【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の農作業機用リモコン操作装置の実施例1における図を示し、(a)がリモコン操作部30Aの正面図、(b)がリモコン操作部30Aの側面図、(c)がリモコン操作部30Aのブロック図を含む概略背面図を示す。
【0016】
図1に示すように、リモコン操作部30Aは、表面(正面)に、操作パネル31を有し、内部には、ワイヤレス受電部35Aと、電池201、送受信部301、リモコン操作部用制御部302、制御部用電源・電圧調整部303、切替部304を有している。
【0017】
操作パネル31には、電源ボタン32aと、操作用ボタン32bと、表示灯33を有している。電源ボタン32aや操作用ボタン32bは、操作スイッチである操作ボタン32であり、操作用ボタン32bは、トラクタに装着する農作業機の操作に必要な数を形成する。なお、リモコン操作部30Aの側面には、表面へ向けて面積が小さくなる方向に勾配が形成される勾配部380を有している。これは、例えば、樹脂の抜き勾配等を利用して形成することができる。
【0018】
電源ボタン32aは、操作パネル31の上部に設けられ、ボタンを押すことで、リモコン操作部30Aの電源をOFF(切)からON(入)、又は、ONからOFFとすることができる。このとき、誤って押して電源が入らないように一定時間(例えば、数秒以内)押し続けることで電源がONとなるようにすることもできる。
【0019】
操作用ボタン32bは、後述する農作業機2のアクチュエータ23等の農作業機2側の機器を作動させるためのスイッチであり、必要に応じて複数配置される。例えば、操作用ボタン32bを押している間だけアクチュエータ23を作動させるなどして、安全性を高めることもできる。
【0020】
表示灯33は、操作パネル31上の分かりやすい位置に配置され、
図1(a)では、電源ボタン32aの横に配置されている。表示灯33は、電源の状態や通信の状態、電池の容量を知らせるものとして適用できる。具体例は後述する。
【0021】
ワイヤレス受電部35Aは、後述するワイヤレス給電部41Aとの間で電力伝送するものであり、そのための位置に設置される。例えば、リモコン操作部30Aの背面の表面近傍で、後述する電源ホルダー100Aにリモコン操作部30Aを装着したときに、ワイヤレス給電部41Aと対向する位置に設置されるのが好ましい。また、実施例1では電池201を配置するので、ワイヤレス受電部35Aはそれを避けて配置される。
図1では、リモコン操作部30Aの下方で、背面から見て左側に電池201、その右側にワイヤレス受電部35Aとなっている。
【0022】
電池201は、一次電池であり市販の乾電池を使用することができる。ここで、電池201は取り替え可能なようになっている。また、実施例1では、この電池201へは充電することはできない。電池201は、蓄電されていればよく、充電はできないが充電された充電池を使用することとしてもよい。
【0023】
送受信部301は、リモコン操作部用制御部302の制御により、操作ボタン32による操作信号を、農作業機2側の無線送受信部21へ無線で送信する。また、必要に応じて、農作業機2側の制御部22からの情報を無線送受信部21から無線で送受信部301が受信して、リモコン操作部用制御部302へ送ることも可能である。
【0024】
リモコン操作部用制御部302は、CPU等で構成され、リモコン操作部30Aの制御を行うものであり、操作ボタン32による情報を操作信号として、送受信部301より送信させる。なお、制御部用電源・電圧調整部303と一体に設けることも可能である。
【0025】
制御部用電源・電圧調整部303は、リモコン操作部用制御部302用の電圧を調整する。電池201とワイヤレス受電部35Aで出力電圧が異なる場合は、ここで、制御部用の電圧としてほぼ同じ電圧に調整する。例えば、電池201の電圧が低く、ワイヤレス受電部35Aからの電圧が高い場合が想定されるが、この場合は、電池201からの電圧を昇圧(例えば、1.5Vから3.0V)して、ワイヤレス受電部35Aからの電圧を降圧(例えば、6.0Vから3.0V)することで調整する。また、制御部用電源・電圧調整部303では、ワイヤレス受電部35Aで受けた交流電流を整流して、直流電流とする機能も有してもよい。なお、この整流機能は、ワイヤレス受電部35Aや切替部304に設けることも可能である。
【0026】
さらに、制御部用電源・電圧調整部303は、瞬停防止機能を有しておくことができる。もし、何らかの原因(振動でワイヤレス受電部35Aとワイヤレス給電部41Aがずれる場合等)でワイヤレス受電部35Aからの電力供給が途絶えた場合、切替部304による電池201への切り替えが間に合わず電力が途切れる可能性がある。このとき、リモコン操作部30Aの電源が落ちると、作業者は、電源ボタン32aを入れ直して電源が入るのを待たなければならない。瞬停防止機能は、これを防止するための機能である。これは、例えば、コンデンサ(キャパシタ)などの一時的な蓄電機能を付設しておいて、ここに電力を蓄えるようにしておく。そして、ワイヤレス受電部35Aからの電力が途絶えた場合、一時的な蓄電機能から、即座に、リモコン操作部用制御部302へ電力を供給する。その間に、電池201へ切り替えること、もしくは、一定時間内にワイヤレス受電部35Aからの電力が回復すれば、そちらからの電力供給を続けることもできる。なお、瞬停防止機能は、リモコン操作部用制御部302に備えていてもよい。
【0027】
切替部304は、電池201を電源とするか、ワイヤレス受電部35Aからの電力を電源にするかを切り替えるものである。切り替えた電力は、制御部用電源・電圧調整部303へ供給される。切替部304による切替は、スイッチや回路による検出等が挙げられる。
【0028】
切替部304がスイッチの場合、リモコン操作部30Aにスイッチを設けて、作業者によりスイッチの切替を行う。スイッチ形状は、適宜選択されるが、例えば、リモコン操作部30Aの横にスライドスイッチを設けてもよい。ただし、スイッチの場合は、作業者が状況(後述する電源ホルダー100Aにリモコン操作部30Aが装着されているか等)に応じて判断してスイッチを操作する必要性が生じる。
【0029】
切替部304が回路による検出の場合、回路上でワイヤレス受電部35Aからの電力供給を検知したら、ワイヤレス受電部35Aからの電力を優先して制御部用電源・電圧調整部303を介してリモコン操作部用制御部302へ供給するように回路を切り替える。一方、ワイヤレス受電部35Aからの電力供給がないことを検出した場合は、電池201からの電力を制御部用電源・電圧調整部303へ供給するように回路を切り替える。回路による検出の場合は、自動で即座に切り替えることができる。
【0030】
図2は、本発明の農作業機用リモコン操作装置の実施例1における図を示し、(a)がリモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aに装着した状態の正面図、(b)がリモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aに装着した状態の側面図、(c)が電源ホルダー100Aの正面図を示す。
【0031】
電源ホルダー100Aは、全体的には板状で凸部が形成されている背面部110と背面部110の周囲に表側に向けて形成される側面部(151、152、153、154、155)を有している。これらは、例えば樹脂などで形成することができる。
【0032】
背面部110から、複数の凸部がリモコン操作部30Aを取り付ける側に突出して形成されている。凸部は、リモコン操作部30Aの背面を支えるために必要な形状や数で形成されており、図の例では、上側から、第1凸部121、第2凸部122Aと2つの凸部が形成されている。このとき、一番下の第2凸部122Aの部分(内部)には、ワイヤレス給電部41Aが設置され、ハーネス部43と接続されている。ワイヤレス給電部41Aは、リモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aに装着したとき、ワイヤレス受電部35Aと対向した位置になるようにする。図では、正面から見て下方の左側に配置されている。ハーネス部43は、第2凸部122Aより下側に延び、溝170を通して、側面部(下側面部155)より外側に延びている。
【0033】
側面部は、リモコン操作部30Aの側面を保持するために設けられている。図の例では、側面部は、上側面部151、上部横側面部152、傾斜部153、下部横側面部154、下側面部155で形成されており、リモコン操作部30Aを装着した場合に、リモコン操作部30Aの周囲に沿った形状となっている。さらに、側面部に設けられた複数の突起161、162により、リモコン操作部30Aが電源ホルダー100Aから表面側(前方向)に落ちないように保持することができる。図の例では、上側面部151に内側に向けて設けられた第1突起161と、下部横側面部154にそれぞれ内側に向けて設けられた第2突起162とを有している。
【0034】
上側面部151は、リモコン操作部30Aの上面側に形成される側面で、第1突起161が形成されており、このために必要な一定の高さ、例えばリモコン操作部30Aの厚さの半分以上高い位置までの高さを有している。
【0035】
上部横側面部152は、リモコン操作部30Aの上部横側に形成される側面で、リモコン操作部30Aを取り出し易くするために、高さは低く形成されている。具体的には、リモコン操作部30Aの厚さの半分よりも低い程度の位置までの高さで形成されている。
【0036】
下部横側面部154は、リモコン操作部30Aの下部横側に形成される側面で、第2突起162がそれぞれ形成されており、このために必要な一定の高さ、例えばリモコン操作部30Aの厚さの半分以上高い位置までの高さを有している。なお、上部横側面部152と下部横側面部154の間は、傾斜部153となっている。
【0037】
下側面部155は、リモコン操作部30Aの下面側に形成される側面で、下部横側面部154と同じく一定の高さに形成して、リモコン操作部30Aが下側にずれないようにする。また、下側面部155には、表面側へ開口した切欠き部である溝170が形成されており、これによりハーネス部43が外側へ通過できるようになっている。
【0038】
電源ホルダー100Aには、背面部110の(上側面部151より)上側に背面延長部111を有し、背面延長部111に取付孔141を有しており、この取付孔141をフックに引っかけるなどして、運転席の近傍等のトラクタ1の適した場所に設置することができる。これ以外の方法として、背面部110に磁石や両面テープで取り付ける方法や他の取付孔を設けて取り付ける方法等が挙げられる。
【0039】
また、電源ホルダー100Aの側面や背面に形成される切欠き部を設けて、リモコン操作部30Aに付着した土が電源ホルダー100A内に溜まった場合に排出するための孔を形成してもよい。
【0040】
ハーネス部43のワイヤレス給電部41A側とは反対側の他端は、電源コネクタ44と接続されると共に、配線45を介して外部コネクタ46と接続されている。
【0041】
電源コネクタ44は、トラクタに有する電源からの接続部と脱着接続可能なコネクタである。例えば、図
3で後述するトラクタ1に有するバッテリ11から接続される外部電源としての電源接続部12aに接続できるようにすることができる。このとき、トラクタ1の接続部12aが日農工規格に従っている場合は、電源コネクタ44は日農工規格で規定されるコネクタ形状とすることができる。
【0042】
配線45は、電源コネクタ44から、ハーネス部43の配線とは別に分岐している配線であり、外部コネクタ46へ接続されている。
【0043】
外部コネクタ46は、さらに他の出力機器へ接続するための脱着可能なコネクタである。トラクタ1に有する電源からの電源接続部12aにおける形状と同じにすることで、電源接続部12aに接続可能な出力機器のコネクタへ接続することができる。
【0044】
ワイヤレス給電部41Aとワイヤレス受電部35Aの間は、ワイヤレスで電力を伝送可能とする。ワイヤレス給電の種類として、例えば、「電磁誘導」、「磁気共鳴」、「マイクロ波・レーザ光」の方式が挙げられる。「電磁誘導」の方式は、電磁誘導により一次側のコイルから二次側のコイルに電力を送る方式である。「磁気共鳴」の方式は、共振を利用して電力を伝送する方式である。「マイクロ波・レーザ光(無線)」の方式は、マイクロ波やレーザ光による送電を行う。ワイヤレス給電部41Aとワイヤレス受電部35Aは、選択された方式に合うように構成される。
【0045】
図2(a)(b)の状態では、リモコン操作部30Aは、電源ホルダー100Aに装着されている。そして、リモコン操作部30Aの背面側は、背面部110の第1凸部121及び第2凸部122Aに当接して、リモコン操作部30Aの表面側(前方向)は、第1突起161及び第2突起162に引っかかり保持される。突起161、162による保持は、第1突起161はリモコン操作部30Aの上側の勾配部380の途中に引っかけて止められている。また、第2突起162はリモコン操作部30Aの下部横側面の勾配部380の途中に引っかけて止められている。
【0046】
図2(a)(b)の状態から、作業者が、リモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aから取り出す場合は、高さの低い上部横側面部152付近のリモコン操作部30Aの側面をつかんで電源ホルダー100Aから表面側(前方向)に引き出す。このとき、勾配部380にそって、第1突起161と第2突起162が押されて、上側面部151と下部横側面部154の弾性によりわずかに変形して、第1突起161と第2突起162を乗り越えてリモコン操作部30Aを引き出すことができる。また、リモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aに装着するときも、上側面部151と下部横側面部154の弾性により、第1突起161と、第2突起162を乗り越えて装着することができる。
【0047】
図3は、本発明の農作業機用リモコン操作装置が適用されるトラクタと農作業機の配置の一例を示す平面概略図である。本発明は、トラクタ1に装着して農作業を行う農作業機2に適用することができる。トラクタ1には、バッテリ11を有しており、農作業機2には、無線送受信部21、制御部22、アクチュエータ23を有している。バッテリ11はトラクタ1の電源として使用することが可能である。
【0048】
バッテリ11には、外部電源ハーネス12が接続されスイッチ12bを介してその先端は電源接続部12aとなっている。電源接続部12aは、外部の機器に電源を接続できるようになっている。なお、スイッチ12bはトラクタ1のエンジン始動のスイッチと共有でき、例えば、エンジン始動のためのキーを回転させるときにONとなるキースイッチの構成とすることができる。これにより、トラクタ1による作業を行わないときの無駄な電力消費を防止できる。なお、電源接続部12aの形状は、例えば、日農工規格で規定されるコネクタ形状とすることができる。
【0049】
電源ホルダー100Aを接続しない従来の状態では、トラクタ1に装着する農作業機の機種の変更に対応するため、通常はトラクタ1と農作業機2の間に脱着可能なコネクタを有している。このとき、外部電源ハーネス12の電源接続部12aは、作業機側ハーネス25のコネクタ25aと直接接続されている。
【0050】
これに対して、電源ホルダー100A側の配線接続をする場合は、電源接続部12aとコネクタ25aとを取り外し、電源ホルダー100A側の電源コネクタ44は、外部電源ハーネス12の電源接続部12aと接続される。一方、外部コネクタ46は、作業機側ハーネス25のコネクタ25aと接続される。これにより、バッテリ11を電源として、電源ホルダー100A側、及び、農作業機2側(無線送受信部21、制御部22、アクチュエータ23等)に電力を供給することができる。
【0051】
作業者はリモコン操作部30Aを操作すると、リモコン操作部30Aからの操作信号は、無線で無線送受信部21へ送られ、制御部22により、アクチュエータ23を作動させる。アクチュエータ23の具体例については後述する。また、必要に応じて、制御部22からの情報を無線送受信部21からリモコン操作部30Aへ送信することを可能としてもよい。
【0052】
図4は、本発明の農作業機用リモコン操作装置が適用される農作業機の一例を示す背面図である。
図5は、本発明の農作業機用リモコン操作装置が適用される農作業機の一例を示す正面図である。
図4と
図5の農作業機2は折り畳み機構を備えた代掻き作業機50であり、入力軸51側をトラクタ1に装着し、トラクタ1からの動力を入力軸51を介して入力して、カバー52や第1の整地体53の内側で代掻き爪が回転することにより代掻き作業を行う。代掻き作業機50を用いて、アクチュエータ23の例について説明する。
【0053】
電動油圧シリンダ56は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構57を作用させサイド作業部55を(
図5の左側のように)内側に折りたたみ、代掻き機50の全幅を短くすることができる。延長整地体駆動装置60は、内部のモーターが回転することにより、アーム62やワイヤ63を介して延長整地体61を回動軸61aを中心に回動させ、延長整地体61を外側に延長するか内側に折り畳むかを選択することができる。第2の整地体駆動装置66は、内部のモーターが回転することにより、第2の整地体リンク手段67を介して第2の整地体65を回動させ下側で固定した土引き状態とするか回動が固定されていない通常の代掻き状態とするかを選択することができる。
【0054】
これら、電動油圧シリンダ56や、延長整地体駆動装置60(のモーター)、第2の整地体駆動装置66(のモーター)をアクチュエータ23として、リモコン操作部30Aの操作により作動させることができる。
【0055】
なお、アクチュエータ23の例としては、代掻き作業機に限らず、トラクタに装着して農作業を行う農作業機で使用されるアクチュエータであれば広く適用することができる。
【0056】
図6は、本発明の農作業機用リモコン操作装置における制御の一例を示すフローチャートである。
図6の制御は、リモコン操作部用制御部302で行う。
【0057】
まず、制御がスタートすると(S100)、リモコン操作部30Aの電源がONとなったか否かを判定する(S101)。電源がONとなっていれば、S102へ進み、ONとなっていなければ、S100へ戻る。このとき、例えば電源ボタン32aを押すこと等によるONの条件となる信号を検知したらリモコン操作部30Aの電源がONとなる。また、農作業機2側においても、無線送受信部21や制御部22がOFFとなっていた場合に送受信部301から情報を受信してこれらをONとする。この電源ボタンONの状態は、リモコン操作部30Aの送受信部301と農作業機2側の無線送受信部21との間で連続的な通信を行う状態である。
【0058】
次にワイヤレス給電部41Aからワイヤレス受電部35Aを介してワイヤレス給電をしているか否かを判定する(S102)。このS102の判定は、例えば、交流電流の検出等でワイヤレス受電部35Aから電力を得ていることを確認できれば、ワイヤレス給電をしていると判定する。
【0059】
S102で、ワイヤレス給電をしていると判定されれば、リモコン操作部30Aの電源はONのままの状態となり(S103)、DCアダプタモードとする(S104)。この状態においては、リモコン操作部30Aの送受信部301と農作業機2側の無線送受信部21との間で連続的な通信を行う状態となっている。このとき、操作用ボタン32bを操作すれば、すぐにレスポンスよくアクチュエータ23を操作することができる。この制御中は後述するS111とは異なり、スタンバイモードには移行しない。このため、このS103、S104の制御は、S111の制御とは別の制御として設定しておく必要がある。
【0060】
一方、DCアダプタモードの他の制御方法として、後述するS111〜S113の制御を利用しながら、DCアダプタモードを継続する制御方法があげられる。スタンバイモード条件の一つとして、一定時間、操作ボタン32の操作がない場合にスタンバイモードに移行するが、この一定時間より短い時間間隔で、操作ボタン32の操作による信号入力に代えて、電源信号などの信号を与える制御を追加し、スタンバイモードに移行しないようにするものである。電源信号であれば、例えば、電源ボタン32aを押し続けることにより反応する時間よりも短い時間の信号を与えて、この信号により勝手に電源がOFFとならないようにすると共に、スタンバイモードに移行することを防止する。
【0061】
この、DCアダプタモードは、リモコン操作部30Aの電源がOFFとならず(S105)、且つ、ワイヤレス給電が継続している限り(S102)、継続される。リモコン操作部30Aの電源ボタン32aが押される等して、リモコン操作部30Aの電源がOFFとなった場合(S106)は、S100へ戻る。
【0062】
一方、S102でワイヤレス給電がされないと判定された場合も、リモコン操作部30Aの電源はONのままの状態となる(S111)。この状態においては、リモコン操作部30Aの送受信部301と農作業機2側の無線送受信部21との間で連続的な通信を行う状態となっている。このとき、操作用ボタン32bを操作すれば、すぐにレスポンスよくアクチュエータ23を操作することができる。しかし、ワイヤレス給電されない場合は、電池201を電源とすることが想定されるので、供給する電力量には限りが生じる。なお、電池201が入っていない場合、もしくは電池201の容量がない場合は、電源ボタンがONとならず、リモコン操作部30Aの電源はONの状態とならない。
【0063】
一方、電源がONとなっている状態で電源ボタン32aを再び押すなどして、電源ボタンがOFFとなれば、リモコン操作部30Aの電源はOFFとなる(S112、S118)。また、そのまま電源がONの状態であればスタンバイモード条件を判定し(S113)、条件に適合すればスタンバイモードとする(S114)。
【0064】
スタンバイモード条件は、一定時間、操作ボタン32の操作がない場合に、リモコン操作部30Aの送受信部301と農作業機2側の無線送受信部21との間の通信を連続通信から間欠的な通信に切り替えるものである。スタンバイモードにおける間欠通信は、S111の連続的な通信に比べ、間隔をおいて通信をするものであり、例えば、数秒から数十秒程度の間隔等である。間欠的な通信に切り替えることで、連続的な通信を行うときより電池201の消費を抑えることができる。
【0065】
スタンバイモードからの復帰は、スタンバイモード中に操作ボタン32を押すなどすると、スタンバイモード条件(S113)ではなくなり、間欠的な通信からS111の連続的な通信に切り替わり、通常の操作が行える。しかし、連続的な通信に切り替わる時に、多少の時間がかかり、作業者にとってレスポンスよくアクチュエータ23が作動する感覚とはならない。また、スタンバイモード中にワイヤレス給電をしていることを検知した場合、DCアダプタモードの制御に移行するようにしてもよい(S113、S102、S103、S104)。
【0066】
一方、スタンバイモードの状態で電源ボタン32aを再び一定時間以上押すなどして、電源ボタン32aのOFF操作をすれば、リモコン操作部30Aの電源はOFFとなる(S115、S118)。一方、そのまま電源がONの状態であればオートパワーオフモード条件を判定し(S116)、条件に適合すればオートパワーオフモードとなり、リモコン操作部30Aの電源はOFFとなる(S117、S118)。オートパワーオフモード条件でないと判定される場合は、スタンバイモード条件に合致していれば、スタンバイモードが継続される(S116、S113、114)。
【0067】
オートパワーオフモード条件は、一定時間、操作ボタン32の操作がない場合にオートパワーオフモードにするものである。これは、電源ボタン32aの操作により電源をOFFとしたときと同様である。このときは、リモコン操作部30Aの電源はOFFとなり、リモコン操作部30Aの送受信部301と農作業機2側の無線送受信部21との間の通信は行わない。これにより、電池201の消費はきわめて少ないものとなる。また、農作業機2側の無線送受信部21の受信機能もOFFとすることも可能であり、制御部22の電源を落としてもよい。このオートパワーオフモード条件の一定時間は、スタンバイモード条件に移行する時間より長いものであり、例えば数分〜数時間の間で適用できる。
【0068】
この他のオートパワーオフモード条件として、スタンバイモード中において、リモコン操作部30Aの送受信部301と農作業機2側の無線送受信部21との間欠的な通信が(電波が届かない等の原因で)一定時間出来ない場合にオートパワーオフモードとしてもよい。農作業機2側の無線送受信部21と通信ができなければ、スタンバイモードから復帰しても操作が出来ないことが想定されるからである。この場合の一定時間は、上述した操作ボタン32の操作がない場合の一定時間よりも短く、例えば、数分〜数十分等である。
【0069】
オートパワーオフモードからの復帰は、電源ボタン32aを押すなどしてON操作をする必要がある。電源ボタン32aを(場合によっては一定時間)押すと、リモコン操作部30Aの電源がONとなる。また、農作業機2側においても、無線送受信部21の受信機能や制御部22がOFFとなっていた場合にこれらをONとする必要がある。このため、オートパワーオフモードからの復帰は、スタンバイモードからの復帰よりも立ち上がりに時間がかかる。
【0070】
上記スタンバイモードとオートパワーオフモードの制御は、スタンバイモードのみ、オートパワーオフモードのみとすることもできる。
【0071】
この他の制御として、電池201の電圧が落ちてきた場合は、表示灯33で知らせ、さらにそれよりも電圧が落ちた場合は、リモコン操作部30Aの電源OFFとする制御を適用してもよい。これは、電池201の電圧が落ちてくれば、電池の容量がなくなってくることによる。例えば、定格電圧の数割程度の電圧が落ちてきた場合に上記制御を行う等である。
【0072】
表示灯33の表示は、表示色を変えたり、点灯と点滅を分けて表示したりして、状態を知らせることができる。例えば、リモコン操作部30Aの電源がONの状態のときは緑色を点灯し、農作業機2側の無線送受信部21が電波の届く範囲にいるときは赤色を点灯し、電池容量が低下したときは赤色を点滅し、リモコン操作部30Aの電源がOFFのときは消灯する等である。
【0073】
以上のような構成を有する農作業機用リモコン操作装置により、作業者は、リモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aに装着しないで操作するときは、電池201を電源として、遠隔で操作することができる。電源ボタン32aを押すと電源が入り、操作用ボタン32bにより、アクチュエータ23を遠隔で操作できる。リモコン操作部30Aは、無線電波の届く範囲であれば、自由に移動して操作することができる。また、制御により、一定時間操作がないと、スタンバイモードに移行し、さらに一定時間操作がないとオートパワーオフモードにより電源がOFFとするようにして電池201の消耗を軽減することが可能である。
【0074】
一方、リモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aに装着した場合は、バッテリ11からの電力が、ワイヤレス給電部41A、ワイヤレス受電部35Aを介して供給される。すると、切替部304により、ワイヤレス受電部35Aからの電源供給に切り替えられる。このとき、電池201からは電力は供給されず電池の消耗はない。そして、制御により、DCアダプタモードとして、電源はONのままとなり、即座にアクチュエータ23を操作できる状態となっている。また、リモコン操作部30Aは電源ホルダー100Aに一定の力で保持されているので、電源ホルダー100Aを装着したままリモコン操作部30Aをある程度の範囲(ハーネス部43が届く範囲)で移動させて操作することも可能である。
【0075】
さらに、リモコン操作部30Aを電源ホルダー100Aから取り外すと、ワイヤレス受電部35Aからの電力は供給されないため、切替部304により、電池201を電源とするように切り替えられる。