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、時間スロットは、動的スケジューリングをもって、接続された不連続受信(connected discontinuous reception)モード(C-DRX)に従ってスケジュールされる。ある種の例では、時間スロットは半持続的スケジューリング(SPS: semi-persistent scheduling)パターンに従ってスケジュールされる。送信のための時間スロットは予期されたUL承認時間に対応する。図6の例に示されるように、時間期間は、セルラー・プロトコル仕様(CPS: cellular protocol specification)がリアルタイム・プロトコル(RTP)に基づくオーディオ・フレーム・パケット615の送達を予期してSR 610をトリガーすることによって、減少させられる。いくつかの実施形態では、MAC層回路がオーディオ・サブシステムからオーディオ・フレームを受領する前に、MAC層回路は、オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするためのSRを送信するようPHY層回路に指示を送る。図6に示した例では、MAC層回路は、オーディオ・サブシステムがオーディオ・フレームを生成する前に、オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするためのSRを送信するようPHY層回路に前記指示を送る。レイテンシーの短縮は、オーディオ・フレーム・パケット615の送達と期待されるUL承認時刻との間の指定された最小時間を保持することを含むことができる。
【0036】
音声通話中のオーディオ無音(オーディオDTX)625の場合、オーディオ・データは送信される必要がない。UEの処理回路は、新たなオーディオ・データの送達前のSRの送付を無効にしてもよい。図6に示されるように、SRは、フレーム・パケットの送達635後に、必要とされる資源にアクセスするためにネットワークに送られる(630)。オーディオ活動が再び検出される(640)ときは、新たなオーディオ・データを予期したSRの早期の送出645が再開される。ある種の実施形態では、SRの早期の送出は、UEがたとえば音声のためのインターネット・プロトコル・マルチメディア・システム(IMS)のために使われるときなど、UEのサービス品質に従って有効にされる。
【0037】
与えられたいくつかの例は、たとえばインターネット・プロトコルを通じた音声(VoIP)などによる電波アクセス・ネットワークにおけるレイテンシーの短縮を記述している。レイテンシーは、通信ネットワークへの音声データの上りリンクにおける遅延を短縮することによって、短縮される。これは、音声通話中の遅延およびエコーの生起を減らすことができる。
【実施例】
【0038】
付記および実施例
実施例1は、電波アクセス・ネットワークの一つまたは複数のノードとの間で電波周波数電気信号を送受信するよう構成された物理層回路と;オーディオ・データのフレームを生成するよう構成されたオーディオ・サブシステムと;処理回路を有する(ユーザー装置のような)主題を含むことができる。前記処理回路は: 音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、当該UE装置の前記オーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記物理層回路によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算し; 前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう前記物理層回路への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで、前記時間遅延を減少させるよう構成されている。
【0039】
実施例2では、実施例1の主題が、任意的に、オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を減少させるよう、前記音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる一つまたは複数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0040】
実施例3では、実施例1〜2の一つまたは組み合わせの主題が、任意的に、発話活動に対応しない一つまたは複数のPCMサンプルを検出し、検出されたPCMサンプルの一つまたは複数の破棄を開始するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0041】
実施例4では、実施例1〜3の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、計算された前記時間遅延を使って目標同期値を計算し、前記時間遅延を減少させるために前記目標同期値に等しいある数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成されている処理回路を含むことができる。
【0042】
実施例5では、実施例4の主題が、任意的に、前記オーディオ・サブシステムによってオーディオ・フレームが生成される中心傾向時間周期を判別し、前記中心傾向時間周期を使って前記目標同期値を計算するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0043】
実施例6では、実施例1〜5の一つまたは任意の組み合わせの主題が、前記音声通話中の指定されたタイムアウト期間を計時し、該タイムアウト期間の満了の際に発話活動に対応しないPCMサンプルが検出されていないときは発話活動に対応する指定された数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0044】
実施例7では、実施例1〜6の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、前記オーディオ・データ・フレームの生成と前記オーディオ・データ・フレームの送信のためにスケジュールされた時間スロットとの間の時間期間を減少させるよう構成された処理回路を含むことができる。
【0045】
実施例8では、実施例7の主題が、任意的に、前記時間スロットが、動的なスケジューリングを用いて、接続された不連続受信モード(C-DRX)に従ってスケジュールされ、前記時間スロットは期待される上りリンク承認時間に対応することを含むことができる。
【0046】
実施例9では、実施例7〜8の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、前記時間スロットが、半持続的スケジューリング(SPS)パターンに従ってスケジュールされることを含むことができる。
【0047】
実施例10では、実施例7〜9の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、MAC層回路を含むことができる。前記MAC層回路は、前記MAC層回路が前記オーディオ・サブシステムから前記オーディオ・フレームを受け取る前に、前記オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするためのスケジューリング要求を送信するよう前記物理層回路に指示を送るよう構成されている。
【0048】
実施例11では、実施例7〜10の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、MAC層回路を含むことができる。前記MAC層回路は、前記オーディオ・サブシステムが前記オーディオ・フレームを生成する前に、前記オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするためのスケジューリング要求を送信するよう前記物理層回路に指示を送るよう構成されている。
【0049】
実施例12では、実施例1〜11の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、前記電波ネットワークがセルラー電話ネットワークを含むことを含むことができる。
【0050】
実施例13では、実施例1〜12の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、ロングタームエボリューションを通じた音声(VoLTE)プロトコルまたは高速下りリンク/上りリンク・アクセス(HSDPA/HSUPA)プロトコルのうちの少なくとも一方を使ってデータを通信するよう構成されたUEを含むことができる。
【0051】
実施例14は、(方法、工程を実行する手段または機械によって実行されたときに機械に工程を実行させる命令を含む機械可読媒体のような)主題を含むことができ、あるいは任意的に、そのような主題を含むよう実施例1〜13の一つまたは任意の組み合わせの主題と組み合わされることができる。そのような主題は、音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、前記UE装置のオーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記UE装置の物理層によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算し; 前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう物理層への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで、前記時間遅延を減少させることを含む。
【0052】
実施例15では、実施例14の主題が、任意的に、前記時間遅延を減少させることが、オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を減少させるよう、前記音声通話中の一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを破棄することを開始することを含むことを含むことができる。
【0053】
実施例16では、実施例15の主題が、任意的に、発話活動に対応しない一つまたは複数のPCMサンプルを検出することを含み、一つまたは複数のPCMサンプルを破棄することが、前記検出された一つまたは複数のPCMサンプルを破棄することを含むことができる。
【0054】
実施例17では、実施例15および16の一つまたは組み合わせの主題が、任意的に、計算された前記時間遅延を使って目標同期値を計算することを含むことができる。一つまたは複数のPCMサンプルを破棄することは、前記目標同期値に等しいある数のPCMサンプルを破棄することを含む。
【0055】
実施例18では、実施例14〜17の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、前記オーディオ・データ・フレームの生成と、上りリンク(UL)承認の受領との間の時間期間を減少させることを含むことができる。
【0056】
実施例19では、実施例14〜18の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、前記オーディオ・データ・フレームの生成と、指定された電波パターンのスケジュールされたUL承認に対応する時間スロットとの間の時間期間を減少させることを含むことができる。
【0057】
実施例20では、実施例14〜19の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、要求されたUL承認を受領した後に送信されるべきオーディオ・データ・フレームを前記オーディオ・サブシステムが生成するのに先だって、スケジューリング要求を送信することを含むことができる。
【0058】
実施例21は、(無線通信システムのような)主題を含むことができ、あるいは任意的に、そのような主題を含むよう実施例1〜20の一つまたは任意の組み合わせの主題と組み合わされることができ、そのような主題は、電波アクセス・ネットワークの一つまたは複数のノードとの間で電波周波数電気信号を送受信するよう構成された物理層回路と; 前記物理層回路に電気的に結合された一つまたは複数のアンテナと; オーディオ・データのフレームを生成するよう構成されたオーディオ・サブシステムと; 処理回路を有する主題を含むことができる。前記処理回路は:音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、UE装置の前記オーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記物理層回路によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算し; 前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう前記物理層回路への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで、前記時間遅延を減少させるよう構成されている。
【0059】
実施例21では、実施例20の主題が、任意的に、発話活動に対応しない一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを検出し、オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記時間遅延を減少させるために、音声通話中の前記オーディオ・サブシステムによる前記検出された一つまたは複数のPCMサンプルの破棄を開始するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0060】
実施例22では、実施例20および21の一つまたは組み合わせの主題が、任意的に、計算された前記時間遅延を使って目標同期値を計算し、前記目標同期値に等しいある数の前記検出されたPCMサンプルの破棄を開始するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0061】
実施例23では、実施例20〜22の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、計算された前記時間遅延を使って目標同期値を計算し、前記目標同期値に等しいある数の前記検出されたPCMサンプルの破棄を開始するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0062】
実施例24では、実施例20〜23の一つまたは任意の組み合わせの主題が、任意的に、一つまたは複数のオーディオ・データ・フレームの生成と前記物理層回路からのユーザー装置上りリンク(UL)承認の受領との間の時間期間を減少させるとともに、前記オーディオ・フレームを前記オーディオ・サブシステムが生成する前に、前記オーディオ・データ・フレームの送信をスケジュールするよう前記物理層回路によってスケジューリング要求を送ることを開始するよう構成された処理回路を含むことができる。
【0063】
実施例25は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体のような主題を含むことができ、あるいはそのような主題を含むよう実施例1〜24の一つまたは任意の組み合わせの主題と組み合わされることができ、前記命令は、無線通信装置のハードウェア処理回路によって実行されたときに前記無線通信装置に:音声通話の開始および音声通話がアクティブである時を含む音声通話中の、前記無線通信装置のオーディオ・サブシステムによるオーディオ・データ・フレームの生成から前記無線通信装置の物理層によるオーディオ・データ・パケットの送信までの時間遅延を計算する段階と; 前記オーディオ・データ・パケットのスケジュールされた送信時刻に間に合うよう物理層への前記生成されたオーディオ・データ・フレームの送達のための指定された最小時間を保持する遅延値まで、前記時間遅延を減少させる段階とを実行させるためのものである。
【0064】
実施例26では、実施例25の主題は、任意的に、前記ハードウェア処理回路によって実行されたときに、前記無線通信装置に、発話活動に対応しない一つまたは複数のパルス符号変調(PCM)サンプルを検出し、オーディオ・データ・フレーム生成と前記オーディオ・データ・パケットの送信との間の前記装置遅延を減少させるために、音声通話中の前記検出された一つまたは複数のPCMサンプルを破棄することを実行させるための命令を含むことができる。
【0065】
実施例27では、実施例25〜26の一つまたは組み合わせの主題は、任意的に、前記ハードウェア処理回路によって実行されたときに、前記無線通信装置に、計算された前記時間遅延を使って目標同期値を計算し、前記目標同期値に等しいある数のPCMサンプルの破棄を開始することを実行させる命令を含むことができる。
【0066】
実施例28では、実施例25〜27の一つまたは任意の組み合わせの主題は、任意的に、前記ハードウェア処理回路によって実行されたときに、前記無線通信装置に、前記オーディオ・フレームを前記オーディオ・サブシステムが生成するのに先立って、オーディオ・フレームを送信するためにスケジューリング要求を物理層へと送らせる命令を含むことができる。
【0067】
これらの限定しない例は、任意の順列または組み合わせにおいて組み合わされることができる。
【0068】
上記の詳細な説明は、付属の図面への参照を含むが、図面は詳細な説明の一部をなす。図面は、例示として、本発明が実施できる具体的な実施形態を示している。これらの実施形態はみなここでは「例」とも称される。本稿で言及されるすべての刊行物、特許および特許文献はここに参照によってその全体において、たかも個々に参照によって組み込まれているかのうように、組み込まれる。本稿とそうした文献との間の整合しない用法がある場合には、組み込まれた文献における用法は本稿の用法の補足と考えられるべきである。両立できない不整合については、本稿での用法が支配する。
【0069】
本稿に記載される方法例は、少なくとも部分的には機械またはコンピュータ実装されることができる。いくつかの例は、上記の実施例において記載されるような方法を実行するよう電子装置を構成するよう機能できる命令をエンコードされた、コンピュータ可読記憶媒体または機械可読記憶媒体を含むことができる。そのような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリー言語コード、高レベル言語コードなどを含むことができる。そのようなコードは、さまざまな方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータ・プログラム・プロダクトの部分をなしていてもよい。コードは、実行中または他の時点において、一つまたは複数の揮発性、非一時的または不揮発性の有体なコンピュータ可読媒体に有体に記憶されていることができる。これらの有体なコンピュータ可読記憶媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(たとえばコンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などを含むことができるが、それに限られない。
【0070】
要約書は、技術的な開示の性質および概要を読者が見きわめられるようにする要約を要求する米国特許法第1.72(b)条に従うために与えられている。要約書は、請求項の範囲や意味を制限するまたは解釈するために使われないという理解で提出されるものである。付属の請求項はここに詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自身で別個の実施形態をなす。また、付属の請求項において、用語「含む」および「有する」はオープンエンドである。すなわち、請求項においてそうした用語とともに挙げられるものに加えて要素を含むシステム、装置、物品またはプロセスもその請求項の範囲内にはいるとみなされる。さらに、付属の請求項において、「第一」「第二」「第三」などの用語は単にラベルとして使われるのであって、その対象に対する数値的な要件を課すことは意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6