(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの衝撃減衰装置(28)が、前記緯糸打ち込み装置(1)と前記カメラ装置(20)との間に配置されている請求項1又は2に記載の監視装置(100,100a)。
前記監視装置(100,100a)は、前記緯糸打ち込み装置(1)に対する少なくとも1つのカメラ装置(20)の位置を調整するための1つの装置(29)を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の監視装置(100,100a)。
前記監視装置(100,100a)は、欠陥を検出するために、前記カメラ装置(20)によって撮影される1つの画像を分析するための少なくとも1つの画像処理装置(BV)と、前記画像処理装置(BV)にデータ接続している1つのデータメモリ(SM)とを有し、前記画像処理装置(BV)と前記データメモリ(SM)とは、前記緯糸打ち込み装置(1)に機械式に結合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の監視装置(100,100a)。
前記複数のカメラ装置(20)のうちの少なくとも2つのカメラ装置(20)が、少なくとも1つの照射装置(39)と一緒に1つのモジュール(M0,ME)内に配置されていて、さらに前記モジュールは、前記複数のカメラ装置(20)のうちの前記少なくとも2つのカメラ装置(20)に複数の画像を少なくとも撮影させるために、前記複数のカメラ装置(20)のうちの前記少なくとも2つのカメラ装置(20)を制御するための共通の1つの画像制御装置(BSE)、及び/又は
前記複数のカメラ装置(20)のうちの少なくとも2つのカメラ装置(20)によって撮影される複数の画像を処理するための共通の1つの画像処理装置(BV)を少なくとも有する請求項7に記載の監視装置(100,100a)。
さらに1つのセンサ装置(BS)が、前記緯糸打ち込み装置(1)の一時的な位置を測定するために前記緯糸打ち込み装置(1)に固定されていて、このセンサ装置(BS)は、前記カメラ装置(20)に1つの画像を撮影させるために、前記少なくとも1つのカメラ装置(20)を制御するための1つの画像制御装置(BSE)にデータ接続していて、及び/又は
前記カメラ装置(20)によって撮影される1つの画像を処理するための1つの画像処理装置(BV)にデータ接続している請求項1〜9のいずれか1項に記載の監視装置(100,100a)。
前記監視装置(100,100a)は、1つの同期化装置(SE)を有し、この同期装置(SE)は、前記カメラ装置(20)を前記緯糸打ち込み装置(1)の1つの位置に応じて制御するように、前記カメラ装置(20)を前記緯糸打ち込み装置(1)の1つの位置(15,16)に同期させるために構成されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の監視装置(100,100a)。
請求項1〜11のいずれか1項に記載の1つの監視装置(100,100a)と、1つの織機(2)の少なくとも1つの構成要素を制御するための少なくとも1つの制御装置(KW)とを有する織機(2)において、
前記制御装置(KW)は、1つのカメラ装置(20)からデータを直接に又は間接に受信するために構成されている当該織機(2)。
少なくとも1つのカメラ装置(20)によって1つの織機(2)内の複数の少なくとも経糸(4)を監視するための方法であって、この織機(2)は、移動可能な1つの緯糸打ち込み装置(1)を有し、この緯糸打ち込み装置(1)は、織り工程中に、1つの戻り位置(15)から1つの打ち込み位置(16)への移動時に、前記緯糸打ち込み装置(1)の1つの長手軸(LA1,LA2)に対してほぼ平行に延在する1つの位置に、1つの緯糸(5)を搬送する当該方法において、
前記カメラ装置(20)は、前記緯糸打ち込み装置(1)の移動時にこの緯糸打ち込み装置(1)と一緒に連動され、
前記カメラ装置(20)は、織り工程中に前記緯糸打ち込み装置(1)の特定の少なくとも1つの位置で、並んで配置された複数の経糸(4)の少なくとも一部の1つの画像を撮影し、この画像は、並んで配置され互いに平行に延在する前記複数の経糸(4,4a,4b)の映し出された複数の区間から成ることを特徴とする方法。
前記複数の経糸(4)のうちの少なくとも1つの経糸(4)に対する欠陥を検出し、前記緯糸打ち込み装置(1)の前記長手軸(LA1,LA2)に対して少なくとも部分的に平行に延在する1つの方向に沿って当該欠陥の位置をつきとめるため、前記カメラ装置(20)によって撮影される少なくとも1つの画像の1つの画像処理(BV)が実行される請求項13に記載の方法。
欠陥が、前記画像処理(BV)によって検出されるときに、前記緯糸打ち込み装置(1)に配置された1つの機器、特に1つの照射装置(39)が制御される結果、前記機器は、当該欠陥の位置を目視可能に表示する請求項14又は15に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
織物を製造するため、今日では、通常は自動織機が使用される。このような織機は、様々な実施の形態で存在する。主な違いは、例えば、どのような方法で緯糸が杼口に通されるかという点にある。ここでは、例えば、緯糸を杼(シャトル)によって弾みを付けて杼口に投げ通す織機が公知である。緯糸が、グリッパ装置によって杼口を通過される織機も公知である。最近では、緯糸が、圧縮空気によって杼口に投げ通される織機も使用されている。
【0003】
どのように具体的に構成されているかに関係なく、今日の織機は、可能な限り自動化されていて、機械の操作者による中断しない監視、又は、機械の操作者の介入が、可能な限り長い期間にわたって大幅に削減されている。
【0004】
不十分な糸品質、不十分な織物準備品質、織機の最適化されていない制御、誤操作が、織り工程中の特定の障害を引き起こす複数の理由である。例えば、隣り合った経糸同士が、容易にもつれ得る。その結果、例えば、杼口が正確に開かれないか、又は、例えば、経糸が切断される。例えば、操作者が、機械の停止後に1つの経糸の切断のために当該糸の2つの端部を結び付け得る。この糸は、元の糸にならない。このため、通常は、生産された材料内の欠陥になる(技術用語では、織り欠陥と記される)。当該欠陥は、最も良い場合では視覚的に目障りであり、最も悪い場合には当該材料が使用できなくなる。今日の材料は、より長い長さ単位で購入されるので(この場合、当該材料は、このような長さ単位において欠陥があってはならない)、より小さい欠陥も、比較的大きい経済損失を引き起こし得る。何故なら、当該生産されたより長い材料が、欠陥商品(又は販売価格が著しく低下する欠陥を含む製品)とみなされるからである。このような経済損失は、当然に望ましくない。
【0005】
上記の正確でない杼口の開口の問題(及びその他の欠陥)は、織機の稼働速度の増大と共に増える。
【0006】
それ故に、実際の織り工程が自動的に進行するだけではなくて、織物製品が、その製造中に可能な限り持続して、完全に、連続して自動的に監視されることも、増々興味の対象になっている。
【0007】
このため、従来の技術では、様々な監視装置が既に提唱されている。
【0008】
すなわち、例えば、独国特許出願公開第3435391号明細書には、ビデオカメラを使用する織機において監視及び制御のための装置が記載されている。このビデオカメラは、経糸及び織物の画像を打ち込み縁部で撮影する。この情報が、模様識別装置に供給され、モニタ上に映し出され、分析される。この場合、カメラ装置が、筬の打ち込み縁部の領域内の杼口の上方に配置されている。この場合、このカメラ装置は、筬框から独立していて、「当該織機の支持可能な場所」(特に、織機のフレーム)に固定して配置されている。
【0009】
この監視装置の欠点は、この監視装置が織物及び糸から比較的遠くに離れていること、この監視装置が織物及び糸の振動を考慮する必要があること、この監視装置が空間を織機上に必要とし、場合によっては織工の、織物に向かう視界を遮ること、及び、筬が、監視のカメラに対して可動であり、したがってカメラによる画像の撮影を妨害するか又はカメラによって監視可能な織機の領域を制限することである。
【0010】
織機の稼動中にこの織機内の経糸を監視するための装置が、国際公開第2006/117673号明細書から公知である。この装置は、(独国特許出願公開第3435391号明細書から公知の装置の場合と同様に)織機に対して予め設定されている場所に固定されているカメラを有する。この場合、このカメラは、織り工程中に杼口内で緯糸を打ち込むために使用される筬の上方に配置されている。その結果、このカメラは、織機の稼動中に当該経糸の画像を撮影し得る。緯糸の打ち込みを可能にするため、当該筬が、織り工程中に移動される必要がある。このカメラは、予め設定されている場所に固定されているので、このカメラは、当該筬の移動中に当該筬と一緒に連動されない。その結果、このカメラに対する当該筬の空間位置が、絶え間なく変化する。
【0011】
日本の特開平8−302535は、織機内の異なる複数の経糸が、筬の異なる複数の筬羽間に正確に引き通されているか否かを監視する方法を開示する。この方法は、織機が停止状態にあるときに、すなわち織り工程が実行されず、筬が移動されないときに実行される。この方法では、織機の停止中に、光電式の検出装置が、筬の上縁部上に設置される。その結果、当該検出装置は、当該筬の上縁部上で摺動式に支承されていて、これに応じて当該筬の長手方向に移動可能である。引き続き、当該検出装置は、この筬の長手方向に、すなわち経糸に対して直角方向に移動され、全ての経糸のそれぞれの経糸にわたって移動される。当該検出装置は、経糸が筬の隣接した複数の筬羽間に引き通されているか否かを識別するために構成されていて、少なくとも1つの経糸がこの筬の隣接した2つの筬羽間に引き通されていることを、当該検出装置が識別するときに、長手方向の移動中にそれぞれ1つの電気インパルスを生成する。当該検出装置がこの筬の経糸に対して直角にその移動中に生成するこれらの電気インパルスは、電子装置によってカウントされ、当該生成されたインパルスの総数が、対応する目標値と比較される。当該検出装置は、この方法の終了時にこの筬から再び遠ざけられ、この筬から遠ざけられた場所に設置される。その結果、当該検出装置は、織機の稼動中に織り工程の実行を妨害しない。引き続き(この方法の実行が終了した後に)、織り工程の実行を再び可能にするため、当該織機が、再び稼動される。この方法は、当該織機の稼動中に又は織り工程中に、経糸又は緯糸を監視する可能性を提供しない。特に、織り工程が実行される前に、当該検出装置は、この筬から遠ざけられる必要があること、当該検出装置は、この筬上に設置されるだけであるので、この筬に固定されないことが欠点である。当該検出装置が、織り工程の開始前に遠ざけられない場合、一般に、この筬は、織り工程中に比較的強く加速され、比較的大きい速度で移動されるので、当該検出装置は、その織り工程の開始後にこの筬から振り落とされるであろう。
【0012】
米国特許第3,989,068号明細書では、杼口を通過する光ビームによって経糸の切断を検出するための光電式の検出装置が提唱される。この検出装置の場合、光カーテン式の光源又はフォト検出器が、当該杼口の両側のこの杼口の領域内に配置される。この場合、光源及びフォト検出器は、筬框に機械式に結合されていて、この筬框と一緒に移動する。ここに記載されている装置によれば、経糸の切断を識別することだけが可能である。しかしながら、その他の欠陥を確実に識別することはできない。特に、経糸の切断の場所を織物の幅に沿って発見することも不可能である。その結果、複数の経糸のうちのどの経糸が切断しているのかを確認することが不可能である。
【0013】
最後に、さらに米国特許第4,643,230号明細書には、専ら織物用の監視装置が開示されている。この監視装置は、検出器ヘッドとして構成されていて、この監視装置は、駆動装置によって織物の幅にわたって連続して往復移動される。光源及びフォト検出器が、当該検出器ヘッド内に存在する。ここに記載されている装置によれば、特定の織り欠陥が識別され得る。しかしながら、ここに記載されている装置の機能に起因して、当該織り欠陥の最初の発生と当該織り欠陥の識別との間に、数センチ分の織物が織られたときに初めて、欠陥が識別されるという問題が一般に発生する。さらに、相当数の織り欠陥を識別することができないか又は専ら労力をかけることで識別することができる。したがって、ここでも、問題がさらに存在する。
【0014】
したがって、織り欠陥のより速い識別、(特に、織物片の幅に沿った、この織物片の緯糸方向の)織り欠陥の位置の可能な限り正確な特定及び/又はより大きい数の織り欠陥の識別を可能にする装置又は方法を提供することに、興味が注がれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の課題は、従来の技術において公知であるような織機用の監視装置に比べて改良されている織機用の監視装置を提供することにある。本発明のさらなる課題は、従来の技術において公知であるような織機に比べて改良されている織機を提供することにある。
【0017】
さらに、本発明の課題は、従来の技術において公知であるような織機の経糸を監視するための方法に比べて改良されている織機の経糸を監視するための方法を提供することにある。
【0018】
本発明は、この課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
織機用の監視装置が、少なくとも1つのカメラ装置と1つの緯糸打ち込み装置とを有するように、当該緯糸打ち込み装置を構成することが提唱される。この場合、この緯糸打ち込み装置は、少なくとも1つの筬及び/又は1つの筬框を有し、この筬及び/又はこの筬框は、この緯糸打ち込み装置の長手方向に延在する。
【0020】
本発明によれば、上記少なくとも1つのカメラ装置は、上記緯糸打ち込み装置に固定されていて、並んで配置された複数のセンサ要素を有する。このカメラ装置は、1つの画像をこれらのセンサ要素によって取得するために構成されている。この場合、これらのセンサ要素は、この緯糸打ち込み装置の長手方向に対してほぼ平行に延在する1つの列内に配置されている。
【0021】
上記緯糸打ち込み装置が、少なくとも1つの筬及び/又は1つの筬框を有し、当該筬及び/又はこの筬框が、この緯糸打ち込み装置の長手方向に延在することによって、織機内で、戻り位置から打ち込み位置への移動時に、1つの緯糸を1つの緯糸打ち込み線に沿って延在する位置に搬送するために、この緯糸打ち込み装置は構成されているこの場合、この緯糸打ち込み線は、通常はこの緯糸打ち込み装置の長手方向に対してほぼ平行に延在する。上記少なくとも1つのカメラ装置が、この緯糸打ち込み装置に固定されていることによって、当該少なくとも1つのカメラ装置が、この緯糸打ち込み装置の移動時にこの緯糸打ち込み装置と一緒に移動されることが保証される。当該カメラ装置が、並んで配置された複数のセンサ要素を有し、これらのセンサ要素が、この緯糸打ち込み装置の長手軸に対してほぼ平行に延在する1つの列内に配置されていることによって、及び、当該カメラ装置が、1つの画像をこれらのセンサ要素によって取得するために構成されていることによって、当該カメラ装置が、1つの画像を撮影し得ることが保証される。この画像は、この緯糸打ち込み装置の長手方向に対してほぼ平行に延在する1つの線又は方向に沿った画像分析を可能にする。
【0022】
上記少なくとも1つのカメラ装置が、上記緯糸打ち込み装置に固定されていることによって、例えば、この緯糸打ち込み装置が、織機内に設置されているときに、複数の経糸の1つの画像が、この緯糸打ち込み装置の長手方向に対してほぼ平行に延在する1つの方向に沿った、例えば上記緯糸打ち込み線に対してほぼ平行に延在する1つの方向に沿った画像分析を可能にするように、当該カメラ装置が、当該画像を撮影し得ることが保証される。
【0023】
用語「緯糸打ち込み線」は、以下では、(ほかに言及しない場合は)1つの「緯糸打ち込み線」が、1つの「緯糸打ち込み装置」と関連して、一般に上記緯糸打ち込み装置の長手軸に対してほぼ平行に延在する1つの方向に沿って延在する1つの線を示すものと解する。
【0024】
上記カメラ装置は、1つの画像の撮影ごとに、その画像の描写に相当する複数の画像データを生成し、これらの画像データは、織り工程中に、複数の経糸上の様々な織り欠陥を検出するために、場合によっては複数の緯糸上の様々な織り欠陥も検出するために、及び織物上の様々な織り欠陥を検出するために分析される。
【0025】
「織り工程」は、これに関連して、同じ筬と同じ繰り返し模様とによって織機上で実行される複数の緯糸挿入サイクルと解されなければならない(この繰り返し模様は、特に複数の経糸のうちの各経糸に対して、それぞれの筬内に複数の経糸を通すために形成されている複数の通路のうちのどの通路内に、これらの経糸の特定の1つの経糸が引き通されているかに関する情報を含む)。
【0026】
それぞれの画像が、本発明にしたがって、緯糸打ち込み線に対してほぼ平行に延在する1つの方向に沿った画像分析を可能にするので、それぞれの織り欠陥の位置が、特に緯糸打ち込み線に対してほぼ平行に(例えば、緯糸打ち込み装置の長手方向に対して平行に)延在する座標軸に対して高い精度でつきとめられ得ることが保証される。
【0027】
上記カメラ装置は、1つ又は複数の光学画像センサを備え得る。当該光学画像センサは、例えば、CCD装置若しくはCMOS装置として又はフォトダイオードとして構成され得る。このようなカメラ装置は、比較低いエネルギー消費であり、商業的に入手できる。さらに、これらのカメラ装置は、一般に織機内の監視に対して十分な光学撮影品質を有する。最初の試みでは、このような装置は、ここで提唱されている監視装置にとって適することが実証されている。
【0028】
上記緯糸打ち込み装置は、任意の装置である。新たに挿入される1つの緯糸又は新たに挿入される複数の緯糸が、織り工程中に1つの緯糸打ち込み線に沿って織物の既に完成された領域に向かって移動され得る。織機内では、この緯糸打ち込み装置が、織り時に一般に2つの端部位置間で(例えば、以下でより詳しく説明される、戻り位置と打ち込み位置との間で)移動される。当該移動は、特に少なくとも織機の駆動部によって又は独立した駆動部によって達成され得る。上記カメラ装置が、当該緯糸打ち込み装置の周囲の空間領域の画像及び特に複数の経糸の画像を撮影するために適するならば、当該カメラ装置も、同様にほぼ任意に構成され得る。特に、「カメラ装置」は、少なくとも一部を光の可視スペクトル領域内で検出するカメラ装置だけと解釈してはならない。検出が、例えば赤外線領域及び/又は紫外線領域内で実行されることも可能である。本発明によれば、当該カメラ装置は、緯糸打ち込み装置に機械式に結合されている。その結果、当該緯糸打ち込み装置が移動されるときに、当該カメラ装置が、当該緯糸打ち込み装置と一緒に移動される。すなわち、当該緯糸打ち込み装置が、例えばその打ち込み位置とその戻り位置との間で往復移動されるときに、当該カメラ装置は、当該緯糸打ち込み装置の移動に追従する。当該カメラ装置は、当該緯糸打ち込み装置の特定の1つの領域(又は当該緯糸打ち込み装置の複数の領域)に「不動に」固定される。当該カメラ装置は、織機上の当該緯糸打ち込み装置の移動に1対1で或る程度追従する。このことは、非常に高い測定品質を伴い得る。こうして、織るべき経糸が配列されている織機の空間領域(特に、1つの杼口が形成され得る領域)の幅及び/又は当該織機によって製造された織物の幅の少なくとも一部が、上記監視装置によって光学式に取得可能である。この場合、特に、(少なくとも当該監視装置の監視動作中に)上記幅の少なくとも10%が、ほぼ各時点に対して取得可能であるように、当該取得は実行される。この場合、少なくとも−1つの緯糸打ち込み線に対してほぼ平行に延在する1つの方向に加えて−別の方向(例えば、「経糸方向」、すなわち当該緯糸打ち込み線に対してほぼ直角に且つ織物に対して平行)の画像の分析も実行され得る。さらに、(従来のラメラによる検出の代わりに)当該緯糸打ち込み装置が、それぞれの経糸の切断の位置を正確につきとめることによって当該経糸の切断を検出するために使用されることが考えられる。
【0029】
上記カメラ装置は、一般に画像センサを有する。この画像センサは、それぞれ並んで配置された光を感知する複数のセンサ要素を有する。その結果、この画像センサは、このカメラ装置によって撮影すべき画像の、並んで配置された複数の画素(ピクセル)を有するデジタル画像を提供する(この場合、1つのピクセルが、例えば、この画像センサの1つのセンサ要素に対応し得る)。特に、これらの画素又はこれらのセンサ要素は、少なくとも一列に配置されている。当該列は、1つの緯糸打ち込み線に対して平行に延在する1つの方向に延在する。したがって、画像分析が、この方向に沿って可能である。特に、1つの経糸が、1つの緯糸打ち込み線に対して平行に延在する1つの方向に並んで配置されている複数の画素によって表示されるように、当該画像センサの場所分解能(ピクセルサイズ)が選択されることが有益である。したがって、この場合には、どの経糸が問題を有するかが、明確に確認され得る。監視装置又は織機の具体的な構成とは関係なく、上記監視装置には、織機の稼働時のカメラ装置と複数の糸/織物との間の振動移動が著しく減少されているという利点がある。何故なら、当該複数の糸又は当該織物が、緯糸打ち込み装置の予め設定されているそれぞれの位置で(例えば、筬によって)保持され、当該カメラ装置が、織り工程中にこの緯糸打ち込み装置と一緒に移動するのとは別の移動を有しないからである。このことは、このようなカメラ装置によって撮影される1つの画像の自動的な画像処理を比較的短い計算時間で可能にする。従来の技術による公知の監視装置の場合(例えば、独国特許出願公開第3435391号明細書)、織機の稼働時の振動に起因して、カメラに対する緯糸打ち込み装置の位置が激しく変化する。それ故に、このようなカメラによって撮影される画像の自動的な画像処理は、一般に著しく長い計算時間を必要とする。何故なら、画像処理の開始に、通常は最初に各画像に対して、空間的な基準が(当該緯糸打ち込み装置に対する当該カメラの空間的な位置の、当該それぞれの振動によって引き起こされた変化を補正するために)決定される必要があり、この基準の決定が、比較的長い計算時間を必要とするからである。
【0030】
さらに、上記カメラ装置が、上記緯糸打ち込み装置と一緒に移動してくれるので、この緯糸打ち込み装置の異なる位置にある複数の画像を1つの緯糸挿入サイクル内に撮影することも可能である。その結果、部分的により大きい空間領域が、(特に、経糸方向に沿って又は経糸の長手方向に沿って)光学式に検査され得る。このことにも、利点がある。何故なら、当該カメラ装置の方向が、移動中に当該複数の糸及び当該織物に対して変化するからである。その結果、例えば異なる欠陥、例えば異なる視点だけから目視可能である異なる欠陥を観察することが可能である。特に、従来では労力を要したときだけ部分的に識別され得る特定の種類の欠陥(例えば、検査が1つの方向だけで実行されるときに、直径の変化が視覚的な検査時に識別不可能であるように、専ら特定のただ1つの方向に形成され得る1つの糸の1つの直径の望まない変化)も、これによって識別され得る。経糸が、織り工程中に振動するときでも、正しく焦点合わせされた少なくとも1つの画像が、1つの緯糸挿入サイクル内に確実に取得され得る。何故なら、当該緯糸打ち込み装置が移動されるときに、当該カメラ装置の視点が連続して変化するからである(この場合、当該カメラ装置に対する、場合によっては当該カメラ装置の投影光学系に対する監視すべき経糸の距離が、当該監視すべき経糸を当該カメラ装置の画像センサ上に映し出すために変化する)。さらに、本発明者は、当該検査品質の驚くほどの大きい改善が、提唱された装置によって実現され得ることを確認した。
【0031】
上記緯糸打ち込み装置は、1つの筬若しくは1つの筬框又は代わりに1つの筬框及び1つの筬を有し得る。この緯糸打ち込み装置が、1つの筬及び1つの筬框を有する場合、この筬は、例えばこの筬框に固定され得る。当該カメラ装置と上記の複数の装置のうちの1つの装置との機械式の結合が、特に、該当する装置に直接に且つ直に機械式に固定することによって実行され得る。当該緯糸打ち込み装置が、少なくとも1つの筬及び/又は1つの筬框を有する場合、この緯糸打ち込み装置は、今日まで公知の緯糸打ち込み装置にかなり似ていて、1つの緯糸を1つの緯糸打ち込み線に打ち込むことを可能にする。この緯糸打ち込み線は、特に、当該筬又は当該筬框の長手方向に対して平行に延在し得る。換言すると、当該筬又は当該筬框は、1つの経糸を1つの緯糸打ち込み線に沿って延在する位置に搬送する。これに対して、ここで提唱されている筬又は上記の筬框は、(それぞれそこに固定されたカメラ装置と一緒に)今日まで公知の1つの筬又は既に公知の1つの筬框に対する代替として(例えば、ほぼ直接の代替品として、すなわち織機に関する、特に織機の機械構造に関するあらゆる適合要件なしに、)比較的容易な方法で使用され得る。
【0032】
上記のバリエーションには、筬框又は筬が織り領域に最も近くにある織機の要素であるという利点がある。この場合、この織り領域は、緯糸打ち込み線の周りと杼口の周りとに存在する。この織り領域は、(経糸と緯糸との間の「織り方」の製作による)織物の製作時の最良の(且つ最後に可能な)介入地点である。当該織機の全ての固定要素が、当該織り領域から比較的離れて遠ざけられていて、カメラ装置が、当該織り領域に近いほど、画像の品質、したがって監視の品質がより良好になる。
【0033】
上記の監視装置のバリエーションでは、(独国特許出願公開第3435391号明細書による従来の技術とは違って)筬の複数の(筬)枠のうちの少なくとも1つの枠が、カメラ装置によって撮影される画像上に出現し得ず、それ故に撮影される画像上でこの筬の1つの筬枠によって遮られ得るものは何もないように、このカメラ装置は配置され得る。
【0034】
複数のカメラ装置が設けられているときに、上記監視装置の可能な別の構成が得られる。これらの複数のカメラ装置は、緯糸打ち込み線に対して平行に延在する長手方向に配置されている。緯糸打ち込み装置が、一般にこの緯糸打ち込み線に対して平行に延在する方向に延在し、これに応じてこの緯糸打ち込み線に対してほぼ平行に延在する長手方向を有する。それ故に、これらのカメラ装置は、好ましくは当該緯糸打ち込み装置の長手方向に沿って一列に配置され得る。したがって、当該長手方向に沿った画像分析が可能である。この場合、これらのカメラ装置の複数の画像領域が、領域ごとに互いに重なり合って構成され得、好ましくは当該緯糸打ち込み装置の少なくとも長手軸方向に重なり合って構成され得る(1つのカメラ装置の用語「画像領域」は、これに関連して1つの画像が、それぞれのカメラ装置によって撮影可能である空間領域と解されなければならない)。特に、これらの2つのカメラ装置の複数の画像領域が重なり合うように、これらのカメラ装置のうちの少なくとも2つのカメラ装置が、並んで配置され得る。特に、直接に並んで配置されている(すなわち、隣接した)それぞれ2つのカメラ装置の複数の画像領域が重なり合い得る。複数のカメラ装置の複数の画像領域が、領域ごとに互いに重なり合っている場合、当該個々のカメラ装置はそれぞれ、例えば、当該複数のカメラ装置の全てのカメラ装置の全体と同じ空間領域のほぼ1つの画像を単独で撮影しなければならない別の(より大きい)1つのカメラ装置よりも簡単に、よりも小さく且つよりもコストをかけずに有益に構成され得、場合によっては(合計しても)より軽い重量を有し得る。これらのカメラ装置の複数の画像領域が、領域ごとに互いに重なり合う場合、例えば織り欠陥が識別されないことを引き起こし得る光学検査の欠落箇所が発生することが有益に回避され得る。当該重なり合い部分は、例えば、並んで配置された2つのカメラ装置の互いに隣接したそれぞれ2つの画像領域のそれぞれの縁部側だけで付与され得る(例えば、1つの縁部側当たりの重なり合い部分は、個々のカメラ装置の画像領域の1つの幅の30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下)。
【0035】
複数のカメラ装置が、緯糸打ち込み装置に固定されている場合には、異なる複数のカメラ装置によって撮影される複数の画像を補正することが有益に可能である。このため、1つ又は複数の基準マークが、各カメラ装置の画像領域内に投影されるように、複数の基準マークを有し、測定スケール上でのこれらの基準マークの位置が正確に既知である当該規格化された1つの測定スケールが、これらのカメラ装置に対して配置され得る。引き続き、当該測定スケールの1つの画像が、それぞれのカメラ装置によって撮影され、当該異なる複数のカメラ装置によって撮影される画像が評価され、特に当該画像上にそれぞれ映し出された基準マークの配列及び/又は大きさに関して評価される。当該画像のこの評価は、各カメラ装置に対して当該測定スケールに対するそのそれぞれの位置を決定すること、さらに当該緯糸打ち込み装置に対する異なる複数のカメラ装置の空間位置を決定することを可能にする。当該補正は、一次元又は二次元で実行され得、例えば当該測定スケールを補正するために使用され得る。当該測定スケール上では、複数の基準マークが、それぞれ前後して一次元で又は二次元で分散して配置されている。隣接した複数のカメラ装置の当該複数の画像領域が重なり合うときに、非常に正確な補正が可能である。この場合には、それぞれ少なくとも1つの基準マークが、隣接したそれぞれ2つのカメラ装置の複数の画像領域の重なり合い部分の領域内に投影されるように、1つの測定スケールを複数の基準マークと一緒に配列することが有益である。その結果、同じ基準マークのそれぞれ1つの画像が、それぞれ2つのカメラ装置によって撮影され得る。したがって、異なる複数のカメラ装置によって撮影される同じ基準マークの複数の画像を評価することによって、隣接したそれぞれ2つのカメラ装置の相対配置が決定され得る。引き続き、この情報は、当該複数のカメラ装置によって撮影された任意の1つの対象物の複数の画像の自動処理時に、これらの画像を評価することによって、これらのカメラ装置に対するこの対象物の位置を正確に決定するために使用され得る。
【0036】
上記の補正後は、上記複数のカメラ装置が、本発明にしたがって緯糸打ち込み装置に不動に固定されているときに、これらのカメラ装置が、通常は1つの織機内に並んでいる複数の経糸の複数の画像を撮影でき、各経糸が、通常は1つの筬の隣接したそれぞれ2つの筬羽によってその空間内に(それぞれ経糸方向に)限定されているので、この筬内に引き通されるそれぞれの経糸の位置を全体の織り工程に対して識別するために、これらのカメラ装置は、もはや空間基準を必要としない。通常は、複数の経糸のそれぞれの経糸ごとの全体の織り工程のための繰り返し模様によって、当該それぞれの経糸が、この筬のどの複数の筬羽間に引き通されるかが確定されるので、当該複数の経糸を割り当てることが可能である。この割り当てでは、複数の画素のうちの少なくとも1つの画素が、監視すべき各経糸に割り当てられる。すなわち、上記の割り当ての実行後には、どの経糸が、当該それぞれの画像のどの画素によって表示され得るかが、当該全織り工程に対して明確である。
【0037】
上記の監視装置の実施の形態をさらに発展させた実施の形態では、複数のカメラ装置のうちの少なくとも2つのカメラ装置と少なくとも1つの照射装置とが、1つのモジュール内に配置されている。この場合、さらに、このモジュールは、当該複数のカメラ装置のうちのこれらの2つのカメラ装置に複数の画像を少なくとも撮影させるために、当該少なくとも2つのカメラ装置を制御するための共通の1つの画像制御装置、及び/又は当該複数のカメラ装置のうちのこれらの2つのカメラ装置によって撮影される複数の画像を処理するために、共通の1つの画像処理装置を少なくとも有する。このモジュールは、経糸打ち込み装置に機械式に結合されていて、特にこの経糸打ち込み装置に固定されている。このため、このモジュール内に含まれている全ての構成要素(少なくとも2つのカメラ装置、場合によっては、共通の1つの画像制御装置、場合によっては、共通の1つの画像処理装置、場合によっては、少なくとも1つの照射装置)を、例えばこの経糸打ち込み装置に機械式に結合されているか又は結合される1つのキャリア構造体上に取り付けることが提唱される。1つの個別モジュールの故障時には、1つの代替品が、そのモジュールの代わりに存在するだけで済み、次いで比較的短い期間中に故障したそのモジュールの代わりの代替品として提供される。このことは、当該織機の停止期間の大幅な短縮を可能にし、これに応じて有益である。さらに、画像処理装置と画像制御装置との数を減少させること、このために1つの画像処理装置と1つの画像制御装置とを、例えば2つから8つのカメラ装置に接続することが有益である。
【0038】
例えば、複数の発光ダイオード(LED)から成る配列を有し得る上記照射装置は、特に、異なる発光色及び/又は広いスペクトル領域を有する光を、織機の振動よりも小さい照射期間で発生させるために構成され得る。この場合、当該少なくとも1つの照射装置は、好ましくは経糸打ち込み装置に機械式に結合されている、特に少なくとも1つのカメラ装置に機械式に結合されている。こうして、特定の1つの検査目的(例えば、特定の織り欠陥の発見)及び/又は当該それぞれのカメラ装置に対して最適化された照射が、簡単に且つエネルギー効率よく実現され得る。さらに、当該照射装置のこのような構成では、緯糸打ち込み装置が移動されるときでも、非常に均一な照射品質が実現され得る。異なる複数のカメラ装置が、この緯糸打ち込み装置に配置されるときに、異なる照射装置ごとに、最適化されたそれぞれ1つの照射が実現され得ることも、有益である。
【0039】
さらに注目すべきは、上記照射装置が、織機の稼働時に(緯糸打ち込み装置が移動され、照射装置が、これに応じて連動されるときに)経糸、緯糸又は織物に対して可動である点である。その結果、当該それぞれの糸又は当該織物が、異なる照射角度を成して照射され得る。好ましくは、様々な欠陥を目視可能にして決定するために適する様々な照射角度が存在する。
【0040】
さらに、上記経糸打ち込み装置において、少なくとも1つの衝撃減衰装置が、カメラ装置と経糸打ち込み装置との間に配置されることが提唱される。特に当該カメラ装置上への(場合によっては、さらに電子画像処理装置等のような追加の構成要素上への)機械負荷が、1つの衝撃減衰装置によって減少され得る。その結果、当該カメラ装置の寿命が、大幅に増大され得る。当該衝撃減衰装置は、例えば(ゴムバッファ構成要素等の種類の)弾性変形可能な構成要素を使用して実現され得る。当該カメラ装置が、1つのキャリア構造体上に配置されている場合、当該衝撃減衰装置は、このキャリア構造体と緯糸打ち込み装置との間か又はこのキャリア構造体と各カメラ装置との間に配置され得る。
【0041】
さらに、1つの調整装置をカメラ装置に対して設けることが提唱される。この調整装置は、織り工程前にこのカメラ装置を緯糸打ち込み装置に対して調整することを可能にする。この場合には、この緯糸打ち込み装置、この打ち込み装置の少なくとも一部(例えば、1つの筬、1つの筬框又はこの緯糸打ち込み装置のその他の構成要素)又は織物に対する当該カメラ装置の位置が、簡単に補正され最適化され得る。ここでは、例えば調整ボルト等が考えられる。
【0042】
さらに、カメラ装置によって撮影される画像を処理するための少なくとも1つの画像処理装置、特に少なくとも1つの画像前処理装置と、当該画像処理装置にデータ接続しているデータ記憶装置とが存在するように、上記監視装置を構成することが提唱される。この場合、当該画像処理装置及び当該記憶装置は、特に緯糸打ち込み装置に機械式に結合されている。当該画像処理装置及び当該記憶装置は、当該カメラ装置と一緒に構成されてもよい。この場合、当該画像処理装置及び当該データ記憶装置は、この緯糸打ち込み装置と一緒に或る程度連動されなければならない。この緯糸打ち込み装置は、稼働状態では規則的に移動されるので、「モバイル式で」(すなわち、例えば、折り畳み可能、圧縮可能等)且つ広帯域の、この緯糸打ち込み装置とその他の装置(すなわち、例えば「残りの織機」、特に織機のハウジング又は保持フレーム)との間のデータ接続が設けられることが最初に必要になる。しかしながら、特に非常に高いデータ伝送速度の場合には、このことは、問題ではない。例えば、高周波のデータ速度の伝送に適する同軸ライン、ガラス繊維ケーブル又はその他のデータラインが存在し得る。特に、当該画像処理装置が、当該カメラ装置によって生成された画像データを処理するように、特に、処理すべきデータ量が減少されるように、及び/又は当該画像データが、アルゴリズムによってすぐに分析されるように、この画像処理装置は構成され得る。撮影される1つの画像を分析するため、当該画像処理装置は、織り欠陥を検出するために、例えば、画像データをデータ記憶装置内に記憶されたデータ又は情報(例えば、製造すべき織物のための繰り返し模様及び/又は織り方の情報を特定するデータ)と比較する。特に、当該画像処理装置によって実行されたこれらの画像分析は、当該緯糸打ち込み装置の長手軸に対してほぼ平行に又は緯糸打ち込み線に対して平行に延在する1つの座標系の1つの軸に対する当該織機の位置に関する情報を決定し得る。この場合、処理速度が、データ量の減少によって向上され得る。その結果、特に、ほぼ「リアルタイムのデータ処理」も可能である。この場合、画像圧縮アルゴリズムは、関連する画像情報の「切り取り」でもよく、又は出力信号だけが依然として交信しなければならない(すなわち、例えば、欠陥の自由度が、許容可能な範囲内に存在するか、又は、欠陥が存在するか、特にどこに欠陥が存在するか交信しなければならない)「完全な画像処理」でもよい。完全を期すため、当該緯糸打ち込み装置と一緒に移送する1つの画像処理装置の場合は、前処理だけが実行され、当該出力信号に対する最終処理は、第2ステップにおいて別の場所(例えば、織機の制御装置内)で実行されることも可能であることに言及しなければならない。当該カメラ装置と一緒に移動され、当該画像処理装置にデータ接続している当該記憶装置が、当該前処理に必要な入力データ及び/又はこの前処理の結果を記憶することによって、この記憶装置は、当該データの前処理を支援する。
【0043】
上記監視装置の別の好適な実施の形態は、無線式にデータ伝送するためのデータ伝送装置を有する。このデータ伝送装置は、例えば、当該カメラ装置によって(生データを)直接に提供されるか又は画像処理装置によって提供可能であるデータ(特に、当該画像処理装置によって生成される処理データ、及び例えば撮影される1つの画像の分析の結果に相当する処理データ)を無線式に伝送するために構成され得る。この場合、必要な「複数のデータ伝送ステーション」のうちの少なくとも1つのデータ伝送ステーションが、好ましくは緯糸打ち込み装置に機械式に結合されていて、それ故にこの緯糸打ち込み装置と一緒に移動する。この無線式のデータ伝送装置には、当該カメラ装置によって提供され得る画像データ又は当該画像データの分析の結果として当該画像データを処理することによって当該画像処理装置から生成されるデータを当該緯糸打ち込み装置から当該緯糸打ち込み装置から遠ざけて(例えば、織機の保持フレーム内に)配置され得るその他の装置(例えば、別の1つの画像処理装置又は1つの制御装置)に送信し、場合によってはデータをこのその他の装置によって受信するというタスクがある。これにより、それぞれの画像処理装置と残りの織機との間のケーブル接続されているデータ伝送の問題が回避される。当該距離及び距離の変化の場合、無線式のデータ伝送は、ほとんど妨害されない。
【0044】
センサ装置によって提供され得る情報を、例えば画像制御装置及び/又は画像処理装置に与えるため、(カメラ装置の光学式の画像センサとは違って)複数の画像のうちの1つの画像を撮影するために直接に使用されず、カメラ装置とは異なる追加の少なくとも1つのセンサ装置が、緯糸打ち込み装置に固定されていて、画像処理装置及び/又は(それぞれのカメラ装置に1つの画像を撮影させるために、1つ又は複数のカメラ装置を制御するための)画像制御装置にデータ接続しているときに、上記監視装置の別の好適な実施の形態が得られる。当該緯糸打ち込み装置の一時的な位置が、これらの情報によって測定されている。当該センサ装置は、位置測定装置及び/又は加速度測定装置及び/又は振動測定装置及び/又は場所測定装置でもよい。この場合、注目すべきは、当該追加のセンサ装置が、(部分的に)光学式の種類でもあることが当然に可能である点である。これにより、当該追加のセンサ装置に固有の構成に関係なく、(特に、織機の稼働中の)移動及び/又は織機内の緯糸打ち込み装置の一時的な位置(移動位置)に関する情報が取得され得る。例えば、位置測定装置によって、緯糸打ち込み装置の位置を測定することができ、したがって、場合によっては、(特に、経糸に対して平行な方向に又は緯糸に対してほぼ直角の方向に)発生するかもしれない1つの織り欠陥の位置も測定できる。また、位置測定が、「代わりの測定方法」によっても達成され得る、例えば、加速度測定装置、衝撃測定装置及び/又は場所測定装置によって達成され得る。すなわち、例えば、緯糸打ち込み装置の移動の両端の位置が、加速度測定装置によって測定され、緯糸打ち込み装置の一時的な位置が、例えば補外法等によって、画像制御装置及び/又は画像処理装置内で少なくとも近似的に算定され得ることが可能である。これによって達成可能な精度は、多くの場合に十分であると実証されている。
【0045】
したがって、複数の画像の撮影及び/又は当該撮影されるそれぞれの画像のさらなる処理を、緯糸打ち込み線に対する緯糸打ち込み装置の一時的な位置に応じて制御するためには、上記の画像制御装置又は画像処理装置は、この緯糸打ち込み装置の一時的な位置に関して、織機又はこの織機の制御装置に起因する情報を必要としない。
【0046】
監視装置の別の好適な実施の形態では、同期化装置が設けられている。この同期化装置は、カメラ装置を緯糸打ち込み装置の特定の1つの移動位置に応じて制御するように、このカメラ装置をこの緯糸打ち込み装置の一時的な位置に同期させるために構成されている。この同期化装置は、このカメラ装置の少なくとも1つの稼動工程、例えば1つの画像の撮影、特にそれぞれの画像が撮影されなければならない1つの時点を、この緯糸打ち込み装置の移動に合わせること、及び、この少なくとも1つの稼動工程をこの緯糸打ち込み装置の移動位置に応じて制御することを可能にする。したがって、それぞれの画像を、この緯糸打ち込み装置の予め設定されている異なる複数の位置で撮影すること、及び当該画像が撮影される位置に応じて分析することが可能である。
【0047】
さらに、それぞれのカメラ装置の全ての画像領域の全体が、1つの織機の1つの領域にわたって延在するように、監視装置を構成することが提唱される。この織機内に存在する主にそれぞれの経糸が、当該複数のカメラ装置のうちの1つのカメラ装置の少なくとも1つの画像領域を通過して延在するように、この織機のこの領域は寸法決めされている。したがって、この監視装置のこの実施の形態の場合には、主に複数の経糸の各経糸が(織物の縁部を形成する複数の経糸も)、少なくとも1つのカメラ装置の少なくとも1つの画像上に映し出され得、したがってこの監視装置によって監視され得る。したがって、この場合には、複数の経糸又は織物が、この監視装置によって監視され得る空間領域(以下、「監視装置の監視領域」と記す)が、当該複数の経糸の全幅(経糸幅)又は織物の全幅にほぼわたって延在する。このカメラ装置の画像領域が、これに応じて大きく、経糸の全幅又は織物の全幅にほぼわたって延在する場合、このような監視装置は、場合によってはただ1つのカメラ装置によっても実現され得る。上記の実施の形態は、例えば緯糸打ち込み装置が1つの長手区間を有することによって実現され得る。複数の通路が、この緯糸打ち込み装置の長手方向に並んで一列に配置されているように、複数の経糸用の複数の通路が、この長手区間に形成されている。この場合、当該複数のカメラ装置の全ての画像領域の全体が、この緯糸打ち込み装置の長手方向に対して平行(又は緯糸打ち込み線に対して平行)の方向に1つの距離にわたって延在するように、これらのカメラ装置は、並んで配置されている。この距離は、この緯糸打ち込み装置の、複数の通路が形成されている長手区間の長さよりも大きいか又は等しい。
【0048】
上記の監視装置の監視領域が、緯糸打ち込み装置の、複数の経糸用の複数の通路が形成されている上記長手区間に(ほぼ)わたって延在する場合、「盲点」が、当該監視時に回避され得る。換言すれば、織り欠陥が発見されないことが、高い確率で回避され得る。このことは、一般には非常に経済的であることが実証されている。
【0049】
1つのバリエーションでは、1つのカメラ装置の配置が、全ての経糸又は織物の全体の1つの側面領域(経糸幅)内に配置されていると、有益であることが実証されている。この場合、「側面領域」は、特に織物の縁部と解され得る。
【0050】
さらに、上記のカメラ装置が、1つの筬の1つの枠に機械式に結合されているように、監視装置を構成することが提唱される。当該カメラ装置が、空間領域(杼口開口領域)の外側に、常に存在するように、すなわち「杼口開口領域」の外側に存在するように、この監視装置は配置されている。複数の経糸が、織り工程中に1つの杼口の開口又は閉鎖時にこの空間領域を通過して移動され得る。例えば、1つのカメラ装置が、1つの上(第1)枠若しくは下(第2)枠上に又はこの筬の双方の枠上に位置決めされ得る。例えば照明又は支持構造体のような、緯糸打ち込み装置に固定されている複数のカメラ装置及び少なくとも1つの構成要素が、織り工程中に織機の筬の各位置でこの杼口開口領域の外側に存在し続ける。当該複数のカメラ装置及び少なくとも1つの構成要素は、複数の筬羽(筬の歯)間の複数の経糸の複数の通路の外側に存在し続ける。重利の筬羽のばあには、これらの筬羽は、一列に並んで配置されていて、この筬の上(第1)枠と下(第2)枠との間に延在する。この筬が、複数の経糸用の複数の通路を有し、これらの通路がそれぞれ、この筬の1つの第1枠とこの筬の第2枠との間に延在し、このカメラ装置が、何れの通路も完全に又は部分的に遮断又は制限しないように、このカメラ装置が、この第1枠又は第2枠に配置されている場合に、適切な利点が得られる。
【0051】
さらに、上記にしたがって少なくとも1つの緯糸打ち込み装置を有する織機を構成することが提唱される。
【0052】
特に、織機が、少なくとも1つの制御装置を有するように、この織機をさらに構成することが可能である。この場合、この制御装置は、この織機の少なくとも1つの構成要素を制御するために構成されている。この織機のこのような構成要素は、特に、少なくとも1つの緯糸打ち込み装置及び/又は少なくとも1つの緯糸引き通し装置及び/又は少なくとも1つの緯糸供給装置及び/又は少なくとも1つの杼口形成装置及び/又は少なくとも1つの経糸搬送装置及び/又は少なくとも1つの織物搬送装置でもよい。これらの装置の移動が、この制御装置によって制御される。この制御装置は、データをカメラ装置から直接又は間接に受け取る。用語「間接」は、この関係においては、この制御装置が、対応する前処理装置又は処理装置によるデータの前処理又は処理の結果として、このカメラ装置によって最初に提供されたデータに起因するデータを受け取ることを意味する。この織機のこのような構成では、このカメラ装置を使用して(場合によっては、上記の種類の追加のセンサ装置のような、その他のセンサ装置も使用して)得られるデータが、直接に使用され得、場合によっては使用者の介入なしでも使用され得ることが可能である。例えば、このような種類の装置は、「緊急停止装置」であることが可能である。したがって、特に、特定の欠陥の発生時に、又は、特定の欠陥許容範囲を超える場合に、さらなる織り工程が、即座に停止される。このような場合には、この織機の操作者が、適切な措置を講じ、引き続き当該織り工程を(自動的に)継続し得る。しかし、「修正」措置が講じられること、すなわち発生した欠陥が減少されるように、特に「ゼロに戻される」ように、機械制御が適合されることが同様に可能である。このことは、特に、特定の欠陥許容範囲からまだ外れていないときに、意義がある。この織機のこのような構成では、多くの場合に、機械の不必要な停止期間が回避され得る。このことは、当該装置の経済性に多大に貢献し得る。
【0053】
さらに、織機が、少なくとも1つの欠陥表示装置、特に少なくとも1つの光学式欠陥表示装置を有するように、この織機を構成することが提唱される。当該表示装置は、欠陥が存在するか否かを「二者択一で」表示する装置だけなくてもよい。当該欠陥表示装置は、どこに欠陥が発生しているかを少なくとも大まかに表示することが好ましい。ここでは、当該表示は、例えばスクリーン上の、欠陥の位置を示す記号画像でもよい。例えば一種の発光表示装置が、杼口領域の上に直接に固定されていることも可能である。1つの光点、1つの光領域、1つの矢印又はその他の適切な1つの記号が、1つの欠陥の場所を示すように、当該発光表示装置は、1つの欠陥の発生後に制御される。当該場所は、或る種の領域(例えば、正確に5本又は10本の経糸から成る1つの領域に対する表示)でもよい。しかし、「複数の経糸に対する正確な」表示が実行されるように、当該制御が実行されることも同様に可能である。これに加えて又はこの代わりに、表示が、専ら緯糸打ち込み線の幅に沿って又は緯糸打ち込み線の方向に実行され得るのではなくて、経糸に沿っても実行され得る。当該欠陥表示装置が、例えば専ら適切に制御される(照射装置等の一部だけが起動される)、有益に提供され得る照射装置であることが可能である。当該欠陥表示装置は、(カメラ装置の周囲を照射するために)カメラ装置によって画像を撮影するためにも利用される、既に上述した照射装置でもよい。それ故に、当該欠陥表示装置を(織機のその他構成要素なしに又は織機自体なしに)専ら緯糸打ち込み装置に関連させて使用することも可能である。
【0054】
さらに、1つのカメラ装置によって織機の複数の少なくとも経糸を(光学式に)監視するための方法が提唱される。この場合、織機が、可動な1つの緯糸打ち込み装置を有する。この緯糸打ち込み装置は、織り工程中に、戻り位置から打ち込み位置への移動時に、1つの緯糸を、この緯糸打ち込み装置の1つの長手方向に対してほぼ平行に延在する位置に(例えば、1つの「緯糸打ち込み線」に沿って延在する位置に)搬送する。この場合、このカメラ装置が、この織機の1つの緯糸打ち込み装置の移動時に、この緯糸打ち込み装置と一緒に連動され、このカメラ装置が、織り工程中に、この緯糸打ち込み装置の特定の少なくとも1つの位置で、1つの画像を撮影する。
【0055】
1つの同期化装置が、緯糸打ち込み装置の特定の1つの位置に応じて、カメラ装置によって複数の画像の照射及び撮影を制御するためと、タイムスタンプ(例えば、当該画像の撮影のそれぞれの時点を含むデジタル署名)を撮影される各画像に提供するためとに使用される。このため、この同期化装置は、織り柄の実際の位置に関する情報、及び各緯糸挿入サイクルごとに撮影すべき各画像に対して望ましい筬位置のような入力データ、並びにこの緯糸打ち込み装置の一時的な位置に関する情報を、場合によっては、緯糸打ち込み装置とそれぞれのカメラ装置との正確な位置又は移動に関する情報を提供するセンサ装置(例えば、緯糸打ち込み装置の加速度を測定するための加速度計)から必要とする。
【0056】
この場合、本発明の方法は、少なくとも類推において、既に上述した本発明の監視装置と同じ特性及び利点を有し得る。特に、1つの画像が、織り工程中に緯糸打ち込み装置の特定の1つの位置で撮影されるときに、織機の特定の1つの空間領域を監視することが可能である。この織機のカメラ装置と緯糸打ち込み装置との同様な移動が、特に、このカメラ装置とこの緯糸打ち込み装置(筬又は筬框)との間の機械式の結合によって実行され得る。
【0057】
上記の緯糸打ち込み装置は、織機の稼働中に通常は2つの位置間である(「戻り位置」とも記される)第1位置と(「打ち込み位置」とも記される)第2位置との間で往復移動される。この場合、この緯糸打ち込み装置は、開かれた杼口内に挿入される1つの緯糸を緯糸打ち込み線へ搬送するためにこの打ち込み位置に移行され、引き続きこの緯糸打ち込み装置は、この戻り位置に戻される。同期化装置によって制御されて、カメラ装置が、特に以下のように複数の画像を1つの緯糸サイクル内に撮影する。
・緯糸打ち込み装置が、戻り位置にあるときに、少なくとも1つの画像が撮影される。この場、杼口が、このときに開かれていて、カメラ装置の最も近くにある複数の経糸(すなわち、このカメラ装置が、これらの経糸の上方に配置されているときの上の複数の経糸)及び、例えば複数の筬羽が、撮影される画像の中央に出現する。
・緯糸打ち込み装置が、打ち込み位置の領域内にあるときに、少なくとも1つの画像が撮影される。この場合、撮影される画像が、既に製造された織物を(最後に打ち込まれる緯糸及び最後に挿入される緯糸と一緒に)表示する。
・緯糸打ち込み装置が、戻り位置と打ち込み位置との間又は打ち込み位置と戻り位置との間の1つ又は複数の中間位置に移行されているときに、1つ又は複数の追加の画像が撮影される。この場合、一般に、杼口が、完全に開かれているときに(緯糸打ち込み装置が、戻り位置にあるときは、杼口は、場合によっては開かれ得ず又は完全に開かれ得ない)、 緯糸が、通常通りに挿入されている後に又は挿入されなければならないときに、及び、杼口が、閉じるときに、したがって変化するときに、これらの追加の画像が撮影される。通常は、杼口の複数の経糸又は挿入された緯糸が、これらの追加の画像上に出現する。これらの経糸は、緯糸打ち込み装置が戻り位置に存在するときは監視されない。特に、カメラ装置によって監視するために、特定の糸が、適切な位置に存在し得るように、このカメラ装置と当該複数の経糸との間の距離又はこのカメラ装置とこの緯糸との間の距離が、この緯糸打ち込み装置のこれらの中間位置で変化する。
【0058】
上記のカメラ装置は、織り工程中に緯糸打ち込み装置の特定の位置の少なくとも1つの画像を撮影する。
【0059】
複数の画像の撮影又は複数の画像データの取得が、上記の織り工程中に緯糸打ち込み装置の異なる特定の少なくとも2つの移動位置で(例えば、緯糸打ち込み装置の移動位置が、当該移動の2つの端部位置にあるか又はその近くにあるときごとに)実行されることが、多くの場合に良好であることが実証されている。すなわち、データの記録を、特定の複数の位置で、特に好ましくはより長い領域にわたって連続して、特に好ましくはほぼ全体の移動領域にわたって連続して実行することが可能である。こうして、欠陥の識別が、経糸方向に沿って延在する領域にわたって実行し得る。これにより、欠陥の未発見の発生が、さらに減少され得る。このことは、有益である。
【0060】
カメラ装置と緯糸打ち込み装置との少なくともほぼ同様な移動が、このカメラ装置と緯糸打ち込み装置(筬/筬框)との機械式の結合によって実行されるように、特に、緯糸打ち込み装置及び/又は織物が、上記の説明にしたがって使用されるように、上記の方法が実行されることも可能である。特にこのような場合には、既に説明されている利点及び特性が、少なくとも同様に得られる。特に、上記の説明の意味における少なくとも同様な改良も可能である。
【0061】
1つの画像のデータ取得又は撮影が、少なくとも緯糸打ち込み装置の打ち込み位置の領域内で(例えば、打ち込み位置で又は打ち込み位置の近くで)実行されるように、上記の方法が実行されることが有益である。この場合、当該領域は、この緯糸打ち込み装置の移動時のただ1つの「地点」だけでなくてもよい。特に、それぞれ1つのデータ取得が、この緯糸打ち込み装置の打ち込み位置の領域内の複数の位置で実行されることも有益であり得る。当該打ち込み地点の領域内では、カメラ装置が、織物の一番近くにある。このことは、この織物上の欠陥又はこの織物内の欠陥を検出するために有益である。このカメラ装置は、この緯糸打ち込み装置と一緒に移動するので、この緯糸打ち込み装置が、その打ち込み位置の近くに存在するときに、この緯糸打ち込み装置は、このカメラ装置の画像領域の外側にあり、撮影される複数の画像を決して遮らない。
【0062】
監視された複数の経糸のうちの1つの経糸に対する欠陥を検出するため、及び、緯糸打ち込み装置の長手方向に対して少なくとも部分的に平行に(緯糸打ち込み装置の1つの緯糸打ち込み線に対して平行に)沿って当該欠陥の位置をつきとめるため、撮影される1つの画像の画像処理が実行されるように、上記の方法が実行されることも可能である。
【0063】
特に、上記の欠陥の位置(特に、緯糸打ち込み装置の1つの緯糸打ち込み線に対して少なくとも部分的に延在する方向に沿った空間位置)が追加で識別される場合、当該欠陥の修正が、機械の使用者側の修正介入によって非常に迅速に実行され得る。
【0064】
特に、カメラ装置の画像領域の部分領域が、織物の領域及び/又は監視すべき複数の経糸の1つの経糸に関連付けられることが可能である。例えば、このカメラ装置が、各画像を並んで配置された複数の画素として撮影すること、織り工程前にこれらの画素のうちの、監視すべき経糸が織り工程中に存在し得る空間領域又は画像領域の一部に相当する少なくとも1つの画素が、監視すべき各経糸に割り当てられることが提唱され得る。換言すれば、当該複数の経糸の割り当てが、この織り工程に対して(例えば、織り工程の開始時に)一回実行される。当該割り当てでは、これらの画素のうちの少なくとも1つの画素が、監視すべき各経糸に割り当てられる。当該割り当ては、織物の全体に対して成立する。何故なら、この織物は、繰り返し模様によって決まるからである。
【0065】
供給された光学データ(画像データ)は、上記の割り当てによって非常に迅速に処理され得る。何故なら、撮影される複数の画像の画像分析又は(説明したような)対応する画像データの分析を実行するために、空間基準が、もはや決定される必要がないからである。特に、これにより、場合によっては発生し得る欠陥の比較的簡単で及び/又は正確な位置決めが支援されることも可能である(特に、緯糸打ち込み線に対して平行に延在する1つの座標軸に対して、欠陥の位置の正確なつきとめが実行され得る)。
【0066】
特に、撮影される1つの画像の画像処理が、1つの織り欠陥を検出するときに、機器、好ましくは照射装置が、画像処理装置によってつきとめられる欠陥を含む経糸の位置を目視可能に表示するために制御されることが可能である。(緯糸打ち込み線に対してほぼ平行に延在する1つの座標軸に対する)当該織り欠陥の位置を表示するため、当該機器は、緯糸打ち込み装置上に配置され得る。
【0067】
特に、「セグメント化」が実行されること、すなわち上記の1つの画像が撮影される緯糸打ち込み装置の各移動位置内で、カメラ装置の画像領域が、2つのセグメントに分割されることが可能である。このとき、このカメラ装置の画像領域のこれらのセグメントのうちの1つのセグメントだけが、詳しく分析される。すなわち、画像処理によって取得されなければならない情報を含み得る、当該画像領域から予測できるセグメントだけが、詳しく分析される。したがって、このセグメント化は、評価すべきデータの特定の減少を可能にする。これに関連して、当該セグメント化を、この緯糸打ち込み装置の、画像が撮影されるそれぞれの移動位置に応じて変更することが有益である。すなわち、この緯糸打ち込み装置の異なる移動位置に対して、当該画像領域の異なるそれぞれのセグメントが詳しく分析される。このことは、データ削減の最適化に関して有益である。何故なら、この緯糸打ち込み装置の異なる移動位置で、このカメラ装置に対して異なる位置に予測できるように存在する異なる複数の対象物のそれぞれの画像が、このカメラ装置によって撮影されるからである。したがって、この緯糸打ち込み装置の移動位置に応じた当該セグメント化のこの変更によって、非常に効率的なデータ削減が達成され得る、すなわち非常に迅速な画像データ処理が可能になる。
【0068】
特に、上記の方法は、経糸の欠陥に関する監視に加えて、緯糸の欠陥及び織物の欠陥に関する監視も可能にすることが可能である。これらの欠陥は、経糸の(色、密度等に関する)正しくない型式、経糸の正しくない配列、切断による経糸の不在、引き通しの問題(例えば経糸に対する正しくない色)又は経糸に対する張りの問題、緯糸の不在又は緯糸の欠陥を含む引き通し、緯糸の(色、密度等に関する)正しくない型式、経糸の杼口の形成による問題(正しくない杼口角度、正しくない織り方等)、筬羽に対する欠陥(破損、歪み等)、打ち込み線の位置のずれ、織物内の不規則な若しくは正しくない緯糸密度、織物の表面内若しくは表面上の毛羽若しくは汚れのような、一般に発生する織り欠陥である。これらの欠陥が識別される場合、問題のない製品が、それぞれの時点に対して製造されることが、高い信頼性で推測され得る。当該欠陥の認識が、提唱されている緯糸打ち込み装置と提唱されている方法との特徴に起因して、一般に非常に迅速に実行されるので、その次の緯糸が挿入される前に、結果を1つの経糸挿入サイクル内に入手し、アクションを起こすことが可能である。上記の織り欠陥は(及び場合によっては、追加の織り欠陥も)、特に従来の技術で既知の装置及び方法によって識別され得る。特に、織機やその他の技術の応用分野に対して公知であり、場合によっては、さらに改良される画像認識方法又は画像認識装置が、当該装置及び方法に適する。
【0069】
以下に、本発明のさらなる詳細、特に提唱されている装置及び提唱されている方法の例示的な実施の形態を、添付された図面に基づいて説明する。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1には、緯糸打ち込み装置1と組み合わせた織機2用の監視装置100の第1の実施の形態が、概略的な断面図で示されている。織機2は、専ら概略的に示されている。この図では、杼口3が、複数の経糸4から形成される領域上に、特定値が設定されている。この提案によれば、緯糸打ち込み装置1が、織るべき経糸4及び緯糸5又は既に織られた織物7を光学式に検査するためにカメラ設備6をさらに有する。これに関しては、以下でさらに詳しく説明する。
【0072】
これに関連して、
図1〜3に示された座標軸X、Y及びZを有する座標系に関しては、緯糸5の方向(緯糸方向)が、座標軸Zに沿って延在する一方で、織物7は、座標軸X及びYによって形成された平面に対して平行に配置されている平面内に配置されているとみなされる。
【0073】
カメラ設備6は、画像を撮影するために構成されている1つ又は複数のカメラ装置20を有し得る。この例では、このカメラ設備は、複数のカメラ装置20を有する。緯糸打ち込み装置1に対するこれらのカメラ装置20の配置は、以下で詳しく説明される。注目すべきは、緯糸打ち込み装置1が、織機2の運転中に織機2内に挿入されていて、このときに織機2の構成要素として使用される点である。別な方法では、例えば織り工程の準備のために、織機2から離れた場所で、経糸4を、緯糸打ち込み装置1内に形成された経糸4用の異なる複数の通過口内に通し得るようにするため、緯糸打ち込み装置1又は緯糸打ち込み装置1の少なくとも1つの部品又は複数の部品(例えば、以下でさらに詳しく説明される筬17)が、織機2からも遠ざけられることが提唱されている。
【0074】
上記の例では、監視装置100が、緯糸打ち込み装置1と組み合わされているカメラ設備6を有し、1つのユニットを構成する。このユニットは、織機2から完全に独立して使用され得、例えば搬送され得、−必要に応じて−織機2内に取り付けられ得るか又は織機2から遠ざけられ得る。
【0075】
織機2は、織機の基本的に公知の構造を有する。
【0076】
独立した複数の経糸4が、整経ビーム8と千巻9との間に張架されている。独立したこれらの経糸4は、緯糸挿入サイクルごとに2つのグループ4a、4bに分離する。通常は、独立したこれらの経糸4は、織物7の横方向に沿って(
図1では、Y方向に沿って)交互に、経糸の第1グループ4a又は経糸の第2グループに属する。それぞれ1つの杼口3が、開口装置11を用いて、場合によっては(織機2が、ジャカード開口装置でないときは)綜絖枠を用いて複数の綜絖10を適切に制御することによって形成されるように、独立した各経糸4がそれぞれ、1つの綜絖10に通されている。
【0077】
上記の例では、通常は、−開いている杼口が形成されていない場合には−各経糸4が、座標軸Xに対してほぼ平行に延在するように、経糸4は配置されている。
【0078】
一般には、経糸の第1グループ4aが上方に存在し、経糸の第2グループ4bが下方に存在するように、杼口が、第1ステップで形成されるように、綜絖10が、当該糸の織り柄にしたがって制御される。引き続き、緯糸5が、(例えば、杼を通すことによって又はグリッパ装置若しくはエアーを用いて)開いている杼口3に挿入される。引き続き、新たに挿入された緯糸5は、緯糸打ち込み装置1によって経糸4に対して直角に延在する緯糸打ち込み線12に沿って既に織られた織物7に対して打ち込まれる。その後に、綜絖10に対する相対位置が変更される。その結果、経糸の別の第1グループ4aが、下方に存在し、これとは反対に、経糸の別の第2グループ4bが、上方に存在する(図示せず)。その後に、緯糸5が、杼口3内に挿入され、緯糸打ち込み装置1によって打ち込まれ、以下同様に繰り返される。
【0079】
図1では、緯糸打ち込み装置1は、基本的に2つの主要部品を有する。これらの主要部品のうちの1つは、筬框13である。筬框軸14に旋回可能に軸支されている。さらに、緯糸打ち込み装置1は、筬17を有する。
【0080】
筬17は、細長い構造を成す。この細長い構造は、この例では長手軸LA1を有する。長手軸LA1は、緯糸打ち込み線12に対してほぼ平行に(すなわち、
図1の紙面に対して直角に)延在する。この例では、筬框13も、細長い構造を成す。筬框13は、緯糸打ち込み線12に対して同様にほぼ平行に延在する長手軸LA2を有する。
【0081】
注目すべきは、本発明の意味における「緯糸打ち込み装置」が、−
図1による緯糸打ち込み装置1−に限らずに、(筬17のような)筬と(筬框13のような)筬框との双方を有する必要がある点である。本発明の意味では、例えば、筬若しくは筬框又は筬框及び筬も、「緯糸打ち込み装置」とみなされる。この場合、この最後の事例では、筬が、筬框に固定されている。本発明の意味における「緯糸打ち込み装置」は、少なくとも通常は、1つの長手軸を有する細長い構造として構成され得る。この長手軸は、(長手軸LA1及びLA2のように)緯糸打ち込み線12に対してほぼ平行に延在する。
【0082】
緯糸挿入サイクルごとに、筬框13が、(ここでは、図示されていない)アクチュエータによって、第1位置15(
図1では、実線で示されている緯糸打ち込み装置の左側の位置)と第2位置16(
図1では、破線で示されている右側の位置)との間で移動され、第1位置15に戻る。緯糸打ち込み装置1が、(これに関連して「戻り位置」とも記される)第1位置15に存在する場合は、緯糸5が、開いている杼口内に容易に挿入され得る。これに対して、(これに関連して「打ち込み位置」とも記される)第2位置16では、筬17が、緯糸打ち込み線12を成す「打ち込み部上に」存在する。したがって、挿入された緯糸5が、既に形成された織物7に対して打ち込まれる。
【0083】
図1〜3に示されているように、筬17は、櫛状に構成されていて、複数のいわゆる筬羽18を有する。これらの筬羽18は、筬17の第1(上)枠24aと筬17の第2(下)枠24bとの間に延在する。この場合、これらの筬羽18の端部がそれぞれ、接着剤によって枠24a又は枠24bに固定されている(
図2及び3だけに示されている)。この場合、第1枠24aと第2枠24bと末端の筬羽24cとが、一緒に安定なフレームを形成するように、第1枠24aと第2枠24bとが、第1枠24aのそれぞれ1つの端部を第2端部24bの1つの端部に結合する末端の2つの筬羽24cによって一体的に保持されている。
【0084】
図3から分かるように、複数の筬羽18がそれぞれ、(
図3に示された座標軸Yの方向に)互いに平行に延在し、複数の経糸4用のそれぞれ1つの通路18aが、隣接したそれぞれ2つの筬羽18間に配置されているように、これらの筬羽18は、筬17の長手軸LA1の方向に一列に連続して配置されている。この場合、それぞれの通路18aは、第1枠24aと第2枠24bとの間に延在し、(特に、
図3に示された紙面に直角の方向に)少なくとも1つの経糸4に対してそれぞれ通過可能である。複数の経糸4が、長手軸LA1の方向に対して直角に規則的に、経糸の繰り返し模様にしたがって、個々の筬羽18間の通路18aを通過される(筬17の構造が、特に
図3に良好に見て取れる)。
【0085】
筬17は、適切なホルダ19を介して筬框13に結合されている(ホルダ19は、筬框13の一部として構成されている)。
【0086】
この例では、カメラ設備6は、(
図1では、紙面に対して直角に延在する方向に沿って)一列に連続して配置されている複数のカメラ装置20を有する(したがって、
図1による図面では、前面に示された1つのカメラ装置20が、このカメラ装置20の背後に配置されたそれぞれ全てのカメラ装置20を覆い隠し、
図1ではこれらのカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20だけが識別可能である)。カメラ設備6(又はカメラ設備6に属するそれぞれのカメラ装置20)は、キャリア20を介して筬17に結合されていて、特に筬17に固定されている。図示されたこの実施の形態では、キャリア21は、カメラ設備6の一部であり、織り工程中に筬17及び筬框13と一緒に可動である。
【0087】
図1に示されているように、カメラ装置20は、筬17の片側に配置されている、この例では、筬17の、緯糸打ち込み線12に面している側か又は筬17の「打ち込み線」が存在する側(すなわち、緯糸打ち込み装置1が、打ち込み位置16に到達するときに、筬17が、緯糸打ち込み線12上に当たるこの筬17の領域)に配置されている。すなわち、筬17が、(空気噴射織機で使用するための)空気噴射織機用筬として構成されている場合には、(空気流によって緯糸打ち込み線12に対して平行に緯糸5を搬送するための空気の通路を形成するため、)カメラ装置20は、筬17の筬羽が特に特定の構造を有し得る、筬17の側に配置されている。
【0088】
各カメラ装置20は、カメラ装置20のいわゆる画像領域内(すなわち、カメラ装置20によって撮影される画像上に表示可能である空間領域内)に存在する任意の対象物の画像を撮影するために構成されている。各カメラ装置20は、画像をデジタル表示で撮影するように構成されている。このデジタル表示は、複数の画素(ピクセル)を有する。これらの画素(ピクセル)は、一次元に(例えば、一行又は一列で直線状に連続して)又は二次元に(二次元で、すなわち複数の行及び複数の列で直線状に連続して)配置され得る。この場合、通常は、1つの画像の撮影時に取得された1つ又は複数のパラメータが、各ピクセルに割り当てられている。当該パラメータは、それぞれの画素に割り当てられた画像情報(例えば、輝度若しくは光強度又は色情報に関する情報)を有する。1つの画像の撮影時に取得された、それぞれの画素に割り当てられたこれらのパラメータの全体が、複数の画像データを構成する。これらの画像データは、撮影された1つの画像を分析するために利用され得る。
【0089】
この例では、各カメラ装置20が、複数の行と複数の列とを有する複数のピクセルの二次元配列で表示される複数の画像を撮影するために適していることが前提である。複数のピクセルがそれぞれ、一列に連続して筬17の長手方向に配置され得る。
【0090】
図1及び3には、示されたそれぞれのカメラ装置20の画像領域22が概略的に示されている(この例では、それぞれの画像領域22が、ほぼ円錐の形を成し、
図1及び3では複数の線で示されている。これらの線は、
図1又は
図3の紙面上への対応する円錐の投影を示す)。
図1及び3に示されているように、複数のカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20によって撮影される1つの画像が、通常は複数の糸の一部を表示し得るように、例えば、複数の経糸4の一部、又は1つの緯糸5の一部を伴うか又は複数の経糸4若しくは緯糸5から成る織物7の一部を伴う複数の経糸4の一部を表示し得るように、これらのカメラ装置20の複数の画像領域22が配列されている。
【0091】
図1に示されているように、複数の筬羽18の少なくとも一部が、複数のカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20の画像領域22の少なくとも一部内に存在する。特に、筬17の各筬羽18が、カメラ設備6の複数のカメラ装置20の1つのカメラ装置20の少なくとも1つの画像領域22内に存在する。
図1に示されているように、1つのカメラ装置20の画像領域22が、(
図1の画像面上への投影中に)それぞれ複数の筬羽18に沿ってカメラ装置20から経糸4若しくは緯糸5又は織物7まで延在する。
図1から良好に読み取れるように、カメラ設備6が、このカメラ設備6と筬17との間の機械式の結合に起因して、筬框13及び筬17と一緒に移動する(これらは、共通のユニットとして緯糸打ち込み装置1を構成する)。この理由から、それぞれの画像領域22も移動する。杼口形成領域のより広い範囲と、既に完成された織物7の特定の部分領域とが、カメラ設備6によって経糸方向に走査され得、当該杼口形成領域と当該織物との上記の範囲の複数の画像が、カメラ設備6の複数のカメラ装置20によって撮影され得る。確かに、全体に及ぶ領域が、任意の1つの時点に対してカメラ設備6によって同時に撮影されることは不可能である。しかしながら、織機2の全ての領域が、第1位置15(戻り位置)と第2位置16(打ち込み位置)との間か又は第2位置16と第1位置15との間の移動後に走査されている。当該全ての領域(「監視領域」)は、カメラ設備6によって光学式に検査される、(すなわち、当該筬框の「半移動周期」後ごとに)これに応じてこのカメラ設備6によって監視され得る。「撮影時間」が、(例えば、追加の位置センサによって又は筬框13を移動させるアクチュエータの制御によって検出可能である)筬框13の位置と相関される場合、当該経糸方向に対して平行に延在する座標軸に関する場所情報も、各撮影画像に割り当てることが可能である。その結果、経糸4のどの長手部分が、それぞれの画像上に表示されているかが、常に高い精度で確認可能である。
【0092】
特に
図1に示されているように、(緯糸打ち込み装置1の一時的な位置に関係なく)筬羽18の少なくとも一部が、複数のカメラ装置20によって撮影される全ての画像上に出現するように、カメラ設備6が、筬17に取り付けられている。これに対して、緯糸打ち込み装置1が、打ち込み位置16又は打ち込み位置16の少なくとも近くに(例えば、戻り位置から打ち込み位置までの筬框13の移動のこの打ち込み位置の20%に又は打ち込み位置から戻り位置までの筬框13の移動のこの打ち込み位置の20%に)存在する場合は、打ち込み線12に沿って延在する織物7のそれぞれ1つの一部が、当該撮影される画像上に出現する。この場合、特に、打ち込み線12によって限定された当該織物の一部の縁部が、当該画像上に出現する。
【0093】
図1に関連してさらに注目すべきは、織機2が、少なくとも2つの幅保持要素7aを有する点である。これらの幅保持要素7aは、織物7の(1つの緯糸5の長手方向に対して)対向するそれぞれの縁部の緯糸打ち込み線12の近くに配置されていて、当該織物の幅が、−緯糸5の長手方向に対して−特定の許容誤差内で予め設定されている値を有するように、これらの幅保持要素7aは、織物7の対向するこれらの縁部で織物7に作用するという機能を有する(
図1では、これらの幅保持要素7aのうちの1つの幅保持要素7aだけが示されている。この場合、その他の幅保持要素は、
図1による構成では目視不可能である)。
図1に示されているように、緯糸打ち込み装置1が、第2位置16(打ち込み位置)又は打ち込み位置16の少なくとも近くに存在するときに、示された幅保持要素7aは、カメラ設備6の複数のカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20の画像領域22内に少なくとも存在する。したがって、幅保持要素7aのうちの1つの幅保持要素7aの画像と、この幅保持要素7aの周囲内の織物7の一部の画像とが、複数のカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20によって少なくとも撮影され得る。その結果、幅保持要素7aの機能の監視も可能である。
【0094】
図2には、監視装置100の一部が、拡大されてより詳しく概略断面図で示されている。その結果、カメラ設備6の詳細、特に個々のカメラ装置20の詳細も、より明確に認識可能である。
【0095】
カメラ設備6のキャリア21は、ほぼU字状の断面形状23として形成されている。断面形状23は、筬17の第1(上)枠24aを把持する。キャリア21と枠24aとに規則的に配置された複数の連結ボルト25が、当該螺圧連結のために使用される。これらの連結ボルト25は、キャリア21の断面形状23の領域内のそれぞれ1つの貫通孔26を貫通し、筬17の第1(上)枠24a内の、ねじ溝を有する止り孔27内に螺合する。連結ボルト25に対向する第1枠24aの側面上には、さらに、衝撃減衰装置28が、第1枠24aとキャリア21又はカメラ装置20の断面形状23の該当する領域との間に形成されている。この例では、衝撃減衰装置28は、ゴムシート28aを有する。ゴムシート28aは、筬17の第1枠24aと断面形状23との間に嵌入されていて、衝撃吸収と振動吸収とに使用される。緯糸打ち込み装置1の移動時には、振動がその都度発生する。2つの最終位置15,16のうちの1つの最終位置(特に第2位置16、この第2位置では、筬17が、緯糸打ち込み装置12に対して打ち込まれる)への到達時には、特定の衝撃が発生する。ゴムシート28aは、この振動及びこの衝撃を減衰させる。その結果、カメラ設備6又はカメラ装置20の耐用期間が、著しく長くなる。キャリア21と筬17との間の機械式の連結が、解除可能である。その結果、カメラ装置20に備え付けられたキャリア21は、別の筬上に固定され得る。
【0096】
さらに、監視装置100は、緯糸打ち込み装置1に対する少なくとも1つのカメラ装置20を調整するための装置29(以下では「調整装置」と記す)を有することが
図2から分かる。この場合には、調整装置29は、規則的に配置された複数の調整ボルト29aを有する。
図2では、調整ボルト29aは、キャリア21の断面形状23の上の領域内で認識することができる。各調整ボルト29aは、筬羽18の長手方向に対して平行に(すなわち、
図2に示された座標軸Yの方向に)延在する。この場合、各調整ボルト29aの端部が、筬17の第1枠24aに支持されている。連結ボルト25を緩めた後に、調整ボルト29aは、再び上方又は下方に回され得る(調整ボルト29aに対応するねじ溝が、キャリア21に形成されている)。その結果、カメラ装置20が、(複数の筬羽18の長手方向に対してそれぞれ平行に
図2に示された位置に対して、又は
図2に示された座標軸Yに対して)上下に移動され得る。その結果、各カメラ装置20の位置が、経糸4又は緯糸5及び織物7に対して正確に調整され得る。
【0097】
図2に示されているように、各カメラ装置20は、光を感知する複数のセンサ要素を配列した1つの画像センサ31を有する。画像センサ31は、カメラ装置20によって撮影すべき1つの画像を電子式に取得するために、又はカメラ装置20によって撮影すべき、並んで配置された複数の画素(ピクセル)を有する1つの画像をデジタル式に表示するために使用される。画像センサ31は、例えばCCDセンサ若しくはCMOSセンサとして又は場合によっては光を感知するその他のセンサ要素に基づいて実現され得る。
【0098】
画像センサ31は、複数のセンサ要素の二次元配列を有し得る。例えば、画像センサ31上のこれらのセンサ要素が、規則的な二次元格子として配列されているように、当該二次元配列は構成されている。これらのセンサ要素は、例えば、二次元の長方形格子の複数の格子点上に配列され得る。この場合、これらのセンサ要素は、一列又は複数列にそれぞれ並んで又は連続して配置され得る。この場合、複数のセンサ要素が、それぞれ連続して又は並んで一列に配置されているように、これらのセンサ要素は配列され得る。当該列は、基本的には
図3に示された座標Zの方向に(すなわち、基本的には
図2に示された座標軸Xに対して直角に且つ
図2に示された座標軸Yに対して直角に)延在する。これに応じて、複数のセンサ要素が、それぞれ連続して又は並んで一列に配置され得る。当該列は、基本的には
図2に示された座標軸Xの方向に延在する。画像センサ31の複数のセンサ要素のこのような二次元配列は、画像センサ31が、取得された(例えば座標軸Z又は座標軸Xに沿って延在し得る複数の画素の「行」又は「列」を有する)画像の二次元配列を提供することを保証する。この場合、各センサ要素は、当該取得された画像の1つの画素又は1つのピクセルに対応する。
【0099】
図2から分かるように、各カメラ装置20は、1つの光学レンズ32を備える。この光学レンズ32は、カメラ装置20によって監視すべき対象物の光学画像(この場合には、経糸4又は緯糸5及び織物7の光学画像)を生成するためと、−可能な限り鮮明に焦点合わせされるように−画像センサ31上に結像するためとに使用される。この場合には、(説明したように)各カメラ装置20の位置が、調整装置29によって経糸4又は緯糸5及び織物7に対して正確に調整され得ることによって、当該焦点合わせは影響を受ける。この代わりに、各カメラ装置20が、レンズ32と画像センサ31との間の距離を変更することを可能にする適切な装置を有することも当然に考えられる。
【0100】
この場合には、緯糸打ち込み装置1が、第2位置16(打ち込み位置)に存在するときに、レンズ32が、織物7の(最適な)鮮明な画像を画像センサ31上に生成するように、例えば、レンズ32の焦点合わせを調整することが有益である。
【0101】
図2からさらに分かるように、特に、画像センサ31及びレンズ32上の埃の堆積を回避するため、各カメラ装置20は、画像センサ31及びレンズ32を保護するために保護ガラス33を有してもよい。このような埃の堆積を非常に効率的に回避するため、別の対策が考えられる。例えば、(特定の材料、例えばガラスの静電帯電を回避するための)周囲の空気の持続的なイオン化又は持続的に空気を洗浄する装置が考えられる。
【0102】
図3から分かるように、監視装置100のカメラ設備6は、複数のカメラ装置20を有する。この場合、それぞれのカメラ装置20が、直線状に一列に連続して筬17の長手軸LA1の方向に沿って、緯糸打ち込み線12に対してほぼ平行に配置されている。
【0103】
図1〜3による監視装置100は、特にモジュール式に構成されていて、この場合には複数のモジュールを有する。それぞれのモジュールは、−それぞれのモジュール内に含まれている全ての構成要素のためのキャリアとして−1つのプレート30を有する。
図3から分かるように、監視装置100の全てのプレート30は、それぞれ連続して筬17の長手軸LA1の方向に沿って配置されていて、キャリア21に固定されている。
【0104】
それぞれのモジュールは、通常は(
図2,3及び6から分かるように):
・複数の画像を撮影するための複数のカメラ装置20、
・当該モジュールのそれぞれのカメラ装置20の画像領域22を照射するための少なくとも1つの照射装置39、及び
・1つのデータ取得評価装置36を有する。
【0105】
この場合、データ取得評価装置36は、それぞれ複数の機能要素、例えば
・1つの制御計算装置KM、及び/又は
・当該制御計算装置KMに接続している1つの高速ローカルメモリSM、例えばRAMメモリ(ランダムアクセスメモリ)、及び/又は
・同期装置SEを有してもよい。
【0106】
例えば、それぞれのモジュールのカメラ装置20を制御するため、例えば、カメラ装置20に画像を撮影させるため、又は、当該モジュールのカメラ装置20によって撮影された画像を処理するため、それぞれのモジュールの制御計算装置KMは、例えばFPGA回路(フィールドプログラマブルゲートアレイ)として構成されてもよく、特にそれぞれのモジュールのカメラ装置20に接続している。
【0107】
例えば、1つのカメラ装置20によって撮影される1つの画像又はこのような1つの画像の一部を示す未処理の画像データ(生データ)に対して、及び/又は、制御計算装置KMによって実行される、例えば計算の結果若しくは中間結果のような処理された画像データに対して、例えば撮影される複数の画像の処理に対して、それぞれのモジュールのメモリSMは、ダイナミックデータを記憶するために使用される。
【0108】
各カメラ装置20を緯糸打ち込み装置1の1つの移動位置に応じて制御するため、それぞれのモジュールの同期装置SEは、当該それぞれのモジュールの各カメラ装置20を緯糸打ち込み装置1の移動位置に同期させるために構成されている。このため、同期装置SEは、緯糸打ち込み装置1の一時的な位置に関する情報を必要とし、当該それぞれのモジュールの各カメラ装置20に対して、緯糸打ち込み装置1の希望した複数の位置に関する情報を必要とする。これらの位置では、それぞれの緯糸打ち込みサイクルごとに、複数の画像が撮影されなければならない。
【0109】
図3から分かるように、監視装置100の複数のモジュールが異なり得るように、これらのモジュールが構成されている。監視装置100は、例えば同じに構成された複数のモジュールM0(いわゆる「ベースモジュール」)を有してもよい。これらのモジュールM0は、例えば8つのカメラ装置20を有してもよく、その機能が同じである。監視装置100は、1つのモジュールME(いわゆる「エンドモジュール」)をさらに有してもよい。モジュールMEは、モジュールM0とは違って「拡張された機能」を有し、筬17の1つの端部に配置されている。
図3から分かるように、データの通信を可能にするため、全てのモジュールM0及びモジュールMEが、(データ)接続部38aを介して互いに接続されている。この例では、隣接したそれぞれ2つのモジュールM0が、1つの接続部38aを介して(例えば、電気ケーブル接続部又は光ファイバを介して)互いに直列に接続されている。その結果、全てのモジュールM0が、接続部38aを介して直列に接続されている。さらに、これらのモジュールM0のうちの1つのモジュールM0が、モジュールMEに接続されている。その結果、全てのモジュールM0が、複数の接続部38aを介してモジュールMEと交信し得る。モジュールMEは、この例では−モジュールM0とは違って−データ伝送装置を備える。このデータ伝送装置は、無線式のデータ伝送38によって、例えば「近距離無線通信」規格(NFC)にしたがって、織機2の制御装置37と交信し得る。それ故に、モジュールM0とモジュールMEとの間の接続部38aと、モジュールMEと織機2の制御装置37との間の無線式のデータ伝送38とに起因して、全てのモジュールM0が、モジュールMEの制御の下で織機2の制御装置37と交信でき、場合によってはデータを交換し得る。さらに、これらのモジュールM0を制御するため、モジュールMEの制御計算装置KMが、「主演算装置」(メイン演算装置)の機能を引き受け、この機能の実行中にデータ又は制御信号をこれらのモジュールM0に送信する。モジュールMEの「拡張された機能」に関する別の例は、以下で
図6に関連してさらに説明される。
【0110】
特に
図3から読み取れるように、隣接した2つのカメラ装置20のそれぞれの画像領域22が、領域ごとに筬17の長手軸LA1の方向に重なり合うように、個々のカメラ装置20が、1つのプレート30(又は複数のプレート30)上で互いに離間して配置されている。この実態を説明するため、
図3では、長手軸LA1の方向に延在する1つの重畳領域Uが、隣接した2つのカメラ装置20に対して示されている。重畳領域Uは、これらの隣接した2つのカメラ装置20の画像領域22の重畳部分の範囲を特徴付ける(長手軸LA1に沿った重畳領域Uの延在部分は、
図3に二重矢印によって示されている)。したがって、複数のプレート30が、筬17上に配置されていると、隣接した2つのカメラ装置20の画像領域22の上記の重畳領域U内に存在する、経糸4又は織物7の特定の領域が、これらの2つのカメラ装置20の画像上に出現し、それ故にこれらの2つのカメラ装置20によって「同時に」監視され得る。こうして、「死角」が有益に回避され得る。その結果、織機2の非常に高い検査品質が得られる。この重畳部分は、既に説明した補正によって管理される。
【0111】
図3から分かるように、複数のカメラ装置20の全ての画像領域22の全体が、緯糸打ち込み線12に対して平行な方向に距離Refにわたって延在するように、カメラ設備6の複数のカメラ装置20が、連続して配置されている。この距離Refは、筬17の長手部分の長さ以上である。経糸4のための通路18aが、筬17内に形成されている。上記の筬17の長手部分は、長さBを明らかに有する(
図3には、対応する二重矢印Bによって示されている)。この長さBは、筬17によって通される経糸の最大幅に相当する。これに応じて、筬17によって製造可能である織物7の全体の幅と、通路18aを通過可能である全ての経糸4の全体とをカメラ設備6の全てのカメラ装置20によって監視することが可能である。
【0112】
撮影される画像の画像処理を、カメラ設備6と一緒に筬17上に構成されているデータ取得評価装置36によってほぼ完全に実行することが可能である。しかしながら、事前評価だけを実行すること、特定の織傷だけを検出するために、例えば事前の再処理を実行すること、データ圧縮アルゴリズムを利用すること等も同様に可能である。
【0113】
既に説明したように、各モジュールM0又はMEが、モジュールM0又はMEのそれぞれのカメラ装置20の画像領域22を照射するために少なくとも1つの照射装置39を有する。
図2に示されているように、各モジュールM0又はMEの照射装置39が、複数の発光ダイオード39a(LED)を有する。プレート30に配置されたカメラ装置20の画像領域22が照射されるように、これらの発光ダイオード39aは、二列ずつ直線状に長手軸LA1の方向にそれぞれ連続して各プレート30に配置されている。これらの発光ダイオード39aは、好ましくは様々な種類の発光ダイオード39aでもよく、例えば、赤色、緑色、青色及び赤外線の発光ダイオード39aでもよい。こうして、極めて広い範囲で起こり得る織傷が識別され得る。この場合、これらの(例えば、白色光から赤外線まで及ぶ)発光ダイオード39aは、同時に通電され得るが、連続して順々に制御されてもよい。その結果、異なる複数の発光色が、特定の複数の時点に経糸4若しくは緯糸5又は織物7上に照射される。この場合、これらの発光ダイオード39aによって生成される光は、発光ダイオード39aからガラス繊維導体40を経由してカメラ装置20のハウジング縁部まで誘導される。これにより、その都度の目的に適した焦点合わせ及び照射方向が実現され得る。
【0114】
特に、複数の発光ダイオード39aを織物7又は経糸4の特定の領域を照射することも可能である。データ取得評価装置36及び/又は制御装置37が、織機2の織り工程の中断を裏付ける深刻な欠陥を確認したときに、このような制御が実行され得る。この場合には、欠陥が発生した領域が照射されるように、当該織り工程が停止され、これらの発光ダイオード39aが制御される。こうして、どこで欠陥が発生したか、機械の操作者が、どこで特に欠陥を排除する対策を講じる必要があるかが、当該機械の操作者にとって即座に直観的に識別可能である。この理由から、データ取得評価装置36と制御装置37との間の双方向(無線式)のデータ伝送38が重要である。
【0115】
特に
図3から分かるように、(第1位置15と第2位置16との間の緯糸打ち込み装置1の全ての位置に対して)カメラ設備6の全てのカメラ装置20、全てのモジュールM0及びMEの全ての照射装置39並びに全てのデータ取得評価装置36が、杼口3を形成するために常に織機2の杼口開口領域の外側に存在するように、カメラ設備6は配置されている。この場合には、カメラ装置20が、(経糸4を通路18aに通すことに関して)いずれの通路18aも完全に又は部分的に塞がないか又は制限しないように、カメラ設備6の全てのカメラ装置20及び全ての照射装置39が、筬17の第1枠24aに配置されている。同じ目的のために、カメラ設備6が、第2枠24bに適切に配置され得る。その結果、緯糸打ち込み装置1の全ての位置に対して杼口3を形成するために、カメラ設備6は、常に織機2の杼口開口領域の外側に存在する。
【0116】
図4には、
図1に示された監視装置100の1つのバリエーションである監視装置100aが示されている。監視装置100aは、
図1に示された監視装置100とほとんど同じに構成されている。2つの監視装置100a及び100間の重要な違いは、
図4に示された実施の形態では、それぞれのカメラ装置20が、経糸4の「下に」対向して、すなわち筬框13に隣接して配置されている点にある。監視装置100aの場合には、カメラ装置20から構成されたカメラ設備6が、(同様に)筬17を固定するために使用される筬框13の形材状のホルダ19に固定されている。
【0117】
図1及び
図4による監視装置100及び100aのその他の対応する構成及び機能は、互いにほぼ同じである。それ故に、上記の説明を参照のこと。特に、監視装置100に関連して開示された
図2による衝撃減衰装置28と、緯糸打ち込み装置1に対するカメラ装置20の位置を調整するための調整装置29とが、同様に監視装置100a内にも設置され得ることは、当業者にとって自明である。
【0118】
完全を期すために言及すると、経糸を、「上のカメラ設備6」に対向させ且つ「下のカメラ設備6」に対向させて設けることも明らかに可能である。これにより、織物7の両側が検査され得る。その結果、織物7の光学式の検査の品質がさらに向上され得る。
【0119】
最後に、
図5には、織り工程用の1つのカメラ設備20によって織機2内の少なくとも複数の経糸4を監視するための方法が、さらに概略的なフローチャート41として示されている。この織機2は、可動な緯糸打ち込み装置1を有する。この場合、このカメラ装置は、緯糸打ち込み装置1の移動時に緯糸打ち込み装置1と連動する。この場合、カメラ装置20は、織り工程中に緯糸打ち込み装置1の異なる少なくとも2つの移動位置でそれぞれ1つの画像を撮影する。
【0120】
第1ステップ42では、(例えば、織り工程の開始時に、例えばこの織り工程の第1緯糸挿入サイクル前に)経糸の割り当てが実行される。当該割り当て時に、複数のカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20の複数の画素のうちの少なくとも1つの画素が、監視すべき各経糸4に割り当てられる。この割り当てを実行するため、画像処理装置BVが、繰り返し模様の複数の情報と当該画素に関する複数の情報とを必要とする。当該画素は、筬17内の経糸4用の複数の通路18aのうちのそれぞれ1つの通路18aに対応する。(当該それぞれの通路18aに対応する)当該画素に関するこれらの情報は、上記の補正によって取得され得るか、又は筬羽18が映し出されている複数の画像の分析によって決定され得る。
【0121】
第2ステップ43では、織り工程中に、少なくとも1つの画像が、複数のカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20によって撮影されるか、又は、複数の画像が、複数のカメラ装置20のうちの1つ若しくは複数のカメラ装置20によって撮影される。1つの画像を撮影する時点が、各カメラ装置20ごとに、緯糸打ち込み装置1の特定の位置に応じて、同期化装置SEを使用して制御され、これに応じて、照射装置39が、監視すべき経糸4若しくは緯糸又は監視すべき織物7を照射するために、同様に同期化装置SEを使用して−当該画像の撮影に同期するように−制御される。緯糸打ち込み装置1が、特定の位置に存在するときに、例えば、緯糸打ち込み装置1が、(当該緯糸打ち込み装置1の近くの織物の一部を監視するために)打ち込み位置の近くに存在するときに、緯糸打ち込み装置1が、戻り位置に存在するときに、少なくともそれぞれ1つの画像が撮影される。
【0122】
ステップ43では、カメラ装置20によって提供される画像データが、データ処理装置内に読み込まれる。さらに、(例えば、緯糸打ち込み装置1の一時的な位置を測定するセンサのデータのような)さらなるセンサデータが読み込まれる。
【0123】
こうして取得された複数のデータは、ステップ44で分析され再処理される。例えばデータ取得評価装置36が、このために使用される。この場合、当該データの再処理は、位置に応じて実行される(この場合、当該位置は、経糸4の方向の位置と、織物7に対して直角の方向又は緯糸に対して平行な方向との双方に関連する)。当該データの再処理は、これらのデータに対応する画像が撮影される緯糸打ち込み装置1の位置に依存する。何故なら、全ての織り欠陥が、緯糸打ち込み装置1のただ1つの位置で考慮されるわけではないからである。さらに、当該データの再処理は、その都度の緯糸数に依存する。何故なら、欠陥を含む経糸の色又は織物7上の毛羽及び汚れのような織り欠陥が、全ての緯糸挿入サイクルに対して考慮されないからである。各緯糸挿入サイクルごとに、緯糸打ち込み装置1が、戻り位置に存在するときに撮影される1つの画像を使用して、経糸の切断が監視され、緯糸打ち込み装置1が、打ち込み位置と戻り位置との間の中間位置に存在するときに撮影される1つ又は複数のその他の画像を使用して、経糸の切断が監視される。
【0124】
上記のデータの分析及び再処理は、監視中にカメラ装置によって撮影される画像を、既に存在する(記憶された)画像データ、特に織り工程前の織りの開始の局面中に取得された画像データ又はデータバンクに記憶されている画像データと比較することによって実行され得る。これらの分析及び再処理の場合、監視すべき織り工程を特徴付ける入力データ、例えば、緯糸密度、緯糸打ち込み装置の位置、丁度織られた緯糸の数、織り柄、繰り返し模様、織機を停止する前の織り欠陥ごとの限界値が必要になる。
【0125】
こうして再処理されたデータは、評価ステップ45において、織り欠陥が存在するか否かに関して評価される。特に、筬17の長手軸LA1の方向に延在する1つの座標軸に対する1つの織り欠陥の位置確認を可能にするため、ステップ42で実行された割り当てが利用される。補正措置が、(1つの織り欠陥に対する応答として)最速で講じられ得るように、上記ステップ43,44及び45は、複数の画像が撮影される1つの緯糸挿入サイクル内に実行される。すなわち、織り欠陥が、リアルタイムで検出され、当該欠陥の種類が決定され、当該欠陥を含む織り要素(経糸の番号k、緯糸の番号s、織物領域内の1つの欠陥の場所等)が報告される。
【0126】
発生する欠陥が、軽減又はほぼ排除されるように、織り工程が、適切に修正されるように、出力信号が、当該欠陥の「深刻さ」に応じて(例えば、制御装置37に)入力されるか又は(例えば、制御装置37)から出力される。しかし、機械の操作者が、欠陥(特に、例えば経糸の切断のような、自動的に排除され得ない欠陥又は自動的に排除されるが問題を孕む欠陥)を排除できるように、織機2の織り工程が停止されることも可能である。
【0127】
引き続き、上記サイクルが、画像の新しい撮影によって開始する(ステップ43)。
【0128】
上記設備は、当然に任意の装置に関連して使用され得る。
図1〜4に示された実施の形態の符号は、専ら理解の理由から使用されている。
【0129】
以下では、織機2の糸4,5及び織物7が、監視装置100によって監視される場合に、織機2の制御と組み合わせた
図1〜3による監視装置100の制御に関する1つの例が、
図6を参照して概略的に説明される。
図6は、織機2の関連する機能要素と監視装置100の関連する機能要素とを概略的に示す。
図6に示された矢印又は二重矢印は、(例えば、情報を制御及び/又は伝送するための)データ若しくは信号の交信又はエネルギーの供給(電気装置を稼働させるための電流供給又は電圧供給)を示す。
【0130】
図6に示されているように、織機2は、例えば以下の機能要素を有する:
・エネルギー供給のための装置P0。装置P0は、少なくとも織機2にエネルギーを供給するために構成されている。織機2を監視装置100と一緒に稼動させるため、監視装置100は、織機2に接続され得る。
・織機2の稼働を制御するための制御装置KW。
・織機2と監視装置100との間の交信を制御し、場合よっては、監視装置100によって生成され得るデータを処理するため制御装置K1。
・制御装置K1に対して供給され、場合によっては監視装置100によって必要とされる入力データDeのための記憶装置S1。
・
図1に関して既に説明された杼口形成装置11.
図示されているように、制御装置KWは、データを(例えば、双方向に)交換するために制御装置K1に接続している。
【0131】
制御装置K1は、データを交換又は伝送又は受信するために杼口形成装置11と入力データDeのための記憶装置S1とに接続している。こうして、制御装置K1は、杼口形成装置11からの情報(例えば、経糸の位置に関する情報若しくは製造すべき織物7の織り柄に関する情報)又は記憶装置S1内に格納された入力データDeを受け取る。入力データDeは、例えば、織機2の稼動データ(例えば、緯糸の順序、緯糸の密度、緯糸打ち込み装置1の位置)、経糸を筬17内へ引き通すための引き通し機のデータ(繰り返し模様)、織機2の操作者の詳細情報(例えば、特定の織り欠陥に対する目標値、織機を停止するための規準を規定する稼動パラメータに対する限界値)を含み得る。
【0132】
図6からさらに分かるように、制御装置K1は、出力データDaを生成するタスクを有する。これらの出力データDaは、特に(監視装置100による織機2の監視の結果としての)織り欠陥の交信に関する。
【0133】
図6にさらに示されているように、監視装置100は、
図2及び3に関連して既に説明された、関連する機能要素として複数のモジュールM0(「ベースモジュール」)及び1つのモジュールME(エンドモジュール)を有する。
図2及び3に関連して既に説明されたように、当該それぞれのモジュールM0及びこのモジュールMEは、特に以下の構成要素:画像を撮影するための複数のカメラ装置20、それぞれのカメラ装置20の画像領域22を照射するための少なくとも1つの照射装置39並びに−データ取得評価装置36の構成要素として−それぞれ1つの制御計算装置KM、1つの高速ローカルメモリSM及び1つの同期化装置SEを有する。全てこれらの構成要素が、筬上に配置されている。
【0134】
この事実を説明するため、
図6には、各モジュールM0又はMEの稼働が、対応する制御計算装置KMによって制御されることが示されている。このため、
図6によれば、−各モジュールM0とこのモジュールMEとの双方の場合において−それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの制御計算装置KMが、複数のカメラ装置20の複数の画像センサ31、1つのメモリSM及び1つの同期化装置SEに接続している。
【0135】
さらに、
図6によれば、−各モジュールM0とこのモジュールMEとの双方の場合において−それぞれの制御計算装置KMが、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの照射装置39用の1つのドライバTB(又はこの照射装置の発光ダイオード39a)に接続している。こうして、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの制御計算装置KMが、特にそれぞれの発光ダイオード39aを必要に応じて接続又は遮断するために、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの照射装置39を制御し得ることが保証される。
【0136】
それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの制御計算装置KMは、特に、光を発生させるためにそれぞれの発光ダイオード39aが接続される時点を制御でき、それぞれの発光ダイオード39aが光を生成しなければならない期間をさらに制御できる。こうして、特に、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEのカメラ装置20が、画像を撮影しなければならないときに、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの制御計算装置KMは、光を発生させることを保証し得る。その結果、カメラ装置20の画像領域22が、最適な時に照射されるように、準備がなされている。
【0137】
図6にさらに示されているように、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの制御計算装置KMは、画像処理装置BVを有する。画像処理装置BVは、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEのカメラ装置20の画像センサ31によって撮影される画像、又は画像センサ31によって提供された、撮影されたそれぞれの画像に対応する画像データを処理し分析するために構成されている。
【0138】
既に説明したように、モジュールMEの制御計算装置KMは、データ又は制御信号をモジュールM0の制御計算装置KMに送信でき、モジュールM0の制御計算装置KMからデータを受信できる「主演算装置」(メイン演算装置)を有する。データ又は制御信号を伝送するため、複数のモジュールM0の複数の制御計算装置KMが、複数の接続部38aによって互いに直列に接続されている。この場合、複数のモジュールM0のうちの1つのモジュールM0の制御計算装置KMが、1つの接続部38aを介してモジュールMEの制御計算装置KMに接続されている(
図6)。
【0139】
図6からさらに分かるように、モジュールMEの制御計算装置KMと制御装置K1との間のデータ又は信号が、無線式のデータ伝送38によって伝送され得る。モジュールMEは、モジュールMEの制御計算装置KMがアクセスする記憶装置S2をさらに有する。記憶装置S2は、監視装置100が使用する、織機2上の経糸、緯糸及び織物をできるようにするための様々な入力データを記憶するために構成されている。これらの入力データは、経糸の引き通し(繰り返し模様)、織機2によって製造すべき織物の経糸と緯糸との間の織り方の種類及び配置、筬17の特性及び状態等に関する情報でもよい。
【0140】
モジュールMEは、織機2の緯糸打ち込み装置1の一時的な位置を測定するためのセンサ装置BSをさらに有する。センサ装置BSは、モジュールMEの制御計算装置KMに接続されている。その結果、モジュールMEの制御計算装置KMは、センサ装置BSのデータ又は信号を利用できる結果、どの位置に緯糸打ち込み装置1が織り工程中に特定の時点に存在するかに関する情報を自由に処理できる。これに応じて、モジュールMEの制御計算装置KMは、緯糸打ち込み装置1の移動位置に応じて監視装置100の構成要素、特にモジュールM0を制御できる。センサ装置BSは、例えば、緯糸打ち込み装置1の加速度を測定するために適する加速度センサとして構成され得るか又は少なくとも1つのこのような加速度センサを有し得る。
【0141】
それぞれのモジュールME又はM0の制御計算装置KMは、特に、場合によってはセンサ装置BSのデータ又は信号に応じて、監視装置100のカメラ装置20によって画像を撮影するために構成されている。このため、それぞれのモジュールME又はM0の制御計算装置KMは、モジュールME又はM0の特定の1つのカメラ装置20が1つの画像を撮影しなければならない時点を制御するために、モジュールME又はM0の同期化装置SEにデータ接続されている画像制御装置BSEを有する(
図6)。
【0142】
この代わりに、モジュールMEの画像制御装置BSEが、例えばモジュールM0のカメラ装置20を直接に制御することが考えられる(
図6に図示せず)。モジュールM0のカメラ装置20に画像を撮影させるため、モジュールMEの画像制御装置BSEが、例えば対応する制御データをモジュールM0の制御計算装置KMに送信し得る。これらのカメラ装置20に1つ又は複数の画像を撮影させるため、特定の1つのモジュールM0の制御計算装置KMが、これらの制御信号に応じてカメラ装置20及び照射装置39aだけを制御する。
【0143】
1つの織り欠陥を検出するため、複数のモジュールM0のうちの1つのモジュールM0又はモジュールMEのそれぞれの画像処理装置BVは、例えば、それぞれのモジュールM0又はこのモジュールMEの複数のカメラ装置20のうちの1つのカメラ装置20によって撮影される各画像の撮影時点に関する同期化装置SEからの情報を用いて、それぞれのカメラ装置20によって提供された対応する生データを、それぞれの画像が撮影された経糸打ち込み装置1の位置に応じて(例えば、上記の方法にしたがって)分析するために構成され得る。こうして、複数のモジュールM0のうちの1つのモジュールM0又はモジュールMEの画像処理装置BVは、例えば、1つの経糸4が筬17の特定の1つの通路18a内に存在するか否かを判定できるか、又は当該判定されたそれぞれの結果が、モジュールMEの記憶装置S2内に準備されている入力データと矛盾しないか否かを判定できる。後者の否定の場合は、経糸の切断が、通路18aの領域内に存在することを示唆することがあり得る。画像処理装置BVによってそれぞれ計算されたデータは、例えばそれぞれのモジュールM0又はMEのメモリSM内に記憶され得る。
【0144】
(場合によっては大きい計算時間が必要な)1つの画像の労力のかかる分析が必須である場合(例えば、1つの画像に含まれている色情報の分析が考慮される必要がある場合)、それぞれのカメラ装置20の画像センサ31によって提供された生データ及び/又は(これらの生データに基づいて)画像処理装置BVによって計算されたそれぞれのデータを、無線式のデータ伝送38によって織機2の制御装置K1に転送することが可能である。それ故に、画像の労力のかかる分析が、別の画像処理装置によっても実行され得る。この別の画像処理装置は、必ずしも緯糸打ち込み装置1に配置される必要はなくて、制御装置K1内に組み込まれてもよく、又は織機2内の別の場所に収納されてもよく、又は(処理すべき画像データを伝送するための適切なデータ伝送が、この別の画像処理装置と制御装置K1との間に組み込まれている場合は)場合によっては織機2から離れて配置されてもよい。
【0145】
注目すべきは、監視装置100の全てのカメラ装置20が、それぞれ1つの画像を撮影するように、監視装置100が設けられる必要がない点である。各織り欠陥が、1つの緯糸挿入サイクルの全ての画像上で検出され得ないので、各織り欠陥が、同じ頻度で検出されるはずがないので(経糸の切断に対する画像分析は、1つの緯糸挿入サイクル当たり少なくとも1回実行されなければならない一方で、毛羽及び汚れに対する画像分析は、専ら20番目の緯糸挿入サイクルごとに実行される)、特定の1つの時点に又は緯糸打ち込み装置1の特定の1つの位置で、カメラ設備6のただ1つのカメラ装置20又は全てのカメラ装置20の全体の一部だけに、1つの画像を撮影させることも適切であり得る。例えば、1つの織り工程の間に、1つの時点に、カメラ設備6の全てのカメラ装置20の全体の一部にそれぞれ1つの画像を撮影させる一方で、その他の1つの時点に、カメラ設備6の全てのカメラ装置20の全体のその他の一部にそれぞれ1つの画像を撮影させることでも十分である。こうして、監視装置100によって、異なる複数の時点に、織機の異なるそれぞれの部分領域を監視することが可能になる。こうして、撮影すべき(及び分析すべき)画像の数を最小にすることが可能である。監視装置100は、当該撮影される複数の画像をそれぞれリアルタイムに分析するので、こうして、複数のモジュールM0及びこのモジュールMEの制御計算装置KMの計算労力が軽減され得る。
【0146】
図7A−7Dは、様々な複数の画像の線図である。これらの画像は、緯糸打ち込み装置1の異なる複数の移動位置に対する
図1〜3による監視装置100の1つの(それぞれ同じ)カメラ装置20によって撮影され得る。
【0147】
図7A〜7Dは、カメラ装置20の全体の画像領域の複数の画像を示す。
【0148】
図7Aの場合では、緯糸打ち込み装置1が、第1位置15(戻り位置)に存在することを前提としている。
図7Bの場合では、緯糸打ち込み装置1が、第1位置15と第2位置16(打ち込み位置)との間の中間位置に存在することを前提としている。
図7Cの場合では、緯糸打ち込み装置1が、
図7Bによる位置と第2位置16(打ち込み位置)との間の中間位置に存在することを前提としている。これに対して、
図7Dの場合では、緯糸打ち込み装置1が、第2位置16(打ち込み位置)の近くに存在することを前提としている。この場合、
図7A〜7Dは、同じ緯糸挿入サイクルのそれぞれ連続する複数の時点に関する。
【0149】
図7A〜7Dから分かるように、
・並んで配置された複数の筬羽を有する筬17の一部(
図7A〜7Dには、映し出された筬17の一部17′及び映し出された各筬羽18の一部18′)、
・並んで配置された複数の経糸4のそれぞれ1つの一部、
・緯糸を示さない
図7A以外の1つ又は複数の緯糸5の一部(
図7B〜7Dには、映し出されたそれぞれの緯糸5の一部5′)、
・織物7の一部を示さない
図7A〜7C以外の既に製造された織物7の一部(
図7Dには、映し出された織物7の一部7′が示されている)が、カメラ装置20の異なる複数の画像上に映し出されている。
【0150】
図7A〜7Dに示された複数の画像は、全ての経糸4が単一面内に張られている
図1に示された状況に相当する。
図1による状況では、開口された1つの杼口3が形成されている。その結果、杼口3の範囲内で、
図1に示された座標軸Yの長手方向に、経糸の第1グループ4aが、緯糸の第2グループ4bから互いに分離されていて、それ故にカメラ装置20に対して異なる距離を有する。以下では、(例えば、異なる複数の糸が、異なる色、異なる直径又は異なって形成された表面を有するときに、)全ての経糸4が、同じに形成されているのではなくて、違いが当該複数の画像上で識別可能であり、監視装置100のこれらの画像の画像処理によって捕捉され得るように(視覚的に識別可能に)異なることも考慮される。
【0151】
図7A〜7Dでは、符号4a′(1)は、第1の実施の形態による、映し出された第1グループ4aに属する経糸の一部を示し、符号4a′(2)は、第1の実施の形態とは(視覚的に識別可能に)異なる第2の実施の形態による、映し出された第1グループ4aに属する経糸の一部を示し、符号4b′は、映し出された第2グループ4bに属する経糸の一部を示す。
【0152】
図7A〜7Dに示された複数の画像には、映し出された筬17の一部17′が、全ての画像上に−それぞれの右側の縁部と、それぞれの当該右側の画像縁部に対して同じ位置とに出現し、映し出された複数の筬羽18が(並んで配置されて)目視可能であるという共通点がある。特に映し出された筬羽18′の間に形成された(経糸用の)複数の通路が目視可能である。
図7A〜7Dに示されているように、筬17の第1(上)枠24aが、°の画像上にも映し出されていないように、カメラ装置20が、筬17に配置されている。その結果、全ての画像が、映し出された筬羽18′、特に(映し出された複数の筬羽18′のうちの2つの筬羽18′間に形成された)経糸用の通路に向かう遮られない視野を可能にする。したがって、
図7A〜7Cによる複数の画像は、映し出された筬羽18′が規則的な状態にあるのか又は場合によっては欠陥を有するのかの視覚的な監視を可能にする。さらに、映し出された複数の区間4a′(1)、4a′(2)又は4b′のうちの1つの一部が、映し出された筬羽18′のうちのそれぞれ2つの筬羽18′間の複数の通路のうちのどの通路を通過されているかが、視覚的に識別可能である。
【0153】
図7Aから分かるように、映し出された(並んで配置され、互いに平行に延在する)複数の区間4a′(1)(
図7A及び
図7Bでは、実直線として示されている)と、(並んで配置され、互いに平行に延在して)映し出された複数の区間4a′(2)(
図7A及び
図8Bでは、破直線として示されている)とが、
図7Aによる画像上で識別可能であるように、カメラ装置20が、筬17の第1(上)枠24aに対して設置されている。
図7Aでは、特に映し出された区間4b′が識別不可能である。
図7Aによれば、映し出された最大で1つの区間4a′(1)又は映し出された1つの区間4a′(2)が、映し出された複数の筬羽18′のうちのそれぞれ2つの筬羽18′間に形成されている映し出されたそれぞれの通路を通るように延在するように見える。映し出されたいずれの区間4a′(1)又は4a′(2)も、映し出された複数の通路のうちの3つの通路を通るように延在しない(映し出された複数の通路のこれらの3つの通路は、
図7A、7B及び7Cでは符号18′(1)、18a′(2)又は18で示されている)。
図7A上では、緯糸及び織物は識別不可能である。
【0154】
図7A及び
図7Bは、(説明したように)緯糸打ち込み装置1が戻り位置から別の位置に移動された点で異なる。
図7Bの場合には、筬17に対する経糸4の第1グループ4aの相対配置は、
図7Aの場合と同じである。それ故に、映し出された区間4a′(1)及び4a′(2)の位置は、
図7A及び7Bでは等しい。
図7Bによれば(
図7Aによる状況とは違って)、緯糸5が、杼口3内に挿入され、移動中に杼口3を通過するように存在する。その結果、
図7Bによる画像上には、映し出された1つの緯糸の1つの区間5′の端部(
図7Bでは、上方から下方に向かって延在する実直線として示されている)が、映し出された区間4a′(1)及び4a′(2)の一部の下方に(映し出された区間4a′(1)及び4a′(2)に対してそれぞれ直角に)延在する。
図7Bにより分かるように、映し出された区間5′は、映し出された筬羽18′に対して離間して延在する。
【0155】
図7Bと
図7Cとでは、時間が
図7Bによる状況と
図7Cによる状況との間で進行し、緯糸打ち込み装置1が、別の位置にさらに移動された点で異なる。このとき、映し出された区間5′は、(上方から下方に向かって)杼口の全体を通過する結果、
図7Cに示された画像の全体を通過する。さらに、
図7Cによる画像上では、
図7A及び7Bに目視可能である区間4a′(1)及び4a′(2)のいずれも目視不可能である。この代わりに、
図7Cによる画像上では、映し出された第2グループ4bに属する経糸の2つの区間4b′が目視可能である(
図7Cでは、破線として示されている)。明らかなように、これらの2つの区間4b′は、映し出された通路18a′(1)又は18a′(2)を通過するように延在する。
【0156】
図7Cには、示された画像の長方形の区間BAが示されている(
図7Cでは、この区間BAの外縁部が、破線として示されている)。この区間BAは、当該図示された画像上では水平方向に当該画像の右側の縁部、特に映し出された通路18a′(3)まで延在する。
図7Cから見て取れるように、当該図示された画像の区間BA内では、経糸が識別不可能である。
【0157】
繰り返し模様に含まれる情報及び織り柄に含まれる情報が、画像処理装置BVに提供されるので、画像処理装置BVは、この緯糸挿入サイクルに対して、第2グループ4bに属する経糸を通路18a′(3)内で待ち受けることを知っている。この状況下では、「欠陥」が存在し得る。この欠陥は、
図7Cに示された画像の画像処理によって識別可能である。当該説明のため、
図7Cでは、当該示された画像の区間BAが、矢印F1で指し示される。この矢印F1は、欠陥を含む経糸を指し示し、この欠陥の位置がマーキングされる。この欠陥は、特に筬17内のただ1つの通路18aに割り当てられ得る。
【0158】
図7Dに示された状況では、緯糸打ち込み装置1が、第2位置16(打ち込み位置)の近くに存在する。これに応じて、織物7の区間7′が、
図7Dに示された画像上に映し出されている。この区間7′は、当該画像の右側で緯糸打ち込み線によって仕切られている(
図7Dには、この緯糸打ち込み線の軌跡が、破線12′で示されている)。これに応じて、映し出された筬17の区間17′が、線12′に密に隣接して線12′に対してほぼ平行に延在する。(線12′に密に隣接し、線12′に対してほぼ平行に延在する)緯糸の区間5′が、映し出された織物7の区間7′の右側の縁部に示されている。この区間5′は、
図7B及び
図7Cに示された複数の画像上では、映し出された筬17の区間17′に対してそれぞれ或る距離をあけているものの、
図7Dによる画像上では、映し出された筬17の区間17′に直接に隣接し、筬17と一緒に線12′に沿って延在する位置に送られる。局所的に限定された織り欠陥(例えば、織物上の毛羽又は汚れ)を有する2つの箇所が、映し出された織物7の区間7′上で識別可能である。これらの織り欠陥は、矢印F2及びF3によってマーキングされている。
【0159】
明らかなように、
図7A〜7Dに示された複数の画像は、緯糸打ち込み線12に対して(少なくとも)ほぼ平行に延在する方向に沿ったそれぞれ1つの画像分析を可能にする。このような画像分析は、説明されている画像処理によって、特に画像処理装置BVを使用して実行され得る。