特許第6449596号(P6449596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6449596
(24)【登録日】2018年12月14日
(45)【発行日】2019年1月9日
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20181220BHJP
   A47J 31/46 20060101ALI20181220BHJP
   A47J 31/00 20060101ALI20181220BHJP
   A47J 31/10 20060101ALI20181220BHJP
【FI】
   A47J31/44 100
   A47J31/46
   A47J31/00 302
   A47J31/10
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-176096(P2014-176096)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-49257(P2016-49257A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年8月8日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年4月28日にミニストップ文京春日2丁目店にて性能試験を行った
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100167025
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】堤 泰一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 光雄
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−188396(JP,A)
【文献】 特開2010−067211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
A47J 31/00
A47J 31/10
A47J 31/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の抽出容器の下端部と液受部の上端部との間にフィルタが設けられ、前記抽出容器内への原料及び水の供給により抽出された飲料を、前記フィルタを介して前記液受部内に流下させて飲料流通路を通じてカップ内に供給する飲料供給装置において、
前記抽出容器内の圧力と前記液受部内の圧力との間に差圧を発生させ、前記飲料を前記液受部内に流下させると共に前記カップ内へ吐出させる差圧発生手段と、
前記液受部内又は前記抽出容器内の圧力を検知する圧力センサと、
予め定める時間長さの区間毎に、一区間内において所定のサンプリング時間間隔で得られる前記圧力センサからの複数の検知圧力を代表する区間代表値を、それぞれ順次検出し、各区間代表値の比較結果に基づいて、前記差圧発生手段による前記飲料の流下吐出運転を停止させる制御部と、
を備える、飲料供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、互いに隣接する区間の前記区間代表値の比較結果に基づいて、前記流下吐出運転の停止制御を行う、請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記区間毎に、該区間の区間代表値と該区間に先行する所定数の区間の区間代表値との平均値からなる移動平均値を順次算出し、互いに隣接する区間の前記移動平均値の比較結果に基づいて、前記流下吐出運転の停止制御を行う、請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記圧力センサは、前記液受部内の圧力を検知し、
前記差圧発生手段は、前記飲料流通路の途中に設けられ、前記液受部内の空気を吸引して該液受部内を減圧することで前記差圧を発生させ、該差圧により前記抽出容器内の飲料を前記液受部内に流下させ、該流下させた飲料を吸引して前記カップ内へ吐出させるポンプからなる、請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より大きい場合、該先行区間の区間代表値を代表最小値とし、前記先行区間に後続する区間の区間代表値が前記代表最小値より予め定める閾値分以上大きくなったとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項4に記載の飲料供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より大きい場合、該先行区間の区間代表値を代表最小値とし、前記先行区間に後続する所定数の区間の各区間代表値が前記代表最小値より連続して大きくなったとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項4に記載の飲料供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より大きい場合、該先行区間の区間代表値を代表最小値として検知し、該検知時刻から所定時間経過したとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項4に記載の飲料供給装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記区間毎に、該区間の区間代表値と該区間に先行する所定数の区間の区間代表値との平均値からなる移動平均値を順次算出し、前記区間で算出された移動平均値が該区間に隣接して先行する先行区間で算出された移動平均値より大きくなったとき、前記差圧発生手段による前記飲料の流下吐出運転を停止させる、請求項4に記載の飲料供給装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より大きいことを連続して検知したとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項4に記載の飲料供給装置。
【請求項10】
前記制御部は、連続する所定数の前記区間のうち、最後の区間の区間代表値が最先の区間の区間代表値より予め定める閾値分以上大きくなったとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項4に記載の飲料供給装置。
【請求項11】
前記圧力センサは、前記抽出容器内の圧力を検知し、
前記差圧発生手段は、前記抽出容器内に圧縮空気を供給して該抽出容器内を加圧することで前記差圧を発生させ、該差圧により前記抽出容器内の飲料を前記液受部内に流下させると共に前記飲料流通路を通じて前記カップ内に吐出させるエアポンプからなる、請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より小さい場合、該先行区間の区間代表値を代表最大値とし、前記先行区間に後続する区間の区間代表値が前記代表最大値より予め定める閾値分以上小さくなったとき、前記差圧発生手段の駆動を停止させる、請求項11に記載の飲料供給装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より小さい場合、該先行区間の区間代表値を代表最大値とし、前記先行区間に後続する所定数の区間の区間代表値が前記代表最大値より連続して小さくなったとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項11に記載の飲料供給装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より小さい場合、該先行区間の区間代表値を代表最大値として検知し、該検知時刻から所定時間経過したとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項11に記載の飲料供給装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記区間毎に、該区間の区間代表値と該区間に先行する所定数の区間の区間代表値との平均値からなる移動平均値を順次算出し、前記区間で算出された移動平均値が該区間に隣接して先行する先行区間で算出された移動平均値より小さくなったとき、前記差圧発生手段による前記飲料の流下吐出運転を停止させる、請求項11に記載の飲料供給装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記区間の区間代表値が該区間に隣接して先行する先行区間の区間代表値より小さいことを連続して検知したとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項11に記載の飲料供給装置。
【請求項17】
前記制御部は、連続する所定数の前記区間のうち、最後の区間の区間代表値が最先の区間の区間代表値より予め定める閾値分以上小さくなったとき、前記差圧発生手段の前記流下吐出運転を停止させる、請求項11に記載の飲料供給装置。
【請求項18】
前記区間代表値は、前記区間内で得られる複数の前記検知圧力のうちの最小値である、請求項4〜10のいずれか1つに記載の飲料供給装置。
【請求項19】
前記区間代表値は、前記区間内で得られる複数の前記検知圧力のうちの最大値である、請求項11〜17のいずれか1つに記載の飲料供給装置。
【請求項20】
前記区間代表値は、前記区間内で得られる複数の前記検知圧力の平均値である、請求項1〜17のいずれか1つに記載の飲料供給装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記差圧発生手段による前記飲料の流下吐出運転を開始させてから予め定める時間経過後に、前記各区間代表値の比較結果に基づく前記流下吐出運転の停止制御を開始する、請求項1〜20のいずれか1つに記載の飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料と水を用いて飲料を抽出して供給する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、飲料供給装置としては、コーヒー豆をミルで挽いて得た粉末や緑茶等の茶葉を原料とし、この原料と水(湯水又は冷水)を抽出容器に供給してコーヒーやお茶等の飲料を抽出し、この抽出した飲料をカップに入れて利用者に提供する飲料供給装置が知られている。この種の飲料抽出タイプの飲料供給装置は、一般的に、抽出容器の下端部にフィルタを介して液受部が設けられており、抽出容器内で抽出された飲料を、フィルタを通じて濾過して液受部内に流下(ドリップ)させ、この液受部に接続された飲料流通路を通じてカップ内に飲料を供給するように構成されている。
【0003】
そして、この種の飲料供給装置において、抽出容器内の空気圧と液受部内の空気圧との間に差圧を発生させて、飲料を液受部内に流下させ飲料流通路を通じてカップ内へ吐出させており、一般的に、抽出容器内に圧縮空気を供給して差圧を発生させる加圧式と、液受部内の空気を吸引して差圧を発生させる負圧式の2つのタイプに分類される。
詳しくは、加圧式の飲料供給装置は、エアポンプを備え、エアポンプにより抽出容器内に圧縮空気を供給してこの抽出容器内を加圧することで、抽出容器内の飲料を液受部内に流下させると共に、流下させた飲料を、飲料流通路を通じてカップ内に吐出させる構成である。
また、負圧式の飲料供給装置は、飲料流通路の途中にチューブポンプを備え、チューブポンプにより液受部内の空気を吸引してこの液受部内を減圧することで、抽出容器内の飲料を液受部内に流下させると共に、流下させた飲料を、飲料流通路を通じて吸引してカップ内へ吐出させる構成である。
【0004】
ここで、この種の飲料供給装置では、抽出容器内の飲料がフィルタを介して液受部内に流下され、抽出容器内に抽出された飲料が徐々に無くなり、飲料の抽出が完了する。抽出が完了した後は、エアポンプやチューブポンプを停止させ、以後の制御動作(例えば、液受部等の各機器を待機位置に移動させる待機動作等)に移行する必要がある。この飲料の抽出完了(抽出容器内に抽出された飲料が無くなったこと)の判定は、例えば、圧力センサによって検知した抽出容器内や液受部内の検知圧力に基づいて行われる。抽出完了と判定されたとき、加圧式の場合はエアポンプを停止させ、負圧式の場合はチューブポンプを停止させ、これにより、飲料のカップへの供給が完了すると共に、以後の制御動作する移行する。
【0005】
この種の圧力によって抽出完了を判定する飲料供給装置としては、特許文献1に記載された加圧式の飲料供給装置が知られている。特許文献1に記載された加圧式の飲料供給装置では、エアポンプによって抽出容器内に圧縮空気が供給されると、液受部内の圧力が上昇し、抽出容器内の飲料が無くなると、抽出容器内の圧力が下降することに着目し、抽出容器内の圧力が下降するタイミングを圧力センサにより検知し、この検知時に抽出容器内の飲料が無くなったとみなして、エアポンプを停止させるように構成されている。詳しくは、検知圧力が一つ前の検知圧力より小さくなったことを検知したとき、エアポンプを停止させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】昭63−47899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、この種の飲料供給装置において、加圧式における抽出容器内の圧力は、全体的にみると、上昇傾向から下降傾向に変化し、負圧式における液受部内の圧力は、全体的にみると、下降傾向から上昇傾向に変化している。しかしながら、いずれの方式の圧力も、時間的に短い区間でみると、実際には細かく上昇及び下降を繰り返して変動している。
しかしながら、引用文献1に記載の飲料供給装置では、単に、検知圧力を一つ前の検知圧力と比較した結果に基づいて、エアポンプの停止制御を行うだけであるため、圧力が細かく変動する状況においては、真の抽出完了前に誤って抽出完了と判定してしまうおそれがある。したがって、引用文献1に記載の飲料供給装置では、エアポンプを適切なタイミングで停止させることができず、利用者に適切な容量の飲料を提供できないおそれがある。また、負圧式の飲料供給装置において、検知圧力を一つ前の検知圧力と比較した結果に基づいて、チューブポンプを停止制御することが考えられるが、この場合も、チューブポンプを適切なタイミングで停止させることができないおそれがあり、工夫が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、このような実状に鑑み、抽出容器内及び液受部内の圧力が細かく変動する状況において、エアポンプやチューブポンプ等の差圧発生手段を適切なタイミングで停止させることができる、飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、飲料供給装置は、筒状の抽出容器の下端部と液受部の上端部との間にフィルタが設けられ、前記抽出容器内への原料及び水の供給により抽出された飲料を、前記フィルタを介して前記液受部内に流下させて飲料流通路を通じてカップ内に供給する飲料供給装置において、前記抽出容器内の圧力と前記液受部内の圧力との間に差圧を発生させ、前記飲料を前記液受部内に流下させると共に前記カップ内へ吐出させる差圧発生手段と、前記液受部内又は前記抽出容器内の圧力を検知する圧力センサと、予め定める時間長さの区間毎に、一区間内において所定のサンプリング時間間隔で得られる前記圧力センサからの複数の検知圧力を代表する区間代表値を、それぞれ順次検出し、各区間代表値の比較結果に基づいて、前記差圧発生手段による前記飲料の流下吐出運転を停止させる制御部と、を備える構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筒状の抽出容器の下端部と液受部の上端部との間にフィルタを設け、差圧発生手段により、抽出容器内の圧力と液受部内の圧力との間に差圧を発生させ、抽出容器内の飲料を液受部内に流下させると共にカップ内へ吐出させ、圧力センサにより、液受部内又は抽出容器内の圧力を検知する構成とした上、制御部により、予め定める時間長さの区間毎に、一区間内において所定のサンプリング時間間隔で得られる圧力センサからの複数の検知圧力を代表する区間代表値を、それぞれ順次検出し、各区間代表値の比較結果に基づいて、差圧発生手段による飲料の流下吐出運転を停止させる。
このように、一区間内において所定のサンプリング時間間隔で得られる複数の検知圧力を代表する区間代表値を、区間毎にそれぞれ検出し、各区間代表値を用いて差圧発生手段の流下吐出運転の停止制御を行うことができる。このため、抽出容器内の圧力や液受部内の圧力が細かく上昇及び下降を繰り返して変動しても、その細かな変動に左右されることなく、圧力の上昇傾向から下降傾向への変化、又は、下降傾向から上昇傾向への変化をより適切に把握することができる。これにより、エアポンプやチューブポンプ等の差圧発生手段を適切なタイミングで停止させることができる。
【0011】
このようにして、抽出容器内及び液受部内の圧力が細かく変動する状況において、エアポンプやチューブポンプ等の差圧発生手段を適切なタイミングで停止させることができる、飲料供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態における飲料供給装置の概略構成図である。
図2】上記実施形態における飲料供給装置におけるフィルタ送り中の状態を説明するための概略構成図である。
図3】上記実施形態における飲料供給装置の標準(レギュラー)サイズのカップに飲料を供給する場合の飲料抽出動作のタイミングチャートを示す図である。
図4】上記実施形態における飲料供給装置の液受部内の圧力変化の一例を示した図である。
図5図4に示すA部の拡大図であり、チューブポンプを停止させるタイミングを説明するための図である。
図6】本発明の第2実施形態における飲料供給装置の概略構成図である。
図7】上記第2実施形態における飲料供給装置におけるフィルタ送り中の状態を説明するための概略構成図である。
図8図4に示すA部の拡大図であり、チューブポンプを停止させるタイミングを説明するための別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による飲料供給装置1の概略構成図であり、図2は、飲料供給装置1における後述するフィルタFの送り中の状態を説明するための概略構成図である。
この飲料供給装置1は、例えば、コーヒー豆を後述するミル24で挽いて得たコーヒー粉末を原料とし、この原料を用いてレギュラーコーヒーを抽出し、抽出したコーヒー飲料(レギュラーコーヒー)をカップCに入れて提供するカップ式のコーヒーサーバーに組み込んで適用する場合について、以下に説明する。
【0014】
この飲料供給装置1は、原料を供給する原料供給部2と、湯水を供給する湯供給部3と、原料及び湯水が供給される筒状の抽出容器4と、抽出容器4の下方にフィルタFを介して配置される液受部5と、フィルタFのフィルタ送り機構部6と、差圧発生手段7と、液受部5内の圧力を検知する圧力センサ8と、バッファ部9と、装置全体の動作を制御する制御部10とを備えて構成される。なお、本実施形態においては、飲料供給装置1は、後述するように、液受部5内を減圧させる負圧式の装置である。
【0015】
前記原料供給部2は、コーヒー豆を収納するキャニスタ21を有し、このキャニスタ21には原料モータ22によって駆動され所定容量のコーヒー豆を繰り出す繰り出し機構23が設けられている。キャニスタ21の下側には、コーヒー豆を粉末状に粉砕するミル24が配置されている。これにより、原料供給部2は、原料としてコーヒー粉末を抽出容器4内に供給する。
【0016】
前記湯供給部3は、所定の温度の湯水を沸かして貯留するタンク31を有し、このタンク31には給湯電磁弁32を介して湯供給路L1が接続されている。給湯電磁弁32を開くことで、湯供給路L1を通じてタンク31内の湯水を抽出容器4内に供給する。
【0017】
前記抽出容器4は、コーヒー粉末及び湯水が供給されてコーヒー飲料を抽出する容器であり、筒状に形成されている。抽出容器4の内容積は、例えば、標準サイズのカップCへのコーヒー飲料の供給容量に応じて定められている。
【0018】
抽出容器4は、具体的には、例えば、略円筒形で、上半分には上方へ向けて開口する半球形の受入室4aが形成され、下半分には下方へ向けて開口する半球形の混合室4bが形成されている。これら受入室4aと混合室4bとの間が上下面の開口より小径の連通部4cで連通されている。受入室4aの上面は開口しており、この上面開口部4dから受入室4a内にコーヒー粉末と湯水を供給可能に構成されている。
この抽出容器4の下端部と液受部5の上端部との間には、フィルタFが挟んで設けられている。フィルタFは、帯状の紙や合成繊維等により形成される。
【0019】
前記液受部5は、抽出容器4内へのコーヒー粉末及び湯水の供給により、抽出容器4内で抽出されフィルタFで濾過されて流下(ドリップ)したコーヒー飲料を受け入れる容器である。また、液受部5は、例えば図示を省略した液受部移動機構によって、図1及び図2に両矢印で示す上下方向に、フィルタ送り機構部6と共に移動可能に構成されている。これにより、フィルタFを抽出容器4の下端部と液受部5の上端部との間に挟んで圧接可能に構成されている。
具体的には、液受部5は、例えば、ロート状に形成され、上面開口が抽出容器4の下面開口に対応した形状に形成され、下部には小径のパイプ部5aが形成されている。液受部5の上面には、フィルタFを支えてコーヒー飲料を通過させる金網などのフィルタ受部(図示省略)が設けられている。液受部5のパイプ部5aには、コーヒー飲料をカップCまで流通させる飲料流通路L2が接続され、この飲料流通路L2の途中に、差圧発生手段7が接続されている。この飲料供給通路L2は、シリコン等の可撓性チューブを用いて形成されている。
本実施形態において、飲料供給装置1は、このように、筒状の抽出容器4の下端部と液受部5の上端部との間にフィルタFが設けられ、抽出容器4内へのコーヒー粉末及び湯水の供給により抽出されたコーヒー飲料を、フィルタFを介して液受部5内に流下させて飲料流通路L2を通じてカップC内に供給するように構成されている。
【0020】
前記フィルタ送り機構部6は、各種ロール(R1〜R4)等を含んで構成され、帯状のフィルタFを長手方向に送り出す装置である。具体的には、液受部5の一側には、未使用のフィルタFが巻回されるロールR1と、このロールR1から引き出されたフィルタFをガイドするガイドロールR2とが配置されている。このガイドロールR2にガイドされたフィルタFは、抽出容器4と液受部5との間を挿入される。そして、液受部5の他側には、フィルタ送り方向(図1及び図2において時計回り方向)に回転してフィルタFを送る送りローラR3とこの送りローラR3にフィルタFを押圧する押圧ローラR4とが配置されている。送りローラR3の下方には、送りローラR3によって送り出される使用済みのフィルタF等を回収する回収ボックスBが配置されている。液受部移動機構(図示省略)によって、図2に示すように、液受部5を下方に移動させた後、送りローラR3によってフィルタFが送られる。
【0021】
前記差圧発生手段7は、抽出容器4内の圧力と液受部5内の圧力との間に差圧を発生させ、コーヒー飲料を液受部5内に流下させると共にカップC内へ吐出させるものである。
本実施形態において、差圧発生手段7は、飲料流通路L2の途中に設けられ、液受部5内の空気を吸引してこの液受部5内を減圧することで、抽出容器4内の圧力と液受部5内の圧力との間に差圧を発生させ、この差圧により抽出容器4内のコーヒー飲料を液受部5内に流下させ、この流下させたコーヒー飲料を吸引してカップC内へ吐出させるポンプからなるものである。本実施形態においては、このポンプの一例として、例えば、チューブポンプを採用する場合で説明する。
チューブポンプからなる差圧発生手段7は、具体的には、抽出容器4内のコーヒー飲料を液受部5内に流下させ、この流下させたコーヒー飲料を吸引してカップC内に吐出させる流下吐出運転(吸引吐出運転)と、液受部5内にエアを供給して、このエアをフィルタFを介して抽出容器4内に供給することでコーヒー粉末及び湯水を撹拌混合させる撹拌運転とを選択的に切替えて運転可能に構成されている。
【0022】
より具体的には、このチューブポンプからなる差圧発生手段7は、中心にポンプ軸7aが挿通された環状のポンプケーシング7bを有する。このポンプケーシング7b内にはポンプ軸7aに取り付けられた回転盤7cが回転可能に配置され、ポンプケーシング7bの内壁と回転盤7cとの間にはチューブ(飲料流通路L2の一部)が挿通されている。回転盤7cの外周には、互いに周方向に等間隔に離間した適宜位置に、チューブを押圧するチューブローラ7dが適宜個数(例えば、3個)設けられている。回転盤7cの回転により、各チューブローラ7dがチューブを押しつぶして内部を閉塞しながら、その閉塞位置をチューブの長手方向に移動させ、互いに隣接する2つのチューブローラ7d間でチューブ内に閉じ込められたコーヒー飲料又は空気を送り出すポンプ作用を有している。
なお、差圧発生手段7による前述した撹拌運転及び流下吐出運転については、後に詳述する。
【0023】
前記圧力センサ8は、圧力を検知する一般的なセンサであり、本実施形態においては、液受部5内の圧力を検知可能に接続されている。
圧力センサ8は、例えば、液受部5と差圧発生手段7との間の飲料流通路L2から分岐させた分岐路L2aに接続されている。この圧力センサ8は、検知した検知圧力Pの値を示す検知信号を出力する。この検知信号は、制御部10に所定のサンプリング時間間隔で入力され、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させるための停止制御に用いられる。
ここで、圧力変化を精度よく検知するためには、上記サンプリング時間間隔を可能な限り短くする必要がある。しかしながら、モータ等の外部機器からの突発的なノイズによる異常値が混入することがあるため、この異常値が入り得る検知信号の生データでは、制御部10により差圧発生手段7を適切に停止制御できないおそれがある。そのため、本実施形態においては、検知信号の生データに対して、例えば、移動平均等のフィルタリング処理を施し、このフィルタリング処理後の検知信号を、圧力センサ8からの検知圧力の検知信号として、制御部10に入力する。これにより、検知圧力Pの増減の傾向をより把握しやすくするとともに、外部からのノイズを除去している。
【0024】
前記バッファ部9は、飲料流通路L2の下流側(カップC側)端部に接続され、コーヒー飲料を受け入れるものであり、このバッファ部9に受け入れられたコーヒー飲料が最終的にカップCに吐出される。バッファ部9は、上下に開口する円筒状で、上側の大径部9aと下側の小径部9bとを有して形成され、小径部9bはロート状に形成されている。大径部9aの側面には接線方向から流入口が形成され、この流入口にチューブ(L2)の端部が接続されている。
【0025】
前記制御部10は、装置全体の動作を制御するものであり、具体的には、原料モータ22、ミル24の駆動モータ(図示省略)、給湯電磁弁32、送りローラR3の駆動モータ(図示省略)、差圧発生手段7のポンプモータ(図示省略)、液受部移動機構(図示省略)の駆動を制御する。制御部10には、圧力センサ8からフィルタリング処理後の検知信号が入力され、この検知信号の値に基づいて、差圧発生手段7を停止させ、カップCへのコーヒー飲料の供給を完了させる。また、図示を省略したが、利用者等がカップCのサイズを選択するための選択スイッチが、装置本体の正面に設けられている。制御部10には、この選択スイッチからのカップサイズの識別信号が入力される。
【0026】
制御部10には、原料モータ22及びミル24を駆動させた後、各カップサイズの容量のコーヒー飲料を提供する場合に必要な所定容量のコーヒー粉末(例えば、標準サイズの場合は10gのコーヒー粉末、大サイズの場合は20gのコーヒー粉末)の供給に要する時間が予め設定されている。また、制御部10には、給湯電磁弁32を開けた後、各容量のコーヒー飲料の提供に必要な容量の湯水の供給に要する時間がそれぞれ予め設定されている。
【0027】
次に、本実施形態に係る飲料供給装置1の動作全体について、図1図3を参照して概略説明する。なお、制御部10による差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる停止制御の動作については、その概略を説明し、詳細については後に説明する。
【0028】
待機時には、液受部5は、図2に示すように、下位置にあり、抽出容器4と離間した状態にある。ここで、利用者等が選択スイッチ(図示省略)によりカップCのサイズを選択すると、選択スイッチから制御部10に所定サイズのカップCが選択されたことを示す識別信号が入力される。制御部10は、この識別信号の入力により動作開始信号を発生させて、まず、この動作開始信号を液受部移動機構に出力して液受部5を上位置に移動させ、フィルタFを液受部5と抽出容器4との間に挟んで圧接した状態にする。続いて、制御部10は上記動作開始信号を、給湯電磁弁32、原料モータ22及びミル24に出力する。
【0029】
図3に示すように、制御部10からの動作開始信号により、給湯電磁弁32が開動作すると共に、原料モータ22、ミル24の駆動モータが起動(ON)する。これにより、タンク31内の湯水が抽出容器4内に注入されると同時に、キャニスタ21内のコーヒー豆がミル24に供給されて粉砕され、粉砕されて得られたコーヒー粉末が抽出容器4内に投下される。そして、コーヒー粉末と湯水とが、抽出容器4内のフィルタF上で混合する。ここで、制御部10は、原料モータ22及びミル24の駆動モータに動作開始信号を出力後、例えば、選択されたサイズに応じた容量のコーヒー粉末の供給に要する予め設定された時間が経過したところで、原料モータ22及びミル24の駆動モータを停止(OFF)させる。これにより、適切な容量のコーヒー粉末を抽出容器4内に供給する。一方、制御部10は、給湯電磁弁32を開動作させた後、選択されたサイズの容量相当の湯水の供給に要する予め設定された時間が経過したところで、給湯電磁弁32を閉動作させる。
【0030】
そして、制御部10は、給湯電磁弁32を閉動作させた後、所定時間経過後に、差圧発生手段7のポンプモータをポンプ軸7aが図1にLで示す矢印方向に回転するように駆動させて、撹拌運転を開始させる。
具体的には、差圧発生手段7は、ポンプ軸7aがL方向に回転駆動されると、飲料流通路L2の下流側開口から空気を吸い込んで液受部5内を加圧し、この加圧したエアを液受部5内からフィルタFを通過させて抽出容器4内に供給することで、抽出容器4内のコーヒー粉末と湯水とを撹拌混合させる。加圧したエアは、フィルタFを通過して抽出容器4内の混合液内を気泡となって上昇し、この気泡によってコーヒー粉末と湯水との攪拌混合を促進させることができるため、コーヒー飲料を短時間で抽出することができる。制御部10は、予め定めた時間T1の間、差圧発生手段7の上記撹拌運転(L方向の回転駆動)を継続させ、この時間T1が経過したところで、差圧発生手段7を停止させて撹拌運転を停止させる。
【0031】
さらに、制御部10は、例えば、差圧発生手段7による上記撹拌運転を停止させてから予め定めた時間T2経過後に、差圧発生手段7によるコーヒー飲料の流下吐出運転を開始させる。具体的には、差圧発生手段7は、ポンプ軸7aが図1にRで示す矢印方向に回転駆動されると、液受部5内の空気を吸い込んで液受部5内を減圧する。これにより、液受部5内が大気圧より負圧となり、抽出容器4内の混合液のうち、コーヒー粉末はフィルタFで捕獲され、コーヒー飲料のみがフィルタFで濾過されて液受部5内にドリップされる。液受部5内にドリップしたコーヒー飲料は、差圧発生手段7に吸い込まれ、差圧発生手段7からバッファ部9へ圧送される。バッファ部9へ圧送されたコーヒー飲料は、バッファ部9から流出してカップCに注がれる。図3に示すように、差圧発生手段7のR方向の回転駆動開始後、実際に、コーヒー飲料がカップC内に吐出されるまでには、時間差がある。そして、制御部10は、例えば、圧力センサ8からの検知信号の値に基づいて、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させ、標準サイズのカップCへのコーヒー飲料の供給を完了させる。そして、制御部10は液受部移動機構により液受部5を下位置に移動させる。これにより、飲料供給装置1は待機状態となる。
【0032】
次に、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる停止制御の動作について、図4及び図5を参照して詳述する。
図4は、流下吐出運転の開始時刻を時間Tの起点とし圧力センサ8による液受部5内の検知圧力Pの変化を示した図であり、図5図4に示すA部の拡大図である。
【0033】
本実施形態においては、前述したように、検知圧力Pを示す検知信号の生データに対して、例えば、移動平均等のフィルタリング処理を施し、このフィルタリング処理後の検知信号を、圧力センサ8からの検知圧力Pの検知信号として、制御部10に入力している。具体的には、図5に示す検知圧力Pの一つの上に凸の点又は下に凸の点を示す一つの検知圧力Pの値それぞれは、その点におけるサンプリング時の生データとその前(時間的に前)の適宜個数の生データとの平均値(いわゆる移動平均値)である。これにより、検知圧力の増減の傾向をより把握し易くするとともに、外部からのノイズを除去している。なお、図4図5及び後述する図8は、フィルタリング処理後の検知圧力の変化を示しており、フィルタリング処理前の検知圧力の変化は、これらの図に示す変化よりもさらに大きく変化している。また、フィルタリング処理前の検知圧力の生データのデータ数は、図4図5及び図8に示すよりも多く、より細かく変動している。
【0034】
ここで、負圧式の飲料供給装置1では、差圧発生手段7による流下吐出運転により、図4に示すように、液受部5内の圧力が下降傾向となるが、抽出容器4内にコーヒー飲料がなくなると、抽出容器4内の空気がフィルタFを通過して液受部5内に吸い込まれるため、吸引負荷抵抗が減少し、液受部5内の圧力が大気圧に近付く上昇傾向に向かう。また、フィルタリング処理後の検知圧力であっても、図4に示すように、細かく上下に脈動している。そして、通常、流下吐出運転により液受部5内の圧力は低下するが、図4に示すように、流下吐出運転開始直後(T=0付近)においては、液受部5内の圧力が大気圧P0より上昇する等の圧力不安定期間が存在する場合もある。したがって、単に、圧力に閾値を設けて、検知圧力Pと閾値とを比較するだけでは、差圧発生手段7を適切なタイミングで停止させることが困難な場合がある。
【0035】
このため、本実施形態における制御部10は、図5に示すように、予め定める時間長さΔtの区間(図5に示す範囲では、S1〜S8)毎に、圧力センサ8からの複数の検知圧力Pについての区間代表値を順次検出し、各区間代表値の比較結果に基づいて、差圧発生手段7によるコーヒー飲料の流下吐出運転を停止させる構成であり、例えば、互いに隣接する区間の区間代表値の比較結果に基づいて、流下吐出運転の停止制御を行う。
【0036】
具体的には、制御部10は、所定位置の区間Snの区間代表値Pnがこの区間に隣接して先行(時間的に先行)する先行区間Sn-1の区間代表値Pn-1より大きい場合、この先行区間Sn-1の区間代表値Pn-1を代表最小値Pminとし、先行区間Sn-1に後続する所定の区間(Snを含む区間)の区間代表値が代表最小値Pminより予め定める閾値ΔPc分以上大きくなったとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる。言い換えると、所定の区間(Snを含む区間)の区間代表値から代表最小値Pminを差し引いて得た値が閾値ΔPc以上になったときに、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる。
【0037】
また、制御部10は、図4に示すように、差圧発生手段7によるコーヒー飲料の流下吐出運転を開始させてから予め定める時間T3経過後に、各区間代表値の比較結果に基づく流下吐出運転の停止制御を開始する。つまり、差圧発生手段7の流下吐出運転の開始後において、圧力センサ8からの検知信号を無視する無視時間(T3)を設け、この間は、差圧発生手段7を強制的に駆動させる。
【0038】
より具体的には、上記区間代表値Pnは、区間内で得られる複数のフィルタリング処理後の検知圧力Pのうちの最小値である。時間T3経過後の図5に示す範囲を一例として説明すると、区間S1〜S8の区間それぞれにおいて、フィルタリング処理後の検知圧力Pは所定のサンプリング時間間隔で複数入力されており、その区間毎の最小値は、それぞれP1min〜P8minである。制御部10は、例えば、区間S1に後続して隣接する区間S2の最小値P2minが区間S1の最小値P1minより小さいことを検知し、続いて、区間S3の最小値P3minが区間S2の最小値P2minより小さいこと及び区間S4の最小値P4minが区間S3の最小値P3minより小さいことを検知する。そして、制御部10は、区間S5の最小値P5minが区間S4の最小値P4minより大きいことを検知する。このとき、制御部10は、最小値P4minを全区間における代表最小値Pminとして記憶し、この代表最小値Pminの検知タイミングにおいて、液受部5内の圧力が下降傾向から上昇傾向へ変化した(転じた)と判定する。
そして、制御部10は、区間S5の最小値P5minから代表最小値Pmin(=P4min)を差し引いて得た値ΔPs5が閾値ΔPcより小さいことを検知し、続いて、区間S6の最小値P6minから代表最小値Pminを差し引いて得た値ΔPs6が閾値ΔPcより小さいことを検知する。そして、制御部10は、区間S7の最小値P7minから代表最小値Pminを差し引いて得た値ΔPs7が閾値ΔPc以上であることを検知し、この時、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる。液受部5内の圧力が下降傾向から上昇傾向へ変化したことを検知した区間S5において、差圧発生手段7を停止させないのは、抽出容器4内やチューブ(飲料流通路L2)内のコーヒー飲料が確実になくなるまでの余裕分の待機時間を取るためである。なお、図4に示すように、差圧発生手段7のR方向の回転駆動停止後、コーヒー飲料のカップC内への吐出が実際に停止するまでには、時間差がある。
【0039】
かかる本実施形態による飲料供給装置1によれば、筒状の抽出容器4の下端部と液受部5の上端部との間にフィルタFを設け、差圧発生手段7により、抽出容器4内の圧力と液受部5内の圧力との間に差圧を発生させ、抽出容器4内のコーヒー飲料を液受部5内に流下させると共にカップC内へ吐出させる構成とした上、制御部10により、予め定める時間長さΔtの区間毎に、液受部5内の圧力を検知する圧力センサ8からの複数の検知圧力Pについての区間代表値を順次検出し、各区間代表値の比較結果に基づいて、差圧発生手段7による飲料の流下吐出運転を停止させる。
このように、一区間内で得られる複数の検知圧力Pを代表する区間代表値を、区間毎にそれぞれ検出し、各区間代表値を用いて差圧発生手段7の流下吐出運転の停止制御を行うことができるため、液受部5内の圧力が細かく上昇及び下降を繰り返して変動しても、その細かな変動に左右されることなく、圧力の下降傾向から上昇傾向への変化をより適切に把握することができる。これにより、差圧発生手段7を適切なタイミングで停止させることができる。
【0040】
このようにして、液受部内の圧力が細かく変動する状況において、差圧発生手段7を適切なタイミングで停止させることができる、負圧式の飲料供給装置を提供することができる。
【0041】
また、本実施形態においては、制御部10により、代表最小値Pminを検出した先行区間Sn-1に後続する所定の区間の区間代表値が、代表最小値Pminより予め定める閾値ΔPc分以上大きくなったとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成とした。
これにより、差圧発生手段7としてチューブポンプを採用し、液受部5内の圧力が細かく脈動する場合であっても、液受部5内の圧力が下降傾向から上昇傾向へ変化したことを正確に検知できる上、圧力が上昇傾向に変化した後、差圧発生手段7を停止させるまでの待機時間を取ることができる。その結果、抽出容器4内のコーヒー飲料を確実に吸引させたところで差圧発生手段7を停止させることができ、速やかに以後の制御動作(例えば前述の液受部5を下位置に移動させる待機動作等)に移行することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、差圧発生手段7によるコーヒー飲料の流下吐出運転を開始させてから予め定める時間T3経過後に、各区間代表値の比較結果に基づく流下吐出運転の停止制御を開始する構成とした。
これにより、流下吐出運転開始直後に液受部5内の圧力が大気圧P0より上昇等する不安定期間がある場合であっても、差圧発生手段7の流下吐出運転の開始後において、圧力センサ8からの検知信号を無視する無視時間(T3)を設けることで、この間は、差圧発生手段7を強制的に駆動させることができる。
【0043】
また、本実施形態のおいては、抽出容器4内への所定容量の原料及び湯水の供給後、チューブポンプからなる差圧発生手段7により原料及び湯水を撹拌混合させ、この撹拌運転を停止させてから所定時間T2経過後に、差圧発生手段7による流下吐出運転を開始させる構成とした。
これにより、差圧発生手段7による撹拌運転により、抽出容器4内の混合液内で浮遊している原料が、撹拌運転停止後、確実にフィルタF側に沈殿するための待機時間を設けることができる。このため、湯水が原料と接触せずにフィルタFを通過することを確実に防止することができる。したがって、原料を湯水と確実に接触させ、原料を無駄なく効率的に抽出に寄与させることができる。
なお、差圧発生手段7としてのポンプとして、チューブポンプを採用した場合で説明したが、ポンプ(差圧発生手段7)は、これに限らない。ポンプ(差圧発生手段7)は、液受部5内の空気を吸引してこの液受部5内を減圧することで、抽出容器4内の圧力と液受部5内の圧力との間に差圧を発生させ、この差圧により抽出容器4内のコーヒー飲料を液受部5内に流下させ、この流下させたコーヒー飲料を吸引してカップC内へ吐出させる機能を有するものであれば、どのような形式のポンプであってもよく、例えば、ベーンポンプを採用することもできる。
【0044】
次に、本実施形態の負圧式の飲料供給装置1による流下吐出運転の停止制御についての変形例(変形例1〜変形例5)について説明する。
【0045】
本実施形態において、制御部10は、代表最小値Pminを検出した後、区間代表値−代表最小値Pmin≧閾値ΔPcとなったとき、流下吐出運転を停止させる構成(構成例1)としたが、これに限らない。
例えば、代表最小値Pminを検出した後、この代表最小値Pminを検出した先行区間に後続する所定数の区間の各区間代表値が代表最小値Pminより連続して大きくなったとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例1)としてもよいし、代表最小値Pminを検出した検知時刻から予め定める所定時間経過したとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例2)としてもよい。
【0046】
上記変形例1について、例えば、先行区間に後続する後続区間数を2つ(つまり、区間代表値が代表最小値Pminより大きくなる連続回数を2回)とし、図5を一例として説明する。代表最小値Pminを検出した区間はS4であり、S4に後続する2つの区間、つまり、区間S5及び区間S6の区間代表値(P5min、P6min)がいずれも代表最小値Pminより大きいことを検知し、区間S6において、流下吐出運転を停止させる。なお、区間代表値が大きくなる連続回数は2回に限らず、適宜設定できる。
上記変形例2において、停止用に予め定める検知時刻から時間は、例えば、適宜変更設定可能に構成する。
【0047】
また、本実施形態(構成例1)、変形例1及び変形例2において、制御部10は、代表最小値Pminを検出し、この代表最小値Pminを基準として、その後の区間代表値との比較を行う構成としたが、これに限らない。
例えば、制御部10は、代表最小値Pminに関係なく、所定区間Snの区間代表値Pnがこの区間Snに隣接して先行する先行区間Sn-1の区間代表値Pn-1より大きいことを、所定回数(N)連続して検知したとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例3)としてもよいし、連続する所定数mの区間のうち、最後の区間Sn+m-1の区間代表値Pn+m-1が最先の区間Snの区間代表値Pnより予め定める閾値ΔPc分以上大きくなったとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例4)としてもよい。変形例3及び変形例4の場合、代表最小値Pminは検知する必要ない。
【0048】
上記変形例3について、例えば、連続回数Nを2回と定めた場合を一例として説明する。この場合、連続して大小比較をする一群の区間は全部で3区間「Sn,Sn+1,Sn+2」となり、この3区間で、「Pn<Pn+1<Pn+2」の条件を満たした場合、Sn+2の区間において、流下吐出運転を停止させる。一方、「Pn<Pn+1<Pn+2」の条件を満たさなかった場合、次の一群の3区間を、前の一群の3区間「Sn,Sn+1,Sn+2」と一部重複させて「Sn+1,Sn+2,Sn+3」としてもよいし、「Sn+2,Sn+3,Sn+4」としてもよいし、重複させないで「Sn+3,Sn+4,Sn+5」としてもよい。そして、次の一群の3区間で、「Pn+1<Pn+2<Pn+3」、「Pn+2<Pn+3<Pn+4」、「Pn+3<Pn+4<Pn+5」の条件を満たしているか否かを判定し、条件を満たした場合、最後の区間で流下吐出運転を停止させる。一方、条件を満たしていなかったら、以後同様にして、条件を満たすまで、次の一群の3区間へのシフト及び大小関係の判定を繰返す。なお、連続回数Nは2回に限らず、適宜設定でき、区間数は3区間以上となる。
上記変形例4について、例えば、連続する区間数mを3区間と定めた場合を一例として説明する。この場合、連続して大小比較をする一群の区間は全部で3区間「Sn,Sn+1,Sn+2」となり、「Pn+2−Pn≧ΔPc」の条件を満たした場合、Sn+2の区間において、流下吐出運転を停止させる。一方、「Pn+2−Pn<ΔPc」の場合、次の3区間を、上記変形例3と同様に、前の3区間「Sn,Sn+1,Sn+2」と一部重複させてシフトさせてもよいし、重複させないでシフトさせて、条件を満たしているか否かを再判定し、以後同様にして、条件を満たすまで、次の3区間へのシフト及び大小関係の判定を繰返す。なお、区間数mは3区間に限らず、2区間でもよいし、4区間以上でもよく、適宜設定できる。
【0049】
また、本実施形態(構成例1)において、制御部10は、互いに隣接する区間の区間代表値を直接比較した結果に基づいて、流下吐出運転の停止制御を行う構成としたが、これに限らず、区間Sn毎に、区間Snの区間代表値Pnとこの区間Snに先行する所定数mの区間の区間代表値との平均値からなる移動平均値Pnmを順次算出し、各区間Snで算出された移動平均値Pnmが区間Snに隣接して先行する先行区間Sn-1で算出された移動平均値P(n-1)nより大きくなったとき、差圧発生手段7によるコーヒー飲料の流下吐出運転を停止させる構成(変形例5)としてもよい。
上記実施形態(構成例1)において、圧力センサ8の検知圧力の生データに対して、移動平均処理をした後の検知圧力の検知信号を制御部10に入力するものとしているが、本変形例5では、区間代表値Pnに対しても移動平均処理をし、移動平均処理後の区間代表値を移動平均値Pnmとし、この移動平均値Pnmを用いて停止制御する。
【0050】
図6は、本発明の第2実施形態による飲料供給装置1’の概略構成図であり、図7は、飲料供給装置1’におけるフィルタFの送り中の状態を説明するための概略構成図である。なお、第1実施形態(構成例1)の飲料供給装置1と同様の要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。
【0051】
本実施形態における飲料供給装置1’は、抽出容器4内を加圧してコーヒー飲料を受入部5に流下させる加圧式の装置である。
本実施形態において、圧力センサ8は、抽出容器4内の圧力を検知可能に、例えば、抽出容器4の受入室4aに接続されている。また、図示を省略したが、受入室4aの上面開口部4dを閉塞可能に閉塞蓋が設けられている。閉塞蓋は、例えば、待機時や原料及び湯水の供給時や撹拌運転時は、上面開口部4dを開口し、差圧発生部7による吸入吐出運転時は、上面開口部4dを閉塞するように構成されている。例えば、制御部10は、閉塞蓋を開閉駆動する図示を省略した閉塞蓋開閉機構に、閉塞蓋を開閉駆動させる駆動信号を適宜タイミングで出力するように構成されている。
【0052】
また、本実施形態の差圧発生手段7は、抽出容器4内に圧縮空気を供給して抽出容器4内を加圧することで、抽出容器4内の圧力と液受部5内の圧力との間に差圧を発生させ、この差圧により抽出容器4内のコーヒー飲料を液受部5内に流下させると共に飲料流通路L2を通じてカップC内に吐出させるエアポンプからなるものである。
例えば、抽出容器4の受入室4aには加圧用のエア供給路L3が接続され、抽出容器4の混合室4bには撹拌用のエア供給路L4が接続されている。各エア供給路L3及びL4には、図示を省略したが、電磁弁が介装されている。例えば、待機時には、これら電磁弁はいずれも閉状態であり、撹拌運転時には、エア供給路L4の電磁弁が開となり、差圧発生手段7からエア供給路L4を介して、抽出容器4内にエアが供給される。一方、流下吐出運転時には、エア供給路L3の電磁弁が開となり、差圧発生手段7からエア供給路L3を介して、抽出容器4内にエアが供給される。
【0053】
そして、本実施形態の制御部10は、第1実施形態の構成例1と同じく、互いに隣接する区間の区間代表値の比較結果に基づいて、流下吐出運転の停止制御を行う。
しかしながら、負圧式の場合は、流下吐出運転における圧力は下降傾向から上昇傾向に向かうが、加圧式の場合は、上昇傾向から下降傾向に向かい、負圧式と逆の傾向を示す。
つまり、加圧式の飲料供給装置1’では、差圧発生手段7による流下吐出運転により、抽出容器4内の圧力が上昇傾向となるが、抽出容器4内にコーヒー飲料がなくなると、抽出容器4内の空気がフィルタFを通過して液受部5内に吸い込まれるため、負荷抵抗が減少し、抽出容器4内の圧力が下降傾向に向かう。したがって、制御部10における区間代表値に関する大小比較の関係も第1実施形態(構成例1)と逆になる。
【0054】
具体的には、制御部10は、所定位置の区間Snの区間代表値Pnがこの区間に隣接して先行(時間的に先行)する先行区間Sn-1の区間代表値Pn-1より小さい場合、この先行区間Sn-1の区間代表値Pn-1を代表最大値Pmaxとし、先行区間Sn-1に後続する所定の区間(Snを含む区間)の区間代表値が代表最大値Pmaxより予め定める閾値ΔPc分以上小さくなったとき、つまり、代表最大値Pmax−区間代表値≧ΔPcとなったとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる。
【0055】
より具体的には、上記区間代表値Pnは、区間内で得られる複数のフィルタリング処理後の検知圧力Pのうちの最大値である。
【0056】
次に、第2実施形態に係る飲料供給装置1’の動作全体について、図6及び図7を参照して概略説明する。なお、第1実施形態と同じ動作については、説明を簡略化する。
【0057】
待機時には、図7に示すように、液受部5は下位置にあり、抽出容器4の上面開口部4dは開口している。ここで、利用者がカップサイズ等を選択すると、制御部10からの指令により、図6に示すように、液受部5を上位置に移動させる。この状態で、湯水が抽出容器4内に注入されると同時に、コーヒー粉末が抽出容器4内に供給される。
制御部10は、湯水及びコーヒー粉末の供給が完了すると、差圧発生手段7を駆動させると共にエア供給路L4の電磁弁を開いて、抽出容器4内にエアを供給することで、抽出容器4内のコーヒー粉末と湯水とを撹拌混合させる。制御部10は、予め定めた時間T1の間、差圧発生手段7の上記撹拌運転を継続させ、この時間T1が経過したところで、差圧発生手段7を停止させると共にエア供給路L4の電磁弁を閉じて、撹拌運転を停止させる。制御部10は、この撹拌運転の停止と同時に、閉塞蓋開閉機構に閉塞蓋を閉塞方向に移動させる信号を出力して、上面開口部4dを閉塞させる。
【0058】
次に、制御部10は、撹拌運転を停止させてから予め定めた時間T2経過後に、エア供給路L3の電磁弁を開くと共に、差圧発生手段7によるコーヒー飲料の流下吐出運転を開始させる。具体的には、差圧発生手段7は、エアを抽出容器4の受入室4a内にエア供給路L3を介して供給して、抽出容器4内を加圧する。これにより、抽出容器4内の圧力が液受部5内の圧力より高くなり、コーヒー飲料が液受部5内にドリップされる。液受部5内にドリップしたコーヒー飲料は、飲料流通路L2及びバッファ部9を介してカップCに注がれる。そして、制御部10は、圧力センサ8からの検知信号の値に基づいて、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させ、カップCへのコーヒー飲料の供給を完了させる。その後、制御部10は、液受部移動機構を介して液受部5を下位置に移動させると共に、閉塞蓋開閉機構を介して閉塞蓋を開方向に移動させる。これにより、飲料供給装置1’は待機状態となる。
【0059】
かかる第2実施形態による飲料供給装置1’によれば、加圧式の場合であっても、一区間内で得られる複数の検知圧力Pを代表する区間代表値を、区間毎にそれぞれ検出し、各区間代表値を用いて差圧発生手段7の流下吐出運転の停止制御を行うことができるため、抽出容器4内の圧力が細かく上昇及び下降を繰り返して変動しても、その細かな変動に左右されることなく、圧力の上昇傾向から下降傾向への変化をより適切に把握することができる。これにより、差圧発生手段7を適切なタイミングで停止させることができる。
【0060】
このようにして、抽出容器内の圧力が細かく変動する状況において、差圧発生手段7を適切なタイミングで停止させることができる、加圧式の飲料供給装置を提供することができる。
【0061】
次に、第2実施形態の加圧式の飲料供給装置1’による流下吐出運転の停止制御についての変形例(変形例6〜変形例10)について説明する。これら変形例6〜変形例10はそれぞれ、第1実施形態の変形例1〜変形例5にそれぞれ対応する変形例であり、区間代表値に関する比較の大小関係が逆になっているだけである。
【0062】
具体的には、第2実施形態において、制御部10は、代表最大値Pmaxを検出した後、代表最大値Pmax−区間代表値≧閾値ΔPcとなったとき、流下吐出運転を停止させる構成(構成例2)としたが、これに限らない。
例えば、代表最大値Pmaxを検出した後、この代表最大値Pmaxを検出した先行区間に後続する所定数の区間の各区間代表値が代表最大値Pmaxより連続して小さくなったとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例6)としてもよいし、代表最大値Pmaxを検出した検知時刻から予め定める所定時間経過したとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例7)としてもよい。
【0063】
上記変形例6において、区間代表値が小さくなる連続回数は適宜設定できる。
また、上記変形例7において、停止用に予め定める検知時刻から時間は、適宜変更設定可能に構成する。
【0064】
また、第2実施形態(構成例2)、変形例6及び変形例7において、制御部10は、代表最大値Pmaxを検出し、この代表最大値Pmaxを基準として、その後の区間代表値との比較を行う構成としたが、これに限らない。
例えば、制御部10は、代表最大値Pmaxに関係なく、所定区間Snの区間代表値Pnがこの区間Snに隣接して先行する先行区間Sn-1の区間代表値Pn-1より小さいことを、所定回数(N)連続して検知したとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例8)としてもよいし、連続する所定数mの区間のうち、最後の区間Sn+m-1の区間代表値Pn+m-1が最先の区間Snの区間代表値Pnより予め定める閾値ΔPc分以上小さくなったとき、差圧発生手段7の流下吐出運転を停止させる構成(変形例9)としてもよい。変形例8及び変形例9の場合、代表最大値Pmaxは検知する必要ない。
【0065】
上記変形例8において、連続回数Nは適宜設定でき、次に、連続して大小比較をする一群の区間のシフトは、変形例3と同じく前の一群の区画と後の一群の区間とを一部重複させてもよいし、重複させないでもよい。
上記変形例9において、区間数mは2区間以上で適宜設定でき、最先と最後の大小比較をする一群の区間のシフトは、変形例4と同じく前の一群の区画と後の一群の区間とを一部重複させてもよいし、重複させないでもよい。
【0066】
また、第2実施形態(構成例2)において、制御部10は、互いに隣接する区間の区間代表値を直接比較した比較結果に基づいて、流下吐出運転の停止制御を行う構成としたが、これに限らず、区間Sn毎に、区間Snの区間代表値Pnとこの区間Snに先行する所定数mの区間の区間代表値との平均値からなる移動平均値Pnmを順次算出し、各区間Snで算出された移動平均値Pnmが区間Snに隣接して先行する先行区間Sn-1で算出された移動平均値P(n-1)nより小さくなったとき、差圧発生手段7によるコーヒー飲料の流下吐出運転を停止させる構成(変形例10)としてもよい。
第2実施形態(構成例2)において、圧力センサ8の検知圧力の生データに対して、移動平均処理をした後の検知圧力の検知信号を制御部10に入力するものとしているが、本変形例10では、区間代表値Pnに対しても移動平均処理をし、移動平均処理後の区間代表値を移動平均値Pnmとし、この移動平均値Pnmを用いて停止制御する。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態及びそれらの変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
【0068】
例えば、区間代表値Pnは、上記第1実施形態(構成例1、変形例1〜変形例5)においては、区間内で得られる複数の検知圧力Pのうちの最小値であり、上記第2実施形態(構成例2、変形例6〜変形例10)においては、区間内で得られる複数の検知圧力Pのうちの最大値であるものとしたが、これらに限らず、例えば、区間内で得られる複数の検知圧力Pの平均値であるものとしてもよい。例えば、負圧式について、図5と同じ範囲を示した図8を一例として説明すると、区間S1〜S8の区間それぞれにおいて、その区間毎の平均値は、それぞれP1ave〜P8aveであり、制御部10はこの平均値を用いて差圧発生手段7の停止制御を行う。
なお、上記全ての構成例及び変形例において、検知圧力Pを示す検知信号の生データに対してフィルタリング処理を施し、このフィルタリング処理後の検知信号Pを、圧力センサ8からの検知圧力Pの検知信号として、制御部10に入力するものとして説明したが、これに限らない。例えば、圧力センサ8からの生データを制御部10に直接入力し、制御部10内で、その生データに対してフィルタリング処理し、フィルタリング処理後のデータの区間毎の最小値や最大値や平均値を、区間代表値としてもよい。また、ノイズ等による急激な変化が比較的少ない場合等は、生データに対してフィルタリング処理を施さなくてもよい。この場合は、検知信号の生データを制御部10に入力し、生データの区間毎の、最小値や最大値や平均値を区間代表値とする。また、流下吐出運転開始直後に圧力の不安定期間がない場合又はその変動レベルが無視できるほどである場合等は、無視時間T3は設けなくてもよい。
【0069】
また、コーヒー飲料を供給する場合で説明したが、これに限らず、例えば、緑茶を供給することもできる。この場合、抽出容器4内には茶葉を原料として供給する。また、飲料は、コーヒー飲料やお茶に限らず、抽出により供給可能な飲料であれば、どのような種類の飲料でもよい。そして、抽出容器4内に湯水を供給するものとしたが、これに限らず、冷水を供給してもよい。冷水を供給しても飲料を抽出可能である。
【0070】
また、飲料供給装置1は、カップ式のサーバーに組み込んで適用する場合について説明したが、これに限らず、カップ式の自動販売機に組み込んで適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,1’・・・飲料供給装置
4・・・・・抽出容器
5・・・・・液受部
7・・・・・差圧発生手段(チューブポンプ、エアポンプ)
8・・・・・圧力センサ
10・・・・制御部
C・・・・・カップ
F・・・・・フィルタ
L2・・・・飲料流通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8