特許第6449529号(P6449529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449529
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20181220BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20181220BHJP
   H01G 4/252 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   H01G4/30 513
   H01G4/30 201E
   H01G4/30 516
   H01F27/29 123
   H01G4/252 C
   H01G4/252 V
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-177199(P2012-177199)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-36149(P2014-36149A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年3月20日
【審判番号】不服2017-17577(P2017-17577/J1)
【審判請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】富樫 正明
【合議体】
【審判長】 井上 信一
【審判官】 田中 慎太郎
【審判官】 國分 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−124062(JP,A)
【文献】 特開2007−281134(JP,A)
【文献】 特開2005−251904(JP,A)
【文献】 特開平6−84687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/04-2/06
4/00-4/015
4/02-4/224
4/232
4/252
4/255-4/40
13/00-17/00
H05K 1/18
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の端面及び前記端面同士を連結する四つの側面を有すると共に、前記端面に露出する内部電極が配置された素体と、
前記素体の前記端面側に位置する端子電極とを備える電子部品であって、
前記端子電極は、前記素体の前記端面と四つの前記側面のうちの実装面とに亘って連続して配置されて前記内部電極を覆う焼付層と、前記実装面に配置された前記焼付層上に配置されるめっき層とからなり、
前記素体の前記端面に配置された前記焼付層、及び前記素体の前記実装面に配置された前記焼付層の一部を覆うように絶縁層が配置されており、
前記絶縁層は、前記素体の前記端面に配置された前記焼付層が露出しないように当該焼付層を覆っており、前記実装面と当該実装面と対向する前記側面との対向方向において前記めっき層の表面から突出して配置されており、
前記素体の前記端面に配置された前記焼付層と前記絶縁層との間には、他の層が配置されていないことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記絶縁層が熱硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記素体の前記端面側に配置された前記絶縁層が最外層であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品。
【請求項4】
前記焼付層上に前記絶縁層が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の電子部品では、外部電極に形成されたギャップにより、実装面側に形成される領域と、素体の端面側に形成される領域との2つの領域に外部電極が分離されている。これにより、この電子部品では、回路基板のランド電極にはんだにより実装する際、外部電極の端面側の領域とランド電極との間の静電容量を計測して、素体の端面側の外部電極の領域にはんだフィレットが形成されていることを確認し、実装不良の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−88143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の電子部品に電圧を印加した場合、電歪効果によって素体に印加電圧に応じた大きさの機械的歪みが生じる。特に交流電圧を印加したときには、この機械的歪みによって電子部品に振動(以下、電歪振動)が発生する。そのため、電子部品を基板に実装し、交流電圧を印加すると、電歪振動が基板に伝播して、いわゆる音鳴きが発生することがある。この音鳴きの問題は、電子部品と基板との接触面積の大きなSMD(Surface Mount Device)実装において、電子部品の端面側に形成されるはんだフィレットを介して電歪振動が伝播されることが一つの要因となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電歪振動による音鳴きを抑制できる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記解題を解決するために、本発明に係る電子部品は、互いに対向する一対の端面及び端面同士を連結する四つの側面を有すると共に、端面に露出する内部電極が配置された素体と、素体の端面側に位置する端子電極とを備える電子部品であって、端子電極は、素体の端面と四つの側面の少なくとも一つの側面とに亘って連続して配置されて内部電極を覆う焼付層と、一つの側面に配置された焼付層上に配置されるめっき層とからなり、素体の端面に配置された焼付層を覆うように絶縁層が配置されていることを特徴とする。
【0007】
この電子部品では、素体の端面に配置された焼付層を覆うように絶縁層が配置されている。これにより、電子部品が基板に配置されたランド電極に実装される際、はんだ実装されたときに、素体の端面側にはんだフィレットが形成されない。そのため、電子部品の電歪振動が基板に伝播し難くなる。したがって、電歪振動による音鳴きを抑制できる。
【0008】
絶縁層が熱硬化型樹脂であることが好ましい。このように、絶縁層に熱硬化型樹脂を採用することにより、電子部品を実装する際、はんだにより絶縁層が溶融することが防止される。したがって、絶縁層が溶融して該溶融箇所にはんだフィレットが形成されることが防止される。
【0009】
素体の端面側に配置された絶縁層が最外層である構成とすることができる。これにより、素体の端面側にはんだフィレットが形成されることをより確実に抑制できる。
【0010】
焼付層上に絶縁層が配置されている構成とすることができる。このような構成によれば、焼付層と絶縁層との間にめっき層等の他の層が介在しないため、素体の寸法を大きくできると共に、絶縁層を高温で熱硬化処理できる。
【0011】
絶縁層は、素体の一面に配置された焼付層の一部を覆うように配置されていてもよい。このような構成によれば、電子部品の実装面にも絶縁層が配置されるため、端子電極とランド電極との間に回り込むはんだの厚みが大きくなる。そのため、厚みを有するはんだにより、電歪振動の伝播をより抑制でき、音鳴きをより一層抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電歪振動による音鳴きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図2図1に示す電子部品の断面構成を示す図である。
図3図1に示す素体の構成を示す分解斜視図である。
図4】電子部品の実装構造を示す図である。
図5】従来の電子部品の実装構造を示す図である。
図6】第2実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図7図6に示す電子部品の断面構成を示す図である。
図8図6に示す電子部品の素体の構成を示す分解斜視図である。
図9】第3実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図10図9に示す電子部品の断面構成を示す図である。
図11図9に示す電子部品の素体の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、一実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。図2は、図1に示す電子部品の断面構成を示す図である。図3は、素体の構成を示す分解斜視図である。電子部品1は、図1に示されるように、略直方体形状の素体2と、素体2に配置された一対の端子電極3,4と、を備えている。電子部品1は、積層コンデンサとして構成されている。
【0016】
素体2は、図1及び図2に示すように、素体2の長手方向に対向する一対の端面2a,2bと、素体2の積層方向に対向する一対の側面2c,2dと、長手方向及び積層方向に垂直な方向に対向する一対の側面2e,2fとを有している。本実施形態では、側面2dを電子部品1の実装面(一つの側面)とする。
【0017】
素体2は、図2及び図3に示すように、複数の長方形板状の誘電体層6と、複数の内部電極7及び内部電極8とが積層された積層体として構成されている。内部電極7と内部電極8とは、略矩形形状を呈しており、素体2内において誘電体層6の積層方向に沿ってそれぞれ一層ずつ配置されている。内部電極7と内部電極8とは、少なくとも一層の誘電体層6を挟むように対向配置されている。実際の電子部品1では、複数の誘電体層6は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0018】
内部電極7は、一辺が端子電極3の配置された素体2の端面2aに露出して、端子電極3に直接的に接続されている。これにより、内部電極7と端子電極3とは電気的に接続されることとなる。内部電極8は、一辺が端子電極4の配置された素体2の端面2bに露出して、端子電極4と直接的に接続されている。これにより、内部電極8と端子電極4とは電気的に接続されることとなる。
【0019】
端子電極3は、素体2の端面2aを覆うと共に、側面2c〜2fの端面2a側の一端に配置されている。端子電極3は、焼付層10aとめっき層11aとから形成されている。焼付層10aは、導電性を有する例えばCuからなり、素体2の端面2a及び側面2c〜2fに亘って配置されている。めっき層11aは、側面2c〜2fに配置された焼付層10a上に配置されている。言い換えれば、めっき層11aは、素体2の端面2aに配置された焼付層10a上には配置されない。めっき層11aは、例えばNi、Sn等からなる。
【0020】
端子電極4は、端子電極3と同様の構成を有しており、素体2の端面2bを覆うと共に、側面2c〜2fの端面2b側の一端に配置されている。端子電極4は、焼付層10bとめっき層11bとから形成されている。焼付層10bは、導電性を有する例えばCuからなり、素体2の端面2b及び側面2c〜2fに亘って配置されている。めっき層11bは、側面2c〜2fに配置された焼付層10b上に配置されている。言い換えれば、めっき層11bは、素体2の端面2bに配置された焼付層10b上には配置されない。めっき層11bは、例えばNi、Sn等からなる。
【0021】
焼付層10a,10b上には、絶縁部(絶縁層)12a,12bが配置されている。すなわち、絶縁層12a,12bと焼付層10a,10bとの間には、その他の層(めっき層など)は配置されない。絶縁部12a,12bは、熱硬化型樹脂であり、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等で形成されている。絶縁部12a,12bは、素体2の端面2a,2bに配置された焼付層10a,10bを覆って配置されている。すなわち、素体2の端面2a,2bに配置された焼付層10a,10bは、絶縁部12a,12bにより露出していない。絶縁部12a,12bは、端子電極3,4(めっき層11a,11b)の表面から積層方向に例えばT=100μm程度突出して形成されている。絶縁部12a,12bの厚みWは、例えば30〜50μm程度である。
【0022】
続いて、電子部品1の製造方法について説明する。まず、誘電体層6となるセラミックグリーンシートを形成した後、当該セラミックグリーンシート上に内部電極7,8のパターンを導電性ペーストで印刷し、乾燥することによって電極パターンを形成する。このように電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数枚重ね合わせ、そのセラミックグリーンシートの積層体をそれぞれ素体2の大きさのチップとなるように切断する。そして、チップに所定温度で所定時間加熱処理を施すことによって脱バインダを行う。脱バインダを行った後、さらに高温で加熱して焼き付けを行うことで素体2を得る。
【0023】
次に、素体2の端面2a,2b及び側面2c〜2fに、例えば浸漬工法により導電性ペーストであるCuペーストを塗布する。そして、Cuペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層10a,10bを形成する。続いて、素体2の端面2a,2bに形成された焼付層10a,10bを覆うように焼付層10a,10b上に絶縁性ペーストを例えば浸漬工法により塗布する。そして、絶縁性ペーストを熱処理(固化硬化)して、絶縁部12a,12bを形成する。最後に、めっき処理により素体2の側面2e〜2fに形成された焼付層10a,10b上にめっき層11a,11bを形成する。これにより、素体2に端子電極3,4が形成される。
【0024】
続いて、電子部品1の作用効果について説明する。図5は、従来の電子部品の実装構造を示す図である。図5に示すように、従来の電子部品30では、基板20のランド電極21,22に実装する際、端子電極32,33の濡れ性が良好であるため、はんだSが端子電極32,33において素体31の端面側に回り込みはんだフィレットSFが形成される。この場合、はんだフィレットSFを介して電歪振動が基板20に伝播して、音鳴きが発生するといった問題が生じる。
【0025】
これに対して、本実施形態の電子部品1は、図4に示すように、電子部品1では、素体2の端面2a,2b側に絶縁部12a,12bが配置されているため、素体2の側面2dに配置された端子電極3,4(めっき層11a,11b)とランド電極21,22との間にはんだSが回り込み、素体2の端面2a,2b側にははんだが回り込まない。したがって、電子部品1では、素体2の端面2a,2b側にはんだフィレットが形成されない。
【0026】
これにより、電子部品1に交流電圧が印加されたときに、電子部品1の電歪振動が基板20に伝搬することを抑制でき、その結果、音鳴きを抑制できる。また、電子部品1では、絶縁部12a,12bが端子電極3,4の表面よりも突出しており、この絶縁部12a,12bがランド電極21,22に当接するため、従来の電子部品30に比べて、はんだSの厚みが大きくなる。そのため、はんだSの弾性力が大きくなるので、電子部品1の電歪振動の基板20への伝播をより抑制できる。
【0027】
また、本実施形態では、絶縁部12を熱硬化型樹脂により形成している。これにより、電子部品1を実装する際、はんだSにより絶縁部12が溶融することを防止できる。したがって、絶縁部12が溶融し、この溶融した部分にはんだフィレットが形成されることが防止されるため、電子部品1の電歪振動が基板20に伝搬することを確実に抑制できる。
【0028】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。図7は、図6に示す電子部品の断面構成を示す図である。図8は、図6に示す電子部品の素体の構成を示す分解斜視図である。
【0029】
図6に示すように、電子部品1Aは、素体2Aと、端子電極3A,4Aとを備えている。第2実施形態に係る電子部品1Aは、端子電極3A,4Aの形状が第1実施形態と異なっている。
【0030】
素体2Aは、複数の長方形板状の誘電体層6と、複数の内部電極7A及び内部電極8Aとが積層された積層体として構成されている。図8に示すように、内部電極7Aは、略矩形形状を呈する本体部7Aaと、引出部7Abとを有している。内部電極7Aの引出部7Abは、端子電極3Aの配置された素体2Aの端面2Aaに露出して、端子電極3Aに直接的に接続されている。これにより、内部電極7Aと端子電極3Aとは電気的に接続されることとなる。
【0031】
内部電極8Aは、略矩形形状を呈する本体部8Aaと、引出部8Abとを有している。内部電極8Aの引出部8Abは、端子電極4Aの配置された素体2Aの端面2Abに露出して、端子電極4Aと直接的に接続されている。これにより、内部電極8Aと端子電極4Aとは電気的に接続されることとなる。
【0032】
端子電極3Aは、端面2Aaにおいて積層方向に帯状に延在すると共に側面2Ac,2Adに張り出しており、端面2Aaと側面2Ac,2Adとに亘って配置されている。端子電極3Aは、端面2Aa及び側面2Ac,2Adの中央部に配置されている。端子電極3Aは、焼付層10Aaとめっき層11Aaとから形成されている。焼付層10Aaは、内部電極7Aの引出部7Abを覆い、素体2Aの端面2Aa及び側面2Ac,2Adに亘って配置されている。めっき層11Aaは、側面2Ac,2Adに配置された焼付層10Aa上に配置されている。言い換えれば、めっき層11Aaは、素体2Aの端面2Aaに配置された焼付層10Aa上には配置されない。
【0033】
端子電極4Aは、端面2Abにおいて積層方向に帯状に延在すると共に側面2Ac,2Adに張り出しており、端面2Abと側面2Ac,2Adとに亘って配置されている。端子電極4Aは、端面2Ab及び側面2Ac,2Adの中央部に配置されている。端子電極4Aは、内部電極8Aの引出部8Abを覆い、焼付層10Abとめっき層11Abとから形成されている。焼付層10Abは、素体2Aの端面2Ab及び側面2Ac,2Adに亘って配置されている。めっき層11Abは、側面2Ac,2Adに配置された焼付層10Ab上に配置されている。言い換えれば、めっき層11Abは、素体2Aの端面2Abに配置された焼付層10Ab上には配置されない。
【0034】
焼付層10Aa,10Ab上には、絶縁部12Aa,12Abが配置されている。絶縁部12Aa,12Abは、素体2Aの端面2Aa,2Abに配置された焼付層10Aa,10Abを覆うと共に、素体2Aの端面2Aa,2Abを覆って配置されている。すなわち、素体2Aの端面2Aa,2Abに配置された焼付層10Aa,10Abは、絶縁部12Aa,12Abにより露出していない。絶縁部12Aa,12Abは、端子電極3A,4A(めっき層11Aa,11Ab)の表面から積層方向に例えばT=100μm程度突出して形成されている。絶縁部12Aa,12Abの厚みWは、例えば30〜50μm程度である。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の電子部品1Aでは、素体2Aの端面2Aa,2Ab側に絶縁部12Aa,12Abが配置されているため、素体2Aの側面2Adに配置された端子電極3A,4A(めっき層11Aa,11Ab)とランド電極21,22との間にはんだが回り込み、素体2Aの端面2Aa,2Ab側にははんだが回り込まない。したがって、電子部品1Aでは、素体2Aの端面2Aa,2Ab側にはんだフィレットが形成されない。
【0036】
これにより、電子部品1Aに交流電圧が印加されたときに、電子部品1Aの電歪振動が基板20に伝搬することを抑制でき、その結果、音鳴きを抑制できる。また、ランド電極21,22と接触する端子電極3A,4A(めっき層11Aa,11Ab)の面積が小さいため、電歪振動が基板20に伝搬することをより一層抑制できる。
【0037】
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態について説明する。図9は、第3実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。図10は、図9に示す電子部品の断面構成を示す図である。図11は、図9に示す電子部品の素体の構成を示す分解斜視図である。
【0038】
図8に示す電子部品1Bは、コンデンサアレイとして構成されている。電子部品1Bは、素体2Bと、端子電極3B,4Bとを備えている。
【0039】
素体2Bは、複数の長方形板状の誘電体層6と、複数の内部電極7B及び内部電極8Bとが積層された積層体として構成されている。図8に示すように、内部電極7Bは、略矩形形状を呈する本体部7Baと、引出部7Bbとを有している。内部電極7Bの引出部7Bbは、端子電極3Bの配置された素体2Bの端面2Baに露出して、端子電極3Bに直接的に接続されている。これにより、内部電極7Bと端子電極3Bとは電気的に接続されることとなる。内部電極7Bは、誘電体層6上において、所定の間隔をあけて並置されている。
【0040】
内部電極8Bは、略矩形形状を呈する本体部8Baと、引出部8Bbとを有している。内部電極8Bの引出部8Bbは、端子電極4Bの配置された素体2Bの端面2Bbに露出して、端子電極4Bと直接的に接続されている。これにより、内部電極8Bと端子電極4Bとは電気的に接続されることとなる。内部電極8Bは、誘電体層6上において、所定の間隔をあけて並置されている。
【0041】
端子電極3Bは、端面2Baにおいて積層方向に帯状に延在すると共に側面2Bc,2Bdに張り出しており、端面2Baと側面2Bc,2Bdとに亘って配置されている。端子電極3Bは、焼付層10Baとめっき層11Baとから形成されている。焼付層10Baは、内部電極7Bの引出部7Bbを覆い、素体2Bの端面2Ba及び側面2Bc,2Bdに亘って配置されている。めっき層11Baは、側面2Bc,2Bdに配置された焼付層10Ba上に配置されている。言い換えれば、めっき層11Baは、素体2Bの端面2Baに配置された焼付層10Ba上には配置されない。
【0042】
端子電極4Bは、端面2Bbにおいて積層方向に帯状に延在すると共に側面2Bc,2Bdに張り出しており、端面2Bbと側面2Bc,2Bdとに亘って配置されている。端子電極4Bは、内部電極8Bの引出部8Bbを覆い、焼付層10Bbとめっき層11Bbとから形成されている。焼付層10Bbは、素体2Bの端面2Bb及び側面2Bc,2Bdに亘って配置されている。めっき層11Bbは、側面2Bc,2Bdに配置された焼付層10Bb上に配置されている。言い換えれば、めっき層11Bbは、素体2Bの端面2Bbに配置された焼付層10Bb上には配置されない。
【0043】
焼付層10Ba,10Bb上には、絶縁部12Ba,12Bbが配置されている。絶縁部12Ba,12Bbは、素体2Bの端面2Ba,2Bbに配置された焼付層10Aa,10Abのそれぞれを覆うと共に、素体2Bの端面2Ba,2Bbを覆って配置されている。すなわち、素体2Bの端面2Ba,2Bbに配置された焼付層10Ba,10Bbは、絶縁部12Ba,12Bbにより露出していない。絶縁部12Ba,12Bbは、端子電極3B,4B(めっき層11Ba,11Bb)の表面から積層方向に例えばT=100μm程度突出して形成されている。絶縁部12Aa,12Abの厚みWは、例えば30〜50μm程度である。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の電子部品1Bでは、素体2Bの端面2Ba,2Bb側に絶縁部12Ba,12Bbが配置されているため、素体2Bの側面2Bdに配置された端子電極3B,4B(めっき層11Ba,11Bb)とランド電極21,22との間にはんだが回り込み、素体2Bの端面2Ba,2Bb側にははんだが回り込まない。したがって、電子部品1Bでは、素体2Bの端面2Ba,2Bb側にはんだフィレットが形成されない。
【0045】
これにより、電子部品1Bに交流電圧が印加されたときに、電子部品1Bの電歪振動が基板20に伝搬することを抑制でき、その結果、音鳴きを抑制できる。また、ランド電極21,22と接触する端子電極3B,4B(めっき層11Ba,11Bb)の面積が小さいため、電歪振動が基板20に伝搬することをより一層抑制できる。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、側面2c,2d(2Ac,2Ad,2Bc,2Bd)の両面に端子電極3,4(3A,4A,3B,4B)を配置しているが、実装面のみに端子電極3,4(3A,4A,3B,4B)を設ける構成であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、絶縁部12a,12b(12Aa,12Ab,12Ba,12Bb)が側面2c,2d(2Ac,2Ad,2Bc,2Bd)の両側から突出する構成としているが、絶縁部12a,12b(12Aa,12Ab,12Ba,12Bb)は突出していなくてもよいし、側面の一方のみに突出する構成であってもよい。
【0048】
また、絶縁部12a,12b(12Aa,12Ab,12Ba,12Bb)が実装面(上記実施形態では側面2d,2Ad,2Bd)側に回り込んで配置されてもよい。すなわち、絶縁部12a,12b(12Aa,12Ab,12Ba,12Bb)は、素体の端面に配置された焼付層と側面に配置された焼付層の一部に跨って配置されてもよい。要は、端子電極において、ランド電極21,22と電気的に接続される部分が設けられていればよい。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B…電子部品、2,2A,2B…素体、2a,2b,2Aa,2Ab,2Ba,2Bb…端面(第1面、第2面)、2c〜2f,2Ac〜2Af,2Bc〜2Bf…側面(第3〜第6面)、3,3A,3B…端子電極、4,4A,4B…端子電極、10a,10b,10Aa,10Ab,10Ba,10Bb…焼付層、11a,11b,11Aa,11Ab,11Ba,11Bb…めっき層、12a,12b,12Aa,12Ab,12Ba,12Bb…絶縁層。
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