(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目標温度算出器は、一定の時間間隔またはリアルタイムで前記液化ガスの測定温度を用いて前記熱伝達媒体の目標温度を算出することを特徴とする請求項1に記載の液化ガス処理システム。
前記液化ガス温度センサーは、前記液化ガス供給ライン上で前記熱交換器と前記需要先との間に設けることを特徴とする請求項1または2に記載の液化ガス処理システム。
液化ガス処理システムを駆動する方法と関連する液化ガス処理方法であって、液化ガスを熱交換器において熱伝達媒体で加熱して需要先に供給し、媒体ヒーターが前記熱伝達媒体を加熱して前記熱交換器に供給し、前記処理方法は、
前記需要先に供給される液化ガスの温度を測定する段階と、
前記液化ガスの測定温度を前記需要先の液化ガスの要求温度に収束させるための前記熱伝達媒体の目標温度を算出する段階と、
を含み、
前記熱伝達媒体の目標温度を算出する段階は、前記需要先の液化ガスの要求温度と、前記液化ガスの測定温度との偏差を用いたPID制御によって前記熱伝達媒体の目標温度を算出し、前記熱伝達媒体の前記目標温度に基いて、前記媒体ヒーターに流入される前記熱伝達媒体の流量または前記媒体ヒーターが前記熱伝達媒体に供給する熱量を可変することを含む、カスケード制御を実行し、前記熱伝達媒体の前記温度は、前記熱伝達媒体の前記目標温度に収束することを特徴とする液化ガス処理方法。
前記熱伝達媒体の流量を可変する段階は、少なくとも一部の熱伝達媒体が前記媒体ヒーターを迂回させるが、前記媒体ヒーターを迂回する熱伝達媒体の流量を制御する段階を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の液化ガス処理方法。
前記熱伝達媒体の流量を可変する段階は、前記媒体ヒーターに前記熱伝達媒体を供給する媒体ポンプの駆動を制御する段階を含むことを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の液化ガス処理方法。
前記熱伝達媒体に供給する熱量を可変する段階は、前記媒体ヒーターに流入された熱伝達媒体に供給される熱源の量を制御する段階を含むことを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の液化ガス処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は、従来の液化ガス処理システムの概念図である。
【0037】
図1に示したように、従来の液化ガス処理システム1は、液化ガス貯蔵タンク10、エンジン20、ポンプ30、電気ヒーター40を含む。以下、本明細書では、液化ガスは、LNGまたはLPG、エチレン、アンモニアなどのように、一般的に液体の状態で保管されるすべてのガス燃料を包括する意味として使用することができ、加熱や加圧によって液体状態でない場合なども便宜上液化ガスに表現することができる。これは、蒸発ガスも同様に適用することができる。
【0038】
従来の液化ガス処理システム1は、電気エネルギーの供給を受けて液化ガスを直接加熱する電気ヒーター40を使用した。しかしながら、電気ヒーター40を駆動するために必要な電気エネルギーは、燃料を使用して発電機(図示せず)を駆動しなければ得ることができないため、燃料消費によるコストの問題と、燃料の燃焼時に発生する排気による環境汚染の問題などが発生しえる。
【0039】
図2は、本発明の第1〜第4実施例による液化ガス処理システムの概念図である。
図2における点線は、信号が送受信される流れを意味する。
図2に示したように、本発明の第1〜第4実施例による液化ガス処理システム2は、液化ガス貯蔵タンク10、エンジン20、ポンプ30、熱交換器50、媒体供給装置60、液化ガス温度センサー70、媒体状態感知センサー80、コントローラ90を含む。
【0040】
本発明の一実施例では、液化ガス貯蔵タンク10、エンジン20、ポンプ30などは、従来の液化ガス処理システム1での各構成と便宜上同じ符号を使用するが、必ずしも同じ構成を指すものではない。
【0041】
液化ガス貯蔵タンク10は、需要先20に供給されるべき液化ガスを貯蔵する。液化ガス貯蔵タンク10は、液化ガスを液体の状態で保管しなければならないが、このとき液化ガス貯蔵タンク10は、圧力タンクの形態を持つことができる。
【0042】
液化ガス貯蔵タンク10は、外槽タンク(図示せず)、内槽タンク(図示せず)、断熱部を含む。外槽タンクは、液化ガス貯蔵タンク10の外壁をなす構造として、スチールで形成され、断面が多角形の形態になりうる。
【0043】
内槽タンクは、外槽タンクの内部に備えられ、、サポート(Support;(図示せず))によって外槽タンクの内部に支持設けることができる。このとき、サポートは内槽タンクの下端に設けることができ、もちろん内槽タンクの左右流動を抑制するために内槽タンクの側面にも具備することができる。
【0044】
内槽タンクは、ステンレス材質で形成されることができ、5barないし10bar(例えば6bar)の圧力に耐えられるように設計することができる。内槽タンクをこのように一定の圧力に耐えられるように設計するのは、内槽タンクの内部に備えられた液化ガスが蒸発して蒸発ガスが生成されることによって内槽タンクの内圧が上昇するからである。
【0045】
内槽タンクの内部には、バッフル(Baffle;図示せず)が具備されうる。バッフルは、格子形態のプレートを意味し、バッフルが設置されることにより内槽タンク内部の圧力は均等に分布されて内槽タンクが一部に集中圧力を受けることを防止することができる。
【0046】
断熱部は、内槽タンクと外槽タンクとの間に備えられ、外部の熱エネルギーが内槽タンクに伝達されることを防止することができる。このとき、断熱部は真空状態でありえる。断熱部を真空に形成することにより液化ガス貯蔵タンク10は、一般的なタンクと比較したとき高い圧力により効率的に耐えることができる。一例として、液化ガス貯蔵タンク10は、真空の断熱部によって5barないし20barの圧力を耐えることができる。
【0047】
このように本実施例では、真空形態の断熱部を外槽タンクと内槽タンクとの間に具備する圧力タンク型液化ガス貯蔵タンク10を使用することにより、蒸発ガスの発生を最小限に抑えることができ、内圧が上昇しても液化ガス貯蔵タンク10が破損するなどの問題が起きることを未然に防止することができる。
【0048】
需要先20は、液化ガス貯蔵タンク10から液化ガスを供給してもらう。需要先20は、液化ガスにより駆動されて動力を発生させるエンジンであり、一例として、船舶に搭載されているMEGIエンジンまたは二重燃料エンジンでありえる。
【0049】
需要先20が二重燃料エンジンの場合、液化ガスのLNGとオイルが混合されて供給されず、LNGや石油が選択的に供給することができる。これは、燃焼温度が異なる二つの物質が混在供給されることを防止して、効率の低下を防止するためである。
【0050】
エンジンは、液化ガスの燃焼によりシリンダ(図示せず)内部のピストン(図示せず)が往復運動することにより、ピストンに連結されたクランク軸(図示せず)が回転し、クランク軸に連結されるシャフト(図示せず)が回転されうる。したがって、エンジン駆動時に最終的にシャフトに連結されたプロペラ(図示せず)が回転することにより、船体が前進または後進することになる。
【0051】
もちろん、本実施例において需要先20のエンジンは、プロペラを駆動するためのエンジンではあるが、発電のためのエンジンまたはその他の動力を発生させるためのエンジンでありえる。すなわち、本実施例では、エンジンの種類を特に限定しない。ただし、エンジンは液化ガスの燃焼によって駆動力を発生させる内燃機関でりえる。
【0052】
液化ガス貯蔵タンク10と需要先20との間には、液化ガスを伝達する液化ガス供給ライン21が設けられ、液化ガス供給ライン21には、ポンプ30、熱交換器50などが具備されて液化ガスが需要先20に供給されるようにすることができる。
この時、液化ガス供給ライン21には、液化ガス供給弁(図示せず)が設置され、液化ガス供給弁の開度調節により液化ガスの供給量が調節されることができる。
【0053】
また、液化ガス供給ライン21には、液化ガス温度センサー70が具備され、液化ガスの温度に基づいて液化ガスに熱を供給する熱伝達媒体の必要熱量を把握し、媒体ヒーター63により加熱された熱伝達媒体の温度が適切に可変して目標温度に到達させるカソケード(Cascade)制御を具現することができる。これについては後述する。
【0054】
ポンプ30は、液化ガス供給ライン21上に設けられ、液化ガス貯蔵タンク10から排出された液化ガスを加圧する。ポンプ30は、ブーストポンプ(Boosting Pump;31)と高圧ポンプ(High Pressure Pump;32)を含むことができる。
【0055】
ブーストポンプ31は、液化ガス貯蔵タンク10と高圧ポンプ32との間の液化ガス供給ライン21上に、または液化ガス貯蔵タンク10内に設けることができ、高圧ポンプ32に十分な量の液化ガスが供給されるようにして高圧ポンプ32の空洞現象(Cavitation)を防止する。また、ブーストポンプ31は、液化ガス貯蔵タンク10から液化ガスを取り出して液化ガスを数乃至数十bar以内に加圧することができ、ブーストポンプ31を経た液化ガスは、1bar乃至25barに加圧されることがてきる。
【0056】
液化ガス貯蔵タンク10に貯蔵された液化ガスは液体状態に置かれている。この時、ブーストポンプ31は、液化ガス貯蔵タンク10から排出される液化ガスを加圧して圧力及び温度を多少上げることができ、ブーストポンプ31によって加圧された液化ガスは、依然として液体状態でありえる。
【0057】
高圧ポンプ32は、ブーストポンプ31から排出された液化ガスを高圧で加圧し、需要先20に液化ガスが供給されるようにする。液化ガスは、液化ガス貯蔵タンク10から約10bar程度の圧力で排出された後、ブーストポンプ31によって一次加圧されるが、高圧ポンプ32は、ブーストポンプ31によって加圧された液体状態の液化ガスを二次加圧して後述する熱交換器50に供給する。この時、高圧ポンプ32は、液化ガスを需要先20から要求される圧力、例えば200barないし400barまで加圧し、需要先20に供給することで、需要先20が液化ガスにより動力を生産できるようにすることができる。
【0058】
高圧ポンプ32は、ブーストポンプ31から排出される液体状態の液化ガスを高圧で加圧するが、液化ガスが超臨界点(Critical Point)よりも高い温度及び高い圧力を持つ超臨界状態になるように相変化させることができる。このとき、超臨界状態の液化ガスの温度は、臨界温度よりも相対的に高いことがある。または、高圧ポンプ32は、液体状態の液化ガスを高圧で加圧して過冷却液体状態に変化させることができる。ここで、過冷却液体状態の液化ガスとは、液化ガスの圧力が臨界圧力より高く、温度が臨界温度より低い状態である。
【0059】
具体的には、高圧ポンプ32は、ブーストポンプ31から排出される液体状態の液化ガスを200barないし400barまで高圧で加圧するが、液化ガスの温度が臨界温度より低い温度になるようにし、液化ガスを過冷却液体の状態に相変化させることができる。ここで、過冷却液体状態の液化ガスの温度は、臨界温度より相対的に低い−140℃乃至−60℃になりうる。ただし、高圧ポンプ32は、需要先20が低圧エンジンの場合には省略することができる。すなわち、需要先20が低圧エンジンの二重燃料エンジンの場合、液化ガスは、ブーストポンプ31によって加圧された後、後述する熱交換器50を介して需要先20に供給されることができる。
【0060】
熱交換器50は、需要先20とポンプ30との間の液化ガス供給ライン21上に設けられ、ポンプ30から供給される液化ガスを熱伝達媒体と熱交換させて需要先20に供給する。熱交換器50に液化ガスを供給するポンプ30は、高圧ポンプ32でありえるし、熱交換器50は、過冷却液体状態または超臨界状態の液化ガスを高圧ポンプ32から排出される圧力である200barないし400barを維持しつつ加熱させ、30℃〜60℃の超臨界状態の液化ガスに変換した後、需要先20に供給することができる。
【0061】
本実施例での熱交換器50は、後述する媒体ヒーター63から供給される熱伝達媒体を使用して液化ガスを加熱することができる。この時、熱伝達媒体は、グリコールウォーターでありえるし、グリコールウォーターとは、エチレングリコールと水を混合した流体であり、媒体ヒーター63で加熱されて熱交換器50で冷却され、媒体循環ライン64に沿って循環されることができる。
【0062】
熱交換器50で液化ガスと熱交換した後に吐出される熱伝達媒体の温度は、前述の高圧ポンプ32の液化ガスの相変化に応じて変わることができる。すなわち、高圧ポンプ32が液化ガスを過冷却液体状態に相変化させた後、熱交換器50に供給すると、熱伝達媒体は、過冷却液体状態の液化ガスを30度〜60度まで加熱しながら冷却することができ、または高圧ポンプ32が液化ガスを超臨界状態に相変化させた後、熱交換器50に供給すると、熱伝達媒体は、過冷却液体状態よりも温度が高い超臨界状態の液化ガスを需要先20の要求温度まで加熱し、冷却することができる。このとき、過冷却液体状態の液化ガスと熱交換した場合の熱伝達媒体は、超臨界状態の液化ガスと熱交換した場合の熱伝達媒体よりも低い温度に冷却された後、媒体タンク61に循環されることができる。
【0063】
熱交換器50から排出される液化ガスが需要先20から要求される温度に達していないか、または過度に高い場合には、本実施例では、液化ガスの測定温度に基づいて熱伝達媒体の目標温度を算出し、少なくとも一部のの熱伝達媒体が媒体ヒーター63を迂回するようにしたり、媒体ポンプ62による熱伝達媒体の流量を制御したり、または媒体ヒーター63に供給される熱源の量を調節して熱伝達媒体の目標温度まで熱伝達媒体が加熱されるようにすることで、液化ガスの温度が需要先20の液化ガスの要求温度に適合するように制御することができる。このようなカスケード(Cascade)制御については後述する。
【0064】
ただし、熱交換器50で液化ガスと熱交換した熱伝達媒体の温度が一定の圧力で水が凍る温度よりも低い場合、熱伝達媒体に含まれている水が凍結してしまい、熱伝達媒体が水とエチレングリコールに分離されうる。しかし、本実施例では、熱交換器50の内部または下流で熱伝達媒体の温度を感知し、これにより、熱伝達媒体の加熱流れを制御し、熱伝達媒体から水が分離されることを未然に防止することができる。
【0065】
媒体供給装置60は、熱交換器50に熱伝達媒体を供給する。媒体供給装置60は、媒体タンク61、媒体ポンプ62、媒体ヒーター63、媒体循環ライン64、分岐ライン65、熱源供給ライン66、流量調節弁67を含む。
【0066】
媒体タンク61は、熱伝達媒体を貯蔵する。熱伝達媒体は、前述したように、グリコールウォーターでありえるし、媒体タンク61は、グリコールウォーターのクラッキング(Cracking;水の相変化により、水とエチレングリコールが分離される現象)を防止することができる温度で熱伝達媒体を貯蔵することができる。
【0067】
媒体タンク61の下流には、媒体ポンプ62が具備され、媒体ポンプ62によって一定量の熱伝達媒体が媒体タンク61から媒体ヒーター63に流入されることができる。また、媒体タンク61の上流には、熱交換器50が連結され、液化ガスに熱を供給し、冷却された熱伝達媒体が媒体タンク61に再流入されることができる。
【0068】
媒体タンク61と媒体ポンプ62、媒体ヒーター63及び熱交換器50は、媒体循環ライン64によって連結することができる。すなわち、熱伝達媒体は、媒体循環ライン64に沿って流動しつつ、媒体タンク61、媒体ポンプ62、媒体ヒーター63、熱交換器50の順に移動して加熱または冷却されることができる。
【0069】
媒体ポンプ62は、媒体タンク61に貯蔵された熱伝達媒体を媒体ヒーター63に供給する。媒体ポンプ62は、媒体タンク61の下流に具備されることができ、複数個に具備されていずれか一つの媒体ポンプ62が破損した場合、もう一つの媒体ポンプ62によって熱伝達媒体が円滑に供給できるようにすることができる。
【0070】
媒体ポンプ62は、後述するコントローラ90によって駆動が制御され、媒体ヒーター63に供給される熱伝達媒体の流量を制御することができる。すなわち、媒体ポンプ62の駆動速度(RPM)、圧力などがコントローラ90によって可変されることができ、これは結局媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量が異なることを意味する。
【0071】
本実施例は、液化ガスが熱交換器50で加熱されるとき、加熱された液化ガスが需要先20の液化ガスの要求温度に適した範囲内で、媒体ポンプ62の操作を最小化して循環する熱伝達媒体の流量を減少させることができる。これにより、本実施例では、媒体ポンプ62などの効率を向上させることができ、消費エネルギーを低減することができる。
【0072】
媒体ヒーター63は、媒体タンク61から排出される熱伝達媒体を加熱した後、熱交換器50に供給する。媒体ヒーター63は、熱伝達媒体を一定の温度で加熱することにより、熱伝達媒体が熱交換器50から十分な熱を液化ガスに供給させることができる。
【0073】
媒体ヒーター63は、電気エネルギーを使用して熱伝達媒体を加熱することもできるが、本実施例では蒸気を使用することができる。すなわち、媒体ヒーター63には、熱源を供給する熱源供給ライン66が連結され、熱源供給ライン66は、ボイラー(図示せず)によって生成される蒸気を媒体ヒーター63に供給し、蒸気は、熱伝達媒体に熱を供給し、熱伝達媒体は、蒸気を冷却させて熱伝達媒体は加熱されて、蒸気は凝縮水に凝縮されることができる。
【0074】
この時、凝縮水は凝縮水タンク(図示せず)を介してボイラに再流入されて蒸気に変化した後、再度媒体ヒーター63に流入されることができ、蒸気によって加熱された熱伝達媒体は、媒体ヒーター63から排出さして熱交換器50に流入されることができる。
【0075】
媒体循環ライン64は、媒体ヒーター63から熱交換器50まで連結されて熱伝達媒体を循環させる。熱伝達媒体は、媒体循環ライン64に沿って循環し、媒体ヒーター63で加熱されて熱交換器50で液化ガスによって冷却されることができる。また、媒体循環ライン64は、媒体タンク61、媒体ポンプ62、媒体ヒーター63、熱交換器50を連結し、熱伝達媒体が循環されるようにすることができる。これにより、本実施例では、熱伝達媒体を再利用することで効率を向上させることができる。
【0076】
分岐ライン65は、少なくとも一部の熱伝達媒体が媒体循環ライン64から分岐して媒体ヒーター63を迂回させる。分岐ライン65は、媒体循環ライン64上で媒体ヒーター63の上流地点で分岐し、媒体ヒーター63の下流地点で合流することができる。
【0077】
分岐ライン65を介して媒体ヒーター63を迂回した熱伝達媒体と、分岐ライン65に流入されず、媒体循環ライン64を介して媒体ヒーター63に流入された熱伝達媒体は、媒体ヒーター63の下流で合流することができ、このとき、媒体ヒーター63を迂回した熱伝達媒体の温度は媒体ヒーター63で加熱された熱伝達媒体より温度が低いことがありえる。この場合、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量を調節すると、熱交換器50に流入される熱伝達媒体の温度を効果的に制御することができる。すなわち、本実施例では、熱伝達媒体のうち一部が媒体ヒーター63を迂回した後、合流させるようにすることで熱伝達媒体の温度を可変させることができる。
【0078】
分岐ライン65には、迂回調節弁651を具備することができる。迂回調節弁651は、後述するコントローラ90によって開度が制御され、分岐ライン65に流入される熱伝達媒体の流量を調節することができる。迂回調節弁651は、分岐ライン65上に設けられる2方向バルブでありえるし、分岐ライン65に沿って流動する熱伝達媒体の具体的な流れについては、後述する。
【0079】
熱源供給ライン66は、媒体ヒーター63に熱源を供給する。この時、熱源は、熱伝達媒体を加熱し、加熱された熱伝達媒体が液化ガスを加熱することができるようにしたもので、スチームでありえる。すなわち、熱源供給ライン66は、蒸気供給ラインでありえる。熱源供給ライン66上には熱源供給弁661を設けることができる。
【0080】
熱源供給弁661は、熱源供給ライン66の開度を調節することができ、熱源供給弁661によって熱源供給ライン66に沿って流動する蒸気の量が制御され、媒体ヒーター63で加熱される熱伝達媒体の吐出温度が可変されうる。このような熱源供給弁661は、コントローラ90によって制御され、熱伝達媒体が気化して熱伝達媒体に含まれた物質(熱伝達媒体がグリコールウォーターの場合は水を意味する。)が分離されるクラッキング現象を防止することができる。
【0081】
流量調節弁67は、媒体循環ライン64上に設けられ、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を調節する。流量調節弁67は、媒体ポンプ62の下流に設けることができ、コントローラ90によって開度が制御され、媒体循環ライン64に沿って循環する熱伝達媒体の流量を可変することができる。このとき、流量調節弁67の一側には、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を測定する媒体流量センサー
671が具備されうる。媒体流量センサー
671は、媒体循環ライン64上に設けられ、媒体循環ライン64で循環する熱伝達媒体の流量を測定し、測定された流量をコントローラ90に伝達し、コントローラ90が適切に流量調節弁67の開度を調節できるようにすることができる。
【0082】
液化ガス温度センサー70は、液化ガス供給ライン21上に設けられ、液化ガスの温度を測定する。液化ガス温度センサー70は、液化ガス供給ライン21上で熱交換器50と需要先20との間に設けられ、熱交換器50で熱伝達媒体によって加熱された後の液化ガスの温度を測定することができる。
【0083】
測定された液化ガスの温度は、後述するコントローラ90によって需要先20の液化ガスの要求温度と比較することができ、これにより、コントローラ90の目標温度算出器91は、熱伝達媒体の目標温度を算出することができる。これは、後述する。
【0084】
媒体状態感知センサー80は、媒体循環ライン64上に設けられ、熱伝達媒体の状態を測定する。媒体状態感知センサー80は、媒体ヒーター63の下流で熱伝達媒体の温度を感知する第1媒体状態感知センサー81と、熱交換器50の下流または内部で熱伝達媒体の温度を感知する第2媒体状態感知センサー82を含むことができる。
【0085】
第1媒体状態感知センサー81は、媒体循環ライン64上で媒体ヒーター63の下流に設けられ、媒体ヒーター63で加熱された熱伝達媒体の温度を測定することができる。第1媒体状態感知センサー81が感知する熱伝達媒体は、媒体ヒーター63によって加熱された後の熱伝達媒体を意味し、熱交換器50から液化ガスに供給すべき熱を含んでいる状態である。
【0086】
第1媒体状態感知センサー81によって感知された熱伝達媒体の温度が低ければ、熱交換器50からの熱伝達媒体からの熱の供給を受けて加熱される液化ガスの温度も同様に低くく、反面、第1媒体状態感知センサー81により感知された熱伝達媒体の温度が高ければ、熱交換器50から排出される液化ガスの温度をも同様に高いであろう。
【0087】
すなわち、第1媒体状態感知センサー81により感知された温度は、熱交換器50から需要先20に供給される液化ガスの温度を推定することができる値であり、これにより、本実施例では、液化ガスの温度が需要先20の要求温度に対応できるようにするために、熱伝達媒体の温度を可変させることができる。熱伝達媒体の温度は、前述した分岐ライン65や媒体ポンプ62、熱源供給弁661などにより調節することができる。
【0088】
第1媒体状態感知センサー81は、媒体循環ライン64で分岐ライン65を介して迂回する熱伝達媒体が合流する地点の上流に設けることができる。この場合、第1媒体状態感知センサー81は、媒体ヒーター63から吐出された熱伝達媒体の温度を感知し、感知された温度は、熱伝達媒体が気化されることによって発生しえる熱伝達媒体のクラッキング現象を防止するのに使用することができる。
【0089】
もちろん、第1媒体状態感知センサー81は、媒体循環ライン64上で分岐ライン65を介して迂回する熱伝達媒体が合流する地点の下流に設けることもできる。この場合、第1媒体状態感知センサー81と第2媒体状態感知センサー82によって把握される温度の差は、熱交換器50から液化ガスに供給される熱量を意味することもできる。
【0090】
第2媒体状態感知センサー82は、媒体循環ライン64上で熱交換器50の下流に設けるか、または熱交換器50の内部に設けられ、熱伝達媒体の温度を感知することができる。第2媒体状態感知センサー82が感知する熱伝達媒体の温度は、熱交換器50で液化ガスによって冷却された熱伝達媒体の温度を意味する。
【0091】
第2媒体状態感知センサー82によって感知された温度が過度に低ければ、熱伝達媒体に含まれた物質(例えば水など)が凝固された場合がある。したがって、本実施例は、第2媒体状態感知センサー82によって感知される温度を凝固防止基準値と比較することにより、熱伝達媒体のアイシング(Icing)現象を防止することができる。
【0092】
また、媒体状態感知センサー80は、第1媒体状態感知センサー81と第2媒体状態感知センサー82とを利用して熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度の差を感知することができる。この時、熱伝達媒体の温度差は、コントローラ90に伝送され、コントローラ90は、熱伝達媒体の温度差が既設定値以上になるようにすることで、液化ガスが需要先20の液化ガスの要求温度まで十分に加熱されるようにすることができる。この場合、コントローラ90は、熱伝達媒体の温度差が既設定値以上となる範囲内で、熱伝達媒体の流量を減少させ、媒体ポンプ62の効率を向上させることができる。
【0093】
コントローラ90は、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する。以下では、各実施例ごとにコントローラ90の制御について説明する。
【0094】
本発明の第1実施例では、コントローラ90は、液化ガスの測定温度に基づいて熱伝達媒体の流量または熱伝達媒体に供給する熱量を可変することができる。具体的に、コントローラ90は、液化ガスの測定温度を利用して熱伝達媒体の目標温度を算出する目標温度算出器91を含み、熱伝達媒体の目標温度に基づいて熱伝達媒体の流量などを可変することができる。すなわち、コントローラ90は、液化ガスの測定温度を利用して熱伝達媒体の流量などを直接制御することができ、または液化ガスの測定温度により熱伝達媒体の目標温度を算出した後、熱伝達媒体の目標温度を利用して熱伝達媒体の流量などを制御することができる。後者の場合をカスケード制御という。
【0095】
このとき、目標温度算出器91は、需要先20の液化ガスの要求温度と液化ガスの測定温度との偏差を用いたPID制御によって熱伝達媒体の目標温度を算出することができる。PID制御とは、偏差の比例項、偏差の累積値を意味する積分項、前回偏差との差を意味する微分項を使用して熱伝達媒体の温度を出力するものであり、PID制御の具体的な計算式は、一般的な事項なので、詳しい説明は省略する。
【0096】
目標温度算出器91は、このようなPID制御によって一定の時間間隔またはリアルタイムで液化ガスの測定温度を利用し、熱伝達媒体の目標温度を算出することができ、熱伝達媒体の目標温度はコントローラ90に伝達されうる。一例として、液化ガスがLNGであり、需要先20はエンジンであり、需要先20の液化ガスの要求温度が45℃のとき、現在の液化ガスの測定温度が50℃であれば、熱伝達媒体の目標温度は、現在の液化ガスの測定温度と需要先20の液化ガスの要求温度との偏差である5℃をもとに算出することができる。また一例として、熱伝達媒体の目標温度が60℃に算出されることができ、熱伝達媒体の温度が目標温度に達しているかどうかは、前述した媒体状態感知センサー80(特に、第1媒体状態感知センサー81)によって確認することができる。
【0097】
熱伝達媒体の温度が目標温度に近づくことにより、液化ガスの測定温度は可変することができる。熱伝達媒体の温度が60℃に近づきながら下降した場合には、液化ガスの測定温度は45℃以下の43℃になることもある。このとき、目標温度算出器91は、PID制御によって熱伝達媒体の温度を再算出して熱伝達媒体の温度が例えば62℃になるようすることができる。このように、熱伝達媒体の温度が可変することにより液化ガスの温度が再び変更されることを勘案して目標温度算出器91は、一定の時間間隔またはリアルタイムで熱伝達媒体の目標温度を算出することができ、結局液化ガスは、需要先20の液化ガスの要求温度に収束することができる。
【0098】
ただし、熱伝達媒体の目標温度は、既設定されている熱伝達媒体の温度範囲(Range)内に位置されるようにすることができる。一例として、熱伝達媒体の温度範囲は45℃ないし85℃でありえるし、これは入力によって設定することができる値である。
【0099】
また、目標温度算出器91は、需要先20の液化ガスの要求温度範囲と熱伝達媒体の温度範囲とを使用して、液化ガスの測定温度により熱伝達媒体の目標温度を算出することができる。このとき、各温度範囲は、既設定されている値にありうる。一例として、需要先20の液化ガスの要求温度に対する温度範囲が40℃〜60℃(20℃間隔)であり、熱伝達媒体の温度範囲が45℃ないし85℃(40℃間隔)である場合には、液化ガスの測定温度が43℃のとき、範囲比例換算(温度範囲の最低温度より3℃高く、熱伝達媒体の温度範囲に反映時に最低温度より6℃高く適用)により、熱伝達媒体の温度は51℃に対応することができる。したがって、目標温度算出器91は、温度範囲を考慮した比例換算によって熱伝達媒体の目標温度を算出することもできる。
【0100】
コントローラ90は、目標温度算出器91によって算出された熱伝達媒体の目標温度に基づいて、媒体ポンプ62の駆動を制御して媒体ポンプ62から媒体ヒーター63に供給される熱伝達媒体の流量を制御することができ、または分岐ライン65上に設けられる迂回調節弁651によって分岐ライン65に流入される熱伝達媒体の流量を調節することができる。
【0101】
具体的に、目標温度が現在の熱伝達媒体の温度よりも高い場合、コントローラ90は、媒体ポンプ62のRPMなどを上げて媒体ヒーター63に多くの流量が供給されるようにするか、分岐ライン65に迂回する熱伝達媒体の流量を減少させて、熱交換器50から熱伝達媒体が液化ガスに供給できる熱量を上昇させることができる。もちろん、目標温度が現在の熱伝達媒体の温度よりも低い場合は、前述した説明と反対の制御を行うことができる。このとき、媒体ポンプ62を制御する場合には、目標温度算出器91によって算出された目標温度及び媒体流量センサー
671により感知された熱伝達媒体の流量、液化ガスの流量(別の液化ガス流量センサー(図示せず)によって感知されうる。)がともに考慮されて熱伝達媒体の目標熱量が算出され、目標熱量に応じて媒体ポンプ62が制御されることもある。これは、媒体ヒーター63で熱源により加熱された熱伝達媒体の温度が流量とは無関係に一定の場合に備えるためである。
【0102】
すなわち、熱伝達媒体は、媒体ヒーター63によって目標温度に到達して熱交換器50に流入されても、液化ガスは、需要先20の液化ガスの要求温度に達していないことがある。これは、熱伝達媒体の流量が不足するからである。したがって、目標温度算出器91は、液化ガスの流量、熱伝達媒体の流量を勘案し、熱伝達媒体の目標熱量を算出することができ、媒体ポンプ62は、熱伝達媒体の目標熱量をもとに駆動が制御されうる。
【0103】
それだけでなく、コントローラ90は、熱源供給ライン66に備えられる熱源供給弁661の開度調節によって媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱源の量を制御し、熱伝達媒体加熱温度を可変させることができる。すなわち、コントローラ90は、目標温度が現在の熱伝達媒体の温度より高ければ熱源の供給量が増えるようにし、逆の場合熱源の供給量が減少するように熱源供給弁661の開度を調節することができる。
【0104】
また、コントローラ90は、媒体ポンプ62から媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の少なくとも一部を媒体タンク61または媒体ポンプ62に戻して媒体ヒーター63の流入量を可変することができる。本実施例のコントローラ90は、前記内容に限定されず、媒体ヒーター63に供給される熱伝達媒体の流量を可変することができればどのような制御も可能である。
【0105】
このように本実施例では、液化ガスの測定温度を利用して熱伝達媒体の目標温度を算出し、算出された熱伝達媒体の目標温度を利用して熱伝達媒体の流れを制御することで、効率的に液化ガスが需要先20の液化ガスの要求温度に加熱されるようにすることができる。
【0106】
本発明の第2実施例では、コントローラ90は、熱伝達媒体が凝固(熱伝達媒体に含まれた物質の凝固も含む)を防止するための凝固防止基準値を設定し、媒体状態感知センサー80による熱伝達媒体の状態値と凝固防止基準値をもとに、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する。
【0107】
熱伝達媒体は、前述したように、グリコールウォーターでありえるし、水が含まれている場合もある。熱伝達媒体が熱交換器50で液化ガスによって冷却される過程で、一定の温度以下に過冷却されると、熱伝達媒体に含まれた水が凍ることにより熱伝達媒体の使用ができない場合がある。したがって、コントローラ90は、熱伝達媒体に含まれた水が凍ることを防止するための凝固防止基準値をあらかじめ設定しておくことができる。凝固防止基準値は、一例として30℃でもあるが、これに限定されるものではなく、熱伝達媒体または液化ガスの圧力や流量などによって可変されうる。
【0108】
コントローラ90は、熱伝達媒体の状態値が凝固防止基準値以上になるように熱伝達媒体の流量を可変することができる。この時、熱伝達媒体の状態値とは、第2媒体状態感知センサー82による状態値、すなわち、熱交換器50で冷却された熱伝達媒体の温度を意味する。
【0109】
コントローラ90は、熱交換器50で冷却される熱伝達媒体の温度が、凝固防止基準値以上の温度になるようにすることで、熱伝達媒体に含まれた水が凍ってしまうアイシング現象を未然に防止することができる。このため、コントローラ90は、分岐ライン65に設けられる迂回調節弁651を制御したり、媒体ポンプ62の駆動を制御したり、または熱源供給弁661を制御することにより、熱伝達媒体が、媒体ヒーター63に供給される流量または熱伝達媒体に供給される熱量を可変させて熱伝達媒体の状態値が凝固防止基準値以上を維持させることができる。
【0110】
具体的に、コントローラ90は、熱伝達媒体の温度が凝固防止基準値よりも低い場合、迂回調節弁651の開度を下げるか(媒体ヒーター63を迂回した熱伝達媒体と媒体ヒーター63で加熱された熱伝達媒体が合流したときに十分な温度を持つようにしてアイシング現象を防止)、媒体ポンプ62のRPMを上げるか(媒体ヒーター63から十分な熱源が供給されることを仮定すると、熱伝達媒体が供給を受けられる総熱量を高めてアイシング現象を防止)、熱源供給弁661の開度を高めて熱伝達媒体の温度または熱量を上昇させることができる。したがって、本実施例では、熱交換器50で熱伝達媒体が液化ガスによって冷却されても、アイシング現象が発生しないように熱伝達媒体の温度または熱量を十分に高めることで、熱伝達媒体の円滑な循環が可能である。
【0111】
ただし、熱交換器50に流入された熱伝達媒体が予期せぬ要因により熱交換器50から媒体循環ライン64に沿って排出されない場合、熱交換器50に継続的に流入された液化ガスにによって熱伝達媒体が冷却され、アイシング現象が発生しえる。したがって、本実施例では、熱伝達媒体の循環が円滑でない時に熱交換器50に流入された熱伝達媒体にアイシング現象が発生し、アイシング現象が発生された熱伝達媒体により熱交換器50が破損したり、システムが停止することを防止するために、媒体放出ライン93をさらに含むことができる。
【0112】
媒体放出ライン93は、熱交換器50に連結されて熱交換器50に流入された熱伝達媒体を外部に排出させる。前述したコントローラ90の制御によって、正常な媒体循環が行われる場合には、熱交換器50で熱伝達媒体のアイシング現象が発生しない。しかしながら、媒体循環に問題が発生して熱交換器50で熱伝達媒体が抜けて行かずに残留している場合には、継続的に熱交換器50に供給される液化ガスの冷熱により熱伝達媒体にアイシング現象が発生しえる。したがって、本実施例では、熱交換器50の一側に媒体放出ライン93を備え、媒体循環に問題が発生したことが感知されると熱交換器50に残留している熱伝達媒体を外部に放出させることができる。
【0113】
このとき、媒体放出ライン93上には、媒体放出弁94を設けることができる。媒体放出弁94は、媒体放出ライン93上に設けられ、媒体状態感知センサー80(特に第2媒体状態感知センサー82)による熱伝達媒体の状態値と凝固防止基準値とをもとに、開度が調節されうる。
【0114】
第2媒体状態感知センサー82が熱交換器50の下流または内部に設けられるので、媒体放出弁94は、熱交換器50で冷却された熱伝達媒体の温度と凝固防止基準値とを比較し、熱伝達媒体の温度が凝固防止基準値よりも低ければ、開度が増加して熱伝達媒体を媒体放出ライン93に排出させることができる。もちろん、媒体放出弁94は、熱伝達媒体の温度がアイシング現象によるシステム停止のリスクが懸念されるほど低い場合、開度が制御されることでき、これは媒体放出弁94によって媒体放出ライン93に沿って熱伝達媒体が放出されると、液化ガスの加熱に支障をもたらす場合があるからである。
【0115】
媒体放出ライン93は、熱交換器50から排出された熱伝達媒体を別の媒体処理設備(図示せず)に送ることができ、この場合、別の媒体処理設備は、熱交換器50から放出された熱伝達媒体を捨てたり、または加熱して媒体循環ライン64に再流入させることができる。また、媒体放出ライン93は、一端が熱交換器50に連結され、他端が媒体タンク61に連結され、熱交換器50に流入された熱伝達媒体を媒体タンク61に回収することができる。これにより、熱伝達媒体は、媒体タンク61、媒体ポンプ62、媒体ヒーター63にしたがって再循環されて使用されることができる。
【0116】
また、媒体放出ライン93は、一端が熱交換器50に連結され、他端が媒体ポンプ62の内部または媒体ポンプ62の上流に連結され、熱交換器50に流入された熱伝達媒体を媒体ポンプ62に供給することができる。これも前述したように熱伝達媒体の再利用が可能である。ただし、媒体放出ライン93に沿って排出される熱伝達媒体は、アイシング現象の危険性が高いほど低温でありえるので、媒体放出ライン93には補助ヒーター(図示せず)を備えて熱伝達媒体を加熱した後、媒体タンク61または媒体ポンプ62に供給することにより、熱伝達媒体が円滑に使用されるようにすることができる。
【0117】
媒体放出ライン93には、媒体臨時貯蔵タンク95を設けることができる。媒体臨時貯蔵タンク95は、熱交換器50から放出された低温の熱伝達媒体を一時的に貯蔵し、外部の熱源(大気など)によって加熱した後、媒体タンク61または媒体ポンプ62に供給することができる。
【0118】
媒体放出ライン93は、熱交換器50から排出された熱伝達媒体が媒体臨時貯蔵タンク95を経由して媒体タンク61または媒体ポンプ62に供給されるようにするか、または熱交換器50から排出された熱伝達媒体が媒体臨時貯蔵タンク95を迂回して媒体タンク61または媒体ポンプ62に供給されるようにすることができる。
【0119】
このため、媒体放出ライン93は、媒体臨時貯蔵タンク95の上流で分岐して媒体臨時貯蔵タンク95または媒体タンク61や媒体ポンプ62に連結され、媒体臨時貯蔵タンク95の経由または迂回は、媒体放出ライン93に設けられる一時貯蔵弁(図示せず)によって制御することができる。この時、臨時貯蔵弁は、媒体臨時貯蔵タンク95の上流における媒体放出ライン93の分岐点に設けることができる。
【0120】
媒体放出ライン93に沿って熱伝達媒体が排出されると、媒体タンク61の水位は下がった状態に維持されることができる。したがって、媒体ポンプ62には、媒体臨時貯蔵タンク95に貯蔵された熱伝達媒体が優先的に供給されることができる。または、媒体タンク61と媒体臨時貯蔵タンク95に貯蔵された熱伝達媒体は、同時に媒体ポンプ62に流入されるか、または個別に媒体ポンプ62に流入されることができる。
【0121】
このように本実施例では、熱交換器50で冷却される熱伝達媒体のアイシング現象が発生しないように熱伝達媒体の媒体ヒーター63の流入量または媒体ヒーター63から熱伝達媒体に供給される熱量を可変することができ、媒体循環に異常が発生すると、熱交換器50の内部に残留した熱伝達媒体を媒体放出ライン93に排出することで、アイシング現象による熱交換器50の破損やシステムの停止などの問題が発生することを未然に防止することができる。
【0122】
本発明の第3実施例では、コントローラ90は、熱伝達媒体が気化(熱伝達媒体に含まれた物質の気化も含む)されることを防止するための気化防止基準値を設定し、媒体状態感知センサー80による熱伝達媒体の状態値と気化防止基準値をもとに、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する。
【0123】
熱伝達媒体は、第2実施例で述べたように、グリコールウォーターでありえるし、水が含まれていることもある。したがって、熱伝達媒体が媒体ヒーター63で過熱されると、熱伝達媒体に含まれた水が蒸発して抜けていくことで、熱伝達媒体使用が不可能になることがありえる。したがって、コントローラ90は、熱伝達媒体の状態値の温度が気化防止基準値に設定される温度以下になるようにすることができる。この時、気化防止基準値は、熱伝達媒体に含まれた水が気化されることを防止するための温度として95℃になりうるが、この数値は可変可能である。
【0124】
この時、媒体状態感知センサー80は、第1媒体状態感知センサー81を意味し、熱伝達媒体の状態値は、媒体ヒーター63で加熱された熱伝達媒体の温度を意味する。媒体ヒーター63から熱伝達媒体に供給される熱源により熱伝達媒体の温度が異なる場合があるが、熱伝達媒体の流量が減少することによって媒体ヒーター63に供給された熱源により熱伝達媒体が単位流量ごとに相対的に多くの熱量を供給してもらう場合には、熱伝達媒体の温度が上昇して水が分離されるクラッキング現象が発生しえる。
【0125】
これを防止するために、コントローラ90は、媒体ヒーター63から排出される熱伝達媒体の温度が、気化防止基準値に設定された温度よりも低い温度になるように、迂回調節弁651を制御したり、媒体ポンプ62の駆動を制御したり、または熱源供給弁661の開度を制御することができる。
【0126】
具体的に、熱伝達媒体の温度が気化防止基準値以上である場合には、コントローラ90は、迂回調節弁651の開度を上げるか(媒体ヒーター63を迂回した熱伝達媒体と媒体ヒーター63を通過した熱伝達媒体の合流流れでのクラッキング現象を防止)、媒体ポンプ62のRPMを上げるか(媒体ヒーター63から供給される熱量が一定である場合、媒体ヒーター63の供給熱量により熱伝達媒体が単位流量ごとに相対的に少ない熱量の供給を受けるようにしてクラッキング現象を防止)、熱源供給弁661の開度を下げることによって、媒体ヒーター63から排出されて熱交換器50に移動する熱伝達媒体の温度を降下させてクラッキング現象の発生を防止することができる。
【0127】
また、本実施例では、状分離器92をさらに含むことができる。状分離器92は、媒体循環ライン64上で媒体ヒーター63の下流に設けられ、熱伝達媒体が気化(または熱伝達媒体に含まれる物質が気化された)ことを感知し、気化された熱伝達媒体(または熱伝達媒体に含まれている物質)を外部に放出し、残りを媒体循環ライン64を介して熱交換器50に流入させる。
【0128】
状分離器92は、気液分離器でありえるし、クラッキング現象が起きた熱伝達媒体に対し、蒸発した気体を分離して液体状態の熱伝達媒体を熱交換器50に供給することができる。状分離器92は、媒体ヒーター63の下流で分岐ライン65が媒体循環ライン64に連結される地点の下流に設けることができる。すなわち、前述したコントローラ90の制御は、クラッキングの防止のためのものであり、状分離器92は、クラッキングが起きた場合に備えるためのものである。このとき、状分離器92から排出された物質は蒸気でありえるので、別の浄化なしに大気中へ排出されうる。
【0129】
このように本実施例では、コントローラ90が、媒体ヒーター63で加熱された熱伝達媒体の温度を気化防止基準値よりも低く維持することにより、熱伝達媒体のクラッキングを防ぐことができ、クラッキングが発生されても状分離器92によって気体状態の物質を除去し、円滑な液化ガスの加熱を具現することができる。
【0130】
本発明の第4実施例では、コントローラ90は、液化ガスの測定温度が需要先20の要求温度以上になるようにするが、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を減少(最小化)させる。液化ガスの測定温度は、液化ガス温度センサー70により測定される値であり、熱交換器50で加熱された液化ガスの温度を意味する。
コントローラ90は、液化ガスが需要先20の要求温度を満たすようにしたカテゴリ内で、熱伝達媒体の循環流量を減少させ、媒体ポンプ62の効率を向上させることができる。
【0131】
媒体循環ライン64に沿って循環する熱伝達媒体の流量が多いほど、媒体循環ライン64に設けられる媒体ポンプ62などの効率が低下されうる。したがって、コントローラ90は、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を以前と対比して減少させることができるが、ただ、熱伝達媒体の流量減少により液化ガスの加熱温度が必要以上に低下することを防止するために、液化ガスの測定温度は、需要先20の要求温度を満たすようにすることができる。
【0132】
コントローラ90は、媒体ポンプ62の駆動を制御し、媒体ポンプ62から媒体ヒーター63に供給される熱伝達媒体の流量を制御することができ、具体的には、媒体ポンプ62のRPMを制御することができる。また、コントローラ90は、媒体循環ライン64上で媒体ポンプ62の下流に設けられる流量調節弁67の開度を調節して熱伝達媒体の流量を制御することができる。このようなコントローラ90は、液化ガスの測定温度に基づいて熱伝達媒体の流量を減少させることができ、または媒体状態感知センサー80により感知された熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度差が既設定値以上になるようにしつつ、熱伝達媒体の流量を減らすことができる。
【0133】
熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度差は、第1媒体状態感知センサー81による測定温度と、第2媒体状態感知センサー82による測定温度との温度差を意味し、液化ガスに供給する熱量を意味する。すなわち、熱交換器50の前後端での温度差が大きい場合、液化ガスは、大量の熱の供給を受けたことを意味する。したがって、コントローラ90は、熱伝達媒体の温度差が液化ガスを需要先20の液化ガスの要求温度まで十分に加熱させられる既設定値以上になるようにするとともに、熱伝達媒体の流量を減少させることができる。
【0134】
この時、熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度差と対比するための既設定値は、液化ガスの流量にとって異なる場合があるので、コントローラ90は、熱伝達媒体の温度差のほか、熱伝達媒体の流量をともに考慮することができる。熱伝達媒体の流量は、前述した媒体流量センサー
671によって把握することができる。
【0135】
このように本実施例では、熱伝達媒体の流量、熱交換器50の前後端での温度差などを考慮し、液化ガスが需要先20の液化ガスの要求温度に加熱されるようにするが、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を減少させ、媒体ポンプ62の効率を向上させることができる。
【0136】
以下では、本発明の第1〜第4実施例による液化ガス処理方法について、
図3〜
図10を参照して詳細に説明する。本発明の第1〜第4実施例による液化ガス処理方法は、前述した第1〜第4実施例による液化ガス処理システム2によって具現することができる。
【0137】
図3は、本発明の第1実施例による液化ガス処理方法のフローチャートである。
図3に示したように、本発明の第1実施例による液化ガス処理方法は、需要先20に供給される液化ガスの温度を測定する段階S110と、液化ガスの測定温度に基づいて熱伝達媒体の目標温度を算出する段階S120と、熱伝達媒体の目標温度に応じて媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する段階S130と、を含む。
【0138】
段階S110では、需要先20に供給される液化ガスの温度を測定する。液化ガスの温度は、液化ガス温度センサー70により測定することができ、このとき、測定された液化ガスの温度は、熱交換器50と需要先20との間の液化ガスの温度であり、熱交換器50で加熱された液化ガスの温度でありえる。段階S110で測定された液化ガスの温度が需要先20の液化ガスの要求温度に適していない場合、コントローラ90は、媒体ヒーター63に供給されるべき熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63から熱伝達媒体に供給される流量を制御することができる。
【0139】
段階S120では、液化ガスの測定温度に基づいて熱伝達媒体の目標温度を算出する。熱伝達媒体の目標温度は、液化ガスの測定温度と需要先20の液化ガスの要求温度との偏差によりPID制御で算出することができる。または需要先20の液化ガスの要求温度の温度範囲と熱伝達媒体の温度範囲を利用して比例換算により熱伝達媒体の目標温度を算出することができる。このような目標温度の算出については、前の目標温度算出器91で説明したので詳細な説明は省略する。
【0140】
このように本実施例では、液化ガスの測定温度により熱伝達媒体の目標温度を算出した後、目標温度に基づいて熱伝達媒体の流れを制御するカスケード制御を具現することができる。もちろん、本実施例では、段階S120を省略して液化ガスの測定温度によって直接熱伝達媒体の流量などを制御することもできる。
【0141】
段階S130では、熱伝達媒体の目標温度に応じて媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する。段階S130で、本実施例では、液化ガスの測定温度により熱伝達媒体の目標温度を導出し、熱伝達媒体の目標温度で液化ガスの流れを制御するカスケード制御を具現することができ、または熱伝達媒体の目標温度を使用することの代わりに、液化ガスの測定温度に応じて熱伝達媒体の流れを可変する直接制御を具現することもできる。段階S130で、熱伝達媒体の流れが制御される具体的な内容は、以下の
図4を参照して詳しく説明する。
【0142】
図4は、本発明の第1実施例による液化ガス処理方法の段階S130の詳細フローチャートである。
図4に示したように、本発明の第1実施例による液化ガス処理方法の段階S130は、少なくとも一部の熱伝達媒体が媒体ヒーター63を迂回させるが、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量を制御する段階S131、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する段階S132、媒体ヒーター63に流入された熱伝達媒体に供給される熱源の量を制御する段階S133を含むことができる。
【0143】
段階S131では、少なくとも一部の熱伝達媒体が媒体ヒーター63を迂回させるが、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量を制御する。このため、本実施例は、前述の分岐ライン65を使用することができる。
【0144】
熱伝達媒体は、媒体ポンプ62を経て媒体ヒーター63に流入されるが、一部の熱伝達媒体は、分岐ライン65上に設けられる迂回調節弁651によって分岐ライン65を経て媒体ヒーター63の下流へ流れ、残りの熱伝達媒体は、媒体ヒーター63に流入されて媒体ヒーター63で蒸気等により加熱されうる。この時、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量が多いほど、媒体ヒーター63の下流、すなわち、熱交換器50の上流で熱伝達媒体の温度が低くなることができ、逆に媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量が少ないほど、熱交換器50に流入される熱伝達媒体の温度は高くなることがありえる。
【0145】
すなわち、段階S131で、コントローラ90は、液化ガスの測定温度が需要先20の液化ガスの要求温度よりも低ければ、需要先20の液化ガスの要求温度を満たすために算出された熱伝達媒体の目標温度に応じて、媒体ヒーター63を迂回する流量を減少させることができ、逆に液化ガスの測定温度が需要先20の液化ガスの要求温度よりも高ければ、目標温度算出器91によって算出された熱伝達媒体の目標温度により媒体ヒーター63を迂回する流量を増加させて熱交換器50に流入される熱伝達媒体の温度を下げることができる。
【0146】
段階S132では、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する。段階S131では、熱伝達媒体一部が媒体ヒーター63を迂回するようにした反面、段階S132では、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流れを変化させることができる。すなわち、本実施例では、媒体ポンプ62の速度や圧力などを制御し、媒体ポンプ62から媒体ヒーター63に供給される流量を可変させることができ、これにより、段階S131と同様に熱伝達媒体が媒体ヒーター63によって目標温度に加熱された後、熱交換器50に流入されるようにすることができる。
【0147】
段階S133では、媒体ヒーター63に流入された熱伝達媒体に供給される熱源の量を制御する。段階S131とS132の場合、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を制御するのに対し、段階S133の場合、媒体ヒーター63の熱源供給量を制御することができる。この時、熱源は蒸気でありえるし、熱源の量は、媒体ヒーター63に連結された熱源供給ライン66の開度調節によって行うことができる。熱源供給ライン66の開度は、熱源供給ライン66上に設けられた熱源供給弁661によって具現することができる。
【0148】
熱源の量が可変されると、媒体ヒーター63で加熱されて吐出された熱伝達媒体熱の量が異なる場合があり、これにより、本実施例では、熱伝達媒体が目標温度まで加熱されることによって、熱交換器50で液化ガスを需要先20の要求温度まで十分に加熱することができる。
【0149】
このように本実施例では、液化ガスの測定温度により熱伝達媒体の目標温度を算出し、熱伝達媒体の目標温度により媒体ヒーター63に供給される流量または媒体ヒーター63から熱伝達媒体に供給される熱源の量を調節するカスケード制御を具現することにより、液化ガスの温度が需要先20の液化ガスの要求温度に適合するように容易に制御することができる。
【0150】
図5は、本発明の第2実施例による液化ガス処理方法のフローチャートである。
図5に示したように、本発明の第2実施例による液化ガス処理方法は、熱伝達媒体が凝固するのを防止するための凝固防止基準値を設定する段階S210、媒体ヒーター63と熱交換器50とを循環する熱伝達媒体の状態を感知する段階S220、熱伝達媒体の状態値と凝固防止基準値をもとに、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する段階S230を含む。
【0151】
段階S210では、熱伝達媒体が凝固(熱伝達媒体に含まれる物質の凝固をも含む)されることを防止するための凝固防止基準値を設定する。熱伝達媒体は、グリコールウォーターでありえるし、水とエチレングリコールで構成することができる。この時、水は熱伝達媒体が極低温状態に冷却されると凍ることになり、熱伝達媒体の利用を妨害することがありえる。したがって、段階S210では、熱伝達媒体に含まれた水が凍るのを防止するための温度、凝固防止基準値を設定することができ、凝固防止基準値は、一例として30℃である場合があるが、これに限定されない。
【0152】
段階S220では、媒体ヒーター63と熱交換器50を循環する熱伝達媒体状態を感知する。熱伝達媒体状態は、熱伝達媒体の温度を意味し、熱伝達媒体の温度は、熱交換器50の下流または内部で感知することができる。すなわち、熱伝達媒体状態は、熱交換器50で液化ガスによって冷却された熱伝達媒体の温度を意味し、熱伝達媒体が過冷却されたと判断されると、段階S230で熱伝達媒体の温度を高めることができる。
【0153】
段階S230では、熱伝達媒体の状態値と凝固防止基準値をもとに、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する。段階S230は、熱伝達媒体の状態値が凝固防止基準値以上になるようにすることができ、段階S230については、以下の
図6を参照して詳細に説明する。
【0154】
図6は、本発明の第2実施例による液化ガス処理方法の段階S230の詳細フローチャートである。
図6に示したように、本発明の第2実施例による液化ガス処理方法の段階S230は、少なくとも一部の熱伝達媒体が媒体ヒーター63を迂回させるが、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量を制御する段階S231、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する段階S232、媒体ヒーター63に流入された熱伝達媒体に供給される熱源の量を制御する段階S233を含むことができる。
【0155】
段階S231では、少なくとも一部の熱伝達媒体が媒体ヒーター63を迂回させるが、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量を制御する。媒体ヒーター63の迂回流量を調節するのは前の段階S131で説明したものと同一である。ただし、本実施例では、熱伝達媒体が熱交換器50で冷却されるときに冷却された熱伝達媒体の温度を凝固防止基準値と対比させて迂回調節弁651の開度を変更することが異なる。すなわち、熱交換器50から吐出された熱伝達媒体の温度が凝固防止基準値よりも低ければ、コントローラ90は、迂回調節弁651の開度を下げることで、ほとんどの熱伝達媒体が媒体ヒーター63に流入されるようにし、熱交換器50で熱伝達媒体が冷却されてもアイシング現象が発生しないようにすることができる。
【0156】
段階S232では、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する。媒体ポンプ62の駆動制御は、段階S132で説明したものと同じであり、本実施例では、熱伝達媒体のアイシングを防止するために、媒体ポンプ62のRPMなどを調節することができる。すなわち、熱交換器50の下流で熱伝達媒体の温度が凝固防止基準値以下に感知されると、媒体ポンプ62のRPMを増加させて熱交換器50に供給される熱伝達媒体の総熱量を増加させることができる。これにより、熱伝達媒体が液化ガスに熱を奪われても、アイシング現象が発生しないようにすることができる。
【0157】
段階S233では、媒体ヒーター63に流入された熱伝達媒体に供給される熱源の量を制御する。媒体ヒーター63に供給される熱源の量は、前の段階S133で説明したように、熱源供給弁661の開度調節によって行うことができる。
【0158】
熱伝達媒体の温度が凝固防止基準値以下に感知されると、熱源供給弁661の開度が拡大され、熱伝達媒体が媒体ヒーター63から相対的に大量の熱源(蒸気等)の供給を受けて熱交換器50に流入されるようにし、液化ガスと熱交換の際に冷却されても熱伝達媒体に含まれた水が凍らないようにすることができる。また、本実施例では、熱伝達媒体の状態値と凝固防止基準値をもとに、熱交換器50に流入された熱伝達媒体を外部に放出する段階S240をさらに含むことができる。
【0159】
段階S240では、熱伝達媒体が熱交換器50でアイシングされる場合に備えるための段階である。一例として、媒体循環に問題が発生した場合、熱伝達媒体が十分な熱量を内包して熱交換器50に流入されても、継続的に液化ガスによって冷却されることによって過冷却されることができ、熱交換器50の性能を低下させたり、ひどい場合は、システムを停止させることがある。したがつて、段階S240では、熱伝達媒体の状態値である熱交換器50の内部または下流での温度が凝固防止基準値より低ければ、アイシング現象の危険性が増加したと推定して熱交換器50に残留している熱伝達媒体を外部に放出することができる。この時、放出された熱伝達媒体は、媒体放出ライン93に沿って媒体タンク61または媒体ポンプ62に復帰されることができ、媒体臨時貯蔵タンク95に貯蔵された後、処理されうる。
【0160】
このように本実施例では、媒体ヒーター63で加熱されて熱交換器50に流入された熱伝達媒体が、液化ガスによって過冷却されて熱伝達媒体に含まれた水が凍ってしまうのを未然に防止することができ、媒体循環に問題が発生して熱交換器50に残留した熱伝達媒体でアイシング現象の危険性が増加した場合、媒体放出ライン93を介して熱伝達媒体が外部に放出されるようにするで、熱伝達媒体のアイシング現象防止及び熱交換器50の破損防止を具現することができる。
【0161】
図7は、本発明の第3実施例による液化ガス処理方法のフローチャートである。
図7に示したように、本発明の第3実施例による液化ガス処理方法は、熱伝達媒体が気化されることを防止するための気化防止基準値を設定する段階S310、媒体ヒーター63と熱交換器50を循環する熱伝達媒体の状態を感知する段階S320、熱伝達媒体の状態値と気化防止基準値とをもとに、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する段階S330を含む。
【0162】
段階S310では、熱伝達媒体が気化(熱伝達媒体に含まれる物質の気化を含む)されることを防止するための気化防止基準値を設定する。熱伝達媒体は、前述の第2実施例と同様にグリコールウォーターでありえるし、グリコールウォーターの場合は水が含まれることにより、熱伝達媒体が過熱されれば水が蒸発しえる。したがって、本実施例では、媒体ヒーター63で熱伝達媒体が過熱されることを防止するために、気化防止基準値を設定することができ、気化防止基準値は、熱伝達媒体に含まれた水が気化されることを防止するための温度でありえるし、一例として95℃になりうるが、これに限定されない。
【0163】
段階S320では、媒体ヒーター63と熱交換器50とを循環する熱伝達媒体の状態を感知する。熱伝達媒体の状態は、媒体ヒーター63の下流から熱交換器50へ流れる熱伝達媒体の温度でありえるし、この時、熱伝達媒体の温度は媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体が合流する前の温度であるか、または、合流後の温度でありえる。
【0164】
段階S330では、熱伝達媒体の状態値と気化防止基準値をもとに、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量または媒体ヒーター63が熱伝達媒体に供給する熱量を可変する。段階S330では、熱伝達媒体の状態値が気化防止基準値よりも低いようにすることができ、具体的な内容は、以下の
図8を参照して説明する。
【0165】
図8は、本発明の第3実施例による液化ガス処理方法の段階S330の詳細フローチャートである。
図8に示したように、本発明の第3実施例による液化ガス処理方法の段階S330は、少なくとも一部の熱伝達媒体が媒体ヒーター63を迂回させるが、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量を制御する段階S331、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する段階S332、媒体ヒーター63に流入された熱伝達媒体に供給される熱源の量を制御する段階S333を含むことができる。
【0166】
段階S331では、少なくとも一部の熱伝達媒体が媒体ヒーター63を迂回させるが、媒体ヒーター63を迂回する熱伝達媒体の流量を制御する。段階S331で、媒体ヒーター63の迂回流量調節については前の段階S131及び段階S231で説明したところと類似であり、ただ本実施例は、媒体ヒーター63の下流で熱伝達媒体が過熱されることを防止するためのものであるから、熱伝達媒体の温度が気化防止基準値より高ければ、迂回調節弁651の開度を高めることができる。迂回調節弁651の開度を高めると、媒体ヒーター63を通過した熱伝達媒体と媒体ヒーター63を迂回した熱伝達媒体の合流の際にクラッキングのリスクを減少させることができる。
【0167】
段階S332では、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する。段階S332も同様に段階S132及び段階S232と類似であり、熱伝達媒体の温度が気化防止基準値よりも高いものと感知される場合、媒体ヒーター63から一定の熱源(蒸気など)が熱伝達媒体に供給されることを仮定するとき、媒体ポンプ62のRPMを高め、熱伝達媒体が媒体ヒーター63に供給される流量を増加させて、熱伝達媒体が蒸気によって過熱されることを防止することができる。
【0168】
段階S333では、媒体ヒーター63に流入された熱伝達媒体に供給される熱源の量を制御する。段階S333は、段階S133及び段階S233と類似であり、本実施例では、熱伝達媒体のクラッキング現象を防止するためのものなので、熱伝達媒体の温度及び気化防止基準値をもとに、必要に応じて熱伝達媒体に供給される熱源の量を下げることができる。
【0169】
また、本実施例では、媒体ヒーター63から吐出された熱伝達媒体から気化した物質(熱伝達媒体または熱伝達媒体に含まれる物質を含む)を外部に放出する段階(図示せず)をさらに含み、気化した物質を除いた残りの熱伝達媒体が熱交換器50に流入されるようにして円滑な液化ガスの加熱が行われるようにすることもできる。
【0170】
このように本実施例では、熱伝達媒体が媒体ヒーター63で加熱されて熱交換器50に流入されるとき、媒体ヒーター63により熱伝達媒体が過熱されることを遮断し、熱伝達媒体のクラッキング現象を未然に防止することができる。
【0171】
図9は、本発明の第4実施例による液化ガス処理方法のフローチャートである。
図9に示したように、本発明の第4実施例による液化ガス処理方法は、需要先20に供給される液化ガスの温度を測定する段階S410、媒体ヒーター63と熱交換器50とを循環する熱伝達媒体の状態を感知する段階S420、液化ガスの測定温度が需要先20の要求温度以上になるようにするが、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を減少させる段階S430を含む。
【0172】
段階S410では、需要先20に供給される液化ガスの温度を測定する。液化ガスの温度は、液化ガス温度センサー70により測定され、液化ガス温度センサー70が熱交換器50と需要先20との間に設けられる場合、液化ガスの測定温度は、熱交換器50で熱伝達媒体によって加熱された後の温度でありえる。
【0173】
段階S420では、媒体ヒーター63と熱交換器50とを循環する熱伝達媒体の状態を感知する。段階S420では、熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度差を感知することができる。温度差は、第1媒体状態感知センサー81と第2媒体状態感知センサー82によりそれぞれ感知された温度の差を意味し、媒体循環ライン64で第1媒体状態感知センサー81が熱交換器50の上流に設けられ、第2媒体状態感知センサー82が熱交換器50の下流に設けられるので、温度差は、第1媒体状態感知センサー81の温度から第2媒体状態感知センサー82の温度を差し引いた値でありえる。
【0174】
熱伝達媒体の温度差は、熱交換器50から液化ガスに供給する熱量を意味する。このとき、熱量を明確に把握するための段階S420では、熱伝達媒体の流量をともに考慮することができ、熱伝達媒体の流量は、媒体流量センサー
671により測定されることができる。
【0175】
熱伝達媒体の温度差と流量が獲得されると、熱交換器50から液化ガスに供給された熱量を算出することができる。したがって、本実施例は、前の段階S410で測定された液化ガスの測定温度と需要先20との液化ガスの要求温度を比較により、熱伝達媒体の温度差が一定値以上にならなければならないということを把握することができる。
【0176】
段階S430では、液化ガスの測定温度が需要先20の要求温度以上になるようにするが、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を減少(最小化)させる。液化ガスの測定温度が需要先20の要求温度以上になるようにするためには、熱伝達媒体の熱量が十分に確保されなければならない。したがって、段階S430では、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を減らしつつ、熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度差が既設定値以上になるようにすることができる。この時、既設定値は、液化ガスの測定温度、需要先20の要求温度、熱伝達媒体の流量などに基づいて算出することができ、算出過程は、一般的な熱量計算に基づいて行うことができる。
【0177】
以下では、段階S430で、媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を減少させる内容について、
図10を参照して詳細に説明する。
【0178】
図10は、本発明の第4実施例による液化ガス処理方法の段階S430の詳細フローチャートである。
図10に示したように、本発明の第4実施例による液化ガス処理方法の段階S430は、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する段階S431、媒体ヒーター63の上流に設けられる流量調節弁67の開度を制御する段階S432を含むことができる。
【0179】
段階S431では、媒体ヒーター63に熱伝達媒体を供給する媒体ポンプ62の駆動を制御する。段階S431は、前述の段階S132、段階S232、段階S332と類似であり、本実施例では、媒体ポンプ62の駆動を最小化して媒体ポンプ62の効率を高め、エネルギー使用量を低減することができる。すなわち、本実施例では、熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度差が十分に確保されるようにするが、媒体ポンプ62の駆動を下げて熱伝達媒体の流量を減少させることができる。この時、熱伝達媒体の温度差が十分に確保されるかどうかは、各媒体状態感知センサー80により確認することができる。
【0180】
段階S432では、媒体ヒーター63の上流に設けられる流量調節弁67の開度を制御する。媒体ヒーター63の上流には、前の液化ガス処理システム2で述べたように、流量調節弁67を設けることができる。流量調節弁67は、開度調節により媒体ヒーター63に流入される熱伝達媒体の流量を可変させることができ、媒体ポンプ62の下流に設けることができる。
【0181】
流量調節弁67は、液化ガスが需要先20の液化ガスの要求温度に十分に加熱されることができるようにする範囲内で、開度が減少(最小化)されることができる。もちろん、流量調節弁67によって開度が下がっても、熱交換器50の前後端での熱伝達媒体の温度差は、既設定値以上に維持されるため、液化ガスは、十分な熱量の供給を受けることができる。もちろん、本実施例では、段階S431及び段階S432が別に作動することに加えて、同時に駆動されて媒体ポンプ62のRPMを調節しながら、流量調節弁67の開度を調節することができる。
【0182】
このように本実施例では、液化ガスが熱交換器50で需要先20の液化ガスの要求温度を満たすことができるように加熱されるが、媒体循環ライン64に沿って熱交換器50、媒体ポンプ62などを通過する熱伝達媒体の流量を減少させることにより、媒体ポンプ62の効率を向上させることができる。
【0183】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施例について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能なのはもちろんであり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。