特許第6449483号(P6449483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 吉 ▲訓▼明の特許一覧

特許6449483虚血プレコンディショニング治療機器、その使用、および、それを使用して血管の健康状態を判断する方法
<>
  • 特許6449483-虚血プレコンディショニング治療機器、その使用、および、それを使用して血管の健康状態を判断する方法 図000002
  • 特許6449483-虚血プレコンディショニング治療機器、その使用、および、それを使用して血管の健康状態を判断する方法 図000003
  • 特許6449483-虚血プレコンディショニング治療機器、その使用、および、それを使用して血管の健康状態を判断する方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449483
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】虚血プレコンディショニング治療機器、その使用、および、それを使用して血管の健康状態を判断する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20181220BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   A61B17/12
   A61B5/022 A
   A61B5/022 400A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-552201(P2017-552201)
(86)(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公表番号】特表2018-502686(P2018-502686A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】CN2015070731
(87)【国際公開番号】WO2016101367
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年1月12日
(31)【優先権主張番号】201410834305.2
(32)【優先日】2014年12月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517222904
【氏名又は名称】吉 ▲訓▼明
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】吉 ▲訓▼明
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲謙▼▲鋭▼
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−239513(JP,A)
【文献】 特開2014−014556(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103584845(CN,A)
【文献】 中国実用新案第203169547(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0238107(US,A1)
【文献】 特表2009−523512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装と、アームバンドと、前記外装に取り付けられたボタンと、表示画面と、制御回路とを有し、
前記外装は、左右両側のアームバンドとそれぞれ接続するための2つのアームバンドプラグホールを備え、
前記外装内に、ガス進路構造を備え、
前記ガス進路構造は、左ガスポンプ、右ガスポンプ、左電磁弁、右電磁弁、および開放弁にそれぞれ接続される5進路装置を有し、
前記左電磁弁は、左圧力センサーを挟んで、左アームバンドホルダーに接続され、
前記右電磁弁は、右圧力センサーを挟んで、右アームバンドホルダーに接続され、
前記左アームバンドホルダーと前記右アームバンドホルダーは、それぞれ、前記外装の両側に各々設けられた前記アームバンドプラグホールに接続される
ことを特徴とする虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器。
【請求項2】
前記制御回路が、マイクロプロセッサと、A/D変換チップと、時計/カレンダーチップと、メモリーチップと、電源供給回路とを有し、
前記マイクロプロセッサが、さらに、GPRSモジュールに接続される
ことを特徴とする請求項1記載の虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器。
【請求項3】
前記GPRSモジュールが、GPRS送受信チップと、SIMカードスロットと、電力増幅チップと、アンテナとを有し、
前記GPRS送受信チップが、RxDポートとTxDポートを備え、前記RxDポートおよび前記TxDポートを介して前記マイクロプロセッサに接続され、
前記GPRS送受信チップが、それぞれ、前記SIMカードスロットおよび前記電力増幅チップにも接続され、且つ、前記電力増幅チップが、前記アンテナに接続される
ことを特徴とする請求項2記載の虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心血管・脳血管疾患の予防および治療の技術分野に関し、特に、虚血プレコンディショニング治療機器、その使用、および、それを使用して血管の健康状態を判断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の出願人、ジ クゥンミィン他は、2007年に“脳血管および心血管ヘルスケアおよび治療機器”という名称の発明を出願した(中国実用新案出願第200720173945.9号(特許文献1)、中国特許出願第200710176701.0号(特許文献2))。2011年に、前記出願人は、中国食品医薬品局に、このような機器のカテゴリー分類を申請するにあたり、前記機器を、前述の目的のため、“虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器”と命名し、前記名称は、中国食品医薬品局により、採択された。その後、このカテゴリーの製品は全て、申請、登録または商業上の目的のため、“虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器”と命名された。しかしながら、長時間にわたる臨床利用および患者追跡調査の後、既知の虚血プレコンディショニングトレーニングには依然としていくつかの問題が存在する。これらの問題は、以下に示す従来の特許文献および製品では完全に解決できていない。
【0003】
中国実用新案第202335859号明細書(特許文献3)は、電子血圧計の本体に、肢の血流を短時間に繰り返し且つ連続して塞ぐために、アームレットを、繰り返し、連続して、およびタイミングに合わせてといった様式で、何度も膨張および収縮させることができる装置を追加する技術的解決法を採用する、遠隔虚血プレコンディショニング機器を開示する。中国実用新案第202505429号明細書(特許文献4)は、特許文献3に開示された前記機器に基づいて、脈の酸素値を測定する感知手段を追加することで実現され、前記脈の酸素値が測定できなくなるまで200mmHgで連続的に加圧し、その後、空気注入ポンプの動きを止め、その圧力値を血流を塞ぐ値とする。前記脈の酸素値は、血管における脈動毎の血液の酸素含有量に従って測定された酸素含有量を指すため、前記方法に従って測定された値は、実際の使用において、腕が通常の状態にある、すなわち、前記腕が加圧されておらず前記血管が塞がれていない状況で認められる。前記アームレットが膨張し始めると、それは前記腕を加圧し、血流が塞がれて、前記脈の酸素値は、急速に0まで低下する。このような状態において、前記アームレットの圧力値は、確かではない。前記不確かな圧力値(基準として)に、さらに200mgHgの圧力を追加したとしても、プレコンディショニングトレーニングに必要な圧力が満たされるわけではなく、実際には、腫れや痛みを招くことになる。
【0004】
中国実用新案第203263775号明細書(特許文献5)および中国実用新案第203315307号明細書(特許文献6)は、“複数回繰り返し行った実験の結果、前記構造を採用することで、本実用新案は、塞がれた上下肢が瞬時に虚血性刺激を受けた結果としてストレス反応を起こすように、繰り返し加圧して前記上下肢を弛緩することによって、患者の血液循環を促進するという利点を持つと結論付けられた。”と、開示している。このような設計では、プレコンディショニングトレーニング方法の要件、すなわち、上肢の血管を迅速に塞ぐという要件を満たすことはできない。その理由は、プレコンディショニングトレーニングにおける上肢のエアバッグに空気を注入して加圧する過程で、腕に加えられる圧力は、まず、表在静脈、すなわち、心臓に再流する血液、を塞ぐが、深動脈血管は塞がれず、血液を腕に送り続けることになり、より大きい圧力を迅速に加えられない場合、指が腫れて血管外遊出することになり、前記治療機器は、繰り返し押し出すことができない。前記特許に記載のエアバッグを用いた下肢のトレーニングについて、下静脈造影における血栓症の高確率の事象になり得るため、プレコンディショニングトレーニングは下肢に実施できないことが、現存の文献から明確に判断できる。
【0005】
中国実用新案第202801711号明細書(特許文献7)は、第1圧力センサーと、第2圧力センサーとを有する遠隔虚血プレコンディショニングトレーニング機器を開示する。前記第1圧力センサーは、空気圧調整部に設けられ、空気圧のリアルタイムフィードバックを提供し、前記第2圧力センサーは、アームレットと使用者の接触部とに配置され、前記使用者の腕の前記アームレットのリアルタイム圧力を測定する。前記機器は、動的押し出しを与えることによって、使用者を訓練する。このような設計は、虚血プレコンディショニングトレーニング方法の重要な前記ポイントに合わず、プレコンディショニング治療を不快なものにしたり潜在的に危険なものにするかもしれない。
【0006】
出願人、チェン ツェア他、および関連企業は、虚血プレコンディショニング治療機器に関する複数の特許(中国実用新案第203138608号明細書(特許文献8)、中国実用新案第203139071号明細書(特許文献9)、中国特許出願公開第102895013号明細書(特許文献10)および中国実用新案第203169547号明細書(特許文献11))を続けて出願した。これらの特許文献は、虚血プレコンディショニングトレーニングに使用するため、“首都医科大学シェンウー病院が、体外安全身体非侵襲性法、すなわち、遠位虚血プレコンディショニングトレーニング方法を採用する”ことを記載する。また、これらの特許は、“現状の産業において、前記原理を使用した医療装置および機器に関する研究はなく、対応する医療装置および機器を研究するために、どのように前記原理を十分に活用するかは、当業者が直面している課題だ”と記載する。実際、首都医科大学シェンウー病院は、虚血プレコンディショニングトレーニングのパイオニア研究のナショナルチームとして、2008年に、前記プレコンディショニング治療機器を続けて開発した。また、開発された機器は、ここ数年、さらに研究および改良され、何千もの患者に使用された。しかしながら、これらの特許に記載の前記虚血プレコンディショニング治療機器は、内部のガス進路構造の不合理な設計のせいで、プレコンディショニングトレーニングの間、患者が、指が腫れて血管外遊出するという不快感をもつという、臨床利用および構造に不利な点がある。加えて、前記特許文献の機器について、空気注入ポンプの配置および患者経験に不備な点があったが、前記虚血プレコンディショニングトレーニング方法の前記重要なポイントに関しては、調整がなされなかった。そのため、前記特許文献に開示された機器は、前記虚血プレコンディショニング治療の機能を単に実現するためのものにすぎず、前記虚血プレコンディショニング治療の目的を実際には達成できない。
【0007】
結論として、現存の遠位虚血プレコンディショニング治療機器は、そのほとんどが、既知の血圧計の改良により得られる。確かに、これらの技術的解決法は、前記虚血プレコンディショニングトレーニングの要件によると、前記機能を実質的に成し遂げることができる。ただし、虚血プレコンディショニング治療の治療効果は、患者がそれを少なくとも3ヶ月使用し続ける意思があるとう条件で成し遂げることができ、予防目的は、使用者が長期間トレーニングを続けた場合にのみ達成される。また、機器の中には、血圧測定の精度を得るために、ガスポンプの動力を制限するよう改変するものもある。このように改変された構造によれば、前記機器は、プレコンディショニングトレーニング機能を有することができるが、有効なプレコンディショニングトレーニングを成し遂げることができず、さらに優れた治療効果を得ることができない。
【0008】
現在のところ、腕間血圧差異(IAD)の診断基準は以下の通りである。IAD≧10mmHgの場合、異常とみなされる。いくつかの研究は、収縮期圧IAD(sIAD)を2つの等級に分類する。第1級:sIAD≧10mmHg、第2級:sIAD≧20mmHg。また、拡張期圧IAD(dIAD)は、dIAD≧10mmHgである。患者のIADが高い場合、前記患者は、末梢血管疾患があるかもしれないと考えられる。
【0009】
最近の研究結果によると、冠動脈心疾患の疑いのある患者の386人のうち、27人(7%)のsIAD≧15mmHgの患者が大きな心筋虚血領域を持ち、IAD患者の63%は冠動脈心疾患と診断され、そのうちの83%は多枝疾患を患っていた。そのため、IADは、冠動脈病変の指標になる可能性がある。
【0010】
目下、ほとんどの外国の学者が、腕間血圧差異(IAD)の名称を用いる。現在のところ、健常者の収縮期圧および拡張期圧のIADは、どちらも10mmHg未満であると一般的に考えられている。現時点で、2つの関連研究が外国において存在する。1つの研究において、83人の患者を観察し、5〜6年にわたって追跡調査を行った結果、dIADの平均無再発生存期間は3.3年で、非dIADの平均無再発生存期間は5年だった(P<0.0001)。もう1つの研究において、421人の患者を観察し、7年にわたって追跡調査を行った。これら2つの研究によると、IAD患者における心血管・脳血管疾患の発症は増加している。平均収縮期圧および慢性ネフローゼの因子を補正すると、10mmHg毎のsIAD変動につき、死亡リスク率は、1.24(95%信頼性区間:1.01−1.52)であることがわかった。米国における前向き研究によると、患者の両腕間の血圧の差異が≧20/10mmHgの場合、心血管・脳血管疾患の発生率および死亡率は著しく増加する。
【0011】
クラーク シーイー他は、有名な医学雑誌ランセットに、従前の医学文献から分析して、心血管・脳血管疾患のリスクは、ある程度、両腕間の血圧差異によって予測できるとする論文を発表した。関連研究の報告は、28の論文を含む。これらの報告によると、IADが10mmHgに達する場合、その患者は末梢血管疾患であるかもしれず、IADが15mmHgより高い場合、末梢血管疾患(すなわち、血管が狭くなり硬くなる)のリスクは高く、既に脳血管疾患を患っているかもしれないことを示す証拠がある。その理由は、IADが高いと、2本の脚および2本の足への血液の流れの減少のリスクを2.5倍増加させ、脳への血液の流れの減少のリスクを1.6倍増加させ、心血管疾患で死亡するリスクを70%増加させ、その他の疾患で死亡するリスクを60%増加させるからである。健康状態が、測定したIAD数値によって判断でき、末梢血管疾患(PVD)が早期に発見できると、血圧およびコレステロールの低減や禁煙といった対処は、死亡リスクを減らすことに役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】中国実用新案第201098315号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101317805号明細書
【特許文献3】中国実用新案第202335859号明細書
【特許文献4】中国実用新案第202505429号明細書
【特許文献5】中国実用新案第203263775号明細書
【特許文献6】中国実用新案第203315307号明細書
【特許文献7】中国実用新案第202801711号明細書
【特許文献8】中国実用新案第203138608号明細書
【特許文献9】中国実用新案第203139071号明細書
【特許文献10】中国特許出願公開第102895013号明細書
【特許文献11】中国実用新案第203169547号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、先行技術の不備に対し、血管の健康状態の判断、両腕の血圧測定および虚血プレコンディショニングトレーニングといった複数の機能を有する虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、このような虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を用いて血管の健康状態を判断する、使用および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的を達成するために、以下のような技術的解決法が採用される:虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器は、
外装(外殻)と、アームバンドと、前記外装に取り付けられたボタンと、表示画面と、制御回路とを有し、
前記外装は、左右両側のアームバンドとそれぞれ接続するための2つのアームバンドプラグホールを備え、
前記外装内に、ガス進路構造を備え、
前記ガス進路構造は、左ガスポンプ、右ガスポンプ、左電磁弁、右電磁弁、および開放弁にそれぞれ接続される5進路装置を有し、
前記左電磁弁は、左圧力センサーを挟んで、左アームバンドホルダーに接続され、
前記右電磁弁は、右圧力センサーを挟んで、右アームバンドホルダーに接続され、
前記左アームバンドホルダーと前記右アームバンドホルダーは、それぞれ、前記外装の両側に各々設けられた前記アームバンドプラグホールに接続される。
【0016】
前記制御回路は、マイクロプロセッサと、A/D変換チップと、時計/カレンダーチップと、メモリーチップと、電源供給回路とを有する。前記マイクロプロセッサは、GPRSモジュールに接続される。
【0017】
具体的に、前記GPRSモジュールは、GPRS送受信チップと、SIMカードスロットと、電力増幅チップと、アンテナとを有する。前記GPRS送受信チップは、RxDポートとTxDポートを備え、前記RxDポートおよび前記TxDポートを介して前記マイクロプロセッサに接続される。前記GPRS送受信チップは、それぞれ、前記SIMカードスロットおよび前記電力増幅チップにも接続され、且つ、前記電力増幅チップは、前記アンテナに接続される。
【0018】
前記GPRS送受信チップは、前記RxDポートおよび前記TxDポートを用いて前記マイクロプロセッサのシリアル通信インターフェースに接続され、前記メモリーチップからデータを読み取り、トレーニングまたは血圧測定が完了する度に、前記データをバックグラウンドサーバーに返送する。送受信データの損失を避けるため、データ信号は前記電力増幅回路によって増幅されてから送信され、前記アンテナによって受信される、そして、最後のシャットダウン前のデータは、比較認証を行うために、起動の度に繰り返し送信される。
【0019】
前述の虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器の使用は、前記虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器が、血管の健康状態の判断に使用されることを特徴とする。
【0020】
前述の虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を用いて血管の健康状態を判断する方法は、
(1)2つのアームバンドを、それぞれ、使用者の左右の腕に着用させ、前記2つのアームバンドのプラグホールを、それぞれ、左アームバンドホルダーおよび右アームバンドホルダーに接続する工程と、
(2)まず第1に、前記左腕に加圧して第1の血圧測定を開始し、前記左腕から測定した収縮期圧、拡張期圧および脈を、オシログラフィの原理に従って計算し、前記測定の完了後、前記第1の測定の結果を自動的に記憶して保存する工程であって、
前記測定中の会話、動作、および前記アームバンドの異常は、異常な測定結果を招き、前記異常なデータは記憶されず、正確な測定結果が得られるまで、前記測定を再開することになる
前記虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を始動する工程と、
(3)前記右腕の第1の血圧測定を自動的に行い、前記腕から測定した収縮期圧、拡張期圧および脈を計算し、前記測定の完了後、前記第1の測定の結果を自動的に記憶して保存する工程と、
(4)有効な測定を三回繰り返した後、前記両腕間の前記収縮期圧の平均値の差分値と前記拡張期圧の平均値の差分値を、画面に表示する工程と、
(5)前記工程(4)で測定した前記差分値に従って、血管の健康状態を判断する工程と
を有する。
【0021】
研究データによると、健常人の両腕間の収縮期圧の差分値および拡張期圧の差分値は、どちらも10mmHg未満であると一般的に考えられている。上腕間血圧差異(IAD)が10mmHgに達する場合、その人は末梢血管疾患があるかもしれない。
【発明の効果】
【0022】
先行技術と比較して、本発明は以下の有利な効果を有する。
【0023】
(1)本発明の前記ガス進路構造は、短時間で、アームバンドエアバッグの圧力を、迅速に所定の圧力値にすることができ、使用時の患者の不快感および痛みを効果的に緩和できるため、トレーニング用の長時間使用に適している。
【0024】
(2)本発明は、虚血プレコンディショニングトレーニングの臨床要件を満たす、左右の腕の別々の虚血プレコンディショニングトレーニングと両腕同時の虚血プレコンディショニングトレーニングとの任意スイッチングができるだけでなく、血管の健康状態を判断する機能も有し、本発明の提供する虚血プレコンディショニング治療機器によって、患者らは、自らの血管の健康状態を判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器の設計構造を示す模式図である。
図2図2は、虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器のガス進路構造を示す模式図である。
図3図3は、虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器内部の回路接続構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、具体的な実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、以下に説明する具体的な実施例は、本発明を限定することなく説明しているにすぎない。
【実施例】
【0027】
図1は、外装1と、アームバンドと、前記外装に取り付けられたボタンと、表示画面2と、制御回路とを有する虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を示す。外装1は、左右両側のアームバンドと、それぞれ接続するための2つのアームバンドプラグホール3とを備える。
【0028】
図2に示すように、ガス進路構造4は、外装1内に備えられる。前記ガス進路構造4は、左ガスポンプ41、右ガスポンプ42、左電磁弁44、右電磁弁45、および開放弁48にそれぞれ接続される5進路装置43を有する。左電磁弁44は、左圧力センサー491を挟んで、左アームバンドホルダー46に接続される。右電磁弁45は、右圧力センサー492を挟んで、右アームバンドホルダー47に接続される。左アームバンドホルダー46と右アームバンドホルダー47とは、それぞれ、外装1の両側に各々設けられたアームバンドプラグホール3に接続される。
【0029】
前記ガス進路構造は、短時間で、アームバンドエアバッグの圧力を、迅速に所定の圧力値にできる。先行技術に記載の既知の虚血プレコンディショニング治療機器は、そのほとんどが血圧計の改良により得られ、血圧測定の精度を得るために、ガスポンプの動力に一定の制限を設けるものもあり、その結果、プレコンディショニングトレーニング機能を有するにもかかわらず、有効なプレコンディショニングトレーニング効果を得られないものがある。
【0030】
図3に示すように、前記制御回路は、マイクロプロセッサと、A/D変換チップと、時計/カレンダーチップと、メモリーチップと、電源供給回路とを有する。前記マイクロプロセッサは、さらに、GPRSモジュールに接続される。
【0031】
具体的に、前記GPRSモジュールは、GPRS送受信チップと、SIMカードスロットと、電力増幅チップと、アンテナとを有する。前記GPRS送受信チップは、RxDポートとTxDポートとを備え、前記RxDポートおよび前記TxDポートを介して前記マイクロプロセッサに接続される。前記GPRS送受信チップは、それぞれ、前記SIMカードスロットおよび前記電力増幅チップにも接続される。前記電力増幅チップは、前記アンテナに接続される。
【0032】
前記GPRS送受信チップは、前記RxDポートと前記TxDポートを備える。前記GPRS送受信チップは、前記RxDポートおよび前記TxDポートを介して前記マイクロプロセッサのシリアル通信インターフェースに接続され、前記メモリーチップからデータを読み取り、トレーニングまたは血圧測定が完了する度に、前記データをバックグラウンドサーバーに返送する。前記送受信データの損失を避けるため、前記データ信号は、まず前記電力増幅回路によって増幅されてから送信され、前記アンテナ装置を介して受信される、そして、最後のシャットダウン前のデータは、前記送受信データの比較認証を行うために、起動の度に繰り返し送信される。
【0033】
前記統合GPRSモジュールは、前記測定データ、前記トレーニングデータおよび前記故障データを、無線でサーバーデータベースにリアルタイム転送できる。トレーニングにおける長時間の持続性に左右され、長時間のデータ収集に依拠する、プレコンディショニングトレーニングの臨床効果として、前記GPRSモジュールは、データ損失または無効の確率を低減することにより、虚血プレコンディショニングトレーニングの有効性および成功率を向上させる。さらに、医師が、GPRSモジュールを用いて患者に情報を送り、前記患者に、より良いトレーニングおよび治療を指導することもできる。
【0034】
血管の健康状態を判断するために、前記虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を使用する。
【0035】
前記虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を用いて血管の健康状態を判断する方法は、
(1)2つのアームバンドを、それぞれ、使用者の左右の腕に着用させ、前記2つのアームバンドのプラグホールを、それぞれ、左アームバンドホルダー46および右アームバンドホルダー47に接続する工程と、
(2)まず第1に、前記左腕に加圧して第1の血圧測定を開始し、前記左腕から測定した収縮期圧、拡張期圧および脈を、オシログラフィの原理に従って計算し、前記測定の完了後、前記第1の測定の結果を自動的に記憶して保存する工程であって、
前記測定中の会話、動作、および前記アームバンドの異常は、異常な測定結果を招き、前記異常なデータは記憶されず、正確な測定結果が得られるまで、前記測定を再開することになる
前記虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器を始動する工程と、
(3)前記右腕の第1の血圧測定を自動的に行い、前記腕から測定した収縮期圧、拡張期圧および脈を計算し、前記測定の完了後、前記第1の測定の結果を自動的に記憶して保存する工程と、
(4)有効な測定を三回繰り返した後、前記両腕間の前記収縮期圧の平均値の差分値と前記拡張期圧の平均値の差分値とを、画面に表示する工程と、
(5)前記工程(4)で測定した前記差分値に従って、血管の健康状態を判断する工程と
を有する。
【0036】
研究データによると、健常人の両腕間の収縮期圧の差分値および拡張期圧の差分値は、どちらも10mmHg未満であると一般的に考えられている。上腕間血圧差異(IAD)が10mmHgに達する場合、その使用者は末梢血管疾患があるかもしれない。
【0037】
前記内容を考慮すると、本発明は、虚血プレコンディショニングトレーニングの臨床要件を満たす、左右の腕の別々の虚血プレコンディショニングトレーニングと両腕同時の虚血プレコンディショニングトレーニングとの任意スイッチングができるだけでなく、血管の健康状態を判断する機能も有する。
【0038】
前記虚血プレコンディショニング治療機器を用いて血圧測定を行う方法は、以下の方法を有する。
【0039】
(1)左腕の血圧を測定する場合、まず第1に、左腕にアームバンドを着用し、左ガスポンプ41が空気の注入を開始し、左電磁弁44を開いて左アームエアバッグに空気を注入すると同時に、右電磁弁45で前記右アームバンドガス進路を閉じ、使用者の血圧を、オシログラフィ法に従ってリアルタイムで測定する際は、開放弁48によってガスを均一に排出し、左圧力センサー491によって、前記アームバンドにおける前記ガスの圧力振動波をリアルタイム検出し、前記圧力振動波を電気信号に変換してフィルターにかけ、前記制御回路によって、収縮期圧、拡張期圧および脈を計算し、前記測定が完了した後、開放弁48を開いて前記ガスを排出することによって、前記左腕の血圧測定を完了する。
【0040】
(2)右腕の血圧を測定する場合、右ガスポンプ42が空気の注入を開始し、右電磁弁45を開いて右アームエアバッグに空気を注入すると同時に、左電磁弁44で前記左アームバンドガス進路を閉じ、使用者の血圧をオシログラフィ法に従ってリアルタイム測定する際は、開放弁48によって前記ガスを均一に排出し、右圧力センサー492によって、前記アームバンドにおける前記ガスの圧力振動波をリアルタイム検出し、前記圧力振動波を電気信号に変換してフィルターにかけ、前記制御回路によって、収縮期圧、拡張期圧および脈を計算し、前記測定が完了した後、開放弁48を開いてガスを排出することによって、前記右腕の血圧測定を完了する。
【0041】
虚血プレコンディショニングトレーニングのメカニズムは、心血管・脳血管疾患の予防および治療、高山病の緩和、記憶の促進、および睡眠の質の改善のために、間隔をおいて患者の上肢の血流を繰り返し塞ぐことにより、体組織細胞の能力を刺激して、虚血に抵抗/許容させ、体、臓器または組織の能力を駆使して酸素欠乏状態を切り抜けて機能させることにある。具体的に、前記虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器によってプレコンディショニングトレーニングを行う方法は、以下の工程を含む。
【0042】
(1)左腕をプレコンディショニングトレーニングに供する場合、左ガスポンプ41および右ガスポンプ42を同時に始動し、右電磁弁45を閉じて前記右アームガス進路を塞ぎ、開放弁48を閉じ、左電磁弁44を開いて、前記左腕のアームバンドエアバッグに迅速に空気を注入して加圧し、左圧力センサー491によって、圧力信号をリアルタイム検出し、前記圧力信号を前記制御回路にフィードバックし、前記アームバンドにおける前記圧力が所定の圧力値に達した後、前記制御回路によって左ガスポンプ41および右ガスポンプ42を同時に閉じる。
【0043】
前記空気注入の過程において、前記制御回路は、前記所定の圧力に達するのに要する時間を計算する。前記虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器の空気注入時間が、前記所定の圧力に達するのに要する時間を超える場合、開放弁48が自動的にガスを排出して圧力をゼロにする間、左ガスポンプ41および右ガスポンプ42は空気の注入を停止し、その後、前記ガスポンプは空気の注入を再開する。トレーニングの間、前記エアバッグ内の圧力が虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器の下限値まで低下すると、前記制御回路は、左ガスポンプ41を始動してガス圧力を補う。左圧力センサー491は、適応調整するために、全トレーニング過程における前記ガス進路の圧力変化を監視し、前記制御回路に遅延なくフィードバックを行う。前記制御回路は、所定のプログラムに応じて、加圧時間、解放時間およびトレーニング時間を制御する。
【0044】
(2)右腕をプレコンディショニングトレーニングに供する場合、左ガスポンプ41および右ガスポンプ42を同時に始動し、左電磁弁44を閉じて前記左アームガス進路を塞ぎ、開放弁48を閉じ、右電磁弁45を開いて、前記右腕のアームバンドエアバッグに迅速に空気を注入して加圧し、右圧力センサー492によって、圧力信号をリアルタイム検出し、前記圧力信号を前記制御回路にフィードバックし、前記アームバンドにおける前記圧力が所定の圧力値に達した後、前記制御回路によって左ガスポンプ41および右ガスポンプ42を同時に閉じる。
【0045】
前記空気注入の過程において、前記制御回路は、前記所定の圧力に達するのに要する時間を計算する。前記虚血プレコンディショニング治療機器の空気注入時間が、前記所定の圧力に達するのに要する時間を超える場合、開放弁48が自動的にガスを排出して圧力をゼロにする間、左ガスポンプ41および右ガスポンプ42は空気の注入を停止し、その後、前記ガスポンプは空気の注入を再開する。トレーニングの間、前記エアバッグ内の圧力が虚血プレコンディショニングトレーニング治療機器の下限値まで低下すると、前記制御回路は左ガスポンプ41を始動してガス圧力を補う。右圧力センサー492は、適応調整するために、全トレーニング過程における前記ガス進路の圧力変化を監視し、前記制御回路に遅延なくフィードバックを行う。前記制御回路は、所定のプログラムに応じて、加圧時間、解放時間およびトレーニング時間を制御する。
【0046】
(3)両腕を同時にプレコンディショニングトレーニングに供する場合、左ガスポンプ41および右ガスポンプ42を同時に始動し、左電磁弁44および右電磁弁45を同時に開き、開放弁48を閉じ、前記ガス進路を閉じる。両腕の前記アームバンドエアバッグに迅速に空気を注入して加圧し、前記アームバンドにおける前記圧力が所定の圧力値に達すると、前記制御回路によって左ガスポンプ41および右ガスポンプ42を同時に閉じる。一定の圧力を3〜5分間保った後、前記アームバンドエアバッグは前記ガスを自動的に排出して3〜5分間休憩し、その後、再び空気を注入して加圧される。前記操作を5回繰り返し、プレコンディショニングトレーニングを完了する。
【0047】
前述は、本発明の好ましい実施形態にすぎない。なお、当業者は、本発明の原理から逸脱することなく、様々な改良および改変を行うことができ、それらの改良および改変も本発明の保護の範囲内にあると考えられる。
図1
図2
図3