(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6449503
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】青汁用の乾燥野菜粉末
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20060101AFI20181220BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20181220BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20181220BHJP
【FI】
A23L2/38 J
A23L33/105
A23L7/10 H
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-88544(P2018-88544)
(22)【出願日】2018年5月2日
【審査請求日】2018年5月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504146349
【氏名又は名称】佐々木食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千々松 武司
(72)【発明者】
【氏名】河野 誠
(72)【発明者】
【氏名】森 清香
【審査官】
戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−218964(JP,A)
【文献】
特開2009−165439(JP,A)
【文献】
特開2008−167743(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/208723(WO,A1)
【文献】
特開2017−099318(JP,A)
【文献】
特開2007−037525(JP,A)
【文献】
日本分析化学会第62年会講演要旨集,2013年,p.351[P3086]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/38
A23L 33/105
A23L 7/10
A23L 19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/
WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー回折法により測定される平均粒子径が50μm以下の乾燥野菜粉末において、粒子の体積磁化率の分布において、−12.0×10-6〜−9.5×10-6の範囲の体積磁化率を示す粒子の比率が全体の50質量%以下であり、前記野菜粉末が大麦若葉粉末である、青汁用の乾燥野菜粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青汁用の乾燥野菜粉末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代は食の欧米化に伴い肉類の摂取量が増加し、野菜類の摂取量が低下してきている。野菜の摂取不足の問題を手軽に解決するための飲料として、青汁が開発され、製造販売されている(特許文献1〜2)。
【0003】
青汁はケールや大麦若葉などの乾燥粉末を水などの液体に分散させて、飲用するのが一般的であるが、微粒子は溶解するのではなく分散させるため、口腔内でのザラツキや喉越しの低下を招き、これが青汁の飲みにくさの原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-130970号公報
【特許文献2】特許第6296525号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水等に懸濁したときにザラツキがなく、喉越しのよい青汁が得られる乾燥野菜粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の青汁用の乾燥野菜粉末を提供するものである。
項1. レーザー回折法による平均粒子径が50μm以下の野菜粉末において、粒子の体積磁化率の分布において、−12.0×10
-6〜−9.5×10
-6の範囲の体積磁化率を示す粒子の比率が全体の50%以下である青汁用の乾燥野菜粉末。
項2. 前記野菜が麦類である、請求項1に記載の青汁用の乾燥野菜粉末。
【発明の効果】
【0007】
本発明の乾燥野菜粉末を水に懸濁させることで、官能的にザラツキがなく喉越しが良い青汁を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、野菜としては、ケール、大麦若葉、明日葉、クマザサ、モロヘイヤ、アスパラガス、シソ、小松菜、キャベツ、セロリ、ヨモギ、桑の葉、長命草、ブロッコリー、ゴーヤー等が挙げられ、好ましくは桑の葉、ゴーヤー、ケール、大麦若葉、明日葉、より好ましくは大麦若葉が挙げられる。これらの野菜は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0010】
本発明では、乾燥野菜の粉砕物を乾燥粉末として使用する。野菜の乾燥粉末の製造方法は特に限定されないが、例えば、乾燥処理や粉砕処理を組み合わせた方法等、従来公知の方法で行うことができる。乾燥処理や粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕物及び粉砕末を得る際には、上述の方法に、さらに必要に応じてボイル、スチームなどのブランチング処理、殺菌処理などの処理を組み合わせてもよい。また、粉砕処理を行う回数は1回でも、2回以上でもよいが、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を行うことが好ましい。
【0011】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行うことができる。加熱による乾燥は、例えば、40℃〜140℃、好ましくは80℃〜130℃にて加温により野菜が変色しない温度及び時間で行うことができる。乾燥処理を行うことにより、野菜の水分含量を目的の量に調整することができ、例えば10%以下、好ましくは5%以下とすることができる。
【0012】
野菜の粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により粉砕する処理が挙げられる。粉砕された野菜は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、50〜200メッシュを通過するものを乾燥野菜粉末として用いることが好ましい。
【0013】
本発明の青汁用の乾燥野菜粉末は、特定の体積磁化率の条件を満たすように選別工程を行うことが望ましい。
【0014】
本発明の青汁用の乾燥野菜粉末は、水に懸濁させて青汁として摂取するのが好ましい。
【0015】
本発明の青汁用の乾燥野菜粉末のレーザー回折法により測定される平均粒子径は、50μm以下、好ましくは5〜40μm、より好ましくは5〜25μmである。
【0016】
本発明の青汁用の乾燥野菜粉末粒子の体積磁化率の分布において、−12.0×10
-6〜−9.5×10
-6の範囲の体積磁化率を示す粒子の比率が全体の50質量%以下、好ましくは20〜48質量%、より好ましくは25〜47質量%、特に好ましくは30〜46質量%である。体積磁化率がこの範囲にあれば、官能的にザラツキがなく、喉越しのよい青汁を得ることができる。
【0017】
体積磁化率は、常法に従い測定することができ、例えば、特許5754575号に示されている空隙率測定方法、特許6238425号に示されている磁化率測定装置、特許第5988120号に示されている分散質分析法、及び分散質分析装置において、粒子を分散媒に分散させたときの粒子が有する体積磁化率を測定する方法が挙げられる。粒子の体積磁化率は粒子を構成する元素によって決まる。水の体積磁化率が−9.0×10
-6であり、水とのなじみがよい粒子は水に分散させたときに−9.0×10
-6に近い体積磁化率を示し、逆に水とのなじみが悪いと体積磁化率は9.0×10
-6から外れた値を示す。本発明で規定されるように、−12.0×10
-6〜−9.5×10
-6の範囲の体積磁化率を示す粒子の比率が全体の50質量%以下であれば、水になじみのある粒子が十分多く、水等に懸濁したときにザラツキがなく、喉越しのよい青汁が得られる。
【実施例】
【0018】
以下に参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0019】
実施例1
種々の乾燥条件、ブランチング条件、殺菌条件で、大麦若葉からなる6種類の青汁用乾燥野菜粉末を調製し、レーザー回折法により平均粒子径を測定した。すなわち、収穫した生葉および茎を流水にて洗浄し、裁断後、ボイルもしくはスチームにてブランチングし、冷却した後、熱風にて乾燥した。乾燥後、過熱水蒸気にて殺菌し、さらにジェットミルを用いて粉砕した。粉砕後、100メッシュに篩別し通過したものを測定用のサンプルとして用いた。また、磁化率測定装置(装置名MAIty、株式会社カワノラボ製)により各乾燥野菜粉末の磁化率を測定した。サンプルを事前にMili-Q水に分散させ、超音波で2分間分散処理した。測定温度25℃±1℃にコントロールし、最大2Tの磁石を使用して粒子を磁化させた。測定容器断面200μm×200μmのガラスセルにMili-Q水に分散させた粒子を導入し粒子の体積磁化率を測定した。さらに、以下の条件で官能試験を行った。レーザー回折法により測定(LMS-300:セイシン企業製、分散媒:エタノール)される平均粒子径を表1に示す。すべてのサンプルの平均粒子径は15μm〜20μmの範囲であった。サンプルBがもっとも小さい平均粒子径を示したが、サンプルA、D、Fの平均粒子径に差は見られず、全体として、粒子径と官能的なザラツキに相関は見られなかった。
【0020】
調製したサンプルA〜Fを水に分散させたときの体積磁化率の粒子の体積磁化率を
図1に示す。また全体の粒子の体積磁化率−12.0×10
-6〜−9.5×10
-6の範囲に含まれる粒子の割合を表1に示す。
【0021】
水とのなじみが悪いと予想される−12.0×10
-6〜−9.5×10
-6に含まれる粒子が、全体の粒子の50%以下の際に、官能的にザラツキがなく喉越しが良い結果が得られた。
【0022】
・官能試験
日常的に、青汁の官能検査を実施している検査員5名が、サンプルA〜Fについて官能検査を行い評価、喉越しを評価した。結果を表1に示す。『悪い』を1点とし、『普通』を3点とし、『良い』を5点とし、1〜5の点数評価を行った。官能評価の結果を表1に示す。サンプルA及びDが普通以下で、ザラツキが感じられた。特に、サンプルAは強いザラツキが感じれ、評価が悪かった。
【0023】
【表1】
【要約】
【課題】水等に懸濁したときにザラツキがなく、喉越しのよい青汁が得られる乾燥野菜粉末を提供する
【解決手段】レーザー回折法による平均粒子径が50μm以下の野菜粉末において、粒子の体積磁化率の分布において、−12.0×10
-6〜−9.5×10
-6の範囲の体積磁化率を示す粒子の比率が全体の50%以下である青汁用の乾燥野菜粉末。
【選択図】なし