(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記止水栓部材は、上流側に設けられた小径部と、下流側に設けられ前記小径部よりも外径が大きい大径部と、を備え、前記第1流路の下流側に後退して前記第1流路を開いたときには前記小径部の軸方向の位置が前記環状部材の位置に配置され、前記第1流路の上流側に前進して前記第1流路を閉じたときには前記大径部の軸方向の位置が前記環状部材の位置に配置される請求項1に記載の止水栓装置。
前記止水栓部材は、前記第1流路の上流側に前進して前記第1流路を閉じたときには前記大径部の上流端の軸方向の位置が前記環状部材の位置に配置される請求項2に記載の止水栓装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る止水栓装置を備える便器装置の側面図である。
図2は、本実施形態に係る止水栓装置を備える便器装置の正面図である。
【0014】
これら
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る止水栓装置50は、外部からトイレルームR内の床Fまで引き込まれた給水元管(不図示)と、後述する便器装置100の給水管41とを連結する。また、止水栓装置50は、給水管41の通水と止水とを切り替える機能を有する。
【0015】
先ず、便器装置100について説明する。
便器装置100は、
図1及び
図2に示すように、便器10と、洗浄水タンク20と、洗浄水タンク20の前側に配置される背もたれ部30と、洗浄水タンク20の下方に配置されるサイドカバー40と、を備える。
【0016】
便器10は、便器本体11と、便器本体11の上部に便器本体11に対して開閉可能に取り付けられる便座12と、を有する。便器本体11は、上面に開口(不図示)が形成されている。便座12は、平面視において中央に開口(不図示)が形成されている。
【0017】
洗浄水タンク20は、
図1及び
図2に示すように、便器10の後方且つ上方に配置される。洗浄水タンク20の両側の側面には、肘掛け用の一対の肘掛部201,201が設けられる。一対の肘掛部201,201は、洗浄水タンク20の両側の側面から、洗浄水タンク20の前方側に延びるように形成される。
図2に示すように、洗浄水タンク20の一方側の側面には、操作ボタン202が設けられる。操作ボタン202は、洗浄水タンク20に貯留された洗浄水を、洗浄水タンク20から放出するためのボタンである。
【0018】
背もたれ部30は、洗浄水タンク20の前面に取り付けられる。使用者は、用便中にこの背もたれ部30に背中をもたれさせることができるようになっている。
【0019】
サイドカバー40は、便器装置100の下部において、便器10の後方に配置される。サイドカバー40の内部には、給水管41や排水管(不図示)が配置される。給水管41は、後述する止水栓装置50に接続され、便器装置100に給水をする。排水管は、便器10から排出された洗浄水を外部へ排出する。
【0020】
次に、本実施形態に係る止水栓装置50について、
図3〜
図7を参照して説明する。
ここで、
図3は、本実施形態に係る止水栓装置50の分解斜視図である。
図4は、止水栓装置50の開状態における縦断面斜視図である。
図5は、止水栓装置50の開状態における縦断面図である。
図6は、止水栓装置50の閉状態における縦断面図である。
図7は、本実施形態に係る止水栓装置50の本体部6の横断面図である。なお、
図7では本体部6のみを示している。
【0021】
図3に示すように、止水栓装置50は、本体部6と、止水栓部材7と、ストレーナ8と、キャップ9と、を備える。止水栓部材7、ストレーナ8及びキャップ9はいずれも、後述する本体部6の第1流路61と同軸X上に配置される。
【0022】
本体部6は、第1流路61と、第2流路62と、を備える。第1流路61は、上下方向に直線状に延びる略円筒状の配管により構成される。第2流路62は、第1流路61の下流端(
図3では上端)に連通し、第1流路61と直交する水平方向に延びる略円筒状の配管により構成される。即ち、第1流路61と第2流路62は、互いの中心軸X,Y同士が直交して連通している。
【0023】
第1流路61の上流側(
図3では下方)は、下流側と比べて外径が小さく形成され、床Fに形成された取り付け孔(不図示)に挿通される。また、第1流路61の上流端の外周には雄ねじ部61aが形成され、この雄ねじ部61aに給水元管(不図示)側の雌ねじが螺合される。これにより、第1流路61の上流端に給水元管が接続され、給水元管から供給される水が第1流路61内に供給される。
【0024】
図4〜
図6に示すように、第1流路61は、上流側に設けられた上流側流路611と、下流側に設けられた下流側流路612と、これら上流側流路611と下流側流路612との間に設けられた止水孔部613と、を有する。
【0025】
上流側流路611は、下流側流路612よりも内径が小さく、その軸X方向において径は一定である。この上流側流路611には、給水元管から水が供給される。
【0026】
下流側流路612は、上流側流路611よりも内径が大きく形成される。この下流側流路612には、後述するようにその下流側(下流端)から軸X方向に内周面に沿ってストレーナ8が挿入されて収容される。そのため、下流側流路612の内周形状は、ストレーナ8の外周形状に沿った形状となっている。即ち、後述するストレーナ8の小径部811及び大径部812に対応して、下流側流路612には、上流側に設けられた小径流路612aと、下流側に設けられ小径流路612aよりも内径が大きい大径流路612bが設けられている。これにより、下流側流路612の内周面とストレーナ8の大径部812の外周面との間には僅かな隙間しか形成されず、ストレーナ8の大径部812がガイドの機能を発揮するため、挿入時にストレーナ8が傾くのが抑制される。
【0027】
また下流側流路612の下流端の内周には、雌ねじ部612cが形成されている。この雌ねじ部612cには、後述するストレーナ8の下流端に接続されるキャップ9の上流端外周に形成された雄ねじ部9aが螺合する。
【0028】
止水孔部613は、止水孔613aと、弁座613bと、雌ねじ部613cとから構成される。
止水孔613aは、上流側流路611よりもさらに小径の孔により形成される。弁座613bは、下流側ほど拡径するテーパ状に形成され、後述する止水栓部材7の先端に設けられた駒弁71が着座する。これにより、止水孔613aが閉じられて止水される。雌ねじ部613cには、止水栓部材7の雄ねじ部72が螺合する。
【0029】
ここで、
図7に示すように、下流側流路612の上流端の底面部612eには、一対の切欠き部612fが形成されている。これにより、後述する止水栓部材7の駒弁71が弁座613bから脱座しているときには、下流側流路612内に通水されるようになっている。
【0030】
図3〜
図6に示すように、第2流路62の下流端の外周には、溝部62aが形成される。この溝部62aに上述の給水管41が嵌合されることで、第2流路62に給水管41が接続される。第2流路62は、第1流路61の下流側流路612に接続されて互いに連通している。
【0031】
図3に示すように、止水栓部材7は、全体として略円筒状に形成される。止水栓部材7は、駒弁71と、雄ねじ部72と、スピンドル73と、を有する。この止水栓部材7は、第1流路61を開閉する機能を有する。なお、止水栓部材7の軸X方向長さは、上述の下流側流路612の軸X方向長さよりも長く設定され、止水栓部材7は、後述するストレーナ8よりも上流側からストレーナ8の内側を通ってその下流端にまで延びている。
【0032】
駒弁71は、止水栓部材7の先端に設けられ、ねじ7aによりスピンドル73の先端に取り付けられる。この駒弁71が上述の弁座613bに着座することにより、第1流路61が閉弁される。
【0033】
雄ねじ部72は、駒弁71よりも大径であり、上述した止水孔部613の雌ねじ部613cに螺合する。これにより、第1流路61の軸X方向における止水栓部材7の位置が調整されるとともに、第1流路61内に止水栓部材7が取り付け固定される。即ち、止水栓部材7は、雄ねじ部72と雌ねじ部613cとの螺合により、第1流路61の軸X方向に進退し、駒弁71が弁座613bに着座又は脱座することにより、第1流路61を開閉する。
【0034】
スピンドル73は、略円筒状に形成される。スピンドル73の下流端面には、溝部73aが形成される。この溝部73aに、例えばマイナスドライバ等を嵌合し、この状態で軸X回りに回転させることで、雄ねじ部72と雌ねじ部613cの螺合を介して止水栓部材7が第1流路61の軸X方向に進退する。
また、スピンドル73の下流側の外周には、Oリング73bが取り付けられている。これにより、スピンドル73と後述するキャップ9との密閉性が確保される。
なお、このスピンドル73のより詳細な構造については、後段で詳述する。
【0035】
ストレーナ8は、第1流路61の下流側(下流端)から第1流路61の内周面に沿って軸X方向に挿入され、第1流路61内に着脱可能に取り付けられる。ストレーナ8は、ストレーナ本体81と、連結部82と、ゴミキャッチリング83と、を有する。このストレーナ8は、円筒状に形成され、第1流路61の上流側から流れ込む流水を、その内側から外側(後述のメッシュ813)に通過させて第2流路62に導くことで、流水中の異物を除去する。
【0036】
ストレーナ本体81は、略円筒状に形成される。ストレーナ本体81は、小径部811と、大径部812と、メッシュ813と、を有する。
【0037】
小径部811は、ストレーナ8の挿入方向の先端側、即ちストレーナ本体81の上流側を構成し、略円環状に形成される。この小径部811は、後述する大径部812よりも小径となっている。なお、この小径部811の内周には、後述するゴミキャッチリング83が脱着可能に取り付けられる。また、小径部811の外周には、円環状のOリング81aが取り付けられており、これにより、第1流路61とストレーナ8との密閉性が確保される。
【0038】
大径部812は、ストレーナ8の挿入方向の基端側、即ちストレーナ本体81の下流側を構成し、上述の小径部811より大径となっている。より詳しくは、大径部812は、小径部811の外周に取り付けられたOリング81aの外径よりも大径となっている。この大径部812は、リブ812aと、円環状部812bと、を有する。
【0039】
リブ812aは、周方向に略等間隔で4つ設けられている。これらのリブ812aは、ストレーナ8の軸X方向、即ちストレーナ8の挿入方向に延び、上述の小径部811と後述する円環状部812bとを連結する。
円環状部812bは、リブ812aとともに大径部812を構成し、上述の小径部811よりも大径となっている。
【0040】
なお、小径部811の内径と大径部812の内径は、略同一となっている。即ち、小径部811の内周面と、大径部812のリブ812a及び円環状部812bの内周面は、互いに連なって形成されている。従って、大径部812のリブ812aが従来よりも肉厚となっており、ストレーナ8の強度が向上している。
【0041】
また、
図5等に示すように、ストレーナ8の小径部811と大径部812との境界には、下流側ほど拡径するテーパ状のテーパ部814が形成されている。上述したように、第1流路61を構成する下流側流路612の内周形状はストレーナ8の外周形状に沿った形状となっている。即ち、ストレーナ8は、第1流路61の下流側流路612の内径に沿った外径を有する。そのため、下流側流路612を構成する小径流路612aと大径流路612bとの境界にも、上記テーパ部814と同じ傾斜角度のテーパ部612dが形成されている。これにより、ストレーナ8を挿入する際に、小径部811を上流側によりガイドし易くなっている。
【0042】
なお、ストレーナ8のテーパ部814と下流側流路612のテーパ部612dとの間には、軸X方向に所定の隙間が確保されている。これにより、後述するようにストレーナ8を取り外す際にゴミキャッチリング83が下流側流路612内で外れてしまった場合には、上流側にストレーナ8をさらに押し込むことができ、ゴミキャッチリング83をストレーナ8の先端に嵌め込んで取り出すことができるようになっている。
【0043】
図3に示すように、メッシュ813は、上述の4つのリブ812aの内周を覆うように設けられる。メッシュ813は濾過材として機能する。メッシュ813としては、樹脂製や金属製のものが用いられる。
【0044】
連結部82は、略円筒状に形成され、上述のストレーナ本体81よりもその外径が小径である。連結部82は、後述するキャップ9の雄ねじ部9aの内径と略同一の外径を有し、雄ねじ部9aの内周に嵌合することで、ストレーナ8にキャップ9が取り付け固定される。なお、連結部82の外周には、円環状のOリング82aが取り付けられており、これにより、ストレーナ8とキャップ9との密閉性が確保される。
【0045】
ゴミキャッチリング83は、ストレーナ本体81を構成する小径部811の先端内周に脱着可能に取り付けられる。ゴミキャッチリング83は、下流側に開口する円環状の溝部83aが形成された円環状部材により形成される。このゴミキャッチリング83により、ストレーナ8のメッシュ813等から剥がれ落ちるゴミを溝部83aで受けることで、第1流路61内の止水孔部613等にゴミが侵入するのが抑制される。
【0046】
キャップ9は、略円柱状に形成される。キャップ9の上流側の外周には、雄ねじ部9aが形成されている。この雄ねじ部9aは、上述した下流側流路612の雌ねじ部612cに螺合する。なお、この雄ねじ部9aの内周には、上述のストレーナ8の連結部82がOリング82aを介して嵌合される。
【0047】
また、キャップ9の下流端面には、溝部9bと、円孔9cが形成されている。溝部9bに、例えばマイナスドライバ等を嵌合し、この状態で軸X回りに回転させることで、雄ねじ部9aと雌ねじ部612cの螺合を介して第1流路61の軸X方向におけるストレーナ8の位置が調整されるとともに、ストレーナ8が第1流路61内に取り付け固定される。また、円孔9cには、上述の止水栓部材7が挿通され、止水栓部材7による第1流路61の開閉は、この円孔9cからマイナスドライバ等を挿入することにより行われる。
【0048】
次に、本実施形態に係る止水栓装置50において特徴的なスピンドル73の構造について、
図8及び
図9を参照して詳しく説明する。ここで、
図8は、
図5の要部拡大図である。
図9は、
図6の要部拡大図である。
本実施形態に係る止水栓部材7は、第1流路61の下流側に後退して第1流路61を開いたときには、ゴミキャッチリング83と
止水栓部材7との間の隙間が大きく形成されるように構成される。また、第1流路61の上流側に前進して第1流路61を閉じたときには、上記隙間が小さく形成されるように構成される。
【0049】
図8及び
図9に示すように、スピンドル73は、上流側小径部731と、大径部732と、下流側小径部733と、テーパ部734と、を有する。
【0050】
上流側小径部731は、スピンドル73の上流端を構成し、上述の雄ねじ部72に接続される。この上流側小径部731は、略円筒状であり、後述する大径部732と比べて小径となっている。
【0051】
また
図8に示すように、上流側小径部731は、止水栓部材7が第1流路61の下流側に後退して第1流路61を開いたとき、即ち駒弁71が弁座613bから脱座して通水状態となったときには、その軸X方向の位置がゴミキャッチリング83の位置に重複して配置される。これにより、第1流路61が開状態(通水状態)のときには、止水栓部材7とゴミキャッチリング83との間に大きな隙間が形成され、必要な流量が確保されるようになっている。
【0052】
大径部732は、スピンドル73の軸方向の中央部を構成し、上述の上流側小径部731及び後述の下流側小径部733に接続される。この大径部732は、略円筒状であり、これら上流側小径部731及び下流側小径部733と比べて大径となっている。また、この大径部732は、ゴミキャッチリング83の内径よりも僅かに小さい外径を有し、止水栓部材7の進退に伴って大径部732はゴミキャッチリング83内を挿通できるようになっている。
【0053】
また
図9に示すように、大径部732は、止水栓部材7が第1流路61の上流側に前進して第1流路61を閉じたとき、即ち、駒弁71が弁座613bに着座して止水状態となったときには、その軸X方向の位置がゴミキャッチリング83の位置に重複して配置される。これにより、第1流路61が閉状態(止水状態)のときには、止水栓部材7とゴミキャッチリング83との間の隙間が狭められるため、メッシュ813から剥がれ落ちる異物を溝部83a内に収容して捕集し易くなっており、異物が止水栓に侵入するのを抑制できるようになっている。
【0054】
下流側小径部733は、スピンドル73の下流端を構成する。この下流側小径部733は、略円筒状であり、上述の大径部732と比べて小径であるとともに上述の上流側小径部731と略同一径となっている。
【0055】
テーパ部734は、上述の上流側小径部731と大径部732との境界に全周に亘って形成される。より詳しくは、このテーパ部734は、
図8に示すように止水栓装置50が開状態のときに、軸X方向の位置がストレーナ8の上流側の開口面8aよりも下流側であり且つメッシュ813よりも上流側の位置に形成される。
【0056】
このテーパ部734は、下流側ほど拡径するテーパ状に形成され、その傾斜角度は略45度である。ただし、テーパ部734の傾斜角度は適宜変更可能である。また、テーパ部734は、止水栓装置50が開状態の場合において、下流側流路612の底面部612eに形成された一対の切欠き部612fから流入し、軸X方向に沿って下流側に勢い良く流れる流水が直接衝突するように、径方向外側に十分突出して形成される。
【0057】
以上の構成を備える本実施形態に係る止水栓装置50の動作を、効果とともに併せて説明する。
先ず、例えばメンテナンスでストレーナ8の異物を取り除いた後に、止水栓装置50にストレーナ8を取り付ける際には、その下流端にキャップ9が取り付けられ、その上流端にゴミキャッチリング83が取り付けられた状態で、ストレーナ8を第1流路61の下流側(下流端)から軸X方向に下流側流路612内に挿入する。このとき、第1流路61には、既に止水栓部材7が取り付けられており、止水栓装置50は止水状態となっている。
【0058】
ここで、上述したように本実施形態では、ストレーナ8に、挿入方向の先端側(上流側)に形成された小径部811と、挿入方向の基端側(下流側)に形成され小径部811よりも外径が大きい大径部812と、を設けた。
これにより、大径部812を設けることで、第1流路61(下流側流路612)の内周面との間の隙間を小さくできるため、大径部812がガイドの機能を発揮して、ストレーナ8が傾くのが抑制される。また、
図6を参照すれば明らかであるように、ストレーナ8を第1流路61の下流端から軸X方向に下流側流路612内に挿入していくと、ストレーナ8の大径部812が下流側流路612の内周面に沿って移動する。このとき、下流側流路612の内周形状はストレーナ8の外周形状に沿った形状となっており、下流側流路612の内周面とストレーナ8の大径部812の外周面との間には僅かな隙間しか形成されない。そのため、ストレーナ8の大径部812がガイドの機能をより確実に発揮するため、挿入時にストレーナ8が傾くのをより確実に抑制できる。従って本実施形態によれば、ストレーナ8を容易に取り付けることができ、組付け性が向上する。また、取り外しの際も同様であり、ストレーナ8が傾くのを抑制できるため、ストレーナ8を容易に取り外すことができ、組付け性が向上する。
【0059】
また本実施形態では、ストレーナ8が脱着可能に取り付けられる第1流路61の下流側流路612を、上流側に設けられた小径流路612aと、この小径流路612aの下流側に設けられ小径流路612aよりも内径が大きい大径流路612bと、を含んで構成した。また、ストレーナ8の大径部812を、小径流路612aの内径よりも大きく且つ大径流路612bの内径よりも小さい外径を有するように構成した。
これにより、下流側流路612(大径流路612b)の内周面とストレーナ8の大径部812の外周面との間には僅かな隙間しか形成されず、大きな隙間が形成されるのを回避できるため、ストレーナ8の大径部812がガイドの機能を発揮でき、挿入時にストレーナ8が傾くのを抑制できる。
【0060】
また本実施形態では、ストレーナ8の大径部812を、挿入方向(軸X方向)に延びる複数のリブ812aを含んで構成した。これにより、上述したストレーナ8の大径部812のガイド機能がより確実に発揮され、上述の効果がより確実に発揮される。
【0061】
また、従来では、ストレーナの先端側の外周にOリング等の弾性部材が取り付けられていた場合には、脱着時にストレーナが傾くことで、弾性部材が流路内の角部等に接触して破損し、漏水の原因となるおそれがあった。
これに対して本実施形態では、ストレーナ8の小径部811の外周に環状の弾性部材としてのOリング81aを取り付けているものの、上述した通りストレーナ8の脱着時にストレーナ8が傾くのを抑制できるため、Oリング81aが第1流路61内の角部等に接触して破損するのを抑制でき、漏水のおそれを抑制できる。
【0062】
また、従来では、ストレーナを取り外す際にストレーナが傾き、ストレーナの内側に配置されたスピンドルの外周面にストレーナの先端が接触することで、ストレーナの先端に取り付けられていたゴミキャッチリングが外れて流路内に落下し、取り残されてしまうことがあった。
これに対して本実施形態では、止水栓部材7を、ストレーナ8よりも上流側からストレーナ8の内側にまで延びて設けているにも関わらず、上述の不具合を抑制できる。即ち、本実施形態では、小径部811の先端の内周面に、下流側に開口する円環状の溝部83aが形成された環状部材としてのゴミキャッチリング83を脱着可能に取り付けているものの、上述した通りストレーナ8を取り外す際にストレーナ8が傾くのを抑制できるため、ストレーナ8の先端が止水栓部材7に接触するのを抑制でき、ゴミキャッチリングが外れて流路内に取り残されてしまうのを抑制できる。
【0063】
また上述した通り、止水栓装置50はメンテナンス時には閉状態とされ、第1流路61及び第2流路62は止水状態とされる。このときは
図6に示すように、作業者により、止水栓部材7は上流側に前進した位置に調整され、駒弁71は弁座613bに着座している。そのため、給水元管から上流側流路611内に供給された流水は、止水孔部613を通過できない。これにより、第1流路61及び第2流路62は止水状態となる。
【0064】
またこのとき、
図9に示すように、大径部732は、その軸X方向の位置がゴミキャッチリング83の位置に重複して配置される。これにより本実施形態によれば、第1流路61が閉状態(止水状態)のときには、止水栓部材7とゴミキャッチリング83との間の隙間が狭められるため、メッシュ813から剥がれ落ちる異物を溝部83a内により確実に収容して捕集することができ、異物が止水栓に侵入するのをより確実に抑制できる。
【0065】
なお、
図9に示す例では、大径部732の上流端の軸方向の位置がゴミキャッチリング83の位置に配置されている。これにより、第1流路61が閉状態(止水状態)のときからすぐに、ゴミキャッチリング83と
止水栓部材7との間に必要な隙間(流路)を確保することができる。ただしこれに限定されず、大径部732の中央部や下流側がゴミキャッチリング83の位置に配置されていてもよい。
【0066】
以上のようにしてストレーナ8を止水栓装置50に取り付けた後、
図5に示すように、止水栓装置50を開状態とし、第1流路61及び第2流路62を通水状態とする。具体的には、止水栓部材7を下流側に後退させ、駒弁71を弁座613bから脱座させる。これにより、給水元管から上流側流路611内に供給された流水は、止水孔部613を通過し、下流側流路612の上流側の底面部612eに形成された一対の切欠き部612fを通って(
図7参照)、下流側流路612内に流入する。
【0067】
またこのとき、
図8に示すように、上流側小径部731は、その軸X方向の位置がゴミキャッチリング83の位置に重複して配置される。これにより本実施形態によれば、第1流路61が開状態(通水状態)のときには、止水栓部材7とゴミキャッチリング83との間に大きな隙間を形成でき、必要な流量を確保できる。従って本実施形態によれば、必要な流量を確保しつつ、止水栓内への異物の侵入を抑制できる。
【0068】
次いで、下流側流路612内に流入した流水は、ストレーナ8の内側に流入する。このとき、
図8に示すように、ストレーナ8の内側に流入して軸X方向に沿って下流側に勢い良く流れる流水は、スピンドル73の外周に形成されたテーパ部734に衝突する。すると、
図8の黒矢印で示すように、テーパ部734近傍で流水の乱流が生じる。これにより、流水は、勢い(速度)が弱められた状態で、止水栓部材7とメッシュ813との間を下流に向かって流れる。そして、外周側に向かって略直角に流路が曲げられた後、メッシュ813を通過して異物が除去されてから第2流路62へと導かれる。従って、流水の勢い(速度)は既に弱められているため、略直角に流路が曲げられても乱流が発生することがない。即ち本実施形態によれば、メッシュ813の近傍で乱流が生じることがないため、メッシュ813の破損を抑制できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、止水栓部材7の形状を変更することにより乱流を抑制できるため、乱流抑制対策として別途部材を準備したり、別途加工する必要がない。そのため、部品点数や工数を削減できるとともに、組付け性が向上し、コストも削減できる。
さらには、止水栓部材7の上流側小径部731は、流水の流量を所定量以上確保するために、所定以下の小径でなければならない。その一方で、上流側小径部731の下流側においては、ストレーナ8と止水栓部材7の間の空間を狭めることで乱流を効果的に抑制できることから、本実施形態のテーパ部734は、流量を確保しつつ乱流を抑制できる好ましい構造であると言える。また、テーパ部734を形成するためにスピンドル73を大径化することから、止水栓部材7の強度を向上することもできる。
【0070】
以上により、第2流路62に接続された給水管41が通水状態となり、便器装置100に流水が供給される。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0072】
上記実施形態では、第1流路61と第2流路62が互いに直交する構成としたが、これに限定されない。これら流路が互いに交差していればよい。
【0073】
上記実施形態では、ガイド部としてテーパ部734を設けたが、これに限定されない。例えば、ガイド部として段部を設けてもよく、軸方向に延びて上流側ほど深い縦溝をスピンドルの外周に形成してもよい。