(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部プーリが前記ハウジング装置の内側に配置されていて、前記磁気エンコーダ装置が前記ハウジング装置の外側に配置されており、前記ハウジング上蓋と第2の接続装置との間で信号相互通信を実現するために、前記ハウジング上蓋と前記第2の接続装置との間に密封式機械的貫通部材が配置されている、請求項1に記載のマルチターンプーリ液面レベルセンサ装置。
前記上部プーリの直径は前記ホイールの直径より大きく、前記プーリ回転軸とホイール回転軸が同一直線上にある、請求項1に記載のマルチターンプーリ液面レベルセンサ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、小体積、低コスト、高性能および高測定精度の液面レベルセンサ装置を提供することにより、上述の先行技術の問題を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的目的を達成して上述の技術的効果を得るために、本発明は、以下の技術的解決策によって実現される。
【0008】
上記解決策は、容器内またはウェル内の液面レベルを電子的に遠隔で監視するためのマルチターンプーリ液面レベルセンサ装置であり、
液面レベルの変化に伴って上下に浮揚することができるフロートと、
フロートに両端が締結された締結ロープと、
締結ロープを巻き付けることによってフロートに機械的に接続された少なくとも1つのプーリであって、フロートが上下に動くのに伴って前後に回転する少なくとも1つのプーリと、
プーリに機械的に結合された磁気エンコーダ装置とを含み、その磁気エンコーダ装置が、
回転シャフトと、
回転シャフトと共に回転することができる1つまたは複数の回転ホイールと、
1つまたは複数の回転ホイールに個々に対応する永久磁石、回転ホイールPCBおよび磁気センサと、
磁気エンコーダ装置に電気的に接続された外部検出回路とを含み、
プーリは、プーリのホイールシャフトと回転シャフトとの間の機械的接続部を介して磁気エンコーダ装置と機械的に結合しており、
磁気エンコーダ装置は、プーリの回転角に応じて、対応するデジタル信号を出力し、
外部検出回路は、エンコーダ装置によって出力されたデジタル信号に応じて、現在の液面レベル高さを計算する、センサ装置である。
【0009】
好ましくは、プーリが上部プーリと下部プーリとを含む。好ましくは、上部プーリのホイールシャフトが第1の接続装置を介して回転シャフトと機械的に接続される。
【0010】
好ましくは、回転ホイールが下部プーリに接続される。
【0011】
好ましくは、センサ装置がさらにハウジング装置を含み、ハウジング装置はさらにハウジング底板とハウジング底板に取り付けられるハウジング上蓋とを含む。
【0012】
好ましくは、ハウジング上蓋が透明な材料からなる、またはハウジング上蓋に視認窓が設けられる。
【0013】
好ましくは、上部プーリと磁気エンコーダ装置が共に、ハウジング装置の内側に配置され、ハウジング装置の外側から隔離される。
【0014】
好ましくは、上部プーリがハウジング装置の内側に配置され、磁気エンコーダ装置がハウジング装置の外側に配置され、ハウジング上蓋と第2の接続装置との間で信号相互通信を実現するために、ハウジング上蓋と第2の接続装置との間に密封式機械的貫通部材が配置される。
【0015】
好ましくは、センサ装置がさらにシステムPCBを含み、システムPCBは、回転ホイールPCBが取り付けられ、回転ホイールPCBを介して回転ホイールと機械的に接続された状態でハウジング装置から延出している。
【0016】
好ましくは、上部プーリの直径が回転ホイールの直径より大きく、上部プーリの回転シャフトが回転ホイールの回転シャフトと同一直線上にある。
【0017】
好ましくは、機械的な保護装置が締結ロープのすぐ近くに配置される。
【0018】
好ましくは、液面レベルセンサ装置が、磁気エンコーダ装置の回転数を回転ホイールの実回転数と一致させるための歯車増減速装置をさらに含む。
【0019】
好ましくは、歯車増減速装置が、摩擦を低減可能な、ハブとホイールシャフトとを含む摩擦ホイールカップリングであり、その回転シャフトは上部プーリおよび回転ホイールの回転シャフトとは異なる。
【0020】
好ましくは、外部検出回路が、有線および/または無線のデータ通信と相互接続機能を有する。
【0021】
好ましくは、液面レベル高さとエンコーダの1つまたは複数の回転ホイールのうち第1の回転ホイールの総回転数との関係が、N=(L−L
empty)/(π×D×RF)である。Nは回転ホイールの総回転数であり、Lは測定された液面レベル高さであり、L
emptyは空タンクの場合の液面レベル高さであり、Dは上部プーリの外径であり、RFは減速係数である。
【0022】
上述した、および本明細書の他の場所で述べるPCBは、プリント基板の略語であり、当業者に使用される共通の略語である。
【0023】
本発明は、先行技術と比較して、以下の有益な効果を有する。
【0024】
本発明は、体積を低減し、コストを減らすだけでなく、性能を向上させることができる。電子的出力以外に、視覚的出力も供給される。視覚的出力は、番号付き回転ホイールとLEDディスプレイの形で具現化される。出力精度は、符号化回転ホイールが追加されるごとに1桁分増加し、原理上は、使用可能な符号化回転ホイールの数に制限はない。測定された可能性のある実際の深さを較正するために一連の増減速機が設けられ、このようなアブソリュート磁気回転符号化技術は、過酷な環境による誤差を防ぐことができる。
【0025】
本発明は、物理的空間を然程使用せず、制御回路がより単純であり、液面レベルに関する情報を得るためのより多くの方法をユーザに提供する。センサは、より信頼性が高く、液面レベル測定精度がより高く、電力供給の必要量が少なく、5V未満のバッテリを電力供給に使用することができる。
【0026】
本発明の技術的形態における技術的解決策をより明確に説明するために、技術的形態の説明の中で使用する必要のある添付図面について、簡単に後述する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明の可能な実施形態のいくつかを示したものに過ぎず、当業者は、創造的な努力をしなくても図面に従って他の図面も考案可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付図面および実施形態を参照しながら、本発明についてさらに後述する。
【0029】
図1は、先行技術のプーリフロート液面レベルセンサの断面図である。センサは、締結ロープ11を有し、その締結ロープ11の両端がフロート12に締結されていて、液面レベルの高さ13が測定可能である。フロート12は、液面レベル13上に浮かぶことができるものでなければならない。図面内の矢印は、締結ロープ11の移動方向を示しており、それは上部プーリ15と下部プーリ16の移動方向でもある。上部プーリ15は回転シャフト17を中心として回転し、その回転方向は14で示され、上部プーリ15のトルクはプーリシャフト18を介して回転エンコーダ装置(図示せず)に伝達される。
【0030】
プーリシャフト18はブラケット21によって支持され、ブラケット21はハウジング底板22に取り付けられている。理想的な状態において、ハウジング蓋部23は、外部環境からの機械的な保護と隔離を行う。上部プーリ装置は容器壁25に取り付けられ、下部プーリ16は、締結ロープ11の理想的な張力を維持するために、重り26の作用を受けて下方に引っ張られる。上部プーリ15の下の理想的な範囲内で締結ロープ11とフロート12が維持されるように、保護筒27を選択することができる。保護筒27は、液体を自由に通過させ得る穴または別の構造物を有する必要があり、このようにすることで保護筒27の内側および外側の液面レベル13が同じになる。
【0031】
アンテナ28は、リモートシステム制御ユニット(図示せず)に通信信号29を送信する。先行技術のプーリ液面レベルセンサについての説明はここまでとする。
【0032】
次の3つの図は、現在のアブソリュート磁気回転センサ技術の技術水準を示した図であり、これらの図は全て中国特許出願第201310040970.X号明細書から引用した図であり、この特許の内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0033】
典型的な回転ホイールの場合、各回転ホイールは、10個の異なる桁の出力を行うが、他の計数基準もある。例えば、エンコーダの回転ホイールに0〜9の番号を付与して、電子的な値出力の他に、視覚的な読み取りを行うことも可能である。一般的な構成は、複数の回転ホイール(任意の数が可能であり、記録時間が数十年に及ぶ場合、さらに多くの回転ホイールが必要である)が一緒に設置される。このようにして、第1の回転ホイールが1回転した場合、第2の回転ホイールは0.1回転することになる(一般的な割合は、1/(桁数)である)。同様にして、最後の回転ホイールを除き、N番目の回転ホイールが1回転した場合、(N+1)番目の回転ホイールは0.1回転することになる。このようなマルチホイールアセンブリは、数十年の読み取りを記録できる。
【0034】
既存の符号化技術はさらに、光透過式符号化や光反射式符号化、電気接触式符号化を含む。光学的方法では、汚れや光害のために問題が生じやすく、光源と光検出器が関連した電子的要素を必要とするので、コストがより高くなる。時間の経過と共に、電気接触式エンコーダは古くなり、その信頼性も低下する恐れがある。さらに、先行技術の他の符号化技術は、交互に磁化された磁性ターゲットと、磁気誘導検出器を有する。磁性ターゲットは、より高価であり、その精度は材料の永久磁化能力に制限される。より低コストでシンプルで正確な磁気エンコーダディスクは、流量計や電気計器産業に有効である。
【0035】
図2A〜
図2Dに示されている5回転ホイールアブソリュート回転エンコーダの図を参照すると、装置全体は、最右回転ホイール101の総回転数を記録するための視覚電子的方法を提供する。視覚的記録は、各々の回転ホイールの上部の計数から始まる。したがって、現在の読み取りが00019回転である場合、これは、最右回転ホイール101が1回転して、2回転目を完了させつつあるということを意味する。10進法の桁数を表すことから、最右回転ホイール101は「10
0」と表される。右から2番目の回転ホイール102は「10
1」と表され、右から3番目の回転ホイール103は「10
2」と表され、右から4番目の回転ホイール104は「10
3」と表され、右から5番目の回転ホイール105は「10
4」と表される。
【0036】
回転ホイール102と回転ホイール101との回転数の関係は10:1であり、これは、10
0回転ホイール101が10回転するごとに10
1回転ホイール102が1回転することを意味する。同様に、10
1回転ホイール102が10回転するごとに、10
2回転ホイール103が1回転する。概して、10
N回転ホイールが10回転するごとに、隣接する10
N+1回転ホイールが1回転する。この場合、Nは自然数である。図面には5回転ホイールエンコーダのみが示されているが、その原理は任意の数の回転ホイールを有するエンコーダに容易に適用可能である。
【0037】
図2に示されている他の部品は、回転シャフト107を中心として回転する。
図2Dに示されているように、これらの部品は組み合わさって回転装置121を構成する。ディスク110は、薄い円形状であり、例えばNi−Fe透磁性合金、高透磁性合金またはフェライト製の軟磁性材料である。ディスク110は構造変化部113を有し、この構造変化部113は、穴、突起または別の磁気構造部としてよい。図示されたディスク110は、1つの構造変化部のみを有するが、特定の用途では、それより多い構造変化部を有する場合がある。
【0038】
固定装置122は、永久磁石114と、5個のセンサ116.1、116.2、116.3、116.4、116.5とを有し、5個のセンサはまとめてセンサ116と呼ぶ。該センサはプリント基板(PCB)112に取り付けられ、PCB112は、センサ116の電気接続部となり、永久磁石114を含む固定装置122の機械的支持部にもなる。固定装置および回転装置は、使用可能な多くの可能性のある構造変化部を有することができ、この実施形態は典型的な実施形態に過ぎない。永久磁石114は、ディスク110を磁化することができる磁場を形成する。一般に、永久磁石114の磁場は、回転シャフト107の軸方向に沿うように設計され、その磁場方向は、PCB112およびセンサ116を含む面に垂直である。このような設計にするのは、透磁性ディスク110の構造変化部113がその隣接領域で磁場方向を変化させることができるためである。構造変化部113が回転してセンサ116内の特定のセンサを越えると、そのセンサが変化した磁場を測定できる。このようなマルチセンサ装置は、以下に示される磁場値を復号することによって、回転する構造変化部113の角度を決定できる。
【0039】
かかる磁気設計について、より詳細に説明する。
図3Cには、白黒で表された透磁性ディスク110が示されている。本願では、円筒座標系が使用されており、その半径方向は、(ページ内で)中心から外側に向かう方向であり、変数Rで表され、その角度方向は、変数θで表されており、これもページ内に示されている。Z方向は、このページに垂直な方向である。
【0040】
センサ116.1〜116.5は、センサ位置の特定の角度において軸方向感度が半径方向Rに平行になるように配置される。センサは、Z軸方向およびθ方向には感度を持たない。
図3Cは、各々のセンサの位置の角度と感度方向を表しており、それぞれ[センサ,感度角(°)]の形で[116.1,0]、[116.2,72]、[116.3,144]、[116.4,216]、[116.5,288]と表されている。センサ位置の半径は、190R
Trackよりわずかに大きい場合もある。先行技術の磁気モデルによれば、R
Trackの外側の磁場は、左半分θ=0°では外側に曲がり、半径Rより大きくなるが、右半分θ=180°では全く曲がらないことがわかる。半径方向の正方向に磁場が曲がるというのは、半径方向の正方向に平行な、θ=0°にて磁場のわずかな部分が存在することを意味する。センサ位置における半径方向成分B
Radialの磁気シミュレーション結果が、次の
図4に示された曲線191である。センサ116.1は、成分B
Radialに対する感度を有するように設計されているが、成分B
Zに対する感度は持たない。図の右下隅のθ=180°位置にある1つのセンサが半径R
Trackより外の場所にある場合、磁場は全く測定されない。これは、θ=180°においてB
Radial=0であるためである。つまり、ディスク110は固定センサ116.1〜116.5に対して回転するので、構造変化部113の近くにある特定のセンサによって測定される磁場の振幅は、非常に小さいが0より大きく、センサが構造変化部113から離れると、振幅値はより0に近づく。
【0041】
したがって、透磁性ディスクがセンサに対して回転すると、磁気センサが、透磁性ディスク上に構造変化部があるか否かを検出できる。磁気エンコーダを設計するのに、このような効果が使用されている。特定の角度位置に従って配置された各々のセンサは、電気信号を発することができ、ディスクの位置が異なれば、対応する電気信号も異なる。電子回路は、磁気センサのアナログ信号をデジタル信号に変換することができ、例えば、1は構造変化部が存在することを表し、0は構造変化部がないことを表す。さらに、1組の構造変化部が、例えば構造変化部113,1と113.2で形成される場合、固定センサに対してエンコーダの回転ホイール101とディスク110が共にエンコーダの回転ホイール101の10個の位置で回転すると、それぞれの位置に対してセンサ116.1〜116.5によって得られた一連の信号は異なる。
【0042】
このような符号化スキームの概要は
図3に示されている。
図3Aは、センサ116.1〜116.5に対するディスク110の10個の異なる角度位置を示す。
図3Bの表では、列「数字」内の数字は、回転ホイールに表示されている10個の位置のそれぞれの位置の番号に対応している。列「角度」は、θ=0°からの回転角θの値を示す。列「センサ数」は、固定回路基板上の所定角度位置にあるセンサの数を示す。列「センサの出力値」は、5個のセンサの各々のセンサの信号出力を示す。5個の値は、組み合わさって、各角度におけるコード値「1」と「0」の組み合わせを形成する。5個の数字のコードは、
図3Aの各リングの表示である。例えば、数字4(上の列の右側)のリングは、θ=0°から右回りに回転し始める。センサ116.1とセンサ116.4は構造変化部と一致せず、センサ116.2、116.3および116.5は構造変化部と一致する。回転角の値がθ=144°であるときに、この状態が発生し、出力コードは10010となる。
【0043】
図4は、5スイッチセンサの出力と磁場との関係曲線を示す。ディスクの回転角がθ=0°からθ=360°まで1回転する際、θ=0°にてセンサ116.1により測定され且つ存在すると予想される磁場は、
図4Aに示されている通りである。この図では、軸の下にディスク110の回転角が示され、左軸は、磁場モデルから得られた磁気誘導強度成分B
Radialである。磁場(ガウス)−角度(°)関係曲線は、図中で菱形の印の付いた太い実線、即ち曲線191である。右軸は、磁気スイッチセンサのセンサ出力電圧であり、該センサは先行技術の中で説明されている。センサ出力電圧(V)−角度(°)関係曲線は、図面内の細い曲線192で表されている。
【0044】
図4Bは、印加磁場に対する市販デジタル磁気スイッチの典型的な応答を含む。該スイッチは、磁場のアナログ信号(即ち、図中の曲線196)を出力用のデジタル(2状態)電子信号に変換する。水平軸は磁場(ガウス)であり、垂直軸はスイッチセンサの出力電圧(V)である。デジタル磁気スイッチの出力電圧と印加磁場との関係曲線は、図中の曲線193である。この曲線上に磁気ヒステリシスが存在することに留意されたい。印加磁気誘導強度が負の値であるとき、出力電圧は低値V
Lである。磁気誘導強度の増加に伴って、値は正になり、所定の磁場動作点B
OPを超えるまで増加し、センサ出力値は低値から高値V
Hに変換されることになる。その後、磁気誘導強度は高い正の値から徐々に減少し、出力値は、磁場リセット点B
RPにおいて元の低値V
Lに変換される。磁場の2つの変換閾値B
OP、B
RPは、
図4Aの破線194、195で示されている。したがって、センサの外部磁場曲線191が破線B
OP、B
RPを通り抜けるとき、センサ出力は
図4B内の曲線193で示されたようになる。
【0045】
磁気センサ素子のアナログ出力は、曲線196で示された通りである。印加磁場が0に近づくと、出力電圧と印加磁場との間の応答関係は線形関係にある。この曲線は、点B=0に対して実質的に逆対称である。磁気誘導強度Bが正方向および逆方向の高い値にあるとき、センサは飽和値V
senseHおよびV
senseLをそれぞれ出力する。所望のセンサ応答は、磁気センサを注意深く設計し構成することにより得られる。
【0046】
上記内容は、アブソリュート磁気回転エンコーダの背景技術について説明したものである。本願の技術的革新は、(1)プーリ液面レベルセンサと(2)アブソリュート回転エンコーダという2つの先行技術分野の組み合わせにある。以下、本願の技術について詳細に述べ、複数の異なる実施形態について説明する。
【0047】
実施形態1
エンコーダは5個の回転ホイールを有し、各々の回転ホイールは5個のセンサを有し、プーリは密閉ハウジング内の上部に設置され、電気は外部電子通信ユニットを介して供給され、重りが下部プーリに設けられる。
【0048】
本願の第1の実施形態は、
図5、
図6および
図7に示された通りである。
図5は、正面断面図である。カプラ30は、プーリシャフト18とエンコーダ回転シャフト106との機械的接続部を形成する。ブラケット21は、プーリシャフト18およびエンコーダ回転シャフト106の重量と追加の作用力とを支持し、ブラケット21はハウジング底板22の上部に取り付けられる。5組の回転ホイールPCB112はシステムPCB31上に取り付けられ、回転ホイールPCB112は、センサ116とシステムPCB31との電気接続部を形成し、さらにエンコーダ装置の他の部品(例えば、永久磁石114)のいくつかの機械的支持部を形成することができる。
【0049】
ハウジング底板22は、液面レベルエンコーダ内のエンコーダ上部装置1全体の機械的シャーシとしての機能を果たす。容器壁25は、容器またはウェルの最上部の構造体であり、通常の方法(例えば、ねじ、接着剤または粘着テープ)を使用して、ハウジン部底板22を容器壁25に固定できる。この図では、該2つの部品がわずかな間隙を空けて別個に描かれているが、この間隙は、エンコーダの上部装置1と測定される液面レベル装置の上部機械的部品との間の境界を表すために示されている。実際の使用では、エンコーダ上部装置1と容器壁25との間に間隙はない。
【0050】
エンコーダ上部装置1は、容器またはウェルヘッドの上に位置する全ての部品を含んでいる。
図1を参照すると、ウェル内に吊り下げられている部品は、締結ロープ11、フロート12、下部プーリ16、重り26のみである。エンコーダ上部装置1は、ハウジング底板22に取り付けられるハウジング上蓋23を含み、ハウジング上蓋23は、エンコーダ上部装置1内の他の部品を保護するのに使用され、さらにウェルまたは容器の内部環境と外部環境との間の環境的な密閉を提供することができる。
【0051】
ハウジング底板22と容器壁25上に1つまたは2つの締結ロープ穴32がある。フロート12は液面レベル13上に浮かんでいるときは、液面レベルの変化に伴って、締結ロープ11が締結ロープ穴32を通って自由に上下動できる。
図1に示した先行技術の例では、締結ロープ11と上部プーリ15との摩擦力がトルクを発生させ、そのトルクが、プーリシャフト18およびカプラ30を介してエンコーダ回転シャフト106に伝達される。そして、
図2で示され且つ説明されたエンコーダ回転ホイールの設計基準によれば、そのトルクがエンコーダ回転ホイールを回転させる。
【0052】
図6は、上部装置1の選択された部品の上面図である。システムPCB31は、ハウジング底板22とハウジング上蓋23で形成された外側ハウジングから延出している。システムPCB31が延出する開口部の周囲の間隙を密閉するのに、シーラントまたはワッシャを使用することができる。このような設計により、単純な電気接続部とデータインターフェースが形成され、密閉位置からPCBを取り外さなくても、必要に応じてバッテリを交換することができる。
【0053】
システムPCB31の下縁には、いくつかの電気的特性部とデータ特性部が示されている。電源接続部71は電源と接地ループを提供し、電気相互接続装置33は1組の配線ソケット端子である。該端子は、標準的な電気アナログ制御信号(例えば、電圧、4〜20mA電流、および、パルス幅変調(PWM))を送受信するのに使用できる。インターネット網インターフェース34は、標準共通ネットワーク(例えば、Ethernet、USBまたはファイアワイヤ)用のインターフェースとなる。無線入出力部36(アンテナ28と信号29を使用する。
図1参照)は、Wi−Fi、BluetoothおよびZigbee用の無線インターフェースとなる。視覚的出力部35は、裸眼で読み取り可能なディスプレイ、例えばライトディスプレイおよび/またはLEDディスプレイとなる。かかるディスプレイは、基本的なシステム性能をOn/Off/Errorとして表示でき、さらにより詳細な情報(例えば、現在の液面レベル)を表示できる。
【0054】
図7は、プーリおよびエンコーダ装置内の選択された部品の端面図である。上部プーリ15の直径は、
図5に示されているのと同様に、エンコーダ回転ホイール101の直径より大きくすべきである。
図5と
図6の例を含む第1の実施形態では、プーリの回転シャフト17とエンコーダの回転シャフト107が同一直線上にあるが、これらのシャフトの他の選択肢について以下で説明する。
【0055】
実施形態2
保護筒が追加されていることを除けば、他の内容は実施形態1の内容と同じである。
【0056】
図5、
図6および
図7に示されていないが、容器壁25の下の締結ロープ装置のすぐ近くに1つの構造物、例えば
図1に示されている保護筒27が追加されてもよい。このような構造物を追加するのは、フロートおよび他の装置部品をウェルまたは容器の適切な位置で維持すると同時に、移動を妨げる任意の物体から離すためである。
【0057】
実施形態3
密閉ハウジングが透明カバーを有し、その透明カバーから回転ホイール上の桁を直接読み取れることを除けば、他の内容は実施形態1の内容と同じである。
【0058】
ハウジング上蓋23は、プラスチックのような透明な材料で作製でき、上蓋を取り外さなくてもエンコーダ回転ホイール101〜105上の値を直接読み取ることができる。加えて、ハウジング上蓋23が透明でない場合には、小さい透明窓を設置することも可能である。
【0059】
実施形態4
基本的には実施形態1と同じであり、その違いは、主に、視覚的読取部がないという点にある。
【0060】
実施形態5
基本的に実施形態1と同じであり、その違いは、主に、エンコーダの回転数を回転ホイールの実際の回転数と一致させるために歯車増減速装置が追加されている点にある。
【0061】
前述の4つの実施形態で示された概念と装置は全て、非常に大きい深さ範囲のウェルまたは容器に適用可能である。エンコーダの各々の回転ホイールが異なる桁を示すので、上述した5−回転ホイール装置に1つまたは複数のエンコーダ回転ホイールが追加された場合には、10の1または複数倍の回転が得られる。さらには、追加のエンコーダ回転ホイールを使用して深さ測定の精度を向上できる。様々な理由により、フロートの総移動距離に対するエンコーダ計数回転ホイールの回転数の比を変化させる必要があり、かかる機能を実現できる1つの可能な変更形態が、次の2つの図面に示されている。
【0062】
図8は、摩擦を低減できる回転ホイール装置を示し、
図9はその断面図である。いくつかの追加の回転ホイールが、プーリシャフト18とエンコーダ回転シャフト106との間に機械的に設置され、その回転ホイールは、エンコーダ回転ホイールの回転数に対するプーリの回転数の比を変えることができる。また、プーリシャフト18に中央ハブ41がさらに設置され、さらに、より小さい第1の摩擦ホイールカップリング42(ハブが43、ホイールシャフトが44で示されている)が設置される。第1の摩擦ホイールカップリング装置の回転シャフトは、上述したものとは違って、回転シャフト47であり、この回転シャフト47は支持機能を果たす。
【0063】
上述と同様に、第2の摩擦ホイールカップリング45とその回転シャフト46は、カプラ30を使用してエンコーダ回転シャフト106に機械的に接続されている。装置上の固定位置における摩擦力が、第2の摩擦ホイールカップリング45を回転させることができる。中央ハブ41と第1の摩擦ホイールカップリング42との間の摩擦力は、プーリ18と第1の摩擦ホイール42にトルクを発生させ、第1の摩擦ホイールカップリングのハブ43と第2の摩擦ホイールカップリング45の外表面との間の摩擦力は、第2の摩擦ホイールカップリング45にトルクを発生させる。
【0064】
本明細書内の「摩擦ホイール装置」は機械的装置を説明するのに使用され、機械的装置の回転運動は、1つの回転ホイールから別の摩擦ホイールに伝達される。これはアブソリュート液面レベル計器に適用可能な特有の方法ではないが、このような方法が先行技術で示されている。他の可能な方法、例えば機械的歯車、磁気結合プレートおよび自在継手もある。理想的な結果は、所与の位置で発生する締結ロープ11に接続されたフロート12の回転数を変更できることである。
【0065】
図9は、
図8の摩擦ホイール装置の断面図である。
図9は、ハブの内径と回転ホイールの外径を強調している。第1の摩擦ホイール42の外径はD2 52であり、そのハブの直径はD1 51である。第2の摩擦ホイール45の外径はD4 54であり、そのハブの直径はD3 53である。上部プーリ15の外径はD5 55であり、中央ハブ41の直径はD6 56である。
【0066】
回転速度の変化は、剛性回転ホイールが内側および外側に移動する線形速度の関係を確認することによって計算される。さらに、摺動しないと仮定すると、以下の式(1)に従って、N番目の回転ホイールが回転するときの、直径Dのある点における移動距離Sを求めることができる。
S=π×D×N (1)
【0067】
2つの点が同じ回転ホイールの異なる直径にある場合、即ち2つの点がそれぞれD1とD2にある場合、式(2)〜式(5)で示されているように、2つの点のそれぞれの移動距離が式(1)を解くことにより求められ、続いて、それらの解を除算して、それらの相対移動距離が求められる。
S
1=π×D
1×N (2)
S
2=π×D
2×N (3)
S
1:S
2=D
1:D
2 (4)
S
1=S
2×D
1/D
2 (5)
【0068】
動きがないと仮定すると、プーリの中央ハブ41は第1の摩擦ホイールカップリング42と接触し、第1の摩擦ホイールカップリングのハブ43は第2の摩擦ホイールカップリング45と接触する。これは、接触点において内側面の移動距離と外側面の移動距離が等しいことを意味する。しかし、上述の式(4)および式(5)に従って、所与の摩擦ホイールのハブの移動距離が得られるものの、ハブのサイズは異なる。
【0069】
締結ロープ11の作用の下、プーリ15の回転シャフトの両側の移動距離の関係は、
S5=S6×D5/D6 (6)
である。
【0070】
この場合、D5はプーリの中央ハブの直径55であり、D6はプーリの外径56である。
【0071】
第1の摩擦ホイール42の回転シャフトの両側の移動距離の関係は、
S1=S2×D1/D2 (5)
である。
【0072】
この場合、D1は第1の摩擦ホイール42のハブの直径51であり、D2は第1の摩擦ホイール42の外径52である。
【0073】
第2の摩擦ホイール45の回転シャフトの両側の移動距離の関係は、
S3=S4×D3/D4 (7)
である。
【0074】
この場合、D3は第2の摩擦ホイール45のハブの直径53であり、D4は第2の摩擦ホイール45の外径54である。
【0075】
つまり、一連の正味の移動減速係数は、係数を乗算することにより求めることができる。即ち、
RF=(D5/D6)×(D1/D2)×(D3/D4) (8)
である。
【0076】
減速係数は2つの状況に関係する。
図8に示されたように、締結ロープ11は、第2の摩擦ホイールのホイールシャフト46の周囲に巻き付けられる。
【0077】
ここで、エンコーダ回転ホイール101〜105の回転数に応じて、フロート12の液面レベルの総変化量が計算される。最初に、減速しない場合の液面レベルの1つの変化量に対応する回転数が計算され、次に、その回転数が減速係数で割られる。Lは、測定される液面レベルを表すのに使用され、Lの値の範囲はL
empty〜L
fullとする。
【0078】
締結ロープ11が第2の摩擦ホイールのホイールシャフト46の周囲に巻き付けられる場合、エンコーダホイール101の1回転に対するLの変化量はΔLであり、式(1)は、
ΔL/N=π×D3 (9)
に変換される。
【0079】
上記の式は減速しない場合を示しており、減速係数が式(9)に加えられると、式は以下の形に変化する。
ΔL/N=π×D3×(D6/D5)×(D2/D1)×(D4/D3)=π×D4×(D6/D5)×(D2/D1) (10)
【0080】
式(10)を使用することにより、L
emptyより上の所与の液面レベルにあるフロート12に対して、エンコーダ回転ホイールの回転数は、
N=(L−L
empty)/[π×D4×(D6/D5)×(D2/D1)] (11)
となる。
【0081】
式(11)は、一般的な関係式であり、この式は、1組の特定の回転ホイールの減速比を計算するのに適用される。
【0082】
式(11)を使用することにより、所与のウェルの深さと回転ホイールの所与の回転数に対して望ましい減速比を設計することも可能である。例えば、エンコーダが5つの回転ホイールを有すると仮定すると、そのエンコーダは最大で100,000の多くの異なる回転値(例えば、0〜99,999)を示すことができる。ウェルの深さが100mである場合、式(11)に従って、以下の減速係数が求められる。
RF=π×D4×(D6/D5)×(D2/D1)=(L−L
empty)/N=100/1000=1×10
−3メートル/回転 (12)
【0083】
したがって、エンコーダ回転ホイールの所望の回転数およびその回転数に対応できるウェルの深さが公知である場合、式(12)により、設計された減速比を実現する可能な方法が得られる。
【0084】
実施形態6
プーリが密閉ハウジング内になく、密封式機械的貫通部材が設置される。
【0085】
この実施形態では、アブソリュート磁気抵抗エンコーダが密閉容積の外側に配置されてもよい。回転運動する貫通部材はカプラ30として使用されてよく、
図8の断面図に示されたように、ハウジング上蓋23とカプラ30との間は密閉される。これは、
図5および
図6に示された実施形態とは異なる。
図5と
図6に示された実施形態では、ハウジング上蓋23がエンコーダ回転ホイールアセンブリ101〜105を完全に囲繞する。
【0086】
実施形態7
エンコーダ回転ホイールが下部プーリに接続される。
【0087】
別の実施形態では、エンコーダ回転ホイールが、ウェルまたは容器の上部に接続されるのではなく、下部プーリに接続される。本明細書では、下部と上部は、重力の向きに従って定められるが、かかる状態は図示されていない。この実施形態では、下部に設置されたエンコーダが、電子締結ロープまたは無線接続部を使用して、上部信号送信ユニットに接続される。
【0088】
実施形態8
基本的に実施形態1と同じであり、その違いは、回転シャフトが同一線上にない点にある。
【0089】
図5を参照すると、プーリの回転シャフト15がエンコーダの回転シャフト107と同一線上にない状態として複合装置が設計されるのが望ましいが、かかる概念はここでは明確に示されていない。かかる概念は、自在継手およびいくつかの摩擦ホイールもしくは歯車を含む装置において容易に実現可能である。
【0090】
図10は、システム回路37の模式的な回路図である。システム回路は、有線および/または無線データ通信および相互接続機能を有する外部検出回路である。元の回路に相互接続され、元の回路の支持体となるのは、システムPCB31であり、この回路は、電源入力端部71から電力供給され、その接地端部は38である。内部電圧安定装置72は、内部回路に安定電圧を供給する。エンコーダ回転ホイールの総回転数がNであるとすると、エンコーダ回転ホイールのアナログ信号入力端部は、第1の回転ホイールエンコーダ61、第2の回転ホイールエンコーダ62と続き、そして最後に、N番目の回転ホイールエンコーダ63として表示される。各々のエンコーダ回転ホイールのアナログ電圧信号(
図4に曲線191で示されている)は、アナログ増幅器とコンパレータ64に伝送されてもよい。各々のエンコーダチャネルはコンパレータを有するので、合計N個のコンパレータ64が存在する。コンパレータ64は、高値または低値のデジタル信号(
図4に曲線192で示されている)を出力し、デジタル信号をシグナルプロセッサ65に伝送する。マイクロコントローラ67は、アルゴリズムを使用して、デジタル出力部66を介して出力される出力結果を取得する。出力結果は、電気的相互接続装置33における第1のデジタル出力形式でもよく、視覚的ディスプレイ35における光出力または視覚的出力形式でもよく、さらには、様々な標準モード(例えば、Ethernet34、WiFi36)用のデジタルデータ形式でもよい。
【0091】
上記説明は、本発明の好適な実施形態を示したに過ぎず、本発明を制限するものではない。当業者にとっては、本発明は様々な修正および変更が可能である。本発明の精神および原理の範囲内の任意の修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるものとする。