(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記灌水タンクは、当該移植機とは別に設けられた給水タンクの水を灌水タンク内に給水するための給水口と、前記灌水タンク内の水を前記給水タンクに戻すための戻し口とを有する請求項5〜8のいずれか1項に記載の移植機。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図35は、移植機1と、この移植機1に伴走する台車2とを備えた移植装置3を示している。移植機1は、圃場に苗5を植え付ける歩行型の移植機である。具体的には、移植機1は、圃場に形成された畝4を跨いで該畝4に沿って移動しながら、たばこ、野菜等のセル成形苗、ソイルブロック苗、ポット苗等と称される苗5を所定間隔をおいて植え付けていく移植機である。
【0018】
台車2は、荷台6と、荷台6を走行可能に支持する走行装置7と、荷台6に搭載されたエンジン8等の原動機とを有する。走行装置7は、クローラ式の走行装置7であって、エンジン8によって駆動される。荷台6上には、給水タンク9と給水ポンプ10とが搭載されている。荷台6の後部には、マルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置11が設けられている。
【0019】
図1は、移植機1の側面図を示し、
図2は移植機1の平面図を示す。実施形態において、
図1、
図2の矢印A1方向を前方、
図1、
図2の矢印A2方向を後方、
図2の矢印B1方向を左方、
図2の矢印B2方向を右方として説明する。
また、
図2に示すように、移植機1の前後に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。移植機1の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって移植機1から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって移植機1に近づく方向である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、移植機1は、機体12と、走行装置13と、植付装置14と、苗供給装置15と、苗載せ台16と、施肥装置17と、灌水装置18とを備えている。
図3に示すように、機体12は、ミッションケース19と、架台20と、メインフレーム21とを有する。ミッションケース19は、架台20とメインフレーム21との間に位置する。架台20は、ミッションケース19の前部に取り付けられている。架台20は、
ミッションケース19から前方に突出している。メインフレーム21は、ミッションケース19の後部に取り付けられている。メインフレーム21は、ミッションケース19から後方に突出している。このメインフレーム21は、ミッションケース19の後部に取り付けられた第1フレーム22と、この第1フレーム22の前後中途部に取り付けられた第2フレーム23とを有する。第2フレーム23の後部には、操縦用のハンドル24が取り付けられている。操縦用のハンドル24は後方に延出している。
【0021】
図1に示すように、架台20には、即ち、機体12の前部には、原動機の1つであるエンジン258と、燃料タンク25とが搭載されている。エンジン258の動力は、ベルト伝動機構等の動力伝動機構を介してミッションケース19に入力される。ミッションケース19内に入力された動力は、クラッチや変速機構等を介してミッションケース19から出力される。ミッションケース19から出力される動力によって、走行装置13、植付装置14、苗供給装置15、施肥装置17、灌水装置18が駆動される。
【0022】
図4は、ミッションケース19及び該ミッションケース19から植付装置14、苗供給装置15、施肥装置17、灌水装置18へ動力を伝達する作業系の動力伝達系統を示している。ミッションケース19は、走行系の動力を出力する第1出力軸26と、作業系の動力を出力する第2出力軸27とを有する。第1出力軸26は、ミッションケース19の右側及び左側の下部から機体幅方向に突出している。第2出力軸27は、ミッションケース19の後部から左方に突出している。第2出力軸27には第1スプロケット28が一体回転自在に取り付けられている。
【0023】
作業系の動力伝達系統は、第1駆動軸29、第2スプロケット30及び第3スプロケット31、第2駆動軸32、第4スプロケット33、第3駆動軸34、第5スプロケット35、第4駆動軸36、第6スプロケット37、第1チェーン38、第2チェーン39、第3チェーン40及びテンションスプロケット41を有する。
第1駆動軸29は、植付装置14を駆動する駆動軸である。第2スプロケット30及び第3スプロケット31は、第1駆動軸29に一体回転自在に取り付けられている。第2駆動軸32は、施肥装置17を駆動する駆動軸である。第4スプロケット33は、第2駆動軸32に一体回転自在に取り付けられている。第3駆動軸34は、苗供給装置15を駆動する駆動軸である。第5スプロケット35は、第3駆動軸34に一体回転自在に取り付けられている。第4駆動軸36は、灌水装置18を駆動する駆動軸である。第6スプロケット37は、第4駆動軸36に一体回転自在に取り付けられている。
【0024】
第1チェーン38は、第1スプロケット28と第2スプロケット30とに巻掛けられている。この第1チェーン38により、第2出力軸27からの動力が第1駆動軸29に伝達される。第2チェーン39は、第3スプロケット31、第4スプロケット33、第5スプロケット35及び第6スプロケット37にわたって巻掛けられている。これによって、第1駆動軸29からの動力が、第2駆動軸32、第3駆動軸34及び第4駆動軸36に伝達される。第3チェーン40は、第6スプロケット37から、カム駆動軸42に一体回転自在に取り付けられた第7スプロケット43に動力を伝達する。テンションスプロケット41は、第2チェーン39に張りを付与する
以上のことから、植付装置14の第1駆動軸29に連動して、施肥装置17の第2駆動軸32、苗供給装置15の第3駆動軸34、灌水装置18の第4駆動軸36及びカム駆動軸42が駆動される。つまり、植付装置14に連動して、施肥装置17、苗供給装置15及び灌水装置18が駆動する。第2〜7スプロケット30、31、33、35、37、43は同径に形成され、第1駆動軸29が一回転することによって、第2〜4駆動軸32、34、36及びカム駆動軸42が一回転する。
【0025】
図2、
図3に示すように、走行装置13は、機体12を走行可能に支持する装置である。この走行装置13は、機体12の右側及び左側に設けられ、前輪44及び後輪45を有する。前輪44及び後輪45は、それぞれ畝4間溝を転動するタイヤ輪であり、機体12に対して機体幅方向に位置が調整自在である。前輪44は、遊転輪である。
ミッションケース19の右側及び左側には車軸ケース46の機体内方側が横軸芯(機体幅方向の軸芯)回りに回転可能に連結されている。各車軸ケース46の機体外方側には伝
動ケース47の上部が連結されている。各伝動ケース47の下部には、後車軸48が設けられている。各後車軸48には、後輪45が一体回転自在に支持されている。第1出力軸26の右端側は、右側の車軸ケース46内に挿通され、第1出力軸26の左端側は、左側の車軸ケース46内に挿通されている。第1出力軸26からの動力は、車軸ケース46内の伝動軸、伝動ケース47内の動力伝達機構を介して後車軸48に伝達される。これによって、後車軸48が軸芯回りに駆動され、後輪45が回転する。
【0026】
右側の前輪44は、右側の前輪支持アーム49の下部に前車軸50を介して回動自在に支持されている。また、左側の前輪44は、左側の前輪支持アーム49の下部に前車軸50を介して回動自在に支持されている。各前輪支持アーム49の上部には角筒部51が設けられている。各角筒部51はアーム支軸52に横軸芯回りに回転可能に支持されている。アーム支軸52は架台20の前部に横軸芯回りに回転可能に取り付けられている。
【0027】
アーム支軸52には、連結アーム53の前部が相対回転可能に連結されている。連結アーム53の後部は、車軸ケース46に相対回転可能に連結されている。車軸ケース46とアーム支軸52とは、連動リンク54によって連動する。車軸ケース46が回転するとアーム支軸52が回転し、伝動ケース47と前輪支持アーム49とが共に上下に揺動する。これによって、右及び左の前輪44と右及び左の後輪45とが4輪同時に上下動して機体12が昇降可能とされている。
【0028】
図1、
図5に示すように、植付装置14は機体12の後部に設けられている。
図6に示すように、植付装置14は、苗5を植え付ける植付具55と、この植付具55を上下動可能に支持する植付具支持装置56とを有する。
植付具55は、下降時に圃場に突入して植付穴66(
図1、
図16参照)を形成すると共に、植付穴66に苗5を植え付けるものである。この植付具55は、上方が開放されていて、上方から投入された苗5を保持可能である。詳しくは、植付具55は、開閉可能な開口器57(くちばし型のオープナー)を有する。
【0029】
植付具支持装置56は、第1リンク58、第2リンク59、揺動プレート60、第3リンク61、第4リンク62を有する。
第1リンク58及び第2リンク59の上端側は、メインフレーム21に固定された支持プレート63に枢支されている。第1リンク58及び第2リンク59の下端側は、揺動プレート60に枢支されている。揺動プレート60には、第3リンク61及び第4リンク62の前端側が枢支されている。第3リンク61及び第4リンク62の後端側は、植付具55に枢支されている。
【0030】
第3リンク61の中途部には、リンク軸64が設けられている。このリンク軸64には回転アーム65の一端側が枢支されている。回転アーム65の他端側は、第1駆動軸29に固定されている。したがって、第1駆動軸29が回転することにより、第3リンク61及び第4リンク62が上下に揺動すると共に第1リンク58及び第2リンク59が前後に揺動して、植付具55が上下に長い略楕円形状の軌跡を移動する。そして、第1駆動軸29の一回転によって、植付具55が上下動して上下に一往復する。
【0031】
植付具55は、移動範囲の上死点において、開口器57が閉じた状態であって、苗供給装置15から苗5が落下供給される。植付具55が下降して圃場に突入すると開口器57が開く。開口器57が開くと、圃場に植付穴66(
図1、
図16参照)が形成されると共に、該植付穴66に苗5が放出される。植付具55は、苗5を放出した後に開口器57を閉じながら後上向きに移動する。植付具55の略楕円軌跡における前後の動きは、機体12が前進しているので相殺される。したがって、植付具55は畝4に対して垂直に近い姿勢で突入しかつ略垂直に近い姿勢で抜け出し、苗5を略直立姿勢にして植付ける。
【0032】
図6に示すように、植付具55の下部前方には、植付穴66より前後及び機体幅方向に大きい大穴67(
図1、
図16参照)を形成する排土板68が設けられている。排土板68は板金材で形成されている。
図7に示すように、この排土板68の前上部には、排土板68から上方に突出する弾性板材69が取り付けられている。また、排土板68の前面側には樹脂部材70が張り付けられている。
【0033】
図7に示すように、この排土板68は、排土板支持機構71に支持されている。排土板
支持機構71は、支持杆72と、付勢部材73と、作動部材74とを有する。
支持杆72の前端側は、ミッションケース19の下端に設けられた支持部材75に枢支されている。支持杆72の後端側に排土板68が取り付けられている。また、支持杆72は、植付具55と連動して上下動する。また、支持杆72は、第1駆動軸29に近づくように上側に屈曲されており、この中途上部に当て板76と、棒材77と、ガイドピン78とが固着されている。
【0034】
付勢部材73は、引張りコイルスプリングによって形成されている。付勢部材73の下端は棒材77に掛止されている。付勢部材73の上端はメインフレーム21に設けた調整ロッド79に連結されている。付勢部材73によって支持杆72の前後中途部が上方へ付勢される。また、調整ロッド79を上下に位置調整することによって、支持杆72を引き上げる付勢力を調整することができる。
【0035】
作動部材74は、第1駆動軸29の回動により下動して支持杆72を下降させる。リンク軸64には揺動アーム80の基部が枢支され、この揺動アーム80の先端に揺動軸81を介して作動部材74が枢支されている。作動部材74は、4本脚形状の板材からなり、円筒状のボス部材82が固着され、このボス部材82が揺動アーム80に揺動軸81を介して連結されている。
【0036】
前上部に位置する脚部に規制部83が形成され、前下部に位置する脚部に軸84を介して当て板76と当接可能なコロ85が設けられている。コロ85が下動することにより支持杆72の前後中途部を押し下げる。また、後下部に位置する脚部にガイドピン78に嵌合する長孔86が形成され、後上部に位置する脚部にストッパ部87が形成されている。
規制部83は、作動部材74が揺動軸81廻りに回動するとき、揺動アーム80の基部と当接して作動部材74の上向き回動を規制する。
【0037】
支持杆72は付勢部材73によって常に上方向に付勢されているので、ガイドピン78が長孔86の上端にあるとき、作動部材74には上向きの付勢力が加わり、規制部83を揺動アーム80の基部と当接する方向に付勢していると共に、ガイドピン78が長孔86を下方へ移動するのを許容している。ストッパ部87は揺動アーム80の基部に当接することにより、作動部材74が揺動軸81廻りに、反時計方向に一定角度以上回動するのを規制している。
【0038】
規制部83が支持杆72からの付勢力によって上向き回動が規制されて揺動アーム80の基部と当接していると、作動部材74は揺動アーム80と一体となって第1駆動軸29の廻りを回動する。これにより、リンク軸64の下向き回動に伴って作動部材74が下動し、この回動によりコロ85が支持杆72の当て板76と当接し、支持杆72を下降させる。支持杆72が下降すると、排土板68は畝4に突入して植付穴より前後及び機体幅方向に大きい大穴67が形成される。この大穴67が形成される際に、弾性板材69は、排土板68で排除した土が排土板68を乗り越えて大穴67側へと移動するのを防止する。また、樹脂板は、排土板68の前面に土が付着するのを防止する。植付具55は、大穴67の前後略中央部に植付穴66を形成する。
【0039】
図1、
図8に示すように、苗供給装置15は、機体12の後部であって、植付具55の後上方に設けられている。即ち、植付具55は、苗供給装置15の前部の下方に設けられている。
図8、
図9に示すように、苗供給装置15は、植付具55が上昇した際に当該植付具55に苗5を供給する装置で、ターンテーブル88と、苗供給具89と、供給駆動機構90、設定部材91とを備えている。
【0040】
ターンテーブル88は、縦軸92に回転可能に支持されている。
苗供給具89は、ターンテーブル88の外周側に周方向に多数配置され、ターンテーブル88と一体回転する。苗供給具89は、上方から苗5を投入可能で、苗5を収納可能かつ落下可能である。具体的には、苗供給具89は、カップ93と、底蓋94とを有する。底蓋94は、カップ93の底部開口の下方にヒンジを介して開閉自在に設けられている。底蓋94を閉鎖した状態では、苗5はカップ93内で保持される。
【0041】
供給駆動機構90は、第3駆動軸34と、ターンテーブル88を支持する縦軸92と、
第3駆動軸34から縦軸92に動力を伝達する伝達手段95とを有する。伝達手段95は、ウォーム96と、ウォームホイール97とを含む。この供給駆動機構90は、植付具55の上下動に同期してターンテーブル88を駆動する。
設定部材91は、底蓋94の開閉を決める棒状の部材である。設定部材91は、ターンテーブル88の下方に設けられていて、苗供給具89の底蓋94の下面に近接して配置した近接部と、底蓋94の下面から外れた位置に配置した離間部とを含んでいる。設定部材91の離間部が苗供給位置98である。近接部は、底蓋94を支持して当該閉鎖する。離間部は、底蓋94の下面から離れているため、底蓋94の閉鎖が解除され、苗供給位置98の真下に位置する植付具55に苗5が落下供給される。苗供給具89が苗供給位置98(離間部)を過ぎると、底蓋94が設定部材91に乗り上げて該底蓋94が閉鎖される。
【0042】
図1に示すように、苗載せ台16は、苗供給装置15の前上方に配置されている。また、苗載せ台16は、右側の走行装置13から左側の走行装置13にわたる幅に形成されている。この苗載せ台16は、苗供給装置15に供給される苗5を載せておくための台である。苗5は、セルトレイ(育苗トレイ)に入れた状態で育成されており、苗載せ台16には、セルトレイごと載置され、苗載せ台16上の苗5が苗供給装置15へ供給される。
【0043】
図10〜
図12に示すように、この苗載せ台16は、機体12に取り付けられた支持体99に固定フレーム100及び可動フレーム101を介して支持されている。支持体99は、連結フレーム53に支持された前脚部102と、メインフレーム21に支持された後脚部103と、前脚部102と後脚部103の上端同士を連結する連結部104とを有する。
【0044】
固定フレーム100は、支持体99の連結部104に取り付けられている。この固定フレーム100には、第1ガイド溝105及び第2ガイド溝106が形成されている。第1ガイド溝105は、前後に延び且つ前方にいくにしたがって下方に移行する傾斜状である。第2ガイド溝106は前後に延び且つ前方にいくにしたがって上方に移行する傾斜状である。第2ガイド溝106の前端には、係止溝107が形成されている。
【0045】
可動フレーム101は、第1ガイド溝105に嵌め入れられた第1ガイドローラ108と、第2ガイド溝106に嵌め入れられた第2ガイドローラ109とを有する。可動フレーム101は、第1ガイドローラ108及び第2ガイドローラ109を介して固定フレーム100に支持されている。可動フレーム101は苗載せ台16の下部に取り付けられている。苗載せ台16は、
図14に示す第1位置110と、
図15に示す第2位置111とに位置変更可能とされている。
第1位置110は、通常の位置(苗載せ台16を使用するとき等の位置)であって、移植機1に伴走する作業者が苗載せ台16上から苗5をとって該苗5を苗供給装置15に供給する位置である。また、苗載せ台16が第1位置110に位置する状態では、第1ガイドローラ108が第1ガイド溝105の後端に位置し、第2ガイドローラ109が第2ガイド溝106の後端に位置しており、苗載せ台16は後下がり傾斜状とされている。また、第1位置110では、苗載せ台16の後部が、肥料タンク112の上方位置に近接して位置している。これによって、苗載せ台16と肥料タンク112(施肥装置17)とをコンパクトに配置することができる。
【0046】
第2位置111は、苗載せ台16を肥料タンク112の上方位置から退避させる位置(退避位置)である。第1位置110から、第1ガイドローラ108が第1ガイド溝105内を前方に移動し、第2ガイドローラ109が第2ガイド溝106内を前方に移動すると、苗載せ台16が前方に移動して、第2位置111に移動する。したがって、本実施形態では、第2位置111では、苗載せ台16の後部が肥料タンク112の上方位置から前方に退避する。これによって、苗載せ台16と肥料タンク112とを近接して配置(コンパクトに配置)しても、肥料タンク112に肥料の供給や肥料タンク112のメンテナンス等がしやすくなる。また、苗載せ台16が第2位置111に位置する状態では、第2ガイドローラ109が係止溝107に嵌り、これによって、苗載せ台16の後方移動が規制される。また、第2位置111では、苗載せ台16は略水平状態となる。
【0047】
なお、苗載せ台16は、肥料タンク112の上方位置から上方又は前上方に退避するよ
うにしてもよい。
固定フレーム100の後部には、苗載せ台16を第1位置110に固定するロック機構113が設けられている。
図13に示すように、ロック機構113は、ロックレバー114と、付勢部材115とを有する。ロックレバー114の中途部には、ボス部116が設けられている。このボス部116は、固定フレーム100の後端にレバー軸119を介して枢支されている。ロックレバー114の前部は、第2ガイドローラ109に係合するフック部117とされている。ロックレバー114の後部は、ロックレバー114を操作する把持部118とされている。付勢部材115は、引張りコイルスプリングから構成されている。コイルスプリングの一端は、ボス部116に固定された第1バネ掛け部材119に掛止されている。コイルスプリングの他端は、固定フレーム100に固定された第2バネ掛け部材120に掛止されている。コイルスプリングの付勢力は、第2ガイド溝106の後端位置に位置する第2ガイドローラ109にフック部117が係合する方向に作用している。第2ガイドローラ109にフック部117が係合することにより、苗載せ台16が、第1位置110に保持される。ロックレバー114の把持部118を押し下げることにより、フック部117がレバー軸119回りに上方に揺動して第2ガイドローラ109から外れる。
【0048】
図1に示すように、施肥装置17は、機体12の後部に設けられている。
図16に示すように、施肥装置17は、肥料を貯留する肥料タンク112と、肥料タンク112内の肥料を苗5の植付部分の近傍に供給する肥料供給装置121とを有する。
図1に示すように、肥料タンク112は、一対有し、機体12の右側部及び左側部に設けられている。また、肥料タンク112は、苗供給装置15の前方で且つ苗載せ台16の後部の下方に配置され、機体12に取り付けられている。肥料タンク112には、肥料を投入する投入口が形成されている。投入口は、蓋体122によって開閉自在に閉塞されている。肥料タンク112の下端には、肥料を排出する排出口123を形成する環状の縁部が形成されている。投入口は、蓋体122によって開閉自在に閉塞されている。
【0049】
図16、17に示すように、肥料供給装置121は、肥料タンク112と共に機体12に取り付けられている。肥料供給装置121は、繰出し装置124と、肥料排出部125と、ガイド管126と、アーム作動機構127とを有する。繰出し装置124、肥料排出部125及びガイド管126は、肥料タンク112に対応して一対有する。
繰出し装置124は、肥料タンク112内の肥料を繰り出す装置である。肥料排出部125は、植え付けた苗5の近傍に肥料を排出する部位である。ガイド管126は、繰出し装置124から繰り出された肥料を肥料排出部125に案内する部材であり、フレキシブルチューブからなる。アーム作動機構127は、後述する開閉アーム128を作動させる機構である。
【0050】
繰出し装置124は、肥料タンク112の下方に設けられ、ケース264と、繰出しロール129と、排出ダクト130とを有する。ケース264の上端には、受入口263を形成する環状の縁部(受入部)が形成されている。受入口263は、肥料タンク112の下端に形成した排出口123に連通していて、肥料タンク112の排出口123から排出された肥料を受け入れる。ケース264の内壁264Aは、繰出しロール129の表面に近接している。ケース264の下部であって、受入口263と対向する側には当該ケース264から肥料を排出する排出口265を形成する環状の縁部が形成されている。
【0051】
繰出しロール129は、ケース264内に収容されている。第2駆動軸32は、左及び右側のケース264及びケース264内の繰出しロール129を貫通している。繰出しロール129は、第2駆動軸32と一体回転自在であり、第2駆動軸32の回転により駆動される。
図17A及び
図17Bに示すように、繰出しロール129は、繰出し部132と、非繰出し部133とを含んでいる。繰出し部132は、円柱状のロールの表面を径内方向に凹ますことによって構成した複数の溝131を有している。この実施形態では、複数の溝131は、繰出しロール129の周方向に所定の間隔で設けられている。また、非繰出し部133は、円柱状のロールを凹まずに平坦にすることにより構成した部位である。繰り出
しロール129は、ケース264に回転自在に支持されており、繰出し部132(複数の溝131)及び非繰出し部133は、当該繰り出しロール129の回転に伴ってケース264内を回転する。
【0052】
繰り出しロール129が回転している状況下において、溝131が受入部の付近に達した場合には、ケース264の受入口263に入れられた肥料は溝131の中に入る。肥料が入っている状態で、溝131がケース264の排出口265を形成する縁部に達した場合には、溝131内の肥料は、溝131から排出口265に排出される。そして、排出口265の肥料は、ケース264の下方から排出ダクト130に落下する。一方、繰り出しロール129が回転している状況下において、非繰出し部133が受入部の付近を通過する場合には、受入口263に入った肥料は留まり、ケース264の下部、即ち、排出口265に向けて移動しない。即ち、非繰出し部133が受入部の付近を通過する場合には、ケース264から肥料が繰り出されることはない。
【0053】
図16に示すように、排出ダクト130は、ケース264の下端に設けられ、繰出しロール129によって繰り出された肥料を下方に落下させることで排出する。また、排出ダクト130の下部には、ガイド管126の上端部が接続されている。
肥料排出部125は、植付具55の側方近傍であって、畝4の上面の近傍に位置している。一方の肥料排出部125は、植付具55の右方に配置され、他方の肥料排出部125は、植付具55の左方に配置されている。
【0054】
図18〜
図20は、左側の肥料排出部125を示している。右側の肥料排出部125は対称形であるので図示を省略する。
肥料排出部125は、排出筒134と、シャッタ135と、開閉アーム128と、付勢バネ136とを有する。
排出筒134は、軸芯方向両端が開口した四角筒状の部材によって形成されている。この排出筒134は、軸芯が下方に行くに従って機体内方に移行する傾斜状に配置されている。この排出筒134の上端部にガイド管126の下端部が接続されている。したがって、繰出し装置124から繰り出された肥料タンク112内の肥料は、ガイド管126を介して排出筒134の上端部に導かれ、且つ該排出筒134内の通路を通って該排出筒134の下端開口から排出可能とされている。排出筒134の下端の開口が肥料を排出する排出口137とされている。
【0055】
排出筒134は、第1ブラケット138を介して機体12に取り付けられている。第1ブラケット138は、第1壁139と、この第1壁139に直交する第2壁140とからL字形に形成されている。第1壁139は、機体12に固定された取付部(図示省略)にボルトによって固定されている。第2壁140は、第1ボルト141及び第2ボルト142によって、排出筒134の前面に設けられた取付座143に取り付けられている。
【0056】
第1ボルト141は、第2ボルト142の上側に位置する。第1ボルト141及び第2ボルト142は共に前後の方向の軸芯を有する。
図18に示すように、第2壁140には、第1挿通孔144と、第2挿通孔145とが形成されている。第1挿通孔144は、第1ボルト141を挿通する円形孔である。第2挿通孔145は、第2ボルト142を挿通する円弧孔である。また、第2挿通孔145は、第1挿通孔144を中心とする円弧状の孔である。したがって、第1ボルト141及び第2ボルト142を緩めると、排出筒134は、第1ブラケット138に対して第1ボルト141を中心として円弧状(
図20に矢印X1で示す)に揺動可能となる。これによって、排出筒134の排出口137の向き(肥料の排出位置)が機体幅方向に変更可能とされている。
【0057】
シャッタ135は、排出筒134内の中途部に設けられている。シャッタ135の下側で且つ機体外方側に、前後の方向の軸芯を有するシャッタ軸146が配置されている。このシャッタ軸146にシャッタ135が支持されている。シャッタ軸146は、排出筒134の前後の壁147、148を貫通している。シャッタ軸146の前部は、排出筒134の前壁147を貫通して取付座143に軸芯回りに回転自在に支持されている。シャッタ軸146の後部は、排出筒134の後壁148を貫通して該後壁148の外面に設けられた軸支部材149に回転自在に支持されている。シャッタ軸146の後部は、軸支部材
149を貫通している。
【0058】
図20に示すように、シャッタ135はシャッタ軸146の軸芯回りに回転することで(
図20に矢印X2参照)、実線で示す閉鎖位置と、仮想線で示す開放位置とに位置変更自在とされている。閉鎖位置は、排出筒134の内部である肥料の通過通路を遮断して、肥料を排出筒134(肥料排出部125)に溜める位置である。開放位置は、排出筒134内の通過通路を開通させて、排出筒134(肥料排出部125)に溜めた肥料を排出する位置である。
【0059】
図18、
図20に示すように、排出筒134内には、排出筒134内に導入された肥料を、閉鎖位置のシャッタ135の機体内方側(シャッタ135の開き側)に導くガイドプレート150が設けられている。ガイドプレート150の上部は、排出筒134の下側壁151の内面に固着されている。ガイドプレート150の下部は、下方に行くに従って機体内方(排出筒134の下側壁151から離れる方向)に移行する傾斜状とされている。
【0060】
開閉アーム128は、排出筒134の外部の背面に設けられている。開閉アーム128の中途部にシャッタ軸146の後部が固定されている。開閉アーム128の機体内方側には、引張りコイルスプリングからなる付勢バネ136の下端が掛止されている。付勢バネ136の上端は、排出筒134の上部に固着された第2ブラケット153に掛止されている。第2ブラケット153は、上壁154と、上壁154の前端から下方に向けて延出された前壁155とからL字形に形成されている。前壁155は、排出筒134の後壁148の外面上部に固着されている。付勢バネ136の上端は、第2ブラケット153の上壁154に掛止されている。
【0061】
第2ブラケット153の上壁154には、ボーデンケーブル156(操作ケーブル)のアウターケーブル157の一端が固定されている。ボーデンケーブル156のインナーケーブル158の一端は、開閉アーム128の機体外方側に接続具159を介して枢支されている。開閉アーム128の機体外方側の下端には、排出筒134の下側壁151に接当するストッパ160が設けられている。このストッパ160は、排出筒134の下側壁151に接当することで、付勢バネ136の付勢力による開閉アーム128の回転が規制される。
【0062】
ストッパ160が排出筒134の下側壁151に接当している状態で、シャッタ135は閉鎖位置に位置している。インナーケーブル158が引っ張られると、付勢バネ136の付勢力に抗して開閉アーム128は
図18の時計方向に回転して、シャッタ135が開放位置に位置変更する。インナーケーブル158の引張力が解除されると、付勢バネ136の付勢力によって開閉アーム128が
図18の反時計方向に回転してシャッタ135が閉鎖位置に戻る。
【0063】
肥料排出部125(排出筒134の下部)には、肥料排出部125から排出される肥料の排出位置を調整する調整部材161が設けられている。調整部材161は、第1調整部材162と第2調整部材163とを有する、第1調整部材162は、排出口137の機体内方に配置され、第2調整部材163は、排出口137の機体外方に配置されている。
図18〜
図20に示すように、第1調整部材162は、排出筒134の前壁147側に位置する第1前板部164と、排出筒134の後壁148側に位置する第1後板部165と、第1前板部164と第1後板部165の機体内方側を連結する第1主板部166と、第1後板部165の上端から上方に延びる第1取付板部167とを有する。
【0064】
第2調整部材163は、排出筒134の前壁147側に位置する第2前板部168と、排出筒134の後壁148側に位置する第2後板部169と、第2前板部168と第2後板部169の機体外方側を連結する第2主板部170と、第2後板部169の上端から上方に延びる第2取付板部171とを有する。
第1取付板部167は、排出筒134の後壁148外面に固定されたナット部材172に螺合される第1調整ボルト173によって前後軸回りに揺動可能(角度調整可能)に取り付けられている。第2取付板部171は、排出筒134の後壁148外面に固定されたナット部材172に螺合される第2調整ボルト174によって前後軸回りに揺動可能(角度調整可能)に取り付けられている。
【0065】
第1調整ボルト173を緩めると、
図20に矢印X3で示すように、第1調整部材162が第1調整ボルト173回りに揺動可能とされている。また、第2調整ボルト174を緩めると、
図20に矢印X4で示すように、第2調整部材163が第2調整ボルト174回りに揺動可能とされている。第1調整部材162及び/又は第2調整部材163の揺動角度を調整することにより、機体幅方向における肥料の排出位置の調整が良好に行うことができる。また、前述したように、排出筒134の下端の排出口137の向き変更を合わせて行うことにより、肥料の排出位置の調整の範囲を大きくすることができると共に、肥料の排出位置の調整を微調整することができる。
【0066】
図16、
図21〜
図23に示すように、アーム作動機構127は、前述したボーデンケーブル156と、カムローラ175と、引動レバー176を有する。カムローラ175及び引動レバー176は、左側の繰出し装置124の機体内方に設けられている。また、カムローラ175及び引動レバー176は、繰出し装置124を支持する施肥ブラケット177に設けられている。施肥ブラケット177は、機体12に設けられた図示省略の取付部に取り付けられている。
【0067】
カムローラ175は、円板状の円板部178と、円板部178から外周に向けて張り出す張出部179とを有する。カムローラ175の中心には円形孔180が形成され、この円形孔180にボス181が相対回転自在に挿通している。ボス181には、第2駆動軸32が一体回転自在に挿通している。カムローラ175には、第2駆動軸32の軸芯を中心とする円弧状の長孔182が一対形成されている。カムローラ175の機体内方側には、円板部178と同径の円板からなる調整円板183が重ね合わされて配置されている。調整円板183は、ボス181に固定されている。また、調整円板183には、ナット部材184が固定されている。調整円板183には、ナット部材184に対応する位置にボルト挿通孔185が形成されている。カムローラ175は、長孔182及びボルト挿通孔185を挿通してナット部材184に螺合された調整ボルト186によって調整円板183に取り付けられている。
【0068】
引動レバー176は、第1引動レバー187と第2引動レバー188とを有する。第1引動レバー187は、右側の肥料排出部125の開閉アーム128を作動するためのレバーであり、第2引動レバー188は、左側の肥料排出部125の開閉アーム128を作動するためのレバーである。これら第1引動レバー187と第2引動レバー188は、カムローラ175の上方において機体幅方向に並べて配置されている。第1引動レバー187及び第2引動レバー188の一端部(後端部)は、施肥ブラケット177にベアリング189を介して横軸芯回りに回転自在に支持されている。第1引動レバー187と第2引動レバー188との中途部であって、第1引動レバー187と第2引動レバー188との間には、ベアリングローラからなる係合ローラ190が設けられている。この係合ローラ190は、ピン191によって第1引動レバー187及び第2引動レバー188に横軸芯回りに回転自在に支持されている。
【0069】
第1引動レバー187と第2引動レバー188の他端部(前端部)には、接続具192が設けられている。第1引動レバー187の接続具192には、右側の開閉アーム128に接続されたインナーケーブル158の他端部が接続されている。第2引動レバー188の接続具192には、左側の開閉アーム128に接続されたインナーケーブル158の他端部が接続されている。
【0070】
カムローラ175は、植付具55の上下一往復に対応して一回転する。植付具55が畝4(圃場)に突入して苗5を植え付ける際に、カムローラ175の張出部179が係合ローラ190に接当して該係合ローラ190を上方に押動する。すると、第1引動レバー187及び第2引動レバー188が共に上方に揺動して、インナーケーブル158の他端側を引動する。インナーケーブル158が引動されると、右側及び左側の開閉アーム128の機体外方側が引き上げられてシャッタ135が開く。このとき、繰出しロール129の繰出し部132は上方を向いていて、繰出しロール129からの肥料の繰り出しが停止される。カムローラ175の張出部179が係合ローラ190から外れてインナーケーブル158の引き上げ力が解除されると、シャッタ135が閉じ、繰出しロール129から肥
料が繰り出される。
【0071】
以上、説明した移植機1にあっては、植付具55によって苗を植え付けることができると共に、施肥装置17によって植え付けた苗の近傍に肥料を供給することができる。ここで、移植機1は、調整部材161を備えているため、肥料の排出位置を調整することができる。例えば、肥料タンク112に貯留した肥料を繰出し装置124によって繰り出し、繰り出した肥料をガイド管126を介して肥料排出部125に案内することができ、肥料排出部125から排出される肥料の排出位置を調整部材161によって調整することができる。
【0072】
移植機1は、シャッタ135を備えているため、シャッタ135の閉鎖によって、繰出し装置124から繰り出された肥料を肥料排出部125又はガイド管126に溜めることができる。そして、肥料排出部125又はガイド管126に溜めた肥料を、シャッタ135の開放によって外部に排出することができる。即ち、シャッタ135の開放によって短時間に肥料を外部に排出することができ、シャッタ135の開閉によって簡単に施肥のタイミングを設定することができる。つまり、短い時間で意図したタイミングで地面等に施肥を行うことができる。
【0073】
また、繰出しロール129は、シャッタ135が閉じている間に肥料タンク112内の肥料を繰り出す繰出し部132と、シャッタ135が開いている間は肥料タンク112内の肥料を繰り出さない非繰出し部133とを有している。そのため、シャッタ135が閉じている間に、繰出しロール129から繰り出された肥料を肥料排出部125又はガイド管126に案内することができ、施肥前の肥料を予め機体の下部(地面)に近づけておくことができる。
【0074】
また、調整ボルト186を緩めて、第2駆動軸32回りにカムローラ175を回転させると、カムローラ175の張出部179が係合ローラ190に接当するタイミングを調整することができる。
なお、本実施形態では、肥料を肥料排出部125(排出筒134)に溜めるようにしているが、肥料をガイド管126内に溜めるように構成してもよい。
【0075】
図1に示すように、灌水装置18は、機体12の後部に設けられている。灌水装置18は、水を貯留する灌水タンク193と、この灌水タンク193内の水を苗5の植付部分に供給する水供給装置194とを有する。
図5に示すように、灌水タンク193は、植付具55の後方であって、苗供給装置15の下方、即ち、苗供給装置15の後部の下方に設けられている。
【0076】
図24〜
図27に示すように、灌水タンク193は、正面壁195と、背面壁196と、右側面壁197と、左側面壁198と、上面壁199と、底面壁200とを有して箱形に形成されている。上面壁199は、正面壁195及び背面壁196の上端にボルト等を介して着脱自在に取り付けられている。正面壁195上部及び背面壁196上部には、取付ボルト201が固定されている。この取付ボルト201を介して機体12に固定された図示省略のブラケットに灌水タンク193が取り付けられる。底面壁200には、灌水タンク193内の水を抜くためのドレン栓202が設けられている。
【0077】
右側面壁197の右側方には、第7スプロケット43が配置されている。第7スプロケット43は、灌水タンク193を機体幅方向に貫通するカム駆動軸42に取り付けられている。カム駆動軸42は、右側面壁197及び左側面壁198に軸受装置203、204を介して軸芯回りに回転自在に支持されている。
背面壁196の上部であって、左側部には、給水口205と、戻し口206とが設けられている。これら給水口205及び戻し口206は管材によって形成されている。給水口205は、台車2に搭載された給水タンク9内の水を灌水タンク193内に取り入れるための部材である。戻し口206は、灌水タンク193内の水を給水タンク9に戻すための部材である。台車2には、給水タンク9から水を吸い上げる給水ポンプ10が搭載され、この給水ポンプ10の吐出口と給水口205とが供給ホース207によって接続されている。また、戻し口206には、戻りホース208の一端が接続され、戻りホース208の他端側は、給水タンク9に挿入されている。したがって、給水タンク9内の水は、給水ポ
ンプ10から灌水タンク193を経て給水タンク9へと循環する。
【0078】
図24〜
図28に示すように、水供給装置194は、灌水管209と、蓋装置210と、蓋作動機構211と、カム調整機構212とを有する。
灌水管209は、灌水タンク193内の水を苗5の植え付け部分に案内する管部材である。蓋装置210は、灌水管209の一端側を開閉する装置である。蓋作動機構211は、蓋装置210を作動させる装置である。カム調整機構212は、蓋作動機構211を調整する機構である。
【0079】
図25に示すように、灌水管209は、灌水タンク193の前方側に配置されている。また、灌水管209は、機体幅方向に一対設けられていて、植付具55の右側と植付具55の左側とに配置されている(
図2参照)。
図24及び
図25に示すように、灌水管209は、正面壁195の下部に固定された第1排水管213と、この第1排水管213に接続された第2排水管214と、この第2排水管214に接続された第3排水管215とを有する。第1排水管213は、一端側が灌水タンク193内に挿入されている。この第1排水管213の一端側が、灌水タンク193内の水を排出する排水口部216とされている。
【0080】
第2排水管214は、直管によって構成され、一端側が第1排水管213の他端側に挿入されている。この第2排水管214の一端側は、ボルト217及びナット218によって第1排水管213の他端側に取り付けられている。第1排水管213及び第2排水管214は前方に向けて機体外方に傾斜している。
第3排水管215は、エルボ管であって、一端が第2排水管214の他端に嵌められて固定されている。第3排水管215の他端は、機体内方に向けられている。灌水タンク193内の水は、第1排水管213、第2排水管214及び第3排水管215を経て苗5の植え付け部分に供給される。植え付け部分とは、苗の周囲(根、葉の周囲)、苗自体(根、葉)を含む。
【0081】
図24、
図28、
図29、
図30に示すように、蓋装置210は、灌水タンク193内に設けられている。この蓋装置210は、開閉蓋219と、蓋ブラケット220と、付勢バネ221とを有する。開閉蓋219は、排水口部216を開閉する部材である。蓋ブラケット220は、開閉蓋219を支持する部材である。付勢バネ221は、開閉蓋219を排水口部216に押し付ける部材である。
【0082】
図28に示すように、開閉蓋219は、右及び左の灌水管209に対してそれぞれ設けられている。この開閉蓋219は、取付プレート222と、パッキン223と、押え板224とを有している。取付プレート222にパッキン223が重ね合わされると共にパッキン223に押え板224が重ね合わされている。押え板224及びパッキン223を貫通して取付プレート222にねじ込まれるネジ225によって、取付プレート222にパッキン223が取り付けられている。パッキン223を排水口部216に押し付けることにより排水口部216が閉鎖される。
【0083】
図28に示すように、取付プレート222には、枢支プレート226が設けられ、この枢支プレート226は、蓋ブラケット220の下部に枢軸259を介して横軸芯回りに回転自在に枢支されている。蓋ブラケット220の上部には、ブラケット軸227が設けられている。ブラケット軸227は、正面壁195内面に固定されたブラケットステー228に支持されており、蓋ブラケット220は、ブラケット軸227回りに揺動可能とされている。
【0084】
付勢バネ221は、捩りコイルバネから構成され、ブラケット軸227に外嵌されている。付勢バネ221の一端は、蓋ブラケット220に掛止されている。付勢バネ221の他端は、ブラケットステー228に掛止されている。付勢バネ221の付勢力は、開閉蓋219を排水口部216に押し付ける方向に作用している。
図28に示すように、蓋作動機構211は、灌水タンク193内に設けられている。この蓋作動機構211は、右及び左の開閉蓋219に対してそれぞれ設けられている。蓋作動機構211は、カム229と、カム係合部230とを有する。
【0085】
図31、
図32に示すように、カム229は、カム係合部230を押動することで開閉
蓋219を開ける押動部231を有する。また、カム229は、第1カムプレート232と、この第1カムプレート232に重ね合わされた第2カムプレート233とを有する。第1カムプレート232は、円板状の第1基部234と、第1基部234から外周に向けて張り出した第1部位235とを有する。第2カムプレート233は、円板状の第2基部236と、第2基部236から外周に向けて張り出した第2部位237とを有する。第1部位235及び第2部位237によって押動部231が構成されている。
【0086】
右側及び左側の第1カムプレート232は、それぞれ第1筒体238に固定されている。各第1筒体238には、カム駆動軸42が嵌め込まれ、第1筒体238及びカム駆動軸42にピン239が挿入されている。これにより、第1筒体238は、カム駆動軸42に一体回転自在に支持されている。
右側の第2カムプレート233は、第2筒体240の右端に固定されている。左側の第2カムプレート233は、第2筒体240の左端に固定されている。第2筒体240は右側の第1筒体238と左側の第1筒体238とにわたって設けられ且つ右側の第1筒体238と左側の第1筒体238に相対回転自在に外嵌されている。したがって、第2カムプレート233は、第1カムプレート232に対してカム229(カム駆動軸42)の回転中心回りに相対回転可能とされている。第2カムプレート233を第1カムプレート232に対して相対回転することにより、カム229の回転中心回りの押動部231の長さ241が変更可能とされている。
【0087】
左側の第1カムプレート232は、カム229の回転中心を中心とする円弧状の第1ピン挿通孔242を2つ有する。左側の第2カムプレート233は、円形状の第2ピン挿通孔243を有する。第2ピン挿通孔243は、第1ピン挿通孔242に対応して2つ形成されている。
左側の第1カムプレート232の左側方には、係合プレート244が設けられている。この係合プレート244には、第1ピン挿通孔242及び第2ピン挿通孔243を挿通する係合ピン245が設けられている。係合ピン245は、第1ピン挿通孔242及び第2ピン挿通孔243に対応して2つ設けられている。係合プレート244は、カム駆動軸42の左側に相対回転自在に嵌め込まれた第3筒体246の右端に固定されている。第3筒体246は、左側の軸受装置204を挿通して灌水タンク193から左方に突出している。
【0088】
図28、
図29に示すように、カム係合部230は、ベアリングローラから構成されている。このカム係合部230は、蓋ブラケット220の上部であって背面から後方側に延出する係合ブラケット247にローラ軸248を介して横軸回りに回転自在に取り付けられている。したがって、カム係合部230は、ブラケット軸227の軸芯回りに開閉蓋219と一体揺動する。
【0089】
図28に示すように、カム229の押動部231以外の部分は、カム係合部230には接触しないように構成されている。カム229がカム係合部230に接触していない場合には、付勢バネ221によって開閉蓋219が排水口部216に押し付けられて、該開閉蓋219によって排水口部216が閉じられている。
図34に示すように、カム229の押動部231がカム係合部230に接触してカム係合部230を押動すると、蓋ブラケット220がブラケット軸227回りに回転して開閉蓋219が排水口部216から離反し、排水口部216が開く。これによって、灌水タンク193内の水が灌水管209を介して苗5の植え付け部分に排水される。
【0090】
図31に示すように、カム調整機構212は、灌水タンク193の左側の側方に設けられている。
図31、
図33に示すように、カム調整機構212は、第1調整プレート249と、第2調整プレート250とを有する。第1調整プレート249は、第3筒体246の灌水タンク193から左方に突出した部分に一体回転自在に外嵌されている。第2調整プレート250は、カム駆動軸42の第3筒体246から左方に突出した部分に一体回転自在に外嵌されている。カム駆動軸42は、第2調整プレート250から左方に突出しており、この第2調整プレート250から左方に突出した部分がネジ部251とされている。このネジ部251には抜け止め用のナット部材252が螺合されている。第1調整プレ
ート249には、円形状のボルト挿通孔253が形成されている。第1調整プレート249の右側面には、ネジ穴がボルト挿通孔253に一致するナット部材254が固定されている。また、第1調整プレート249には、第1掴み部255が設けられている。
【0091】
第2調整プレート250には、カム駆動軸42の軸芯を中心とする円弧状の調整溝256が形成されている。この調整溝256を調整ボルト261が挿通している。この調整ボルト261は、ボルト挿通孔253を挿通してナット部材254に螺合している。また、第2調整プレート250には、第2掴み部257が設けられている。
調整ボルト186を緩めて、第1調整プレート249をカム駆動軸42の軸芯回りに回転させることにより、第3筒体246が回転し、係合プレート244が回転する。係合プレート244が回転すると、第2カムプレート233が第1カムプレート232に対して相対回転し、押動部231の長さ241が調整される。これによって、開閉蓋219の開き時間、即ち、潅水のタイミングを簡単に調整することができる。
【0092】
また、カム調整機構212により、灌水タンク193の外部から第1カムプレート232と第2カムプレート233の相対回転調整をすることができる。
また、第2調整プレート250には、凹みからなる目印260が複数形成されている。これによって、開閉蓋219の開き時間の段階的な調整が容易に行うことができる。
灌水タンク193には、当該移植機1とは別に設けられた給水タンク9の水を灌水タンク193内に給水可能であるので、灌水装置18の連続作業時間を増やすことができる。また、台車2に給水タンク9を搭載することにより、移植機1に大きな灌水タンク193を設ける必要がなく、移植機1に大きな灌水タンク193を設けることによる重量アップや重量バランスの不良を防止することができる。
【0093】
水供給装置194は、肥料供給装置121の作動後、即ち、シャッタ135の開放後に、開閉蓋219を閉鎖状態から開放状態にし、灌水タンク193内の水を苗5の植え付け部分に供給する。したがって、施肥及び潅水を行う場合に、肥料が灌水に混ざって苗5の植え付け部分に滞留することを防止でき、苗5の肥料焼けを防止することができる。なお、この実施形態では、肥料供給装置121による施肥後に、潅水を行っているが、これに限定されず、潅水後に施肥を行ってもよいし、施肥及び潅水を同時に行ってもよい。
【0094】
また、灌水装置18から排出される水は、排土板68の背面に当たるように灌水管209が配置されている。排土板68の背面に水を当てることにより、排土板68に付着した土を洗い流すことができる。
また、カム229の押動部231によってカム係合部230を押動することで開閉蓋219を開け、これによって、灌水タンク193内の水を排水口部216から排出させるようにすることにより、短時間に多量の水を排出させることができる。
【0095】
以上の移植機は、植え付けた苗5の近傍に肥料を供給する施肥装置17と、植え付けた苗5に灌水する灌水装置18とを有している。そのため、植付作業と施肥作業と灌水作業とを1つの機械で実施することができる。言い換えれば、植付作業と施肥作業と灌水作業とを同時に行うことができる。例えば、植付作業及び施肥作業を1つの機械で行った後に、別の機械で潅水作業を行う必要がなく、容易に植付、施肥、潅水を行うことができる。
【0096】
また、機体12の前部にエンジン258及び燃料タンク25を搭載し、機体12の後部に苗供給装置15、植付具55及び灌水タンク193を搭載することで、重量バランスを良好にすることができる。さらに、植付具55を苗供給装置15の前部下方に設け、灌水タンク193を植付具55の後方であって、苗供給装置15の後部下方に設けることにより、これらをコンパクトに配置することができる。
【0097】
また、灌水タンク193を苗供給装置15の下方に設けている。そのため、移植機1の全体をコンパクトにすることができる。
また、後輪45を支持する後車軸48の上方に肥料を入れる肥料タンク112を設けている。そのため、肥料タンク112に肥料が入った状況でも走行時等における移植機1のバランスを保つことができる。
【0098】
また、苗供給装置15の前方に施肥タンク112を設けているため、当該苗供給装置15の前方のスペースを利用して肥料タンク112を設けることができる。
また、苗載せ台16を、肥料タンク112の上方に配置し且つ肥料タンク112の上方位置から前方又は上方に退避可能に支持することにより、苗載せ台16をコンパクトに配置することができると共に、肥料タンク112に対する肥料の補給、肥料タンク112のメンテナンス等を良好に行うことができる。さらに、肥料タンク112を大きくすることができる。
【0099】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。