【実施例】
【0069】
以下の実施例に示すように、本発明の実際に現在好ましい実施形態を説明する。
【0070】
しかし、当業者であれば、本開示を考慮した上で本発明の趣旨及び範囲内の変更及び改善がなされ得ることが理解されるだろう。
【0071】
実施例1:ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根それぞれの単体抽出物の調製
<1−1>ボタンの根皮のエタノール抽出物の調製
90%エタノールをボタンの根皮(モウトン・ラディシス・コルテックス;Jeungdo Herb Medicine Co.、韓国)に添加した後、室温にて110分間抽出を行った。エタノール抽出物は、抽出物を濾過することによって調製した。得られた抽出物を凍結乾燥させ、保存した。使用時に、抽出物を緩衝液に溶解させた。抽出物の指標物質成分として、ペオノールを用いて純度を確認した。
【0072】
<1−2>アンジェリカ・ダフリカの根のエタノール抽出物の調製
90%エタノールをアンジェリカ・ダフリカの根(アンジェリカ・ダフリカ・ラディクス;Jeungdo Herb Medicine Co.、韓国)に添加した。アンジェリカ・ダフリカの根のエタノール抽出物を実施例<1−1>に記載のものと同様に調製した。アンジェリカ・ダフリカの根抽出物の指標物質成分として、イムペラトリンを用いて純度を確認した。
【0073】
<1−3>ミシマサイコの根のエタノール抽出物の調製
90%エタノールをミシマサイコの根(ブプレウリ・ラディクス;Jeungdo Herb Medicine Co.、韓国)に添加した。ミシマサイコの根のエタノール抽出物を実施例<1−1>に記載のものと同様に調製した。ミシマサイコの根抽出物の指標物質成分として、サイコサポニンAを用いて純度を確認した。
【0074】
実施例2:ボタンの根皮及びアンジェリカ・ダフリカの根の混合抽出物の調製
ボタンの根皮及びアンジェリカ・ダフリカの根を1:5、1:1、又は1:0.2の比(w:w)にて混合し、これに90%エタノールを添加した後、室温にて110分間抽出を行った。ボタンの根皮及びアンジェリカ・ダフリカの根の混合エタノール抽出物は、抽出物を濾過することによって調製した。得られた混合エタノール抽出物を凍結乾燥し、保存した。使用時に、抽出物を水又は緩衝液に溶解させた。混合抽出物の指標物質成分として、ペオノール及びイムペラトリンを用いて純度を確認した。
【0075】
実施例3:ボタンの根皮及びミシマサイコの根の混合抽出物の調製
ボタンの根皮及びミシマサイコの根を1:5、1:1、又は1:0.2の比(w:w)にて混合し、これに90%エタノールを添加した後、室温にて110分間抽出を行った。ボタンの根皮及びミシマサイコの根の混合エタノール抽出物は、抽出物を濾過することによって調製した。得られた混合エタノール抽出物を凍結乾燥し、保存した。使用時に、抽出物を緩衝液に溶解させた。混合抽出物の指標物質成分として、ペオノール及びサイコサポニンAを用いて純度を確認した。
【0076】
実施例4:アンジェリカ・ダフリカの根及びミシマサイコの根の混合抽出物の調製
アンジェリカ・ダフリカの根及びミシマサイコの根を1:5、1:1、又は1:0.2の比(w:w)にて混合し、これに90%エタノールを添加した後、室温にて110分間抽出を行った。アンジェリカ・ダフリカの根及びミシマサイコの根の混合エタノール抽出物は、抽出物を濾過することによって調製した。得られた混合エタノール抽出物を凍結乾燥し、保存した。使用時に、抽出物を緩衝液に溶解させた。混合抽出物の指標物質成分として、イムペラトリン及びサイコサポニンAを用いて純度を確認した。
【0077】
実施例5:ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の混合抽出物の調製
<5−1>ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の混合エタノール抽出物の調製
ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根を以下の表1に示す比にて混合し、これに10%の、30%の、50%の、70%の、又は90%のエタノールを添加した後、室温にて、110分間抽出を行った。ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の混合エタノール抽出物は、抽出物を濾過することによって調製した。得られた混合エタノール抽出物を凍結乾燥し、保存した。使用時に、抽出物を緩衝液に溶解した。混合抽出物の指標物質成分として、ペオノール、サイコサポニンA、及びイムペラトリンを用いて純度を確認した。
【0078】
【表1】
【0079】
<5−2>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合水抽出物の調製
ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根を1:1:1の比(w:w:w)にて混合し、これに水を添加した。ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合水抽出物を実施例<5−1>に記載のものと同様に調製した。
【0080】
<5−3>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合メタノール抽出物の調製
ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根を1:1:1の比(w:w:w)にて混合し、これに90%メタノールを添加した。ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合メタノール抽出物を実施例<5−1>に記載のものと同様に調製した。
【0081】
<5−4>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合ブタノール抽出物の調製
ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根を1:1:1の比(w:w:w)にて混合し、これに90%ブタノールを添加した。ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合ブタノール抽出物を実施例<5−1>に記載のものと同様に調製した。
【0082】
実験実施例1:ボタンの根皮抽出物及びその活性成分の細胞内効能の評価
<1−1>細胞生存率におけるボタンの根皮抽出物及びその活性成分の作用
本発明のボタンの根皮抽出物及びその活性成分の細胞内効能を評価するため、ヒト神経芽細胞腫細胞の細胞毒性を調べた。
【0083】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(ダルベッコ改変イーグル培地及びハムF12;Gibco、米国)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を2.5×10
4細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1.0μg/mlの濃度の、実施例<1−1>において調製したボタンの根皮抽出物若しくはその活性成分であるペオノール、ペオニフロリン、又はペオニフロリゲノンで4時間処理した。細胞を回収し、細胞生存率を、カルセインを用いて測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照細胞と比べて生存率が上昇又は低下した細胞の生存率を算出し、百分率(%)で表した。
【0084】
その結果、以下の表2に示すように、正常細胞のボタンの根皮抽出物及びその活性成分は、細胞毒性を示さなかった(表2)。
【0085】
【表2】
【0086】
<1−2>ミトコンドリア障害により誘発された細胞死に対するボタンの根皮抽出物及びその活性成分の阻害作用
ミトコンドリア機能障害の回復に対するボタンの根皮抽出物及びその有効成分の作用を調べるため、MTTアッセイを行い、細胞内のミトコンドリア複合体1の障害に対する回復作用を確かめた。
【0087】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yは、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1、ダルベッコ改変イーグル培地及びハムF12;Gibco、米国)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を1.0μg/mlの濃度の、実施例<1−1>において調製したボタンの根皮の90%エタノール抽出物若しくはその活性成分であるペオノール、ペオニフロリン、又はペオニフロリゲノンで処理した後、4時間培養した。次いで、細胞を50μg/mlのアトラジン(2−クロロ−4−(エチルアミン)−6−(イソプロピルアミン)−s−トリアジン、ATZ)で処理した後、24時間培養し、ミトコンドリアの機能不全を誘発させた。機能不全のミトコンドリアを含む細胞を、0.2mg/mlのMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド、MTT;Sigma、米国)で処理した後、4時間培養した。次いで、生存細胞によって形成されるMTTホルマザン沈殿物を100μlの0.04N HCl/イソプロパノールに溶解させた。OD
540をELISAマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、米国)を用いて測定した。ミトコンドリア複合体1の障害を、抽出物又はその活性成分を用いず、DMSOで処理した正常対照群と比べて障害レベルが増加又は低下したかのいずれかを見ることで確認した。その一方で、50μg/mlのアトラジンでのみ処理し、ミトコンドリア障害を誘発させ、抽出物又はその活性成分では処理しなかったものを陰性対照群とした。その後、MTTアッセイを上記と同様に行った。
【0088】
その結果、以下の表3に示すように、アトラジンにより誘発されたミトコンドリア障害は、ボタンの根皮の90%エタノール抽出物、ペオノール、ペオニフロリン、又はペオニフロリゲノンの処理により正常レベルに回復した(表3)。
【0089】
【表3】
【0090】
<1−3>ミトコンドリア障害に起因するATP消失に対するボタンの根皮抽出物及びその活性成分の回復作用
ミトコンドリア機能障害の回復に対するボタンの根皮抽出物及びその有効成分の作用を調べるため、ATPアッセイを行い、細胞内のATP消失に対する回復作用を確かめた。
【0091】
詳細には、SH−SY5Y細胞を実験実施例<1−2>に記載のものと同様に培養し、これを50μg/mlのアトラジンで処理し、ミトコンドリアの機能不全を誘発させた。次いで、機能不全のミトコンドリアを含む細胞から得られた細胞溶解物100μlを、ATP生物発光体細胞アッセイキット(Sigma、米国)を用いて100μlのルシフェリン−ルシフェラーゼと混合した後、20℃にて10分間培養した。上清を得た。蛍光シグナルを、LB9501Lumatルミノメーター(Berthold、ドイツ)を用いて測定した。細胞非含有培地を含有する対照ウェルの蛍光をバッググランドとして使用した。測定値はバックグランドを減算することにより算出し、ATP量をタンパク質濃度に正規化した。本発明の抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOでのみ処理したものを正常対照とした。結果は全て、正常対照に対する%として表し、細胞内ATPレベルを表した。50μg/mlのアトラジンでのみ処理し、ミトコンドリア障害を誘発させ、抽出物又はその活性成分では処理しなかったものを陰性対照とした。細胞内ATPレベルを上記と同様に測定した。
【0092】
その結果、以下の表4に示すように、アトラジンにより誘発させたミトコンドリア障害はボタンの根皮の90%エタノール抽出物、ペオノール、ペオニフロリン、又はペオニフロリゲノンの処理により正常レベルに回復した(表4)。
【0093】
【表4】
【0094】
<1−4>ボタンの根皮抽出物及びその活性成分によるパーキンソン病又はミトコンドリアに関与する遺伝子の発現
ミトコンドリア機能障害の回復に対する本発明のボタンの根皮抽出物及びその活性成分の作用を調べるため、ミトコンドリア遺伝子により合成されたシトクロムcオキシダーゼサブユニットIII(COX III)遺伝子及び家族性パーキンソン病の原因遺伝子の1つであるPark7(DJ−1)の発現量を、リアルタイムPCR(RT−PCR)により測定した。
【0095】
詳細には、SH−SY5Y細胞を実験実施例<1−2>に記載のものと同様に培養し、ミトコンドリア機能不全を誘発させた。次いで、機能不全のミトコンドリアを含む細胞をTRIzol(Invitrogen、米国)に懸濁させ、そこから製造業者のプロトコルに従い、全RNAを抽出した。全cDNAを、抽出したRNAを1μg用いて合成した。PCRを、以下の表5に挙げたフォワードプライマー及びリバースプライマーの存在下において合成したcDNAを鋳型として用い、必要な最適条件下にてGeneAmp PCRシステム9700(Applied Biosystem、米国)を用いて行い、COX III遺伝子及びPark7(DJ−1)遺伝子を増幅させた。増幅させたPCR生成物に1.5%アガロースゲルの電気泳動を行った。相対濃度をUV下にて画像濃度計(Alpha Ease FCソフトウェア;Alpha Innotech、米国)を用いて測定した。mRNA量は、18S rRNA量と比較することにより標準化した。本発明の抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、その代わりに、DMSOでのみ処理したものを正常対照とした。50μg/mlのアトラジンでのみ処理し、ミトコンドリア障害を誘発させ、抽出物又はその活性成分では処理しなかったものを陰性対照とした。遺伝子発現量を上記と同様に調べた。
【0096】
【表5】
【0097】
その結果、表6及び表7に示すように、ミトコンドリア遺伝子により合成されたCOX III及び家族性パーキンソン病の原因遺伝子の1つであるPark7(DJ−1)の発現の減少は、ともに正常レベルに回復した(表6及び表7)。
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
実験実施例2:アンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分の細胞内効能の評価
<2−1>細胞生存率におけるアンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分の作用
本発明のアンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分の細胞内効能を評価するため、ヒト神経芽細胞腫細胞における細胞毒性を調べた。
【0101】
詳細には、SH−SY5Y細胞を実験実施例<1−1>に記載のものと同様に培養した。培養した細胞を2.5×10
4細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を1.0μg/mlの実施例<1−2>において調製したアンジェリカ・ダフリカの根抽出物又は0.5μg/ml若しくは1.0μg/mlのその活性成分であるイムペラトリンで4時間処理した。細胞を回収し、細胞生存率を、カルセインを用いて測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照群の細胞生存率と比べて増加又は低下した細胞生存率を算出し、百分率(%)として表した。
【0102】
その結果、表8に示すように、アンジェリカ・ダフリカの根抽出物及び0.5μg/mlの濃度のイムペラトリンは正常細胞において細胞毒性を引き起こさなかった。しかし、1μg/mlの濃度のイムペラトリンは低レベルの毒性を引き起こした(表8)。
【0103】
【表8】
【0104】
<2−2>小胞体ストレスにより誘発された細胞死に対するアンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分の阻害作用
本発明のアンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分が小胞体ストレスの回復を誘導することができるか否かを調べるため、MTTアッセイを、N−グリコシル化を阻害することにより小胞体ストレスを誘発することが知られているツニカマイシン(Tuni)の処理により、又はカルシウムホメオスタシスを破壊することにより小胞体ストレスを誘発することが知られているタプシガルギン(Thap)の処理により誘発された小胞体ストレスを有する細胞に行い、生存細胞におけるミトコンドリア複合体1の障害の回復を確かめた。
【0105】
詳細には、SH−SY5Y細胞を実験実施例<1−2>に記載のものと同様に培養した。細胞を1.0ug/mlの実施例<1−2>において調製したアンジェリカ・ダフリカの根抽出物又は0.5μg/ml若しくは1.0μg/mlのそれらの活性成分であるイムペラトリンで処理した後、4時間培養した。細胞を0.5μg/mlのタプシガルギン(Thap)又は1μg/mlのツニカマイシン(Tuni)で処理した後、24時間培養し、小胞体ストレスを誘発させた。次いで、MTTアッセイを実験実施例<1−2>に記載のものと同様に行った。細胞内のミトコンドリア複合体1の障害が、抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照細胞と比べて増加したか又は低下したかを調べた。小胞体ストレスを引き起こすよう、0.5μg/mlのタプシガルギン又は1μg/mlのツニカマイシンで処理したが、抽出物又はその活性成分では処理ないものを陰性対照とし、その後MTTアッセイを上記と同様に行った。
【0106】
その結果、表9及び表10に示すように、タプシガルギン又はツニカマイシンにより引き起こされた小胞体ストレスにより誘発されたミトコンドリアの機能障害及び細胞死は、アンジェリカ・ダフリカの根の90%エタノール抽出物及びイムペラトリンの処理により正常レベルに回復した(表9及び表10)。
【0107】
【表9】
【0108】
【表10】
【0109】
<2−3>小胞体ストレスに起因するATP消失に対するアンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分の回復作用
小胞体ストレスの回復に対するアンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分の作用を調べるため、ATPアッセイを行い、細胞内のATP消失に対する回復作用を確かめた。
【0110】
詳細には、SH−SY5Y細胞を実験実施例<2−2>に記載のものと同様に培養し、小胞体ストレスを誘発させた。次いで、細胞内ATPレベルを実験実施例<1−3>に記載のものと同様に測定した。本発明の抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOでのみ処理したものを正常対照とした。結果は全て、細胞内ATPレベルを正常対照の%として表した。抽出物又は活性成分で処理しなかったが、0.5μg/mlのタプシガルギン又は1.0μg/mlのツニカマイシンでのみ処理し、小胞体ストレスを誘発させたものを陰性対照とした。次いで、細胞内ATPレベルを上記と同様に測定した。
【0111】
その結果、表11に示すように、タプシガルギン又はツニカマイシンにより引き起こされた小胞体ストレスにより誘発された、ヒト神経芽細胞腫細胞のミトコンドリアの機能障害及び細胞死は、アンジェリカ・ダフリカの根の90%エタノール抽出物及びイムペラトリンの処理により正常レベルに回復した(表11)。
【0112】
【表11】
【0113】
<2−4>アンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分による小胞体ストレスマーカー遺伝子の発現
小胞体ストレスの回復に対する本発明のアンジェリカ・ダフリカの根抽出物及びその活性成分の作用を調べるため、小胞体ストレスマーカー遺伝子のGRP78及びXBP1pの発現量を測定した。
【0114】
詳細には、SH−SY5Y細胞を実験実施例<2−2>に記載のものと同様に培養し、小胞体ストレスを誘発させた。次いで、実験実施例<1−4>に記載のものと同様に小胞体ストレスを有する細胞を用いてRT−PCRを行った後、UV下にて1.5%アガロースゲルの電気泳動を行い、GRP78遺伝子及びXBP1p遺伝子の発現量を調べた。本発明の抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOでのみ処理したものを正常対照とした。抽出物又は活性成分で処理しなかったが、0.5μg/mlのタプシガルギンでのみ処理し、小胞体ストレスを誘発させたものを陰性対照とした。次いで、小胞体ストレスマーカー遺伝子の発現を上記と同様に確かめた。
【0115】
その結果、表12及び表13に示すように、小胞体ストレスマーカー遺伝子のGRP78及びXBP1pの発現量は、アンジェリカ・ダフリカの根の90%エタノール抽出物及びイムペラトリンの処理により細胞内に誘発した小胞体ストレスを有する細胞において正常レベルに回復した(表12及び表13)。
【0116】
【表12】
【0117】
【表13】
【0118】
実験実施例3:ミシマサイコの根抽出物及びその活性成分の細胞内効能の評価
<3−1>細胞生存率におけるミシマサイコの根抽出物及びその活性成分の作用
本発明のミシマサイコの根抽出物及びその活性成分の細胞内効能を評価するため、マウス小膠細胞の細胞毒性を調べた。
【0119】
詳細には、マウス小膠細胞株であるBV2を、10%FBSを補充した1:1のDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地;Gibco、米国)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を2.5×10
4細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1.0μg/mlの濃度の、実施例<1−3>において調製したミシマサイコの根の90%エタノール抽出物、サイコサポニンA、サイコサポニンB2、サイコサポニンB4、又はサイコサポニンDを用いて4時間処理した。細胞を回収し、細胞生存率を、カルセインを用いて測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照細胞の生存率と比べて増加又は低下した細胞の生存率を算出し、百分率(%)として表した。
【0120】
その結果、以下の表14に示すように、ミシマサイコの根抽出物及びその活性成分は、正常細胞において細胞毒性を示さなかった(表14)。
【0121】
【表14】
【0122】
<3−2>炎症応答により誘発した細胞死に対するミシマサイコの根抽出物及びその活性成分の阻害作用
炎症応答に対する本発明のミシマサイコの根抽出物及びその有効成分の阻害作用を調べるため、MTTアッセイを、リポ多糖(LPS)により誘発させた炎症応答を有する細胞に行い、生存細胞内のミトコンドリア複合体1の障害に対する回復作用を確かめた。
【0123】
詳細には、BV2細胞を実験実施例<3−1>に記載のものと同様に培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1.0μg/mlの濃度の、実施例<1−3>において調製したミシマサイコの根の90%エタノール抽出物、サイコサポニンA、サイコサポニンB2、サイコサポニンB4、又はサイコサポニンDで処理した後、4時間培養した。次いで、細胞を100ng/mlのリポ多糖(LPS)で処理した後、20時間培養し、炎症応答を誘発させた。MTTアッセイを実験実施例<1−2>に記載のものと同様に炎症応答を誘発させた細胞に行った。ミトコンドリア複合体1の障害を、障害レベルが抽出物又はその活性成分を用いずにDMSOで処理した正常対照群と比べて増加したか又は低下したかを見ることで確認した。その一方で、100ng/mlのLPSでのみ処理し、炎症応答を誘発させ、抽出物又はその活性成分では処理しなかったものを陰性対照群とした。次いで、MTTアッセイを上記と同様に行った。
【0124】
その結果、以下の表15に示すように、LPSにより誘発させた炎症応答は、ミシマサイコの根の90%エタノール抽出物、サイコサポニンA、サイコサポニンB2、サイコサポニンB4、又はサイコサポニンDの処理により正常レベルに回復した(表15)。
【0125】
【表15】
【0126】
<3−3>ミシマサイコの根抽出物及びその活性成分による一酸化窒素(NO)依存性の炎症応答の減少
炎症応答に対する本発明のミシマサイコの根抽出物及びその活性成分の回復作用を調べるため、グリース法を行い、細胞培養培地の亜硝酸塩/硝酸塩(NO
x)の濃度を測定した。
【0127】
詳細には、BV2細胞を実験実施例<3−1>に記載のものと同様に培養し、炎症応答を誘発させた。次いで、100μlの細胞培養培地を得て、これに、5%スルファニルアミド及び2%ナフチルエチレンジアミンを含有する塩酸を含む100μlのグリース試薬を添加した後、暗室にて30分間反応させた。反応が完了すると、OD
540をELISAマイクロプレートリーダー(Versamax、米国)を用いて測定した。培地内の一酸化窒素の濃度を、亜硝酸ナトリウムの標準較正曲線を用いて算出した。抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理したものを正常対照とした。100ng/mlのLPSでのみ処理し、炎症応答を誘発させたが、抽出物又は活性成分では処理しなかったものを陰性対照とした。次いで、一酸化窒素濃度の減少作用を上記と同様に調べた。
【0128】
その結果、表16に示すように、ミシマサイコの根の90%エタノール抽出物、サイコサポニンA、サイコサポニンB2、サイコサポニンB4、及びサイコサポニンDがLPS介在性のNO生成を抑制する作用を有することが確認された(表16)。
【0129】
【表16】
【0130】
<3−4>ミシマサイコの根抽出物及びその活性成分による炎症応答マーカー遺伝子の発現
炎症応答の回復に対する、本発明のミシマサイコの根抽出物及びその活性成分の作用を調べるため、炎症応答マーカー遺伝子誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)、インターロイキン−6(IL−6)、及びNF−kB p65/ReIAの発現量を測定した。
【0131】
詳細には、BV2細胞を実験実施例<3−1>に記載のものと同様に培養し、炎症応答を誘発させた。次いで、RT−PCRを実験実施例<1−4>に記載のものと同様に細胞に行った後、iNOS遺伝子、IL−6遺伝子、及びNF−kB p65/ReIA遺伝子の発現量の定量的分析を行った。本発明の抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOでのみ処理したものを正常対照とした。抽出物又は活性成分で処理しなかったが、100ng/mlのLPSでのみ処理し、炎症応答を誘発させたものを陰性対照とした。次いで、炎症応答マーカー遺伝子の発現を上記と同様に確かめた。
【0132】
その結果、表17〜表19に示すように、炎症応答マーカー遺伝子のiNOS、IL−6、及びNF−kB p65/ReIAの発現量は、ミシマサイコの根の90%エタノール抽出物、サイコサポニンA、サイコサポニンB2、サイコサポニンB4、及びサイコサポニンDの処理により細胞内に誘発した炎症応答を有する細胞において正常レベルに回復した(表17〜表19)。
【0133】
【表17】
【0134】
【表18】
【0135】
【表19】
【0136】
<3−5>ミシマサイコの根抽出物及びその活性成分による活性酸素種(ROS)生成の減少
炎症応答に対する、本発明のミシマサイコの根抽出物及びその活性成分の回復作用を調べるため、細胞内ROSの濃度を、2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(DCF−DA)を用いて測定した。
【0137】
詳細には、BV2細胞を実験実施例<3−1>に記載のものと同様に培養し、炎症応答を誘発させた。次いで、炎症応答を誘発させた細胞を1μMのDCF−DA及び0.05μMのビスベンズイミド(Hoechst 33342)で処理した後、37℃にて1時間染色した。染色後、DCF−DAの蛍光強度を485nm/535nmにて測定し、ビスベンズイミドの蛍光強度を335nm/460nmにて測定した。DCF−DA/ビスベンズイミドの比を基に、ROSを定量化した。増加又は低下のいずれかのROS量を抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照のROS量と比較し、結果を%として表した。100ng/mlのLPSでのみ処理し、炎症応答を誘発させたが、抽出物又はその活性成分では処理しなかったものを陰性対照とした。次いで、ROSの生成を上記と同様に調べた。
【0138】
その結果、表20に示すように、本発明のミシマサイコの根の90%エタノール抽出物、サイコサポニンA、サイコサポニンB2、サイコサポニンB4、及びサイコサポニンDが、炎症応答及びストレスにより引き起こされたDCF−DA介在性のROS生成を減少させる作用を有することを確認した(表20)。
【0139】
【表20】
【0140】
実験実施例4:上記のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の少なくとも2つを含む混合抽出物の細胞内効能の評価
<4−1>パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する上記のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の少なくとも2つを含む混合抽出物の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する上記のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の少なくとも2つを含む混合物の抽出物の回復作用を調べるため、パーキンソン病細胞モデルのミトコンドリア活性指標物質を試験した。
【0141】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1μg/mlの濃度の、実施例2において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根との混合90%エタノール抽出物、実施例3において調製したボタンの根皮とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物、実施例4において調製したアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物、又は実施例<5−1>において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、細胞を、1mMの濃度の1−メチル−4−フェニルピリジニウム(MPP+)で処理した後、24時間培養した。その結果、パーキンソン病細胞モデルが構築された。次いで、細胞生存率を、カルセインを用いて実験実施例<1−1>に記載のものと同様に測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照細胞の細胞生存率と比べて増加又は低下した細胞生存率を算出し、百分率(%)として表した。1mMのMPP+でのみ処理し、抽出物又はその活性成分では処理していないパーキンソン病細胞モデルを構築した。次いで、細胞生存率も、上記と同様に正常対照の細胞生存率と比較することにより、増加又は低下のいずれかを算出したものを陰性対照とした。
【0142】
その結果、表21に示すように、MPP+により引き起こされたミトコンドリア活性の減少に応じたパーキンソン病細胞モデルの細胞生存率は、ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、またはミシマサイコの根のエタノール抽出物の処理により65%〜70%に回復した。その一方で、ボタンの根皮とミシマサイコの根との混合物の抽出物、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根との混合物の抽出物、及びアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の処理により回復作用は増大し、77%〜81%に達した。特に、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物で処理したときの回復作用は、92.84%と最も高いものであった(表21)。
【0143】
【表21】
【0144】
<4−2>パーキンソン病細胞モデルにおける、ATP消失に対する上記のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の少なくとも2つを含む混合抽出物の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア機能障害の回復に対する上記のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の少なくとも2つを含む混合物の抽出物の作用を調べるため、ATPアッセイを行い、細胞内のATP消失に対する回復作用を確かめた。
【0145】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1μg/mlの濃度の、実施例2において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根との混合90%エタノール抽出物、実施例3において調製したボタンの根皮とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物、実施例4において調製したアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物、又は実施例<5−1>において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、細胞内ATPレベルを実験実施例<1−3>に記載のものと同様に測定した。細胞内ATPレベルの増加又は低下を、抽出物又は活性成分で処理しなかったが、DMSOでのみ処理した正常対照の細胞内ATPレベルと比較することにより算出した。1mMのMPP+でのみ処理したが、抽出物又は活性成分では処理はしないものを陰性対照とし、その後、ATPレベルの回復を上記と同様に調べた。陰性対照に1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置していないパーキンソン病細胞モデルを構築した。次いで、細胞内ATPレベルに対する回復作用を上記と同様に調べた。
【0146】
その結果、表22に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウム(MPP+)により引き起こされたミトコンドリア活性の低下に応じた細胞内ATP消失は、ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、又はミシマサイコの根の90%エタノールの単体抽出物の処理により、正常群のレベルの最大68%〜69%まで回復した。その一方で、回復率は、ボタンの根皮とミシマサイコの根との混合物の抽出物、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根との混合物の抽出物、及びアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の処理により最大78%〜83%まで増加した。特に、回復率は、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物で処理したときの最大95.82%が最も高いものであった(表22)。
【0147】
【表22】
【0148】
<4−3>パーキンソン病細胞モデルにおける、上記のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、及びミシマサイコの根の少なくとも2つを含む混合物の抽出物による活性酸素種(ROS)生成の減少
パーキンソン病細胞モデルにおける、ボタンの根皮とミシマサイコの根との混合物の抽出物、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根との混合物の抽出物、アンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物、及びボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の処理に応じたミトコンドリア機能障害により引き起こされたROS生成の減少作用を調べるため、細胞内ROSの濃度を、2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(DCF−DA)を用いて測定した。
【0149】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1μg/mlの濃度の、実施例2において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根との混合90%エタノール抽出物、実施例3において調製したボタンの根皮とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物、実施例4において調製したアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物、又は実施例<5−1>において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、ROSを実験実施例<3−5>に記載のものと同様にDCF−DA/ビスベンズイミドの比を基に定量化した。増加又は低下したかのいずれかのROSレベルを抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照のROSレベルと比較し、結果を正常対照の%として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置したが、抽出物又はその活性成分を処置しないことにより構築した。次いで、ROS生成の減少作用を上記と同様に調べた。
【0150】
その結果、表23に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウム(MPP+)により引き起こされたミトコンドリア活性の低下に起因するROS生成は、ボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、又はミシマサイコの根の90%エタノールの単体抽出物の処理の後に、正常レベルの144%〜146%と大きく回復した一方で、ROS生成は、ボタンの根皮とミシマサイコの根との混合物の抽出物、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根との混合物の抽出物、及びアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の処理の後に正常レベルの120%〜132%と大きく回復した。特に、ROS生成はボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の処理によりほぼ正常レベルの108.20%まで回復し、上記混合物の抽出物が最も高い回復作用を有することが示唆された(表23)。
【0151】
【表23】
【0152】
実験実施例5:様々な混合比に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の細胞内効能の評価
<5−1>パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する様々な混合比に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する様々な混合比に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の回復作用を調べるため、ミトコンドリア活性の指標物質を初めに確かめ、回復作用を比較した。
【0153】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を1μg/mlの濃度の、実施例5において調製した様々な混合比のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根との種々の混合90%エタノール抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、細胞生存率を、カルセインを用いて実験実施例<1−1>に記載のものと同様に測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照群の細胞生存率と比べて増加又は低下した細胞生存率を算出し、百分率(%)として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、上記と同様に、正常対照群の細胞生存率と比べて増加又は低下した細胞生存率を算出し、百分率(%)として表した。
【0154】
その結果、表24に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより引き起こされたミトコンドリア活性の減少が、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物(1:1:1)の抽出物で処理した後に正常対照の93.22%とかなり回復し、最も高いものであった(表24)。
【0155】
【表24】
【0156】
<5−2>パーキンソン病細胞モデルにおける、細胞内ATP消失に対する様々な混合比に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア機能障害の回復に対する様々な混合比に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の作用を調べるため、ATPアッセイを行い、細胞内ATP消失に対する回復作用を確かめた。
【0157】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を1μg/mlの濃度の、実施例5において調製した様々な混合比のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根との種々の混合90%エタノール抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、細胞内ATPレベルを実験実施例<1−3>に記載のものと同様に測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照群の細胞内ATPレベルと比べて増加又は低下した細胞内ATPレベルを算出し、百分率(%)として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、細胞内ATP消失に対する回復作用を上記と同様に確かめた。
【0158】
その結果、表25に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより引き起こされた細胞内ATP消失は、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物(1:1:1)の抽出物で処理した後に正常対照の94.10%とかなり回復し、最も高いものとなった(表25)。
【0159】
【表25】
【0160】
<5−3>パーキンソン病細胞モデルにおける、様々な混合比に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の活性酸素種(ROS)生成の減少作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、様々な混合比に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の回復作用を調べるため、2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(DCF−DA)を用いて細胞内ROSの濃度を測定した。
【0161】
詳細には、マウス小膠細胞株であるBV2を、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1μg/mlの濃度の、実施例5において調製した様々な混合比のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根との種々の混合90%エタノール抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、ROSを実験実施例<3−5>に記載のものと同様にDCF−DA/ビスベンズイミドの比を基に定量化した。増加又は低下したかのいずれかのROSレベルを抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照のROSレベルと比較し、結果を正常対照の%として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置したが、抽出物又はその活性成分を処置しないことにより構築した。次いで、ROS生成の減少作用を上記と同様に調べた。
【0162】
その結果、表26に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより引き起こされたミトコンドリア活性の低下に起因するROS生成が、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物(1:1:1)の抽出物で処理した後に正常対照の106.23%と大きく回復し、最も高いものとなった(表26)。
【0163】
【表26】
【0164】
実験実施例6:エタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物(1:1:1、w:w:w)の細胞内効能の評価
<6−1>エタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物(1:1:1、w:w:w)における活性成分の変化
エタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物における活性成分の変化を調べた。
【0165】
詳細には、10%、30%、50%、70%、及び90%の様々な濃度の抽出溶媒のエタノールをボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物(1:1:1、w:w:w)に添加した後、実施例<5−1>に記載のものと同様に抽出した。得られた混合抽出物はHPLCを用いた定量的分析に進んだ。
【0166】
その結果、表27に示すように、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物(1:1:1)は、最も高いペオノール、ペオニフロリン、サイコサポニンA、及びイムペラトリンの含量を示した(表27)。
【0167】
【表27】
【0168】
<6−2>パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する、エタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物(1:1:1、w:w:w)の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する、エタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物(1:1:1)の抽出物の回復作用を調べるため、ミトコンドリア活性の指標物質をパーキンソン病細胞モデルにおいて試験した。
【0169】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、様々な濃度のエタノールを用いて、1μg/mlの濃度の、実施例<5−1>において調製されたボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根の混合エタノール抽出物(1:1:1)で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、細胞生存率を、カルセインを用いて実験実施例<1−1>に記載のものと同様に測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照の細胞生存率と比べて増加又は低下した細胞生存率を算出し、百分率(%)として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、細胞生存率も、上記と同様に正常対照の細胞生存率と比較することにより、増加又は低下のいずれかを測定した。
【0170】
その結果、表28に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより減少したミトコンドリア活性は、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物(1:1:1)で処理した後に、正常対照の95.02%とかなり回復し、最も高ものとなった(表28)。
【0171】
【表28】
【0172】
<6−3>パーキンソン病細胞モデルにおける、ATP消失に対するエタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物抽出物(1:1:1、w:w:w)の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア機能障害に対するエタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物(1:1:1、w:w:w)の抽出物の回復作用を調べるため、ATPアッセイを行い、細胞内ATP消失に対する回復作用を確かめた。
【0173】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、様々な濃度のエタノールを用いて、1μg/mlの濃度の、実施例<5−1>において調製したボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根の混合エタノール抽出物(1:1:1)で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、細胞内ATPレベルを実験実施例<1−3>に記載のものと同様に測定した。細胞内ATPレベルの増減を、抽出物又は活性成分で処理しなかったが、DMSOでのみ処理した正常対照の細胞内ATPレベルと比べることにより算出した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照細胞の細胞内ATPレベルと比べて増加又は低下した細胞内ATPレベルを算出し、百分率(%)として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、細胞内ATPレベルに対する回復作用を上記と同様に調べた。
【0174】
その結果、表29に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより減少したミトコンドリア活性は、混合90%エタノール抽出物で処理した後に、正常対照の96.45%とかなり回復し、最も高いものとなった(表29)。
【0175】
【表29】
【0176】
<6−4>パーキンソン病細胞モデルにおける、エタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物(1:1:1)による活性酸素種(ROS)生成の減少
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア機能障害により引き起こされたROS生成に対する、エタノール濃度に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物(1:1:1)の減少作用を調べるため、2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(DCF−DA)を用いて細胞内ROSの濃度を測定した。
【0177】
詳細には、マウス小膠細胞株であるBV2を、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を、1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、様々な濃度のエタノールを用いて、1μg/mlの濃度の、実施例5において調製した様々な混合比のボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根の種々の混合エタノール抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、ROSを実験実施例<3−5>に記載のものと同様にDCF−DA/ビスベンズイミドの比を基に定量化した。増加又は低下したかのいずれかのROSレベルを抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照のROSレベルと比較し、結果を正常対照の%として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、ROS生成の減少作用を上記と同様に調べた。
【0178】
その結果、表30に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより減少したミトコンドリア活性は、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物(1:1:1)で処理した後に、正常対照の105.06%と大きく回復し、最も高いものとなった(表30)。
【0179】
【表30】
【0180】
実験実施例7:抽出溶媒の種類に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の細胞内効能の評価
<7−1>パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する抽出溶媒の種類に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア活性に対する抽出溶媒の種類に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の回復作用を調べるため、パーキンソン病細胞モデルにおいてミトコンドリア活性の指標物質を試験した。
【0181】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を、1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、様々な濃度のエタノールを用いて、1μg/mlの濃度の、実施例<5−1>において調製したボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根の混合エタノール抽出物(1:1:1)で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、細胞生存率を、カルセインを用いて実験実施例<1−1>に記載のものと同様に測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照細胞の細胞生存率と比べて増加又は低下した細胞生存率を算出し、百分率(%)として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、細胞生存率も、上記と同様に正常対照の細胞生存率と比較することにより、増加又は低下のいずれかを測定した。
【0182】
その結果、表31に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより減少したミトコンドリア活性は、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物で処理した後に、正常対照の93.09%とかなり回復し、最も高いものとなった(表31)。
【0183】
【表31】
【0184】
<7−2>パーキンソン病細胞モデルにおける、細胞内ATP消失に対する、抽出溶媒の種類に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の回復作用
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア機能障害に対する抽出溶媒の種類に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の回復作用を調べるため、ATPアッセイを行い、細胞内ATP消失に対する回復作用を確かめた。
【0185】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、様々な抽出溶媒を用いて、1μg/mlの濃度の、実施例5において調製したボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根の混合抽出物(1:1:1)で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、細胞内ATPレベルを実験実施例<1−3>に記載のものと同様に測定した。上記抽出物又はその活性成分で処理しない代わりにDMSOで処理した正常対照細胞の細胞内ATPレベルと比べて増加又は低下した細胞内ATPレベルを算出し、百分率(%)として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、細胞内ATPレベルに対する回復作用を上記と同様に調べた。
【0186】
その結果、表32に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより減少したミトコンドリア活性は、混合90%エタノール抽出物で処理した後に、正常対照の95.90%とかなり回復し、最も高いものとなった(表32)。
【0187】
【表32】
【0188】
<7−3>パーキンソン病細胞モデルにおける、抽出溶媒の種類に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物による活性酸素種(ROS)生成の減少
パーキンソン病細胞モデルにおける、ミトコンドリア機能障害により引き起こされたROS生成に対する、抽出溶媒の種類に応じたボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の減少作用を調べるため、細胞内ROSの濃度を2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(DCF−DA)を用いて測定した。
【0189】
詳細には、マウス小膠細胞株であるBV2を、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞に、様々な抽出溶媒を用いて、1μg/mlの濃度の、実施例5において調製したボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根の混合抽出物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、ROSを実験実施例<3−5>に記載のものと同様にDCF−DA/ビスベンズイミドの比を基に定量化した。増加又は低下したかのいずれかのROSレベルを抽出物又はその活性成分で処理しなかったが、DMSOで処理した正常対照のROSレベルと比較し、結果を正常対照の%として表した。陰性対照とするパーキンソン病細胞モデルを、1mMのMPP+のみを処置し、抽出物又はその活性成分を処置せずに構築した。次いで、ROS生成の減少作用を上記と同様に調べた。
【0190】
その結果、表33に示すように、1−メチル−4−フェニルピリジニウムにより減少したミトコンドリア活性は、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物で処理した後に、正常対照の106.82%と大きく回復し、最も高いものとなった(表33)。
【0191】
【表33】
【0192】
実験実施例8:ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の細胞内効能の評価
<8−1>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物によるミトコンドリア活性の改善
本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の細胞内効能を評価するために、ヒト神経芽細胞腫細胞において、ミトコンドリア生合成の代表的なマーカーであるTFAM及びH2AXの発現量をウェスタンブロット法により測定した。
【0193】
詳細には、ヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH−SY5Yを、10%FBSを補充したDMEM/F12(1:1)に接種した後、5%CO
2/95%空気(O
2)のインキュベーターにおいて37℃にて培養した。次いで、培養した細胞を1×10
5細胞/ウェルの密度にて血清非含有培地に移した。細胞を、1.0μg/mlの濃度の、実施例<5−1>において調製したボタンの根皮、アンジェリカ・ダフリカの根、およびミシマサイコの根の混合90%エタノール抽出物(1:1:1)の凍結乾燥物で処理した後、4時間培養した。培養が完了すると、パーキンソン病細胞モデルが実験実施例<4−1>に記載のものと同様に構築された。次いで、処理前の細胞を0.5mMのMPP+で処理した後、24時間培養し、ミトコンドリアの機能不全を誘発させた。細胞内タンパク質を細胞から得た後、ウェスタンブロット法を行い、STATタンパク質(S727及びY705)のリン酸化、AKTタンパク質(T308及びS473)のリン酸化、並びにTH、TFAM、及びH2AXタンパク質の発現量を調べた。βアクチンを、発現の比較のための対照タンパク質として使用した。本発明の抽出物では処理しなかったが、DMSOで処理したものを正常対照とした。0.5mMのMPP+でのみ処理し、ミトコンドリア障害を引き起こさせたものを陰性対照とした。この時の陰性対照は本発明の抽出物では処理しなかった。
【0194】
その結果、表34に示すように、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物を、1.0μg/mlの濃度にて細胞に施すと、STATタンパク質(Y705)のリン酸化、AKTタンパク質(T308及びS473)のリン酸化、並びにTH、TFAM、及びH2AXの発現量は、ほぼ正常レベルに回復した(表34)。
【0195】
【表34】
【0196】
<8−2>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物による小胞体ストレスマーカー遺伝子の発現
小胞体ストレスの回復に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の作用を調べるため、小胞体ストレスマーカー遺伝子であるGRP78及びXBP1pの発現量を測定した。
【0197】
詳細には、SH−SY5Y細胞を、実験実施例<2−2>に記載のものと同様に培養し、小胞体ストレスを誘発させた。次いで、実験実施例<1−4>に記載のものと同様に、小胞体ストレスを有する細胞を用いてRT−PCRを行った後、UV下にて1.5%アガロースゲルの電気泳動を行い、GRP78遺伝子及びXBP1p遺伝子の発現量を調べた。本発明の抽出物で処理しなかったが、DMSOでのみ処理したものを正常対照とした。抽出物又は活性成分で処理しなかったが、0.5μg/mlのタプシガルギンでのみ処理し、小胞体ストレスを誘発させたものを陰性対照とした。次いで、小胞体ストレスマーカー遺伝子の発現を上記と同様に確かめた。
【0198】
その結果、表35及び表36に示すように、小胞体ストレスマーカー遺伝子であるGRP78及びXBP1pの発現量は、1.0μg/mlの濃度の、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物の処理により、細胞内に小胞体ストレスを誘発した細胞において正常レベルに回復した(表35及び表36)。
【0199】
【表35】
【0200】
【表36】
【0201】
<8−3>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の消炎作用及び抗酸化作用
炎症応答に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物の回復作用を調べるため、グリース法を行い、2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(DCF−DA)を用いて、細胞培養培地における亜硝酸塩/硝酸塩(NO
x)の濃度及び細胞内ROSの濃度を測定した。
【0202】
詳細には、BV2細胞を実験実施例<3−1>に記載のものと同様に培養し、炎症応答を誘発させた。次いで、100μlの細胞培養培地を得て、これに5%スルファニルアミド及び2%ナフチルエチレンジアミンを含有する塩酸を含む100μlのグリース試薬を添加した後、暗室において30分間反応させた。反応が完了すると、OD
540を、ELISAマイクロプレートリーダー(Versamax、米国)を用いて測定した。培地中の一酸化窒素の濃度を、亜硝酸ナトリウムの標準的な較正曲線を用いて算出した。ROS濃度を測定するため、細胞を1μMのDCF−DA及び0.05μMのビスベンズイミド(Hoechst 33342)で処理した後、37℃にて1時間染色した。染色後、DCF−DAの蛍光強度を485nm/535nmにて測定し、ビスベンズイミドの蛍光強度を、335nm/460nmにて測定した。DCF−DA/ビスベンズイミドの比を基に、ROSを定量化した。増加又は低下のいずれかのROS量を、抽出物で処理していないが、DMSOで処理した正常対照のROS量と比較し、結果を%として表した。100ng/mlのLPSでのみ処理し、炎症応答を誘発させたが、抽出物又はその活性成分では処理しなかったものを陰性対象とした。次いで、上記と同様に、一酸化窒素濃度の減少作用及びROS濃度の減少作用を調べた。
【0203】
その結果、表37に示すように、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物が、LPS介在性のNO生成を減少させる作用(表37)及び炎症応答及びストレスにより引き起こされたDCF−DA介在性ROS生成を減少させる作用(表38)を有することを確認した。
【0204】
【表37】
【0205】
【表38】
【0206】
実験実施例9:パーキンソン病に対するボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物のin vivoにおける治療効果
<9−1>パーキンソン病動物モデルの構築:MPTP誘導性パーキンソン病マウスモデル
図1に示すように、パーキンソン病に対する本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、パーキンソン病動物モデルを構築した(
図1)。
【0207】
詳細には、5週齢の雄のC57BL/6マウス(体重:およそ19g〜22g)が分配された後、少なくとも1週間、東亜大学校ST研究科(Dong−A ST Research Division)の動物研究室において馴化させた。この時、室内温度を22±2℃に調節し、湿度を53±3%に制御した。明暗サイクルを12時間/12時間に設定した。水及び飼料を自由に摂取させた。馴化の後、マウスを5群に分け、各群に6匹のマウスを割り当てた。実施例<5−1>において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物(1:1:1)の凍結乾燥物を3%HPMCに溶解させ、これを1mg/kg、3mg/kg、及び10mg/kgの用量にて、1日1回、14日間マウスに経口投与(経口、p.o.)した。次いで、マウスに、実験の8日目から5日間、経口投与の3時間後に30mg/kgの用量にて1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)を投与し(腹腔内、i.p.)、パーキンソン病動物モデルを構築した。混合抽出物を含まない3%HPMCを5ml/kgの用量にて投与し、次いで、その後、MPTP非含有PBSを腹腔内投与したものを正常対照とした。
【0208】
<9−2>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物による、MPTP誘導性パーキンソン病マウスモデルにおける運動協調性の改善
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、上記混合物の抽出物の投与後に、MPTP誘導性パーキンソン病マウスモデルを用いて、挙動試験(ポールテスト、ロータロッドテスト)を行った。
【0209】
詳細には、パーキンソン病マウスモデルは、実験実施例<8−1>において構築されていた。動物モデルを構築の14日後に、表面が粗いポール(径:8mm、高さ:55cm)の頂部に配置させた。マウスが完全に下を向き移動する時間を30秒毎に測定し、これを回転するまでの時間として定義し(T−turn)、マウスが床に到着した時間を測定し、これを移動活動時間(T−LA)と定義した。動物を、rpmを制御することができる回転かごに入れた。動物が転落した時間を測定した(転落潜時)。3%HPMCのベヒクルを処置したものを正常対照とした。MPTPを30mg/kgの用量にて5日間、腹腔内投与(i.p.)したが、その後、混合物の抽出物を処置しなかったものを陰性対照とした。次いで、対照にポールテストを行い、T−turn及びT−LAを測定し、上記と同様にロータロッドテストを行い、転落潜時を測定した。
【0210】
その結果、表39及び表40に示すように、ベヒクルを処置した正常対照群と比べ、T−turn及びT−LAは、MPTPのみを処置した陰性対照において顕著に増加した。その一方で、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物を処置したパーキンソン病マウスモデルにおいて、T−turn及びT−LAが減少した(表39及び表40)。表41に示すように、転落潜時は、MPTPのみを処置した陰性対照において顕著に減少したが、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物を処置したパーキンソン病マウスモデルにおいて転落潜時は増大したことがロータロッドテストから確認された。それゆえ、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物の処置により、パーキンソン病マウスモデルにおいて運動協調性が回復したことが確認された(表39〜表41)。
【0211】
【表39】
【0212】
【表40】
【0213】
【表41】
【0214】
<9−3>in vivoにおける、ドーパミン作動性ニューロンに対するボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の保護作用
パーキンソン病に対する本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、本発明の混合物の抽出物を処置したMPTP誘導性パーキンソン病マウスモデルの脳組織を得て、この組織の線条体(ST)及び黒質(SN)におけるドーパミン作動性ニューロンの保護作用を確かめた。
【0215】
詳細には、実験実施例<8−2>の挙動試験を終了したマウスモデルに、筋肉内注射を介して麻酔用のゾレチル(50mg/kg)を投与した。4%パラホルムアルデヒドを含有するPBSを、心臓を介して灌流させた後、脳を摘出した。摘出した脳を4%パラホルムアルデヒドにて再度固定し、次いで、脳が沈積するまで4℃にて30%スクロース溶液に浸漬させた後、これを凍結させた。凍結させた脳組織をクリオスタットミクロトーム(製品名:CM3000、Leica、ドイツ)を用いて、30μmの冠状面に切片化し、切片をグリセリン、エチレングリコール、及びPBSを含むストック溶液に4℃にて保存した。切片をカバーガラス上に置き、PBSを用いて洗浄後、1%H
2O
2を含有するPBSを用いて15分間処理し、組織からペルオキシダーゼ活性を排除した。次いで、抗チロシンヒドロキシラーゼ抗体(抗TH;1:2000、ウサギ由来;Millipore、米国)を一次抗体として組織に施した後、一晩反応させた。ビオチン化抗ウサギIgG抗体を二次抗体として組織に施した後、室温にて90分間反応させた。反応が完了すると、組織をVectastain ABCキット(Vector Laboratories、米国)に含まれるアビジンビオチン複合体溶液で処理した後、1時間反応させた。ジアミノベンジジンを用いて発色を誘発させた。ドーパミン細胞の保護作用を調べるため、線条体(ST)の光学密度を測定し、次いで、黒質(SN)のチロシンヒドロキシラーゼ(TH)陽性細胞を計数した。溶媒を処置し、陰性対照に対してMPTPを30mg/kgの用量にて5日間、腹腔内投与(i.p.)したが、その後、混合物の抽出物を処置しなかったものを正常対照群とした。
【0216】
その結果、表42に示すように、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物を投与したパーキンソン病動物モデルの線条体(ST)において染色されたTHの光学密度は、用量依存的に増大し、抽出物がドーパミン作動性ニューロンに対する保護作用を有することを示唆した。表43に示すように、黒質(SN)のTH陽性細胞も、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物の投与に応じて、用量依存的に増加した(表42及び表43)。
【0217】
【表42】
【0218】
【表43】
【0219】
<9−4>in vivoにおける、ドーパミン量に対するボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の作用
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、本発明の混合物の抽出物を処置したMPTP誘導性パーキンソン病マウスモデルの脳組織を得て、組織内のドーパミンレベルを測定した。
【0220】
詳細には、脳は実験実施例<8−2>における挙動試験を終了したマウスから摘出した。STを摘出した脳から分離した後、ホモジナイズした。STに過塩素酸(Sigma)を添加した後、培養した。培養したSTを濾過し、加圧し、濃縮した。濃縮した抽出物はクロマトグラフィーに進み、ドーパミンレベルを測定した。溶媒を処置し、陰性対照に対して、MPTPを30mg/kgの用量にて5日間、腹腔内投与(i.p.)したが、その後、混合物の抽出物を処置しなかったものを正常対照群とした。
【0221】
その結果、表44に示すように、ドーパミンのレベルは、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物を処置していないパーキンソン病動物モデルにおいて顕著に減少したが、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物を動物に投与すると顕著に増加した(表44)。
【0222】
【表44】
【0223】
<9−5>in vivoにおける、TH、ミトコンドリア、及びインスリンシグナル伝達系の障害に対するボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の回復作用
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、本発明の混合物の抽出物を処置したMPTP誘導性パーキンソン病マウスモデルの脳組織を得て、ミトコンドリアマーカーであるTH及びND9の発現量、並びにインスリンシグナル伝達系マーカーであるAkt1のリン酸化レベルを測定した。
【0224】
詳細には、黒質(SN)、線条体(ST)、及び小脳の切片を実験実施例<8−3>に記載のものと同様に得て、それらから脳組織タンパク質を得た。タンパク質を用いてウェスタンブロット法を行い、TH及びND9の発現量並びにAkt1(S473及びT308)のリン酸化レベルを測定した。この時、βアクチンを発現の比較のための対照タンパク質として使用した。溶媒を処置し、陰性対照に対して、MPTPを30mg/kgの用量にて5日間、腹腔内投与(i.p.)したが、その後、混合物の抽出物を処置しなかったものを正常対照群とした。
【0225】
その結果、表45〜表47に示すように、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物を10mg/kgの用量にて投与した動物モデルにおけるSN、ST、及び小脳のTH及びND9の発現量は、ほぼ正常対照のこれらの発現量程の高い正常レベルに回復し、Akt1タンパク質のリン酸化レベルも正常レベルに回復した(表45〜表47)。
【0226】
【表45】
【0227】
【表46】
【0228】
【表47】
【0229】
実験実施例10:パーキンソン病に対するボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物のin vivoにおける治療効果
<10−1>パーキンソン病動物モデルの構築:6−OHDA(6−ヒドロキシドーパミン)誘導性パーキンソン病マウスモデル
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、パーキンソン病動物モデルを
図2に示すように構築した(
図2)。
【0230】
詳細には、8週齢の雄のICRマウス(体重:およそ19g〜22g)が分配された後、少なくとも1週間、慶熙大学校薬学科(Kyung Hee University College of Pharmacy)の動物研究室において馴化させた。この時、室内温度を22±2℃に調節し、湿度を53±3%に制御した。明暗サイクルを12時間/12時間に設定した。水及び飼料を自由に摂取させた。馴化の後、マウスを3群に分け、各群に6匹のマウスを割り当てた。16μgの6−OHDA(6−ヒドロキシドーパミン)を、2μlの0.1%アスコルビン酸に希釈し、これを、定位手術を介して各マウスに注射し、パーキンソン病動物モデルを構築した。実施例<5−1>において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物(1:1:1)の凍結乾燥物を水に溶解させ、これをマウスに、3mg/kgの用量にて1日1回、7日間、経口投与(経口、p.o.)した。溶媒を処置し、陰性対照に対して、定位手術を介して6−OHDAを含有する0.1%アスコルビン酸を注射したものを正常対照群とした。
【0231】
<10−2>6−OHDA誘導性パーキンソン病マウスモデルにおける、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物による運動協調性の改善
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、上記混合物の抽出物の投与後に、6−OHDA誘導性パーキンソン病マウスモデルを用いて、挙動試験(ポールテスト、ロータロッドテスト)を行った。
【0232】
詳細には、パーキンソン病マウスモデルは、実験実施例<9−1>において構築されていた。動物モデルを構築の7日後に、表面が粗いポール(径:8mm、高さ:55cm)の頂部に配置させた。マウスが完全に下を向き移動する時間を30秒毎に測定し、これを回転するまでの時間として定義し(T−turn)、マウスが床に到着した時間を測定し、これを移動活動時間(T−LA)と定義した。動物を、rpmを制御することができる回転かごに入れた。動物が転落した時間を測定した(転落潜時)。溶媒を処置し、陰性対照に対して、定位手術を介して6−OHDAを含有する0.1%アスコルビン酸を注射したものを正常対照群とした。次いで、対照にポールテストを行い、T−turn及びT−LAを測定し、上記と同様にロータロッドテストを行い、転落潜時を測定した。
【0233】
その結果、表48及び表49に示すように、溶媒を処置した正常対照群と比べ、T−turn及びT−LAは、6−OHDAのみを処置した陰性対照群において顕著に増加した。その一方で、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物を処置したパーキンソン病マウスモデルにおいて、T−turn及びT−LAが減少した(表48及び表49)。表50に示すように、転落潜時は、6−OHDAのみを処置した陰性対照において顕著に減少したが、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物を処置したパーキンソン病マウスモデルにおいて転落潜時は増大したことがロータロッドテストから確認された。それゆえ、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物の処置により、パーキンソン病マウスモデルにおいて運動協調性が回復したことが確認された(表48〜表50)。
【0234】
【表48】
【0235】
【表49】
【0236】
【表50】
【0237】
<10−3>in vivoにおける、ドーパミン作動性ニューロンに対するボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の保護作用
パーキンソン病に対する本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、本発明の混合物の抽出物を処置した6−OHDA誘導性パーキンソン病マウスモデルの脳組織を得て、この組織の線条体(ST)及び黒質(SN)におけるドーパミン作動性ニューロンの保護作用を確かめた。
【0238】
詳細には、実験実施例<9−2>の挙動試験を終了したマウスモデルに、筋肉内注射を介して麻酔用のゾレチル(50mg/kg)を投与した。4%パラホルムアルデヒドを含有するPBSを、心臓を介して灌流させた後、脳を摘出した。摘出した脳を4%パラホルムアルデヒドにて再度固定し、次いで、脳が沈積するまで4℃にて30%スクロース溶液に浸漬させた後、これを凍結させた。凍結させた脳組織をクリオスタットミクロトーム(製品名:CM3000、Leica、ドイツ)を用いて、30μmの冠状面に切片化し、切片をグリセリン、エチレングリコール、及びPBSを含むストック溶液に4℃にて保存した。切片をカバーガラス上に置き、PBSを用いて洗浄後、1%H
2O
2を含有するPBSを用いて15分間処理し、組織からペルオキシダーゼ活性を排除した。次いで、抗チロシンヒドロキシラーゼ抗体(抗TH;1:2000、ウサギ由来;Millipore、米国)を一次抗体として組織に施した後、一晩反応させた。ビオチン化抗ウサギIgG抗体を二次抗体として組織に施した後、室温にて90分間反応させた。反応が完了すると、組織をVectastain ABCキット(Vector Laboratories、米国)に含まれるアビジンビオチン複合体溶液で処理した後、1時間反応させた。ジアミノベンジジンを用いて発色を誘発させた。ドーパミン細胞の保護作用を調べるため、線条体(ST)の光学密度を測定し、次いで、黒質(SN)のチロシンヒドロキシラーゼ(TH)陽性細胞を計数した。溶媒を処置し、陰性対照に対して、定位手術を介して6−OHDAを含有する0.1%アスコルビン酸を注射したものを正常対照群とした。
【0239】
その結果、表51及び表52に示すように、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物を投与したパーキンソン病動物モデルの線条体(ST)において染色されたTHの光学密度は、用量依存的に増大し、抽出物がドーパミン作動性ニューロンに対する保護作用を有することを示唆した。黒質(SN)のTH陽性細胞も、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物の投与に応じて、用量依存的に増加した(表51及び表52)。
【0240】
【表51】
【0241】
【表52】
【0242】
実験実施例11:パーキンソン病に対する、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物のin vivoにおける治療効果
<11−1>パーキンソン病動物モデルの構築:ロテノン誘導性パーキンソン病ラットモデル
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、パーキンソン病動物モデルを
図3に示すように構築した(
図3)。
【0243】
詳細には、7週齢の雄のSDラット(体重:200g〜220g)が分配された後、少なくとも1週間、東亜大学校ST研究科の動物研究室において馴化させた。この時、室内温度を22±2℃に調節し、湿度を53±3%に制御した。明暗サイクルを12時間/12時間に設定した。水及び飼料を自由に摂取させた。馴化の後、ラットを3群に分け、各群に6匹のラットを割り当てた。実施例<5−1>において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物(1:1:1)の凍結乾燥物を水に溶解させ、これをラットに10mg/kgの用量にて1日1回、6週間、経口投与(経口、p.o.)した。次いで、ラットに、経口投与の1週間後にロテノンを2.5mg/kgの用量にて1日1回、5週間投与し(腹腔内、i.p.)、パーキンソン病動物モデルを構築した。溶媒を処置し、陰性対照に対して、ロテノンを2.5mg/kgの用量にて1日1回、5週間、投与した(腹腔内、i.p.)ものを正常対照群とした。
【0244】
<11−2>ロテノン誘導性パーキンソン病ラットモデルにおける、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物による運動協調性の改善
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、上記混合物の抽出物の投与後に、挙動試験(円筒試験)をロテノン誘導性パーキンソン病ラットモデルに行った。
【0245】
詳細には、円筒試験を、実験実施例<11−1>において構築したパーキンソン病ラットモデルに行った。ラットを円筒(高さ:30cm、径:20cm)に入れた。ラットが体を起こし、壁に前脚を置いた回数を5分間計数した。溶媒を処置し、陰性対照に対して、ロテノンを2.5mg/kgの用量にて1日1回、5週間、腹腔内投与したものを正常対照群とした。同様に、対照群を用いて、ラットが体を起こし、壁に前脚を置いた回数を5分間計数した。
【0246】
その結果、表53に示すように、ロテノンのみを投与した陰性対照群の起立数は、溶媒のみを処置した正常対照群の起立数と比べ、顕著に減少したが、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物を投与すると増加した(表53)。
【0247】
【表53】
【0248】
<11−3>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物によるα−シヌクレイン蓄積の低下
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、脳組織を、混合抽出物を処置したロテノン誘導性パーキンソン病ラットモデルから得た。脳組織の黒質(SN)におけるα−シヌクレインオリゴマーの蓄積パターンを調べた。
【0249】
詳細には、実験実施例<11−2>における挙動試験を終了したラットモデルに、筋肉内注射を介して麻酔用のゾレチル(50mg/kg)を投与した。4%パラホルムアルデヒドを含有するPBSを、心臓を介して灌流させた後、脳を摘出した。摘出した脳を4%パラホルムアルデヒドにおいて再度固定し、次いで、脳が沈積するまで4℃にて30%スクロース溶液に浸漬させた後、これを凍結させた。凍結させた脳組織をクリオスタットミクロトーム(製品名:CM3000、Leica、ドイツ)を用いて、30μmの冠状面に切片化し、切片をグリセリン、エチレングリコール、及びPBSに4℃にて保存した。切片をカバーガラス上に置き、PBSを用いて洗浄後、1%H
2O
2を含有するPBSで15分間処理し、組織からペルオキシダーゼ活性を排除した。次いで、抗α−シヌクレイン抗体(1:2000;マウス由来、abcam、イングランド)を一次抗体として組織に施した後、一晩反応させた。ビオチン化抗マウスIgG抗体を二次抗体として組織に施した後、室温にて90分間反応させた。反応が完了すると、組織をVectastain ABCキット(Vector Laboratories、米国)に含まれるアビジンビオチン複合体溶液で処理した後、1時間反応させた。ジアミノベンジジンを用いて発色を誘発させた。α−シヌクレインオリゴマーの蓄積をα−シヌクレイン陽性細胞を計数することにより測定した。溶媒を処置し、陰性対照に対して、ロテノンを2.5mg/kgの用量にて1日1回、5週間、腹腔内投与したものを正常対照群とした。
【0250】
その結果、表54に示すように、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物を投与したパーキンソン病動物モデルの黒質(SN)におけるα−シヌクレイン陽性細胞数が減少した(表54)。
【0251】
【表54】
【0252】
実験実施例12:パーキンソン病(脳炎症)に対する、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物のin vivoにおける治療効果
<12−1>神経炎症動物モデルの構築:LPS誘導性パーキンソン病マウスモデル
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、パーキンソン病動物モデルを
図4に示すように構築した(
図4)。
【0253】
詳細には、8週齢の雄のC57BL/6マウス(体重:およそ19g〜22g)が分配された後、少なくとも1週間、慶熙大学校薬学科の動物研究室に馴化させた。この時、室内温度を22±2℃に調節し、湿度を53±3%に制御した。明暗サイクルを12時間/12時間に設定した。水及び飼料を自由に摂取させた。馴化の後に、マウスを4群に分け、各群に6匹のマウスを割り当てた。実施例<5−1>において調製したボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合90%エタノール抽出物(1:1:1)の凍結乾燥物を水に溶解させ、これをマウスに10mg/kg又は30mg/kgの用量にて1日1回、3日間経口投与(経口、p.o.)した。次いで、マウスに経口投与後にLPS(リポ多糖)を5mg/kgの用量にて投与(腹腔内、i.p.)し、パーキンソン病動物モデルを構築した。溶媒を処置し、陰性対照にLPSを5mg/kgの用量にて投与したが、その後、混合物の抽出物を処置しなかったものを正常対照群とした。
【0254】
<12−2>ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合抽出物の抗脳炎症作用
パーキンソン病に対する、本発明のボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合物の抽出物のin vivoにおける治療効果を調べるため、脳組織を、混合抽出物を処置したパーキンソン病ラットモデルから得た。混合物の抽出物の抗脳炎症作用を上記から得られた脳組織の黒質(SN)及び海馬の星状膠細胞及び小膠細胞の活性化を調べることにより確かめた。
【0255】
詳細には、実験実施例<12−1>において構築した神経炎症動物モデルに筋肉内注射を介して麻酔用のゾレチル(50mg/kg)を投与した。4%パラホルムアルデヒドを含有するPBSを、心臓を介して灌流させた後、脳を摘出した。摘出した脳を4%パラホルムアルデヒドにおいて再度固定し、次いで、脳が沈積するまで4℃にて30%スクロース溶液に浸漬させた後、これを凍結させた。凍結させた脳組織をクリオスタットミクロトーム(製品名:CM3000、Leica、ドイツ)を用いて、30μmの冠状面に切片化し、切片をグリセリン、エチレングリコール、及びPBSに4℃にて保存した。切片をカバーガラス上に置き、PBSを用いて洗浄後、1%H
2O
2を含有するPBSで15分間処理し、組織からペルオキシダーゼ活性を排除した。次いで、抗GFAP抗体(1:5000;ウサギ由来、Neuromics、米国)又は抗Iba−1抗体(1:1000;ウサギ由来、ダコ・ジャパン株式会社、日本)を一次抗体として組織に施した後、一晩反応させた。ビオチン化抗ウサギIgG抗体を二次抗体として組織に施した後、室温にて90分間反応させた。反応が完了すると、組織をVectastain ABCキット(Vector Laboratories、米国)に含まれるアビジンビオチン複合体溶液で処理した後、1時間反応させた。ジアミノベンジジンを用いて発色を誘発させた。SN及び海馬において活性化した星状膠細胞及び小膠細胞のレベルをGFAP及びIba−1の陽性細胞の数を計数することにより測定した。溶媒を処置し、陰性対照にはLPSを5mg/kgの用量にて投与し、その後、本発明の混合物の抽出物を処置しなかったものを正常対照群とした。
【0256】
その結果、表55及び表56に示すように、パーキンソン病マウスモデルの黒質(SN)のLPSにより増加したGFAP及びlba−1の陽性細胞が、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物を投与することにより用量依存的に減少した。上記の結果は、星状膠細胞及び小膠細胞の活性化が減少し、すなわち脳炎症が減少したことを示した(表55及び表56)。表57及び表58に示すように、パーキンソン病マウスモデルの海馬の、LPSにより増加したGFAP及びlba−1の陽性細胞が、ボタンの根皮とアンジェリカ・ダフリカの根とミシマサイコの根との混合エタノール抽出物の投与により用量依存的に減少した。同様に、星状膠細胞及び小膠細胞の活性化が減少し、脳炎症が減少したことが示唆された(表57及び表58)。
【0257】
【表55】
【0258】
【表56】
【0259】
【表57】
【0260】
【表58】
【0261】
製造例1:医薬配合物の調製
<1−1>粉末の調製
本発明の混合抽出物又はその画分 0.1g
ラクトース 1.5g
タルク 0.5g
【0262】
上記成分の全てを混合して散剤を調製し、散剤を調製する従来法に従って気密性パックに充填した。
【0263】
<1−2>錠剤の調製
本発明の混合抽出物又はその画分 0.1g
ラクトース 7.9g
結晶セルロース 1.5g
ステアリン酸マグネシウム 0.5g
【0264】
従来の直打法により、上記成分の全てを混合して錠剤を調製した。
【0265】
<1−3>カプセル剤の調製
本発明の混合抽出物又はその画分 0.1g
コーンスターチ 5g
カルボキシセルロース 4.9g
【0266】
上記成分の全てを混合してカプセル剤を調製し、カプセル剤を調製する従来法に従って硬カプセル剤に充填した。
【0267】
<1−4>注射液の調製
本発明の混合抽出物又はその画分 0.1g
滅菌蒸留水 適量
pH調整剤 適量
【0268】
上記成分を全て混合し、注射液を調製するための従来法によって、この混合物を2ml容のアンプルに入れ、このアンプルを滅菌することにより注射液を作製した。
【0269】
<1−5>液体製剤の調製
本発明の混合抽出物又はその画分 0.1g
異性化糖 10g
マンニトール 5g
精製水 適量
【0270】
上記成分の全てを精製水に溶解した。レモン風味を添加した後、精製水を添加して総容量を100mlに調整した。この混合物を褐色瓶に入れ、液体製剤を調製する従来法によりそれを滅菌して液体製剤を調製した。
【0271】
製造例2:健康機能食品の調製
<2−1>小麦粉食品の調製
本発明の混合物の抽出物又はその画分0.5重量部〜5.0重量部を小麦粉に添加した。従来法に従い、該小麦粉混合物を用いてパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類等の健康増進用食品を調製した。
【0272】
<2−2>スープ及びグレービーの調製
本発明の混合物の抽出物又はその画分0.1重量部〜5.0重量部をスープ及びグレービーに添加した。この混合物を用いて従来法により健康増進用の肉製品であるスープ及びグレービーを調製した。
【0273】
<2−3>牛挽肉の作製
本発明の混合物の抽出物又はその画分10重量部と牛挽肉とを従来法に従い混合することにより、健康増進用の牛挽肉を作製した。
【0274】
<2−4>乳製品の作製
本発明の混合物の抽出物又はその画分5重量部〜10重量部を牛乳に添加した。従来法に従い、牛乳混合物を用いてバター及びアイスクリーム等の健康増進用の乳製品を調製した。
【0275】
<2−5>禅食(Sun−Sik:ソンシク)の調製
従来法に従って玄米、オオムギ、モチ米及びハトムギ(Yulmu:ジュズダマ)(Job's tears)を糊化し、乾燥し、粉砕して60メッシュ粉末を得た。
【0276】
従来法に従って黒豆、黒ゴマ及びエゴマを蒸して乾燥させ、粉砕して60メッシュ粉末を得た。
【0277】
本発明の混合物の抽出物又はその画分を減圧下において濃縮し、噴霧乾燥させて、粉砕し、60メッシュの乾燥粉末を得た。
【0278】
禅食を穀物と種子と本発明の混合物の抽出物又はその画分との乾燥粉末を以下の比に従って混合することにより作製した。
【0279】
穀物(玄米:30重量部、ハトムギ:15重量部、オオムギ:20重量部)、
種子(エゴマ:7重量部、黒豆:8重量部、黒ゴマ:7重量部)、
本発明の混合物の抽出物又はその画分(3重量部)、
ガノデルマ・ルキドゥム(Ganoderma lucidum:レイシ)(0.5重量部)、
リューマニア・グルチノーザ(Rehmannia glutinosa:アカヤジオウ)(0.5重量部)
【0280】
<2−6>健康補助食品の調製
本発明の混合物の抽出物又はその画分 100mg
複合ビタミン 適量
ビタミンAアセテート 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB1 0.13mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
ミネラル 適量
硫酸第一鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
一塩基性リン酸カリウム 15mg
二塩基性リン酸カリウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
【0281】
ビタミン及びミネラルを健康食品の好ましい組成比率に従って混合した。しかしながら、組成比率を調整することができる。健康食品を調製する従来法に従って構成要素を混合し、その後、健康食品用組成物を従来法に従って調製した。
【0282】
製造例3:健康飲料の調製
本発明の混合抽出物又はその画分 100mg
クエン酸 100mg
オリゴ糖 100mg
ウメ(プルヌス・ムメ(Prunus mume))抽出物 2mg
タウリン 100mg
精製水 500mlまで適量
【0283】
健康飲料を調製する従来法に従って上記構成要素を混合した。混合物を85℃にて1時間、撹拌しながら加熱し、その後濾過した。濾過物を1lの滅菌容器に入れ、密閉して再度滅菌し、滅菌容器を健康飲料用組成物の調製に使用するまで冷蔵庫で保管した。
【0284】
嗜好性飲料に適した構成要素は、好ましい混合比率に従って混合されるが、地域及び国の好み等に応じて組成比率を調整することができる。
【0285】
当業者であれば、上記の明細書に開示された概念及び具体的な実施形態が、本発明と同じ目的で実施される他の実施形態を改変又は設計する基礎として容易に利用し得ることが理解されるだろう。当業者であれば、このような同等の実施形態が添付の特許請求の範囲に記載の本発明の趣旨及び範囲から逸脱することがないことも理解されるだろう。